2003年5月11日

近藤純夫さんの“ハワイの歩き方”

今週のベイエフエム/ザ・フリントストーンのゲストは近藤純夫さんです。
近藤純夫さん

 ザ・フリントストーンとも永いつきあいをさせていただいている近藤純夫さんは、ケイビング(洞窟探検)のスペシャリスト、そしてハワイの自然や伝統、文化に精通したエッセイスト&翻訳家。ケイビングや火山調査のためにハワイに通っているうちにすっかりハワイの虜になり、ハワイ博士といえるほど、ハワイ全般に詳しい方なんです。
 今週はそんな近藤さんをお迎えし、月並みなハワイ観光とは違う、ディープなハワイ、もうひとつの魅力に溢れたハワイを紹介していただきつつ、新刊「ハワイ・トレッキング」からお勧めのトレッキング・コース、そして近藤さんがガイドするトレッキング・ツアー情報もお送りしました。

●御無沙汰しております。去年の7月に続いて、年に1度位の御出演をいただいていますが、最近ではケイビングよりもハワイのスペシャリストと呼んでしまいたいくらい、ハワイにはまっていますね(笑)。ハワイにも洞窟がいっぱいあるということで、つい最近も行ってらしたんですよね?

「本を出す関係で、ハワイに行くことが多くなりましたね。でも、穴にも入っていますよ。来年の1月くらいのNHKのスペシャル番組の撮影に行ってきたんです。流れている溶岩を撮ろうということで、大変な作業で、かなりハラハラ・ドキドキしながら帰ってきましたね」

●でもハワイで、ケイビング・火山といろいろなことをやっていらっしゃいますけど、火山の調査ということでは、ハワイは面白いですか?

「面白さは2つあります。まず、ハワイは1番洞窟がたくさん発見されている場所なんですよ。溶岩が出るところをホットスポットと言うんですけど、洞窟のホットスポットなんですね。もういっぱい巨大な洞窟が次々と見つかっていて、世界中からケイバー(洞窟を探す人)が来ています」

●ハワイと言っても、いろいろな島がありますよね?

「主にハワイ島ですね。他の島にもありますけど、ハワイ島が多いですね。ちなみに日本で1番長い洞窟は、石灰岩とかいろいろな洞窟を含めても10キロ位しかないんですけど、今見つかっているのでは、先月は50キロの洞窟とか、今月は60キロの洞窟とか、そういう規模がどんどん見つかっているんです」

●まだまだ見つかってないところも?

「ええ、あるかもしれないし、ないかもしれないけど、探検をするという面白さもあります。人が死ぬと肉を取っちゃって骨だけにするんですよ。それを洞窟に隠す。だからそれが時々見つかったりするんで、昔の歴史というか、生き証人ならぬ、死に証人がいるという。そういうのに出会ったりすると、感動がありますね」

●ある意味、洞窟は聖地みたいな場所ですね? ずーっとその洞窟で子孫を見守っている感というか・・・。

「そうですね。あちこちにはいないんですけど、今まで2箇所で出会ったことがありますよ」

●ハワイっていうと、最初のイメージはショッピング、オアフ・ワイキキとか芸能人が正月に行くところ!っていうのから、だんだんここ何年かテレビのスペシャルとかを見ていても、取り上げられるのが自然に目が向き始めているじゃないですか。あらためてここにきて、21世紀のハワイの新たな魅力というのをみんなが注目し始めているのかなと思いますけど。

「実はここに来るちょっと前に、一つ原稿を書いていたんですけど、「トム・ソーヤー」とか「ハックルベリー・フィンの冒険」のマーク・トゥエインの話をしていたんです。実は19世紀の最初の頃もハワイに観光に行くって言うと、キラウエアの火山の噴火を見るというのがメインだったみたいですね。マーク・トゥエインは本の中で、「なんだ大して出ていないじゃないか」とブツブツ言っているシーンがあったり、夜にいきなり噴火してきて、もう驚いちゃって声も出ないというのがあったり、あの時代からマーク・トゥエインを含めて、ミーハーだったんだなあと(笑)。長い歴史があったんですね、意外に」

●ハワイは観光スポットとしても、いろいろ形を変えているんですね?

「自然そのものが観光としても魅力は大きいぞ、と」

ハワイ・トレッキング〜自然とふれあう54コース

●そんなハワイにはまっていらっしゃる近藤さん、平凡社から『ハワイ・トレッキング〜自然とふれあう54コース』という御本を出されました。これはハワイの6つの島のおすすめコースなんですね?

「はい、ニイハウ島というカウアイ島の横の島は個人の島なので入らない。それからカホオラヴェ島というのは今は爆発物の処理をしていて、一般人は入れていないんですね。だからこの2つを除いた島全部を紹介しています」

●54コース歩かれて、どうですか?

「もちろんそれ以上にも歩いていますけど、歩いていて最高だなーって思っても、その後入れなくなる場合もあるし、この本を出した後にオープンになったのもあって、いろいろと変わるんですけど、やっぱり歩くと写真で見たりバスで行って「あそこです」って言われるよりは、ずっと見近に接するから、そういう意味では感動は大きいですよ。お薦めなのは、とにかくなだらかな山ですね。なだらかな道しか作っていないからほとんどのコースは誰でも軽く歩けちゃう」

●じゃあ、登山とか歩くのがあまり得意ではない方、足腰が強くない方でも行ける感じですか?

「もちろん、すごい山も入っていますけど、それはほとんどわずかしか入っていなくて、大半は気軽に行ける、ゆっくり歩けば汗もかかないかもしれない」

●それじゃ、お休みを使ってハワイに行って、ちょっとショッピングも飽きたし、行ってみようか?って行けちゃうような。

「そうそう、水着だけで白人の女性とか歩いてたりしますから」

●そして、近藤さんがガイドを務める『ハワイ・トレッキング4泊6日の旅』というのが今度、行なわれるというということですが。

「ええ、6月27日と30日の2回やります」

●これ、少人数ですよね。どんなところを歩くんですか?

「山のような一本道を歩くと後ろの人は聞こえませんよね、だから人数をおさえてもらったんです。歩くのは、一つ目はキラウエアのまだ煙が出ているところです、火山コースですね。火山の面白さを目の前で見てもらおうと思いまして、クレーターの下まで降りて歩きます」

●クレーターの下まで行っちゃう? 私達も上からは覗いたんですがね、下までは歩けませんでした。

「二つ目は、昔カメハメハという王朝があったんですが、そういう王侯貴族が住んだのは自然が素晴らしいからなんですが、その素晴らしい自然の中というのは、果物や花、食べ物、滝が落ちていたりという場所なんですね。そこを果物をつまみながら歩きます」

●つまみ食いしながら? おいしそう(笑)。

「いいでしょ? 6月はちょうど季節なんでね、マンゴー、パパイヤとか、バナナやグアバだとか、いっぱいありますから、そういうのを」

●お腹いっぱいになるトレッキングですね(笑)。おいしいトレッキング。

「目的は食べることではないんだけど(笑)それもあるというね。そして3つ目は海辺を歩こうと。やっぱりハワイ諸島は海のど真ん中にありますからね、やっぱり海にどんなふうに関わって、この島の生活があったかということも知りたいし、例えば最近ハワイ系のハンバーガーチェーンも増えてますよね、よく聞くのがマヒマヒ・ハンバーガーとか、アヒとか、ハワイ語で言うのがいっぱいあるんですよ。一体、それは何だ?というようなのを実際に見るとか、ウミガメなんかも甲羅をどっかの百貨店で見るくらいで、そばで動いているのは水族館で見るくらいですよね? 実際に自然の中で餌を食べている姿とかを目の前で見たり、水族館でしか絶対に見たことがない熱帯魚というものを本当に目の前で見たり、足元で見ます。そういったことで海の生き物達とハワイの大自然で暮らしている人達の姿を見ながら、海辺の道を散策していこうと」

●ハワイの自然と文化と歴史が分かるトレッキング・ツアーという感じですね?

「あんまり難しく考えないで下さい。基本的には大体10歳から70歳位までウェルカム。人に優しくコースを作っていますから、汗をかいてゼーゼー、ハーハーではないです。そうすると、肉体が辛くないから、周りに目が行くじゃないですか。そうするといろんなものが入ってくるから、とってもいいんですよ」

●それはハワイ島の方で?

「そうです、今回はハワイ島で行ないます」

●なんか楽しそうだなー。その時に『ハワイ・トレッキング〜自然とふれあう54コース』を持っていくと、帰ってからその日の終わりにチェックができて、次の予定にも役立ちそうですよね?

「そう思うでしょ? でも本にはトレッキングのコースはいっぱい載っけていますけど、それとは違うアレンジをして歩くんですよ。来た人しか体験できない。本にも載っていないところにも行きます」

●じゃあ、本当に参加しないと、分からないですね! でも、近藤さんから見てハワイのトレッキングの魅力って何ですか?

「うーん、例えば観光地で展望台に行っても、「あそこに見えるのは・・・」っていう感じになっちゃうでしょ? でも、目の前で匂いを嗅いだり、食べたり、触れたり、そして風とか温度を体感して、また歩いていると景観がどんどん変わっていくんですよ。鬱蒼としていた森があっという間に赤土のグランドキャニオンのようなところに出てしまうとか、そういうことがあっという間に起こるんですよ。そして見たこともないような鳥が飛んできたり、船が来たり、クジラが見えたり、出会いが多すぎて目が回ってしまうような感じで」

●一回じゃ絶対に満喫しきれないですね。

「そうですね、あまりにも素材が多くて、だから逆にテーマを決めてもいいですね。今回は果物をいっぱい付けている森を歩こうとか、今日は火山地帯とか、洞窟を覗いてみようとか、いろんなパターンでできますよね。
 だから、そういういろんなテーマが選べるし、それから今言ったのは全部自然の話でしたけど、いろんな文化の跡もあるわけです。例えば昔ハワイの人が住んでいた跡とか、祭壇の跡とか、日系人が作った古い道や、地震の修復した跡とか、いろんなものを見られますから、時々山から街を覗いたり、ホノルルなんかもすぐ後ろが山ですから、歩くといろんな視点から見えるし「ダイヤモンドヘッドってこっちから見るとこんな形をしているんだ」とか、意外な発見がありますよ。
 特に、ワイキキの山に近い方はシーンとした感じの森なんですよ。モンキーポットという木がずっと生えていて、それを横から見ると、なんか素晴らしいものが出て来そうな、そういう雰囲気があるんですよ。そういうところに鳥や花が咲き乱れて、カーペットのような芝生を歩いていると、もう何か信じられないなっていう感じですよ。それがワイキキから車だと3〜4分、だから歩いて来れるんですよ。そのくらいで行けるところもある。だから本当にホノルルの人って恵まれているなと思いますね」

●近藤さん、住み着いちゃおうとは思わないんですか?

「うーん、そうですねー。結構いろんなところに興味があって行っているというのがありますから。ずっと前にもお話ししましたけど、冬場は北極圏にも行きますので、暑いところばかりではないですしね」

●じゃあ、日本をベースに、ちょこちょこと、あちこちにシーズンをかねて動くのが1番なんですね。

「次の本の予定もしていまして、今度は植物の本をやりたいなと思っていて、また何度も取材に行くと思います」

●それから近藤さんは『アロハWEBカワラ版』の方でも連載をされていますよね。

「僕はこれは長い目で見ていて、ちょっと固い部分もあるんですが、何か調べたいことや分かんないことがあったときに利用してほしい。月に2回更新しているんですが、いろんなジャンルのことを深く解説するということを、ここでやっています。
 ただし、それは僕の担当で、カウアイ島に住んでいる方が毎回生活の中での面白い話を書いたり、その道のスペシャリストにもお話を聞いたりしています。この間は最近話題のジェイク・シマブクロさんにお話を聞きましたし、今回は布哇(ハワイ)文庫という本のことでは生き字引と言われている人がいるんですが、その方のお話が載ります。
 そういう方達は何百冊という本を読んでいますから、こういう本を読むとあなたの趣味にピッタリですよっていうのが分かるんですよ。それからそういうサイトをうまく利用してハワイに行ったときの下知識を付けていただければすごくいいかなと思います」

●これからも、まだまだハワイ通いは続きそうですね。

「そうですね、毎年最低2〜3回は行こうかなと思っております」

●ちょっと計画しているところとか、行ってみたいところとかありますか?

「仕事がらみが多いんですが、一つはこれはちょこちょこ行っているんですが、アメリカのメインランドの中西部に。またモンタナ、ユタ、それからコロラドあたりにも行きますよ」

●それはいつぐらいですか?

「夏場と秋の2回行こうと思っております」

●じゃあ、またお帰りになったらお土産話を楽しみにしています。

「はい、お土産話ね。お土産も(笑)」

●話だけじゃなく、お土産も! 楽しみにしています(笑)。今日はありがとうございました。

■このほかの近藤純夫さんのインタビューもご覧ください。

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■ケイビングのスペシャリスト「近藤純夫」さん情報

ハワイ・トレッキング〜自然とふれあう54コース
平凡社/本体価格1,850円
 写真や地図を使って、それぞれのトレッキング・コースが詳しく解説されています。チェックしてみて下さいね。
 

ホームページ『アロハWEBカワラ版』
 http://www.pacificresorts.com/webkawaraban/

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オープニング・テーマ曲
「ACOUSTIC HIGHWAY / CRAIG CHAQUICO」

M1. PACIFIC OASIS / NALEO

M2. HEAVENLY ISLAND / TERRESA BRIGHT

M3. WALKING SLOW / JACKSON BROWNE

油井昌由樹アウトドアライフ・コラム・テーマ曲
「FLASHES / RY COODER」

M4. THE WINDS / THE BRAIDS

M5. YOU GOT IT / ROY ORBISON

M6. EVERY ROAD LEADS BACK TO YOU / KEALI'I REICHEL

エンディング・テーマ曲
「THE WHALE / ELECTRIC LIGHT ORCHESTRA」
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