2004年1月4日

「夢」月間・第1弾!
〜坂本達さんの恩返しプロジェクト〜

今週のベイエフエム/ザ・フリントストーンのゲストは坂本達さんです。
坂本達さん

 2004年1月の「ザ・フリントストーン」は夢をテーマにお送りする「夢」月間。第1弾のゲストはミキハウスの坂本達さんです。坂本さんは4年3ヶ月も有給休暇をもらって自転車で世界を一周、その後その体験を日本の子供たちに伝えようと日本を縦断する「夢の掛け橋プロジェクト」を実行しました。そんな坂本さんは現在、世界一周のときにとてもお世話になったギニアの村人たちへの恩返しプロジェクトを進めています。ギニアから帰国されたばかりの坂本さんに進行状況や今後の夢についてうかがいました。

●世界一周の旅を終え、夢の掛け橋プロジェクトを終えてみてどうですか?

「世界一周をさせて頂いたのが4年前で、一連の活動を含めると8年がかりになるんですよ。一昨年の2002年には日本を縦断ということで夢の掛け橋プロジェクトで日本中の学校を自転車で訪れたんですけど、段々時間が経つにつれてこういう活動は自分1人のものではないなと思うようになったんですね。色々な人と色々な縁で出会って、それが形を変えながら進んでいっているんだなと思いましたね。全部一瞬の出会いによって道が変わったりしながらも進んでいる方向というのは自分のイメージしていた方向に近いものなので、自分の力でやっているというよりも、色々な人に出会って支えていただきながら現在も進んでいるんだと感じましたね。世界一周から帰ってきたときも凄く感謝の気持ちがあったんですけど、今もその延長上にあるような、気負いがあまりない中で進めさせてもらっています」

●最初に世界一周をするときも、自分の夢としてスタートしたものだったのが、それをやったことによって夢の掛け橋プロジェクトができ、世界一周をしたときにたまたま坂本さんが病気になってしまって、その時に凄く親身に世話をしてくれた人達がいて、その人達に対して恩返しがしたいというものが「ギニア・プロジェクト」となったわけですが、これはどうやって考えられたんですか?

「世界一周中に様々なトラブルがあったんですけど、自転車で走っていますので一番大きいのが事故や病気だったんですよね。その時にギニアという国でマラリアと赤痢を併発させまして、生死をさまよっていたんですね。たまたまその村にいらしたお医者様が村の最後の薬を使って僕の病気を治して下さったんです。通りすがりの人にもかかわらず大切な薬を使って、お金も1銭も受け取ってくれないんですよ。『お前は友達だから』とお金のない人が言うわけですよ。その時に自分は凄く大切なことを教えてもらって、自分の力で世界一周できると思い込んでいた時期もあったんですけど、全然そんなことはなくて助けてもらって初めて生かされているんだということを教えてもらったんですね。そういう出会いがありましてそのお医者さんともずっと文通を続けていたんです。僕の本も宣伝をしていただいたお陰でたくさん買っていただいたので印税が貯まって、今度はこれで恩返しをできないかと思った時に、一番最初にそのお医者さんの顔が浮かんだんです。私は今も会社から給料を頂いていて、その印税を全て使うことができますので、そのお医者さんの関係する村に、日本だと当たり前に思っているような水や病院、もし彼らが必要としているのであれば、お礼の気持ちで助けさせてもらえないかなと思ったんですね。最初はシェリフというお医者さんの顔が浮かんだというのが始まりでしたね」

●去年2003年は坂本さんにとっては恩返しプロジェクトがいよいよ具体的にスタートという年だったと思うんですけど、視察旅行とかも何度か行かれているんですよね?

「そうです。去年は7月から8月にかけての約2週間と11月末から12月にかけて10日くらいの2回、ギニアに井戸を掘るというプロジェクトが視察段階から始まりました」

●去年の夏に久々に行かれたときにお世話になった先生とか、お粥を作ってくれたおばちゃんとか、みなさん元気でしたか?

「ええ、みんなに再会することができましたね。ああいう村には自分の写真を持っている人はいないので喜んでくれるだろうなと思って、みんなの分の写真を焼いて持っていたんですけど、実はそこに映っている人の4人に1人がすでに命を落としているというのが現実だったんですね。その病気というのは僕もかかった赤痢とかマラリアとか、水が悪いので寄生虫も非常に多いし、髄膜炎とかエイズといった病気まであるんですね。僕を助けてくれたり声をかけてくれたり料理を作ってくれた人に会いに行ったら、もういないという現実も目にしてきたんですけど、ニワトリをプレゼントしてくださった村長さんとか、お粥を作ってくれた方には再会できて、本当に涙が止まらなかったですね」

●ということは向こうでの一番の問題っていうのは水問題なんですね?

「そうです。村長さんを中心に会議を開いてもらってみんなで話し合ったときにいくつか候補がでて、水のほかに病院と学校と道路という話が出たんですけど、やはり水が最初だということでしたね」

●井戸を掘るってそんなにたやすいことではないですよね?

「私も井戸なんて言い出したんですけど、全くの素人ですので深さとか水質とか全く分からなかったんですけど、おかげさまでやりながら勉強させていただきました。その村に100mの深井戸をリグという掘削機を使って掘るという話があったんですけど、11月に行ってきたときに村の地層と地質を調べたら、岩盤が硬くて掘っても水が出にくいということが分かったんですね。さらに機械を使いますので非常にお金がかかるんですよね。それよりも雨季と乾季で多少水量は違ってくるけれども、20m〜25mの浅井戸を手掘りで掘っていこうという所まで今回話が進んできて、機械で『バンッ!』と作って『ほら、これだ!』というのではなくて、村人が一緒に掘ってオーナー・シップの意識を持ってもらって、壊れたら自分で修理するとか自分達で愛着をもって使ってもらえるように、今回の11月、12月は準備をしてきました」

●自分達も参加して手掘りでやるとなれば、何かあったときに自分達で補修もできるでしょうし、次にもう一個井戸を作るとなったときにも自分達にも経験があれば・・・。

「イメージが湧きやすいと思います。こういう援助をしていて一番よく言われるのが結局、維持管理なんです。箱を作ったりするのは簡単なんですけど、それが住民達によって維持できるかというのが一番の問題なので、そのことを前回とその前とで村人と話し合いをしてきたんですね。まず一番最初に水が欲しいといったときに自分達で維持管理をするというのが前提条件としたんですね。その時に水管理委員会を作るということまでは具体的に決めたんです。それはOKということでこの間行った時には5人、会長と副会長と会計と修理担当、掃除をする女性の衛生担当の5人を任命してその人達が主体的に直していくという管理も作ったんですね。僕はあくまでもそれをサポートするという形で進めさせていただきたいと思っています」

●去年、恩返しプロジェクトをスタートし、プランニングがある程度出来て、今年本格的に始まるという感じですね?

「そうですね。6月にギニアは雨季に入るんですね。雨季になると物凄い雨が降って雨季が終わると雨が降らなくなるんですが、雨季の6月までに完成させるというのを目標としています」

●井戸掘りってどれぐらい時間がかかるんですか?(笑)

「普通みなさん分からないですよね(笑)。先程も言ったんですけど浅井戸と深井戸の両方の可能性を残してまして、浅井戸の手掘りでいくと大体2ヶ月といわれていまして、機械掘りの深井戸の方だと10日間で出来るといわれているんですよね。今両方残してはいるんですけども、理想の形は僕が現地に行って自分がオペレーションをして技術者から村人に日当をお支払いして、セメントとか砂とかポンプとか鉄柱を買ってきて組み立てていくというのを理想としているんですけどね。でも私も日本で仕事をしていて長い間空けられないので、1回行って着工して完成の時にもう1回行き、6月の雨季までに完成するというのが理想ですね。ちょっとそれだけ休みがとれそうにないので(笑)」

●(笑)。でももう1月に入っちゃいましたからね。時間ってあっという間に過ぎてしまうものですし、6月、雨季という決まったものがあるので、いわゆるケツカッチンという感じなんですね?(笑)

「そうですね(笑)。でも不思議なもので去年の視察に行った時もそうだったんですけど、本当にこれをやりたいとか、こういう風にしたいと思って動いていると何かが後押ししてくれて実現に向かっていくんですね」

やった。

●坂本さんが『やった。〜4年3ヶ月も有給休暇をもらって世界一周5万5000キロを自転車で走ってきちゃった男』という本の中にサムシング・グレイト(偉大なる何か)と書かれていましたけど、それが働いてくれたんですね?

「はい。去年行った時も本当にサムシング・グレイトの連続で、僕はたった1人で動いているので移動の交通手段から食べ物から泊まるところまでっていうレベルなんですけど、絶対そこにいるはずのないギニア人の水道局の人が村の近くにいて、『一緒に村を見に行ってくれないか』って言ったら『いいよ』と言って、予定外なのに一緒に村に入ってくれて実際に自分の目で見て調べてくださったんですね。ありえないタイミングでその人がそこにいて・・・」

●しかも水道局の人なんですよね?

「はい。水道局の人がいて僕が行くなんて電話もないからアポも取れないし、でもちゃんとした水道局の人がいて、今度は80キロ帰る手段がないわけですよね。泊まる施設もない村でもう日が暮れてどうしようもないと思ったら、もっと奥地でまた別な井戸を掘っているドイツ人がいて、そのトラックに乗せてもらって帰ることが出来たんですよ。その道中、車の中で井戸の掘り方とかお金のこととか、地質のこととか全部車の中で教えてもらって、そんな奇跡的なタイミングで情報が自分から求めていると来てくれたんですよね。どれひとつなくても話が進んでこなかったようなところがあったので、まるっきり期待をしているわけではないんですけど、信じているところがあるというか、サムシング・グレイトの連続でしたね」

●じゃあ今年、ギニアに井戸が完成するのは間違いないですね?

「そうですね。信じているとありえないことが起きたり、偶然が起きたりすることもあると思うのでいつもベストをイメージして行動は謙虚に、どんなことが起こっても対応できるようにというつもりで今年は頑張っていきたいなと思っています」

●坂本さんの今年の夢はなんですか?

「いくつかあるんですけど、まだ早すぎるんですがもう一つ別な国に似たようなプロジェクトを起こしたいなというのと、もう一つはある船に乗って2ヶ月くらいアジアの国をまわっていくというプロジェクトがありまして、そこの中で色々な出会いがあってきっとまたそれで展開していくんだろうなと思っています」

●坂本さんがすごく濁して言ってらっしゃるので(笑)、もっとハッキリ聞きたいなと思うんですけど今の段階ではまだ言えないんですよね。

「(笑)。まだ決まっていないのでイメージとして、ザックリなんですけど、私今年36歳になるんですが30代のうちは色々まわって動けるうちに動いていきたいなという気持ちでいます。でも会社がなんて言うか(笑)」

●(笑)。4年3ヶ月の有給休暇をとって世界一周をして、その後も何度となく有給休暇をとってますからね。きっと一生分の有給休暇をとっていらっしゃると思うので、「まだとるのか、お前?!」と言われてしまうかもしれませんね。

「はい。役に立てるように頑張ります」

●夢を持つこと、その夢を実現させることの秘訣を教えていただけますか?

「実は身近なものが夢であっていいと思うんです。夢、夢って言われると僕も昔は嫌だったんです。僕の夢って本当にたくさんあって、どんなものでもワクワクするものは全て夢なんです。例えばフランス語がもっと上手になるのも夢だし、アラビア語を喋るのも夢だし、タップダンスをやるのも夢だし、お風呂に入るときにロウソクを周りに並べて入るのも夢だし、言うのは恥ずかしいですけど夢ってなんでもいいと思うんです。人に期待するのではなくて、自分の中から出てくる素直なもので良いと思うんですよね。そういうのを大人や周りの人が『夢って違っていて良いんだよ』とか『夢ってなんでもいいんだよ』っていうことを思いながら実践していくといいと思います。目標でいうとすれば世界一周でも井戸でもそうですけど、自分1人では実現できないので色々な人の力が必要となってくるわけです。その時にどれだけサムシング・グレイトとか、応援してもらえるかという部分でも、自分の素直なものを出しているときに人は応援したくなるんだと思うんです。身近でもいるんですよね。『なんかあいつ凄い頑張っているから応援したくなる』という奴は、人の真似とか成功を追っているだけではなくて、なにか自分の色でやっているんですよね。最後は本当に自分だなと思うんですよね。小さいうちにそういうことを体感できる機会が子供達にあれば、もっと素直に夢を語れるんじゃないかなと思いますね。子供達に『色々な生き方があっていいんだよ』って伝えることもそうだと思います」

●これは子供だけじゃなくて大人にも言えることですけど、自分に素直であることですよね。

「そうですね。素直な人には人が助けるだけではなくて運も味方してくれるような気がするんです。アドバイスをくれる身近な人や友達とか親とか、それこそ本とかそういうものを素直に読んでまずは実践してみるとか、そういう素直さっていうのも夢に繋がっているんじゃないかなと思いますね」

●私に一番かけている所かもしれません(笑)。今年は素直になれるように頑張ります。坂本さんはこれからも忙しい日々を送られると思うんですが、また新たなプロジェクトが始まったり、井戸が完成したら教えて下さいね。

「はい。ギニアの井戸の水を持ってきてエイミーさんにも」

●是非飲んでみたいですね。楽しみにしております。今日はどうもありがとうございました。

■このほかの坂本 達さんのインタビューもご覧ください。

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■(株)ミキハウス「坂本 達」さん情報

やった。〜4年3カ月も有給休暇をもらって世界一周5万5000キロを自転車で走ってきちゃった男
ミキハウス/定価1,785円
 入社4年もたたずにタイトル通り長い有給休暇を取って世界を旅した坂本さんがその体験を綴ったエッセイ。坂本さんのホームページから購入すると特典として坂本さんのサインとオリジナルポストカードが付いてきます。
 

 坂本さんは自転車での世界一周の旅を終えた後、「夢の掛け橋プロジェクト」「ギニア・プロジェクト」を展開。これら坂本さんの活動に興味のある方はぜひホームページをご覧ください。尚、フリントストーンのホームページ内「今までのゲストトーク」もぜひチェックしてくださいね。

坂本 達さんのHP:http://www.mikihouse.co.jp/tatsu

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オープニング・テーマ曲
「ACOUSTIC HIGHWAY / CRAIG CHAQUICO」

M1. DREAMIN' / CLIFF RICHARD

M2. THANK U / ALANIS MORISSETTE

M3. HOPE OF DELIVERENCE / PAUL McCARTNEY

M4. LIFE GOES ON / LeANN RIMES

M5. KEEPING THE DREAM ALIVE / MFQ

油井昌由樹アウトドアライフ・コラム・テーマ曲
「FLASHES / RY COODER」

M6. BRAND NEW DAY / STING

エンディング・テーマ曲
「THE WHALE / ELECTRIC LIGHT ORCHESTRA」
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