2007年3月18日

シンガー・SAKURAさんのベトナム体験記〜JICAリポート〜

今週のベイエフエム/ザ・フリントストーンのゲストはSAKURAさんです。
SAKURAさん

 国際協力機構JICAのベトナム視察にベイエフエムの特別リポーターとして参加したシンガーのSAKURAさんをゲストに、現地での体験談などをうかがいます。

ベトナムの水問題とは?

●SAKURAさん、おかえりなさい!

SAKURAさん「ただいま! 無事帰ってまいりました」

●今回は独立行政法人・国際協力機構JICAの活動地の1つ、ベトナムの技術協力や資金援助の現場を見てリポートするという大きな役割を見事果たされました!

SAKURAさん「漢字が延々続く感じですね(笑)」

●(笑)。今日は色々とお話をうかがいたいと思うんですけど、私なんかもよく海外に行くと、よくみんなから言われるのが「お水に注意しろ」っていうことなんですね。ベトナムってお水の問題とかってどうなんですか?

SAKURAさん「結構お水の問題が大きいですよ。今回、JICAで視察したところはスワン・プロジェクトっていって、まさに安全な水を皆さんに供給するっていう、女性5人組の栄養士さんたちがやっているプロジェクトとかも見てきました。私、神戸の阪神大震災で被災しているじゃないですか。なので、すごくお水は重要だなと思ったんですけど、今回のJICAでは、井戸を掘っている現場とか、クレーン車を動かしている現場を見に行くのかと思っていたんですね。でも違っていて、スワンがやっているのは、すでにある水処理の調査なんですね。
 水処理とかはどこでもやっているみたいなんですよ。近所の村とかも、ハノイ市内も水道の蛇口をひねればお水が出てくる。そういうところの調査をしてみて、その地域の人達の調査をしてみて、その人達がどんな症状があるかというのを調べて、そこから問題を発見していったときに、水処理場を造ったはいいし、お水はそこを通っているんだけど、塩素をどれだけ入れたらいいか分からない。いつ、バルブを開いてお水を出したのかも分からない。それを誰もメモらない。しかも、掃除もしない。で、その中で近所の人達が水を飲むと、もともと土地から出てくる井戸水とかも、土の深いところから水が出てくるでしょ。で、人体が取り込む水としては問題があるんですって。人体用に作るには難しい水らしくて、問題としてはアンモニアとかヒ素、微生物が問題を起こしていたみたいなんですね。水処理上の管理がみんな分からなかったんですね。そういうのを管理人さんの教育から始めて、『こういうのをメモっていこうよ』とか、そういうことを教えることによって、施設が管理できるようになって、キレイな水が出て、近所の人達も子供たちも栄養を摂取できる体になれるんですね。
 水ってご飯と同じくらい摂るじゃないですか。やっぱり、子供たちは水が飲めなかったり、体によくない水だったりすると、発育に影響が出てくるんですね。で、どうしても不調があると、栄養素が体の中にキープしにくい状態になってしまうから、お母さんたちの教育とか、水にまつわる話をこの5人の栄養士さんたちと地域も参加している形で、その人達も巻き込んで『こういうノウハウがあって、こういうふうに使うと安全な水が飲めますよ』っていう教育からまず入っていくとか、リーダーシップをとってやっていくチームを結成というのがJICAの本質だというのが、行ってみて理解できましたね」

 SAKURAさんは、ベトナムには色々な国や団体が支援に入っているけれど、ただ施設を造るだけではなく、その施設の使い方や、すでにある施設をどう使うかということをケアしている点がJICAの素晴らしいところだと感心していました。

ベトナムにいまだ残る戦争の傷跡

●ベトナムって聞くと、ベトナム戦争のイメージが強かったりするんですけど、いまだに枯葉剤とか戦争の残留物、その後遺症みたいなものがまだまだあると聞きますが、実際に行ってみてどうでしたか?

SAKURAさん「実際に国としては、ベトナム戦争で枯葉作戦というのがあったじゃないですか。ジャングルの木をまず枯らさないとっていうことで、結構、猛毒の殺虫剤にも使われたりするし、あとは土の中に入っていくことによって、隠れている人達が『それで食料を』って思うのを壊滅状態にするために撒かれたんですよ。本当に四国くらいのエリアに撒いたんですよ。で、やっぱりその分解が難しいっていうのと、どうしてもその作物を食べた人間っていうのが、戦争が終わった後に枯葉剤がいっぱい染み込んだ大地に住んで、そこの作物を食べ続けると、当然、赤ちゃんが生まれたときに、マイナーな障害だったり、あとから出てくる障害が出たり、ベトちゃんやドクちゃんのように産まれていきなり見かけから障害が出ちゃったりするんですね。そういうのって何代も何代も受け継がれていくんですね。で、病院の関係者に聞いてみたりとかしたんですけど、結局、枯葉剤に関して、不調があるとか障害があるっていって病院に来る人達なんかも、アメリカが戦後補償っていうのを認めていないんですね。『枯葉剤を撒きました。ごめんなさい。そのせいですごく苦しんでいる人がいて、自分達にも何らかの責任があります』と言って、金銭的な援助をするとか全く何もないんですよ。で、ベトナム国内も一生懸命途上国についていきたい、アメリカとかに並んでこの波に乗りたいっていう気持ちがあるので、枯葉剤問題でやいやい言うこともない。で、そういうのもあったりして、障害を持っていたりしても、『これって何だろう?』って不思議に思いながらも、何世も何世も苦しんでいく歴史がありつつ、こっち側では全然無視されているっていうのがずっと続いているんですね。で、そういう人達って、頭痛がひどかったり、神経痛とかで病院に来るじゃないですか。枯葉剤の影響でこういうメジャーな病気に発展しますよっていうのが研究していたら分かるじゃないですか。それで、病院関係者は『あっ、これ枯葉剤の影響だな』って大概は分かるらしいです。でも、障害で苦しむ人たちはそれを言ったって、ていう無力感の中で、誰の助けもなく放置されている状態ですね」

 というわけで、SAKURAさんは枯葉剤の後遺症などについて、現地でリ・ジンさんという方にお話をうかがってきて下さったので、ご紹介します。

リ・ジンさん「あそこにおばあさんがいますけど、あのおばあさんが枯葉剤の後遺症に苦しんでいたんです。でも、おばあさんだけではなくて、その息子もその孫も枯葉剤の後遺症を持っているんです。そして私はすごく怖いことを分かっているんです。それは、一代ずつ受け継がれていることなんですよ」

 深刻な後遺症に悩む人々の苦悩をよそに、うまく進まない戦後補償。先進国と発展途上国の関係についても、まだまだ解決しなくてはいけない点が多々ある中での開発援助。JICAが担う役割は大きいといえそうですね。
 それにしても、戦争で得るものは何もないということを、なぜ、いまだに人類は分かろうとしないのか不思議ですよね。

二層化しているベトナムの子供教育

●SAKURAさんはベトナムでも歌を披露されたり、ウクレレを持っていって歌っていらっしゃいますけど、チルドレンズ・パレスというところでも歌っていらっしゃいましたよね。このチルドレンズ・パレスって、その名もズバリ「子供たちのお城」?(笑) どういうところなんですか?

SAKURAさん「ここの施設は建物的には非常に大きくて、30種類くらい色々なことについて子供たちが選んで、お金を払ってレッスンを受けられるところだから、大きなお稽古総合センターみたいなところです。だから、バレエをやっている子もいれば、テニスを室内でやっている子もいるし、色々なんですよね。私はそこの日本語のクラスに行ってきました。ここで、JICAの派遣でベトナムに日本語講師として呼ばれた女性の話を聞いていただきたいと思います。彼女はベトナムで使われているほとんどのテキストを作っているような人です。私と同じくらいの年なんですけど、その人のインタビューを聞いてください。

日本語講師の女性「見ていただいても分かると思うんですけど、子供たちが本当に元気で、すごく一生懸命でそれでいつも元気をもらっている感じですね。受身でいると日本の情報がすぐに入ってくるわけではないので、何か機会を見つけるとそれをガッチリと掴もうとしていますね」

SAKURAさん「名刺をもらっちゃっていますからね。お仕事の現場みたいな(笑)」

日本語講師の女性「そうですね(笑)。これだけしっかりした子供たちがいるこの国っていうのが、この先すごく楽しみですね」

SAKURAさん「そんな子供たちが歌で歓迎してくれました」

(放送ではここで、子供たちが日本語で歌った「世界にひとつだけの花」が流れました)

SAKURAさん SAKURAさん SAKURAさん

●ベトナムでは結構みんな日本語を勉強しようとしていたりとかするんですか?

SAKURAさん「そうですね。できることなら小学校1年生から日本語を習わせたいみたいですね」

●ベトナムの子供たちはどうでしたか?

SAKURAさん「チルドレンズ・パレスに関してもそうでしたし、他の学校とかにも行ったんですけど、私が見たところっていうのは基本的に裕福な子達が来る私学とかだったと思うんですね。『学校へ行くんだったらお昼ご飯代を稼がなきゃ』っていう子たちではなかったんです。だから、ベトナムの中でもうまく両親がビジネスマンとして成功している人達の子供たちが来ているので、みんな当然生活に関して余裕があるし、求める力がすごかったです。とにかく吸収できるだけ吸収して、今後のベトナムのキーマンとなっていく教育を受けている子供たちでしたね」

●本当に未来を担う子供たちなんですね。

SAKURAさん「経済を担う子供たちですね」

●でも、そうやって裕福に学校へ行ける子達ばかりではないんですよね。その辺のギャップって感じましたか?

SAKURAさん「そうですね。言葉が的確かどうか分からないんですけど、表現としては人間と動物の違いみたいな。すごくシビアな言い方ですけど。お金がない人達は動物レベルで暮らしていますね。目とか表情も乏しく、怒っているような寂しいような表情をずっとしていて、ざるとかにミカンとかを入れて一日中町を歩いて売っているんですけど、ガリガリで、挙句の果てには自分でミカンを食べながら歩いている人がいたり、小さい急須を持って、本当に汚くて『こんなコップからはちょっとお茶は飲めないな』っていうようなのを持って、道の真ん中でイスを出して売っていたりとかして、そういう子供たちに対する考え方ってすごく複雑ですね。チルドレンズ・パレスへ行って、恵まれてお稽古を受けさせてもらえるくらい経済力のある家庭から来ている子供たちは、表情もとてもにこやかで、生活も安定しているせいか、気持ち的にも安定しているんですけど、かといって道端でお母さんに手を引っ張られながら歩いているような子供は、動物的な部分が多いような気がしますね。だから、なんとしてでもお金を生む方法を考えて、何とか生き延びていこうとするっていう。これは、世界のテーマでもあるし、自分のスキルをお金にすることを学ばない人達はどうなっていくんだろうって思いました」

●今回のベトナム視察では、シンガー・ソングライターのSAKURAさんとしても、色々と考えさせられる旅だったんじゃないですか?

SAKURAさん「そうですね。SAKURAは常に世の中に役に立つ楽曲というか、たくさんの人が求めている楽しさとか娯楽よりもう一歩踏み込んだ、世界平和のことだったりとか心の幸せだったり、精神状態の健康だったりとか、そういうことを、バランスをとっていく中でサポートが出来るような音楽を作っていきたいなと思っているんですけど、そういう思いの中から書いた曲があって、『PEACE OF MIND』という曲なんですけど、それを聴いてもらいたいなと思います」

(放送ではここで、SAKURAさんの新曲『PEACE OF MIND』を聴いていただきました)

JICAとして音楽で派遣されたい<SAKURA>

SAKURAさん

●ベトナムでは自給自足の暮らしが残る古い村にホーム・ステイして自然も満喫されたそうですが、ベトナム全体の印象はどうでしたか?

SAKURAさん「こういう時期のベトナムを見られてよかったなというのはありますし、現地の人に聞くと、ここ5年でありえないくらい発達して近代的になったらしいんですよ。で、多分またさらに2年後とかに行っただけでも、次はみんな車に乗っていたりとか、コロッとみんなの生活が変わっているくらい発育している国なんですね。だから、そういう時期を見ることができて、貴重だなと思いましたね。日本の戦後も靴磨きの人が多かったりとか、食べるものに困って道端に落ちているものでも食べたいみたいな時代が日本にもあったわけじゃないですか。で、JICAで派遣されている人達は今のベトナムと戦後の日本を比較するんですね。だから、きっとこういう道を辿るだろうっていうのが頭の中で出来ているんですね。だから、ベトナムに行くことで、戦後の日本というのをちょっとのぞけたような気持ちになりましたね」

●今回は、JICAの視察旅行ということだったんですけど、JICAの仕事振りはSAKURAさんから見てどんな印象を受けましたか?

SAKURAさん「私からしてみると、とにかくカッコ良くて、キラキラしていて、みんなワクワクしている人達ばかりだったんですね。『今、この重要な時期のベトナムでこんなに重要なミッションをやらせてもらっていて、本当にワクワクするし、大変なことも多いけど、すごくやりがいありますよ!』っていう人達ばかりだったので、とにかく生命力と若さが違うなと感じましたね。地域の人と密接に関わって、リーダーシップを取ることを学ばせてくれるところだと思うので、私も音楽でいつか派遣されたいなと思いますね」

●前回、SAKURAさんをゲストにお迎えして、「次回はベトナムへ行ってもらって、帰ってきてからお話をうかがいます」って言ったときに、「メチャメチャ楽しみにしている!」って言っていましたけど、帰ってきて、メチャクチャ楽しかったですか?

SAKURAさん「ぶっちゃけ、どっと疲れましたね(笑)。多分、情報量があまりにも多すぎたのと、ベトナムは途上国じゃないですか。だから日本と比べて雰囲気が違ったり、人の余裕のなさがいっぱいあったりして、色々なものを見たので、ブログの方でも私なりに書いてみました。是非、見ていただきたいなと思います」

●今後、歌にも今回の経験がさらに活かされていくんじゃないですか?

SAKURAさん「そうですね。『こんなこともあるんだ』、『あんなこともあるんだ』って色々感じる旅ですけど、その分、ちょっとできない旅行の類なので、本当に貴重な体験をさせてもらったなぁと思ってすごく感謝しています」

●今後も、ザ・フリントストーンではSAKURAさんが作る歌の中で、ベトナムで感じたものを含めてどんどん歌を通して私達も感じていけたらなと思っているので、素敵な曲を書き続けてくださいね。

SAKURAさん「ありがとうございます。頑張ります」

●本当にお疲れ様でした!

SAKURAさん「お疲れ様でした!」

●今日はどうもありがとうございました。

■このほかのSAKURAさんのインタビューもご覧ください。

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■シンガー・SAKURAさん情報

 2月初旬にbayfm78の特別リポーターとして独立行政法人・国際協力機構JICAのベトナム視察に参加したSAKURAさん。そんなベトナムでの体験談はSAKURAさんのオフィシャル・サイトのブログに詳しく載っているのでぜひ読んで下さい。

『いつまでも〜すべての人の心へ届けversion〜』

ニュー・リリースの予定
 SAKURAさんのニュー・シングル「PEACE OF MIND」が5月にリリース予定。また、ニュー・アルバムのリリース予定あり! 正式な日程が発表され次第、お知らせします。

最新シングル「いつまでも〜すべての人の心へ届け version〜
sakura咲楽records/SSR 0001/定価500円
 昨年の11月に自身のレーベルsakura咲楽recordsからリリースした最新シングル。
 

bayfm78「Live from Club IKSPIARI」出演決定!
 3/23(金)、SAKURAさんが「Live from Club IKSPIARI」(毎週金曜日の夜10時からbayfm78で放送中)に出演! 3/9にClub IKSPIARIで行なわれたライヴの模様が放送されます。どうぞお聴き逃しなく!!

・「SAKURA」さんのHPhttp://www.singer-sakura.com/
・「Live from Club IKSPIARI」のHPhttp://www.clubikspiari.com/bayfm/

■独立行政法人・国際協力機構JICA情報

 政府開発援助(ODA)の実施機関として、開発途上国にて技術協力と無償資金協力の一部の事業を実施しているJICAについて詳しく知りたい方や活動に参加したい方はJICAのホームページをご覧下さい。

・独立行政法人・国際協力機構JICAのHPhttp://www.jica.go.jp/

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オープニング・テーマ曲
「ACOUSTIC HIGHWAY / CRAIG CHAQUICO」

M1. DO IT / SAKURA

M2. WITH A LITTLE HELP FROM MY FRIENDS / WET WET WET

M3. IT'S NOT OVER / DAUGHTRY

ザ・フリントストーン・インフォメーション・テーマ曲
「THE CARRIAGE ROAD / JIM CHAPPELL」

油井昌由樹アウトドアライフ・コラム・テーマ曲
「FLASHES / RY COODER」

M4. BUDDY TO BOO / SAKURA

M5. PEACE OF MIND (LIVE at Club IKSPIARI) / SAKURA

M6. いつまでも〜全ての人の心へ届けversion / SAKURA

エンディング・テーマ曲
「THE WHALE / ELECTRIC LIGHT ORCHESTRA」
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