猿、その名前の由来と鳴き声

2000.04.09放送

 人間に一番近い哺乳類、「猿」。「猿」は昔から、日本では馴染みの深い動物で、様々な言い伝えや、縁かつぎがあります。
 一般的には「猿」の語感が英語で言う“GONE”、つまり“去る”“遠くへ行ってしまう”というところから、「猿」を見たり、“猿”と口にしたりする事は、縁起が悪いと言われてきたそうなんです。
 一方、猿回しの「猿」が、ヒモでつながれているところから、罪人を意味する“縄付き”というイメージと重なって、いみ嫌う人もいたようです。
 そもそも「猿」の語源については、いくつかの説があり、“けものの中では知恵がまさっている”という事で「マサル」から来ているとか、「猿」の「サ」は「騒ぐ」「騒がしい」の意味があり、「ニホンザル」の“鳴き声”から来ているのではないかとも言われています。
 ちなみに、「猿」の鳴き声は、その用途によって様々。この番組にも出演して下さったWWFの「永戸豊野(えいと・とよの)」さんの研究によると、あの「キャッ、キャッ」という声は、少し怖い時に出す声で、仲間に対して、「群れに何か怖いものが近づいているよ!」と知らせる為に出しているといわれています。
 その他、「クワン」や「ギャン」を連発する時は、危険な動物が見つかった時。「ガッ、ガッ、ガッ」は攻撃の時や、いばりたい時、また、「クー」や「ウー」は満足した時に出す声だという事です。
 ただし、同じ声でも、1つ1つに高低、強弱、大小があって、「キャッ、キャッ」という鳴き声は怖さの度合いが変わると、「キッ、キッ」、「ケッ、ケッ」と変化するそうです。
 このように、音声の種類が多いことから、ニホンザルの研究者たちは、「猿は気分や感情を大げさに表現する動物だ」と位置づけているそうなんですが、「猿たちは、限りある音を使って、豊かに表現する、人間に最も近い兄妹たち」、ともいえるんじゃないでしょうか。

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