人を癒す雨音

1998.02.07放送

 “雨”は人間の心理に微妙な影響を与えています。例えば、雨が降ると気分が滅入ったり、頭痛がするという方もいますが、その反面、シトシト降る雨は安らぎを与えてくれたり、情緒豊かな気分にもしてくれます。
 特に、日本人は弥生時代から農業にいそしんできた民族ということもあり、雨に対する特別な感情が潜在意識の中にあるようで、例えば、雨が多い年には“雨”を題材にした歌がたくさん生まれてヒットしたり、映画の邦題に“雨”を使ったものが多くなったりと、雨に対するロマンチックな心理が働いているようです。
 さて、ひとくちに“雨”といっても、霧雨やこぬか雨、豪雨と、色々な表情がありますが、同じリズムで降る雨音の調べには、イライラや不安を解消し、心地好い穏やかな状態にしてくれる「ゆらぎ」、専門的にいうと「f分の1のゆらぎ」があるそうです。
 実は、すべての音には「f」という周波数があり、その周波数が一定の法則を持って変化し、逆数である「f分の1」に比例した時に、心地好い「ゆらぎ」となって「やすらぎ」を与えてくれるんだとか。簡単にいうと、私たちにとってこの「f分の1のゆらぎ」が心地好いのは人間の脳波のアルファ波と一緒だからなんです。ちなみに、自然の中を散策すると気分が良くなるのは、風の音や小川のせせらぎ、雪解けの音などにもこの「f分の1のゆらぎ」があるからなんです。
 大自然のサイクルの1つとして 私たちに降りそそぐ“雨”は、すべての生物の“命の水”となるだけではなく、その“雨音”で私たちを優しく癒してくれていたんですね。

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