2012年3月31日

近藤純夫さんがお勧めする、意外と知られていない
ハワイのお勧めスポット

 今週のベイエフエム/NEC presents ザ・フリントストーンのゲストは、近藤純夫さんです。

近藤純夫さん

 ハワイに精通されているエッセイストの「近藤純夫」さんは、洞窟探検「ケイビング」のスペシャリストで、調査のために通っていたハワイの自然や文化にすっかり魅了され、今ではハワイのスペシャリストとして活躍されています。
 そんな近藤さんが先頃、「歩きたくなるHAWAII」という本を出されました。そこで今回は、近藤さんオススメの歩きたくなるコースを色々とご紹介していただきます。

ハワイの面白さが倍増する本「歩きたくなるHAWAII」

※改めて、なぜハワイにハマってしまったのか、お聞きしました。

「僕がこの番組に呼んでいただいた最初の頃は冒険家で、世界中の洞窟探検をしていたんですね。一度行ったらその洞窟はもう十分で、次々に全く違う世界に行って探検をするということにやりがいを感じていたんですけど、ハワイに行ってからは、植物や動物を見るようになったりと、今まで持つことがなかった趣味を持つようになったんです。でも、それって一度に見ることはできないですよね? そうすると、『他のも見てみたい』という気持ちがすごく強くなったんですね。
 ハワイに行き始めた頃はそれほどでもなかったんですけど、一つ気になってしまうと、次々に覚えたいという気持ちになりましたね。それがない人は、一回で飽きると思います(笑)」

●(笑)他の場所でそういう気持ちは生まれなかったんですか?

「それまではそういう意識がなかっただけですね(笑)たまたま、ハワイで三年ぐらい調査をしないといけないことがあったんですけど、行き始めた頃は、ハワイにある植物を見ていても『赤い花が咲いているな』と思う程度で、何の関心も持たなかったんです。それがあるとき、気になってその花を調べていたら、『じゃあ、隣の花は何なんだろう?』といった感じに、どんどん気になり始めたんですね。」

●ということは、ハワイがキッカケで、興味への目線が変わったということですね?

「変わりましたね。それがたまたまハワイでしたが、ハワイじゃないところで目線が変わっていたら、そこに通っていたかもしれないですね。ただし、仕事になっていないとダメなので、仕事として成り立っていて、通えるならいいかなということもありますね。」

●そんなハワイにハマった近藤さんですが、先日「歩きたくなるHAWAII〜ハワイの自然と歴史をいっそう楽しむお散歩コース〜」という本を出されました。この本はどんな本なんですか?

「僕はハワイの色々なところを歩いているので、すごくマニアックなところとか、すごく体力や技術のいるところでオススメなところとかもあるんですが、ハワイって、気になってくると、どこでも気になってくるんですよね。あのワイキキのビーチの近くでも楽しめるコースがあるんですよ! そういうところやみんなが気づかずに通りすぎてしまうところをもっと知ってもらえれば、ハワイの面白さが二倍ぐらいになるかなと思って、この本を書いてみました。」

近藤純夫さん

●オススメの場所をいくつか紹介しているんですか?

「そうですね。この本の中には10数ヶ所書かれています。ワイキキビーチ周辺から高い山の頂まで色々ありますが、大体が簡単に歩ける場所なので、誰でもすぐに好きなところから始められると思います。」

●なぜ、そういった場所を選んだんですか?

「ただ単に誰も知らないところを歩いて『ここは誰も歩いたことないでしょ?』といわれても、人ってそんなに興味を持たないと思うんですね。例えば、『ハワイでは有名な豆腐屋さんが二軒ある道だ』と言われても、『それがどうした?』ってなっちゃいますよね(笑)そうではなくて『そこを歩くことで歴史を感じることができる』とか、『まず誰も知らないと思うけど、ハワイにとってすごく重要な植物が咲いている』とか、『そこに行くとワイキキが観光地になる前の風景を見ることができる』と言われたら、ちょっと気になるかもしれないじゃないですか。そういったものの中から、簡単に感じられるところ、しかも車や自転車を使うんじゃなくて、歩いていけるところで、今までガイドブックなどで紹介されていないところをまとめて紹介しています。
 あと、“歩く”というところにこだわりがあるんですね。僕は先日、雑誌の取材でラナイ島という小さな島に行ってきたんですよ。その雑誌はつい最近でたんですけど、その雑誌の記事に『ある観光地に行くのに、車で行くコースが紹介されていました。すると、みんな車で行って、到着したら帰ってきます。でも、僕のオススメは、その200〜300メートル手前で車から降りてください。そこからは歩いてください。すると、鳥の声が聞こえてきますよ。潮の香りが漂ってきますよ。蜜のたくさん含んだ花の香りも入ってくるし、少し林の中に入ると、鳥たちが巣を作っているのが見られますよ。それは歩かないと絶対に見られないです。“歩くこと”ってちょっとした特権でもあるんですよ』と書いたんですね。この『歩きたくなるHAWAII』の中では、それをすごく強調しています。」

●確かに、目的地に早く行きたいので、その道中は電車だったりバスといった、効率のいい手段を選んでしまいがちですけど、歩くことで全然違う風景が見えてきそうですよね!

「そうですね。ハワイって、すごく広い太平洋の真ん中にあるということを実感したければ、船で行くという方法もありますけど、それは難しいですよね。なので、その場合はショートカットしてもいいと思います。でも、“大事なところだけは歩いてみるという考え方を取り入れてみてはどうでしょうか?” というのが、この本の趣旨ですね。」

ワイキキビーチのそばにも穴場がいっぱい!?

※近藤さんオススメのお散歩コースを紹介していただきました。

「僕は、時間があるといつも歩くところがあるんですね。そこは、ワイキキビーチの近くにホテルがいっぱいあるんですけど、2ブロックほど先に行くと“アラワイ運河”という運河があるんです。この運河って、実はワイキキが湿地帯だったときに作られたものなんです。あそこの土を掘って、他の池を埋めたから川ができたんです。その脇って遊歩道になっているんですよ。なぜ、その遊歩道を歩くと面白いかというと、昔の状況を彷彿とさせるところを見ることができるのと、そこだけ空間が広いので、北側にあるコオラウ山脈が見えるんです。 さらに、川でカヌーの練習をしている人がいるんですよ。カヌーって、昔の人にとって一番大事な乗り物で、それも昔の形である“アウトリガータイプ”(脇にフロートが付いたタイプ)のカヌーを練習しているんですけど、それを見ることで『昔の人がこういうものを使って、日常生活を送っていたんだな』ということも感じられるし、ところどころに“ヒストリカルポイント”という『昔、ここには○○があったんですよ』と書かれているボードがあるんですよ。そこからさらに先に進むと海に出るんですが、朝はヨットハーバーから太陽が出てくる様子が見ることができます。30〜40分ほどなんですけど、何をしても気持ちいい散歩ですね。しかも、車が通る道ではあるんですけど、並木道も少しあって、不思議と静かな感じがする場所なんですよ。一度、行ってみるのもいいかもしれませんね。朝、10分ほど歩いてみても面白いと思います。」

●例えば、オアフ島以外でオススメの島ってありますか?

「僕は元々、洞窟探検家なので、洞窟が多いところがすごく好きなんですよ。洞窟って、火山の噴火が活発なところにできるので、オススメはハワイ島ですね。ハワイ島には、世界一長い洞窟と世界一深い洞窟があるんですよ。そこに行かなくても、色々なバリエーションのある洞窟が楽しめるので、僕はハワイ島に行くことが一番多いです。」

●ハワイ島といえば、大きなイメージがあるんですけど、車で行った方がいいのでしょうか?

「そうですね。ハワイ島は“ビッグアイランド”というニックネームを持っているぐらいの島で、ハワイの残りの島が全部入ってしまうぐらい大きい島なんですね。なので、歩いていくとなると、ちょっと大変なので、車は必要だと思います。バスもあるんですが、便がそれほどないので、車を利用してもらいたいと思います。その代わり、車さえあれば、片道一時間かからずに楽しめるところがたくさんあるので、毎日気軽に行って楽しめると思います。」

近藤純夫さん

前回、来ていただいてお話をうかがったときに「ハワイ島はまだ大きくなっている」と話していましたけど、それを感じられる場所ってありますか?

「“ハワイ火山国立公園”という公園があるんですけど、そこにはキラウエア火山があるんです。そこには大きなカルデラがあって、今でも煙が出ていますし、溶岩も出ています。そこに行くと『今でもハワイ島は大きくなっているんだ』と実感できると思います。」

●近づくことはできるんですか?

「ある程度はできます。距離的には500メートルぐらいのところまでは行けます。上から見るので、全部しっかりと見ることができます。ただ、ここ一、二年は活発じゃないんですが、その火山の東の方面に行くと、プーオーオーという山があるんです。そこから数十年間溶岩がずっと噴き出していて、それが海に流れ出しているんです。そうすると、巨大な噴煙が上がるので、その様子も見ることができます。それはまさしく、海に迫り出して、島が大きくなっている様子を目の前で見ることになるので、間近で体験できますよね。」

●それって、すごい風景ですよね!

「その噴煙は、高さが300〜400メートルぐらいまで上がるので、SFのロケ現場に来ているような感じがします(笑)」

●(笑)それは、ハワイならではのダイナミックな自然ですよね!

「普通なら『逃げろ!』と思うようなところを見にいくことになるので、すごいことですよね(笑)」

ハワイを歩くときの注意点

※ハワイを歩くとき、どんなものを持っていったほうがいいのでしょうか?

「歩くときも車で行くときもそうなんですが、ハワイは紫外線がすごく強いので、サングラスを忘れないでください。特に、濃いサングラスより薄めのサングラスの方がいいです。どうして薄い方がいいかというと、濃いと視界が暗いので、瞳孔が開いてしまうんですよ。そうすると、そこから紫外線が入ってきやすくなるので、目にあまりよくありません。なので、薄い方がよくて、そしてちゃんと紫外線をカットしてくれるサングラスが一番いいと思います。
 そして、靴です。靴は、くるぶしまで覆うようなものじゃなくてもいいですが、踵や底がしっかりとしている靴を一つ用意するといいと思います。さらに、水です。一時間に500ccぐらいの水を飲むぐらいのつもりで、最低二本買ってください。できれば、ザックの中にもう一本ぐらい入れて歩くといいと思います。それほど飲みたくなくても、空気が乾燥していることが多いので、汗をかいた感じがしなくても、実は体の水分が蒸発しているんですよ。なので、水分の補給は忘れないようにしてください。また、森の中で日がほとんど当たらないような場所だったら、別にいいんじゃないかと思うかもしれないですけど、そういうところは、湿気が多くて、汗が出てきてしまいます。なので、どちらにしても、水は必要です。」

●服装はどんな感じがいいんですか?

「ハワイなので、Tシャツに半ズボンでも構いませんが、雨が降ると濡れてしまいますし、朝と夕方に高いところに行くと寒いですよね。あと、藪を掻き分けるときには、長袖の方が傷もできないですし、場所によっては蚊がいたりするので、蚊除けにもなりますよね。なので、上下セパレート式の雨具を必ず持っていってください。できればですが、ゴアテックスの素材のような、汗は外に出してくれて、雨は防いでくれるといったタイプの雨具がすごくいいですね。これさえあれば、基本的には問題ないと思います。」

近藤純夫さん

●あと、連絡が取れるようなものを持っていった方が安心ですか?

「そうですね。携帯電話は使えない場所もあるんですが、3分の2ぐらいの場所は使えますので、一応持っていたほうがいいと思います。ガイドが付く場合は必要ないと思いますが、それ以外で他の人と連絡を取り合ったり、お店の予約をするときなど、何かと活用できるので、持っているといいと思いますね。」

●それと、地図もあった方がいいですよね?

「地図は必要ですね。ハワイは今、大きな本屋さんが次々に閉店しているという、あまりよくない状況なんですが、小さな本屋さんや大きなスーパーマーケットの中に本のコーナーがあって、そこで購入できるので、地図を必ず一つ持って歩いてください。国立公園なら、ビジターセンターなどで詳しい地図がたくさん置いてありますので、そういったところを利用するのもいいと思いますね。」

●あとは、ガイドブックとして、近藤さんの本を持っていれば安心ですね! 改めてお聞きしますが、近藤さんにとって、“ハワイの魅力とは”なんですか?

「ハワイは“太陽島”といわれているほど、どこの大陸と繋がっていませんでした。つまり、あそこにあるものはほとんどがハワイだけのものなんです。だから、ハワイに行かないと見られないものがいっぱいあるんです。その魅力を、これからも皆さんと分かち合いたいと思っています。」


(この他の近藤純夫さんのインタビューもご覧下さい)

YUKI'S MONOLOGUE 〜ゆきちゃんのひと言〜

 ハワイは本当に自然と歴史を感じられる場所が、たくさんあるんですね。私もハワイには何度か行ったことがあるのですが、今まではビーチで遊んだり、ショッピング中心だったので、今度ハワイに行くときには、近藤さんの本を参考にしながら、色々なところを歩いて、ハワイの自然を五感で感じたいと思います。

INFORMATION

近藤純夫さん情報

「歩きたくなるHAWAII〜ハワイの自然と歴史をいっそう楽しむお散歩コース〜」

新刊『歩きたくなるHAWAII〜ハワイの自然と歴史をいっそう楽しむお散歩コース〜』

 亜紀書房/定価1,680円
ハワイのスペシャリストである近藤純夫さんがオススメするワイキキ周辺のお散歩コースから、ローカル・フードを探すコース、そしてスピリチュアルな場所の散歩などなど、非常に魅力的なお散歩コースが満載です!

今週のオンエア・ソング

オープニング・テーマ曲
「GRACIAS / LARRY CARLTON」

M1. WALKING IN THE SUN / TRAVIS

M2. 浪漫飛行 / KALEO AGSALDA

M3. OHANA feat.ALEXX / 平井大

M4. NOW AND FOREVER -SWEET MEMORY- / KEALI'I REICHEL

M5. 春風 / くるり

エンディング・テーマ曲
「THE WHALE / ELECTRIC LIGHT ORCHESTRA」