2012年8月25日

僕らは自然に遊ばせてもらっている。

 今週のベイエフエム/NEC presents ザ・フリントストーンのゲストは、GAKU-MCさんです。

GAKU-MCさん

 ラッパーのGAKU-MCさんは、音楽活動はもちろん、サッカーやサーフィンも楽しむアクティヴ派で、特にサーフィンを通して環境問題にも深く関心を持ってらっしゃいます。また、震災の復興支援として、キャンドルの灯りと音楽で日本をつなぐライヴ・ツアーを行なったりと、社会貢献活動にも取り組んでらっしゃいます。今週はそんなGAKU-MCさんに最新作『キュウキョク2』に収録されている曲のことや、サーフィンのお話などうかがいます。

いちばん可愛いアルバム

※まずは、今年リリースしたニュー・アルバム『キュウキョク2』に込めた思いなどうかがいました。

「アルバムはこれまで7〜8枚ほど出しているんですが、今回はこれまでとは大きく違ったアルバムですね。これまでは大きなレコード会社に所属しながら音楽活動をやっていたんですが、去年から『全部自分でやってみよう』ということで、試行錯誤しながら音楽活動をやっています。なので、一生懸命作ったアルバムになっているんですが、今までと大きく違っているところは、金勘定までやったところですね(笑)。

 それまでは、詞と曲を書いて、バランスよく配置するというところが主な仕事だったんですが、今回リリースしたものに関しては、スタジオ代やサポートしてくれたミュージシャンに払うお金、そして、できた曲をマスタリングするスタジオの選別、できたアルバムをプレスする工場を探したりと、色々やってきて、CDショップに納品するところまで自分でやりました。だから、今まで使ったことのない色々な筋肉がうごめいて、本当に辞めたくなりました(笑)」

●辞めたくなったんですか!?(笑) しんどかったんですか?

「しんどかったですねぇ。ミュージシャンは、スポットライトを浴びて、ステージで歌っているだけでいいというのは、幸せなことだなと思いましたね。」

●でも、いちから自分の手で作ったアルバムだと、それまでとは違った思いがあるんじゃないですか?

「これまでも可愛く思えたんですけど、今回のアルバムはそれ以上に可愛く思えますね。それと、これまでは色々な人に音楽を簡単にあげてたなと思いましたね。例えば、知り合ったばかりの女の子に『俺の曲聞いてよ!』って言ってCDをあげてたんですけど、今回は『こいつがお金を出して買うまで、絶対にあげないぞ!』って思うようになりましたね。

 今、音楽って簡単にフリーでコピーできてしまう時代じゃないですか。僕が小さいころ、カセットにダビングができていましたが、でも三回ぐらいダビングしたらすごくノイズが乗るし、貸しレコード屋さんも、今ほど劣化しない感じがなかったんですよね。でも、今では『百人コピーしても大丈夫!』っていう感じじゃないですか。そういう中で、一つの作品にかける想いが強くなったと思います。なので、今回のアルバムは、いちから十まで管理したので、想いは今までのアルバムより強いですね!」

●一曲一曲に想いがかなり強いと思いますけど、特に私がいいなと思ったのが、“TAKE IT SLOW(希望の灯VER)”という曲なんですが、どのような背景で作られた曲なんですか?

「ある日の夜、家の近所で雷が落ちて、停電になってしまったんですね。すると、テレビは見れないし、パソコンもつかない、音楽も聴けない、本を読もうにも、夜なので明かりがなくて読めないということで、何にもできないんですよ。そこで、棚の中にギターが眠っていたのを思い出して、そのギターを弾くことによって、『僕らは電気がなかったら、音楽すら楽しむことができないのか』って思ったんですね。そのときから、ギターをちゃんと弾こうと思ったんですね。今では弾き語りラップを色々なところでやりますけど、この曲を作ろうと思ったキッカケがそれで、『自分ひとりで行って、ギター一本でステージが成立するような人になりたい!』と思わせてくれた曲ですね。」

●GAKU-MCさんにとっても、転機となった曲なんですね。

「完全に、自分の中のスイッチが入った曲ですね。この曲は随分前に作った曲ですが、去年の震災によって、電気の大切さが身にしみて感じたときに、いい出会いがあったんですね。“カメヤマキャンドルハウス”というキャンドルメーカーさんと仲良くなったんですよ。そこで、僕がずっとやってみたかった“キャンドルとアコースティック・ギターのライブ”をやって、苦労されている方の力になれるような活動をしていきたいと思うようになった曲でもあるので、僕にとっても想いが強い曲ですね。」

千葉はホームポイント

※GAKU-MCさんは音楽活動のかたわら、サーフィンも楽しんでらっしゃいますが、千葉でオススメのサーフ・ポイントなどうかがいました。

「千葉は、僕にとってホームポイントですね。ホームポイントって言ったらおこがましいかもしれないですが、昔から鴨川が好きで、サーフィンを始めたころは鴨川に通ってましたね。特に、冬はほぼ鴨川に行ってましたね。」

●なぜ鴨川だったんですか?

「まず、アクセスがよかったんですよ。海ほたるを通って、君津を抜けていくと、一時間半ぐらいで鴨川に行けるので、都内からでもすごく行きやすいんですよね。南の方なので暖かいし、街並みも好きなんですよね。あと、お気に入りの定食屋さんがあって、そこの鶏照り丼が大好きで、いい波を追いかけつつ、いい波に乗ってから、一緒に行った仲間と一緒にその鶏照り丼を食べるっていうのが、最高のコースですね(笑)」

●(笑)。家族でサーフィンに行ったりはするんですか?

「奥さんもサーフィンをするんですが、子供が生まれてからはやらなくなりましたね。去年『鴨川シーワールドに連れていってやるから、いいだろ!?』っていって、鴨川に着いたら、『パパ、ちょっとやってくるから、ちょっと待ってて!』っていって、子供たちを車で待たせながら、一時間ぐらいサーフィンをやってから、行きましたね(笑)。自分だけ海に入ると、家族のモチベーションは上がらないので、鴨川シーワールドに行くということもセットで行きますね。でも、そういうサーファーも多いんじゃないでしょうかね。」

●家族連れにとって、そのコースはいいですね(笑)。子供が生まれたことによって、海に対する考え方や自然に対する考え方って変わりましたか?

「サーフィンが好きなので、ビーチクリーンは誘われれば当然やってましたけど、それって、若いころはみんながやっているからやるっていう感じだったんですね。でも、自分の子供が生まれて、一緒に行動するようになると、『パパたちの使い方が酷かったから、私たちが海に入れなくなったじゃない』って、大きくなってから言われたら『すみませんでした』ってなってしまうんですよね。だから、そうならないように、自分ができることは、ちゃんとやらないといけないって思いますね。そして、自分の子供の世代が、僕たちと同じような状態で海が使えるようにしておくのが、僕たちの役目だなって思うようになりましたね。」

GAKU-MCさん

●自分たちだけではなく、次の世代のことも考えるっていうことですね。

「例えば、今夜で世界が終わってしまうのなら、どんな使い方をしてもいいんでしょうけど、実際はそうじゃないし、これからもずっと続いていってほしいので、“僕らは自然に遊ばせてもらっている”という気持ちでいることが大事だと思います。」

●私も、ボディーボードを何回かやったことがあるんですけど、ドルフィンスルーをして、波をくぐって沖に出ないといけないじゃないですか。そのときに、なかなかうまくできなくて「波の力ってすごいな!」って思ったんですよね。ときどき、「人間の方がすごいな」って思ったりしたんですけど、ボディーボードをやってから「自然には敵わないな」って思ったんですけど、そういうことを感じたりしたことってありますか?

「もちろん感じますね。ときには、自然の流れに身を任せることが必要なのかもしれないですね。今は、自然を自分たちのものにして、そこから恩恵を受けようとしているところがあるかもしれないですが、本当はもっと寄り添っていくべきなんだろうなって思いますね。僕もドルフィンスルーに関しては、気持ちがすごく分かります!」

●「自分って無力だな」って思いますよね!

「本当に無力ですよね! 背筋が伸びる思いがしますよね。」

メッセージを届けるライヴツアー

※GAKU-MCさんは去年、先ほどお話にもあった、カメヤマキャンドルハウスと一緒に、キャンドルの灯りと音楽で日本をつなぐ“キャンドル・ライブ・ツアー”を行ないました。そのツアーはどんなものだったのかお聞きしました。

「最初は、僕らができることってなんだろうって考えたときに、僕はギターを弾いて歌が歌えて、カメヤマキャンドルハウスさんはキャンドルがあるということで、それで人のためになるような音楽ツアーができればいいねっていうところから始まりました。“キャンドルホルダー”というものがありまして、メッセージが書けるようになっているんですが、『そのキャンドルホルダーを集める旅に出よう』ということで、キャンピングカーで日本一周しました。何千個もの数を集めて、福島で集まったホルダーでキャンドルを灯しながらライブをすることになったんですが、キャンピングカーでの旅って非常にいいんですよね。

 ミュージシャンって、どこに行っても、ライブ会場と近所のビジネスホテルと打ち上げ会場の三点しか知らないんですよね。なので、大体どこに行っても同じような景色になるんですが、キャンピングカーで行くと、道はずっと続いていますし、泊まるところはどこでもいいんですよね。海辺に泊まったり、お風呂屋さんの駐車場に泊まったりしていましたね。特に名古屋では、名古屋城のほとりに泊まりました。そういう感じで日本一周したので、日本地図が頭の中に入りましたし、いい出会いもたくさんあったので、『誰かのためにライブをやりたい』と言いつつ、すごく楽しくて思い出深いツアーでしたね。」

GAKU-MCさん

●キャンドルホルダーはどういう風に集めたんですか?

「毎回キャンドルホルダーを使って、ライブをしているんですが、会場に来てくれた方に『メッセージを書いてくれたこのホルダーを、僕が責任を持って集めて、次のライブ会場ではそれを使ってライブをするので、メッセージを書いてほしい。ただし、“頑張れ”に代わる言葉を書いてほしい』と言いました。」

●“頑張れ”はダメなんですね。

「ダメなんです。“頑張れ”ということはすごく好きなんですけど、去年の震災以降は、みんなから“頑張れ!”って言われていたから、『もう、みんな頑張ってるんだよ』っていう気持ちがあったので、『“頑張れ”は違うかもしれない』となんとなく思っていたんですよね。なので、“頑張れ”に代わる言葉を書いてもらいました。それをそれぞれの街で集めて、それを並べて歌っていました。福島でライブをやって、来てくれた人が北海道で書いてもらったホルダーを持って自宅に帰り、それを使って明かりを灯すといったような循環ができて、よかったなって思いますね。」

●動画で、キャンドルを使ってライブを行なっている様子を見たんですが、なんとも言えない暖かさがあって、普通の明かりじゃ出ない色だなって思いました。

「キャンドルってすごく不思議なんですけど、家の中でキャンドルの明かりだけで過ごそうとすると、ぼやけるので、人と人との距離が近くなるんですね。そうすると、いい感じのメイクをするより、女性がキレイに見えるんですよ(笑)。あと、キャンドル自体に色々な匂いがあるので、そういう意味でもドキドキするんですよね。
 普通に照明に当たりながらライブをやるのもいいんですが、それ以上に、キャンドルの明かりでライブをすると、お客さんとの距離を近くするような効果があるなって思いますね。無駄なものを取り除くと、そこにある一番大事なものが見えてくると思いますし、ライブハウスでやるいつものライブも好きなので、その行ったり来たりが今は楽しいですね。」

YUKI'S MONOLOGUE 〜ゆきちゃんのひと言〜

 今回、最新アルバム「キュウキョク2」から「Take it slow (希望の灯ver)」と「ナクスコトデシカ」の2曲をお届けしましたが、他にも、この最新作には家族のことや自然のことを考えるキッカケになるようなメッセージソングが満載です。ぜひ、GAKU-MCさんの「キュウキョク2」をチェックしてみて下さい!

INFORMATION

キュウキョク2

GAKU-MCさん情報

ニューアルバム『キュウキョク2

 RAP+ENTERTAINMENT/DQC-913/定価2,500円
環境問題に造詣が深いラッパーのGAKU-MCさんの最新作『キュウキョク2』は、独立して一人で全部創り上げた渾身の一作!
落雷による停電がキッカケで感じたことなど、GAKU-MCさんの思いがいっぱい詰まった素晴らしい曲が満載です。

ライブ情報

ライブが続々と決まっています。

・9月8日(土)
南房総市・根本マリンキャンプ場で開催される「GREENROOM CAMP」に出演されます。

・12月12日(水)
渋谷DUOミュージック・エクスチェンジでワンマンライブ
「マイクチェックワンツーワンツーワンツー」を行ないます!
チケットは好評発売中です。


オフィシャルサイト

 その他ライブ情報やニューアルバムの購入方法など、詳しくは、GAKU-MCさんのオフィシャルサイトをご覧ください。

今週のオンエア・ソング

オープニング・テーマ曲
「GRACIAS / LARRY CARLTON」

M1. CAN'T HELP FALLING IN LOVE / UB40

M2. TAKE IT SLOW(希望の灯VER) / GAKU-MC

M3. YOU AND YOUR HEART / JACK JOHNSON

M4. ナクスコトデシカ / GAKU-MC

M5. THE BOYS OF SUMMER / DON HENLEY

エンディング・テーマ曲
「THE WHALE / ELECTRIC LIGHT ORCHESTRA」