2012年10月6日

秋の星空の楽しみ方

 今週のベイエフエム/NEC presents ザ・フリントストーンのゲストは、かわいじゅんこさんです。

かわいじゅんこさん

 プラネタリウム・プランナーのかわいじゅんこさんは、子どもの頃からプラネタリウムが好きで、プラネタリウムのメイカーに勤めたあと、現在はプランナーとして企画の運営、ワークショップなどのお仕事をされています。その一環として、移動式のプラネタリウムによるイベントをあちこちで行なってらっしゃいます。今回はそんなかわいさんに、秋の星空観察や、星にまつわる神話のお話などうかがいます。

誕生月と見える星座が違う!?

※かわいさんは、“宙ガール”を広めようと活動されています。どんな思いで始めたのでしょうか?

「それまで勤めていた会社を辞めて、活動を始めようとしたキッカケは“女性に星空を楽しんでもらいたい”“宙ガールを広めたい!”と思って、色々な活動をしています。」

●どんなことをしているんですか?

「今では、北鎌倉で“星空とワインの会”という、十二星座をイメージしたワインが星座毎に十二本あって、それを誕生月の時期ではなく、その星座が見える時期にそのワインを飲みながら星を見て、食事を楽しむという会を毎月開いています。」

●それは素敵ですね! 誕生月と見える星座が違うということですが、それはどういうことですか?

「実は、誕生月の星座というのは、人が生まれたときには、太陽の方向にあるんですね。ということは、その星座は昼間に見えているんですよ。なので、夜には、その星座は見えないんです。」

●私は1月生まれの水瓶座なんですが、いつごろ見えるんですか?

「そろそろですね。」

●え!? 10月ということですか?

「そうですね。10〜11月ぐらいの時期の八時ぐらいに、真南の空を見ると、見えてきます。自分の誕生月の星座が見たかったら、誕生月より2〜3ヶ月前ぐらいの夜八時ぐらいの南の空を見ると、見られますね。」

●夜八時ころの南の空ですね! 私の誕生日が1月なんですが、それ以外にも自分にまつわる月があるんだと思って、楽しくなってきました!

「私は山羊座なので、そろそろ見えてるんですよね。」

●観察方法は、どういったものが一番いいんですか?

「まずは“暗いところに行くこと”ですが、それでも都会で暮らしていると、どうしても明かりがあるので、その場合はまず、外に出て、目を暗さに慣らすんですね。突然明るいところから暗いところにいっても、目が暗さに慣れていないので、星がよく見えずに終わってしまうんですが、外に出て、暗いところに十〜十五分ぐらいいると、“暗順応”といって、目が暗さに慣れてきて、ちょっとした明かりでも、よく見えるようになってくるんですね。そうすると、徐々に星が見えてくるようになってくるので、外に出て少しだけ待ってもらうようにしてもらえればと思います。
 でも、都会はどうしても街灯やネオンがあるので、目に直接入ってくる光があると、瞳孔が縮まってしまいます。なので、目を両手で覆うか、目に入ってくる光を手で遮ってください。これだけでも、かなり違ってきますね。」

●視界に入ってくる光を、あらかじめ手で遮断しておくことが大事なんですね。

「そうすると、都会でも星がだんだん見えてきます。」

●他に、何か道具を使ったりしますか?

「もしあるのであれば、双眼鏡がオススメですね。」

●望遠鏡じゃなく、双眼鏡なんですね?

「そうですね。望遠鏡って、値段が高いですし、何を買っていいのか分からないじゃないですか。それに、いきなり望遠鏡を買ってしまうと、使い方が分からずに、押入れの肥やしになったりすることが多いんですよね。でも、双眼鏡なら、コンサートやバードウォッチングとかでも使えるので、持っている人は是非使っていただきたいですね。双眼鏡を空に向けてもらうと、星の多さに驚くかと思いますよ(笑)」

●(笑)。双眼鏡の使い方に、何か注意点ってありますか?

「特にないです。そのまま使っていただいて構いません。ピントを合わせるぐらいです。双眼鏡のレンズの大きさって、人間の目より何倍も大きいので、光がたくさん集まるので、暗い星でも見えるようになります。なので、星がたくさん見えるから、すごく楽しくなってきますよ!」

●それさえマスターすれば、明日から宙ガールになれますね!

「なれます! 星を見ることが好きであれば、誰もが宙ガールです! 特に資格はいらないです。『私は星を見るのが好き』という人は、宙ガールです!」

秋の星座にまつわる“エチオピア王家の物語”

かわいじゅんこさん

※続いて、この秋の星座の楽しみ方を教えていただきました。

「この時期からだと、十〜十一時ぐらいに、ペガススの胴体となる“秋の四辺形”があります。それを見つけると、それを覆う色々な星を見つけることができるんですね。例えば、横長の四角形の右あたりを縦に下へ行くと、ある星が見つかります。その星は、秋の星の中で唯一の一等星なんですが、“秋の一つ星”と呼ばれている“フォーマルハウト”という星なんです。そこには、南の魚座があるんですが、その途中に水瓶座があるんですね。その水瓶座から水が流れていって、その水を口から飲んでいる形になっているのが、魚座になっているんですね。
 逆に“秋の四辺形”から左に行くと、一等星とまではいかないまでも、明るい星が見つかるんですね。それが“デネブ・カイトス”という星で、鯨座のシッポに当たる星なので、そこには鯨座があります。」

●ということは、まず目印となる星を見つけることが大事なんですね。プラネタリウムに行くと、星座にまつわる神話を聞くことがよくあるんですが、秋の星座には、そういった神話ってありますか?

「“エチオピア王家の物語”という壮大な神話があります。そのお話の後半部分をかいつまんで話しますと、みなさんも一度は聞いたことのあるメデューサという化け物がいるんですが、そのメデューサを退治しにいくのがペルセウス王子なんですね。彼は色々な人の力を借りて、メデューサの首を切って、その首を持っていったんですが、そのときに飛び散った血が、ペガススになるんですね。諸説は色々あるんですが、それによって生まれたペガススに乗って、王子は自分の国に帰るんです。
 その途中に、鎖に繋がれたお姫様を見つけるんですが、それがアンドロメダ姫なんですね。なぜ彼女が鎖に繋がれているかというと、彼女の母親であるカシオペア王妃が、『私の娘は海の神の娘たちよりも可愛い』と、自分の娘であるアンドロメダ姫を自慢してしまうんですね。それを聞いた海の神であるポセイドンが怒り、エチオピアに化け鯨を差し向けるんです。化け鯨というのは、ゴジラみたいな鯨で、それが大暴れするんです。それによって、国が壊滅状態になっていくんです。そこで、王妃が神様に『どうしたら、国を保つことができるのか?』と信託するんですね。そこで神様は『ポセイドンを怒らせてしまったのだから、ポセイドンにお前の娘を生贄として捧げなさい』と言うんですね。

 そこで、父であり、エチオピアの王様であるケフェウス王とカシオペア王妃は悩みます。その姿を見ていたアンドロメダ姫は、『私の命を捧げることで国が助かるのならば、私は喜んで生贄になります』といって、自ら生贄になるんですね。母親がポロっと言ったことで大変なことになったのに、本当よくできた娘ですよね。そして、海の近くの岸壁に鎖で繋げられ、今にも鯨が姫を食べようした瞬間に、ペルセウス王子が通りかかるんです! 『なんと美しい姫が生贄になっている!』ということで、鯨に自分が持っていたメデューサの首を見せるんです。そうすると、メデューサの目を見てしまった鯨は石になって、海に沈んでいってしまうんですね。それによって、アンドロメダ姫は助かって、ペルセウス王子と結婚をして、幸せに暮らしたという話なんですね。
 その出演者全員が、星座となって現れているんですよ! ペガスス座があって、その後ろにはアンドロメダ座があり、鯨座やカシオペア座、そしてペルセウスとケフェウス座があるんですね。」

●そういった神話を知っていると、さらに面白くなりますね!

旧暦によって、得した気分になれる!

望遠鏡

※今後、どんな活動をしていくのかうかがいました。

「今後も“星空とワインの会”を続けていきますし、星や月のお話をしているうちに、暦にも興味がでてきたんです。暦って今、“天地明察”という映画で注目されていますけど、昔から月と星を正確に観測して、カレンダーができたんですね。そういった日本の旧暦を今取り入れることによって、日本人の生活がもっと豊かになるということに気づいたので、そのことをみなさんにお伝えする会も行なっているんですね。お酒やお蕎麦と一緒に暦の話を聞いていただく会や、移動式プラネタリウムもやっていこうと思っています。」

●日本人の生活が豊かになるということですが、それはどういうことですか?

「“旬を知る”ということなんですよね。例えば、夏の野菜を冬にいただくのも美味しいですが、一番栄養価があるときに食べるのがいいですし、それを自然にお供えするという行事が日本では昔からありますよね。今年特に感じていたのは、うるう月がある年だったので、春が長かったんですよ。それによって、なかなか夏が来なかったんですが、それが現れていたと思うんですね。
 近所でシラスを買いにいったんですが、シラスがなかなかあがってこないって漁師さんが話していたんですね。それに、農家さんも暦を頭に入れて作っている方は、今年はうるう月によって春が長かったので、夏野菜が難しいと話していました。それらを昔の暦でやっていくと、異常気象も影響してくると思いますが、今年のように春が長かったことで魚があがってこなかったり、夏野菜がとりにくかったり、夏が長引いてしまったのも、暦の上で見ると、そこまで外れてないところがあったりするんですよね。なので、そんなに騒がないで、しっかりと暦を見た上で暮らしていくと、それなりに美味しいものをいただけるし、自然のことも分かってきたりするので、旧暦を知っていると、得した気分になるんですよね。」

●今までとは違った季節の感じ方があるんですね。でも、それは今が違うだけで、昔は普通だったんですよね?

「そうですね。昔は暦に合わせた行事がありましたし、中秋の名月は今でも必ず旧暦で行ないますよね。そこで、例えば、七夕も旧暦でやると、空の具合もよかったりするんですよね。新暦の7月7日って、日本では梅雨の時期ですよね。」

●天の川がなかなか見れないですよね。

「しかも、織姫と彦星がまだ上がってきてないんですよね。それが旧暦の七夕になると、八時ぐらいに自分の頭の真上に織姫と彦星がきて、半ごろには、月が沈んで、それによって天の川が見えるんですね。天の川って、月があったら見えないぐらい繊細なので、月が沈んだころに天の川が見えてくるという空になっているんですよね。なので、旧暦で行事をすると、もっと楽しめますよ! なので、新暦と旧暦の二回、七夕をやってもいいんじゃないかと思っているんですよね(笑)」

かわいじゅんこさん

●(笑)。日本人が四季を感じるのに合ったものが、旧暦ということなんですね。今後、星や宇宙といったものを、みなさんにどのように感じてほしいですか?

「“星を見上げることが楽しい”ということを感じてほしいのはもちろん、感じることは人それぞれなので、色々なことを感じてもらいたいのですが、私にとって“星を見上げること”って、元気の源になっているんですね。顔を上げる行為って、気持ちを上向きにさせてくれる行為だそうなんですね。」

●確かに、上を向いて歩こうっていう気になりますよね!

「そうですよね! 下を向いてるよりも上を向いてる方が、気持ちも上向きになりますし、宇宙に包まれている感じが安心を与えてくれる感じがするんですよね。このように、人それぞれで色々なことを感じてもらいたいと思います。
 プラネタリウムに行ったときもそうなんですが、友達と行っても満点の星空になった瞬間に、一人になれるんですよね。それも、星空があるからなんだと思うんですよね。なので、考え事をするときに、星を見上げながらするのって、すごくオススメなので、色々なことを感じるためにも、星を見上げてもらったらいいなと思います。」

YUKI'S MONOLOGUE 〜ゆきちゃんのひと言〜

 かわいさんが最後におしゃっていた「夜空を見上げて宇宙に包まれていると感じて欲しい」という言葉が印象的でした。都会に住んでいると周りはビルばかりで、自然に包まれているという感じはあまりないですよね。でも、どんな場所にいたとしても空を見上げれば、そこには宇宙や自然が広がって、私たちを包んでくれています。私も今夜は宇宙に包まれていることを感じながら、夜空を見上げてみたいと思います。

INFORMATION

「星とワインの会」

 プラネタリウムプランナー・かわいじゅんこさんが行なっている、ワインを飲みながら星座のお話を聞く「星とワインの会」。次回は11月10日の夕方五時半から開催されます。
詳しい情報は「北鎌倉・たからの庭のオフィシャル・サイト」をご覧下さい。

ブログ

 かわいさんは「星ヲ見上ゲテ暮ラス-星空リビングの奨め-」というブログをやっています。写真を交えながら記事を書かれていますので、かわいさんの活動がよく分かります。気になる方は是非ご覧ください。

今週のオンエア・ソング

オープニング・テーマ曲
「GRACIAS / LARRY CARLTON」

M1. STARS / SIMPLY RED

M2. COSMIC GIRL / JAMIROQUAI

M3. ジャコビニ彗星の日 / 松任谷由実

M4. 見上げてごらん夜の星を / 坂本九

M5. YELLOW / COLDPLAY

エンディング・テーマ曲
「THE WHALE / ELECTRIC LIGHT ORCHESTRA」