2013年4月27日

オーロラは太陽からの贈り物

 今週のベイエフエム/NEC presents ザ・フリントストーンのゲストは、堀田東さんです。

堀田東さん

 フォトグラファーの堀田東さんは、タレントやモデル、芸能人の人物撮影も行なっていますが、その一方でオーロラや北極圏の風景を精力的に撮ってらっしゃいます。今回はそんな堀田さんに、アラスカ・ブルックス山脈で撮影した神秘的なオーロラのお話をうかがいます。

オーロラが踊る!?

●今週のゲストは、フォトグラファーの堀田東さんです。よろしくお願いいたします。

「よろしくお願いします。」

●堀田さんは、色々なタレントさんの写真を撮影されていますが、その一方で、オーロラの写真をたくさん撮影されているということですが、なぜオーロラを撮ろうと思ったんですか?

「元から夕焼けや波打ち際など、自然が織り成す光景の中で、その時々で姿を変えるものがすごく好きなんですね。その一つとしてオーロラにすごく興味があったのがキッカケですね。」

●オーロラに興味を持ったあと、実際にどこかでオーロラを見たんですよね?

「そうですね。2001年に『今年はオーロラの当たり年だ』といわれていたので、ツアーの企画をたくさん目にしたんですね。そのときに『今までの夢を果たしてみよう。そしてオーロラの写真を撮ろう』と思って、その年の3月、アメリカのアラスカ州に行ってきました。このときが初めて見にいきました。」

●そのときは、オーロラを見ることができたんですか?

「初日は見ることができなかったんですが、2日目の夜から非常に大きなオーロラが出まして、それを見て虜になってしまいましたね。そこから毎年アラスカに見にいって、13年間続けています。」

●オーロラを見るのはアラスカって決めているんですか?

「そうですね。他にも、スウェーデンとノルウェーにも行ったことがあって、そのときも3週間ほど行ったんですが、晴天率の問題だったり、景色のことを考えると、アラスカって山が近くにある場所が多いんですよ。そこの人々とのふれあいも含めて感銘を受けて、毎年3月にオーロラを撮影に行ってます。」

●オーロラを初めて見たとき、どういった心境でしたか?

「まさに空でCGが繰り広げられているような緑の蛍光色のものが踊っているんですよ。日本ではもちろん見たことがないし、見たら言葉にならないですよね。なので、無言のまま見てました。」

●でも、写真を撮ろうと思って、カメラを持っていったじゃないですか。そのことも忘れて見ていたんですか?

「そこで、『その瞬間を捉えたい』っていうカメラマンの性が出てきまして、感動していながら、ファインダーもチェックしているんですよね(笑)。なので、カメラを通して見つつ、肉眼でも見るといった感じですね。」

●忙しい感じですね(笑)。

「そうですね(笑)。当時はフィルムのカメラだったので、その場でチェックできないんですよ。なので、フィルムを日本に持ち帰って一喜一憂するといった感じですね。」

●“オーロラが踊る”って先ほど表現されましたが、通の方はそういう表現をされるんですか?

「そうですね。まさにカーテンがひらひらと舞い踊るような感じなんですね。オーロラにも種類があって、霧のようにぼんやりと出続けているオーロラや、動きが激しいオーロラ、降り注いでくるオーロラなどがあるんですね。その中で強いオーロラとなると、私たちの心を動かすんですよね。その様子は“踊っている”という表現がピッタリですね。」

●そうなんですねぇ。そもそも、オーロラって、どうして発生するんですか?

「太陽から出るプラズマなどのエネルギーが常に放出されているんですね。地球にもそのエネルギーが2〜3日かけて届くんですが、そのエネルギーは磁力に反応するといわれていて、地球の磁力に吸い寄せられるんですね。なので、太陽の活動が活発なときには、オーロラの活動も活発になるし、太陽活動が弱いときは、オーロラの活動も弱くなります。」

●そうすると、まさに“太陽と地球のハーモニー”ですね。

「まさに“太陽からの贈り物”ですね。」

昼間のように明るくなる“オーロラ爆発”

※堀田さんが毎年オーロラ撮影のフィールドにしているアラスカのブルックス山脈がどんなところなのかうかがいました。

「アラスカ州にある地域なんですが、マッキンリー山脈から1,000キロほど北にある山脈です。一番近くにある集落には20人ぐらいの人口が住んでいます。そこから北に100キロほど移動すると、ブルックス山脈が一帯に広がっているんですね。」

●まさに人里離れたところにあって、辺り一帯は自然なんですね?

「そうですね。人口の明かりはほとんどないし、ブルックス山脈で待機をしているときに感じるのは風の音と、たまに見かける動物の走る音ですね。例えば、キタキツネがつがいで行動しているんですが、彼らが雪の上を走ると、『ポコポコポコ』という軽い音がするんですよね。他にも、狼が遠吠えをする声といったような音がするんですよ。人が作り出す音はほとんどないですね。」

●撮影するときは、テントを張ったりして、そこで待機をする感じですか?

「確かにテントを張ることもありますし、ブルックス山脈の夜に待機をすることもあれば、凍った川の上で待機することもあるので、その日の天気の状態などをチェックして、どこの場所が一番いいのかを判断して決めています。」

●凍った川の上にテントを張るんですね?

「テントを張ったこともありますね。」

●もちろん、寒いんですよね?

「そうですね。私が撮影をする3月だと、昼間の最高気温は大体マイナス19度で、夜はマイナス30度以下ですね。」

●そういうときって、何を考えて待っているんですか?

「そのときは雑念が消えて、何も考えず、無の状態でいるときが多いんですが、やっぱり『早く出てくれないかな?』って思いながら、空を眺めて待ってますね(笑)」

●(笑)。そして、空一面にオーロラが出て、撮影されると思いますが、そのときはどんなことを考えながら撮影しているんですか?

「オーロラを撮影するには、1枚撮るのに10秒ほどシャッターを開けないといけないんですね。なので、最初に撮った写真がベストの露出になることはあまりないので、その美しさに感動しつつも、写真に収めないといけないし、キレイに撮るためにはカメラの調整もしないといけないので、景色とカメラの両方に対する意識を持ちながら、オーロラに対峙しています。ただ、すごくキレイなオーロラが出たときはすごく感動するので、それまでの大変さは忘れてしまいますね。」

堀田東さん

●色の差というのは何なんですか?

「オーロラは地上100キロから500キロの高さで発生するんですが、高度が高いところだと赤色になって、100キロぐらいの低い高度で発生するオーロラは、紫やピンク色になるんですね。大気のバランスによって色が変わるんですよね。」

●ということは、見た色によって、今どの辺りにあるのかが分かるんですね?

「そうですね。どの辺りに出ているのかは、見たオーロラの色で一目瞭然ですね。」

●どの色のオーロラが見ることが難しいんですか?

「なかなか見ることができない色はピンク・青・紫ですね。」

●アラスカで13年間撮影してきて、一番美しかったオーロラはどんなオーロラですか?

「2013年3月16日の午後11時16分にオーロラ爆発が発生したんですが、それはとてもキレイで、周りの景色が明るくなるぐらいのオーロラだったんですね。」

●大きさはどのぐらいだったんですか?

「空一面に広がって、空のある一点から地上に花が降り注いでくるような感じのオーロラだったんですね。そのときの色が、緑・赤・白・ピンク・黄色・紫とあって、空でCGが踊っているようなスケールで、周りの木や雪がオーロラ色になるんですよ。明るさは昼間ぐらいの明るさになるんですよね。でも、そのオーロラ爆発の時間は24秒ぐらいなんですよね。なので、あっという間でした。写真に収めたのも3枚ぐらいでしたね。」

オーロラを見れば前向きになれる!

●実は今年、“オーロラの当たり年”だといわれていますが、私たちがオーロラを見たいと思ったとき、どうやったら見ることができますか?

「オーロラを見る条件はいくつかあるんですが、私は3つあると思っています。一つ目は“オーロラが出やすい緯度が高いところに私たちが行くこと”ですね。二つ目は“夜が長い季節を選んで行く”ことです。まず“緯度が高いところ”というのは、太陽が沈まない時期が5〜8月の下旬ぐらいまであるんですよね。なので、夜が確実に来る8月下旬ぐらいから、翌年の4月終わりぐらいまでに行けば見ることができます。その時期を間違えないことが大事です。三つ目は、オーロラは雲より高いところで発生するので、“晴天率が高い場所・時期を学んでいくこと”ですね。私としては、この三つが非常に重要で、必ずチェックしていきますね。あと、オマケのようなことなんですが、満月の明かりって、オーロラよりも強いので、できれば新月に近いときや、月明かりに邪魔されない月例を勉強しておくこともいいかと思います。」

●そういったことを事前にリサーチしておけば、何泊ぐらいで見ることができますか?

「確実に見るとなると、4〜5泊ぐらいは必要ですね。でも、これは場所によりますね。ちなみに、私は毎年3〜4月にかけて、1〜2ヶ月ぐらい滞在しているんですが、去年を例に挙げると、38日中、35日は見れましたね。今年は、35日滞在して、7割ぐらい見ることができましたね。」

堀田東さん

●ちゃんと条件を調べて、いい時期に行けば、見れる確率は低くないんですね?

「そうですね。オーロラ自体は3日に2日は発生しているので、晴天率が非常に重要になってくるんですよね。なので、オーロラの強弱は置いておけば、4〜5泊の間で晴れていれば、見れる確率は高いと思います。」

●見れば、絶対に満足できますよね!?

「これは絶対に見る価値のあるものだと思います。」

●見ることによって、考え方とか変わったりしますか?

「太陽からの贈り物がオーロラで、それが大気のスクリーンに映し出されると、東京での生活で、色々な悩みとかあったとしても、『それって小さいことなのかな? これからも前向きに頑張っていこう!』って思いますね。」

●私も一生に一度でもいいから、見てみたいです!

「是非見ていただきたいです! 3〜4月にはアラスカにいますので、是非来ていただきたいと思います。」

●そのときは是非ともよろしくお願いします!

YUKI'S MONOLOGUE 〜ゆきちゃんのひと言〜

 色々な色の花が降り注いでくるようなオーロラの話をされているときの堀田さんの顔がとにかく生き生きとして、そして幸せそうで、その表情からもとても素敵なものだったんだろうということが想像できました。いつか私も、本物のオーロラを見にいってみたいです。

INFORMATION

写真展『オーロラ〜女神のひとりごと〜』

 タレントやモデル、芸能人の人物写真を撮影する傍ら、オーロラや北極圏の風景も精力的に撮ってらっしゃるフォトグラファー・堀田東さんの写真展『オーロラ〜女神のひとりごと〜』が5月6日から12日まで、表参道ヒルズ西館1階の「ギャラリー80」で開催されます。是非、堀田さんが撮った素晴らしいオーロラ写真の数々をご覧ください。

◎開館時間:正午から夜8時まで(最終日は午後5時まで)
◎入場:無料


フォトエッセイ

 堀田さんは「あすのとびら〜オーロラのささやき〜」と「あしたのために」という2冊のフォトエッセイも出してらっしゃいます。堀田さんが撮影した素晴らしい景色にメッセージが添えられている素晴らしい内容となっています。是非ともご覧ください。

「あすのとびら〜オーロラのささやき〜」

あすのとびら〜オーロラのささやき〜
 幻冬舎ルネッサンス/定価1,365円

「あしたのために」

あしたのために
 幻冬舎ルネッサンス/定価1,365円

◎詳しい情報:幻冬舎ルネッサンスのホームページ


『堀田さんと行く北極圏ツアー』

 現在、『堀田さんと行く北極圏ツアー』の参加者を募集中! 日程はまだ確定していませんが、今年の10月か、来年の3月から4月にかけて、7日から10日のツアーになる見込みだそうです。


オフィシャルサイト

 その他の情報など、詳しくは堀田さんのホームページをご覧ください。

今週のオンエア・ソング

オープニング・テーマ曲
「GRACIAS / LARRY CARLTON」

M1. MORE THAN A FEELING / BOSTON

M2. FANTASY / EARTH,WIND & FIRE

M3. ORINOCO FLOW / ENYA

M4. CLOCKS / COLDPLAY

M5. THE POWER OF LOVE / CELINE DION

M6. WALKING MAN / JAMES TAYLOR

エンディング・テーマ曲
「THE WHALE / ELECTRIC LIGHT ORCHESTRA」