2015年10月24日

まだやれることがあるんじゃないのか。

 今週のベイエフエム/NEC presents ザ・フリントストーンのゲストは、うじきつよしさんです。

 先日結婚を発表され、公私共に充実している俳優・ミュージシャンのうじきつよしさんは、ロードバイク歴40年のチャリダー! そして、この番組にもご出演くださったシアターブルックの佐藤タイジさんが進めている、太陽光発電の電力だけでライヴを行なう“THE SOLAR BUDOKAN”にも積極的に協力されています。今回はそんなうじきさんに、自転車の魅力や中津川THE SOLAR BUDOKAN 2015のお話をうかがっていきたいと思います。

チャリダーうじきの自転車観

●今回のゲストは、俳優・ミュージシャンのうじきつよしさんです。よろしくお願いします。

「よろしくお願いします! 美しい方で動揺しちゃって、何を喋っていいのか分からなくなってしまいますね。番組をお聴きの皆さんは、この容姿をご存知なんでしょ?」

●ホームページには写真を載せているので、知っている方もいるかと思います(笑)。

「写真じゃ分からないですよ! 動いている姿が素晴らしいです!」

●ありがとうございます(笑)。早速ですが、うじきさんがフロントマンを務めている“子供ばんど”が今年、結成35周年を迎えたんですよね。おめでとうございます!

「ありがとうございます! とはいえ、1988年に活動を休止しているんですよ。デビューは1980年なので、今年結成35周年になりますが、活動再開したのは2011年なので、約四半世紀は活動を休止していましたね(笑)。なので、僕のことを知っているとしたら、司会者としてだと思うんですよね。とてもじゃないけど、ロックバンドをやっているなんて思わないと思います。それは仕方ないですよ。ただ、未だに子供ばんどを知っているということを話してくださる方がたくさんいるというのは、トップ10に入ったヒット曲なんてなかったけど、結成から1988年までの間で2000本のライヴをやったんで、その中のライヴを見てくれた人がいたということですよね。それは本当に宝物です」

●2011年にバンド活動を再開しようと思ったんですか?

「『ここでやらないと死んじゃうな』って思ったからです(笑)。『バンドをやっていることを知らない人がたくさんいるし、このままだと歌ってる姿を見てもらえないままで終わってしまう』と40代半ばのときに思い始めたんですよ。幸いにも、結成当時のメンバーはみんな生きてるし、みんな音楽を続けてたので、再開したときもそれまでやってきたことが経験値として入ってきていましたし、年を取った分、歌いたいことやロックバンドの端くれとして言わないといけないことがあるんじゃないか? と思って、今活動しています」

●そんな思いがたくさん詰まったのが、今回のニュー・アルバムなんですね?

「“ロックにはまだやれることがあるんじゃないのか”というタイトルを付けたんですが、メンバーからも『恥ずかしいからやめろ!』って言われましたが、あえて付けようということで、僕のゴリ押しで付けました」

※ここで、放送ではShameless Peopleを聴いていただきました。

●この曲もカッコいいですね!

「このアルバムの中では結構重い方の曲なんですよ(笑)。この曲を森山良子さんがこれを聴いてくださって、『この曲いいよ! 言いたいことをちゃんと言ってるし、男気があるし、偏ってないメッセージがいい』と言ってくださったんですよ。今だからこういう曲を歌うことができるんだろうなと思っています」

●ここから話はガラッと変わりますが、うじきさんはバンド活動をする前からハマっていることがあるんですよね?

「ハマっているというより、子供だったんで、自転車には普通に乗っていたんですよ」

●40年乗っているんですよね?

「小学6年生のときに友達のお兄ちゃんが乗ってたロードバイク的なものを譲り受けて乗ったんですよ。そこから考えると、ロードバイク歴40年だと言ってますが、大したことないんですよ。細いタイヤでドロップハンドルの付いた自転車っていうのが、それまで乗ってた自転車とは全く違うもので、変速ギアも付いていて、スピードも全然違ったので、夢のようでした」

●そういう自転車に乗ると、行動範囲が一気に広がりますよね!

「僕は生まれも育ちも世田谷なので、中学生に上がったころになると、奥多摩とかを目指したくなるわけですよ。日曜日、親に怒られない程度にコソコソと朝早く起きて走りに行くんですけど、帰りが遅くなると怒られるから、それも計算しつつギリギリのところまで行って、少しずつ距離を伸ばしていくということをやりましたね。そこから大人になって乗ってみると、子供のころに乗っていたときとは違った感覚がありますね。バンドのときは楽器をマイクロバスに積んで自分で運転していたんですが、それが終わったときに、自分がエンジンとなって動く自転車がよかったっていう気がします。

 自転車って、風や空気はもちろん、わずかな高低差を感じられるんですよね。都内って意外と坂が多いんですが、車に乗っているとそういうのって感じないじゃないですか。路面の良し悪しも自転車だと感じたりするので、そういうのがいいですよね。ゆくゆくは“自転車で各都道府県に行く”ことを目標にしています。自転車は車と違ってウロチョロできるので、その土地の美味しいものとかを地元のチャリダーの人しか知らない秘密の場所や景色が教えてくれるんですよ! それがいいですよね。同じ街並みでも自転車に乗ることで新たな出会いや発見があるんですよね。1日のうちで大した距離を走っていなかったりしても、その中で少しでも非日常を感じられるというのは、自転車の旅を味わっている感じがします」

太陽光発電は音も照明もカッコいい!

●自転車に乗られてエコなライフスタイルを送っているうじきさんですが、実は、以前この番組にもご出演いただいたシアターブルックの佐藤タイジさんが中心となって取り組まれている“THE SOLAR BUDOKAN”にも積極的に協力されているんですよね。

「タイジ君と友達になったのはそれほど昔のことじゃないんですよ。子供ばんどは1988年に活動休止に入りましたが、シアターブルックは1990年代になってから活躍し始めたんですね。そういうのがいるというのは知ってたんだけど、会うことはないと思っていたんですね。そんなタイジ君に2011年3月13日に会ったんですよ。なんだか知らないけど、震災が起きる前に会う約束をしてたんですよ。すると、あんなことになってしまったので、『これは会うことが無くなったな』と思っていたら『何言ってるんですか! 会いましょう!』といって、会ったんですよ。
 あのときって、電力問題とかあって、街中暗かったじゃないですか。人と会ってご飯を食べちゃいけないみたいな空気になっていたかと思いますが、そんな中で彼は『こんなことでへこたれませんよ! こんなのアカンですよ!』って怒ってるわけですよ。そして、彼が支援活動を始めるということで、色々な活動を始めたんですよ。僕はそれに付いていく感じだったんですね。そうこうしているうちに『太陽光発電で武道館やったらええんですわ!』って言い出して、『何言ってるのかな?』って最初は思ったんですよ。ミュージシャン仲間の間でも色々話してたんですね」

●半信半疑だったんですね。

「半信半疑どころか99パーセント疑ってましたよ(笑)。そうしたら、できちゃったんですよ。まず第一に“音がよかった”んですよ。理屈を考えたら納得なんだけど、作ったところからの距離がものすごく近いので、電気に不純物が混じってこないので、まさに産地直送のエネルギーなんですよね。電気って実は不安定要素がたくさんあって、送られてくる間の電圧が安定しなかったりするし、ノイズも入ってきたりするんですよ。この問題は楽器だけじゃなく、オーディオマニアの中でも問題視していたことだったんですが、一気に解決したんですよね。何がいいって、低音の歪みがなくなったんですよ。なので、同じ音量でも大きくなった感じがしたんですよね。それだけでも、ミュージシャンにとって太陽光発電でライヴをやるのっていいよね。だから、これは何かに対する反対運動じゃなくて、むしろ“賛成運動”なんじゃないかと思います。
 そして、武道館の照明がカッコよかったんですよ。ライヴでは“照明をなるべく控える”ということでやったんですね。光量が少ないから色も少ないわけですよ。そうなると、モノクロみたいな空間になったんです。そうしたら、僕たちが子供のころに見たレッド・ツェッペリンやディープ・パープルたちがライヴをやったときの“影のある世界”が作りだされたんですよ! まさしく、ロックの持っている怪しい部分の世界が現代に現れたわけですよ! それはカッコよかったですね!」

何かできることがある限り、やっていく

※そんな“THE SOLAR BUDOKAN”が今回、岐阜県の中津川で開催されました。どうして中津川だったのでしょうか?

「中津川では、“太陽光エネルギーで村おこしをしよう”と、商工会議所の青年団が頑張ってたんですよ。それで、“THE SOLAR BUDOKAN”を見て『これだ!』と思ったみたいで、『是非うちでやってください!』とお願いしにきたんです。中津川といえば、伝説の“フォークジャンボリー”の場所ですよ。日本のフォークの発祥のイベントで、今のロックフェスの原点となるイベントのスタートの場所だったんですよね」

●それは運命的ですね! 先日、地元の小学生とワークショップをやられたんですよね?

「はい。ソーラーパネルを組み立てて、みんなの学校や家にセッティングするということをやっています。そこは本当に素晴らしいところなんです。山あいにある小学校で、全校生徒が48人しかいないんですよ。その小学校に着いたら、教室のベランダのところに生徒全員が出てきていて、シアターブルックの“もう一度世界を変えるのさ”という曲を校内放送で流してて、それを生徒が歌っていたんですよ。それを見て号泣ですよね(笑)。その子供たちを集めてソーラーパネルの組み立ての教室と、パーカッションやソーラー・エレキギター教室とかやったりしました。アフリカの打楽器とかも持っていったんですが、渡したが最後でしたね(笑)。先生から『田舎の子供たちなので、引っ込み思案だから、盛り立ててください』とか言われてたんですが、始まったらアフリカ村みたいに、みんなで大騒ぎ(笑)。最後には『これからも続けるから』と約束をしてきました。中津川自体が“太陽光エネルギーを使って、新しい街づくりができないか”ということをテーマに、新しいことをやろうというフォークジャンボリーのスピリットがあそこにはあるんでしょうね」

●うじきさんもこれからも行くんですか?

「やっていきたいですね。自分に何かできることがある限り、やっていきたいなと思っています。次の世代にいいバトンを渡していって、世界に誇れる素晴らしい国でありたいですよね」

●そういった想いが、今回のアルバムのタイトルに込められているのかなと思いました!

「まさしくそうですね! 昔、吉田拓郎さんが“古い船をいま動かせるのは古い水夫じゃないだろう”というタイトルを付けたように、戦った時代のパワーのおかげで今があるので、それをもう一回思い出そうじゃないかということで付けました。このタイトルの“ロック”という部分をそれぞれで変えて考えてみていただけたらいいですね。例えば、自分が今直面している問題などを当てはめてみると『まだやれることがあるんじゃないのか? 諦めるのはまだ早いんじゃないのか?』って思っていただけたらいいですね」

●パワーを感じられるアルバムです! 私もこのアルバムを聴いて元気になりましたので、是非たくさんの方に聴いていただけたらと思います。では、最後にアルバムからのナンバーをお届けしたいのですが、どれにしますか?

「人の立場を考えたり、相手のことを慮って、モノを言うことができないっていうことがよくあると思うんですね。それは日本人の素晴らしいことだと思いますが、今は言わないといけないことがあるなと思っています。だから“勇気を持って言葉にしてみると、分かり合えることがたくさんあるはずだ”という気持ちを込めて、作った曲です」

※ここで、放送では“Blackbirdがないた時”を聴いていただきました。

YUKI'S MONOLOGUE 〜ゆきちゃんのひと言〜

 子供ばんどのニュー・アルバム“ロックにはまだやれることがあるんじゃないのか”というすごく印象的なタイトルですが、うじきさんがおっしゃっていたように、“ロック”の部分を変えれば、全ての方へのエールになりますよね。みなさんだったらどんな言葉を入れてみますか?
 私は「“私には”まだやれることがあるんじゃないのか」と言い換えて、自分を叱咤激励したいと思います。

INFORMATION

ロックにはまだやれることがあるんじゃないのか

ニュー・アルバム
ロックにはまだやれることがあるんじゃないのか

 Masterd Records/LNZM-1094/5/定価3,400円

 うじきさんがフロントマンを務める“子供ばんど”の結成35周年となる今年にリリースされたアルバム。力強いメッセージで勇気付けられる1枚となっています!

ライブ情報

 そのアルバムの発売を記念したライヴが行なわれます。

◎11月4日:名古屋・Electric Lady Land
◎11月6日:大阪・OSAKA MUSE
◎11月7日:京都・拾得

 また、12月3日には原宿・クロコダイルでもライヴを行ないます。こちらは200人限定! こちらのチケットはクロコダイルの電話予約のみとなっています。

◎クロコダイルの電話番号:03-3499-5205

◎詳しい情報:子供ばんどのオフィシャル・サイト

今週のオンエア・ソング

オープニング・テーマ曲
「GRACIAS / LARRY CARLTON」

M1. イージュー☆ライダー / 奥田民生

M2. Shameless People / 子供ばんど

M3. IT’S SO EASY / LINDA RONSTADT

M4. ARE YOU GONNA GO MY WAY? / LENNY KRAVITZ

M5. もう一度世界を変えるのさ / シアターブルック

M6. Blackbirdがないた時 / 子供ばんど

エンディング・テーマ曲
「THE WHALE / ELECTRIC LIGHT ORCHESTRA」