2016年4月2日

  ザ・フリントストーン25年目に突入!

「地球元気村」風間深志〜小笠原、そしてモンゴル

 今週のベイエフエム/NEC presents ザ・フリントストーンのゲストは、風間深志さんです。

 1992年4月に始まったこの番組も、今週の放送から25年目に突入しました。“自然”と“環境”をテーマに、放送回数は今回でなんと1,240回目! たくさんのゲストの方にご出演いただいてきましたが、その記念すべき第1回目のゲストは冒険ライダーで、NPO法人「地球元気村」の大村長、風間深志さん。
 今回はそんな風間さんを再びお迎えし、最近訪れた小笠原諸島、そしてここ数年、風間さんが力を入れてらっしゃるモンゴル・ゴビ砂漠での植林活動のお話などうかがいます。

ジャンプをバンバン!?

※風間さんはオートバイによる史上初の北極点、そして南極点への到達ほか、日本人で初めてパリ・ダカール・ラリーに参戦するなど、冒険家としての輝かしい実績を持ってらっしゃいます。
 そんな風間さんは最近、小笠原諸島に行かれたそうです。どうだったんでしょう?

「寒い時期に行ってきたよ。東京湾は雪が降っていて、気温は0度。父島、母島に着いたときの気温は26度! Tシャツ1枚の人たちが迎えてくれたね。『母島で子供を産んで育てます!』といって20年前に教員の仕事を辞めて移住した人がいて、ずっと行こうと思っていたんだけど、これまでずっと行けなかったのね。
 どうしてかというと、今のおがさわら丸は2代目で、この7月には3代目が就航するんだけど、それでも父島に行くには片道24時間ぐらいかかるし、母島にはさらに3時間ぐらいかかるんだよ。となると、2日かけて行って、向こうで2、3日滞在して、また2日かけて戻るとなると、1週間かかるんだよ。その“最低1週間”という日程がなかなか確保できないんだよね。国外1週間には行けるのに、小笠原に行く1週間にはなかなか行けないというのも不思議な気がするけど、みんな多分そうだと思う。だからこそ、都民はもちろん、日本人にとって遠いところなんだよね。

 小笠原に最初に行った人はハワイの人みたいで、カヌーに乗ってやってきたみたいよ。そのぐらいハワイと関係があるし、歴史も深いんだよね。
 カヌーって日本が発明したものだと思われていて、伊豆半島に行けば“狩野”という苗字の人がたくさんいて“狩野川”もあって、『あれはカノーだ』っていうカヌーイストもいたりするんだよ。嘘か本当か分からないけど(笑)。今回母島に行ったら資料館があって、そこには150年前のアウトリガーの写真があったんだよ。見たら今と同じで、こんな昔からあったんだということが分かったね。そこでは『アウトリガーのレースを夏の風物詩にするんだ!』ということで、色々な想いで町おこしをやってたね。出し物はホエールウォッチングとかイルカと一緒に泳ぐとか色々なことをやってたよ。ザトウクジラがすごくて、ジャンプをバンバンやってて、めちゃくちゃすごかったね!」

●目の前で見てどうでしたか?

「30トンもある巨体を全身使ってバシャーンって飛ぶのよ! 終わったと思ったら、違うところで違うクジラが同じように飛ぶのよ! 本当すごかったですね」

5時までは外で遊ぶ!?

※風間さんが大村長を努めるNPO法人「地球元気村」、といってもどこかに実際に村があるのではなく、様々な場所でその土地の特徴を生かしたプログラム満載のイベント“地球元気村”を開催しています。風間さんが小笠原に行ったのも、この地球元気村の活動が理由の1つだったそうです。

「『小笠原で地球元気村をやりたい』と、何年も前から言ってくれていたのね。それにこの前、世界遺産にもなったし、地球元気村が目指す“人間の生活と自然の調和”ができているのは小笠原なんだろうなって思ったね。母島の人たちからやってほしいと言ってくれているから、『あそこに持っていったらゴールかな』と思っていたら、まさにその通りだったね。2,000人いる父島も素晴らしいけど、そういう意味では母島の方がさらに素晴らしい!
 父島は町っぽい装いもあるけど、母島はお店も3軒ぐらいしかなく、信号もないから、ある意味では寂しいけど、自然と人間が調和している楽園のような場所なんだよね。だから、そこに住んでいる人たちは、すごく幸せに生きているんだよ。それに、幼稚園の子供たちは“5時まで家に帰らないで外で遊ぶ”という約束を家族としているのね。それは、上のお兄ちゃん、お姉ちゃんたちが下の子の面倒を見ながら遊んでるんだよ。それを見てると、子供たちがすごく元気なんだよね! 
 ふと思い出したのが、山梨県の八ヶ岳のピッコロという自然保育をしている保育園の子供たちの笑顔だったんだよね。草ばっかりで穴ぼこだらけの保育園の校庭でピョンピョン飛び跳ねて、ものすごくたくましく遊ぶんだよ! それに似ていると思ったんだよね」

●自然の中で遊ぶ子供たちの笑顔は同じなんですね!

「そのピッコロの子供たちは4、5歳でも自分たちがどうやって遊ぶかを自分たちで決めてるんだよ。だから、主体性を持って動いているのね。ところが、今の普通の幼稚園の子供たちは“指示待ち児童”ばかりで、先生が決めた遊びで遊んでるんだよね。だから、主体性を持って遊んでいる子たちは自立していて、自分の安全は自分で守っているんだよ。それは素晴らしいと思いましたね。そこに共通した子供たちの表情を見たね。元気だった。

 あと、ペンションに1人で泊まっていたんだけど、夜そこのペンションの人たちはみんな家に帰っちゃって、僕1人しかいなかったのね。朝になるとご飯を作りにきてくれる33歳の女性がいて、その子に『母島っていいですね』って言ったら『ありがとうございます。どんなところがいいですか?』って聞いてきたから、いいところを言っていたのね。その後『母島で生まれ育ったんですか?』って聞いたら『私、ここに来てまだ2年なんです』っていうのよ。
 来たばかりの女性が母島を褒めることに感謝しているということは、その人が母島に誇りを持っているし、自慢できる場所だということをみんなが言えるっていうのはすごいと思うね。別れ難いほどの自然が溢れていたし、夜空はすごかったし、海はどこまでも透き通っていたし、鳥や魚も最高だったね! そんな小笠原は東京なんだよ。

 あと、もう1つ良さがあって、返還後40数年(*)なんだよ〜。だから、そこにいる人たちのジェネレーションが若いんだよね。それに、昔からずっといる人ばかりじゃなく、千葉や厚木、九州など、色々なところからそこに入って新しい生活をしているんだよね。自然と一緒に暮らすことに新鮮さを持って取り組んでいるんだよ。そこには確執とかそういったものはなくて、新しい社会を作っていくんだという気持ちが満ち溢れているんだよ! だから、理想郷が熱く語られたりして、真剣なんだよね。外から来た人たちと住んでいる人たちの温度差がなくて、すごく楽しく話せるんだよね。これからどんな風になるのか楽しみだよね。残すものは残し、新しく取り入れるものは取り入れていって、バランスよくやっていくところが、本当の知恵だったり賢さじゃないかと思ったね」

*註釈:小笠原の返還は1968年6月、再来年に50周年を迎えます。

モンゴルを緑豊かに!

※今週のゲスト、風間さんは2004年に22年ぶりに出場したパリ・ダカール・ラリーで事故に遭い、左足に傷害を負ってしまいましたが、それを機に障害者と健常者が一緒にチャレンジするキリマンジャロ登山を行なうなど、益々精力的に活動されています。
 そんな風間さんが最近とても力を入れてらっしゃるのがモンゴルでの植林。どんなきっかけで始めたんでしょうか。

「最初は “障害者と一緒に冒険しよう”ということで、一昨年キリマンジャロに行きました。次は“障害者のみんなも大冒険しようよ!”ということで、ゴビ砂漠でラクダに乗って砂漠を越えるために行ったのね。
 その冒険の中で、ゴビ砂漠の東の入り口となる“シャインシャンド”という人口7万人ぐらいの街があるんだけど、そこに行ったら植林がとても大切に行なわれていたのよ。それを見て『ただ観光で来て帰るのは失礼だな。ちゃんとやらないといけないな』と思って、2年目からはそっちに重点を置いてやり始めました。地元の先生たちと生徒たち全員で木を学校の周りに植えました。
 誰もが“ゴビ砂漠に植林した方がいいんじゃないか?”と思うかもしれないけど、現地の人たちは『まずは自分たちの住んでいるここを緑豊かなところにしたい』って思っているんだよね。それはそうだよね。だから、みんな幼稚園や学校といった公共施設に木を植えて“緑豊かな市街地を作りたい”という気持ちがあるんだよね。一緒に行っているJICAの人たちの協力もあり、もっと大規模な植林をすることになって、去年も幼稚園で植林しました。そのときにそこの知事さんが『中国の国境の方に行くなら、“ウランバトラフ”という村があって、そこに僕の知り合いの村長がいるから、寄っていってくれ』っていうので、寄っていきました。

 村長さんから『よく来てくれた。ここに5月に植えた防砂林があるんだ。それを見てほしい。なぜこういうことをやるのかというと、温暖化のせいなんだ。この村にはかつてない砂嵐がきていて、遊牧民のゲルが一晩で2メートル50センチも(積もった砂に)埋まってしまうような、そんな数年間が続いているんだ。その現状に見かねて、村の予算5,000万ぐらいのうちの500万近くを使って、1.5キロに渡る距離で4列の木を植えたんだ。見てくれ』ということで、見にいきました。
 すると、既に3分の1が枯れちゃってたんだよね。子供たちが絶やさず水を与えているということも聞いたけど、そのやり方にも問題があったので、今回、植木職人など色々な人を連れていって見てもらいました。すると『こりゃダメだ。50センチぐらいになるまでこの枝は摘んで、上に伸ばしていかないといけないし、そのためには棚を作らないといけないんだよ。これは指導していかないといけないね』っていったんですよ。そこで僕は『じゃあ、今度は2、3ヶ月植林のために来てよ!』っていったら『いいよ!』っていって約束してくれました。
 今度は日本の人たちに声高らかに呼びかけて、募金を集めて、もっとたくさんの人たちを連れてくることを現地の人たちに約束してきました。なので、日本のモンゴル大使館を始め、JICAなどを通じて植林クラウドファンディングで募金を募ったり、水をあげるタンクを作ったりしようと思っています。今は、全寮制の小学生たちに水を絶やさず与えることを約束して、一緒に緑豊かな場所にしようと思っています。今はそんな夢を持っています。

 今、“温暖化”っていう言葉があるじゃない。僕たちはその言葉を知識人の言葉みたいに使っているし、環境問題のことをいうと、広い見識があるように見えるじゃない。でも、モンゴルに行ったら、知識じゃなくて現状としてあるんだよ。遊牧民たちが生計を立てるのに欠かせない羊のエサとなる草がたった5センチぐらいしか生えてない牧草地しかないんだよ。彼らは本当に困っているんだよね。僕たち先進国の生活のツケがああいうところにきているから、そういうところにも目を向けて、僕たちのツケをそういった形で返す活動を、心を込めてやっていきたいと思っています!」

原点に戻ってバイクだ!

※最後に、風間さんが今後、力を入れていきたい活動をうかがいました。

「このところ、僕は冒険と二輪を離して色々やってきたけど、今は二輪に戻ってきてるの。やっぱり原点はバイクなんだよね。最近はバイクに返りながら、ラリーをやったりしています。息子にも『やれよ〜』って言ってきたんだけど、ずっと『嫌だよ』って言ってたのが、今30歳になったこともあってか、やるようになってきたのよ。“バハ1000”というレースに親子で出て5位になりました。今では(息子は)俳優しながらライダーもやってるんだよ。まだそんなに売れてるわけじゃないけど、今年はあのGACKTと共演するということで、躍進を続けてるんだ。多分、50年以上ずっと苦労すると思うから『その覚悟はあるのか?』って聞いたら、『俺は舞台の上からバイクを普及させていきたいんだ』っていってるんだよね。今年は親子で“ダカール・ラリー”に挑戦したいと思っています」

●親子でやると違いますか?

「去年の11月に行った“バハ1000”って、アメリカのバイク会社がバイクを提供してくれたのよ。『なんで日本のマーケットに関係ないのに、やってくれるの?』って聞いたら『アメリカって親子をものすごく応援するんだ。そこに僕らも応援したい』ということだったんだよね。この“バハ1000”を描いた“DUST TO GLORY”っていう映画があるんだけど、その映画へのオファーが来たんですよ! なぜかというと、僕たちが親子で出たからなんだよね。色々やっていると、色々なことが起きるもんなんだね!」

●地球元気村の今後はどんな感じですか?

「地球元気村はやりすぎですよ(笑)。ついこの前も盛岡の次に雫石っていうところがあるんだけど、そこに移住する人たちを集めて新しい街づくりとして、普通の町おこしじゃなく“自然と人間の生活の共存”と“お年寄りも子供も100年後も暮らしていけるようなライフスタイルを作る”ということで、第一歩として参加者を一般募集して、幼稚園を作り、診療所も作ってきました」

●参加された方がいらっしゃるんですね?

「そこでペンションをやっている若い人から、『ここで何ができるのか探しにきた』という都内に住んでいる70代のおじいちゃんなど、色々な人たちが“自然があれば、そこで暮らせるんだ”というものをやってみようという試みが行なわれるような時代になったんですよね。朝起きていい空気を吸いながら、山並みと虹、夕焼けを見ながらオシャレな生活を送ることを実現できないかということで、多くの人たちがやろうとしていますね。」

●今後は、その方向でいい感じに進んでいきそうですね!

※この他の風間深志さんのトークもご覧下さい

YUKI'S MONOLOGUE 〜ゆきちゃんのひと言〜

 いつも笑顔が素敵な風間さんですが、今回は特に息子さんと一緒にバイクレースに出たときの話をされたときの笑顔がとっても輝いていました。これからもずっとそんな素敵な笑顔で私たちに“自然の大切さ”を伝えていって欲しいですね。

INFORMATION

イベント情報

 今年も地球元気村のイベントが目白押し。近いところでは4月30日から5月1日に山梨市の地球元気村ファームほかで“グリーンフェスタ&子どもまつり”を開催。お子さん向けの体験プログラムほか、音楽ライヴや大道芸、地元グルメの屋台など、内容盛りだくさん!
 さらに6月5日には同じく地球元気村ファームで“農に学べ!遊べ! お田植え&梅の収穫体験”イベントが開催されます。

村民募集

 地球元気村では随時、村民を募集しています。村民になると年4回、会報誌が送られてくる他、特典も用意されています。

◎登録料(年間):個人村民 2,000円、家族村民(6人まで)3,000円

ブログ

 風間さんの近況はオフィシャルブログをご覧ください。写真もたくさん掲載されています。

今週のオンエア・ソング

オープニング・テーマ曲
「GRACIAS / LARRY CARLTON」

M1. エイプリル / D.W.ニコルズ

M2. LOCAL BOYS / NA LEO

M3. NEW KID IN TOWN / EAGLES

M4. CALL ME MAYBE / CARLY RAE JEPSEN

M5. THE CHERRY BLOSSOM IN JAPAN / THE LOCH NESS MOUSE

M6. 地球は元気 / 地球元気村の仲間たち

エンディング・テーマ曲
「THE WHALE / ELECTRIC LIGHT ORCHESTRA」