2019年1月5日

白石康次郎、新春熱血トーク!
〜夢とは、好きなことをやり続けること

 今週のベイエフエム/NEC presents ザ・フリントストーンのゲストは、海洋冒険家・白石康次郎さんです。

 白石さんは東京生まれ、鎌倉育ち。現在51歳。1994年26歳の時にヨットで、ひとりでどこにも寄らず、補給もせずに世界一周を果たし、当時の史上最年少記録を樹立! その後も数々のヨットレースに出場している世界的な海洋冒険家です。また、子供たちに自然の尊さや「夢」の大切さを伝える活動も行なってらっしゃいます。
 そして2016年に30年来の夢を叶え、世界一過酷なヨットレース「ヴァンデ・グローブ」に初挑戦! ところが、レース途中でマストが折れるという、とんでもないアクシデントに見舞われ、無念のリタイア。しかし、白石さんは再挑戦への夢を抱き、諦めることなく活動を続け、昨年2018年の秋に、2020年に開催される「ヴァンデ・グローブ」への再挑戦を発表! 国際的なセーリングチームを組んで臨むことになったんです。
 今回は、そんな白石さんの新春熱血トーク! 夢の実現に向けて、ついに動き出した一大プロジェクトと、その野望に迫ります。

新艇で優勝を狙う!!

※この番組とも20数年という長いお付き合い! いつも白石さんからパワーをもらっています。さあ、それでは2019年最初の放送、今年も白石さんにパワーをもらいましょう!

「あけましておめでとうございます!」

●あけましておめでとうございます! 2019年最初のゲストとして白石さんをお迎えできて、本当に嬉しいです!

「光栄です、ありがとうございます!」

●きょうは新年にふさわしく、白石さんにたくさん、夢があるお話をしていただきたいなと思っています!

「まぁ、人間がおめでたいからね! “歩くパワースポット”って言われているからね」

●きょうは電波にそのパワーを乗せていただいて(笑)、リスナーの皆さんにもパワーを感じてもらえたらと思うんですが、まずは昨年2018年の秋に、世界一過酷なヨットレース“ヴァンデ・グローブ”への再挑戦を発表されましたよね! 今回は初挑戦の時と比べると、条件的にも飛躍的にパワーアップしたということなので、ぜひ、その辺りを詳しく教えてください。

「あのね……奇跡だね。ついに奇跡が起きましたね。今までは僕、世界を3周も4周もしてきたんですけど、ずっと中古艇だったんですね。資金がなくて中古艇を買って……。まぁ、出場するだけでギリギリな状態だったんですが、今回はDMG MORIさん(=DMG森精機)という素晴らしいスポンサーを獲得というか、一緒に仲間になってくれて、森社長が“じゃあ白石くん、新艇でいこう!”ということで、ついに私! 白石康次郎、生まれて初めて新しい艇、新艇に乗ることになりました! 
 チーム体制も素晴らしくて、これはもう発表されたんだけど、次のヴァンデ・グローブのバジェット、つまり資金は20億円! もう今までとは桁が違います! ようやっと、勝てるチーム、優勝を狙えるチームを今、構築しつつあるということでございます。本当にありがとうございます、これはみなさんのおかげです!
 この番組も長いですよね! 25年ぐらいになるのかなぁ、僕のことをずっと応援してくれて……。やっと新しいチームができて、その報告ができたことが嬉しいです」

●我々スタッフも白石さんのことをずっと応援させていただいていたので、本当に嬉しいです! 改めて、ヴァンデ・グローブがどれだけ凄いレースなのか、教えてください。

「ヴァンデ・グローブっていうレースは簡単にいうと、たったひとりで、60フィート、つまり約18メートル、バス1台分ぐらいの大きさのヨットに乗って、フランスから出航して、どこにも寄らない、無寄港・無補給で地球を一周して、またフランスまで戻るレースですね。昔は“80日で世界一周”なんてジュール・ヴェルヌの小説でも言っていたけど、今はそれを切ります! 前回のトップは74日でゴールしましたから、風だけの力でたったひとりでも74日を切るスピードで帰ってくるという、世界一過酷な、大きなヨットレースですね。お客さんも前回は大会期間中、225万人来たの! フランスではもう、巨大なイベントになりましたね」

●74日で、自然の力だけで世界一周できるんですね!

「ね、凄いですよね! (僕が乗る)次の船は最新艇なんで、それと同じような走りができるんじゃないかと思います」

●前回、この番組にご出演いただいた時に、“最新の船は翼が生えて、飛べるんだよ!”っておっしゃっていて、そんなことがあるんですかと思ったんですけど(笑)、そういう船に乗るんですよね!

「簡単に言うとね、ジェットホイルっていう、半分、空中に浮いて走るような技術があって、それをホイル艇っていうんですね。僕の場合は安全のために重りがついているんで、完全には浮かないんですけど、船を半分浮かせながら走る技術ですね。最先端の船を手に入れることができたんで、きっといい走りができると思いますよ」

●あと、チームを組んだということですが、その辺りは前回とどういう違いが出てくるんでしょう?

「ほとんどメンバーは一緒です。ただチーム体制が、今は十数人で動いているけど、船が完成して動き出すと30人ぐらいのチームになりますね。ヴァンデ・グローブ30艇の中でもトップ5ぐらいの大きなチームですね」

●そうですか! 私、素人なんでイメージができないんですけど、30人のチームでも、乗っているのはひとりなんですよね?

「はい、ドライバーはひとりですね。だからF1で考えてみればわかる通り、ドライバーはひとりで、チーム・ディレクター、プロジェクト・マネージャー、ボートの職人さん、電気やエンジン(を担当する人)、あと広報担当者、スポンサー担当者、ロジスティック……それらを合わせると全部で30人ぐらいですね。非常に大きな、いいチームができると思いますよ」

スローガンは、グローバル1!

※そんな白石さんチームですが、ただ世界一過酷なヨットレース「ヴァンデ・グローブ」に挑むのではなく、あるスローガンを掲げてレースに臨むそうです。一体どんなスローガンなんでしょうか。

「僕らのチームのスローガンは“グローバル1”と言って、DMG森精機が掲げているんですが、DMGっていうのはドイツの会社ね。森精機っていうのは日本の会社。(その2社の)合併でできた、世界最大の精密機器メーカー、加工機器メーカーですね。だから簡単に言うと、オーナーが日本人の森さん。僕らのチームのボスが、イエールさんっていうドイツの人。チーム自体はフランス。ドライバーは日本人。だから国際色豊かだよね、僕らのチームは! それがひとつになって、ヴァンデ・グローブ優勝を目指すということですね」

●日本チームとして出るんですか?

「いや、国際チームかな。チームはもう、混合です。チーム・メンバーは日本人、ドイツ人、イギリス人、オーストリア人、アイルランド人、フランス人、混合ですね」

●なるほど! そういう混合チームが、たとえ優勝まではいかなくても……。

「あのっ!! 優勝してもいいんだよ」

●そうですよね、失礼しました(笑)。

「わざわざ2位になることはないんだから、優勝してもいいんだよ」

●そうですよね! 優勝したら、凄くメッセージが強いというか、今、世界のあちこちで喧嘩が起こっていますけど、それに対するメッセージ性もありますよね。

「そうだね! だから、グローバル1っていうのは、“世界がバラバラの方向に進むんじゃなくて、ひとつなんだよ”っていうメッセージなんだよね。僕ね、このメッセージもとても大好きで、実は船の名前が、芸名は“DMG MORI”になっているんだけど、本名、つまり船籍票っていう、(自動車でいうところの)車検証に載せる本名が“スピリット・オブ・ユーコー V(ファイヴ)グローバル1”なんですね。とてもいい名前をつけていただきました。今までの精神を引き継ぎつつ、世界をひとつにしていこうということです。このチームが優勝したり、いい成績をあげられれば、世界はひとつなんだよっていうことがアピールできていいかもしれないね」

●本番のスタートは2020年の11月ですよね?

「そうですね。だからちょうど2年後ですね。スケジュールは結構いっぱいで、今はフランスで船を造っています。今年の9月に完成予定ですね。それからテスト・セーリングに入って、出来れば大西洋横断レースを3レース経験して、その後2020年に入ると、ちょうど東京オリンピックですね。そして僕らは秋の11月にスタートっていうスケジュールです。結構、忙しいですね」

●もう、その船を造っている現場には行かれたんですか?

「行きました! “マルチプラスト”って言う素晴らしい、フランスでもナンバー1の造船所を借りることができたので、いい船ができると思いますよ」

●楽しみですね!

「そうだね! 本当に新艇は楽しみで、逆に新艇だからいろいろなことがあるだろうけど、これから僕らの魂を船に乗っけていくんですね」 

●白石さんご自身はもう、トレーニングとかは始めているんですか?

「はい、今年の2月からポルトガルに行って、僕はホイル艇に初めて乗るんで、ホイル艇の中古を借りてトレーニングを開始します。それで2〜3ヶ月トレーニングした後、6月になって船が完成間近になると、僕がどうしても決めなきゃいけないんですね。なんと今回は……僕のオーダーメイドです!」

●おぉ!!

「だから、僕の体のサイズに船が合っているんです! 嬉しいねぇ!! 今までは中古艇だったからさ。自分の好みの船ができるから、それに専念するという感じですかね。それからはもう、レースに立て続けに出て、本番という感じです」

●どの辺がオーダーメイドになるんですか? 舵(かじ)の大きさとか?

「そうそう、そうです! 舵の配置とか大きさとか、あと人によって身長も手の長さも違うし、好みもあるから、そこらへんをオーダーできるかな。今、チームで揉めているのは、室内をペンキで塗るか塗らないか、ですね」

●そこは大事なんですか(笑)?

「僕は塗りたい派なのよ! (室内は)カーボンだから真っ黒なのよ! それだとちょっと、モチベーション上がんないじゃん。だから僕は“桜色に塗ろうかな”とか、“いや、そんなペンキなんか塗ると重たくなるから塗るな”とか、今後もチームでああだこうだやりながら、可愛い船を育てていこうかなと思っています」

●そういう船ができていく過程も、私たちが見たりすることはできるんですか?

「はい! もちろん、FacebookやInstagramなどにいっぱい上げていきますので、今回は船を造る過程からみんなに楽しんでほしいなと思います」

●我々もそこから見ることができると、本番がますます楽しみになります!

「そうだね。もう、我々の船ですからね。愛情とパワーをいっぱい送ってほしいなと思います」

神様のテスト

※白石さんが夢を追い続けられる、その秘訣をうかがいました。

「“夢”ってなんか大げさでね、“夢を持たなきゃ”とか、そういうことを言うけど、僕ね、夢を追っかけてきたわけじゃなくて、好きなことをやってきたの。それだけ(笑)。自分の心に、“お前、今、何が楽しい?”っていうことを聞くの。“何が楽しい? 何がワクワクする?”その自分の心に従ってきたのね。それが夢なんですよ。堅苦しいことを考えないで、自分が楽しいことをやっていればいいの。好きなことばっかりやっていればいいの!
 ……って言うとね、世間の人は“好きなことばっかりやってちゃダメだぞ”って言うわけ。そいつの顔、見てみな。暗い顔してるよ。俺とどっち、信じる? 好きなことばっかりやっていると、奇跡が起きる。なぜかっていったらさ、自分が楽しくてワクワクしたら、その人が魅力的になるんだよね。一番、自分の本来の力を発揮できるから、それが奇跡とか運を呼ぶと思ってるのね。だから、堅苦しいことを考えないで“よーし! 今年一年、楽しいことするぞ! 今年一年、ワクワクすることをするぞ!”って思えばいいんです。(夢が)ない人は、ワクワクしな!」

●どういう風にワクワクすればいいんですか?

「自分の気持ちを知るために、ヒント! それは、静寂、静か。携帯電話やテレビとかね、そういう、まどろっこしいものを全部、消してみな。
 例えばヨットでなにが一番魅力的かって、自分と向き合う時間が長いんですよ。(艇上には)何にもないでしょ! 何にもないのが、そこにあるんだよ。都会にはないよ、うるさくて! 今は地下でも携帯電話が繋がるからね。“地下だったから……”って言い訳が効かないもんね(笑)。嫌な世界だねぇ! そうすると、自分を見失うの。周りに振り回されて、世間の常識だの、どうのこうのだの……。
 自分の心に聞きな! あなたの最大の先生は自分の心だから。そのためには、静寂が必要だね。まあ、堅苦しいことを考えずに、お風呂の中でもいいよ! ……でも、今はお風呂の中にも携帯電話を持っていくのかなぁ」

●そうなんですよ! 今の携帯電話は防水の機能もありますからね。

「辞めなって! じゃあ、寝る前! 携帯電話をいじって眠りに落ちるの、辞めな! とにかく携帯電話も全部切って、5分でいいよ、静寂の中で、何が一番楽しいか(を自分に聞いてみて)。“嫌だな”って思ったら、それはサインです。何のサインかって言うと、“あなた、思っていることとやっていることが違いますよ”っていうサイン。そうするとね、必ず嫌な気持ちになります。でね、自分の思っていることとやっていることと発言と行動が、全部一致すると、どういう気持ちになるか……楽しくなる! そのままずーっとやっていると、どうなるかっていうとね、白石康次郎になります」

一同「(笑)」

●最終形ですね!

「まだまだ進化しますよ! でね、たまに神様のテストがあります。思ってもみないことが起きます。楽しく愉快にやっているのに、文句を言いたくなることがあります。そういう、神様のテストがあります。それでも文句を言わない。それでも笑うの」

●そういう時に、腐ったりしたらダメっていうことですね。

「そうです。するとどうなるかって言うとね、向こうから20億円来るよ」

●(笑)。

「ということを、僕は証明はできるんだよ。今、話したのっていうのは、本に書いてあることじゃなくて、事実を言ってるのね、“こうなりましたよ”っていう。科学的原因はわからない。計算式に当てはまらないからね。目に見えることではないんで、皆さん、信じなくてもいいですよ! ただ僕はそうだった、というお話ね」

●説得力、ありますよ! だって、白石さんですもん!

「今まで僕と一緒にいて、目の当たりにしてきたでしょ?」

●そうなんです! 私も、白石さんの言葉を信じて結婚したら、よかったです!

「よかったでしょ? たまに神様のテストがあるから。“本当にあなた、そう思っている? 本当にいつも、機嫌よくしている?”という、どうしても不機嫌になるテストがあります。これ、たまにあるね! それでも笑顔にしていると、ちゃんと神様も“わかった、参った。お前の思い通りにしな”って言うから。神様も観念するから。ちょっとやってみて! 簡単簡単、好きなことをするだけ!」

世の中を明るく元気に!

※最後に、2020年のヴァンデ・グローブ出場に向けて、今、白石さんがどんな気持ちなのか、改めてうかがいました。

「楽しみだね! 何でだろうね。理由はわかんなくて、本当に子供の頃からの夢で、ヨットで世界一周しようっていう、その延長線上にあります。それは変わっていないです。ただ、テクノロジーの大きさは変わったのね。今回は最新艇で、さらに面白くなったかな! 今まではスタートするだけで精一杯だったけど、今度はレーシングを楽しめるよ! 優勝を目指してレーシングを楽しめるし、通信網も発達したんで、子供達とのやりとりも楽しめるし、楽しいことがいっぱい増えたかな」

●そこで出会う自然も、楽しいですか?

「そうだね! だから、あまり皆さんが考えているように、たったひとりっていうことはないかな。ひとりっていうことを感じたことがないから。いつも夢と希望があってさ、ライバルがいて仲間がいて、支えてくれる人たちがいて愛艇があって、ワクワクしているからね。だから世界一周ってあまり長いって気がしないんだよね。もう本当に、楽しいことばっかりですね。“今度はどんな旅が待っているんだろう? どんな冒険が待っているんだろう?”っていうのが楽しみですね」

●一応、目標をうかがっておいてもよろしいですか?

「それはもう、勝つことですよ! 完走しないと勝てないからね。まずは完走して、なるべく上位! 今回は優勝を狙えるチームだから、もちろん優勝も狙っていきますよ! 全員優勝したいんだから! できるかできないかは、別! ただ、全員優勝を目指して、我々チームもいい成績を目指して精一杯頑張りますので、ぜひ応援してください!」

●2020年のヴァンデ・グローブという目標が今はありますけど、その先、海洋冒険家として白石康次郎さんは、どんなところに向かっているのかなっていうのも、ぜひ最後に教えてください。

「僕はね、子供の頃から考えるのは、世の中を明るく元気にすることね! それだけ。もう、子供の頃からこんな調子なの。生まれてこのかた、ずっと楽しいの! 太陽のように世の中を照らしたいね! 特に子供たちね。“もっと元気よく遊びな! 人生、楽しいよ! 誰が人生は大変って教えたの? そんなことないよ、楽しいよ。思い通りにならない? そんなの嘘だよ、思い通りになるよ。”ということをね、僕の背中を見てもらってさ、子供たちに元気を出してほしいんだよね。それが僕の目標だから、これに関しては、引退はないね! 形は変わると思うけどね」

●もう本当に、2019年最初に白石さんにお話をうかがえて、私も元気をもらえて、今年は凄くいい年になりそうです!

「なると思う!」

●リスナーの皆さんもきっと、いい年になると思いますよ!

「そう、リスナーの皆さんもいい年になるから! きょう、このラジオを聴いたっていうことは、私のパワースポットの効果がありますから! 元気になりますから! その調子でやってください。今年1年、頑張ってください!」

●今年もよろしくお願いいたします!

YUKI'S MONOLOGUE 〜ゆきちゃんのひと言〜

「好きなことだけやると奇跡が起こる」「好きなことを探すには、静寂の中で自分の心に聞いてみる」そんな白石さんの言葉を胸に刻んで、2019年をワクワクした1年にしたいですね。

INFORMATION

 白石さんの近況については、オフィシャルサイトやFacebook、Instagramをご覧ください。

今週のオンエア・ソング

オープニング・テーマ曲
「(MEET) THE FLINTSTONES / THE B-52's」

M1. SEVEN SEAS OF RHYE / QUEEN

M2. LIVE WHILE WE'RE YOUNG / ONE DIRECTION

M3. POWER TO THE PEOPLE / JOHN LENNON

M4. 旅人-over the wave- / 前田亘輝

M5. 旅人 / GReeeeN

M6. DON'T STOP BELIEVIN'/ GLEE CAST

エンディング・テーマ曲
「THE WHALE / ELECTRIC LIGHT ORCHESTRA」