2007年4月29日

ホクレア号航海プロジェクト・レポート:
ホクレア号が沖縄に到着!〜内田正洋さん電話インタビュー〜

写真提供:ハワイ州観光局
ホクレア号
沖縄・糸満港に係留されたホクレア号

 ザ・フリントストーンが熱く取り上げている「ホクレア号航海プロジェクト」。 これは、復元した古代の外洋航海カヌー「ホクレア号」で、近代器具を一切使わず、スター・ナビゲーションという古代の航海術だけで、ハワイから日本まで航海するというプロジェクトで、ハワイ人と日本人の絆をさらに深め、あわせて、世界の平和と環境保全を訴えるという目的で進められているもの。
 今年1月23日にハワイ島を出航した星の航海士、ナイノア・トンプソンさん率いる「ホクレア号」は、ミクロネシアの島々を巡り、伴走船の「カマ・ヘレ号」とともに、4月上旬にパラオから沖縄に向かい、途中、風がなく停滞した日もあったそうですが、4月24日(火)の午前1時に、無事、沖縄・糸満に入港しました。
 その「ホクレア号」を出迎えるために、沖縄に滞在していたシーカヤッカー、海洋ジャーナリストで、今回のプロジェクトの日本側のキーマンでもある内田正洋さんに電話でお話をうかがうことができたので、その時の模様をお送りします。

●内田さーん! ついに日本に着きましたね!

「着きましたねー」

●着いたのが午前1時だったんですよね?

「はい。真夜中です(笑)」

●相当疲れていらっしゃいますね(笑)。

「待ちくたびれちゃってね(笑)」

●噂では夜中にもかかわらず、大勢の人が出迎えたそうですね。

「うん。来てくれましたよ」

●結構、盛り上がったんですか?

「すごく盛り上がりました。三線が良かったです。ほら貝が聞こえてきて、それに三線で応えてっていう」

●いいですねー! ナイノアさんもクルーも無事でしたか?

ナイノア・トンプソンさん
インタビューに答えるナイノア・トンプソンさん

「みんな元気でした」

●船自体はどうでしたか?

「全然、問題なし!」

●かなり時間がかかりましたけど・・・。

「うん。途中で風がなくなって、ほとんど停滞しているような状態になったんですけど、逆にそのときがすごくよかったらしいですよ」

●えっ!? どういう意味でですか?

「星がキレイで、空と海が星になったみたいな」

●男のロマンってやつですね!

「星に包まれたみたいな感じ? ベタ凪だから海面にも星が映るじゃないですか。それを、タイガー(・エスぺリさん:2005年に亡くなったハワイの伝説のサーファー/カヌー・ビルダー)の友達だった、クレイ・バートルマン(2003年に亡くなった、ハワイの航海カヌー『マカリイ』のリーダー)の娘のポマイが言ってた」

●航海の間中、ずっと星をナビゲーションにして進んでいるだけに、ベタ凪で進めないっていう時が、唯一クルーにとって一息というか、景色が楽しめる時間なんですね。

「そういう感じみたいですよ」

●内田さんはこの後、どうされるんですか?

「この後は横浜までずっと先乗りしたり、現場の調整をしたり、色々とやらなくちゃいけないんですけど、どうなるか分かりませんから、常に臨戦態勢ですね」

●ここまでは、近代器具を使わないスター・ナビゲーションで来ましたが、内田さんは以前、「国内に入ったらスター・ナビゲーションじゃ無理だ」っておっしゃっていましたよね。

「ナビゲーション的には、ここからは全部見えるんですよ。日本国内っていうのは視認できるから。ギリギリなのは奄美からトカラ列島くらいかな。でも、ほとんどは見えますから、スター・ナビゲーションは必要ないっていう世界なんですよ」

●ホクレア号くらいの船だと、このあとの航海は容易いんですか?

(笑い出す内田さん)

●笑っていますね(笑)。

「ホクレア号がこれから経験することは、ホクレアの歴史30年において、初めての海域なんですね。これだけ北へ上がったことは初めてですから。日本の近海っていうのは世界で最も厳しい海なんですけど、その厳しい海にホクレアがさらされるっていうことですから、ナビゲーション的な部分というよりも、海の状況が非常に難しいんですね。だから、これからは緊張する場面が増えると思います」

●このあと、横浜に着いたらフリントストーンも出迎えに行って、ナイノアさんにもお話をうかがいたいと思っているので、そのときに感想なんかを聞きたいと思うんですけど、クルーのみなさんは沖縄に入港したときにはどんな表情をしていらっしゃいましたか?

ホクレア号のクルー

「割と冷静でしたよ。じわじわとこみ上げている感じでしたね」

●では、このあと少しずつ感動が増してくるんでしょうね。

「というか、まだ始まりという感じもあるんですよ。結局、これから日本の海域が始まるっていう緊張感がありますね」

●「やっと着いた」ではなくて、「着いたけど、いよいよここからが更なるチャプターの始まり」という感じなんですね。内田さんは5月10日に『祝い星・ホクレア号がやってきた』という本を出されますけど、一週間くらいで書き上げたそうですね?

「もう必死こいて書き上げましたよ(笑)。結局、ホクレアが来る意味っていうのが難しいですから、それをうまく説明しておかないといけないかなぁと思って書きました。とりあえずこの本で、ホクレアが辿ってきた歴史とか、日本に与える影響とか、一番大事な意味みたいなものを表現しておかないと理由が分からないから、一生懸命書きました」

●5月10日に出るということで、発売になったらみなさんも是非、読んでいただきたいと思います。このあと、内田さん大変かと思いますが、気をつけてみなさんと旅を続けてくださいね。ありがとうございました。

 「ホクレア号」と伴走船は、沖縄のあと熊本、長崎、福岡、広島、宇和島などを経て、6月中旬に、最終目的地の横浜に到着する予定です。


■「ホクレア号航海2007基金」

 「ホクレア号」の航海の安全と日本国内での滞在を支援することを目的としている基金。ご協力いただける方は、2,000円以上の任意の額を指定口座へお振込み下さい。
 寄付をして下さった方には特典として「ホクレア号航海2007」のオリジナルステッカーや航海の情報が送られるほか、5,000円以上の寄付の場合、「ホクレア号航海2007」のオリジナルTシャツがプレゼントされます。詳細は下記のホームページをご覧下さい。

・ガイアシンフォニー内「ホクレア号航海2007基金」に関するHP
http://gaiasymphony.com/hokulea2007.html

 また、5月10日に「エイ出版社」から発売になる内田さんの新刊『祝い星・ホクレア号がやってきた』。内田さん入魂の一冊なので、ぜひ読んでください。

 今年1月7日のゲストトーク『内田正洋さん・一倉隆さんに聞く「ホクレア号航海プロジェクト」』もご覧ください。


新着情報へ  今週のゲストトークへ  今までのゲストトーク・リストへ  イベント情報へ
今後の放送予定へ  地球の雑学へ  リンク集へ  ジジクリ写真館へ 

番組へのご意見・ご感想をメールでお寄せください。お待ちしています。

Copyright © UNITED PROJECTS LTD. All Rights Reserved.
photos Copyright © 1992-2007 Kenji Kurihara All Rights Reserved.