2010年7月4日

島系環境ライター・有川美紀子さん
小笠原電話レポート第13弾(最終回)・2010年6月編

有川美紀子さん
 THE FLINTSTONEでは2009年6月から、小笠原で“島系環境ライター”として活動されている有川美紀子さんに小笠原特派員として、月に1回、電話でレポートを入れていただいているんですが、今回で最終回となります。今回はどんなことをレポートしてくれるのでしょうか。早速呼んでみましょう。

●有川さーん!

「はい、1年間お世話になりました。ありがとうございました。」

●こちらこそ、ありがとうございました。今回は、どんなお話を聞かせていただけるんですか?

「今、小笠原で1番タイムリーな話題なんですが、世界遺産登録に向けての最後の動きが行なわれている最中です。7月4日から世界遺産登録地として、小笠原がふさわしいかどうかを、国際自然保護連合(IUCN)の担当者が現地調査にやってきています。小笠原は“地形と地質・生態系・生物多様性”の3つについて、他の場所にはない価値があるということで、日本が推薦書を作成してくれたんですが、今回の視察は、その価値があるのかどうか最終判断が下される、1番最後の部分です。登録されるかどうかは、来年の7月まで結果は分からないんですね。なので、今回の2週間ぐらいの視察の結果は、まだちょっと時間がかかるんですが、登録されたらどうなるかと考えると、小笠原にとっては、ものすごく大きな変わり目の1つになると思います。

 ニュースでも、“世界遺産登録に向けて”ということを報道してくれているおかげで、前より頻繁に小笠原の名前が出ていますし、登録されたら、もっと知名度があがると思うので、訪れる人が増えると思うんですね。私が小笠原に対して、1番興味があったのは、こういう機会によって、自分がすごく好きだった“のんびりした小笠原”が変わるのか変わらないのか、小笠原の人がどのように対応していくのかということだったんですけど、実際に暮らしてみて、その答えというのが、実はまだ見えていないんです(笑)。ただ、ひとつだけ言えるとしたら、世の中で小笠原の名前が多く出るようになって、小笠原に住んでいない人達が『小笠原って、こういう自然があるんだ』という興味と知識を持つようになったと思うんですが、小笠原の人達もそういう知識は頭の中にあるんですが、小笠原の自然があまりに身近すぎて、あまり“自然の価値=小笠原の自然”と捉える機会がないように思えるんですね。小笠原の自然が空気のような存在なので、『これが特別なんだ』という風に思えないと思うんです。ですが、世界遺産登録へ向けての準備が始まってから、例えば、あと推定40羽しかいないアカガシラクラスバトという鳥の存在を、40羽しかいないというのに、島の人達は知らなかったんですよ。だけど、国際ワークショップが開かれたことで、その鳥の存在を知られるようになったんですね。あと、先月お話したようなウミドリや、ハトを守るために、野ネコを島の外に出すという運動を始めて、その活動に多くの住民が参加するようになったのは、世界遺産登録が1つのきっかけになっているので、島の人が島の自然を、より深く理解するための大きな取っ掛かりになったのかなと思っています。」

●有川さんは、1年間住んでみて、どうでしたか?

「20年通い続けていましたが、暮らしてみると『島の時間って、こういうものなんだ』という、想像していた以上に懐が深くて、ゆったりしているような時間が流れていて、短期で理解しようとするのとは全然違う流れが、ここにはあるんだなということが1番感じたことですね。だから、何か危ないものがあっても、今すぐ何か手を打つのか、それとも7世代先まで考えて動いた方がいいのか、その答えは、その流れの中にあるのかもしれないと思いました。」

●なるほど。本当に1年間に渡り、様々な、有意義なお話を聞くことができました。1年間お世話になりました。ありがとうございました!

「こちらこそありがとうございました!」

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