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2003. 11/10〜11/13 ゲストトーク(概略)
●藤田さん独特の画風を築くまで
 美大時代は線画ばかり描いていました。今の画風とは似ても似つかないもの
でした。絵はあまり整っているとおもしろくないと思うのです。私個人の意見
ですが、不完全なものに美を感じるのです。人間も完ぺきな人より完ぺきでない
人の方が人間味を感じたりするじゃないですか。絵も同じです。線画ばかり描い
ていたので線画が上手になってしまって、何を書いても整ってしまう。どうやっ
たら線を描かずに絵を描けるのだろうと思って、今の画風に達したわけです。
藤田理麻さん
Profile
 私の場合、絵はほとんど夜夢で見る画像なんです。大学生の頃は実際目で見た
ものを絵に描いていたのですが、次第に変わっていきまして、自分の内部のもの
だけを描くようになったのです。93年くらいからずっとそうですね。だいたい
の夢は覚えています。だから絵に起こす作業をするだけなのです。実際に絵を描
いているときはあまり記憶がないのです。たとえば絵を完成した後に描き上げた
絵を見ながら、あれ、ここの部分どうやって描いたのかしら、と思っても思い出
せないのです。無になるというか、私でない何かが私の中に入って描いているみ
たいな不思議な感覚があります。
画家。NY在住。
フジTV「ワーズワースの庭で・冒険」のタイトル画、NYのナイトクラブや千葉のアグロドームの巨大壁画を手がける他、女性誌での絵や連載エッセイも好評。
また平和運動家としてもイベントをプロデュース、4年かけて制作したチベット民話絵本「ワンダートーク」を2001年に出版、インド近辺のチベット孤児に贈る。
ジョルジオ・アルマーニ・ビジネス・パーソンズ・アワード文化人部門受賞。
藤田さんのHPはこちら
 そういう時の方がいい絵が出来ますね。(映像の)細かいところまで全部見え
るのです。小さい時は、そういうこと(ビジョンが見える)をいいことだとは思
っていませんでしたので、普通に道を歩いていてもいろんなビジョンがフュッ、
フュッと見えていましたが押し殺すようにしていました。大人になってからです
ね、そういうものはもっと表現していくべきものなんだと気づいたのは。今はそ
の感覚をとても大切にしています。
●チベット民話絵本「ワンダートーク」制作秘話
 この絵本をつくったのも実は夢がきっかけなんです。6年くらい前にある夢を
見まして、チベットのために今すぐできることをしなさいという声を聴きました。
当時、私はチベットのことを何も知りませんでしたので、ニューヨークの大きな
図書館に行ってリサーチをしました。そこで50年前に共産党中国に国を侵略さ
れて大変な思いをしているチベット人がたくさんいることを初めて知りました。
 親を亡くしたチベット難民孤児というのがインド付近だけで3万人もいると言
うことを知って、私はただの絵描きなのに何をすればいいのだろう、とずっと考
えていましたが、「そうだ、絵本なら作れる。」と思ったのです。そう思った頃
から、何故か今まで出会ったこともなかったチベット人の人たちにどんどん出会
うようになり輪が広がっていったのです。せっかく絵本をつくるなら、消えつつ
あるチベットの民話を探して、チベットの語源で印刷して、チベットの子どもた
ちにあげようと思いました。
 民話を集めるだけで1年かかりました。お年寄りのチベットの方を探して歩き、
いくつも民話を聞いて結局集まったのは6つくらい。その中から、このワンダー
トークというお話を選びました。内容は、ほら吹きのお兄さんを持って困ってい
る弟が、すばらしい智恵と共に本人がほら吹きをやめていくように導いていく楽
しいお話です。頭ごなしに怒らずに、本人の力でまちがいを気付かせるように持
っていく。それは多分、仏教の何でも自分の力で切り開いていくという根本的な
お釈迦様の教えに基づいていると思うのです。そんなチベット人らしさがすごく
出ているお話だったので、これを本にしたいなと思いました。