2002年8月11日

ケイビングのスペシャリスト・近藤純夫さんを迎えて
〜もう一つのハワイの魅力に迫る〜

今週のベイエフエム/ザ・フリントストーンのゲストは近藤純夫さんです。
近藤純夫さん

 ケイビング(洞窟探検)のスペシャリストとして我々ザ・フリントストーンとはずいぶん永いつきあいの近藤純夫さんですが、最近はハワイにはまっていて、前回、ちょうど1年前に出演していただいたときにも、近藤さんが書いた『ハワイ・ブック〜知られざる火の島を歩く』という本を元にハワイの豊かな自然についてお話をうかがったんですが、この1年の間に近藤さんのハワイへの傾倒はますます深まり、『おもしろハワイ学』という小冊子も“VOL.1 自然編”と“VOL.2 ウォーキング&トレッキング編”と2冊が出版されています。

近藤純夫さんの本

●『ハワイ・ブック』の方にも色々な自然のエピソードが書かれていましたが、『おもしろハワイ学:ウォーキング&トレッキング編』ではオアフ島で7つ、ハワイ島で8つ、カウアイ島で4つ、マウイ島で2つのトレイルが紹介されています。

「ほんのちょっとでいいから知識をもって自然の中に入っていくと、すごく深く自然が見れるんです。緑の葉っぱが黄色くなるとこう、とかがわかるだけですごく楽しいし、満足感が全然違う」

●私が興味を持ったのは本の中で紹介されている竹林。ハワイに竹林があって、日本のものとはちょっと違う、というようなことが書いてあって、知りたいと思ったんですが・・・。

「歩くにはちょっと遠いけど、クルマだと10分でいけちゃうんですよ、ワイキキから。そんな近くに一杯自然があるってことも知れるし、たいていの人、多分80%ぐらいの人はワイキキのショッピング・センターやビーチから出ないと思うんですけど、タクシーでもすぐ着いちゃうから、ちょっとだけこの冊子を見て自然を覗いてみるといいかなと」

●これを見て私もびっくりしたんですけど、ワイキキからすぐのところにもトレイルがあるんですね。近藤さんはワイキキ・ウォーキングなんて、ワイキキ自体にも注目されてますけど。

「ホントに腰が重くて、もうどこにも行きたくないという人でも、ホテルのすぐそばにだってこんなに一杯いろんなものがあるんだってことを知ってもらいたいと思って」

●何度も行っているハワイのリピーターの方々、ホノルル図書館のすぐそばにバード・ウォッチングの穴場があるのをご存知でしたか?(笑)ワイキキの水族館でもかなりのものがチェックできるということ、ご存知でしたか?(笑)普段だと気付きもせず通り過ぎてしまったかもしれないような・・・。

「まぁ、一例でいいますと、ガレリアという免税ショップがあります。これはほとんどの人が見ると思うんですよ。あそこは正面に向かって右手に大きな水槽があって、魚が一杯いる。でも、あぁきれいな魚がいるなで終わっちゃいますけど、ちょっと魚のページを読んでわかった上で見ると、その魚とお友達になったような気分になれるじゃないですか。そういうように、自然を知るということは別の効用があるんです。単に飾りに過ぎないようなものが特別な意味をもって自分と接してくれるような。そういう深い楽しみがあるから、帰ってきてからの満足度が何倍にもなると思う」

●ワイキキからそう遠くないところにあるマノア滝ですか?マノア・フォールズ・トレイルという所要時間約2時間というトレイルもあるんですね。ホノルル市民の間ではすごく人気があるところだということなんですが、近藤さんも書いているように、日本のガイドブックにはほとんど触れられてないんですね。

「そうですね。ホノルル市民だけではなくて白人の観光客の人たちもたくさん来ます。つまり、日本人観光客に対して、トレイルを紹介するという感覚がまずなかったということですね。マノア滝がどうこうじゃなくてね。例えばキラウェアもちょっと歩きますけど、観光バスが入るじゃないですか。マノア滝は観光バス入りませんから、その違いかもしれないですね」

●そう考えると日本人の海外旅行で、歩く場所というのはショッピングするところに限られて、後はバスで移動したりしてバスの中から風景見るとか。トレイルを歩くというのはあまりないですもんね。

「発想があまりないでしょ?ところが日系人が作ったトレイルもあるぐらい。ハワイ、特にオアフは日本人にとってとてもゆかりが深いところなんですよ。トレイルの途中にお地蔵さんがあったりするんですから。歴史の昔から日本人の中には歩くという行為があるわけで、日本人には歩くことって合ってるんですよ。要するに歩くスピードでものを見ると日本人の感覚に入ってきやすいんです。でもバスで回ってるというのは、ノルマみたいなもので、早く着かないかなと思ってたり、寝てたりしますよね。その時間が僕はもったいないと思うんですよね。だったらすぐ近場に行ってゆっくりとして立ち止まりたければ止まって、歩き回りたければ歩いてというほうがずっと楽しいと思いますよ」

●ある種、このマノア滝に行くと友達に自慢できちゃったりして。

「ものすごくポピュラーな場所なんですけどね。日本でいえば江の島のような。ホントにトレイル銀座みたいなところで日本人はほとんどいないけど、人が多いところです。マノア滝の横にも並行して何本もトレイルがありますから、どこでも行ける感じですね。たまたま本ではメインのコースで滝までのトレイルを紹介しましたが、他にも5時間かけて滝に行くコースもあれば、1時間以下のコースもあるし、無数のトレイルがありますから、その中のホントに代表的なものがマノア滝トレイルなんだけど、そんなに有名なトレイルなのに、知らない、もったいない。まぁ、ここには書いてないですけど、マノア滝に入る手前にはおいしいオーガニック・レストランもありますし、ハワイ大学もあって、そこの植物園ではマノア・ハニー、ちょっと濃い色で独特な風味があるハチミツがあったりして、そういうものも食べられる。だから歩くだけじゃなくていろんな楽しみがありますから」

●吹E非チェックして欲しいと思いますが、近藤さんはもう何度となくハワイにいかれて他の島にも行かれてますよね。それでも魅力を感じてる?

「そうですね。これは批判ということではないんですが、例えば5〜10年前に、これからはノース・ショアだ、とかマウイ島だとかっていってましたが、それは場所を提供しているに過ぎないんです。ノース・ショアのホテルにいってそこに泊まれば、今までのイメージとは違うかもしれないけど、ただ違う場所に移動しただけ。まわりを見ないということでは、どこに行っても同じなんですよ。でも、僕はワイキキのど真ん中に泊まってても構わないと思うけど、その近くに一杯いろんなものがあるんだから。それを利用しない手はないなと。そう考えるとオアフ島だけでもまだ10年20年は楽しめると思ってます。僕は主要8島といわれてるところは全部行きましたけど、どれもまた行ってみたいと思う要素が詰まっていて。ハワイってどうしてそんなことを思わせるのかというと、あの島は世界中のどの島と比べても大陸から遠いじゃないですか。遠いということはその島の独自の自然があるということなんですよ。しかも、それと矛盾しているようだけど、逆にポリネシアの人がそうだったように、いろんなものが持ち込まれて。人間もそうですよね。いろんな人種がミックスしてて、何でもあり。だから自然を見るときもすごく素直になれるんですよ。うっ屈したものが何もなくてストレートに自分を出せるし、一つ二つ知ると、その裏、裏、裏ってどんどん見ていけるでしょ?そうすると感動が増幅するんです。日本人、というかわりと忙しい生活を送ってる人がハワイに行くこと多いと思うんですけど、汚れたものが出ていくという言い方する人、多いですよ。で、洗われてもう一回自分のことを考えて、僕もいつも反省して、帰ってくると忘れちゃうんですけど(笑)そういう人多いですよ。で、コツを一つ教えます。こういうところいいですよと僕が薦めたところを一日で全部回ってこようとした人がいたんです。日本人はそういうことから呪文のようにどうしても逃れられない。ハワイまで来たんだから、こことこことここはどうしても押さえておきたいということになっちゃうんですよね。でも、それはやめたほうが絶対得です。1時間かかるところを30分でまわると魅力は10分の1以下です」

●半分じゃなくて、10分の1以下。

「そう。つまり、そこのホントの良さは絶対体験できずに帰ってくることになるから10個行ってもなんの意味もない」

●ただ行っただけ。

「行って記憶には残るかもしれないけど、それ以上のものは何も残らない。行ったということを他人に自慢するのも自己満足かもしれないけど、自分が感動する方がずっと大きいはずですから、だまされたと思って1個か2個に限定して動いて欲しい。これがコツです。時間が一杯あってもゆっくり見て欲しい」

●近藤さんご自身としてはお薦めのところは?まぁ、そのお薦めがこの本に載っているということなんでしょうけど(笑)

近藤純夫さん

「う〜ん(笑)数は絞ってますからね。まぁ、特に好きなのはキラウェアのハレマウマウという大きなクレーターがあるんですけど、このクレーターの崖っぷちにそって、いくつもルートがあるんですよ。これを朝早く、もしくは夕方に歩くとホントに感動します。朝とか夕方ということは硫黄ガスとか水蒸気ガスが出てて、ちょっと枯れた感じのところなんですね。夕方になると空が少し赤紫色になって、ボーと煙が上がってて静かな状態なんですよ。で、たまに鳥が飛んできてね、黙っててもじわっと感動してしまうような良さがあるんです。距離も短いし、高低差が特にあるわけじゃないし、景観が特に凄いということもないんですけど、全体の包み込まれるような雰囲気が大好きで、だからもしハワイ島のキラウェア近くに泊まることがあるんだったら吹E非見ていただきたいなと」

●朝早くか、夕方。う〜ん。
 まぁ、近藤さんはハワイについての本を出すかたわら、ホームページも開設してますよね。

「そうなんです。ハワイの色々なことを本で知らせるのも一つの手なんですけど、インターネットがよく利用されますから、それでもやろうということになりまして、ASTONSというハワイのホテル・チェーンがあるんですが、そこにネイチャー&カルチャーの新しいサイトを立ち上げました。 (http://www.pacificresorts.com/webkawaraban)」

●近藤さん、今ハワイどっぷりですね。

「そうですね。あともう一つ、単行本でトレッキングの本も出すんです。『おもしろハワイ学』の「ウォーキング&トレッキング編」はお子さんでも年配の方でも、どなたでも行けるようなコース設定にしてあるんですが、本のほうでは一泊二日とか、4,000メートルを超えるような山に登るとか、そういうものを全部含めてハワイの山全体の面白さを知ってもらおうと」

●じゃぁ、『ウォーキング&トレッキング』は初心者編。

「そうですね。ただし、中級者でも上級者でもハワイを知ってもらうにはとてもいいと思いますので、トッカカリとして利用してもらえばいいと思います」

●で、今度出る本はちょっとハードに。

「もちろん簡単なコースも入ってますから自分の能力と関心に応じて選んでいただければ。選択肢がずっとたくさんありますから」

●先ほどからハワイの魅力というのをうかがってきたんですけど、近藤さんは「アイランド」ていうものに対してとっても・・・

「はい。そうですね。まだ公にするほど固まってはいないんですが、実はとても凄い発見というのをハワイのフィールド・ワークをやってる中で見つけまして、大学や博物館と共同で調査を続けてるんです。これまで日本人もアメリカ人も含めてポリネシアの南太平洋の島々にあった通説がひっくり返るかもしれないようなことがあるんですよ。島の表の顔と見えてない裏の顔をもう一度全部見直してみたいということをやってるんです。既にいくつか始めてるんですが、そういう見方でタヒチやサモアを見ると、一体どういう歴史をもって今まで生きてきたのか見つめると、意外に凄い面白いことが出てくるんですよ。人間に関わることで一番大きなことはどの島もとっても似てるということなんです。言葉も生活習慣も、神の信仰、音楽、みんなすごく似てるんです。で、すべての島の似ているものをずっと集約してくるとアジアに行き着くんですね。そのアジアから沖縄を経由して日本にもたくさん入ってきている。つまり日本と全然無縁じゃない文化の広がりが太平洋一帯に渡っている。だからそういう意味では、何となく楽しいなってことだけじゃなくて大げさに言えば人類全体を考えたとき、あの島の人々の生活や文化を探るっていうのは、とても面白い内容を含んでるんですよね。そういうことで、今生きている人たちというのは、日本人とは大分違うように見えるけど、バック・ボーンでもってるものが同じならいろんなコミュニケーションしていくうちに、あぁそれ知ってるというようなものが出てくるじゃないですか。そういうことをこれからしてみたいと思ってます」

●また今度はアイランズのスペシャリストとして、そのお話をうかがわないといけないですね。

「また話させて下さい」

 ということで、大きな大きなロマンのヒントを残して今回のトークは終了。近藤さんには、なるべく早くいろんな謎を解明していただいて、また番組に来ていただきたいと思います。

■このほかの近藤純夫さんのインタビューもご覧ください。

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M1. LAHAINA / LOGGINS & MESSINA

M2. カウアイ島ハナレイ / ジェイク・シマブクロ&中田悟

M3. ハワイ島カラパナ / ジェイク・シマブクロ&中田悟

M4. ハワイ島キラウェアボルケーノ / ジェイク・シマブクロ&中田悟

M5. WALKING SLOW / JACKSON BROWNE

M6. マウイ島ワイルア / ジェイク・シマブクロ&中田悟

M7. BEHIND BLUE EYES / THE WHO

〜選曲者たいちのコメント〜
 今週の放送では新しい手法を試みました。ザ・フリントストーンのオリジナル楽曲を作ったのです。ちょうどハワイからウクレレの名手、ジェイク・シマブクロが来日していたこともあって、自然音採集の大家、中田悟さんが録ったハワイの自然音に、ハワイに住んでるジェイクが自由な発想で即興演奏するというのが面白いと思い、スタジオに入って、ザ・フリントストーンのためだけに録音セッションしてみたんです。いい演奏が4曲分上がったので、今週大放出しました(2、3、4、6曲目)。
 3曲目はジェイク自身のアルバム『サンデー・モーニング』に収録されたジェイクのオリジナル楽曲“LOVE IS...”のスロー・ヴァージョンとカラパナの自然音です。
 4曲目はキラウェア火山の夜の表情を切り取った自然音に、ジェイクが“月光”をモチーフにした即興演奏でからむ意欲的な曲になりました。ウクレレのバックでずっと鳴いている虫の音が郷愁を誘いますね。
 そして6曲目、ハワイの自然音とジェイクのウクレレのコラボレーション最後はカーペンターズでおなじみのバカラック作品“クロース・トゥ・ユー”のカバーです。ホンワカと気持ちのいいサウンドに仕上がりました。もしかしたら、ベッドで聴いてた人は思わず眠りに落ちてしまったかも。ANYWAY、こんな実験的な試みにつきあってくれたジェイク・シマブクロさんに大感謝です。またやりたいなぁ、こんなこと。

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