2006年3月5日

漫画家・赤星たみこさんの「川柳でエコ生活」

今週のベイエフエム/ザ・フリントストーンのゲストは赤星たみこさんです。
赤星たみこさん

 環境に優しい生活のヒントやコツを、主婦の立場から発信する人気漫画家「赤星たみこ」さんをゲストに、赤星さん流“もったいない”にスポットを当て、環境に優しいライフ・スタイルについて考えます。この度、赤星さんが発表した『もったいない事典〜「50音エコ川柳」で今日から環境にやさしい生活』というエコロジーな生活に役立つ知識が満載の新刊に沿ってお話をうかがいます。

スーツは大きめウエストで買いましょう!

●前回、赤星さんに出ていただいてから7年以上も経ってしまいました。

「そんなに経ちましたか!」

●その間にも、赤星さんは環境と暮らしに関する色々な御本を出してらっしゃって、最新のものが今年の1月10日に小学館から発売された『もったいない事典〜「50音エコ川柳」で今日から環境にやさしい生活』なんですよね?

「そうなんです。最近、『もったいない』という言葉は忘れられていますけど、私はずっと使っていたんです。というのは、無駄を省くことがもったいなくないことだからなんですね。で、無駄が多いともったいない。それから、理論的に整合性がないことはもったいない。色々ありますけど、やっぱり水を出しっぱなしにして歯を磨いたり、顔を洗ったりするのはもったいないですよ。だって、その間の水は無駄に流れているんですもん。それを止めるのは決してケチ臭いことではなくて、無駄を省く合理的な考えだと思うんです」

●「もったいない」という言葉が本来持っている意味、言葉をもっと大事にしたいですよね。もったいないという言葉があるのに使わないのは、それこそもったいない(笑)。そんな「もったいない」の事典ということで、この御本はあいうえお順で川柳という形で色々な知恵が並んでいるんですけど、川柳を取り入れた理由というのはなんだったんですか?

「5・7・5にすると覚えやすいというのと、紹介している知恵も昔から知られていることが多いんですけど、うっかり忘れていることがあると思うので、それを思いだしやすくすること、それと子供にも教えやすくするように川柳にしてみました」

●御本の帯のところに「簡単すぎてごめんなさい〜ちょっとした心がけ、ささやかな努力の集大成の書」と書いてあるんですけど、本当に今すぐにでも実行できるようなことばかりが書いてありますね。

「そうですね。昔の人だったら誰でも意識せずにやっていたことを、あえて川柳にしてみたんです。若い方は知らなかったっていうことも多いかも知れませんね」

●実際にこういうことを始められたきっかけが、本の最初の方に書いてあったんですが、ゴミ出しのために朝早く起きるのが嫌で始められたそうですね(笑)。

「嫌だったんですよ(笑)。漫画家の生活は夜中に仕事をずっとしていたりするので、寝るのが遅くて、今朝も私、朝8時に寝たんですよ。6時に終わらなくて、7時に終わらなくて、8時に終わったのでパタッと寝ちゃったんです。それで、30分後にゴミ出しになんて起きられませんよ」

●たまたまゴミ出しの時間まで起きていればいいですけど、なかなかそうもいきませんもんね。

「微妙な時間に寝てしまうんですよね。ゴミ出しに起きられないならっていうので、徹夜で起きていたりもしたんですけど、そんな苦しい思いをするくらいだったらゴミを減らしたほうが楽だと思って、ゴミを減らし始めたのがエコ業界、ゴミ減量業界に入ったきっかけです(笑)」

●「エコ業界」って素晴らしいですね(笑)。みんなその業界に属さなければいけないなと思います。この本にはエコ業界らしい、いいこともいっぱいあるんですが、そんな中でも「もったいない」というのがキーワードですから、環境だけに限らないことも載っています。1個あるのが・・・」

『スカートだけ 大きめウエストの スーツ選び』

「これは、私もそうですけど大体人間ってウエストが大きくなるんですよ(笑)」

●その通りです!(笑)

「そうするとスカートが入らなくなって、結局スーツを捨てちゃったり、古着屋さんに売っちゃったりしますよね。古着屋さんに持っていく分にはいいんですけど、下手をすると捨てちゃうっていうこともありますから、長く着るためにはスカートだけを最初から大きめを買っておくんですね。きつくなったら直しに出すっていう手もあるんですけど、私の場合はウエストだけ最初から大きめに出してもらう(笑)。そうすると長く着られます。私、20年前のスーツ着られますよ」

●すごいですね!

「『あの時出しておいてよかった!』って思いましたよ。ウエストだけ5センチくらい出してもらうのね。『出しておいてよかった』って思うことがたくさんありますよ」

●世の中的には普通は着られなくなってしまったら、ダイエットをしようとする人が多いと思うんですけど、赤星さんは全く逆の発想なんですね(笑)。

「そうですね(笑)。ダイエットも色々なことをしましたけど、結局、無駄になったダイエット・グッズとかもたくさんあるので(笑)、それこそもったいない。私、自分で意志が弱いことを知っていますから。最初からウエストを出しておく」

●究極のもったいないを考えると、ワンサイズ大きめのものを買うのが1番長く着るコツなんですね。

「もちろん太らないように体に気を付けるのも大切ですけどね。そこと自分の意志の弱さを秤にかけて、適したほうを選ぶのがいいんじゃないですか」

●己を知ることが大事なんですね。この後は、川柳を御紹介しながら色々とお話をうかがっていきたいと思います。

川柳でエコロジー活動

●ここで、この「もったいない事典」の中であいうえお順に並んでいるエコ川柳の中から、私が気になったものをいくつか紹介させていただきたいと思うのですが、まずはこの川柳です。

『お茶ガラで 掃除し抗菌 いい香り』

「これは昔の人はよくやっていましたけど、お茶ガラを急須から出して手でキュッと絞るんですね。すると、水分が60%くらいになるんですって。で、ギュッと絞ったものを床の端にパパッと撒いて、それをほうきで掃きながら移動をさせて、昔だったら縁側から軒先に掃き出したりする。そうすると、埃がお茶ガラに吸着されて、雑巾がけしたみたいにキレイになりますし、お茶のカテキンなどの抗菌作用もあるし、フラボノイドの香りがほのかにします。ウチなんかはペットがいるので、ペットのトイレの臭いなんかもキレイにとれますよ。家中がほのかなお茶の香りになるの」

●よく、スプレーの消臭剤などでお茶の成分が入っているものが売っていますけど、そういうのは買わなくていいんですね。

「ええ。買わなくても、飲んだお茶のお茶ガラ1回分で十分です。床全体に撒くと思っている人がいるんですけど、そうじゃなくて、床の隅っこに1列にパパッと撒いて、それを掃きながら移動をしていくだけだから、1回分のお茶でいいんですね。だから、スプレーは買わなくていいんです。もったいないですよ。スプレーをやって匂いはとれても埃はとれないわけでしょ。お茶ガラを撒くと、埃もとれていい香りがして、いやな臭いはとれる。もう一石三鳥」

●続いてはこの川柳です。

『まな板も お風呂も拭くだけ カビ知らず』

●お風呂を出たあとに拭くのは私も知っていますし、やっています。でも、まな板を拭くというのはやっていませんでした。

「プラスチックの白いまな板って茶色くなっていますよね。あれは、ごぼうを切ったからだとか、色素が移っているんじゃなくて、カビなんですよ。カビはとにかく水分さえ断ってしまえば、生えにくくなるので、必ず私、軽くでいいので拭いておくんですよ。そうすると、ウチのまな板は20年使っているんですけど、まだ白いままですよ。あと、木のまな板も黒くならずに17〜18年使っていますけど、キレイな木のままです。木のまな板は2つあって、1つは自分でカンナをかけて失敗したんですけど(笑)、1つはカンナもかけずに木のまま使えています」

●私は、まな板ってふきんで拭くことで汚くなっちゃうのかなっていう発想があったので、熱湯をかけてそのまま立て掛けていました。

「熱湯をかけるっていうのはいいんですよ。熱湯をかければバイ菌も一瞬で死にますからね。そのあとに乾いたふきんでサッと滴がたれないように拭いておくとカラッと乾くの」

●続いての川柳です。

『目で選ぶ 触っちゃダメよ 食品は』

●触っちゃうんですよね(笑)。

「そうですね(笑)。大人は何十回も桃でもバナナでも触ったことがあるから、これ以上強い力で触ったら傷むって分かっているのでいいんですよ。お子さんが何も考えずにバッと触るとその食品は売り物にならなくなっちゃう。自宅で触る分にはいいんですよ。でも、お店では絶対に触っちゃダメって子供に教えていただかないと、結局、お店で廃棄処分する食品が増えちゃうんですよね」

●よくお肉とか、ムニュッと指で押した跡がありますよね。確かに面白いので子供の気持ちはわかるんですけど(笑)、穴があいているのを見たりすると「買いたくないな」って思っちゃいますよね。

「そうですよね。すると、お店が廃棄するんですよ。そうやって経費がかかると、そのお店全体のコストもかかるわけですから、安いものを買いたいんだったら、絶対お店で売っているものは傷つけない。お店が儲からないことには商品を安く出してくれないわけですからね。で、自宅に持って帰ってお子さんに心置きなく触ってもらう(笑)。で、これぐらい触ったらビニール・パックが破けるとか、そういうことを自宅で教えてもらう。お店の売り物で教育しないでもらいたいですね」

「罪のゴミ」という意識

赤星たみこさん

●ここでもう1つ、川柳を紹介したいと思います。

『よれよれの 肌着はウエスに 再利用』

●この「ウエス」というのを知らないという方もいらっしゃるかと思うので、どういうものかを説明していただけますか?

「ウエスってボロボロの肌着や古着から作られた雑巾なんですけど、1番多いのは印刷所とかで機械を拭く雑巾なんですよ。あれをいちいち自分達で作っていたのでは間に合わないので、そういう業者が作ったものを買うんですね。それから、ガソリンスタンドとか自動車工場だとかで、色々な汚れたものを拭きますよね。ああいうものを拭く市販の雑巾がウエスっていうんですけど、その原料がみなさんが使ってボロボロになった肌着、Tシャツとか古着が原料になっているんです。これ、何度も洗濯してクタクタになったものほど、水をよく吸ってくれるのでウエスとしては高級品なんですって」

●目一杯ヨレヨレのやつをリサイクルに出すのは有り難がられることなんですね。

「いいことなんですね。だから、ゴミとして捨ててしまうのはもったいない。でも、なかなか肌着とか古着の回収をしてくれる自治体が少ないんですね。なので、学校の子供会で集めたりとか、場所の自治体によって違うので調べていただきたいんですが、是非、古着の回収をやっているところがあったら出してほしいなと思いますね。特に、木綿100%のヨレヨレの肌着はウエスには最適だそうなので、是非、出してほしいですね」

●ここで、赤星さんが本の中でお気に入りの川柳を紹介していただきたけますか?

「私が1番好きなのはこの詩」

『重曹も 用途を吟味し ピッカピカ』

「これが1番好きなんです。今、重曹がすごくブームですよね。重曹は確かに汚れが落ちるんですけど、実は重曹が汚れを落とす仕組みっていうのは、ごく弱いアルカリ性なので、酸性の油汚れを中和して落とすんです。あと、やさしい研磨作用があるんです。でも、アルカリ性がすごく弱いので、ひどい汚れには向かないんですよ。軽い汚れを落としたりとか、鍋の焦げを磨くとか、茶渋を磨くといった分にはいいんですけど、何でもかんでも重曹で落とそうと思うとかなり無理がありますね。だから、換気扇の汚れを落とすときには石鹸を使うとか用途を吟味するといいですね。重曹で3分かけて落ちる汚れが、石鹸だと10秒で落ちるんですね。やはり用途を吟味して理屈が分かったうえで使ったほうがもったいなくない」

●この本で初めて見た言葉で、すごくズキッと胸に突き刺さった言葉が「罪のゴミ」なんです。

「この『罪のゴミ』という言葉は、帯広に講演に行った時に帯広の市民団体の人から『手付かずのまま捨てられる食品、これは罪のゴミだ』って聞いたんですね。で、『うわぁ。こんなにキツイ言葉を使うなんて』って思ったんですけど、やっぱり本来食べるものを手付かずのまま捨てるということは罪ですよ。ウチは庭にコンポストがあるので、生ゴミとかを全部そこに入れているんです。で、『自治体の市の焼却ゴミ処理場に出しているわけじゃないからいいや』って甘く考えていたんですね。でも、『罪のゴミ』という言葉を知って以来、コンポストに入れるのだって、お茶殻とか使い切ったナスのへたとかを入れる分にはいいですよ。だけど、全然手付かずのものを捨てるときに『罪だなぁ』って思うんですよね。実は、私の家ってそういうのがすごく多いんですよ。講演とかもしているくせに、そういう手付かずのままに捨てている生ゴミがすごく多いの。買っておいても、忙しくて『今日、食事するヒマないや』って言って、パッと外に食べに行ったりとかしちゃうし、この日までに食べなきゃいけないのに、講演で2、3日出張になるので食品が使われないまま、冷蔵庫で徐々に腐っていってしまうということが多いんです。でも、『罪のゴミ』という言葉を知ってから、買うときにちょっと心がけるようになりましたよ。今だって罪のゴミはあるんですよ。だけど、前が10としたら、今は8、9とか9.9ぐらいに減っていますね(笑)」

●(笑)。しかも、罪のゴミを減らすために、赤星さんは冷蔵庫に中に入っている食品のレシートを貼っておいて、それを使ったら×印をつけているそうですね。

「そうそう。これは、インターネットで検索していたら、そうしていらっしゃるという方が結構いて、『便利ですよ』って書いてあって、『これはいい手だな』と思って、やるようにウチの夫に言っているんです(笑)」

環境対策は長続きさせることが最大の目的

●この「もったいない事典」に関しては、主婦が楽でもったいないものを削減することが、家計にも地球にも優しくなるんだということが、トータル的なメッセージなんですね。

「そうなんですよ。地球に優しいからといって、ものすごく難しいことをやっても、長続きしない。で、自分にもお財布にも優しくて、ついでに環境にも地球にも優しいということをやったほうが長続きすると思うんですね。この環境問題とかゴミ問題っていうのは、最終的には長続きさせるっていうことが最大の目的だと私は思っているんですね。この地球環境なんて一朝一夕じゃ変わらないですよ。だから、やれることをずっと長くやること、こっちの方が大切で、難しいことを一気にやると絶対、息切れしちゃいますからね。長続きするように楽に肩の力を抜いてやっていただきたいなと思っています。私、こんな偉そうなことを言ってますけど、実はあまりできていないことがいっぱいあるんですよ(笑)」

●(笑)。でも、逆にちょっと安心します。そういう赤星さんがこういうお薦めをするっていうのは、「そんなに難しくもないんだろうな」とか「私でもできるっていうことなんだな」って思えますからね。

「実は私でもできていることを書いているんですよ」

●なので、みなさんも是非、肩の力を抜いてやっていただきたいと思います。この本の最後の方には色々と、ウエスのお話とかこの本にでてくる単語、ホームページの紹介もされていてかなり参考になるので、是非、こちらも見ていただきたいと思います。今回、50音順のエコ川柳という形で紹介されているんですけど、これは第2弾、第3弾ともっともっと増えそうですね。

「江戸コスメっていうか、昔の昆布と布海苔を使ったヘアケアとか、米ぬかを使ったスキンケアとか色々あるので、そういうのもやりたいなと思っています」

●第2弾の時も是非、お話を聞かせて下さい。

「私もその時までにキレイになって、その成果を発表したいと思います!」

●是非、拝見させて下さい! 今日はどうもありがとうございました。


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■漫画家/エッセイストの赤星たみこさん情報

もったいない事典〜“50音エコ川柳”で今日から環境にやさしい生活

新刊『もったいない事典〜“50音エコ川柳”で今日から環境にやさしい生活』
小学館/定価1,260円
 環境に優しい生活のヒントやコツを主婦の立場から発信する人気漫画家の「赤星」さんが“もったいない”無駄を省くために、すぐにでも実行できるでことを覚えやすい川柳で綴った本。
 また本の後半には本編で使われているエコ単語の説明やエコ関連の団体などのホームページも記載。お財布にも地球にもやさしい知恵が満載!

・赤星たみこさんのHP:
  http://www.akaboshi.com/

※尚、「赤星」さんの直筆サイン入り『もったいない辞典』のプレゼント実施中!
 締め切りは3月10日(金)。詳細は「新着情報」をご覧ください。
たくさんのご応募ありがとうございました。発表は発送をもって代えさせていただきます。
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オープニング・テーマ曲
「ACOUSTIC HIGHWAY / CRAIG CHAQUICO」

M1. MUSICOLOGY / PRINCE

M2. WHAT'LL I DO / JANET JACKSON

M3. REMIND ME / PATRICE RUSHEN

ザ・フリントストーン・インフォメーション・テーマ曲
「THE CARRIAGE ROAD / JIM CHAPPELL」

油井昌由樹アウトドアライフ・コラム・テーマ曲
「FLASHES / RY COODER」

M4. THE DISAPPOINTED / XTC

M5. THE 3 R's / JACK JOHNSON

M6. WASTED TIME / THE EAGLES

エンディング・テーマ曲
「THE WHALE / ELECTRIC LIGHT ORCHESTRA」
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