2007年1月14日

シンガー・SAKURAさんのネイチャー・ライフ

今週のベイエフエム/ザ・フリントストーンのゲストはSAKURAさんです。
SAKURAさん

 サーフィンが大好きなシンガー「SAKURA」さんをゲストに、「SAKURA」さんが気にかけている環境問題や、ベイエフエムの特別リポーターとして行く、ベトナム取材のことなどうかがいます。

震災がキッカケで気づいたこと

●SAKURAさんはスイス生まれの大阪 & 神戸育ちでいらっしゃって、その後大学でシアトルに行かれたそうですが、歌はいつぐらいから始められたんですか?

「14歳くらいから歌い始めました。ギターを持って2ヶ月くらいで簡単にコードを覚えたので、それを人の前で発表したくなったんですね。カソリックの学校だったんですけど、ミサとかで歌うようになって、それからは神戸には観光できるところがいっぱいあるので、異人館とかで弾き語りのアルバイトをしたりしていました」

●そんなSAKURAさんがライヴだけじゃなくて、CDを出したいと思ったのは、阪神淡路大震災がキッカケだったそうですね。

「そうです。どっちかというとCDを作るとか、レコード会社と契約するとか、そういうことよりも自分で音楽というものをたくさん歌ったり、色々な楽器の人達との兼ね合いや経験を上げていくためにライヴをたくさんやっていたんですね。で、その中で被災して、その時にライヴハウスもほとんど潰れたし、歌っているっていうことより『今日の水、今日のご飯どうしよう?』っていう状況になったんですね。で、便利な生活も全くないんですよ。電気が3ヶ月止まったでしょ。で、水道が1ヶ月止まったんですよ。だから、1日がかりで水を汲みに、ポリタンクを持って山を越えて行くんですよ。また、水もキレイかどうか分からないけど(笑)、大分登りつめたところから汲んできたり、ご飯は下のほうからお弁当や物資をもらってきたりっていう生活をしている中で、生活だったり文明だったりってすごくもろいものなんだなって思ったんですね。歌にしても、歌っているっていう瞬間はいいんだけど、もし明日命がなくなるようなことがあったら、音楽っていうものを志して、それを形にした証みたいなものが欲しいっていう気持ちが目覚めて、それでCDを作りたいって思ったんですね。で、まずは、インディーでCDを作ろうってなって、その後メジャー・デビューしたりとか色々しました。それが、キッカケですね」

●東京に住んでいると、震災にしても近いようで遠いところで起きた出来事じゃないですか。そうすると、普段、朝起きて仕事をして、ご飯が食べられて、夜布団で寝られてっていう日々をちゃんと過ごせているのはすごいことで、すごく幸せなことなんだなっていうことをあまり実感しないと思うんですよね。

「そうですよね。でも、すごく思うんですけど、神戸とかでも被災した人しか分からないと思うんですけど、トルコで大地震とかあっても、こっちは『へぇー、大変だなぁ。でも、ケアしてもらっているんだよね?』って漠然とした安心感があるじゃないですか。でも、自分達のパニックの度合いを経験しているだけに、『水どうしよう? ご飯どうしよう?』って思うし、みんなが毛布をかぶって、その夜寝るところを探しているっていうパニックを見たからには、そういうことが世の中で起きているっていうニュースを見るだけで、『何かできることないかな?』ってすぐに考えますよね。何かできることがあったらしてあげたい。で、外側にいるから助けられることってあると思うんですよ。だから、それはもう他人事ではないですね。
 で、震災の後は当たり前がない。お皿とかも川で洗ったり、服とかも岩に叩きつけて洗ったり(笑)、川に行ったら女の人がみんな洗濯しているんですよ。でも、電気がついたときの感激っていったら半端じゃなかったですね。水道が復旧したときも、蛇口をひねるとまずドロドロの水が出てきて、そのあと10分くらい流していたらだんだん水がクリアになっていって、それを今の時代に味わえたっていうのは本当に感謝だなって思いますね。
 逆に、命が助からなかった人もいたし、亡くした友達もいましたけど、その分、地球を汚染したりとか、人を傷つけて平気とか、自分の思惑通りに進めたいがために人を無視するとか、そういう誠意のない生き方を完全に切りたいって思ったんですね。自分自身のそういうところも切るって決めているし、人の中でもそう見えて、自分がその人達を止めることができたら、絶対止めたいって思いますよね。何が起きていても他人事じゃない。いじめにしても、戦争にしても、スケールの大きなことから小さなことまで、他所で起きていることっていう自覚はないですね。完全に自分のことですね」

楽しさを咲かせるレーベル、sakura咲楽records

●SAKURAさんは去年の11月に自主レーベルのsakura咲楽(さくら)recordsを立ち上げていらっしゃるんですけど、これはどういう意味合いで設立されたんですか?

「ブッキングからCDを作るところ、プレス会社に発注することから、お店に卸すことまで全部自分でやり始めて、そうやりだしたときにCDも全部手でお渡しするんですね。ライヴをやって人にCDを渡して、サインをさせてもらって、話を聞かせてもらったときに、『こういうときにこういう経験をして、そのときSAKURAさんのこの曲を聴いてすごく頑張れた』とか、『引きこもりの友達がいたんだけど、SAKURAさんのCDを貸してあげたら、近所を歩けるようになった』とか生の声を聞くわけですよ。周りに守っている人がいなくて、1人で矢面に立っている分、直でみんなの声が聞こえるんですね。それから、特に人を励ます音楽であること、すごくプラスのエネルギーが強いもので等身大であるっていうことを、強く心がけるようになったんですね。
 人って生きていると色々なことがあるじゃないですか。ビックリすることとか、苦しいこととか悩みとかある中で、それを乗り越えていって、自分が『もう、これ怖くない』って思えることが幸せなのかなって、生きていて思うんですね。最初から何も起こらないのが幸せって思うと、多分、この世の中って生きていくのにすごくつらい場所だと思うんですよ。だから、私はつらいことがあっても、それをチャレンジとしてこの世の中で遊ぶように楽しく、それをいっぱい咲かせる生き方を私もしたいし、私の音楽からそういう乗り越える力だったり、強さを皆さんにもつけてもらえるような、サポートできるような音楽であればいいなという決心も込めてsakura咲楽recordsにしました。
 私の音楽は家族だったり、カップルだったり、友達だったり、仕事だったり、人間の関係が存在するところで励ましになったりとか、誠実で大丈夫なんだって、人の生活と密接に関係していくような音楽で、背中を押してあげたり、優しくそっと抱きしめてあげたりできる音楽であるかどうかの1点に絞って曲を書いています。特にこの半年はそうですね」

『いつまでも〜すべての人の心へ届けversion〜』

●そんなsakura咲楽recordsからの第1弾、『いつまでも〜すべての人の心へ届けversion〜』というシングルがリリースされました。この曲自体は1998年の1stアルバムに収録されていた曲で、それを今回改めてシングルとしてリリースしたものですが、どういった意図でこのようなリリースになったんですか?

「私としては、アルバムを最初にリリースしようかと思っていたんですけど、独立した時点で自分の状況を認めなきゃと思ったんですよ。『SAKURAの音楽1回は聴いたことあるよ』って言ってもらってもいいくらいの年数、10年間メジャーでやってきているのに、まだ『SAKURA、1回も聴いたことない。誰?』っていう人がたくさんいるんですよね。そこで私が思ったのは、『もう1回、イチからやらんといかん』ということなんですね。10年間何をやってきたか、どれだけ大きなホールでやってきたか、そんなことは関係ない。プライドとかそういうことに邪魔されずに、もう1回イチから人に伝えるっていうことを丁寧にやっていこうって思ったんです。それで独立後はライヴを色々なところでやってきたんですけど、それがあって、とりあえずシングル出そうって思ったんですね。みんなあまり買わないって言われている時代だけど、もう1回リ・スタートっていう意味で、10年間問い合わせが多かったこの曲、『いつまでも』を、10年間通して歌ってきた曲でもあったので、この曲のパワーを信じて、まずシングルを発表して、5月3日にアルバムをリリースする工程で動こうと思ってこれにしました」

サーフィン & ゴミ拾いをして、海で見た現状とは?

●SAKURAさんは逗子にも住んでいらっしゃったことがあって、サーフィンも目の前の海でやっていらっしゃったんですよね。

「はい。贅沢でした」

●都会のサーファーからすればうらやましい限りの環境だったと思うんですけど、サーフィンや海と接することを通して感じたことや学んだことってありますか?

「今、知っていることのほとんどは海が教えてくれたような気がします。地球環境のことを意識するようになったのも、海っていうものがあるおかげだと思うし、私は色々な人から『地球環境のために何ができるでしょうか?』って聞かれるんですけど、その時にまず最初に言うのが『排水溝の向こうに海を見てください。その向こうにまるで海があるかのごとく、排水溝に流すものに対して意識を持ってもらえたら、自分が使っている製品に対しても振り返ることができるし、海にとってよくないものは自分の体にとってもよくないものだから、それを頑なにならずに、いいものに変えていくこととか、柔軟に色々チャレンジしてみてください』って言ったりするので、教えてもらったり意識するところってやっぱり海ですね」

●2006年の夏には日本のサーフ・ポイントを廻るミニ・ツアーもやられたんですよね。

「そうですね。ぶっちゃけ、波乗りしたい口実ですね(笑)」

●そんなことだろうなという気はしていました(笑)。

「逆にそういうふうにしないと海に入る機会を逃してしまうんですよね」

●でも、そう考えると日本って島国なので、サーフ・ポイントっていっぱいあるじゃないですか。SAKURAさんが今回のツアーで廻って、すごくよかったポイントだったり、「こんなふうになっちゃっているんだ」って感じたことってありましたか?

「例えば、湘南などは夕方にビーチクリーンをしたり、みんなの意識が高いんですけど、すごく気になったのが、前の年もなんですが、下田の方に行ったときは毎回、白浜の汚さにげんなりしますね。海自体はすごくキレイなんですけど、ビーチの後ろにコンビニがあるんですよ。コンビニがあるから多分、お客さんはコンビニの店員さんが拾ってくれるって思っているのかもしれないですけど、コンビニで買ったお弁当を浜で食べて、『海、キレイだねー』って言って、弁当の容器をコンビニ袋に入れ、縛って浜に置いているんですよ。それが、尋常じゃない数あるんです」

●コンビニに行けばゴミ箱もあるのにね。

「でも、コンビニのゴミ箱はいっぱいでゴミで溢れかえっているんですね。でも、まだゴミ箱に持ってくる人はマシで、どういう思いで海の目の前で弁当を食べて、『海キレイね』って言って、『じゃあ、帰ろうか』って言って、何でそこにゴミを置いておくねん! っていう(笑)」

●「包んで結わくくらいだったら自分で持って帰れや!」ってね(笑)。

「本当にそうですよ。『誰がこのゴミを片付けると思ってんねん!』みたいな(笑)。それが、いちいち毎年の夏衝撃ですね。で、常に海に行くときはビニール袋を持っていって、自分の歩くところと、自分の荷物を置いているところだけは拾うって決めているんですね。じゃないと、果てしないから。たまに、ゴミが果てしなくあるビーチがあるんですよ。そこで、ゴミを拾っていると、下を向いている人がいたりしているから、そういう人達は・・・(笑)」

●思い当たることをしているのか、「あっ、あれ俺が捨てたゴミ」って思っているかですよね(笑)。

「あそこ、どうなっているのか調べたいと思うんですけどね。近くにサーフ・ショップもあるんですけど、海に来る人にモラルがないんでしょうかね」

●特に夏は色々な人があちこちから来るから、「他人の浜」っていう感覚なんでしょうね。

「でも、他所から来たら余計にゴミを捨てられないと思うんですけどね。そう思いません?(笑)」

●私はそう思いますよ(笑)。

「そんな、他所から来てゴミを捨てたら怒られるじゃないですか」

●他人の家にゴミを置いていくようなものですからね。

「そうですよ。その手間がなぜできないのかなって思いますね」

●そんな、ゴミを拾いながらのサーフ・ポイント・ツアーは今年の夏も行なわれるんですか?

「そうですね。今年の夏もやりたいです」

次回はベトナム・リポートでお会いしましょう!

SAKURAさん

●SAKURAさんは2月にベイエフエムの特別リポーターとして、ベトナムに取材に行ってくださることになりました。これは、政府開発援助の実施機関である独立行政法人、国際協力機構、JICA(ジャイカ)の活動地の1つであるベトナムを訪れて技術協力や、資金援助を行なっている現場に行って、青年海外協力隊の活動やベトナムの人達の生活などをこの番組でリポートしていただくことになりました!

「イェーイ! メッチャ楽しみです! この話を聞いたときに『これ、あたししかおらんやろ!』って1人で叫んでしまいました(笑)」

●(笑)。ベトナムは初めてですか?

「初めてです。で、説明書を読んでびびっているのも確かです(笑)」

●(笑)。

「メッチャびびっていますよ(笑)。『これ、生きて帰れるの?』って感じのことが説明書に書いてあるんですよ。多分、大げさ目に書いてくれていると思うんですけどね。『こういうこともありますよ』、『ああいうことにも注意してくださいね』って。でも、ベトナムに行ったことがないから、ワクワクと『どこに行くんやろ!?』って気持ちとでとても楽しみですね(笑)」

●(笑)。今回は活動現場の方にも行っていただくんですけど、こんなところ行ってみたいなとか、あんなもの見てみたいなっていうのはありますか?

「私は女性の自立支援にすごく興味を持っていたので、そういう現場が見られたらいいなって思っているのと、子供の教育現場にすごく興味がありますね。あとは、私も被災してすごく苦労をしたお水関係のことはちょっと見てみたいですね。どういうような形で生活のお水を確保しているのか気になりますね。だって、飲んで大丈夫なお水を飲めている人達が20%っていただいた資料に書いてあったんですけど、それ以外の人達はどうやって暮らしているのかとか、どういうふうに水道が引かれたり、安全な水が飲めるようにしているのかということを見させてもらうのがとても楽しみです」

●私達ザ・フリントストーンとしては、SAKURAさんが実際にベトナムに行かれて、改めて番組にきていただいて色々なお話をうかがえるのも楽しみなんですけど、SAKURAさんのことだからきっと、そんなベトナムに行ったならば、そこでインスピレーションを得て、曲を書いてくれるんじゃないかとにらんでいるんですが、その辺はいかがですか?

「ベトナムにもウクレレは持って行きますよ(笑)」

●(笑)。その曲を番組で披露してくれるんじゃないかななんて期待しているんですが・・・(笑)。

「是非、やりましょう!(笑) 私、結構即決派なので、みんなは曲を書くのに何ヶ月もかかるみたいなんですけど、私は申し訳ないんですけど、2日で1曲とか平気で書いちゃうんですね(笑)」

●じゃあ、メイド・イン・ベトナムっていうアルバムができちゃうんじゃないですか?(笑)

「いやいやいや、多すぎますから!(笑)」

●(笑)。色々と大変なこともあるかもしれませんけど、是非、楽しんできて、素敵なリポートを番組でも聞かせてくださいね。

「分かりました」

●今日はどうもありがとうございました。

■このほかのSAKURAさんのインタビューもご覧ください。

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■シンガー「SAKURA」さん情報

最新シングル「いつまでも〜すべての人の心へ届け version〜
 「SAKURA」さんの自主レーベル「sakura咲楽records」からの第1弾シングル。オリコンのインディーズ・チャートで最高位4位を記録した大ヒット曲。定価500円で、全国のTOWER RECORDSやwonderGOO、また「SAKURA」さんのホームページからも購入できるので、ぜひあなたのCDライブラリーに加えて下さい。
 

「SAKURA」さんのライヴ情報
 「SAKURA」さんのライヴが、3月9日(金)、舞浜の「クラブ イクスピアリ」にて行なわれます。詳しくは「クラブ イクスピアリ」のホームページをご覧下さい。
・Club IKSPIARIのHPhttp://www.clubikspiari.com/

「SAKURA」さんのホームページ
 サーフィンが大好きで、ナチュラルな生活を送る「SAKURA」さんのホームページにはディスコグラフィーやライヴ情報などのほか、彼女自身が毎日のように更新しているブログもあり、「SAKURA」さんの近況が手に取るようにわかるので、ぜひ読んでください。
・「SAKURA」さんのHPhttp://www.singer-sakura.com/

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オープニング・テーマ曲
「ACOUSTIC HIGHWAY / CRAIG CHAQUICO」

M1. DO IT / SAKURA

M2. I BELIEVE / SAKURA

M3. いつまでも〜すべての人の心へ届けversion〜 / SAKURA

ザ・フリントストーン・インフォメーション・テーマ曲
「THE CARRIAGE ROAD / JIM CHAPPELL」

M4. FOR THE COOL IN YOU / BABYFACE

M5. HEART AND SOUL / SAKURA feat. LAULA

M6. ONE (Funky Tweak barefoot on the sand version) / SAKURA

エンディング・テーマ曲
「THE WHALE / ELECTRIC LIGHT ORCHESTRA」
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