2008年10月12日

「音楽と自然を愛するアーティストたち」
〜やなわらばー、cocoon、MAKANA〜

今週のベイエフエム/ザ・フリントストーンはやなわらばー、cocoon、MAKANAのインタビューです。

 今週は「音楽と自然」というテーマのもと、石垣島出身の女性ユニット「やなわらばー」、主婦2人組のユニット「cocoon(コクーン)」、そしてハワイの男性シンガー・ソングライター「MAKANA」のインタビューをフィーチャーしてお送りします。

子供や孫にも同じ風景を見せてあげたい:やなわらばー

 最初にご紹介するのは、先月カヴァー・アルバム『凪唄(なぎうた)』をリリースした石垣島出身の女性ユニット「やなわらばー」です。
 ヴォーカルと三線担当の「石垣優(いしがき・ゆう)」さんとヴォーカルとギター担当の「東里梨生(あいざと・りお)」さんという幼なじみのふたり組「やなわらばー」。まずはお2人に生まれ育った石垣島の良さについて聞いてみました。

やなわらばー

東里さん「自分たちも島を離れて気づいたことなんですけど、『海ってこんなに青かったんだな』って久しぶりに島に帰ったときに飛行機から下を見て思ったんですよ。『何これ!? 青い!』ってなって、こういう中で毎日いたんだなぁって。当時は、学校へ行くときも学校の教室からも常に見えていたものだったけど、それに全然気がつかなかったんですね。住んでいるときに意識していなかったものを、今はひとつひとつちゃんと見ることができて、それを感じながら自分たちが想って作った歌を歌ったら、そこで実際にあるものとしっかりリンクするじゃないですか。石垣島の外で島を想って作ったものを、実際の島で歌うっていうのはイメージではないじゃないですか」

石垣さん「幸せに感じるよね。島から離れて作った曲を島に戻って、『夕陽が沈む海の前で歌いたいなぁ』って思ったり、『星空がワーって広がる中で歌いたいなぁ』って夢になってくるよね。もともと住んでいたから、やろうと思えばそういうことはできたはずなんですよ。だけど、その頃は全然気づいていなかったので、島から出て、初めてそういう感覚を持ちました」

東里さん「実際今、色々なところでライヴをしますけど、そういう歌を歌うと、どこにいても青い海が浮かんでくるんですよ。それが実際に島に帰って、その海を目の前にして歌うっていうのは、とても不思議な感覚になりますね。『これを守っていきたい』、『ずっとこれを自分たちの子供とか、孫とかに同じ風景を見せてあげたいなぁ』って思いますね」

そんなお2人はふるさとの石垣島で起こっている問題にも目を向けていらっしゃいます。

石垣さん「石垣島って埋立地がすごいんですよ。普通に自分が歩いている場所で、じいちゃんから『ここは昔、海だったんだよ』って言われると、『えっ!? ここも海だったの?』って驚きますよね。海からは相当遠い場所なんですよ。そのときじいちゃんに聞いて初めて埋立地だったって知ったり、今でもキレイなんですけど、ばあちゃんの話を聞くと、『昔、ここでは海の底が見えた』って言うんですね。でも今も透明なんですけど、底までは見えないんですよね。だから、そういうふうに濁ってきたんだろうなぁって感じるし、自分たちが島を離れて数年しか経っていないのに、島に戻るとちょっと海が濁っているんですよね。昔は、真っ青で『キレイだなぁー』って思えたんですけど、なんとなく海が白っぽくなっていたり、そこにいたはずの魚がいなかったり。実際、自分の家の5メートル前は海だったんですよ。でも、自分が島から出て、都会にいる間にそこは埋め立てられてしまったんですね。昔は家から石を投げたら届くくらいだったのに、今は海が相当遠くへ行ってしまったし、自分の部屋から波の音が毎日聞こえたんですよ。寝るときに波の音が聞こえたのに今は聞こえないし。だから、寂しいというか悲しいし、そういう環境がやりきれないですね」

やなわらばー

東里さん「しかも実際、自分たちが住んでいる実家も埋立地なんですよ。だから、形もどんどん変わっているんですけど、久々に島に帰って、島の人はあまり乗らないけど、グラスボートに乗ってみたんですね。で、とってもキレイなんですね。きれいなサンゴもいっぱいあるんですよ。でも、それだけが目立って、本当はサンゴの死骸もいっぱいあるんですよ。そこだけ見たらすごく悲しかったですね」

石垣さん「サンゴが白くなっているんだよね。でも、知らない人は『白いサンゴ、キレイだね!』って言うけど、実はそれ、死んでいるんですよね。サンゴっていうのは何百年もかけて大きくなっていくものだから、今、死んでしまったということは、自分たちの孫の孫くらいまでいかないと大きくならないだろうし、自分の家が船屋さんなんですけど、海の地図を作っているんですね。昔は海の中にサンゴの村みたいなのがいっぱいあったんですよ。で、色々なサンゴの島がいっぱいあって、そこではどういう魚が見られるっていうのがあったんですけど、今、3分の2は死んでしまっていて、色とりどりのものも全部白っぽくなってしまったし、サンゴって海の中をキレイにするんですよね。だから、サンゴが死んでしまうと、海も濁っているっていうのは、なるほどなって思うし。島に住んでいる人だけでできることもいっぱいあるんですけど、でも、温暖化っていうのは島の人たちだけが頑張っても仕方がないので、仕方なくもないんだけど、日本の人たち世界中の人たちみんなは、その辺を本当に真面目に考えないと、だんだん全てが死んでいきますよね。だから、自分たちに何かできることはないかっていうのは考えますね」

一般の人が地球のことを考えなくちゃいけない時代になった
:本田裕子(cocoon)

 続いてご紹介するのは、PTAの活動を通じて知り合ったヴォーカル担当の「水月悠里加(みづき・ゆりか)」さんとキーボード担当の「本田裕子(ほんだ・ゆうこ)」さんによる主婦2人組のユニット「cocoon(コクーン)」です。
 「cocoon」は結成して8年。これまでにアルバム3枚、ライヴは400回以上と精力的に活動しているのですが、そんな「cocoon」が「日本熊森協会」の活動に共感し、その協会の誕生物語を綴った『クマともりとひと』という冊子の朗読CDを制作。「水月」さんが朗読を担当し、「本田」さん作詞作曲の『たったひとつの地球』という歌が収録されました。
 今回は「本田裕子」さんにその曲を作ったいきさつなどうかがいました。

「cocoon」本田裕子さん

本田さん「友人から『クマともりとひと』の小冊子をいただいて、読んですごく感激したんですね。今、みんな環境問題とか自然保護って言うようになってきているんですけど、これをやり始めたのが中学生だっていうことに私はビックリしたんですね。いわゆる運動家の方とか、環境問題のプロの方ではなくて、中学生が『もうこの地球は危ないんじゃないか』って思ったことから始まったっていうのがすごいと思ったんです。私も環境問題のプロでもないし、自然保護の運動家でもなんでもないんですけど、1人の母親として美しい地球を子供達に残してあげたいっていう気持ちは誰でも一緒だと思うんですね。一般の人たちが地球のことを考えなきゃいけないっていう時代になったっていうことだと思ったんですね。それで、そんなお手伝いができるならって思っていたら、『たったひとつの地球』という歌がふっと出てきたんです。
 私には娘が1人いるんですけど、娘が幸せであって欲しいって願うと、その娘が幸せであるためにはってふと思ったんですよ。幸せであるためには家庭が幸せでなくちゃならない、学校が幸せでなくちゃならないんですけど、その小さな学校や家庭が幸せであるためには、実は地域が幸せでなくちゃいけなくて、ひいては日本が幸せでなくちゃいけなくて、考えれば地球が幸せじゃないと幸せじゃないんだと思ったんですね。地球の裏で起きているような自分と全く関係ないような出来事があったとしても、それが関係ないなんて出来事は1つもないんだっていうのを、『自分の娘が幸せであってほしい』って願うことから思ったんですね。
 で、一番思ったのが、環境保護や自然保護を訴えている方達のところに行って、その方達だけじゃなくて、誰も地球の環境を壊したいとか、海を汚くしたいとか、森を壊したいなんて誰も思っていないので、きれいな地球でいて欲しいって願っているのに、どうしてこんなふうになっちゃったんだろうっていうのが、自分の中で一番思ったことだったんですね。で、サビの部分の『ごめんね』って地球に対して言っている部分がふっと浮かんできて、曲ができたんです。  私のように自然保護とか環境問題について一生懸命考えてきたわけではない、普通の人が考えなきゃいけない時代になったと思っているんですね。ですから、『たったひとつの地球』を聴いて、『私も何かしよう!』っていう初めの一歩になったら幸せだなと思います」

過去の伝統や文化を大切にし、今に取り入れよう:MAKANA

 「音楽と自然」というテーマでお送りしている今週のTHE FLINTSTONE、3組目のアーティストはハワイの男性シンガー・ソングライター「MAKANA」です。
 スラック・キー・ギターの名手としても注目されている「MAKANA」は、8月にニュー・アルバム『UNDER THE SURFACE』をリリースしているのですが、そんなアルバムの中から、番組が注目したのが『SHELLS』、つまり貝殻というタイトルの曲でした。そこでまずはこの曲の歌詞について聞いてみました。

MAKANA

MAKANA「『SHELLS』という曲は、とても美しいけど、空っぽな“貝殻”をモチーフにした歌で、僕にとって貝殻はビーチサイドに建ち並ぶリゾード・マンションを意味しているんだよ。世界有数のリゾート地に建てられたそれらのマンションは、年に一度しか訪れない人や銀行によって所有され、普段は空の状態。家をもてない人がいるような世の中で、普段は人が住んでいない部屋が数えきれないほどある・・・。そんな現状をどうにかしないと、自分たちが価値を見出し作り上げたシステムに、自らが滅ぼされてしまうんじゃないかな。
 ハワイの外からやってくる人は、みんなパラダイスを求め、ある意味、ハワイに逃避しに来る。でもハワイに住んでいる自分たちにとっては楽園である以上に、生きるために持続させなければならない源。自分たちがちゃんとケアしなければ無くなってしまうものなんだ。でも、ハワイに別荘を持つ人々はそういう意識が全くないんだよ。
 実は、今年の初めにカリブのリゾート、セントバーツを訪れたんだ。セントバーツはとても美しいところだけど、そこにいるのは超お金持ちとそこで働く人という2種類の人たちだけで、先住民の足跡は全く感じられないくらい、文化が完全に消えてしまっていたんだ。ハワイもセントバーツと同じ方向に進んでいるような気がするんだよね」

と心配そうに話していました。そんな「MAKANA」は、人々の感情に訴えかけるような歌を書くよう務めているそうですが、実は“SHELLS”という歌を聴いて心を動かされた友人がいたようです。

MAKANA「『SHELLS』という曲ができた時、カウアイ島にいる友人に聴かせたんだけど、実はその友人はカウアイ島の大手開発業者で、僕とはよく意見が分かれる存在なんだよね。その彼女は素晴らしい土地開発をしているけど、そのために周りの地価が上がって、誰も買えない状態になっているんだ。そんな彼女がこの曲を聴いた翌日『これは私のこと? これが私のやっていることなの?』って泣きながら電話してきたんだよ。その言葉を聞いたとき、いい作品を作ったと思えた。作品を通して相手が自分自身を見つめ直すことができれば、その作品は成功したといえるんだ」

と嬉しそうに話してくれました。さて、ハワイといえば、ホクレア号という伝統的なカヌーの復活などによって、ハワイの人々がアイデンティティを取り戻し、今では学校でもハワイの伝統文化を教えるようになったと聞きますが、今後ハワイの人々が進むべき道を「MAKANA」はどんな風に考えているのでしょうか、聞いてみました。

MAKANA「すでに無くしてしまった過去を無理やり取り戻すことはできない。今、我々がやるべきことはハワイの伝統文化の知恵を今に取り入れること。元々ハワイは持続可能なライフスタイルを送っていた。それは生きるために、当たり前のこととして行なってきたんだ。
 現在の原油価格の高騰や環境を考えると“サステイナビリティ”はまさに人間が生き残るためのキーワードじゃないかな。だからこそ、過去の文化から学べることは多いと思う。
 僕はハワイの伝統文化の価値観や芸術の美しさ、自然と密着した表現法が大好きなんだけど、当然、ハワイの人全員が同じ考えとは限らない。そんな中、ホクレアのムーブメントを始め、モロカイでは漁場を守る活動なども行なわれてはいるんだけど、常に企業や政治家と闘わなければならない状況にあるんだ。日本もハワイも島だから、その資源も限られている。だからこそ、みんながそれぞれ個人としての選択をしなければならないと思う」

と話していました。最後に、ハワイと同じように島で暮らす私たち日本人に「MAKANA」からこんなメッセージをいただきました。

MAKANA

MAKANA「何より西洋のメディアをなるべく遠ざけるべきだね(笑)。西洋のメディアは単に企業が物を売りつけようとしているだけにすぎないから、それに躍らされてはいけない。大事なのはカルチャー・アイデンティティを保つこと。若いときは型にはまったものをすべて拒絶しがちだけれど、その『型』が今の自分を形成していることを忘れないで欲しい。カルチャー・アイデンティティを無くし、その文化から自分を切り離してしまうと周りの環境を気づかうことなどできるはずがない。だから自分が何者なのかを忘れないようにすることが大切なんだ」

と話していました。また、今でもハワイの長老たちから色々なことを学んでいる「MAKANA」は、目上の人たち、長老たちをリスペクトすることも大切だといいます。

MAKANA「彼らがいなくなってしまったら、無くすものは大きい。彼らは苦しみながら得た経験をタダで教えてくれ、我々が成長するための知識や知恵を惜しみなく与えてくれる尊い存在なんだということを忘れないで欲しい」

と語っていました。

このほかのアーティスト・スペシャルもご覧ください。
AMY'S MONOLOGUE〜エイミーのひと言〜

 今回のテーマは「音楽と自然」。以前ドキュメンタリー映画『地球交響曲/ガイアシンフォニー』の龍村仁監督が「人間には聞こえないかも知れないけど、この世の存在(バクテリアみたいなものから虫や動物、人間、木も風も水も全部)は全てそれぞれ独自の音楽を奏で、それらの音楽(波動)が共鳴しあって地球上で調和している」というようなことをおっしゃっていましたが、音楽と自然は切り離せないものなんですよね。
 アーティストたちは、人間以外の存在の音楽をキャッチし、私たちにわかりやすい“言葉”に通訳して、更には伝わりやすいようにとメロディーに乗せて届けてくれている・・・私たちが自ら自然の奏でる音楽をキャッチできるよう、意識を向ける手伝いをしてくれている・・・。今回3組のアーティストのお話をうかがい、それぞれの曲を聴いてそんな風に感じました。

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『凪唄』
『ぷれぜんと』

石垣島出身の女性ユニット「やなわらばー」

最新カヴァー・アルバム『凪唄
パパイヤれこーど/AKCY-58039/定価2,300円
 「やなわらばー」の最新カヴァー・アルバム。「風になりたい」や「涙そうそう」など、「海」、「空」、「自然」を感じる曲、全10曲を収録。「パパイヤれこーど」から発売されています。 また、11月5日には、ニュー・シングル『ぷれぜんと』(AKCY-58041/定価1,000円)もリリース!
 更に、10月18日(土)には、「拓殖大学」の「八王子学祭」でのライヴも決定!!皆さんもぜひお出かけ下さい。
 凪唄
 ぷれぜんと

 やなわらばーのホームページhttp://www.ya-na.net/


主婦ふたり組の女性ユニット「cocoon」

朗読CD『クマともりとひと』

朗読CD『クマともりとひと』
株式会社コクーン/COON-0005/定価1,000円
 「水月悠里加」さんが朗読を担当、「本田裕子」さん作詞作曲、NORIKOさんをヴォーカルに迎えた『たったひとつの地球』が収録されている朗読CD『クマともりとひと』。価格の1,000円のうち、300円は「日本熊森協会」に寄付されるそうです。ぜひお買い求め下さい。 購入は、株式会社コクーンの専用ページをご覧下さい。
  HP:http://www.yy-cocoon.com/album/kumamori/kumamori.html

「cocoon」のライヴ予定
11月2日(日)「せたがや駅前・楽市楽座」に出演
11月27日(木)「調布市グリーンホール」に出演

 cocoonのホームページhttp://www.yy-cocoon.com/


ハワイの男性シンガー・ソングライター「MAKANA」

『UNDER THE SURFACE』

最新作『UNDER THE SURFACE
ビクターエンタテインメント/VICP-64382/定価2,520円
 このアルバムには、ヴォーカル・ナンバーやインストルメンタル・ナンバーなど、ハワイの風を感じられる美しい曲を12曲収録。ぜひお聴き下さい。
 

 MAKANAのホームページhttp://www.jvcmusic.co.jp/-/Artist/A018196.html

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オープニング・テーマ曲
「ACOUSTIC HIGHWAY / CRAIG CHAQUICO」

M1. TIME THE CONQUEROR / JACKSON BROWNE

M2. 青い宝 / やなわらばー

M3. 島人の宝 / やなわらばー

M4. たったひとつの地球 / 本田裕子 with NORIKO

ザ・フリントストーン・インフォメーション・テーマ曲
「THE CARRIAGE ROAD / JIM CHAPPELL」

M5. SHELLS / MAKANA

M6. E PILI A NEI AU I KOU ALOHA / MAKANA

エンディング・テーマ曲
「THE WHALE / ELECTRIC LIGHT ORCHESTRA」
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