2009年11月8日
今週のベイエフエム/ザ・フリントストーンのゲストは、風間深志さんです。オーストラリア大陸横断・自転車旅から帰国! |
(注1)※世界保健機関WHOの提唱する「運動器の10年」世界運動(2000-2010年)、英語ではBone and Joint Decade(骨と関節の10年)は、“体の動きをつかさどる運動器の大切さを知り、その運動器の障害・病気を予防し、その治療法の研究を推進しようと展開されているキャンペーン。 HP:http://www.bjdjapan.org/index.html |
●風間さん、おかえりなさい。今回は、「世界保健機関WHO」の「運動器10年キャンペーン」の一環として、オーストラリアに行かれたわけですが、風間さんはこのキャンペーンの公式の国際親善大使として今まで2度にわたり、旅をしてきたわけですけど・・・。
「3度だよ!」
●今回のオーストラリアで3度目ですよね?
「あ、これで3度目か! よく知っていますね、さすがですねー(笑)」
●(笑)。ユーラシア大陸を回られ、アフリカに行かれて、それに続く今回はオーストラリアの自転車横断5000キロだったわけですね。
「そう。簡単だったね! 1ヶ国だから。国境があるわけじゃないしさ。」
●そうですよね。
「そういう意味ではすごく気軽だったけど、広い国だったね。最初は砂漠地帯で、そのうちに森林地帯になって、そして都会になったりしてさ。オーストラリアって、色々あって面白かったね。」
●今回はキャンペーンの一環としてなんですけど、改めてこの「運動器10年キャンペーン」親善大使として、簡単におさらいをお願いします。
「説明? 難しいよ(笑)。運動器って『器』って書くのね。あれがいつもマジックで、『それは何ですか?』っていつも皆さんに聞かれるんだけど、運動機能のことだね。関節とか、膝とか肘とかね。そういう運動機能がうまく動いて、『動く喜び、動ける幸せ』というサブ・タイトルがあるけど、要するにスポーツとか、そういうことだね。
要するに、体を自由に動かして、元気に暮らせる喜びはすごいってことだよね。だからそのための、医療で言えば整形外科の部分に当たる守備範囲だね。そういうところの健康を考えましょうという国際キャンペーンなんだよね。要するに、体は元気が良いっていうことよ! ガハハハ!(笑)」
●元気に体の各部分がうまく機能していることが、本当は凄く幸せだってことですよね。
「そうそう! 僕らのように障害者で、運動機能を損なっちゃた人も、その機能を損なわずに済むように、未然に防ぐような医療技術のレベル・アップ、それから医療処置後のリハビリテーションも含めて、やっぱり『動く喜び、動ける幸せ』ですよ。そういうことをみんなで考えましょうというね。
だから、本当に健康は失ってみて初めてその大きさが分かるということだよね。理論的にも分かっているんだけど、本当にそれを味わうと、皆さんが普通に動けたり歩けたり、立ったり座ったりという動作が普通に出来るということがどれほど幸せか。自由より幸せなんだよ! もっと大事なのは体の自由さだよね。そんなことを事故以来よく考えましたよ。事故以前は何にも考えてないからね。『健康は俺のものだ!』っていうね。『不健康は知らねーや』みたいな。ガハハハハ!(笑)」
●もう、元気元気といった感じで突っ走ってきた風間さんでしたからね(笑)。
「ちょっと深くなりましたからね(笑)、あれ以来ね。」
●それでこの『運動器10年キャンペーン』としてユーラシア大陸はバイクで行かれたわけですね。
「行ってきた! 10カ国、18,000キロ。」
●その後、アフリカは四輪駆動で・・・。
「10カ国、21,000キロを行ってきました。」
●そして、それに続く今回のオーストラリア。5,000キロって距離だけ考えてもそれほど・・・。
「そう、お手頃サイズ!(笑)」
●(笑)。ただ、今回は自転車なんですよね。
「そう。だからその分、自転車でね。いつもは『自転車なんて冗談じゃねー! 漕ぐなんて冗談じゃねーよ!!』という俺だったんだけど、むしろ怪我してから膝は曲がらないし、力がなくなったからこそ、その膝を使って、脚を使って自転車漕いでみようかなっていう気になったね。」
●電動アシスト付きの自転車で行かれたということなんですけど、私たちも最初に自転車って聞いた時に、『あれ!? 風間さん、傷めたの膝だよなぁ。 大丈夫なのかなぁ!? 漕げるの?』って思いました。
「俺も全然自信なかったよ。多分ダメだろうって思ったよ。でも、行ってみたらなんとかなっちゃったね。で、電動アシストもピッタリのチョイスだったね。普通の自転車だったら、我々、全員障害者だったから、あと1.5倍の期間がかかったかな。それからあと、ひどい坂道もあったんだ。やっぱり時々、傾斜が7パーセントとか9パーセントのとんでもない坂道があったから、そんなところは普通の自転車だったら、時速4キロとかになって降りて歩くことになるんだけど、それをアシストが7キロとか8キロとかに下駄履かしてくれるわけ。『それはこのアシストのおかげだぞ!』と思って、凄く感謝したね。ただ、デメリットもあるんだよ。バッテリーが無限じゃないから、切るんですよね。その場合、普通のロード自転車と比べて重量が倍、20キロぐらいあるわけ。」
●一気に重くなるんですよね。
「それで普通、僕らは30キロぐらいで走りたいわけ。だから、そこからはスポーツ・マンだよね。『頑張るぞ!』って思ってずっと漕いでいた。そこはデメリットを感じながらもね。でも、下を守ってくれるありがたさはやっぱりお年寄りとか、力がない我々には最高のありがたい機能でしたね。」
●今回のオーストラリアの旅は、パースからスタートしたんですよね?
「そう! パースですね。東の都がシドニー、キャンベルだとしたら、西の都がパースだからね。で、南半球でしょ? 寒くてさ、マイナスにはならないけど、気温は7℃とか8℃とかじゃないかな。それでも意外にこっちが用意していく冬の装備は案外いらなかったぐらい暖かかったですね。で、内陸に入ると、砂漠なんだよね。ナラボー平原って知っている? 何といっても500キロの間、1回も曲がらない鉄道が走っているところさ。道も、146キロ、1度も曲がらない場所なんだよ!」
●へぇー!
「ナラボー平原ってすごい平原があるわけ。ここは砂漠だからね、朝の気温が2℃、3℃、4℃。日中は30何℃って、温度差が30℃以上もあったりするわけね。それはちょっと厳しかったね。厳しいけど、それ以上に素晴らしかった。毎日広い空とさ、流れる雲と、それからバァーッと地平線まで続く大平原とか、色々な動物とか、カンガルーとかエミューとか、あるいは色々な砂漠の気候に合った植物とか、単調ではあるけど色々移り変わるんだよ。小さな花が咲いてたりとかね。そこを見ながら行く気分は、旅の気分だったねー。」
●また、これが電動アシスト付きとはいっても、自転車で旅をするっていうこと自体がオートバイとか車とかとスピード感がまたちょっと違うじゃないですか。
「そうだね。大体平均、時速22〜27キロ、時々30キロの時もあるけど、そのぐらいだからね。オートバイの最低の半分、もしくは3分の1で走るでしょ? しかも自分で漕ぐから、やっぱり漕いだ分、充実感と移動できる楽しさがあるから、1対1の面白さというかね。でも我々はアシストだから、みんな『アシストじゃん!』なんていうのがあるんだけど、アシストっていうのは、ちょっと漕ぎ出しを助けてくれるだけで、ほとんどは自転車なんだよね。僕らの場合はサポート・カーが全部ソーラー・バッテリーで、充電してくれる車が走ってくれているんだよね。当然、時間が来れば、自転車のバッテリーは切れるんです。大体1回の充電で50キロぐらいもつんだよね。それぐらい走るとまた換えるわけ。そういう意味では『いやぁ、これからはアシスト自転車だな』って思うほどものすごくファンになっちゃった。いいよー! ガハハハ!(笑)」
●(笑)。ねぇー。私も欲しいんですけどねー。
「いいよー! 今は通勤とかで、自転車凄いでしょ? オーストラリアもそうだけど、ヨーロッパもドイツも中心は自転車じゃん。とにかく世の中、ここしばらくは自転車だらけになるんじゃないかな。東京は自転車レーンとかないからね。自転車の環境は世界一遅れてるけどね。」
●東京なんかも少しずつ出来始めてますよね。
「自転車レーンある?」
●でき始めているところはありますよ!
「オーストラリアは全部だよ! 絶対、自転車は守られるし、逆に言えば、歩道は12歳までしか走っちゃいけないんだよ。で、13歳からは車道を走るんだ。それは法律が厳しいからなんだよね。厳しい分、そういう意味では規則が出来ているっていうことは、自転車の交通の権利があるということだよね。日本は『車道を走りなさい』って言っても、車道なんか車がギチギチに走っているから、仕方なく歩道を走るでしょ? 今度は歩道が人だらけで、結局、自転車が走る所がなくて、人とぶつかったり、自転車の事故がすごく多いんですよね。そうすると、外傷医が必要になってくるわけで、このキャンペーンに繋がってくるっていうわけでね。ガハハハハ(笑)」
●なるほど!(笑) じゃあ、運動器という意味で言ったら、自転車っていうツールもこれまで以上にピッタリなんですね。
「まぁ、ピッタリだったね。自転車っていうのは全身の運動機能を使うんだよ。足だけじゃなくて、全身でハンドルをひきつけながら、あるいは左右に振りながら力を足に伝えていくわけじゃない。そういう意味では全身運動だよね。生半可に朝飯を食べていると、すぐバテてきて、10時半頃ヘトヘトになっちゃうんだよ。だから目一杯朝飯を詰め込んでいくわけ。パンなんか5枚ぐらい食べて、朝から思いっきり食べていって、昼飯も思いっきり食べて、それで運動全開でやって、夕飯も食べてだから、これだけ食べたら相当太るだろうと思ったら、食べる代わりに運動もするから、ほらこんなに痩けてるでしょ? 嘘だけど。ガハハハハ(笑)。体重変わらなかった。」
●(笑)。でも、そういう意味で言ったら変わらないっていうこと自体が大事ですよね。
「その代わり筋肉がついたよ。いやぁ、普段の運動不足が一気に解消しましたね(笑)」
●風間さんはオーストラリアって今回で何度目だったんですか?
「オーストラリアは1回横断したことあるんですよ。これは、自転車オートバイでやったのね。今だから話すけど、開発途中の30ccのエンジンをつけたオートバイ。漕ぎながらアシストしてもらうってやつで、横断したことが1回あって、あと、メルボルンでやっているF1の開幕戦をわざわざ観に行ったっていう思い出もあって、今回で3回目で、2度目の横断でした。」
●最初の横断のときと今回の違いってどんなところで感じましたか?
「ナラボー平原なんかは当時、体験したままの場所で『いいなー』って思ったし、今回は海沿いを走ったので南氷洋や、グレート・オーシャン・ロードって名称があるんだけど、素晴らしいものを目に焼き付けてきました。
自転車とオートバイの一長一短っていうのがあって、自転車のほうが遥かに1対1の感覚で、坂を頑張って登った分、下りが気持ちいいとかってフェアな部分ってあるんだよ。ところが、自転車のデメリットもあるんだよ。坂を必死で漕ぐから前の道しか見ていないのね。反対にバイクっていうのは余裕があるから、上り坂でもゆっくりと景色を見ているんですよ。
丸裸で全身に風を受けるって充実感については同じだし、一長一短があるんだよね。必ずしも全部がバイクの負けとは言い切れない。バイクのよさもあるんだよね。それから、自転車は今回、160キロが1日の最高距離だったのね。それが、バイクは同じくらいの頑張り方をすれば460キロくらい走れるでしょ。3倍はいけるね。そのくらい、たくさんの距離も見られるっていう良さもあるんだよね。しかし、今回は自転車の旅だったから、自転車をよしとしましょう! ガハハハ!(笑)
そういう意味では、オーストラリアの自然を隈なく見たし、今回の視点は完全にオーストラリアの医療事情とか、ハンディキャップのある人たちと一緒に行ったから、その辺の工事現場のおじさんが50ドルをくれて『なにか飲んでくれ』って言ってくれたり、みんなの優しい善意にも触れたしね。
やっぱり日本人っていうのは助け合っていくって意味では案外、社会性があるんだけど、表現の仕方が違うのか、欧米ではストレートに伝わってくるので、本当に工事現場の人たちが『お前たち、何をやっているんだ?』って聞いてくるから、『こうだ』って説明をするとパッとお金を差し出すって風景は、日本ではあんまりないなという体験を結構しましたよ。
その欧米社会の分かりやすい表現力っていうのがひとつと、もうひとつは、自然がたくさんあるところに生きている人たちは、人間が安全に生きていくってことに対してもっと敏感だってことさ。日本人は無頓着なんだ。平和が当たり前だし、自然資源はいくらでもあるし、水は不自由したことないし、とかね。そういう意味では、生きるってことにある種、緊張感がないかな。それは、狩猟民族と農耕民族の違いっていうのがあるのかもしれないけど、割合、だだっ広い自然の中に生きている人は生きることに真剣な部分があるよね。そういう生き死に、あるいは健康に生きていくんだっていうことに対しては、『おぉ! 頑張ってくれ!』っていうストレートに背中を押してくれる言葉っていうのがあるね。アフリカもそうだったよね。
ここはあえて言うけど、安全は当たり前、自然があるのが当たり前って世界に生きている我々とは、真剣度が違うって感じがする。僕らは割合そうじゃないですか。教育は先生のやること、安全は警察が守ること、健康は医者がやってくれることっていう、なんでも他力本願で、自立して生きている人が少ないよね。
例えば、我々っていうのは野中の中の一軒家で過ごせるかっていったら、心細くて住めないよね。欧米はそんな家、いっぱいあるじゃん! そうすると、やっぱり自分で生きていくんだよね。すると、周りにワニがいるのか、鷹がいるのか、猛獣がいるのかって、まず動物に関しては無頓着でいられないじゃない? で、ここではどんな害虫がいるのかってこともすごく大事なことだし、自然と常に背中合わせで生きている人っていうのは、逆に優しさも持っているね。」
●今回のオーストラリア旅を全体的に振り返ってみていかがでしたか?
「やっぱり、オーストラリアは自然が多いんだよね。日本の22倍の面積、人口は2,100万人。その自然の中で自転車を漕ぎながら、みんなで確認して、みんなで『そうだなぁ』って大きくうなずいたのが、人間って健康でいることが何よりなんだなぁってことだね。人間の価値っていうのは、元気に生きることだよね。で、元気に生きるっていうことは何かっていうと、ポジティブに生きるってことだね。負けちゃいけないんだよね。生きることに前向きだってことがどれほど大事かってことを学んだね。後ろ向きの中に生きていく世界はない。前向きにしか生きられないっていうのが動物も全ての生きものも共通するところだよね。あちこちでおびただしく轢かれているカンガルーも、水を飲みにやってきて車に轢かれちゃうわけさ。全ての動物も前向きに一生懸命に生きてきた結果死ぬんだけどさ、我々も後ろなんか向いていられないよ。一生懸命前向きに生きるっていうことが大事。で、前向きに生きるってことが結局、厳しい中で生きるっていうことは助け合うってことなんだよね。そういうことを自然が教えてくれたね。」
●やっぱり元気が一番っていうことを改めて感じられた風間さんなんですけど、「運動器の10年キャンペーン」っていうのは、これで3ヶ所まわられましたが、このあとっていうのは続くんですか?
「まず、2月に沖縄から北海道・札幌まで日本縦断します。車イスとか、ハンド・サイクルとか、アシスト自転車とか、100人の障害者で繋いでいくってことをやって、その勢いを買って、ウスアイアっていうアルゼンチンの町から出発して、南米、北米、カナダ、グリーンランド、アイスランド、それから『運動器の10年キャンペーン』の本部があるスウェーデンまで行って、ゴールしようと思っている。来年、2010年で終わり。それで、世界一周終わり。そうしたら、御役御免ですね。」
●じゃあ、来年大変じゃないですか!
「そりゃもう、元気村どころじゃなくて困っちゃったな。どうしようかなと思って。代役をエイミー村長に行ってもらおうかな(笑)」
●おっと!(笑) でも、風間さんは大村長ですから、各村の村長に頑張ってもらいながら・・・。
「そうですよ!」
●じゃあ、来年はフリントストーンには、なかなか出演していただけなさそうですね。
「4月はやってから行きますよ! いつも出させてくれているじゃん!」
●そのあとずっといらっしゃらないじゃないですか。そのときは電話ででも、途中途中で近況報告を入れていただければ・・・。
「そうだね! 電話っていう手があったね。あとは、11月の今頃、帰ってきますよ。」
●全てを終えてね。
「そう。『地球一周した気分はいかがですか?』なんて聞いてくれれば、『4年かけて地球一周をした気分はこうです!』なんて言いたいじゃない!(笑)」
●(笑)。応援しています。今日はどうもありがとうございました。
「みなさん、元気でねー!」
AMY'S MONOLOGUE〜エイミーのひと言〜
生きることに前向きであることが元気の秘訣。確かにその通りですよね。小さな目標でもいいからそれに向かって1日1日を元気に過ごしていきたいものです。 |
冒険ライダー/地球元気村大村長・風間深志さん情報 オーストラリア大陸5,000キロ自転車横断世界保健機構WHOの国際親善大使として「運動器の10年キャンペーン」に参加している風間さんがキャンペーンの一環としてオーストラリア大陸を自転車で横断。その記録は「風間深志オフィシャルブログ」と「asahi.com」で読むことができます。
「地球元気村」情報 日本各地で開催されている地球元気村。今回ご紹介するのは12月6日(日)に「山梨 市民農園 夢ファーム」で行なわれる「大根収穫体験」です。 尚、地球元気村では、随時、村民を募集しています。
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