2011年2月20日
ミニコミ誌「野宿野郎」編集長・加藤千晶さんならではの 野宿の楽しみ方と、野宿をするときの注意点
今週のベイエフエム/ザ・フリントストーンのゲストは、加藤千晶さんです。
2008年5月以来の出演となる、ミニコミ誌「野宿野郎」の編集長・加藤千晶さんは先頃、草思社から「野宿入門」という本を出されました。
今回はそんな加藤さんに、野宿を始めたきっかけや、経験から生み出されたコツなどうかがいます。
野宿をするときには、“下に敷く物”が大事
●今回のゲストは、ミニコミ誌「野宿野郎」の編集長で、先日「野宿入門〜ちょっと自由になる生き方〜」という本を出版した加藤千晶さんです。よろしくお願いします。
「よろしくお願いします。」
●今回の本を出すキッカケとなった「野宿」ですが、なぜ野宿をやろうと思ったのですか?
「中学生の頃から野宿に憧れていて、『高校生になったら、やってみたいな』と思っていたんですね。高校生になってから初めて野宿をしてみたら、それがすごく面白くて『野宿はいいものだ!』と思って、それからずっとやっています(笑)」
●(笑)。ということは、心の中にずっと「野宿をやろう」という思いがあったんですか?
「そうですね。中学生のときは、寝袋を一つ持って、知らないところに行って、そこで寝るということが、青春っぽい活動だと思っていたんです。だから、10代のうちに必ずやっておかないと思っていました。」
●加藤さんは女性なので、女性が野宿をしているのって、なかなかないと思うんですが、周りの反応はどうだったんですか?
「やっぱりビックリされることが多いですね。寝袋に入ってしまえば、男か女か分からないので、朝起きるとビックリされます。」
●野宿は一人でやることが多いんですか?
「最初は不安だったのと、“野宿をするのが青春”だと思っていて、友達と一緒にやるものだと思っていたんです。なので、女友達と二人で野宿をして、面白いと分かったので、次からは一人でしてきました。」
●今では一人で野宿をしているんですか?
「そうですね。基本的には、一人でする野宿が好きなんですが、今では他の人と一緒に近所で野宿をしたりしています(笑)」
●近所で、ですか?(笑)
「公園とかでやったりしていましたね。」
●今までしてきた野宿で、印象に残っている野宿ってありますか?
「何でもそうなんですが、最初に何かを始めたときが印象に残っています。中でも、初めてトイレで寝たときにはすごく感動しましたね。そのときは一ヶ月ぐらい旅行をしていて、ずっと公園のオープンスペースで寝ていたんです。『もうやってられない』と思って、トイレの個室に入って寝たときに、“鍵が閉まる”ということに衝撃を受けました。それは高校生のときなんですけど、未だにそれを払拭する感動がないですね。」
●鍵がかかることって、普通に生活をしていると、当たり前なことじゃないですか。
「そうなんですよね。だから、それって野宿をしてみないと分からなかったことでした。」
●初めて野宿をしてみたときに、トラブルとかありませんでしたか?
「これといったトラブルはなかったんですが、そのときは、まだ野宿のことをよく分かっていなかったので、寝袋だけを持っていって寝たんですけど、野宿はどうも下に敷く物が大事で、下が寒いと、寝袋に入っていても寒いんですね。だからあまりにも寒くて、寝れたものじゃなかったです。そのときに、下に敷く物が大事だということを知って、『下に敷くものがあれば寝れる』と思いました。」
●下に敷くものさえあれば、寝られるということですか?
「そうですね。下に敷く物が大事だと思います。」
“消極的野宿”と“積極的野宿”
●野宿に種類ってありますか?
「仕方なくする“消極的野宿”と、自ら進んでやる“積極的野宿”と、勝手に分類しています。」
●そんな面白い呼び方の種類があるんですね。まずお聞きしたいのは、“消極的野宿”なんですけど、この野宿は、どういった場所で行なわれるんですか?
「終電を逃してしまったりして、家に帰れなくなったときには、野宿をせざるをえないので、その状況によって違うんですけど、駅や公園が多いですね。」
●その駅や公園でも、オススメのところや、ちょっと避けた方がいいところなど、野宿に適した場所ってあるんですか?
「見た目からして、危険がなさそうなところが一番ですね。旅行中でも、公園に泊まりたいと思ったときは、“ゴミが散乱していないか”、“トイレの落書きがなくて、ちゃんと掃除されているか”などをチェックして、『ここは治安がよさそうだな』と判断したりします。」
●トイレの落書きがあると、治安が悪いんですか?
「そうですね。ヤンキーっぽい人たちがいたりします。あと、その落書きが消されていないというのは、トイレの掃除があまりされていないので、人の目が届いていないと思うんですね。」
●トイレの状態から色々と推測できるんですね。あと、旅行などで自ら進んで行なう“積極的野宿”のこともお聞きしたいんですけど、旅先で野宿をするとなると、キャンプのイメージが強いんですけど、キャンプ以外で野宿をするとなると、どういったところで、どういうものを使って行なうことが多いんですか?
「旅行中は野宿をするつもりで行くので、寝袋とマットを持っていって、公園やバス停、無人駅、道の駅、川原など、適当な場所を探して寝ます。」
●ということは、野宿を目的として旅行に行くんですか?
「野宿をするような旅行に行くんです(笑)」
●(笑)。旅行先や寝る場所って、普通の旅行と比べて、選び方が違ったりするんですか?
「野宿をするのに適した場所がありまして、日本だと北や南の地域など、同じような旅行をしている人が集まる場所の方が、地元の人たちが『そういう集まりなんだ』と思ってくれることが多いんですね。あと、春休みや夏休みなど、学生さんが長期休みに入っているときに行った方が怪しまれないと思います。何もない時期に行ってしまうと『こいつは何だ!?』と怪しまれますからね。そう考えると、意外と時期も関係してくるんですよね。」
●ということは、野宿を目的としていることを悟られないようにしたほうがいいということですか?
「そうですね。『この人は大丈夫そうだ』とか、面白がってくれる人かどうかを見極めながら、野宿を目的としていることを小出しにしていって、怒られないようにしていくのがいいと思います。」
●道の駅やバス停などで野宿をするということは、そういうところは野宿をするのに適しているんですか?
「野宿といっても、寝心地がいいところで寝たいじゃないですか。そうなると、家みたいなところがいいんですよね。なので、家みたいな、屋根が付いている箱形の屋根があるところで寝てしまいがちですね。」
●そういうところは、野宿をしていても快適な環境なんですか?
「快適ですね。家と変わらないようなところもあると思います。」
野宿に興味がある人が多いと感じた7年
●加藤さんが編集長を務めている「野宿野郎」ですが、これはどういった本なんですか?
「『野宿って面白いよ』ということを、色々な方に書いていただいているミニコミ誌です。」
●いつごろから発行しているんですか?
「2004年からです。」
●初めて発行してから7年が経ちましたが、周りの反響はどうですか?
「思ったより、野宿に対して興味がある人が多いと思いました。7年といいながらも、まだ7号までしか出ていないので、年に一度のペースですけど、それでも7号まで続けられたということは、野宿に興味がある人がたくさんいるに違いないと思っています。」
●読んだ方からの反応ってどうなんですか?
「時々『野宿をしたいんだけど…』という連絡をいただいたりします。」
●そういうときは、アドバイスをしたり、一緒に野宿をしたりするんですか?
「“誕生日野宿”といって、誕生日に野宿をするという企画を野宿野郎でやっていて、誕生日の日に野宿をしたいという人がいた場合に、一緒に野宿をします。」
●なんで誕生日なんですか?
「誕生日っておめでたい日じゃないですか。『おめでたい日に野宿をするのは、いいことじゃないか』と思いまして、野宿をしながら誕生日を祝うというのは、なかなかないと思うんですね。なかなかしない体験をすると、ずっと忘れないと思うので、やっています。」
●確かに、貴重な誕生日の思い出になりそうですね! 他に、野宿野郎を通じてのイベントってありますか?
「野宿野郎では、6月19日と9月19日を“野宿の日”を決めているんです。」
●なんで“野宿の日”なんですか?
「“6”と“9”が、それぞれ右と左に90度回転させると“の”に見えるんです。なので、6月19日と9月19日を、野宿の日にしているんですが、前日から野宿をして、その日の到来を祝います。」
●“の・19(じゅく)”なんですね(笑)。これからどんどん暖かくなってきますけど、暖かくなってきたら、何かイベントとかありますか?
「近いところだと、お花見の季節にする“お花見野宿”があります。」
●“お花見野宿”ですか。いいですね! 確かに夜桜を楽しんだ後に、電車に乗って帰るのって寂しいですよね。「もう少し桜を見ていたいけど、電車が…」ってなると心苦しいですよね。
「そうですよね。そのときは、そのままその場に寝てしまうのがいいと思います。」
●でも、女性の方が野宿をするには、少し気をつけた方がいいですよね。
「そうですね。たくさんの人がいる状態なら、酔っ払って寝てしまっても大丈夫だと思いますが、一人のときは私も気をつけています。」
●私も野宿をすることになったときには、少し気をつけたいと思います。今回のゲストは、ミニコミ誌「野宿野郎」の編集長で、先日「野宿入門〜ちょっと自由になる生き方〜」という本を出版した加藤千晶さんでした。ありがとうございました。
|