自然/環境にまつわるインタビューや雑学、写真など、番組で放送した内容を随時更新していますのでぜひお楽しみ下さい

2020年3月14日

森の守り人「グリーンセイバー」

 今週のベイエフエム / ザ・フリントストーンのゲストは、NPO法人「樹木・環境ネットワーク協会」の専務理事・中西由美子さんです。

 子供の頃から生き物や自然が大好きだった中西さんは、大学で農学部に進み、サークルで山や森に入り浸っていたそうです。そして、環境コンサルタント会社に勤務後、グリーンセイバーや森林インストラクターなどの資格を取得。現在は「樹木・環境ネットワーク協会」の専務理事としてご活躍されています。
 樹木・環境ネットワーク協会は1995年に設立され、1998年からNPO法人として活動をスタート。全国各地で森づくりや環境教育に取り組みながら「森を守る・人を育てる・森と人を繋ぐ」をテーマに、幅広い活動を行なっています。
 今回はそんな中西さんに、今年から新しくなったという資格検定「グリーンセイバー」について、いろいろお話をうかがいます。

“ネイチャー”と“カルチャー”

※まずは、「グリーンセイバー」という資格について教えていただきましょう!

「いろいろ世の中には環境関係の資格があると思うんですけれども、このグリーンセイバーの資格検定というのは、私たちの協会が設立された1995年から3年くらい経ったあと、1998年に始まった資格なんです。
 いろんな里山の活動ですとか、自然体験のプログラムをやる上で、基本的な自然に関する知識というものが必要になってくるんですね。そういった基本的に必要になってくるものや知識をまずは取得してもらって、生態系とはこういうふうになっているんだとか、植物の生きかたとか、構造だとか、そういう正しい知識を持ってもらうための資格ですね」

●グリーンセイバーの資格検定には3科目あって、今年2020年から新しくなったそうですね?

「今までは、ベーシック、アドバンス、マスターという3段階でステップアップするような体系になっていたんですけれども、そのベーシックとアドバンスを一緒に、中身を統合して、そしてそれを“ネイチャー”と“カルチャー”という、ふたつの科目に分けたということですね」

●ネイチャーとカルチャー、これは具体的にどんな内容になるんですか?

「ネイチャーは、言ってみれば高校の生物で習うような、自然科学系の、理科系の内容になると思うんですけれども、植物の花とか、葉っぱの構造ですとか、あと光合成はどういう風にするかとか、あと生態系はどんな仕組みになっているかとか、そういったことを学ぶ科目です。

 一方、カルチャーは、人と自然の関わりについて学ぶ内容で、植物と人の文化、例えばひな祭りとか端午の節句っていうのはどういういわれ(由緒)で、植物をどんなふうに使ってきたか、とかですね。あと、人々は植物をどう使ってきたか。昔は石油製品がなかったですから、植物から全てを作っていたんですね。そして、何をどんなふうに利用してきたかとか、江戸時代の暮らしはどうだったかとかですね、そういった人と自然の関わりについて学ぶ科目になっています」

●ネイチャーだけとか、カルチャーだけ取得するっていうのも可能なんですか?

「はい、そうですね! どちらから取ってもらってもよくて、“私は自然科学のほうが得意だからネイチャーから取っていきたいわ!”っていう人はネイチャーから取っていただいて、次の年はカルチャーに挑戦してもらってもいい、ということですね。
 今までは、ベーシックに受からないとアドバンスにいけなかったんですけども、今度の改定では、ネイチャーもカルチャーも同等の資格になります」

●なるほど!

「で、この両方を取得すればマスターを受けられる! ということですね」

若い人たちの関心も高い!

※どんな人がグリーンセイバーの資格を取っているのでしょうか。

「これまでのベーシック、アドバンス、マスターは、資格ができて20年以上たちますので、 いろんな人が受けられていますね。
 当初はですね、定年退職後に何か社会貢献をしたいとか、里山で汗を流したいっていうような、60代を中心にした人が多かったんですけれども、最近は若い人も非常に多くなってきています。

 若い人の中に、やはり環境に対して何か出来ないかとか、今の環境の状態に危機感を持っている人も増えてきたっていう流れなのかもしれないですけど、女性とか若い人の受検者も多くなってきたような気がします」

●そうなんですね! 今、全体で何人ぐらいいらっしゃるんですか?

「そうですね、細かい数字はちょっとわからないんですけれども、延べ人数でいくと、全国に3500人ぐらいいらっしゃると思います!」

●グリーンセイバーの皆さんって、働きながらでも活動はできるんですか?

「はい! 実際に私も働きながら資格を取って活動に参加しましたし、活動は基本的には土日が中心なんですね。自然体験プログラムをやるのも大体、土日ですので、本番は土日。
 それまでの準備にグリーンセイバーの皆さんが集まって、打ち合わせをするのは、平日の夕方に事務所に集まってやるとか、そういった形で働きながら参加されている人もたくさんいらっしゃいます」

自然の見え方が変わる

※中西さんはグリーンセイバーのマスターなのですが、なぜ資格を取ろうと思ったのでしょうか。

「最初は“グリーンセイバーを取ろう!”というふうな、大それた気迫はなかったんですけれども、テキストを見て、植物ですとか、自然のことを網羅的に勉強できそうだなと思って、それでテキストを買って勉強したのが始まりですね。
 読んでると非常に面白くて、よくまとまっていて、非常に頭に入ってきたので、それで資格を受けたら運よく通った! ということです(笑)」

●グリーンセイバーのテキストもあるんですね! どれぐらい勉強されたんですか?

「だいぶ前のことで覚えていないんですが、そうですね……半年くらいだったと思います」

●テキストを見て、読んで、覚えて、勉強するという感じですか?

「そうですね。基本的にはテキストの中から試験問題が出るんですね、ですのでしっかりとテキストを勉強すれば受かる! っていうふうに言われていましたので、頑張って読みました!」

●実際にこのグリーンセイバーの資格を取って、いろんな知識がまた増えて……。より自然の中に行くことがすごく楽しくなりそうですね!

「そうですね、私だけじゃなくて、グリーンセイバーになった人の話を聞くと、野外に出たときに見え方が変わってくるというか、違って見えるとかですね、ひとつひとつのそこら辺に生えている花とか木が気になって、思わず見てしまうとかですね、そんなことをお話ししてくださいますね」

忍者の自然体験!?

※「樹木・環境ネットワーク協会」では、子供たちを対象にした自然体験プログラムを行なっているそうです。どんなプログラムなんでしょうか。

「私たちには当初から“子どもワクワクプロジェクト”っていうのがあって、一般の子供たちを集めて、そういった自然体験プログラムをやっています。
 例えば里山のようなフィールドで木を切る体験をしてもらったりとか、あとは虫捕りですね! やっぱり子供たちは動くものが好きなので、夏の間はカブトムシを捕ったり、カブトムシの幼虫を探してもらったりということもありますし。あと夏はですね、綺麗な川で魚を捕ったりすることもします」

●あっ、山だけじゃないんですね!

「以前は里山というか、陸地が中心だったんですけれども、最近は自然体験プログラムをやる場所はバリエーションに富んでいますね」

●ただ捕るだけとかではなくって、ちゃんとグリーンセイバーの方々が教えてくださるっていうことなんですか?

「教えるというか、一緒に遊んでもらうという感じかもしれません(笑)」

●他にどんなものがあるんですか?

「皆さん、忍者ってご存知ですよね? 忍者をモチーフにして、昔の人の生活を体験したり、それをプログラムにして謎解きのようなことをして遊ぶというプログラムをやっています」

●それはどこでするんですか?

「それは昔の、江戸城だった、東御苑の周辺でやりますね」

●へえー! 本当にいろんなプログラムがあるんですね」

「はい、グリーンセイバーの方々のいろんな創意工夫によって、私たちもびっくりするような新しいプログラムがいろいろ出てきて、こちらも“すごく面白いな〜!”というふうに楽しませてもらっていますね」

●楽しそうです!

INFORMATION

グリーンセイバー・無料ガイダンス

 今年から新しくなった資格検定「グリーンセイバー」について、参加無料のガイダンスが3箇所で予定されています。
東京は3月21日(土)に表参道の「地球環境パートナーシッププラザ」、
大阪は4月5日(日)に大阪市立西区民センター、
埼玉は4月12日(日)にウェスタ川越3F(男女共同参画推進施設)、
いずれも午後1時半から。
なお、諸般の事情で会場からの中継配信になることもありますので、事前に協会のオフィシャルサイトでご確認ください。

グリーンセイバー・検定試験

 ネイチャーとカルチャーの検定試験は8月30日ですが、その前に東京でセミナーが実施されます。
ネイチャーは5月23日と24日、
カルチャーは7月4日と5日、
マスターは12月上旬の予定となっています。
詳しくは「樹木・環境ネットワーク協会」のオフィシャルサイトをご覧ください。

今週のオンエア・ソング

オープニング・テーマ曲
「KEEPERS OF THE FLAME / CRAIG CHAQUICO」

M1. MOUNTAIN GREENERY / BING CROSBY

M2. LESSON LEARNED / ALICIA KEYS FEAT. JOHN MAYER

M3. WORKS FOR ME / DAVID ARCHULETA

M4. モノローグ / 秋山黄色

M5. さくら(二〇一九) / 森山直太朗

M6. OPEN YOUR EYES / THE PLATINUM PIED PIPERS

M7. YOUR HEART'S IN GOOD HANDS / AL GREEN

エンディング・テーマ曲
「THE WHALE / ELECTRIC LIGHT ORCHESTRA」
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