2007年1月7日、14日、21日、28日

地球と私のためのエコ・スタイル・フェア
エコプロダクツ2006 取材リポート

 ここでは、昨年12月に開催された日本最大級の環境展示会「エコプロダクツ2006」の会場で、この番組の取材班が独自の視点で選んできた環境への優れた取り組みやユニークなエコ製品をご紹介します。

第1弾・エコジャパンカップ編
第2弾・ECOネット編
第3弾・信州の風〜ちょいエコ発電編
第4弾・みどりの小道〜環境日記編

みどりの小道〜環境日記編

 最終回となる今夜は「(財)グリーンクロス・ジャパン」が行なっている環境教育事業「みどりの小道〜環境日記」をご紹介します。国際NGO「グリーンクロス・インターナショナル」の日本支部「グリーンクロス・ジャパン」がその活動の一環として行なっている「みどりの小道〜環境日記」は去年で8年目を迎えた事業です。毎年5月頃から全国の小学校やエコクラブに無料でA4サイズ、60ページの冊子「環境日記」を配布、その冊子には日記を書くページほか、環境問題の現状や、国や自治体、企業の、環境への取り組みをイラストなどを使って分かりやすく解説したページもあります。そして冊子を受け取った子供たちは、6月から夏休みにかけて、3ヶ月間、毎日、環境日記をつけることになっています。そんな「みどりの小道〜環境日記」について、「(財)グリーンクロス・ジャパン」の「川本恒彦(かわもと・つねひこ)」さんにお話をうかがいました。「環境日記」をつける子供たちには、こんな変化があるそうです。

川本恒彦さん
「(財)グリーンクロス・ジャパン」の川本恒彦」さん

川本さん「日記を付け出すと、最初は『今日は空き缶を5つ拾いました』とか、『タバコの吸殻を拾いました』、『水を節約しました』という感じで単純なことから始まるんですけど、そのうちにお父さんやお母さんに『今日は何か環境にいいことをやった!』って言って、家庭の中で変革が始まるんですよ。そうすると、ネタがどんどん出てくるんですね。で、それが実行行動のネタなんですよ。ところが、そのうち自分達も勉強を始めるんですよね。一体、水を節約するっていうことはどういうことなのか、世界の水の状況はどうなっているのか、アフリカの人達はどうして水に苦しんでいるのか、という感じで月を追うことに世界的視野で物事を考えるようになるんです。そうすると、新聞記事の切り抜きはおろか、インターネットで調べたこと、本で調べたことを駆使して、みんな日記の別冊が2冊も3冊も出来上がるんですよ。それが、優秀な子供ってわけじゃないんですよ。普通の子供がそれをやっているんです。そういうことで、子供のエネルギーは無視できないですね。大人の想像以上に考えることがクリエイティブです。クリエイティブじゃなかったら、3ヶ月続かないと思いますね。
 8年も経ちますと、環境日記の第1回目の卒業生は今、大学生になっているわけですよ。で、過去にも実際に大学生をパネリストのお兄様とお姉様として招いたこともありました。そういう子供たちが巣立っています。しかも、子供たちがやっていることを見ますと、子供に対して大人が褒めるよりも、子供が大人に対して立証していることを大人が聞けば、学者さんが環境問題について語るより、ずっと迫力もありますし、現実性があるんですよ。で、心も熱いですよ。だから、今の私達の義務として、子供たちの情熱、やったことを大人の世界に対して伝えたいんですね。だから、日頃冗談で環境省の方とお話しているんですけど、中央環境審議会に子供代表を入れたいというのが、我々の究極の目的ですって言ってますけども(笑)」

 子供が出席する「中央環境審議会」、見てみたいですね。ちなみに「環境日記」に「グリーンクロス・ジャパン」のスタッフが挑戦したところ、わずか2週間でネタが切れ、書けなくなったそうです。3ヶ月間、日記をつける子供たちの忍耐力と好奇心、素晴しいですね。最後に「(財)グリーンクロス・ジャパン」の「川本恒彦」さんから、リスナーのみなさんへのメッセージです。

川本さん「私自身、環境NGOで働いていますけど、決して環境オタクではありませんし、タバコもヘビー・スモーカーですので、いい人間じゃないんですけど、少なくとも子供たちのこういう新しい息吹を継続させたいし、どんどん伸ばしてやりたいと思っているんですね。と、逆に大人のほうもそういう子供たちの活動しようという芽を摘まないように、それを育てるように親御さんであれ、先生であれ、地域の人達みんなが盛り上げていって、そこで自分達も子供たちのスタイルを一部でも取り入れていただきたいと思います。例えば、エコプロダクツの会場でタバコのポイ捨てはしないとか、そういうことを1つでも取り入れていけば、温暖化で−6%を目指していますけど、そういう達成も近いんじゃないかということで、是非とも大人の方は協力していただきたいと思います」

 「グリーンクロス・ジャパン」では1年に1回、「みどりの小道〜環境日記シンポジウム」を開催、第8回目を迎えた今回は去年12月に「エコプロダクツ2006」と同時開催され、全国から集まった子供たちによって環境や平和に関する意見交換ほか、優れた環境日記の表彰式も行なわれました。「環境日記」の冊子は去年、10万部配布、今年も全国の小学校やエコクラブに無料で配布することになっています。詳しくはこの番組のホームページから飛んでいける「(財)グリーンクロス・ジャパン」のホームページをご覧ください。 以上、1月は4回にわけて、「エコプロダクツ2006取材リポート」をお送りしました。

・(財)グリーンクロス・ジャパンのHPhttp://www.gcj.jp/


信州の風〜ちょいエコ発電編

 第3弾は「自分で作るマイクロ風力発電機“信州の風”」をご紹介します。うちわくらいの大きさの、ステンレス製のハネが3枚、くるくる回る、かわいい風力発電装置を見つけた取材班は「信州の風」そして「ちょいエコ発電」というネーミングに興味を覚え、取材しました。出展者である「有限会社オンウェーブ」の「高島公洋(たかしま・きみひろ)」さんは開発した意図や特徴をこうおっしゃっています。

高島公洋さん
「オートウェーブ」の代表「高島公洋」さん。
風車の羽はご覧の通り、うちわでもOK。
親子で楽しめる「信州の風」!?

高島さん「開発した意図としては、信州の場合、山に囲まれていますので、風が吹きづらく弱いんですね。だから、平均で大体1メートルから2メートルしか吹きません。ですから、それで発電できるような風力発電ということでこの商品を開発しました。で、たまに突風や強風が吹くということがありますので、この発電機の特徴としましては、羽の部分の支柱が折れて曲がるので、強風にも対応することができます。で、強風が吹いた場合は安定して羽が折れる形になりますので、ベンディング・ロットという形で羽が折れますので、安定して回転します。小型の場合、発電機を壊す場合がありますけど、このベンディング・ロットで羽が壊れたり、発電機が壊れたりっていうのを防ぐことができます」 

 風速1メートルのそよ風でもスムーズに回転し、風速1.5メートルで12V、3メートルで1Wの発電が可能だそうです。この「自分で作るマイクロ風力発電機“信州の風”」は小型ということでこんな使い方もできるそうです。

高島さん「小型ということで、今考えている設置場所は、マンションのベランダに設置して発電するということを考えています。10分くらいで組み立てられますので、キャンプ場などに持っていっても、風さえあれば、発電してライトをつけるということができます」

自分で作るマイクロ風力発電機“信州の風”

 マンションにも設置できるし、キャンプ場でも使えるということは災害時にも有効だと言えるのではないでしょうか。「有限会社オンウェーブ」の「高島公洋」さんは“信州の風”をこんな方に使って欲しいとおっしゃっていました。

高島さん「お子さんがいらっしゃる方に特に使っていただきたいですね。一種の啓蒙商品でありながら、実用にも耐えられるというものなので、お子さんと一緒に楽しみながら、羽の形を変えていただいて発電したりとか、色を塗って絵を描いたりして、回してみたりっていうような形で使っていただきたいのと、最近は定年退職されて『ちょっとやることないよ』っていう方は趣味としてやっていただければもっと面白いかと思います」 

 誰でも簡単に組み立てられる「マイクロ風力発電機“信州の風”」、気になるお値段は本体の風力発電機のみで13万円から14万円。「有限会社オンウェーブ」では、興味はあるんだけど、ちょっと高いな〜と思う方のために、「ちょいエコ発電」というレンタル・サービスを行なっています。3ヶ月単位で、月額1万円から。
 さて、来週は(財)グリーンクロス・ジャパンが行なっている環境教育プログラム「みどりの小道“環境日記”」をご紹介します。

・有限会社オンウェーブのHPhttp://www.onwave.co.jp/jp/top/index.html


ECOネット編

 第2弾は、窓に貼るだけで室内の温度を下げてくれる「ECOネット」をご紹介します。
 お話をうかがったのは「アイコール株式会社」のエコ事業部マネージャー「熊岡 眞」さんです。まず「ECOネット」とはどんな商品なのか説明していただきました。

熊岡眞さん
アイコール(株)熊岡眞さん。
手にしているのが「ECOネット」!

熊岡さん「こちらのECOネットは外気の温度が上昇したときに、室内の温度を外気の温度よりも約3℃くらい下げるために作られたネットなんですね。で、このネットの特徴は、室内側からネットを貼るんですけど、接着する面のほうがステンレスの粉体(ふんたい:粉状にしたもの)で表面コートしてあるんです。ですから、外気から熱がきても、反射して室内の温度を約3℃くらい下げられます。なので、特に夏場など30℃以上になったときに、オフィス・ビルなどでもクーラーをかけないと、室内の温度が下がりませんよね。でも、このネットを使いますと、ネットだけで約3℃落ちますので、もし、外気の温度が30℃であれば、室内の温度は27℃程度でおさまるということになります。そうすると、電気消費量も少なくて済むという商品です」

 真夏、室温を3度下げてくれたら、エアコンの電気代も助かりますよね。窓に貼るものには、フィルム・タイプの商品がすでにありますが、その違いについて聞いてみました。

ECOネット
ECOネットは窓ガラスの内側から貼る。
右側が貼った状態。真夏、室温が3度下がれば、大した効果!
ECOネット

熊岡さん「フィルムとのいちばんの違いは、フィルムだと一般の素人の方が貼ろうとしても、なかなかうまく貼れませんよね。でも、このネットの場合は素人の方が貼って、はがしてまた貼りなおすということが何度か繰り返し出来るものですから、そういう面でも非常に使い勝手がいい商品になっております」

 「ECOネット」はカッターで簡単に切れるので扱いやすい上、一度貼ってもはがしやすいので、冬にはがして保管しておくこともできますし、冬には結露防止の効果もあるらしいので、ずっと貼っておくのもオススメだということです。
 そんな「ECOネット」は、まだ販売されていませんが、販売されれば、1平方メートル/7,000円程度になる見込み。当初は、業者向けに販売予定だということなんですが、取材班の感想としては、早く一般販売して欲しい商品だと思ったそうです。
 今夜の『エコプロダクツ2006取材リポート』では「アイコール株式会社」のエコ事業部マネージャー「熊岡 眞」さんに、窓に貼るだけで室温を3度下げてくれる「ECOネット」についてうかがいました。
 来週は、レンタルできるマイクロ風力発電機をご紹介します。

・アイコール株式会社のHPhttp://www.aicol.co.jp/


エコジャパンカップ編

 8回目を迎え、過去最大規模の572の企業や団体が出展。会場も3ホールから4ホールに拡大し、3日間で15万人を超える来場者で賑わった「エコプロダクツ2006」。その取材リポート第1弾は、今回初めて行なわれた「エコジャパンカップ2006」をご紹介します。
 まず、主催者である「NPO法人アースデイ・エブリデイ」の代表理事「安在尚人」さんに「エコジャパンカップ」について説明していただきましょう。

安在尚人さん
アースデイ・エブリデイの代表理事「安在尚人」さん。
ソーシャル・エコビジネス・アワードの受賞者紹介パネル
ソーシャル・エコビジネス・アワードの受賞者紹介パネル。
以前ご出演いただいた「ピッキオ」の「桑田慎也」さんが
受賞していた(右端のパネル)。

安在さん「エコジャパンカップっていうのは、エコビジネスのビジネス・プランのコンテストなんですね。環境問題に関心がある人はたくさんいるし、環境でビジネスを興していきたいっていう人はたくさんいるんですけど、やっぱり大成功するのはなかなか難しいのが現状なんですね。そこで、是非多くの人にエコビジネスで成功してもらえるようなことが出来ないかということで、ビジネス・プランをしっかり練ってもらって、専門家がアドバイスできるような仕組みを作っていこうということで始めました。
 で、個人向けのコンテストということで、まずエコ・チャレンジというのがあって、割とこれからやろうとしている人たちを対象としたエコ・チャレンジと、もうベンチャー企業などを立ち上げてやっていこうとしている人達を対象にした環境ビジネス・ベンチャー・オープンというコンテストと、プラス、エコ・アート、エコな思想や考え方を世の中に広めていくためにはアートもすごく重要だということで、デザインとかコミュニケーションを含んだエコ・アート大賞と、この3つがコンテストで、もう1つはソーシャル・エコビジネス・アワードといって、成功している社会的企業家を表彰するという部門もあります。ここは、北海道で市民のお金を集めて風力発電を実現させている、北海道グリーン・ファンドだとか、霞ヶ浦で外来魚を捕獲して魚粉にして、それを肥料として使って農産物を作るというような事業とか、そんなような新しい事業をしている人達が受賞しています」

エコ・アート大賞の特別賞を受賞した作品
エコ・アート大賞の特別賞を受賞した作品。
流木で作ったティラノサウルス。

 各部門の受賞者については「エコジャパンカップ」の公式ホームページをご覧ください。
 さて、「エコジャパンカップ」は、今年も行なわれることが決まっていますが、今後の展望について「安在」さんはこんな風におっしゃっています。

安在さん「エコ・チャレンジという個人向けのコンテストでは、結構若い人からの応募も多かったんですね。割とユニークなアイディアもあったりして、面白いなと思いました。こういう新しい人達がどんどんエコビジネスのアイディアを出していって、それが全国各地の地域で色々な新しいエコビジネスのモデルになって、それが広がっていくことで、地域で新しいエコビジネスで雇用を生み出していくというような社会が出来ていったらいいなと思いまして、そのために役に立つようなコンテストに育ってくれたらいいなと思ってます」

 「ザ・フリントストーン/エコプロダクツ2006取材リポート」、第1回目は「NPO法人アースデイ・エブリデイ」の代表理事「安在尚人」さんに、今回初めて行なわれた、エコビジネスを育てるコンテスト「エコジャパンカップ2006」についてうかがいました。
 来週は、窓に貼るだけで、室内温度を3度下げる「エコネット」をご紹介します。

・「エコジャパンカップ」公式HPhttp://www.eco-japan-cup.com/

■このほかのエコプロダクツ取材リポートもご覧ください。

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