2011年7月16日

特別企画『音楽と自然』
〜東田トモヒロさん、キム・キャンベルさんにとっての
“音楽”と“自然”〜

 今回のベイエフエム/NEC presents ザ・フリントストーンは「音楽と自然」をテーマに、二組のアーティストにご登場していただきます。まずは、熊本を拠点に活動する「東田トモヒロ」さんです。東田さんは自然、音楽、そして人とのつながりを大切に、シンプルなライフ・スタイルを実践されているシンガー・ソングライターです。
 そして、もう一人はアメリカ・シアトル出身で現在はオーストラリアのシドニーに暮らす「キム・キャンベル」さんです。彼女もサーフィンと音楽を愛するシンガー・ソングライターです。
 今回はそんな二人のインタビューをたっぷりとお送りします。

熊本に帰ったら、家のことで一日が終わっちゃうね(東田トモヒロ)

東田トモヒロさん

※まず、ご登場いただくのはシンガー・ソングライター「東田トモヒロ」さんです。
  東田さんは、生まれ故郷の熊本を拠点に活動をされています。そんな熊本でのライフ・スタイルについて話していただきました。

東田さん「ごく普通ですよ。熊本に拠点を置いているんですけど、一年の半分ぐらいはライブで旅に出ています。この前新しいアルバムをリリースしたんですけど、その歌をライブで届けるという長い旅に出るんですけど、ときどき熊本に帰ろうと思っています。熊本に帰ったら、家の庭が割と広くて、目の前にはちょっとした森があるので、それらの手入れをしたり、家族でやっている小さな畑があるので、できた作物を採って食卓に並べてみたりしてますね。
 最近だと、大葉がたくさんできるんですよね(笑)。あれは雑草と一緒なので、すごくたくさんできるんですよ。それを晩御飯の前にいっぱい採って、フードプロセッサーでオリーブオイルとニンニクと塩をちょっと入れて砕くと、バジルペイストみたいになるんですよ。それをパスタに絡めて食べたり、豆腐にかけたりして食べてますね。あと、パセリもどんどん増えてくるので、パセリの天ぷらを作ったりしています。」

●ということは、自給自足に近い状態なんですね。

東田さん「そこまではいかないですね(笑)。本当はそうしたいんですけど、やっぱり音楽を中心に生活しているので、完全に自給自足の生活はできないですね。普段は、僕の家の近くで、友達が有機農業をやっているんですけど、そこから週に一度、家族が食べる分の無農薬野菜を届けてもらっています。それと自分の家の畑から採れるちょっとした作物を混ぜてご飯を作っていますね。」

●すごくシンプルですけど、ステキな生活ですね!

東田さん「楽しいですね。熊本帰ったら、家のことで一日が終わっちゃいますね。午前中は森と庭の手入れをして、お昼からは晩ご飯の支度をしたりしていますね。いつ音楽をやっているんでしょうね?(笑)」

●(笑)。そういった生活の中から、音楽を作る上でのインスピレーションを得たりしているんじゃないですか?

東田さん「そうかもしれないですね。自分ではそれほど意識はしていないんですけど、歌を歌って、自分の持っているエネルギーを人に伝える、人に届けるのに一番重要なものって“元気”だと思うんですよね。心身共に自分が元気であることをいつも気にして、熊本の緑や空気、水になるべく触れて、それを持って、色々なところでライブをしたいなと、日頃から思っています。」

音楽とサーフィンには、世界共通の不思議な力がある
(東田トモヒロ)

※東田さんはライヴ・ツアーもあって、一年の半分は旅をされていますが、最近はどんなところを旅されたのでしょうか?

東田さん「毎年、北は北海道から、今年は分からないですが、南は沖縄まで行きますね。この間ツアーで種子島や屋久島に行ったんですけど、そのツアーでは、北海道のニセコが一番北でしたね。南は屋久島で、日本を横断・縦断しました。
 去年、すごく貴重な体験をしたんです。雑誌の取材も兼ねて、インドネシアに行ったんですよ。ジャカルタに入って、バリに行って、ロンボクという島に行ったんですけど、その雑誌はサーフィンの雑誌だったので、インドネシアの各地でサーフィンをしながら、夜にライブをやるというツアーをやりました。バリ島の山の中にあるウブドという街に行ったとき、ガムランや太鼓などを使った伝統音楽をやっている人たちとセッションをしたんですよ。それはすごくエキサイティングで、すごくヘビーで、それでいてすごく神秘的なセッションでした。」

●他に、現地の人や自然と触れ合って、感じたことってありましたか?

東田さん「音楽とサーフィンに関しては、世界共通の、言葉がいらない不思議な力があるなって思いましたね。さっき話した人たちと、僕の歌をセッションしたんですけど、初めて会った人たちなのに、そのメロディーとか、音が持っている力で、一つの曲を一緒に演奏できたんですよね。
 サーフィンに関していうと、インドネシアの人はもちろん、ジャカルタから来ている人がいたし、ブラジル人、オーストラリア人などがいて、僕たちのような日本人もいるんですけど、色々な国から来ているんですよね。みんなサーフィンが好きで、一つの海に集まっているということが、かなり幸せなグルーヴになるんですけど、波を楽しくシェアして、マナーさえ守っていれば、みんなと仲良くなれるんですよ。『どこから来たんだ?』、『今夜どうするんだ?』、『お前音楽やっているのか』といったような話をして、友達になったりしましたね。だから、サーフィンと音楽は、自分の世界を広げられるチャンスをくれるので、巡り合えてラッキーでした。」

●そういった今回の旅で、一つになったグルーヴが、ニュー・アルバム「AROUND THE WORLD」の曲に影響を与えたりしたんですか?

東田さん「そうですね。今回のアルバムのタイトルチューンの『AROUND THE WORLD』は、色々な国に行ったときに経験したことを書きました。“みんなそれぞれ様々な立場があるけれど、音楽と笑顔、それさえあれば仲良くやっていけるんじゃないか”という、すごくお気楽な歌なんですけど(笑)、ハッピーなイメージで書いた曲です。少なくとも自分は、それで世界を平和に渡り歩けましたね。競争するのもいいですけど、たまには仲良くやっていくというのもいいんじゃないかなと思いますね。」

●ここで、その曲を聴いていただきましょうか。

※放送では、ここで、東田さんのニュー・アルバム「AROUND THE WORLD」から「AROUND THE WORLD」を聴いていただきました。

“1% FOR THE PLANET”を通じて寄付してます(東田トモヒロ)

東田トモヒロさん

※東田さんは現在、“1% FOR THE PLANET”という非営利団体を通じて、アルバムの売り上げの1%を寄付しているのですが、ニュー・アルバム「AROUND THE WORLD」も、“1% FOR THE PLANET”を通じて寄付することになっているそうです。

東田さん「“1% FOR THE PLANET”というのは、アメリカのアウトドア・ブランドであるパタゴニアの人たちが始めたことなんですね。これには色々な企業や団体が参加しているんですが、それぞれがやっていることや商品の売り上げの1パーセントを、自然環境を守るために活動している人たちに寄付するというものなんです。これに、前々回のアルバムから参加しています。前回までは、アマゾンの先住民の暮らしや権利、生活を守っていくという活動を、南研子さんという女性が代表を務めている日本の団体がやっているんですよ。その方の本を読んで、とても感動したんですよね。そのときちょうど、1% FOR THE PLANETの寄付先を探していたときだったので、『南さんがやっている活動に寄付したい』と思って、その団体に送っていました。
 今回のアルバムはどうするかというと、このアルバムは東日本大震災の前にレコーディングしたんですけど、完成前に震災が起きたんですね。1% FOR THE PLANETにまた参加したいけど、どうしようかと考えていたときに、『再生可能エネルギーをこれから現実的なものにしていこうとしているところに送りたい』と思って、僕のスタッフに探してもらったら、飯田哲也さんが代表を務めている“環境エネルギー政策研究所(ISEP)”というところがあって、そこへ寄付をすることにしました。」

●1% FOR THE PLANETは、音楽だけではなくて、色々な企業・団体それぞれの売り上げの1パーセントを寄付されていると思いますが、東田さん以外に寄付しようと思っている人も1% FOR THE PLANETに賛同すれば、ISEPに寄付されるんですか?

東田さん「いや、寄付先は自分で決められるんです。1% FOR THE PLANETは、日本のパラゴニアを通じて、誰でも参加できるんですよ。例えば、博多にドーナツ屋さんがあるんですけど、そのドーナツ屋さんも参加しているんですよね。そこのドーナツの売り上げの1パーセントは、そのドーナツ屋さんが選んだ自然環境を守るために活動しているNPO・NGO団体などに寄付されるんですよね。
 ミュージシャンもこれから増えてくるんじゃないでしょうか。日本のミュージシャンではまだ僕以外聞いたことがないんですけど、海外のミュージシャンだと、ジャック・ジョンソンやジャクソン・ブラウンなど、自然環境を守っていくことに関心の高いミュージシャンは参加していますね。」

●私たちとしては、東田さんやジャック・ジョンソン、福岡のドーナツ屋さんなどの物を買うことで、間接的にそういったところに寄付されるということなんですね。

東田さん「そうですね。ありがたいことに、そういう風に協力していただけると、僕らが知らないところで、環境のために影ながら働きかけをしている人たちへのサポートができるということですよね。」

(この他の 東田トモヒロさんのインタビューもご覧下さい)

 

サーフィンはライフ・スタイル(キム・キャンベルさん)

キム・キャンベルさん

※続いては、サーフ・ミュージック界期待の新星、シンガー・ソングライターの「キム・キャンベル」さんです。彼女は現在、オーストラリアのシドニー、それも海に近い場所に暮らし、大好きなサーフィンを親しみながら、音楽活動に打ち込んでいます。そんな彼女にサーフィンからどんなことを学んだのか、聞いてみました。

キムさん「たくさんあるわ。サーフィンは私にとってスポーツではなくて、ライフ・スタイルであるし、アイデンティティみたいなものなの。そんなところがいいのよね。サーフィンをしているときは、瞑想しているときに近いわ。とても落ち着いて、幸せな気分になれるの。初めてサーフィンしたときから、サーフィンすると、リラックスするし、インスピレーションも得られる。だから、私にとってサーフィンはライフ・スタイル以上に自分の考え方にも影響を及ぼしているわ。曲をかくことにもね。」

※彼女にとってサーフィンがすべての基礎になっているようですが、海にいるときはどんなことを考えているのでしょうか?

キムさん「何も考えないようにしているわ。とにかく楽しむことが重要ね。私はずっとスポーツをやっていたから、もっとうまくなりたいとか、どんな波にも乗れる偉大なサーファーになりたいとか、誰かと比べたりとかしがちなんだけど、サーフィンを続けていたら、そんなことよりも、パワフルで素晴らしい海の中に入って、もっと幸せになることがサーフィンなんだって思った。だから、何も考えずに、ただ感じて、サーフィンを楽しんでいるわ。」

 

環境の変化や自分の思いを歌で伝えていきたい(キム・キャンベル)

※現在、シドニーの海辺に暮らすキム・キャンベルさんは環境問題にも高い関心を持っています。そんな彼女が今いちばん気になっていることを聞いてみました。

キムさん「温暖化と気候変動ね。実は私の彼氏の会社が、再生可能なエネルギーを商業化しようとしているところなの。彼から色々と新しい情報を聞いているけど、政治的には何も対処しようとはしていないし、地球が変わってしまっていることを伝えてはいないわ。みんなに関係ある問題なのに。私たちの未来に関わることなのにね。
 だから自分のフェイスブックやツイッターを使って、今どういう状況なのかをアップするようにしているわ。何をして、何をしていないのかをね。その問題について自分のソーシャル・サイトを使って語ることが、何よりも大事なことだと思っているの。
 多くの人々が、地球温暖化のことをビックリするくらい今起こっていることを知らないのよ。オーストラリアでもその兆候がでているの。グレート・バリアリーフや南の海にも変化が起きているわ。ケアンズでプレイしたときは、何が起きているのか目撃した人達とそのことについて話をしたわ。すごく怖くなった。もっと深刻になるべきだわ。すごく焦っているわ。多くの人がこのことを知らないのは、情報が出ていないってことなのよね。だから自分はミュージシャンでよかったと思うの。自分のソーシャル・サイトを使って警鐘をならすことが出来るから。」

キム・キャンベルさん

※今年リリースした彼女のデビュー・アルバム「リアル・ライフ」には、どんなメッセージが込められているのか聞いてみました。

キムさん「メッセージはいくつかあるわ。“自分の人生、やりたいことをやろう”とか“夢見たことを実現するのは、そんなに大変なことじゃない”って歌っている。それから政治的なものを含んだ曲もあるの。オーストラリアへ移った時は自分の国であるアメリカがどうなっちゃってるの?って感じだったから、ストレスが溜まっていたわ。社会的問題もたくさんあったし。
 今は環境についての歌も書いているの。気候変動の問題や、今の状況をね。音楽って大事なメディアでもあると思うし、人々に問いかけることが出来ると思うのよ。メッセージを広めることで、いい意味で人々に何が起きているのか知ってもらうことができると思う。そういう意味でもアメリカのミュージシャンで社会活動家のマイケル・フランティは本当にすごい人だと思うわ。彼の曲は、社会や政治のヘヴィな部分を歌っているでしょ。それを人々とシェアしているなんて本当にすごいことよ。
 ラヴ・ソングももちろんあるけど、これからは私も重要なメッセージをかいた曲を作りたいと思っているわ。」

 

(この他の特別企画『音楽と自然』もご覧下さい)

YUKI'S MONOLOGUE 〜ゆきちゃんのひと言〜

 今回、私は初めて東田さんにお会いしたんですけど、曲を聴かせて頂いたときに想像していた通りの、ゆったりとした雰囲気の、本当に素敵な方でした。東田さんの新しいアルバムも、そんな東田さんのナチュラルな魅力が満載の一枚なので、とってもオススメです。皆さん、ぜひ聴いてください。
 そしてキム・キャンベルさんには残念ながらお会いできなかったのですが、私も海が大好きなので、 キムさんの思考と生き方に共感を覚えました。アルバム『リアル・ライフ』も素敵です。こちらもぜひ聴いてくださいね。

INFORMATION

東田トモヒロさん情報

「AROUND THE WORLD」

ニュー・アルバム『AROUND THE WORLD』

 GUMBO GROOVE/GGCD-0002/定価2,310円
 熊本在住のシンガー・ソングライター、東田トモヒロさんのニュー・アルバム「AROUND THE WORLD」は、全9曲収録。どれも、東田さんらしいゆったりとした雰囲気に仕上がっています。このアルバムの売り上げの1%が「1% FOR THE PLANET」を通じて、環境エネルギー政策研究所(ISEP)に寄付されることになっています。

ライブ・ツアー

 東田さんは10月のソロ・ツアーが決定しています! 東京は、10月23日(日)、渋谷のduo ミュージック・エクスチェンジで行なわれます。
 その他の会場など、詳しくは、東田さんのオフィシャル・サイトをご覧ください。

キム・キャンベルさん情報

「REAL LIFE」

ファースト・アルバム『REAL LIFE』

 SURFROCK INTERNATIONAL/PCCY-01949/定価2,400円
 アメリカ・シアトル出身で現在はオーストラリアのシドニーに暮らすシンガー・ソングライター、キム・キャンベルさんのファースト・アルバム「リアル・ライフ」は、全11曲収録。サーフ系のサウンドがお好きな方にオススメの一枚です。
 キム・キャンベルさんの “自分の人生、やりたいことをやろう”とか“夢見たことを実現するのは、そんなに大変なことじゃない”という想いを感じてください。
 詳しくは、サーフロック・インターナショナルのホームページをご覧ください。

プレゼントのお知らせ
キム・キャンベルさんプレゼント

 今回、キム・キャンベルさんから、エコ・バッグとTシャツをいただきました。 こちらをセットにして、1名の方にプレゼントします。
 住所、氏名、年齢、職業、電話番号、番組への感想・ご意見などを明記の上

flint@bayfm.co.jp

までお送りください。
 締め切りは7月22日(金)到着分まで有効です。当選は発送をもって代えさせていただきます。

たくさんのご応募、お待ちしております。

 

今週のオンエア・ソング

オープニング・テーマ曲
「GRACIAS / LARRY CARLTON」

M1. 愛な野に咲く花のように / 東田トモヒロ

M2. AROUND THE WORLD / 東田トモヒロ

M3. 一緒に暮らそうか / BREAD & BUTTER

M4. ANYONE BUT YOU / KYM CAMPBELL

M5. REAL LIFE / KYM CAMPBELL

エンディング・テーマ曲
「THE WHALE / ELECTRIC LIGHT ORCHESTRA」