2013年8月24日

四角友里の“へっぴり登山思考”!?

 今週のベイエフエム/NEC presents ザ・フリントストーンのゲストは、四角友里さんです。

四角友里さん写真

 アウトドアスタイル・クリエイターの四角友里さんが先頃、エイ出版社から「一歩ずつの山歩き入門」という本を出されました。今回はその本に沿って、女性らしい山登りについて、色々とお話をうかがっていきます。

 そして今週は、四角友里さんの著書「一歩ずつの山歩き入門」を3名の方にプレゼントします! 詳しくはコチラ!

「あの山を登りたい」と思った純粋な気持ち

●今回のゲストは、アウトドアスタイル・クリエイターの四角友里さんです。よろしくお願いします。

「よろしくお願いします。」

●四角さんは先日、エイ出版社から“一歩ずつの山歩き入門”を出版されました。この本のタイトル、いいですね!

「ありがとうございます! この本のタイトルを付けるとき、悩んだんですが、『山のよさって何だろう?』って考えとき、私は『自分の一歩はとても小さいものだけど、その小さな一歩を確実に積み重ねていくと、憧れの場所に導いてくれるのが山のよさだ』と思っているので、副題にも、「山へ憧れるすべての女性へ」とつけましたが、その『憧れ』の場所に行きたいと願う気持ちの大切さだったり、大きな自然に対して少しずつ経験を重ねながら近づいていきたい…と願い、ステップアップしてゆく感じを大事にしたいと思って、今回のタイトルにしました。」

●この本には、そういったこだわりがたくさん入っているんですね。

「そうですね。私は山歩きを始めたのが10年前なのですが、その間、回り道をしたり挫折をしたり葛藤を抱えたりしながらも『あの自然のなかを歩きたい』と思った純粋な気持ちを大事にしたいと思って、今回の本を書きました。」

●登山を始めて10年が経つんですね。

「はい。初めて上高地に行ったのが10年前で、それが山との出会いでした。」

四角友里さん写真

●その10年の間に色々なことがあったかと思いますが、今ではもうベテランの域に達しましたか?

「まだまだ山歩きがうまくできないんですよ! 先日も登山がしたいという友達と一緒に八ヶ岳に行ったんですが、友達の方が歩くのが速くて、置いていかれるようで恥ずかしかったです(笑)。それでも、マイペースで楽しみながら、趣味の一つとして、またライフワークの一つとして山歩きを続けています。」

●そういう四角さんの実体験が、今回の本のベースになっているんですね。

「そうですね。みなさんと同じように“山を歩きたい”という気持ちを、私自身がどう叶えてきたか…という方法と、自分の体力のなさにもどかしさを感じたり、山の中での疑問や不便を感じたことなどの解決法をそのまま詰め込んだ感じです。なので、私がこれまで登山をしていて、『“こんなことが知りたかった!”という情報に全て答えよう』という想いで書きました。」

●改めて振り返ってみて、「そういえば!」と思うことってありましたか?

「『こんな失敗あったな!』といった、ちょっとした失敗とかがたくさん入っています。いわゆる“教科書”のような正解のある正統派の本ではないかもしれませんが、体験談と失敗談がたくさん入っていて、それが読者のみなさんの「自分なりの山歩き」を考えるヒントになればと思っています。」

山ウエアは、自然に対する礼装

●今回出版された「一歩ずつの山歩き入門」では、登山計画・山ウエア・山道具・歩き方・山小屋と、5つの章に分けて解説されています。さらに、四角さんオススメの山8ルートが紹介されていますが、この本を書くにあたって、いくつかポイントのようなものはあったんですか?

「この本は、私の実体験をベースに書いた本なのですが、例えば、登山のプランを立てるところで、私が以前、初心者向けの山を選ぼうと思っても『“初心者”と書いてあるけど、体力のない自分に本当に登れるんだろうか?』ってすごく不安だったんですね。それが高尾山のような人がたくさんいるような場所であっても、小学生が遠足に行くような場所であっても、自分が登れるかどうか不安で仕方なくて、最初の一歩が踏み出せなかった経験があるので、この本では“ステップ1”として“歩かなくてもいいから、自然の中に身を置いてみる楽しさ・自然に包まれる幸せを感じてみよう”ということで、これから登山を始める人に対して、そういったことを感じられる方法をとってほしくて、そんな私なりのキーワードを散りばめました。」

●歩かなくてもいいんですね。

「登山っていうと、どうしても頂上を目指して歩くことを意識してしまうかと思いますが、体を動かすこととは別に、自然の美しさを感じて“心を動かす”ことも楽しみとしてあると思うんですね。まずは歩かなくても、バスや車から降りたらすぐに大自然が広がっていて、その景色を目にする“体験”をしてもらうところから、先に進むんじゃないかと考えました。」

●山の中に行くだけでも、四角さんにとっては幸せな時間なんですね。

「日常とは違う空気感や水の冷たさ、森の香り、足元に咲く小さなお花といった、一つ一つの自然の煌きを心から感じてもらいたいなと思っています。それがすべての始まりであり、たとえ上級者になったとしても、山へ行く理由は変わらず同じなんだと思うんです。その山歩きの楽しみの本質を“ステップ1”にしたいと思いました。」

四角友里さん写真

●山のウエアに対してのこだわりも、この本に載せているんですか?

「そうですね。山歩きは、大自然の中に行くことになるので、命に関わるアクティビティになります。だから、機能性がなにより大事。それに加え、私は着物の着付け師なので、“着物の視点で山ウエアを語ってみよう”ということで、“山ウエアは、自然に対する礼装”というキーワードで山ウエアを説明してみました。」

●“自然に対する礼装”ですか。

「着物は四季を味わう気持ちを大切にしたり、自然の色を写し取るといわれるぐらい、自然の色や植物を身にまとうような感覚で着る衣装なんです。「自然が着るものを教えてくれる」とも言われるほど、描かれた柄、色、素材で、自然の四季を大切にします。なので、『自然と近づきたい』『自然の一部をいただくような気持ちでウエアを身につける』というところが、アウトドアウエアと共通しているんじゃないかと思ったんですね。」

●アウトドアウエアを着ることで、自然と近づけるんですね!

「そうですね。また、着物の“礼装”という考え方は、身なりの整った格好を身につけるという意味ではなくて、“相手に対する愛情”だったり、“畏怖の念”などといった、“礼を尽くす”思想によるものなんです。「相手」の存在があったうえで、自分の存在があることを理解する。…それを山ウエアに置き換えたとき、『大自然の中に身を置くのに、どういった格好をすれば安全だろうか?』とか『どういう風に、気候や気温の変化に対応すればいいんだろうか?』といった感じで、“相手(自然)に対して自分の礼を尽くす”といった考え方で見ていったら、機能面でもしっくりと説明ができたんです。また精神面でも、自然の一部を身につけるという着物的な視点で山ファッションを捉えると、自然に一歩近づける感覚になると思うので、着付け師でもある私なりの視点で山ウエアを解説したいと思いました。
 山の中に行くと、素敵な場所ばかりなので、写真をたくさん撮るんですね。そのときの自分の格好を見たときに、自然にそぐった色だったり、自然の中で映える色だったりすると、帰ってきてからも山の楽しみが増すなぁと思っています。私は紅葉の色を取り入れてみたり、緑あふれる森に行くときには、ピンクや赤など、森が映えるような補色の色のウエアを着て、森を際立たせてみたりしています。」

登山-しんどい=楽しい!

●この本の中で気になったのが“へっぴり登山思考”というキーワードなんですが、これはどういったものなんですか?

「私、本当に体力も運動神経もないんです。エスカレーターにうまく乗れないぐらい運動神経がないんですよ(笑)。最初はバックパックを背負うのがしんどくて、手ぶらで歩くところから練習したんです。そんなところから始めていったときに、体力をつけることはもちろん大事な要素でしたが、それ以外にも、今の自分の能力で対峙できる自然や山ルートを見つけたり、対峙できる方法を工夫したりする“できない目線の山登り”を模索してきました。その経験が、同じような人たちの参考になればと思い、本でも、その過程やテクニックをたくさん紹介しました。でも、私はあまりにも体力がないので、どこまで参考になるかどうか分からないですけど(笑)。」

●四角さんご自身の体験や経験を取り入れたんですね(笑)。具体的などんなことを取り入れたんですか?

「純粋に、自分の荷物の重量を減らすだけでも、体力的にとても楽になるので、より遠くまで、余裕をもって歩けるようになります。もう一つ、100グラム重くなったとしても、『これがあるから頑張れる!』といった“自分の心が軽くなる要素”も大事にしたいと思いました。」

●確かに女性だとそういうのって大事ですよね!

「ウエアもそうですし、特に私の場合、長ズボンを履いている時『トイレが面倒くさい』って思ったりしていたんですが、その“面倒くさい”っていう感覚が、精神的な体力の消耗に繋がったんですね。そういったときに“山スカート”に出会って、トイレが楽になったり着替えが楽になりました。それによって、山歩きがしやすくなって、自然のなかにすんなりと入ることができたんですね。 そこで、『自然を味わう心の余裕に繋がる、自分だけの相棒を見つけることが大事だな』と思ったんです。“しんどい”“面倒くさい”という感情よりも、“キレイ”や“嬉しい”など、笑顔になるようなプラスの感情を増やすための努力をする方が大事だなと思うんですよね。“登山”から“しんどい”を引くと、残るのは“楽しい”なんですよね。なので、マイナスの感情を減らす努力をするのが、“へっぴり登山思考”だと思っています。」

四角友里さん写真

●この本には、“女性らしい気配り”が活かされているかと思いますが、例えば、女性だと肌の手入れなども気になりますが、それに対するヒントも書かれているんですよね?

「山の中でメイクがしたいけど、いつもの道具を持っていくと重いじゃないですか。そこで、どうやって心に折り合いをつけるか、それの試行錯誤の歴史を紹介しています。例えば、使い切れなかったり、割れてしまったチークのかけらを極小のジップロックに砕いて入れていけば、1グラム未満です。そういう風に“メイクをしたい”という気持ちと荷物の重さとのバランスを考えて、紹介しています。」

●着替えはどうしているんですか?

「山ではなるべく荷物の量を減らしたいんですが、写真を撮って後で見返したときに、全部同じ服装ということに戸惑いを感じる女性が多いので、私の場合はリバーシブルのボトムスを持っていって、一枚のウエアだけど、写真を見返したときにウエアが変わって見えるような工夫をしています。」

●それは女性にとっては大事ですね!

「登山に慣れてしまうと、同じ服を着続けることが当たり前のことになってしまうんですけど、私が登山を始めたとき、日常との違いにすごく戸惑いました。そんな“初心者”ならではの戸惑いを解決していく工夫のヒントをちりばめました。」

山小屋にも個性がある!

四角友里さん写真
四角友里さん写真
四角友里さん写真
モンベル渋谷店の5階サロンで行なわれた出版記念のトークイベント(2013.8.5)。
満杯のお客様の前で山歩きの楽しさを、きらきらとした言葉で語ってらっしゃいました。

●本を読んで、今回の話を聞いて、山に行きたくなりました!

「私の方が歩くのが遅いかもしれませんが、是非お連れしたいです!」

●本当ですか!? 是非一緒に行きたいです! そこでなんですが、これからの時期にオススメの山ってありますか?

「まずは上高地や立山室堂など、自然豊かな観光地として整備されて、しかも上級者しか見ることができないような素晴らしい絶景を見ることができる場所を選んでいただければ、どんどん好きになるんじゃないかと思います。」

●山の楽しみってどんなものですか?

「たくさんあるんですけれど、一番は“何もせずに心を解放して、自然の一瞬の輝きを受け止めること”かなと思います。何もしないで夕焼けを眺めてみたり、心の奥底までしみこませるように空気を吸ってみたりして、山の豊かさを感じてみるのはいいと思います。携帯も圏外だし、日常と離れている世界ですけれど、そういった太陽のリズムが刻む、自然の中に行くことで自分の心の中心に近づいていくような感覚を味わっていただければと思います。」

●本当に行きたくなりました(笑)。

「今度一緒に行きましょう!(笑) 今度計画立てましょう!」

●そうですね! 私、山小屋に泊まってみたいんですが、オススメのところってありますか?

「みなさん、山小屋にどのようなイメージを持っているのか分からないんですが、最近の山小屋は個性的なところが多く、ご飯がおいしいところとか、絶景に建っているところとかあるので、『ここに泊まりたいから登りに行く!』という山の楽しみ方もあるということを、山小屋に出会って教えてもらいました。」

●今まで行った中で、一番よかった山小屋ってどこですか?

「八ヶ岳の“しらびそ小屋”は、5センチぐらいの厚切りトーストを薪ストーブで焼いてくれて、自家製のコケモモジャムを塗って食べられるんですね。そこに泊まるのは楽しみでしたね。あと、馬肉の桜なべを出してくれる山小屋があったり、温泉が付いている山小屋があったりしますし、中には山の上でケーキセットが食べられる北アルプスの“燕山荘”という山小屋があったりします。燕山荘の、イチゴを凍らせたものに、牛乳が注がれている“イチゴミルク”もお気に入りです。それを、絶景を眺めながら食べられるんですよね。体を動かした後にはそのご褒美が待っていて、それを食べながら自分がこれまで来た道を振り返るというのが最高の楽しみなんです(笑)。」

●本当に素敵です!(笑)

「私も話していると、『また行きたいな!』って思ってしまいました(笑)。行きたいところがいっぱいあるんですよね。歩いて頂上に着いて『夢が叶ったな』と思っても、次の山がその先に見えていて、夢がどんどん増えていくんですよね。『あの山に行ってみたい』『あの場所に行きたい』という気持ちが、人生を導いてくれて、行きたい場所がどんどん増えていくんですね。夢は終わらないですね!」

四角友里さん写真

YUKI'S MONOLOGUE 〜ゆきちゃんのひと言〜

 実は以前友里さんにお会いした時に、山登りのアドバイスとして山用のサポートタイツの存在を教えてもらったんですが、「途中で足が痛くなったらどうしよう」という不安から解消され、友里さんのお話にあったように、まさに“心の荷物”が軽くなった思い出があります。実際サポートタイツを履くことであまり疲れることもなく、思いっきり山の自然を満喫する事もできました。
 こんな風に、友里さんの著書「一歩ずつの山歩き入門」を読めば、これから山を楽しみたいという方は山の魅力にハマり、既に今の魅力にハマっている方はもっと山が好きになると思います!ぜひ興味がある方は読んでみて下さい。

INFORMATION

「一歩ずつの山歩き入門」

新刊『一歩ずつの山歩き入門

 エイ出版社/定価1,260円

四角友里さんの新刊となるこの本は、今回のお話以外にもあちこちに四角さんのこだわりがあって、女性の視点で書かれた山の入門書としてはベストな本です。写真やイラストが豊富で見ていて楽しくなる一冊なので、これから山を始めようと思ってらっしゃる女性にオススメです。

トークイベント情報

 四角さんのトークイベントが既にいくつか決まっています。

1:下北沢の書店『B&B』でのトークイベント
◎開催日時:9月10日(火)の午後8時〜午後10時(午後7時半開場)
◎詳しい情報:『B&B』のオフィシャルサイト(http://bookandbeer.com/

2:『モンベルフレンドフェア』でのトークイベント
◎開催日時:10月12日(土)の午前9時〜午後5時
◎詳しい情報:『モンベル』のオフィシャルサイト(http://www.montbell.jp/

四角さんのオフィシャルサイト

 これら以外の情報は四角さんのオフィシャルサイトでチェックすることができます。イベント情報以外にもブログもチェックできますので、是非ご覧ください。

プレゼントのお知らせ
今回のゲスト・四角友里さんが先日出版した「一歩ずつの山歩き入門」。
現在大ヒット中のこの本を3名の方にプレゼントします!

ご希望の方は、あなたの住所、氏名、年齢、職業、電話番号を明記の上、
flint@bayfm.co.jpまでお送りください。
番組へのご意見、ご感想も書き添えていただけたら嬉しいです。

締め切りは8月29日(木)までです。
当選発表は発送をもって代えさせていただきます。
たくさんのご応募、お待ちしています。
※受付は終了しました。たくさんのご応募ありがとうございました。

今週のオンエア・ソング

オープニング・テーマ曲
「GRACIAS / LARRY CARLTON」

M1. TORN / NATALIE IMBRUGLIA

M2. I DO / LISA LOEB

M3. やさしさに包まれたなら / 荒井由実

M4. LOVE LOVE LOVE / AVALANCHE CITY

M5. IT'S OKAY / DES'LEE

M6. BEAUTIFUL / CHRISTINA AGUILERA

エンディング・テーマ曲
「THE WHALE / ELECTRIC LIGHT ORCHESTRA」