2015年7月25日

世界一周、マジ楽しいから!

 今週のベイエフエム/NEC presents ザ・フリントストーンのゲストは、高橋歩さんです。

 自由人の高橋歩さんは、1998年、26歳のときに結婚し、3日後に奥様と2人で世界一周の旅へ。世界数十カ国を放浪し、2年後に帰国します。2008年には結婚10周年を記念して、今度は家族4人でキャンピングカーによる世界一周の旅へ出発。2013年に家族での世界一周の旅を終え、現在はハワイ島を拠点に活動されています。
 また高橋さんは、実業家として国内外でレストランバーやゲストハウスを展開。また、出版社を営むなど、幅広い活動をされています。
 今回はそんな高橋さんに世界一周の旅のお話をたっぷりうかがいます。

何も決めずにスタート!?

●今回のゲストは、自由人/旅人の高橋歩さんです。よろしくお願いいたします。

「よろしく」

●早速ですが、歩さんが世界一周の旅に出ようと思ったキッカケは何だったんですか?

「旅に出たのが26歳のときで、それまでは旅にあまり興味がなく、海外に少し行ったことがある程度だったのね。そのころはお店やったり出版社やったりしていたのを全て辞めて、妻のさやかと2人で何かしようと話をしていたころだったんだよね。さやかに“ドラゴンボール7つ揃ったら何したい?”って聞いたら“歩と2人で世界一周をしたい”って言ったのよ。それを聞いて“するしかねぇよ!”と思って、貯金も無かったけど、結婚式の3日後に世界一周に行ったのね」

●奥さんのその言葉がキッカケだったんですね。

「そう。世の中では俺が“旅キャラ”になってるけど、元々は旅にそれほど興味なくて、さやかのために行こうと思ったのが本当の理由だね」

●いきなり世界一周って、ハードルが高い気がしますが、どうだったんですか?

「貯金は無かったから、色々なものを見て調べたんだけど、“予算は旅のスタイル次第”って書いてあって何も分からないわけよ(笑)。だから1ヶ所目だけ決めて、時間は無限にあるから、気が向くまま周って、お金が無くなったら帰ってこようと決めたのよ。それでオーストラリアのグレート・バリア・リーフに行ったのね。さやかがそこに行きたいって言ったんだけど、最初グレート・バリア・リーフがオーストラリアにあることすら知らなかったのよ(笑)。そこからスタートして2年ぐらいかけて2人で世界一周に行ったね」

●ルートとか全く決めずに行ったんですか?

「そうだね。英語とかも分からないし、ビザとかもよく分からないじゃん。だから、決めなくてもよくね? っていう感じだったね」

●2人とも「行けばなんとかなる」っていう感じだったんですね。

「まぁ、どこかに行かないといけないっていうのもなかったし、どのぐらい旅をしないといけないってのもなかったし、必ず世界一周をしないといけないっていうこともなかったから、好きな場所があったらそこに住めばいいやっていう感じで行ってたね。なんだかんだで世界一周したけど、何も決めないで2人で行ったね」

●実際に住んだりしていたんですか?

「気に入ったらね。でも、国によってビザを取ったりしないといけなかったりと色々条件があるじゃない。2度目の家族での世界一周の旅行で見つけたハワイ島は気に入ったから、ビザを取って今住んでいるんだよね。だから、“旅しようぜ!”っていう感じじゃなくて、“フラフラしていい時間過ごしたいよね”っていう感じだね」

●世界一周っていうと、お金を貯めたりして、それなりに準備をしないといけないんだと思っていたんですが、案外そうでもないんですね。

「もちろん最低限のお金は必要だから、行くまでにはアルバイトをして貯めたけどね。この前、出した本のときもそうだけど、俺たちだけじゃなくて、世界一周した色々な人の話をまとめると、目安100万なんだよね。リッチな旅じゃないけど、野宿とかしないで1年間にかかる金額がそのぐらいなんだよね」

キリンって、まじシャープ!

※高橋さんの著書『WORLD JOURNEY』(新装改訂版)でオススメの場所としてケニア・タンザニアが紹介されていますが、どうしてそこを選んだのでしょうか?

「ベタな理由だけど、“ディズニーのライオンキングって本当にいるのか見たくね?”っていう感じだったね(笑)。子供たちに動物がどれだけキビキビ生きているのか見せたかったのよ。ライオンってマジ速いのね! あと、キリンって素早いイメージないじゃん? 実際はすごくシャープに動くのよ! そういうのを実際に見て面白かったから、子供たちにもそれを見せようと思って行ったのね。もし行く人がいたらオススメしたいのが“バルーンサファリ”っていうのがあって、朝焼けと共に気球に乗れるのね。気球に乗ると、日本でいうと関東地方ぐらいの広さの景色が一目で見ることができるのよ。あの体験は衝撃だったね」

●ほかにも、モンゴルのゴビ砂漠、そこも一度行ってみたい場所なんですが、どうでしたか?

「そこは“ゲル”という遊牧民のテントにホームステイする旅だったのね。街から車出してくれて、到着したら“1週間後に迎えにきます”って言われていなくなっちゃったのよ。それで、おじいちゃんとおばあちゃんと子供の3人で暮らしているところにホームステイをしたんだけど、言葉が全く通じないのね。でも、俺らはゲストじゃなくてファミリーみたいな扱いだから、羊とかを追うのを一緒にやったんだよ。いきなりやらされてもうまくいかないじゃん? ファミリーから“使えねぇ”っていう顔されて、“これ、本気出さないとやべぇな”って思ったよね(笑)。野球の三遊間全部守るぐらいの守備範囲を求められるから、久々に本気出したよね。夜はなんと言っていいか分からないぐらいの星空で、ワイルドすぎてネガティヴになってたさやかもそれ見て元気出してたね」

●今回の著書の中で“モンゴルの星の音を初めて聴いた”と書いていますけど、どんな音なんですか?

「それこそ言えないじゃない(笑)。聴きに行くしかないよね。本にも書いたけど、やることがないから、小学生ぐらいのモンゴルの子供と2人で草原を歩いてたのよ。俺アコースティックギターとか弾くから、そのときもハーモニカを持ってたのね。そこで軽く吹いて、その子にもやらせようとして渡したら、風に当てて音を出したのよ。ハーモニカって吹いたとき、その吹いた場所の1、2個しか(音)出せないじゃない。でも、そのときに出た音が10個の穴全部の音が聴こえたのね。それ聴いて鳥肌が立って、そいつは“これが風の音だよ”みたいな顔してハーモニカを返してきたのね。“やるなこいつ! さすが遊牧民”って感じで、それが印象的だったね」

●世界中には色々な環境で生活している子供たちがたくさんいたと思いますが、そんな子供たちと仲良くしている写真がいくつかあって、それもすごく印象的でした。

「俺は写真を撮るときに“望遠とか使わずに、ちゃんと心が通じ合ってから撮る”って決めてるのね。だから、子供たちともちゃんと接して、お互い言葉とかよく分からないけど、“嫌われてないな”って感じてから写真を撮るようにしてるのね。とはいえ、あいつらが遊んでるところに入れてもらってるだけだけどね。そういった楽しい時間が写真にも出ているんだろうなって思うね。一番のミソは“旅の最中は暇なこと”だよ。俺はプランを何も組んでないから、朝起きて“きょうは何をしようかな?”という感じなのよ。それがよかったんだと思うよ」

●確かに。子供たちと遊んでいたら観光地に行けないから、元々組んでた予定を優先しがちになりますよね。

「地元の人と話していると、“この後予定あるのか?”って聞いてきて“いや別にないよ”と答えると“こういうところあるぞ”とか“こんな祭りがあるぞ”って教えてくれるんだよね。元々予定が決まってる人には地元の人って接してこないじゃん。そういうところは、時間がある旅の良さだったと思うね」

無料で通える学校があったらいいよね!

※世界一周の旅を通して、高橋さんはフリースクールの運営を始めました。そのキッカケとなったのは、ある方の影響だそうです。

「俺は中学・高校と金髪のすごい制服着たヤンキーだったんだけど、そのころからマザー・テレサの本だけは読んでたぐらいマザー・テレサが好きなんだよね。俺はあの人みたいに自分の人生全てを貧しい子供たちのために捧げるといったことはできないけど、自分的にも何かできたらいいなといったことがあって、まず体験させてもらって、そこからインドのバラナシという場所に行ったのね。
 インドってお金払わないと学校に行けないから、貧しい子は行けないのよ。そこで“無料で通える学校があったらいいよね”ってことで、日本にいる仲間と一緒にお金を集めて、バラナシに1ヶ月間行って学校を作ったのね」

●自分たちの手で作ったんですね!

「それでインドの新聞やテレビがいっぱい来て、“なんでだろ?”と思ったら、そういうことって、カースト制のすごく下の身分の人たちがやるような仕事なんだって。それを日本人がお金を出して楽しそうにやっているのが奇妙に見えたみたい。7年前から始めたんだけど、1つ成功したものがあって、1階が学校で2階をゲストハウスにしたのよ。そうすると、ゲストハウスに来るお客さんの宿泊費で1階の学校がずっと回せるようになるのね。
 ずっと“寄付してください”って言ってるのって面倒くさいじゃん。そういう風にすると、泊まった人も子供たちと遊べるし、その人たちが1日先生みたいな感じで参加してくれると、子供たちにとっても世界が広がっていいと思うんだよね。そういう感じで長年やってきて、去年インドの政府から許可を取って、私立の小学校の卒業の資格が出せるようになったのよ。
 同じような流れで今度はボブ・マーリィをリスペクトして、ジャマイカで音楽学校をやってるんだよね。そんな感じで、俺はヤンキーであまり学校に行ってなかったくせに、なぜが海外で学校を作ってるんだよね(笑)」

違うから面白いんだよね!

●世界中を旅したからこそ分かった“日本の良さ”ってありますか?

「それは感覚だからねぇ。世界何周もして“地球人ですね”って言われるけど、“いや、日本人ですよ”って返すぐらい俺は日本人だし、日本人としての誇りを持っているのね。初めて世界を旅したときは日本のこと何も話せなかったから、司馬遼太郎(の小説)とか読み始めたからね。学校では日本史の授業とか嫌いだったけど、旅したら日本のことをすごく勉強するようになったよね。だって、みんなで日本のことを話したいじゃん。政治の話もそうだし、歴史の話も、恋愛やスポーツの話をするように話す人の方が世界の若者的には標準なんだよね。日本人だとそういう話をしないじゃん? それは変だと思ったね。
 あと、季節がここまでハッキリとあって、季語とかあったり、昔の人みたいに100個以上に季節を分けてたり、春分や秋分とかを考えてる人って世界ではどこにもいないよね。季節の移り変わりや旬みたいなものに対する意識は日本ならではだよね。例えば色だけど、日本の色の辞典とか見るとすごいじゃない。山吹色とかさ、何色か分からないような色もあったりするじゃん。そういう色に対する意識はすごいよね。あと、ひらがなとカタカナと漢字とちょっとした英語を使い分けてるじゃない。これは特別な脳だと思うよ」

●そこまで使いこなせているのは世界ではあまりいないんですか?

「脳の構造が違うよね。アルファベットで組み立てるわけじゃん。でも、日本人は何かを表現するときに、ひらがなにするかカタカナにするか漢字にするか英語にするかを瞬時に決めてるじゃない。そういう脳の構造の違いを感じたね」

※そんな高橋さんに、旅をする理由をうかがいました。

「俺は“旅で自分をぶっ壊したい”っていう欲求があって、東京にいると無意識のうちにキャラクターを演じてるところとか誰もがあったりすると思うのね。自分らしさとか気にしないで生きているつもりだと思うけど、自然とそうなってくるじゃん。俺は調子に乗りやすい人間だから、うまくいって褒められると鼻が高くなって嫌なやつになったりしているところがあるんだけど、インドの街中を旅していると、みんなからしたら俺って“誰?”って感じじゃん。そうなると、“人間・高橋歩”として出会って、人間関係を作っていって、何かをやっていくしかないじゃん。そういう感じが好きなんだよね。誰も知らないところに行って、ゼロから組み立てていくのが好きで、褒められたりウェルカムのような場所より、誰も知らなくて言葉が通じないところに行って少しずつ心を通じ合わせていく時間が好きなんだよね」

●少しずつ心を通わせるコツってありますか?

「なるべくぶっちゃけることも大事だけど、“違うことを面白がる”のも大事だよね。“これとこれって違うよね”っていうんじゃなくて“これとこれ違うじゃん。ウケる!”っていうのが大事で、“違うから面白い”という感覚でいた方がいいよね。“日本とここが違うのが嫌”って思っちゃうと、旅なんて絶対にできないじゃん」

●“違いを受け入れて楽しむ”ことが大事なんですね。世界一周は奥様と2人で、そしてご家族みんなで、2回行ったじゃないですか。それに対する想いってありますか?

「俺は旅を結構してきて本にも書いてるけど、“旅はどこに行くかじゃなくて誰と行くか”だと思うのね。極端に言うと、これは人生と同じで“何をするかじゃなくて誰とするか”の方が重要だと思うんだよね。仲間との旅だったら、スラム街とかにも入っちゃうディープな展開も結構あると思うんだけど、家族と行くとすごくほのぼのした感じで、ショッピングモールにも行っちゃうような旅になると思うのね。1人だと興味のあることばっかりに偏っていったりして、全部全く違う旅になるんだよね」

●旅というと“どこに行くのがいいのか”とか“どこに泊まるのがいいのか”といったところに気持ちがいっちゃうじゃないですか。そこよりも“誰と行くのか”が大切なんですね。

「俺にとってはね」

●いつか世界一周をしたいなと思っているんですよね。そう思っているリスナーの方もたくさんいると思うんですが、そういった方に向けてメッセージをお願いします。

「別に世界一周はしなくてもいいと思うけど、もししたいと思っていたら、“まずチケットを買っちゃうこと”だよ。“タイミングが来たら”と思っていると思うけど、そんなタイミングなんて来るわけないんだよね。本当に行きたいと思っていたら、最初に行く国へのチケットを買ってしまうことだよ。チケット持っていたら、周りの人も“本気だからしょうがない”って思うじゃん。だから、本当に行こうとするやつは大体チケット買っちゃってるよね。それがいいかどうかは別にして、俺にとっては世界一周してみてよかったと思うし、自分にとって幸せな時間だったね。だから“したら絶対に楽しいよ”って胸張って言えるね」

YUKI'S MONOLOGUE 〜ゆきちゃんのひと言〜

 世界一周と聞くとすごくハードルが高いと思っていたんですが、歩さんにお話をうかがって、行こうという気持ちと踏み出す勇気さえあれば、実現不可能な夢ではないんだなと感じました。
 とはいえ、事前の下調べがもちろん大切。『WORLD JOURNEY』新装改訂版には、旅に出かける前の準備から、旅先で必要になってくる情報も満載です。世界一周の旅に出かけたいと思った方、まずはこのガイドブックをチェックしてみてはいかがでしょう。

INFORMATION

WORLD JOURNEY style=

新刊『WORLD JOURNEY

 A-Works/本体価格1,500円

 高橋さんが10年前に出版した世界一周のためのガイドブックの新装改訂版。“どんな旅にしたいのか”や“お金はいくら必要?”といった旅に出かける前の準備から、旅先での移動手段・宿泊・食事・言葉など、痒いところに手が届く情報が満載。そして、世界の旅の経験者たちによる細かいアドバイスがたくさん載っています。

『旅祭2015 〜10th Anniversary〜』

 旅人たちの刺激的なトークや解放感いっぱいの音楽ライブ、世界のダンス、パフォーマンス、ワークショップ、フード、マーケットなど、全国から旅好きが集まって行なわれるこのフェス。10周年を迎える今年は、東京お台場の“太陽の広場”で開催されます。

『旅祭2015 〜10th Anniversary〜』

 この番組にも出てくださったGAKU-MCさんやツリーハウスクリエイターの小林崇さん、四角大輔さんなど、たくさんのアーティストによる多種多様なトークやパフォーマンスのほか、世界中の料理やドリンクが味わえるフードコーナー、ワールドマーケット、ワークショップエリアなどがあって、旅をしているかのような感覚が味わえます。

◎開催:10月4日(日)
◎会場:お台場 潮風公園(太陽の広場・野外特設ステージ)
◎詳しい情報:旅祭の公式サイト

 高橋さんのその他の情報などは、オフィシャルサイトをご覧ください。

今週のオンエア・ソング

オープニング・テーマ曲
「GRACIAS / LARRY CARLTON」

M1. UPSIDE DOWN / JACK JOHNSON

M2. LIKE A ROLLING STONE / BOB DYLAN

M3. STAY GOLD / STEVIE WONDER

M4. mi-chi / ウカスカジー

M5. IS THIS LOVE / BOB MARLEY & THE WAILERS

M6. TRIPPIN' LIFE / caravan

エンディング・テーマ曲
「THE WHALE / ELECTRIC LIGHT ORCHESTRA」