2016年10月15日

自然を五感で感じる“ネイチャーゲーム”

 今週のベイエフエム/NEC presents ザ・フリントストーンのゲストは、ジョセフ・コーネルさんです。

 世界的に有名なナチュラリストでネイチャーゲームの創始者、ジョセフ・コーネルさんは、ネイチャーゲームのバイブルともいえるベストセラー『シェアリング・ネイチャー・ウィズ・チルドレン』の著者で、その日本版は1986年に『ネイチャーゲーム』というタイトルで出版され、大変話題になりました。そんなコーネルさんが日本でのネイチャーゲーム普及30周年記念と新刊のリリースに合わせ、先日来日、ハードスケジュールの中、この番組にご出演いただきました。
 今回は、創始者が語るネイチャーゲームとは、そしてアメリカのヴィレッジでのナチュラル・ライフについてうかがいます。

シンプルな自然体験プログラム

※コーネルさんが30数年前に考案したネイチャーゲームは、自然に関する特別な知識がなくても、誰でも自然を楽しみ、感じられるアウトドア・エクササイズ。いわゆる自然体験活動のプログラムです。現在は160種類以上のあるというネイチャーゲームですが、一体どんなゲームがあるのか、代表的なものを教えていただきました。

「ネイチャーゲームはとてもシンプルです。そして自然を直に体験することができます。例えば“私の木”というエクササイズがあります。子供に目隠しをして森の中へ連れていき、特徴的な木を探し、その幹の太さや木の特徴を五感で覚えてもらいます。そして元の場所へ戻り、目隠しを外して、その木を探してもらいます。中には1年近くも、自分の木を覚えている子もいます。目を閉じて木に抱きついたりすると、体がその木の特徴を覚えているんです。そうして木に対する感謝の気持ちや感覚が生まれてくるんですよね」

※森に行くだけでも、自然を感じられるのではないかと思うのですが、どうなんでしょうか?

「森の中へ入っても人々は色々なことを考えてしまって、あまり注意を払っていないんです。ハーバード大学の調査では、人は楽しいことをやっている時でさえ、自分の行動に集中しているのは40パーセントほどだそうです。
 人は山登りやスキーなど、極限状態になるスポーツを楽しんでいますよね。集中することが必要となるスポーツなので、自分がやっていることに完全に集中していることを肌で感じるんです。
 自然の中ではそんなスピリチュアルな体験をすることがしばしばあります。だから皆さん、そういった活動が好きなんですね。完全に集中していなければ、怖さを感じるでしょう。同じように、ネイチャーゲームでは人の集中力を引き出す活動をするので、自然の全てを体験することができます」

※次は「サウンドマップ」というゲームについてうかがいました。

「“サウンドマップ”というゲームでは、まず、四角い紙に自分が座っている場所として×印をつけて、キツネのように耳を注意深く傾けながら、目を閉じて音を聴きます。そして、自分が座っている場所のどちらの方向からその音が聴こえてくるのかを紙に書き込んでいきます。みんなが落ち着いて静かになるので、おそらく誰も気にしていなかった鳥や風、木々の音や虫の音に対して敏感になるんです」

ナチュラル・ライフ in カリフォルニア

※コーネルさんが山梨県の清里でネイチャーゲームを行なった時のお話をうかがいました。

「小川や笹があって、とても美しい森でした。参加者の皆さんの反応がとてもよかったです。
 日本でもおなじみの森林浴に木と呼吸を交わすというエクササイズを加えてやってみました。木の葉っぱを裏返して、気孔から木が出す酸素を吸って、吐く息で二酸化炭素を木に返すという、まるで、他の動物たちと一緒に森全体と呼吸をしているようでした。皆さんよく木を観察していましたね。
 ある女性は、大きな木に呼ばれている気分になったそうですよ。そして木に歩み寄った彼女は、木が発しているエネルギーを全て受け取ったそうです。その木は何年もずっとそこに存在していて、神が宿っているようでした。日本の文化ではそういわれていますよね。“自然の万物には神が宿る”ということを、日本の皆さんはそれをとても理解していますよね」

※コーネルさんは、カリフォルニアのあるコミュニティで暮らしています。そこの暮らしぶりをうかがいました。

「250人ほどのコミュニティです。カリフォルニアのシエラネバダ山脈の麓にある、意図的につくられた共同体です。800エーカー程の敷地があり、ちょっとしたスピリチュアル・シティといった感じです。仕事や学校はもちろん、道路もありますが、シンプルな暮らしの中で思考力を高めるという目的を持っていて、瞑想や社会奉仕は私たちの生活の一部になっています。あとに何も残さないために、家はひとかたまりに建てています。また全員ベジタリアンなので、動物もよく遊びにきますよ。特に鹿狩りの季節なんかはね(笑)。動物たちも安心していますし、リラックスしています。とても平和的な場所ですよ。
 大きなシステムを一度に変えることは難しいですが、似た考えの人たちが一緒になって時間をかければ、その環境で暮らすことはできます。私たちのアナンダ・ワールド・ブラザーフッド・ヴィレッジの考え方は分かりやすいので、現在8つ程のコミュニティが世界各地にできています」

すべてはひとつ

※最後に、コーネルさんが先日出した新刊『空と大地が私に触れた』に込めた思いをうかがいました。

「旅人も大自然の一部です。人間に奪われたとしても、自然にはエゴがありません。
 自然の中へ出かけることで、癒されるという経験をします。ハイシエラ山脈の谷合いを旅した時に、滝の水が流れ落ち、苔に水滴が落ちていくのを見て、私はとても喜びを感じました。岩や苔、水が喜びに溢れていて、自然がとても活気づいていて、自分や自分のまわりが喜びで包まれていることを感じました。これこそが生きるということのリアルな経験だと感じ、心が震えることがあります。そんな経験を他の人たちに味わって欲しくてエクササイズを考案しました。
 とても簡単ですし、やりやすいので、一度やってみれば集中するという経験に夢中になることができます。人々に自然が発する喜びを感じてもらいたいというのが私の願いであり、また皆さん自身もその感覚をひろげて、全てを感じて欲しいのです。人類も、岩も石も、空に浮かぶ雲も、すべてがひとつなのだと、大きな考えを持つことでそう認識することができます。

 ナバホ族の子供たちの話で素敵な話があります。アメリカ人の教師が子供たちに自画像を描くように言ったところ、アメリカ人の子供達は大きな紙いっぱい使って全身の自画像を描いたそうです。一方、ナバホ族の子供たちは、大きな紙に自分の姿は小さく、岩や、空に浮かぶ雲を描いたそうです。彼らは、自分たちを取り巻く環境も、自分の足や腕のように体の一部だと感じているからなんですね。生態学的知識として、そんな風に考えることもできますが、自分は全てと繋がっていることを理解し、意識することで、実際に生活する中で、そんな経験をすることができます。この本が少しでもそんな考えを持つ手助けになればいいなと願っています」

YUKI'S MONOLOGUE 〜ゆきちゃんのひと言〜

 自然をより深く感じることができるネイチャーゲームですが、自分自身をもっと知るためにも、とてもいいエクササイズだと思いました。森の中で目を閉じて、自然の音に耳を傾けたとき、自分の心は何を感じるのか、今度、森の中に行ったらぜひネイチャーゲームに挑戦したいと思います。

INFORMATION

『空と大地が私に触れた』

新刊『空と大地が私に触れた』

 日本シェアリングネイチャー協会監修/販売価格2,160円(税込)

 コーネルさんの新刊となるこの本は、1人でもできるエクササイズや、友人と体験をシェアするエクササイズなど、日常生活で楽しむためのアドバイスが満載です。ぜひこの本を持って、近くの公園に出かけませんか。

日本シェアリングネイチャー協会

 コーネルさんの新刊の購入方法やネイチャーゲームのことをもっと知りたいと思った方は、日本シェアリングネイチャー協会のオフィシャルサイトをご覧ください。

今週のオンエア・ソング

オープニング・テーマ曲
「GRACIAS / LARRY CARLTON」

M1. EASE MY MIND / ARRESTED DEVELOPMENT

M2.  IT DON'T MATTER / DONAVON FRANKENREITER

M3. LOVIN' YOU / MINNIE RIPERTON

M4. BACK TO THE EARTH / JASON MRAZ

M5. THE BIRD OF THE AIR / ネイチャーゲーム・オリジナル曲

M6. PEACEFUL EASY FEELING / EAGLES

M7. YOU BELONG WITH ME / TAYLOR SWIFT

エンディング・テーマ曲
「THE WHALE / ELECTRIC LIGHT ORCHESTRA」