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2003. 9/29〜10/2 ゲストトーク(概略)
● 草摘み作業で感じ取る自然との一体感
 「布を作りたい」という以前に、自分の足元の物を見たい、味わいたいという思
いがありました。そしてたまたま、すぐそばに生えている「草」に出会いました。
季節の労働として、その草を自分で刈り取って、一から糸を作るのです。素材自体
は、チョマというもう縄文の頃から使ってきたものです。夏の麻の着物もこのチョ
マという草から作られているんです。
矢谷左知子さん
 私の場合は、布の制作そのものではなく、草を刈って何かを作るという、もとか
らの作業を通じて大きなものと繋がりたいと思ったのです。始める時も根拠のない
確信だけがありまして、絶対に何かが見えてくる、何が見えてくるかはちょっとわ
からないけどやってみようと思いました。実際の作業は過酷です。一人で黙々と毎
日山に入り草を摘みます。そういう環境の中で、渓流の音、蝉の声、山鳥のさえず
りを聴いたり、きれいな蝶々が水を飲みに来ていたり、それが死んでいたりするの
を目にするのです。
Profile
草の布作家。
1957年岡山県生まれ、東京育ち。
武蔵野美術大学卒業後、企業でテキスタイルデザイナーとして商品企画の仕事に携わる。
93年より野生の草を素材に「草の布」を制作、作家活動に入る。野山や畑など周囲に自生する草から糸を紡ぎ、布を織り出す。
1年を通じて身の回りの草木と深く関わり、季節のサイクルの中での布作りを続けている。毎年数回の展覧会を開催。
 すると、作業を通じてそういった自然界のもの全部とレベルが同じになる瞬間が
あるのです。自分の気持ちなのですが、地球の共通言語みたいな、レベルがばぁー
と見える瞬間が、大げさですけどひと夏に一、二回あるのです。私はこれを知りた
かったんだなーと思いました。この感覚を初めて感じた時に、これはずっと続けて
いきたいと思いました。それが結果的に布になろうが、何になろうがかまわない、
という部分でのものづくりなのです。
●自分を「無」にした作品づくり・コルトンプラザでのイベントについて
 一年中、作品づくりのための拾いものは続きます。染めの材料としての木の実、
栗のイガとか、冬はどんぐりのはかまなども使います。茶色、グレー、ベージュな
どすごくきれいですね。一年を通じて、染めに使える材料はいろいろあるのです。
よもぎなら、葉っぱでも染まります。取れる時期に取って染めます。1年間を通じ
て季節にいろいろなものを頂きながら作る作業です。
 いろいろな命を頂いているので、自分の思いは逆に入れないようにしています。
自分は空洞のパイプ役で、おまかせする、そう一番心がけています。素材の命にあ
まり余計なものをつけたくないのです。最初の頃は取りかかる前にデザインを書い
たりしていたのですが、違うなあと感じたんです。相手が野生の草だったこともあ
ると思うのですが、おまかせしたほうがいいものができるというのがわかってきた
のです。
 10月4,5日に行われるコルトンプラザのイベントには「緑陰の草の住む家」
というタイトルで作品を出展します。会場は屋外で、神社の横のとても落ち着くよ
い場所です。インスタレーションのような形で「チョマの家」、「葛の家」、「大
麻の家」の3つの草の家を創ろうと考えています。それぞれの草の精霊がそこに宿
るようなイメージの3つの小さなおうちを神社の森の中に創りたいですね。
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