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ゆるゆる、きょろきょろ、ゆる山歩き

2020/5/30 UP!

 今週のベイエフエム / ザ・フリントストーンのゲストは、登山ガイドでフリーライターの「西野淑子(にしの・としこ)」さんです。

西野淑子さん

 西野さんは山口県生まれ、埼玉育ち。立教大学卒業後、旅行ガイドブックを多く手掛ける出版社で編集のアルバイトを経て、1999年からフリーライターそして編集者に。2017年に日本山岳ガイド協会認定の登山ガイドの資格を取得。現在はフリーランスとして原稿書きや編集のお仕事をしつつ、初心者向けハイキング講座の講師なども務めていらっしゃいます。

 また、東京新聞の首都圏版に、ゆる山歩きのコラムを連載中で先頃、その記事をまとめたシリーズ3作目となる本『もっともっとゆる山歩き〜まいにちが山日和』を出されました。

 きょうはそんな“ゆる山歩き”をテーマに、西野さん流の山の楽しみ方やチェックしておきたい、おすすめのコースなどうかがいます。

☆写真提供:西野淑子

街を歩く時の2倍ゆっくり

※西野さんは山岳会に所属され、日本アルプスを縦走したりと本格的な山登りもされています。そんな西野さんがゆる山歩きに目覚めたのは、何かきっかけがあったのでしょうか。

「やっぱり登山を始めると、初めはどんどん歩く距離を伸ばしたいとか、もっと高い山に行きたい、山の会に入ってもっと難しい登山がしたいという風にずっと思って、どんどん出ていたんです。

 『東京近郊ゆる登山』という、初心者で登山を始めたい方向けのガイドブックを作って、それがご縁で初心者の方と一緒に山を歩くようなお仕事を始める中で、結局そういう方とご一緒する時って本当にゆっくりと周りを見ながら歩くんですね。私自身もみなさんにこれが見えますよとか、これこれがありますよ、こんな景色が見えます、みたいにご案内をしながら歩くことで、ゆっくり歩いて、いろんなものを見る楽しさに目覚めたというか、知るというか。上をひたすら目指さなくても周りを見ることで、もっと山自体の良さを味わうようになったという感じですね。

 だから結局その知り合った初心者の方々、山に慣れていない方々が、私にゆる山歩きの楽しさを教えてくれて、目覚めるきっかけになったのかなって思っています」

鋸山山頂。地獄のぞきと絶景。
鋸山山頂。地獄のぞきと絶景。

●この本の中にも街を歩く時の2倍ゆっくりで歩くという風に書いてありましたけれども、かなりゆっくりというような感じなんですね? 

「そうですね。実際、山を歩き始めると、街で歩くのと同じように歩いてしまうと結局、山って多少傾斜があったりとか、あと歩きづらい不整地な面、ボコボコの面だったりするので、どうしても歩きにくくて、いつもの街歩きのペースで歩くと、ちょっと息が上がって疲れてしまったりするんですね。なので2倍ゆっくり歩くというのは、周りのものを見る余裕を楽しむというのも あるし、あと疲れないコツでも実はあるんですよね 」

急がず、自由に楽しむ

奥多摩・弁天山の山頂(最寄り駅から1時間弱で山頂に立てる山)。 ミツバツツジが緑に映えて美しい。
奥多摩・弁天山の山頂(最寄り駅から1時間弱で山頂に立てる山)。
ミツバツツジが緑に映えて美しい。

※続いて、西野さん流の山の楽しみ方についてうかがいました。

「多分私はそんなマニアックでもないですし、普通の人とあんまり変わらない楽しみ方をしているとは思うんです。とにかくきょろきょろしながら、ものを探しながら歩くのが好きなんですよね。

 例えば春先ですとお花を見るのが私とても好きで、もともと山でお花を見たくて山歩きを始めたようなところもあるので、とにかく歩くペースをゆっくりにして、ここにこんな花が咲いてそうとか、きょろきょろしながら、じわじわ歩くような感じですよね。秋になるとちっちゃくてよくわからないキノコがたくさん生えていたりするのを、これもまた探しながら、きょろきょろしながら歩いています。

山で見られるスミレ。
山で見られるスミレ。

 きょろきょろしていると、“あなたお財布落としたの?”みたくね、親切なおばさまから声かけられちゃったりするぐらい、きょろきょろしています。あとは眺めのいいところでは足を止めて“ほへ〜”とか休んでしまったり、見えている山が気になって、あれはなに山かしら? とかね、地図を取り出して山の方向を見て、あれはなに山かな? とか見たりするのも好きです。
 あとは大きな木を見つけると抱きかかえてしまう悪い癖があります(笑)」

●抱き抱える?(笑)

「なんですかね、木から気をもらうっていうんですかね。あと大木だとこれってどのくらい大きいんだろうって気になってしまって、例えばどなたかとお友達と歩いていると、何人でひと回りできるかっていう、みんなで手を繋いでぐるっと木の周りを囲んで、人3人分の太さ! とかそういうのをなんかね、遊んだりするのも好きですね。割となんか自由に遊んじゃっている感じですかね (笑)」

おすすめは高尾山と鋸山!

※西野さんの新刊『もっともっとゆる山歩き〜まいにちが山日和』では季節ごとにおすすめの山を紹介しています。夏から秋にかけてのおすすめはどこなんでしょうか。

「どうしても暑いんですけど、気持ちよく樹林の中を歩いて、暑さも楽しむということだと、そうですね、あまり山に慣れていない方でも行きやすい山で、私も講座の方とよく行ったりとか、プライベートでもちょこちょこと行くのは、やっぱり東京の高尾山ですかね。

 高尾山ですと途中までケーブルカーとか、リフトで行けるルートもありますし、いちばん有名なルートだとそれこそ歩くところ全部コンクリート舗装の道で山頂まで行けて、ケーブルカーを使うと乗り場から山頂まで、健康な普通の体力の方だと1時間くらいで歩けちゃいます。

高尾山山頂の大見晴らし園地から眺める富士山
高尾山山頂の大見晴らし園地から眺める富士山

 しかも山頂からの眺めも富士山がバン! と見えたりするので、もちろんお天気にもよりますけれど、眺めもいいですし、気持ちよく歩けて、さらに途中に薬王院さんというパワースポットもありますので、薬王院さんでパワーもいただいて木々の緑からパワーもいただいて、山頂で気持ちよく過ごせるということで、高尾山は私的にはちょっとおすすめだったりします」

●千葉の低い山で何かおすすめはございますか? 

「千葉の山といえば、私が大好きなのは鋸山という、房総半島の山がありまして、これもまた、ロープウェイで、ちゃらっと山頂近くまで行けてしまう、非常にいい山です。しかも海の眺めが本当によくて、ロープウェイでも、ちゃらっと行けてしまうんですけれども、 JR の駅の浜金谷駅から歩いていただくと、暖かい山地の木々の雰囲気が、私たちが普段歩いている東京の森とちょっと違う雰囲気の森で、さらに石切場の跡を見たりすることもできて山自体も非常に楽しめます。

鋸山・石切場跡(車力道を歩くと立ち寄れる)。
鋸山・石切場跡(車力道を歩くと立ち寄れる)。

 なおかつ、ものすごく悪い歩行困難な場所とかもないので、もちろん階段登りとかはあったりするので、疲れずに歩けますかといわれると、それなりにいい感じに疲れることができて、しかもその山頂から見るご褒美感がハンパない、すごくいい山なので、こちらもまた是非行ってみていただきたいなと思います 」

<鋸山の情報>

きょうのゲスト、西野淑子さんもおすすめの鋸山(のこぎりやま)は千葉県鋸南町(きょなんまち)にあり、標高は330メートル。
 室町時代から1982年まで建築(けんちく)石材(せきざい)の房州石(ぼうしゅういし)を切り出していたため、現在も切り立った石切り場の跡が残っていて、その名の通り鋸の歯のような険しい稜線(りょうせん)が特徴です。
 斜面には、およそ10万坪という広い境内を誇るお寺『日本寺(にほんじ)』があり、日本最大の、石で造られた大仏や、石切り場跡の石の壁に掘られた高さおよそ30メートルの『百尺(ひゃくしゃく)観音(かんのん)』、そして山頂展望台の絶景ポイント『地獄のぞき』などをハイキング感覚でめぐることができます。

 この地獄のぞき、房州石を切り出した跡の絶壁から景色を眺められますが、せり出した石の先端まで行けて、まさに地獄をのぞきこむようなスリルが味わえます。
 晴れていれば東京湾はもちろん、三浦半島や富士山、さらには伊豆大島まで見えるそうで、高所恐怖症でない方は行ってみる価値あり!
 このほか、名所をすべてまわるには丸2日かかると言われるくらい、見どころの多いお寺なんです。

 そんな鋸山は車やロープウェイで気軽に山頂まで行けますが、石切り場を間近で見たいなら、山頂まで徒歩で登るのがおすすめだそうです。
 最寄りのJR浜金谷(はまかなや)駅からいくつかのハイキングコースが設定されているので、 自由に山に行けるようになったら、鋸山にも行ってみたいと思います。

ちょっとの失敗は楽しい思い出

新刊『もっともっとゆる山歩き~まいにちが山日和』

※私のような初心者が山歩きをするときは、ガイドさんを頼むほうがいいのでしょうか。

「ガイドさんとまでいかなくても、ちょっと不安だなという方は登山の経験があるか、山を歩き慣れているお友達やご家族の方とご一緒されるだけでもいいかなと思うんですね。

 今は何気に山歩きが、ひと頃ブームがあって、だいぶ落ち着いてはきているんですけど、結構探すと私、山歩いたことがあるのよとか、山歩きが趣味なのよっていう方って、ちょっと探すと割といたりするので、そういう方に“今度、私でも歩けそうなところにちょっと連れて行ってくれない?”っていう風にお願いをすると、ちょっといい山にご案内してくれたりとかするかも、その声をかけた方に合った、体力とかに見合った山を一緒に歩いてくれたりとかすると思うのでいいかなと思うんです。

 実際になかなかそういう方が見つからないわよねという方は、私のゆる山歩きの本の、本当に歩く時間が1時間とか40分みたいな、探すとあります。あとほぼ平地で渓谷歩道みたいなものもあります。

 ひとりで行くとなにかあった時やっぱり心配ですので、あまり慣れていないお友達同士でとか、あるいはご家族とご一緒にとにかく気軽に歩いてみていただけると良いかなと思います。歩いてみてちょっと道が分かりづらかったわとか、なんかちょっと疲れちゃったわとかいう場合も、そういった多少失敗してもいいと思うんですよね。100%成功しなきゃ登山ダメとかではないと思っていますので、ちょっと失敗したぐらいの方がなんか楽しい思い出として残ったりとかします。

 なのであんまり失敗したらどうしようとかね、分からなかったらどうしようとか、怒られちゃうんじゃないかと思わずに、行ってみたいなと思ったところにちょっと行ってみていただけるといいかなと思います 」

☆過去の西野淑子さんのトークはこちらをご覧下さい


INFORMATION

西野淑子さん情報

新刊『もっともっとゆる山歩き~まいにちが山日和』

新刊『もっともっとゆる山歩き〜まいにちが山日和

 首都圏から行ける季節ごとのおすすめ、全50コースが掲載されています。
見ているだけで山を歩いている気分になれますよ。
自由に山に行けるようになったら、ぜひ「ゆる山歩き」に出掛けませんか。
東京新聞から絶賛発売中です。

●東京新聞のHP:https://www.tokyo-np.co.jp/article/3729

●西野淑子さんのHP:http://westfield.sakura.ne.jp

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