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人の心を震わせる「はやぶさ」ミッション 〜小惑星探査機「はさぶさ2」、地球帰還直前スペシャル!

2020/11/29 UP!

 今週のベイエフエム / ザ・フリントストーンのゲストは、劇場版『HAYABUSA 2-REBORN』の監督、そして天体写真家の「上坂浩光(こうさか・ひろみつ)」さんです。

 上坂さんは1960年生まれ、埼玉県出身。独自に3Dのソフトウエアを開発し、CG制作を行なってきたクリエイターでCMやゲーム映像など幅広い分野で活躍。その一方でアマチュアの天体写真家としての顔も持っていらっしゃいます。

 現在、全国の映画館でロードショー中の劇場版『HAYABUSA 2-REBORN』は小惑星探査機「はやぶさ」と、その後継機「はやぶさ2」を描いたプラネタリウム・フルドーム映像作品3部作の完結編で、1作目の『HAYABUSA-BACK TO THE EARTH』と3作目『HAYABUSA 2-REBORN』を再編集した作品となっています。

 「はやぶさ2」がいよいよ12月6日に地球に帰還予定。打ち上げられたのは2014年12月3日。課せられたミッションは小惑星「リュウグウ」から採取したサンプルを持ち帰ること。地球を旅たってから6年、いくつもの困難を乗り越え、今まさに帰還しようとしています。

 きょうはミッションをやり遂げようとしている「はやぶさ2」への想い、そして宇宙や天体へのロマンに迫ります。

☆写真協力:HAYABUSA2~REBORN製作委員会

写真協力:HAYABUSA2~REBORN製作委員会

天文少年の憧れ

*今回の作品についてお話をうかがう前に上坂さんがどんな方なのか、迫ってみたいと思います。やはり、子供の頃から宇宙に興味があったのでしょうか。

「そうなんですよ。もう完全に天文少年というか科学少年というのか、宇宙・科学が大好きでした。そのきっかけというのは確か小学校4年生だったと思うんですが、アポロ11号が月に初めて人間を運んで着陸しましたよね。それでもうびっくりしてですね。地球から見えている月に人間が行ったのか! っていうのは大変驚きでした。

 その翌年にさらに火星大接近がありました。それをどうしても見たくて、望遠鏡を買いに走るっていう、新聞配達してお金貯めて。そのくらい熱心な少年でした」

●そういった宇宙、月、星のどういったところが上坂さんにググッときたんですか? 

「なんでしょう・・・人間っていう存在を遥かに超えた大きな存在っていうんですかね。そういうものを子ども心に感じたというか。すごく大きい世界に自分はいるんだなって思った時に、それはどんな世界なんだろうっていう興味が湧いたというか。

 1つエピソードがあるんです。そんな興味を持ったある日、自分の家の裏手で星をひとりで見ていたんですけれど、その時に大流星が飛びました。火球っていうんですけれども、普通の流れ星ではなくて、隕石みたいな感じなんですよ。

 途中でバラバラになるような、巨大な流れ星が飛んで、通った後に痕(こん)といって、光の帯みたいなのが残るんですけれども、それを見て本当に怖くなって家の中に駆け込んだっていう思い出があります。そのくらい自分の存在を超えた大きなものがあるんだなっていうのを感じたのが、きっかけだったんだなっていう風に思います」

●そんな上坂少年は宇宙飛行士になろうとは思わなかったんですか? 

「あ、思いましたよ(笑)。アポロ11号を見たときに、自分も行きたい! って思いましたね。天文学者にもなりたいと思いましたし、それと同じくらい絵を描くのが好きだったので、絵とか映像の仕事もしたいなと思っていて、結局映像の道に進んでしまうんですけれども、ここにきて2つが合わさったっていうか、一石二鳥というか」

上坂浩光さん

マイ・リモート天文台!

※上坂さんは天体写真家としても活動されているんですよね?

「元々子どもの頃から望遠鏡とか天文台を、いつかちゃんと持ちたいなっていう夢があって、実は那須に私設の天文台を持っているんですけれども、そこで星の撮影をしています」

●え、上坂さんの天文台、マイ・天文台っていうことですか? 

「マイ・天文台です」

●え!? それはどういうことですか? 天文台って造れるというか、自分のものが持てるんですね? 

「はい、努力をすれば持てると思います。東京とか明るい場所だと星空っていうのは撮影できないので、暗いところにそういう施設があるといつでも撮れるんです。それをするために天文台を造って、さらにインターネットを使ったリモート天文台にしてあります。例えば東京のパソコンからその天文台を操作することができるので、ドームを開けて、撮影したい天体に望遠鏡を向けて、撮影することができます。

 いろんな天体を撮るんですけど、いちばん好きなのが星雲の写真ですね。星雲って分かりますか? ガス状の天体なんですけれども、通常、目で見ることはほぼできないんです。ある程度大きな望遠鏡を使って長い時間露出することによって、何十時間も露出するんですけれども、そうすると見えなかったものが見えてくるっていうそういう喜びがあるんですね。

 見えないものって人間は見たくなるじゃないですか!? 行ったことないところに行ってみたいとか、それと同じだと思うんですけれども、そういう星雲の写真を撮ることが多いです」

●どんな気持ちで撮られているんですか? 

「撮っていくと見えなかったものが見えてきて。皆さんは信じられないかもしれないですけれど、星空を見たときに、まあ星は見えますよね? ポンポンポンと。でもその間に実は、すごくガスが広がっているんですよ。それを何十時間も露出すると浮かび上がってくるんですね。ちょっと信じられないかもしれませんが、自分で撮ってみるとすごく実感できます。

 だから宇宙って空っぽじゃないんですね。いろんなものが存在しているというか、そういうガスが集まって太陽とか星は生まれるので、そういうことを知っていくととっても面白いです」

JAXAはやぶさチームとの出会い

写真協力:HAYABUSA2~REBORN製作委員会

※全国の映画館で公開され、話題になっているCG作品『HAYABUSA 2-REBORN』。なぜ「はやぶさ」の映画を制作しようと思ったのか、何かきっかけはあったのでしょうか。

「実は、映像制作の仕事を何十年もしているんですけれども、ある時JAXAさんから、“はやぶさミッション”っていう、今の“はやぶさ2”の前の、初号機のミッションの紹介映像を創りたいというお話がありまして、僕がCG制作者として呼ばれて、JAXAさんに行ったのが始まりといえば始まりですね。

 その頃僕自身、実は“はやぶさミッション”っていうことをあまりよく知らなかったんですよ。ニュースで聞く程度で皆さんと同じくらいの感じだったんですけども、自分でその映像を作らないといけないってなると、そのミッションをよく知らなければいけませんよね? で、行ったら、その“はやぶさミッション”チームのメインのリーダーが一同に集まっていて、そこに通されたんです」

●ええ〜!? 

「これ、すごいことですよね? まさに役得というか、一般の人はそんなこと絶対にできないんですけども、たまたま映像を創んなきゃいけないので、そういう場に通されて、いきなりいろんなレクチャーを受けて、自分が質問をして答えてくれるようなことが、その場で始まったんですね。それが非常に面白かったんです。

 こちらの疑問を言うと、皆さんが真剣に答えてくれる。で、あっという間に仲間になったイメージがあって、自分もそのミッション・チームの仲間になったイメージがあって、とても素敵な人たちでした。

 仕事じゃなくて人生をかけてやっているっていうのが、もう肌を通してっていうか、話を通して伝わってくるんですよね。もうグイグイそのミッションに惹かれていきました。

写真協力:HAYABUSA2~REBORN製作委員会

 もちろんやっていることもすごかったんですね。世界初のこと、小惑星イトカワに行ってサンプルリターンといって、かけらを持って来るっていうのは世界初のことなので、そういうことにチャレンジしている人たちも含めて、すごく興味を持ったんですね。

 そういう映像を創り始めた、それは単純に普通の紹介映像だったんですが、その後プラネタリウムのフルドーム作品にしよう! ということになって、これもいろんな経緯があるんですけど、それで創りはじめました」

※そして完成したのが初号機の「はやぶさ」を映像化した1作目『HAYABUSA  BACK TO THE EARTH』、今回の『HAYABUSA 2-REBORN』の前半はその映像がフィーチャーされています。

 緻密な映像は宇宙航空研究開発機構JAXAのプロジェクト・チームからの正確な情報をもとに再現されていますが、実は当初、「あること」でプロジェクト・チームの大反対にあったそうです。いったい何があったのでしょうか。

写真協力:HAYABUSA2~REBORN製作委員会

「作品をご覧になっていれば分かると思うんですけれども、単純にミッションを説明するような映像ではなくて、はやぶさのことをきみと呼んだり、人格、生きているような感じで扱っていますよね? いちばん初め、それをこちらから提案したときに、ミッション・チームの皆さんには全否定されました」

●あ、そうだったんですか!? 

「単純に機械なので、なんでそこまで感情移入させる必要があるのかっていう風に言われてですね。まあそうですよね、科学映像って普通そういう描き方はしないので、特殊といえば特殊な感じだと思うんですよ。なので初め、大反対を受けました。

 自分も初めは単純に説明するような映像を創ろうと思っていたんですよ。でも『HAYABUSA-BACK TO THE EARTH』の前に創った『祈り』という作品を創った時に、(はやぶさが)地球を出発してイトカワに行ってサンプルリターン、タッチダウンして、地球に帰ってくるまでを描いたんですけれども、ある程度出来上がったものを通して1回観る機会があったんです。

 最後のシーンは地球をバックに、はやぶさが地球に帰ってくる、はやぶさがだんだん小さくなっていって、地球に帰ってくるっていうカットなんです。当然その時、はやぶさは火の玉になって燃え尽きるしかない運命だったんですけど、そのカットを自分で観た時になんかグッときてしまって。

 はやぶさの後ろ姿に人格を感じたんでしょうね。涙がじわっと出てきてしまって、その時の自分の気持ちを大事にして創るべきじゃないかっていう風に、制作途中で気が付きまして、そういう構成と設定にしたんですね」

写真協力:HAYABUSA2~REBORN製作委員会

●へ〜! そういったことをプロジェクト・チームの皆さんにも説明されて? 

「言ったんです。そしたら全否定されました(笑)。でもここで面白いのは、はやぶさ初号機がだんだん地球に近づいてくると、ミッション・チームの皆さんも、はやぶさくんって呼ぶようになったり、はやぶさに感情移入を始めるんですよ、僕と同じように。

 プロジェクト・マネージャーの川口淳一郎さんは僕の提案を真っ先に否定していた人なんですけども、最後になってくると彼は何と言ったかというと“もう生きてるとしか思えない”って言うんですよ。だから、やった! と思いましたね」

「はやぶさ」壮絶な光景

写真協力:HAYABUSA2~REBORN製作委員会

*どうして「はやぶさ」はこんなに多くの人をわくわくさせてくれるのでしょうか?

「ひとつはもちろん今までやったことがないことをやっているってことですよね。見たことがない小惑星に行く、そこでそのかけらを持って帰ってくるっていうのは本当に世界初、人類初のことですから、それを行なうことってまずワクワクしますよね。

 あともうひとつは先ほどから言っている、なんでしょう、人って不思議で、はやぶさは単に機械なんですけれども、頑張って頑張って、もし困難に遭ったとしても挫けずに、しかも最後は燃え尽きながらもカプセルを届けるっていうことに、人の心ってやっぱり反応するんじゃないかなと。そういう姿をいろんな風に理解していって感情移入していくんじゃないかな・・・そこも大きいんじゃないかと思いますね」

●そうですよね〜。いよいよ、はやぶさ2が帰還予定となっていますけれども、今はどんなお気持ちですか? 

「すごく心配しています(笑)」

●心配ですか?(笑)

「心配ですね〜。ほぼ間違いないんですけれども、やっぱり何かひとつ手違いがあるとカプセルが地球に届かなくなってしまうので、すごく心配しています」

写真協力:HAYABUSA2~REBORN製作委員会

●もう奇跡ですよね。

「う〜ん・・・でも、はやぶさ2のミッション・チームはこれまでも、映画の中でも描いていますけれども、リュウグウに到着してから様々な困難というか、タッチダウンできないんですよね、平らな場所がなくてね。そういうことも全て乗り越えてきたチームなので、きっと間違いなくやってくれるんじゃないかなって思っていますけれども。

 本当は僕は、今回オーストラリアにカプセルを迎えに行きたかったんですが、コロナのために残念ながら行けないんです。初号機は見に行ったんですよ」

●あ、そうなんですね! その時どんなお気持ちでした? 

「いやーすごかったですね。自分実は、はやぶさ初号機のCGを創ってはいるんですけれども、1回も本物を見たことがなかったんですね。自分が創り始めた時はもう、はやぶさは宇宙に飛び立っていたので、1回も本物を見たことがなかったんです。

 それがいきなり火の玉となって目の前に現れて、1分くらいで燃え尽きて消えてしまったんです。すごく複雑な感情でした。自分の中では本当に、はやぶさって生きているなって思っていたので、それが消えていく姿っていうのはもう壮絶な光景でしたね」

JAXAお墨付きの映像

写真協力:HAYABUSA2~REBORN製作委員会

*現在ロードショー中の『HAYABUSA 2-REBORN』では、サンプルを採取するための、小惑星「リュウグウ」へのタッチダウンがリアルに、そして繊細に描かれているように感じたんですが、そこはかなりこだわったところでしょうか?

「なるべく今回、はやぶさ2の映像に関していえば、観た人に、はやぶさミッションの手応えを感じて欲しかったんですね。なのでなるべく精密に正確に描くっていうことを心掛けました。

 だからタッチダウンして、スラスターっていうロケットを吹いて上昇していくんですけれども、その時にリュウグウ表面の小石が飛び散りますよね。よく観ていただくと、その飛び散った小石が、はやぶさ2の、パドルって太陽電池パネルがあるんですけれども、あそこにちゃんと当たって跳ね返っているっていうところまで創ってあります。気付かれました?」

●えー!? ちょっとそこまでは。でも本当に細かく、何度も観たいと思うくらいの美しい映像でした。

「石が当たると、そのパドルがちゃんと当たった石の力によってブルンブルンってちょっと震えたりとかですね。
 結局、はやぶさ2のミッション・チームでさえ、リュウグウでの、はやぶさの姿っていうのは見てないじゃないですか。見てないので、その上でいろんな資料を元にこうだっただろうって描いてるんですけれども、それはいろいろ試行錯誤しながら、実際に近づけるように、JAXAの方とも協力しながら創っていました」

写真協力:HAYABUSA2~REBORN製作委員会

●最後に上坂さんから『HAYABUSA 2-REBORN』の見どころを改めて教えていただけますでしょうか? 

「先ほども言ったんですが、非常に精巧に創ったつもりでいます。特に1回目のタッチダウンでリュウグウに降下していく時、はやぶさがスラスターといって、四隅にある小型のロケットを吹いて姿勢を変えていくんです。このロケットが60分の1秒単位で制御されていて、細かく姿勢を制御しながら、自分の力で動いているんですね。そこを是非見て欲しいなって思っています。

 その映像は、はやぶさ2のプロジェクト・マネージャーの津田さんにも観ていただいて、お墨付きをもらっています。ぜひ映画館で、はやぶさ2がリュウグウで何をやったのか、その映像を、ほぼ本物に近いと思いますので、観ていただいて手応えを感じていただければと思います」

*「はやぶさ2」が帰還がいよいよ12月6日に迫ってきました。小惑星「リュウグウ」で採取したサンプルから生命の起源がわかるのか、わくわくしますね。ちなみに「はやぶさ2」は、次のミッションが決まっているそうですよ。それは11年かけて別の小惑星に行くこと。次に向かうのは「1998 KY26 」という天体でなんと直径はたったの30メートルだそうです。がんばれ! はやぶさ2!


INFORMATION

劇場版『HAYABUSA 2-REBORN』


劇場版『HAYABUSA 2-REBORN』

 「はやぶさ2」の活躍をリアルに、そして繊細に描いたこのCG作品は、上坂監督のはやぶさミッションへの想いや宇宙へのロマンを感じる感動作! 監修はJAXAの吉川真さんです。現在、全国の映画館で、絶賛上映中。ぜひご覧ください。詳しくは『HAYABUSA 2-REBORN』のオフィシャルサイトを見てください。

◎『HAYABUSA 2-REBORN』のHP:
http://www.live-net.co.jp/hayabusa2reborn/

◎株式会社ライブ(上坂浩光):
http://www.live-net.co.jp/live/news/news.htm

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