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情熱と行動力があれば、世界は変えられる〜20歳の環境活動家「露木志奈」〜

2021/2/14 UP!

 今週のベイエフエム / ザ・フリントストーンのゲストは、環境活動家の「露木志奈(つゆき・しいな)」さんです。

 露木さんは2001年生まれ、横浜市出身。通っていた幼稚園の影響もあって、幼い頃から自然が大好き。中学生の頃は英語が苦手だったそうですが、英語を話せるようになりたいという本人の希望から、インドネシアのバリ島にあるインターナショナル・スクール「グリーンスクール」に単身留学。

 2018年にはポーランドで開催された気候変動に関する国際会議COP(コップ)に「グリーンスクール」の仲間たちと参加。帰国後は慶應大学・環境情報部に進学。現在は休学し、環境活動家として活躍されています。

 きょうはそんな露木さんに活動への熱い想いや、彼女が通っていた世界最先端のエコスクールといわれているバリ島の「グリーンスクール」のお話などうかがいます。

☆写真提供:露木志奈

露木志奈さん

大事なのは、ひとりでも行動すること

※去年の11月から始めた講演活動は、全国の小中高、時には大学に招かれて、主に気候変動について講演しているそうですが・・・ほかにはどんなお話をするんですか?

「もちろんマイクロプラスチックって言われる、海に流れてしまっているプラスチックが波とか、太陽の熱とかによって分解されて、目に見えないくらいまでの小さなプラスチックになっているってお話も、もちろんさせてもらっているんです。

 あとは自分がインドネシアのボルネオ島にある熱帯雨林に行ったことがあって、そこって(アブラヤシから採れる)パームオイルって言われる、世の中で結構何にでも使われているような植物油があるんですけど、(そのアブラヤシを植えるために)伐採されている森を実際に見て、自分で植林をしに行ったりとかっていうのがあったので、自分にしか話せない内容っていうのを届けています」

●熱帯雨林などのそういった現場をご覧になって、具体的にどんなことを学生さんたちに伝えていらっしゃるんですか? 

「熱帯雨林については、自分が直接行ったことがあるので、まず普通の植物と熱帯雨林の違いについてお話しさせてもらっています。
 その上で日々、自分たちが消費しているものの中に、その原材料に(パームオイルが)使われているっていうこと、どういうものに使われているのかっていう説明をします。で、買う時に後ろの(ラベルに書かれている)材料を見て、無意識な選択じゃなくて、意識した選択っていうのがとても重要になっていくっていうことを、具体的にお話しさせてもらっています」

●気候変動については、どこにいちばんポイント置いてお話しされているんですか? 

「いちばんポイント置いているのは、自分たちが行動するっていうことがすごく大事っていうこと、最も重要なこと、ってお話ししています。
 ひとりが行動するって、意味がないって思っちゃうことがすごくあるし、私も実際にそういう風に思っていた時もあるんですけど。でも、みんながそう思っているからこういう問題が解決していかない。誰かが解決してくれるってみんなが思っているから解決していかないなって思うので、ひとりひとりの日々のアクションがすごく大事っていうことを、最終的なメッセージとして伝えさせてもらっています」

写真提供:露木志奈
写真提供:露木志奈

同世代にメッセージを届けたい!

※講演を聴いた生徒さんや学生さんたちの反応はどんな感じですか?

「学校にもよるし、学年にもよるし、本当に人それぞれなんですけど。もちろん本当に人生が変わりましたっていう風に言ってくれる人もいるし、自分の将来と環境っていうのは同じこと、考えるっていうのは全く同じことだから。
 今までは環境は環境、自分は自分っていう風に捉えていたけれども、そのふたつっていうのは全く同じことなんだって思ってくれる生徒さんもいらっしゃったりとか。

 あと先生は、毎日その生徒さんと関わっている中で、私が講演させてもらったあとに、反応をやっぱり見てくださっているんですけれども、この前、静岡の方で講演させてもらった学校で、校長先生が“僕はこの学校で2年ぐらい勤務させてもらっているんですけど、あんなに生徒の目が輝いているのは初めて見ました!”って言ってくれて。
 確かにその学校、講演が終わったあとに私の周りに(生徒さんが)30人ぐらい集まってきてくれて、ずっと質問してくれて、そのあともお母さんのアカウントを使ってインスタグラムから質問をさらにくれたりとか」

●へ〜! SNSなども活用しながらいろいろされているわけですね! 

「そうですね。私は基本的にいちばん多いのはインスタグラムを通して発信はさせてもらっているんですけど、でもこっそりYouTubeとかもやっています」

●やはり学生さんたちにとっても、歳の近い方が話してくださるっていうのも大きいのでしょうね。

「そうですね。私と同世代の子たちにお話を届けたいって思ったのも、やっぱり同世代である自分が話すことによって、メッセージがより深く、強く伝わるかなって期待しているのが、いちばんの理由で、学生の方にお話をさせてもらっています」

グリーンスクールよりサバイバルだった幼稚園!?

※露木さんが環境活動家として活動するようになったのは、世界でいちばんエコなスクールといわれているインドネシア・バリ島にある「グリーンスクール」で学んだことがきっかけ。その学校では、環境のことなどを学べる授業がたくさんあったそうです。具体的に、どんなことを学んだんですか?

写真提供:露木志奈
写真提供:露木志奈

「授業は結構様々で、数学とか理科とか社会とかっていう、日本にもあるような教科も、もちろんあるんですけど、それとは別に面白い授業もたくさんあって。
 例えば音楽を作るっていうDJのクラスがあったりとか、あとはチョコレート・メイキングっていって、毎日チョコレートを自分たちで作って、ただ作って食べるっていうだけだったら授業にならないので、どういう風にビジネスをするかを学ぶっていうことをやっていました。

 あともうひとつ。グリーンスクールは幼稚園から高校まであるので、高校生の場合だと全部選択授業なんですね。大学みたいな感じで好きな授業を選べるんですけど、その中でもし好きじゃない授業があったりとかしたら、自分で授業を作ることもできるんです。
 私の場合は高校1年生の時から自分で化粧品作りをやっていましたね。インデペンデント・スタディっていうんですけど、独立的に勉強するっていう授業を作る枠があって、そこで化粧品をずっと作っていました」

●本当にグリーンスクールって英語だけじゃなくていろんなこと学べるんですね。

「そうなんですよ」

●もともと子どもの頃から自然っていうものは近くにあったとか、お好きだったんですか? 

「そうですね。今まで自然に触れることがなかった人がグリーンスクールに行って、急に環境に関心を持つってなかなかないと思うんですけど、私の場合は小さい時から、幼稚園の時もトトロ幼稚舎っていう磯子区杉田にある幼稚園に通っていました。その幼稚園もなかなかユニークで、お昼ご飯って普通、幼稚園って出してくれるじゃないですか。トトロ幼稚舎は飯盒でご飯を焚くんですよね、木を燃やして」

●えぇ!?  

「それを幼稚園生がやって、あとは普通に包丁を持って料理とかしていました」

●そうなんですね〜。もうその頃からいろいろなものが芽生えていたわけですね。 

「そうですね。卒業遠足とかも、箱根八里、30キロ歩くような幼稚園なんですよ」

●へぇ〜! そうだったんですね! じゃあグリーンスクールに特に抵抗というか、そういったものはなかったわけですね。

「そうですね。幼稚園の方がサバイバルだったなと思っています(笑)」

グリーンスクールで学んだ3つのこと

写真提供:露木志奈

※世界最先端といわれているエコスクール「グリーンスクール」に通って、ご自身の中でいちばん変化したことってなんですか?

「これは結構よく聞かれることだったので、どういうこと学んだのかなって、やっぱり振り返らないと具体的に言語化って上手くできないじゃないですか。だからまとめたことがあって。
 3つあるんですけど、ひとつ目が、まずは“人数分の答えがある”っていうこと。数学みたいに1+1=2みたいな、みんなが共通で同じ答えを持つっていうことは、世の中に出た時になかなかなくて、みんな人それぞれ意見とかも違うし。

 それって育った環境だったりとか、話している言語とかによって、全く同じものを見ていても見方とかがそれぞれ違う。だから人数分の答えがあって、みんなそれぞれで合っているんだよっていうことを、グリーンスクールに行って学んだっていうのがひとつ。

 ふたつ目が“ないものは自分で作る”っていうこと。私の妹が、2歳下の妹なんですけど、私が高校1年生で、妹が中学2年生の時に、お年頃だったっていうのもあって、市販の化粧品を買いに行ったんです。そこでナチュラルって書いてあるものを買ったんですね。

 で、すごくワクワクしてお家に帰ってきて、その化粧品を試した時に、私の肌は何ともならなかったんですけど、妹の肌がものすごく荒れちゃって。その時に私は、あれ? でも化粧品にナチュラルって書いてあるじゃんって。商品の裏って原材料が書いてあるじゃないですか。その時にできることって原材料を見て、何が入っているのかって調べるぐらいだったので、最初はそれをやっていたんですけど。

 でも調べていった時に、日本っていう国にナチュラルとかオーガニックとか、無添加って言われる言葉の定義がしっかりと定められてないから、マーケティング・ワードとして使われちゃう場合もあるんだなって。だからそういう言葉=100%安全じゃないんだなって思ったんですよ。
 あとは動物実験のことだったり、日本のプラスチックのリサイクル率の話だったりを知っていく中で、妹のために信用して使える化粧品がないなと思って、そこから自分で作りました。だからないものは自分で作るっていうのはそこで学んだことです。

 3つ目が“大人になるまで待たなくていい”ってこと。これは学校から学んだとか、先生から学んだっていうわけじゃなくて。
 同い年の女の子でマラティっていう子がいるんですけど、そのマラティっていう女の子は今“バイバイ・プラスチックバッグ”っていう NPOを運営している子です。その子は普通にバリで育った女の子で、妹にイザベルっていう女の子がいる姉妹なんですね。

 そのふたりは自分たちが育ったバリ島にゴミが溜まっていくのがすごく嫌だったから、最初はふたりでゴミ拾いをしていたみたいで。でもゴミ拾いってずっとやっていてもゴミはなくならないじゃないですか。ゴミが出る量を減らしていかないとゴミってやっぱりなくならないから、それに気づいたふたりは、とにかくゴミの中でもプラスチックバッグを減らしていきたくて。
 結局署名を集めて、国の法律を変えていかなきゃこの問題は根本的に解決しないと思ったみたいで、最終的にそのふたりが法律を変えたんですね。

 そのふたりが直接(“大人になるまで待たなくていい”と)言っていたっていうことではないけれども、行動で示してくれているっていうか。法律を変えるってすごく大きなことにも聞こえるし、普通だったら政治家がやるとか、大人になってからそういう関連の仕事をして、みたいなイメージあると思うんですけど、そんなの関係なくて、もし目の前に変えたいものあるんだったら、別にいつでもやっていいんだよっていうことを、それが可能なんだよっていうことを、行動で示してくれていて、私は“そういうことか!”って思いました」

人の心を動かすのは情熱!

※露木さんは2018年に「グリーンスクール」の仲間たちと気候変動に関する国際会議COPに参加した時に、スウェーデンの環境活動家「グレタ・トゥンベリ」さんの講演を聴いたそうです。彼女の存在にインスパイアされるし、刺激を受けるともおっしゃっていました

写真提供:露木志奈

 今後も環境活動家としての活動を続けていくと思うんですけど、学校で行なう講演で心掛けていることはありますか?

「情熱を伝える、情熱を持って話をするっていうことですかね。
 やっぱりデータとか数字とかを伝えても、もちろんそれで危機感を持ってくれる人もいるけれども、話している人がどれぐらい本気でこの話をしていて、どれぐらい危機感を持っているのかって、やっぱり話し方だったりとか、情熱がどれぐらいその言葉に含まれているのかっていうことなんじゃないかなっていう風に思っていて。どの歳の人でもいちばん最後にやっぱり人の心を動かすのって、情熱なんじゃないかなって思っています」

●この番組を聴いてくださっている、特に10代から20代のリスナーさんにいちばん伝えたいことってどんなことですか? 

「私は今まで、いろんな挑戦とか体験をさせてもらえるような環境にいたんですけど。でも、やっぱり学んだことって、今やりたいことを今その時にやるのがいいなってすごく思っています。

 大学も普通だったら高校を卒業して行くっていうのがパターンで、みんなそのまま大学を卒業するっていうのが当たり前で、普通で、って思っているとは思うんですけど、私は大学よりも優先したいものがあったから、今は休学をして講演活動をしています。
 必ずしもみんなと同じように行動とか考えとかを持たなくてもいいし、自分の考えとか何か今やりたいこととかがあるんだったら、それを大切にしていってほしいなって。必ず出来るので !」


INFORMATION

 露木さんはインスタグラムやYouTubeでも定期的に発信しています。YouTubeではエシカル商品やハチドリ電力、あとビーガン料理なども紹介。ぜひチェックしてください。

◎露木志奈さんYouTube:https://www.youtube.com/channel/UCnpCdNkwmJSdFpxMkQWReqw

◎露木志奈さんインスタグラム:https://www.instagram.com/shiina.co/

 露木さんにうちの学校にも来て欲しい、講演をやってほしいと思ったかたは、露木さんのオフィシャルサイトにアクセスして、「コンタクト」からお問い合わせください。

◎露木志奈さんHP:https://www.shiina.co/

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