毎回スペシャルなゲストをお迎えし、自然にまつわるトークや音楽をお送りする1時間。
生き物の不思議から、地球規模の環境問題まで幅広く取り上げご紹介しています。

Every Sun. 20:00~

園庭のテーマは「自然と冒険」〜子供たちに豊かな感性を〜

2021/5/2 UP!

 今週のベイエフエム / ザ・フリントストーンのゲストは、「こどもみらい」の代表「廣瀬泰士(ひろせ・たいじ)」さんです

 廣瀬さんは1973年、高知県生まれ。学生時代に建築を学び、都市計画のコンサルタント会社から造園会社に転職、園庭造りに携わり、2011年に独立し、「こどもみらい」を設立。園庭造りのかたわら、講演活動も行なっていらっしゃいます。

 園庭というと、滑り台やアスレチック用の遊具があるイメージだと思いますが、廣瀬さんが手がける園庭は、草木や生きものたちと触れ合えるような造りになっています。そして先頃、『園庭づくりのヒントがいっぱい〜こどもがあそべる木と草花』という本を出版されました。

☆写真協力:株式会社 こどもみらい

写真協力:株式会社 こどもみらい

先生たちと一緒に造るオリジナル園庭

※それでは廣瀬さんにお話をうかがいましょう。廣瀬さんが手がける園庭にはどんな特徴があるんでしょうか。

「基本的に園庭っていうのは遊具先行型っていうのが主流です。ですが僕たちは、当然遊具もお客さんのご要望があればご提案させていただきますが、決して遊具ありきの園庭造りではないというところです」

●具体的にはどんな庭を作ってらっしゃるんですか?

「基本的なテーマと言いますか、自然と冒険というテーマで取り組んでいます。その中で園庭造りにおいては、弊社の者が保育園に対して一方的にご提案するわけではなくて、先生方と一緒に話をしながら積み重ねていって、その都度、ご提案をして修正をしてというような組み立てと言いますか、積み重ねで園庭造りをしています。結果的に園オリジナルの園庭が出来上がるというところです」

写真協力:株式会社 こどもみらい

※廣瀬さんの園庭造り、その工程を少し説明しておきましょうね。

 保育園や幼稚園からの問い合わせを受けて、現地におもむき、丁寧にヒアリングを行ないます。そこには今ある園庭を良くしたいという園長さんや先生たちの思いがあるのでそれをしっかり汲み取りつつ、今まで廣瀬さんが手掛けた事例を説明。そして本格的な図面を作る前に、改造する園庭のイメージを絵で表現し、共有します。

 その後、着工しても一度には工事を終わらせないそうです。そこそこの面積がある園庭の場合、先に取り掛かるエリアを決めて、第1期の工事を行ないます。そして、そのエリアで四季を通して、園児たちと遊んでもらい、第2期の工事に入る前に、着工前に決めた計画で進めていいのか先生たちに問いかけるそうです。

 そうすると先生たちから意見や要望が出てきて、それを受けてマイナーチェンジを行ない、その後、夢の園庭が完成するということです。

写真協力:株式会社 こどもみらい

 廣瀬さんいわく、短期間で完成させるのではなく、工事をする期間を1期から3期くらいまで分け、中長期で取り組むのがポイントだそうです。また、植物を植えたりする作業を、先生や園児たちと一緒に行なったり、工事をしている様子を園児たちに見てもらったりするそうですよ。これ、いいアイデアですよね。園児たちに愛着がわきますよね。

 廣瀬さんの会社「こどもみらい」では完成後も定期的に樹木の剪定や木の遊具のメンテナンスも行なっているとのことです。

もともと自然が好きだった!

※廣瀬さんは自然豊かな四国の高知で育っていらっしゃいます。そのことも今の仕事のバックグラウンドになっているようですよ。

「地域独特の特徴のある自然ってあると思うんですけど、僕の祖父母だとか、あと友達とかと遊んだその豊かな自然っていうのが、僕の今の人間性をすごく形成したと思えるんです。自然と本当に共に生活したという、まぁ市内なんでね、そんな山の中っていうわけではないんですけども、お爺ちゃんお婆ちゃんから生活の中でいろいろ教わった、季節が巡るその自然と共に生活したっていう、それが僕の中で染み付いているもんですから、そういったことですかね」

●冒険とか自然体験ができる園庭を造ると言っても、色んな知識がないとだめですよね? 土木的な知識から、植物だったり生き物だったり、幅広く知っていないといけないと思うんですけれども、廣瀬さんはどちらで勉強されたんですか? 

「もともとは自然が好きだったものですから、虫とかそういうことにはすごく興味、関心はありました。当然学問として勉強しているわけじゃないんですけども、すごく興味があったので、本だとかはすごく常々読んでいたりもしていました。

 で、造園の技術っていうのは当然(造園会社に)入社した時から社内の人間、先輩とか、職人さんとか、いろいろ教わっていました。ただ園庭造りに関してはそれだけではなかなか出来なくて、そこで僕も前職の頃から、やはりこれは保育に関する専門的な知識は必要だなと思って、通信で保育士の資格を取ったっていうのがありますね」

●やはり保育士さんの視点っていうのも大事な要素ですね。

「そうですね。僕は必要かなと思っています。社内のスタッフにも頑張ってねとは言っていますが、なかなか両立が難しいところがあって、やっぱり子供の成長とか発達っていうのは僕たち設計する上ですごく基本になるところなんです。だから今の園庭をいろいろ考えていく中での基礎になっていると思います」

写真協力:株式会社 こどもみらい

豊かな人生を味わうきっかけに

※廣瀬さん、自分が手掛けた園庭で、園児たちにどんなことを感じとって欲しいですか?

「自然の大切さと言いますかね、触れ合うことでの喜びとか感動を味わってほしいんですね。当然、人間って誰しもが生き物が大好きとか、土に触るのも全然問題ないよってなかなかそうはならないですね。苦手な人もいます。

 それは決して良い悪いじゃなくて、やっぱり人として成長していく中で、何か出来事があって、それに対する反応で、苦手だなとか見るのも嫌いってなると思うんですけれども、それはもう止められないし、決して悪いわけでもないんです。

 おぎゃあと産まれた子供が生き物を見て、例えば蝶の幼虫を見て、これ気持ち悪いとはならないんですよね。そもそも生き物とは認識しないんです。ムニュムニュ動くもんだと思って、やっぱり子供っていうのはいろんなものに興味を持ちます。でもそれがいつぞや成長していく過程で先ほど言ったように苦手になるんですね。

 その中で特に好きっていう人たちが、例えば昆虫博士になったり生物学者になったり科学者になったりすると思うんですね。ですので、弊社が関わらさせていただいた、先生たちと共に作った自然豊かな園庭で子供たちに、せめて乳幼児期、0〜5歳までのこの間、思う存分自然と触れ合ってほしい、そこでいろんな体験をしてほしい、いろんな感動を味わってほしいですね。

 でも、その中でも苦手な子は早々に出てくるし、もっと興味のあるサッカーとかで遊びたいってそういう子たちも興味はそっちに行きます。でもそれはそれでいいです。いいですというか、僕はそんな良い悪いを判断するわけじゃないですけど、それはそれで尊重していいと思うんですね。

写真協力:株式会社 こどもみらい

 ましてや一緒に造った自然豊かな園庭で、ここで育った子供たち全員、生物学者になってほしいなんてこともないわけです。ただそういった環境を整えることで、経験する機会が要するに増えるわけなので、少しでも(自然や生き物に)興味を持って、その子の豊かな人生を味わうひとつのきっかけと言いますかね。園庭でやれることなんて本当に人生の中では一瞬なんですが、その一瞬だけでも思う存分、安全と言われる園庭の中で、先生たちと一緒にその感動を味わってほしいなと。

 どういう結果に繋がってほしいとかそういうことはないです。単純にその瞬間を思い切って、“センス・オブ・ワンダー”って言うんですけどね、自然の不思議さとかそういったことに目を見開いて、感動とか感性を思いっきり育める環境を、先生と共に育みたいと思っています」

名前はあえて教えない!?

※廣瀬さんは先頃『園庭づくりのヒントがいっぱい〜こどもがあそべる木と草花』という本を出されています。この本は保育園や幼稚園の先生向けに書いた本なんですか?

『園庭づくりのヒントがいっぱい〜こどもがあそべる木と草花』

「そうですね、僕たちが日頃やっぱり接していますのは先生方とのお話、対応っていうのが多いですから、やっぱり先生たちに対するメッセージがありますが、本として世に出ていますから、当然お母さんに限らず、お父さんも含めて、子供と関わる方々は読んでくださいとは言いませんが(苦笑)、ご参考に何かしていただければいいかなという風に思っています」

●公園に咲いている花について、ちょっとうんちくが言えたりとかできますね! この本を参考にすると。

「よく園庭で木を植えたりして、先生方が名前を知りたがるんです。この木は何? って、それは子供たちに伝えたいから、それは分かります。でも、何かね、名前を書いて覚えてくださいって言って覚えたら、先生の中で完結しそうで。

 この名前を知った、でも実はその後のストーリーが大事で、子供たちとどう遊ぶか、共有するか、その本にもあるようにどのように遊べるか、食べられるか、どんな味がするかっていうのはその先にあるもの。だから僕、名前を聞かれてもあんまりパッと答えずに考えてみてくださいって言います。

 植物って昔の人は生活と馴染んで名前をつけたものが多いじゃないですか。だからそれの名前をすぐ言わずに、“先生これ何に似ていると思う?”というところから始まって順番に考えて、“そうそう、それ!”とかね。そういうのを先生にぜひ子供たちと一緒にって。名前はあんまり僕はあえて言わないようにしています」

●ストーリーごとお伝えするっていうことなんですね。

「そうそう、そこが実は楽しいところなんですよ」

●この本はお庭がある一軒家に住んでいる方にも参考になりそうですよね!

「そうですね。ぜひ子供たちと一緒に(植物を)植えてほしいですし、季節を感じてほしいですね」

子供たちの豊かな感性のために

写真協力:株式会社 こどもみらい

※では最後に、廣瀬さんが園庭造りを通して伝えたいことを教えてください。

「僕たちは園さんからご要望あったことを誠実に応えている、スタッフとみんなで頭を悩ませて頑張っているだけなんですけども、おそらくひと昔前は、僕たちのようなこの仕事の取り組みってビジネスにならなかったと思います。っていうのは身近な自然っていうのはそこら中にありましたから。

 そこに対するアプローチとか、まさにその本に書いてあるようなことっていうのは、僕が友達や爺ちゃん婆ちゃんとかと一緒に生活する中で、実は身につけたものなんです。だからこの時代だからこそ、こういったことを伝えないと、子供たちの豊かな感性とかそういうことは育まれないんじゃないかなと一方で危惧をしながらも、僕たちは仕事に一生懸命向き合うだけなんですけども、そういったことを先生たちと一緒に子供たちに伝えられたらなというだけです 」


INFORMATION

園庭づくりのヒントがいっぱい〜こどもがあそべる木と草花』


『園庭づくりのヒントがいっぱい〜こどもがあそべる木と草花』

 この本には園庭造りのヒントが第5章にまとめられていますが、第1章の「春」編から第4章の「冬」編まで樹木や草花を紹介。植物の特徴はもちろんなんですが、その植物にどんな昆虫が寄って来るのか、葉っぱでどんな遊びができるのか、熟した実を食べたり、ジャムを作ったり、植物を通して、どんな遊びができるのか、それをイラストや写真でわかりやすく解説。これは小さなお子さんを持つパパやママ、孫がいるおじいちゃんやおばちゃんにも読んで欲しい一冊です。小学館スクウェアから絶賛発売中! 詳しくは出版社のサイトをご覧ください。

◎小学館スクウェアHP:https://shogakukan-square.jp/publish/books_new/747/

 廣瀬さんが代表を務める「こどもみらい」のオフィシャルサイトは以下。

◎「こどもみらい」HP:https://www.codomomirai.com/

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