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新シリーズ「SDGs〜私たちの未来」第3弾! 草ストローに注目!〜ひとりひとりがちょこっとできるエコな選択〜

2021/6/27 UP!

 今週のベイエフエム / ザ・フリントストーンのゲストは、東京農業大学の学生で、ベトナムから草ストローを輸入し、販売する会社を起こした「大久保夏斗(おおくぼ・なつと)」さんです。

 「SDGs」は、「SUSTAINABLE DEVELOPMENT GOALS(サステナブル・デベロップメント・ゴールズ)」の頭文字を並べたもので、日本語に訳すと「持続可能な開発目標」。地球の資源を大切にしながら経済活動をしていくための約束で2030年までに達成しようという世界共通の目標=ゴールが全部で17設定されています。

 今週は17あるゴールの中から、主にゴール12の「つくる責任 つかう責任」、そしてゴール1の「貧困をなくそう」について。

 去年「HAYAMI」という会社を起こした大久保さんに、草ストローの普及活動を行なう思いなどうかがいます。

☆写真協力:大久保夏斗、HAYAMI

写真協力:大久保夏斗、HAYAMI
大久保夏斗さん

運命のいたずら!? 草ストローとの出会い

 大久保さんが草ストローを販売するようになったいきさつが、ミラクルなんです。

 高校生の頃にSNSで、ウミガメの鼻にストローが刺さった映像を見た大久保さんは、ショックを受け、環境のために何か自分にできることはないか、探していたそうです。そんな中、世界をバックパッキングで旅をしていたお兄さん、迅太(はやた)さんが、たまたま飛行機の隣の席だったベトナムの方から、ベトナムには草で作ったストローがあると教えてもらい、そのことを、帰国した際に、弟の夏斗さんに伝えます。

 東京農業大学の国際農業開発学科で学んでいる夏斗さんは、海洋プラスチックゴミの削減だけでなく、発展途上国の農業支援にもつながると考え、ベトナムの草ストローを日本に広めることを決意、会社を起業します。

 メンバーは大久保迅太さん、夏斗さん兄弟と、草ストローの存在を教えてくれたベトナム人のミンさんの3人。実はミンさんは2年間、日本に留学していたんです。そして去年の5月に、合同会社「HAYAMI」を創業し、草ストローの普及に邁進しています。

 “飛行機の座席がたまたま隣りだった”ことが、ミラクルを生んだ、まさに運命の出会いだったんですね。もしかしたら、神様が環境問題に関心の高い若者を引き合わせた、と言っていいかもしれませんね。

左から大久保迅太さん、ミンさん
左から大久保迅太さん、ミンさん

草ストローの3つの特徴

※それでは大久保夏斗さんにお話をうかがっていきましょう。プラスチック・ストローの代替品になる草ストロー、その特徴を教えてください。

「特徴としては3つあるんです。1つ目は環境保護。脱プラスチックの観点からもプラスチック・ストローではない草ストローを使うことで、環境保護に繋がっているだけでなく、完全生分解性、無農薬、無添加っていう特徴もあるので、使用後にゴミ削減のために、資源として活用するっていう特徴もあるかなと思っています。

 で、2つ目にベトナムの農村、ホーチミンという都市から離れた農村で栽培されているので、ベトナムの農村地帯の雇用も創出していて、発展途上国支援にも繋がっているかなという風に思っております。

 3つ目には、やはり紙ストローより耐久性に優れていて、紙ストローは長時間使用できなかったり、口に張り付いてしまうっていう感触があると思うんですけど、そういったことはなく、長時間使用していただけるところが草ストローの大きな特徴かなと思います」

写真協力:大久保夏斗、HAYAMI

●見た目はどんな感じなんですか? 

「見た目は、本当に草の茎そのものです。何か草と聞くと葉っぱを丸めているイメージを持つ方が多いんですけど、草の茎をそのまま使っています。緑色で、自然のものなので多少、色や大きさにばらつきがあるんですけど、本当に自然本来の、草の茎そのままを使った製品になっています」

●じゃあ草ストローの素材は、茎を持つ植物っていうことなんですか? 

「そうですね。植物名でいうと、カヤツリグサ科のレピロニアという植物なんですけど、イネ科に近い植物ですね」

●そのレピロニアっていうのは、ベトナムで栽培されている植物なんですね? 

「そうですね」

●じゃあ珍しい植物ではないっていう感じですね。

「主に東南アジアの熱帯地域で栽培されていますね」

写真協力:大久保夏斗、HAYAMI

●それが草ストローになるまでにはどんな工程があるんですか? 

「本当に草の茎をそのまま利用しているので、工程としてはシンプルです。洗浄して、あとはカットして殺菌してみたいな、本当にシンプルな過程で作ることができるので、そこで大型の機械を利用してCO2排出みたいなこともない製品です」

●製品化するまでに何か大変だったこととかありますか?

「やはりベトナムと日本の衛生基準っていうのはどうしても異なるものがあったので、現地に向けてゼロから衛生マニュアルを作成してお送りしたり、あとは日本での残留農薬検査だったり、衛生基準の食品分析センターというところで衛生の検査を行ないました」

草ストローを資源にする!?

※草ストローは実際、どれくらいの耐久性がありますか?

「基本的には紙ストローよりは耐久性があります。草の茎を乾燥させているので、初めは潰すとパリッと割れてしまうこともあるんですけど、植物の茎なので(飲み物を)飲んでいるうちに茎が水分を含んで柔らかくなって、潰しても割れにくくなる、耐久性が増すといったような特徴があるんですね。本当にふやけたりすることはないので、長時間使用していただくことは可能です」

●洗えば何回でも使えるってことですか? 

「無添加なので基本的に使い捨てを推奨しています。防腐剤などは添加していないので、植物の劣化だったり衛生面の観点から使い捨てを推奨して販売しています」

●なるほど〜。廃棄処分する時は元々は植物ですから土に返したりとかするんですか? 

「現在、導入店舗から具体的な回収方法っていうのはまだ構築できていないんですけど、今後はその使用後のストローを資源として活用するために、家畜の飼料であるとか、農家の堆肥として活用できないかっていうことは現在検討しています」

●確かに草ストローを砕いていくと家畜のエサになったりもしそうですよね。

「そうですね 。やはり一度、人間の口に付けたものなので、それを動物に与えても大丈夫かっていうところだったり、あとはストローでコーラを飲んだものと、コーヒーを飲んだものを一緒にして、餌にしちゃっても動物に影響がないかっていうところは、ちゃんと考えないといけないなと思っています」

●確かに環境にもいいですけど、ベトナムで栽培したものを適正な価格で輸入したら、栽培農家さんの支援にもなりますね。実際ベトナムの皆さんからの反響とかはありますか?

「やはりコロナ禍で雇用だったり、経済が停滞している中で始めた事業だったので、日本で草ストローを売ることができて、助けられているっていう風には言ってもらえて、すごく嬉しいなと思います」

写真協力:大久保夏斗、HAYAMI

草ストロー、評判は上々!

※大久保さんは草ストローを広めるために、学業の合間をぬって、主にメールや電話で営業活動を行なっているそうですが、いま全国で何店舗くらいのお店が草ストローを使っていますか?

「全国で現在、約160店舗で使っていただいております」

●あ、そうなんですね! 千葉でも使っているところはありますか? 

「千葉も何店舗かありまして、木更津にある”KURKKUFIELDS(クルックフィールズ)”さんだったり、佐倉市にある”笑みごはん”さんだったり、4店舗〜5店舗ほど、ホームページにも導入店舗リストっていう風にして記載させていただいてるんですけど、導入していただいております」

●じわじわと広がっている状況なんですね! お客さんの評判を聞かれることはありますか? 

「飲食店の方から言っていただける言葉でいうと、環境問題にお客さんが興味を持ってくれて、これ何のストロー? っていう質問をしてくれたっていう声だったり、珍しい見た目のストローでコミュニケーションのツールに繋がったであったりとか。あとは見た目もすごく自然で、紙ストローよりも長時間使えるっていうことで、環境に優しいっていうことがダイレクトに伝わって、いい商品だなという風に言っていただきました」

●小さなお子さんはお家でもストローを使う機会は多いですよね。

「そうですね。高齢者の方だったり小さなお子さんは、やっぱりストローを使う機会がどうしてもあると思うので、ストローを使わないっていう選択肢ももちろんありだと思うんですけど、それでも使っていただく必要があるお客様には、ぜひ草ストローを利用して欲しいなと思います」

写真協力:大久保夏斗、HAYAMI

<草ストローを使ってみた>

 実際に草ストローを使った、この番組のスタッフの感想としては、第一印象は見た目も手触りも素朴な感じで、これはいいな! と思ったそうです。植物の、空洞になった茎なので、色味も太さも微妙に異なりますが、ストローとしての機能は申し分ないとのこと。水分を含むと柔らかくなり、耐久性が増すことも確認。

 ただし、乾燥した状態のまま、指ではさんで押すと、パキッと割れてしまうので要注意! 特に幼児はストローを噛んでしまうので、事前に必ず水分を含ませ、柔らかくした草ストローを使うようにしたほうがいいと言ってました。草ストローの箱に使用上の注意が書いてありますので、事前に確認してから使ってくださいね。

サボテンの皮でサイフ!?

※草ストローのほかに何か新商品はありますか?

「今年の3月からサボテンの皮で作ったヴィーガンレザーのサイフの販売を開始しました」

●サボテンの皮からサイフができるんですか? ちょっと想像がつかないんですけれども、どういう風にどうなったらサイフになるんですか? 

「メキシコで有機栽培されているサボテンを使って、そのサボテンを皮にする技術を持ったメーカーがメキシコにあって、それを日本に輸入して、その皮から日本の長年続いている皮職人さんの手でサイフにしていただくっていったような工程で販売しています」

●サボテンで皮を作る技術やメーカーは、どういうところから情報を得るんですか? 

「インターネットなどで、サボテンから皮を作っているっていうのは、以前から知っていたんですけれども、日本にはなかなか普及していないっていうのもあって、ぜひサステナブルな生活の中の選択肢のひとつとして、日本に普及させたいなっていう風に思って販売を開始しました」

●サボテンの皮を使うことで、どうやってサステナブルになっていくわけですか? 

「まず、サボテンであれば水の量も少ないですし、そこまで豊かな土地でなくても育つっていうところがあるんですね。そこから本来、動物の皮で作られているものを植物性のもので作ることで、動物愛護だったり。
 あとは動物性の皮を作る時に、家畜もメタンガスを出していたり、その動物たちの飼料を育てる時に農業を大規模に行なわないといけないので、そういった観点から、サボテンから作ったレザーのサイフを長く使っていただくことで、環境にもいい影響があるのかなという風に思います」

●見た目はどんなおサイフなんですか?

「本当に皮は動物性の皮と同じような手触りで、耐久性もそこまで差異はないです。無駄のないシンプルなデザインで、今現在は黒の一色のみで男女両方に利用していただけるような形になっています」

ミッションは、エコな選択を提供すること

※それでは最後に大久保さんにうかがいます。去年、先行して始めた草ストローの輸入販売、今後はどのような展開を考えていますか?

「そうですね。今いちばん目指しているのは、やはり循環システムの構築ですね。草ストローを使ったあとに、ただゴミにするのではなく、それを資源として活用してゴミを出さないシステムを構築したいなと思っています。ただそこには、どうやってお店から草ストローを回収するのかっていう課題はまだまだあるので、そこもしっかり考えて、導入店舗を増やしつつやっていけたらなと思っています」

●大久保さんが思い描く理想の未来っていうのはどんな未来ですか?

「我々の活動ではひとつミッションのようなものを掲げています。それは”ひとりひとりがちょこっとできるエコな選択を提供し続けること”で、誰かひとりが100環境に優しいことをするんではなくて、ひとりひとりが少しずつ環境に優しいエコな選択をすることで、大きな環境問題を解決できるような未来になったらいいなと思っています」 


INFORMATION

写真協力:大久保夏斗、HAYAMI

 「HAYAMI」で輸入販売している草ストローは、完全生分解性・無農薬・無添加なので環境だけでなく人間にも優しく、日本の衛生検査も通過しています。

 販売価格は、20センチ20本入りで一箱400円、13センチ20本入りで一箱280円。「HAYAMI」のサイトから購入できます。ご家庭はもちろん、飲食店などを営まれているかた、プラスチックゴミを減らすために、ぜひ一度、草ストローを試してください。

 詳しくは「HAYAMI」のオフィシャルサイトをご覧ください。草ストローを導入している店舗のリストも載っていますよ。

◎「HAYAMI」オフィシャルサイト:https://www.hayamigrassstraw.com/

写真協力:大久保夏斗、HAYAMI

 大久保さんが草ストローとは別にこの3月から販売を開始した、サボテンの皮を使ったおサイフは「Re:nne(リンネ)」というブランドの新商品です。名前の由来は「輪廻転生(りんねてんしょう)」の「輪廻」で、「生まれ変わり続ける」がコンセプトになっています。

 動物の皮を使わずに作った製品で特に植物系の素材で作った「ヴィーガンレザー」は、サステナブルで動物愛護にもつながるエコ素材として、いまとても注目されています。原料は、木の皮のほか、キノコやパイナップルの葉っぱ、りんごの皮などでサボテンの皮を使っているのはとても珍しいそうです。

 「Re:nne」ではデザイン性、機能性、そしてサステナビリティを重視して、おサイフを開発。メキシコで製造されたサボテンレザーを輸入し、日本の熟練した皮職人さんがひとつひとつ丁寧に仕上げ、現在は黒の長ザイフと、ふたつ折りサイフの2種類を販売しています。

 詳しくは「Re:nne」のオフィシャルサイトをご覧ください。

◎「Re:nne」のオフィシャルサイト:https://rennetokyo.thebase.in

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