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冬の星座と天体ショー!〜心を清めてくれるスターライト

2022/1/9 UP!

 今週のベイエフエム / ザ・フリントストーンのゲストは、福島県田村市(たむらし)にある「星の村天文台」の「大野裕明(おおの・ひろあき)」さんです。

 大野さんは1948年、福島市生まれ。小学生の頃に担任の先生が小さな望遠鏡で太陽を天井に映し出してくれたのをきっかけに天文に興味を持つようになり、将来は天文学者になる夢を抱きます。

 高校生のときに国際的に活躍する天体写真家「藤井旭(ふじい・あきら)」さんと知り合い、天体写真を撮りはじめ、益々のめり込んでいったそうなんですが、天文学者の道ではなく、家業を継ぐことになります。

 その後は、仕事のかたわら、天文ファンには有名な「白河天体観測所」のメンバーとしても活動。そして1991年に「星の村天文台」の責任者「台長」に就任、天文台のお仕事のほかに、ラジオやテレビ番組で星や天体の解説など幅広い分野で活躍されています。

 きょうはそんな「星の村天文台」の大野さんに、おすすめの冬の星座や、今年注目の、天体ショーのお話などうかがいます。

☆写真協力:大野裕明

写真協力:大野裕明
大野裕明さん

誕生星座を探してみよう

※今月1月から2月かけてのおすすめの星座はありますか?

「色々あるんだけど、春、夏、秋、冬、という地上の季節感と、お空のほうの決められた春の星座、夏の星座、秋の星座、冬の星座っていうのは、ちょうどひと月ぐらいズレが生じるんですよ。ですから1月2月、今のシーズンですとまだ秋の星座も夕暮れに残っています。
 それから冬の星座、有名なのではオリオン大星雲とかオリオン座、牡牛座とか。先月12月は、双子座流星群という流れ星がたくさん飛びました。その双子座もやっぱり今いちばん見ていただきたい星座かな」

写真協力:大野裕明

●私のような初心者に向けて、星空や天体を見るコツがあれば、ぜひ教えてください。

「今のシーズンですから、サッと見るんではなくて、防寒用具をしっかり着込んで、使い捨てカイロなんかも胸にお尻に色んなところに仕込んで、長時間見るっていうことがまず基本です。そして初めてのかたは天体望遠鏡を直接覗くんじゃなくて、自分の肉眼だけ、肉眼の世界で楽しむことなんですね。そして星座、オリオン座とか双子座だとか、そういうものを確認することでしょう。あと自分の誕生星座。小尾さんは何?」

●私は山羊座です! 

「山羊座ですか。今どこにあるかは特別に言いませんが(笑)、自分の誕生星座をまず探し出すことです。そこから入り込んでいただく」

●肉眼でちゃんと見えるものですか? 

「山羊座もちゃんと見えますよ。ただ、都会地だと街明かりでちょっと見にくいかなという星座ではありますけれども。でも山羊座のすぐそばに、知れ渡ったもうちょっと明るい星座がありますから、そういうところから紐解いて順繰りとその山羊座に辿り着けばいいんですよね。

 私は6月生まれですから、双子座だから、激しく流れ星が飛ぶところなので誰しもが知っているんですが、でも探しにくいんですよね。どうすればいいかって言ったら、双眼鏡を手に入れることなんですよ。望遠鏡はこの段階ではいりません」

●望遠鏡じゃなく双眼鏡?

「そう、初心者のかたは、例えばカメラ屋さんとかで売っていますが、倍率が8倍ぐらいの、片手で持てるぐらいの、両目でしっかりと見えるような、8倍ぐらいの双眼鏡がいいです」

写真協力:大野裕明

夜空にスマホをかざして!?

※ほかにこの時期の、おすすめの星座があったら教えてください。

「今ちょうど、夕暮れから8時〜9時ぐらいになりますと、頭のてっぺんにごちゃごちゃっと集まった牡牛座の”昴(すばる)”という星があるんです。あの谷村新司の、目を閉じて〜何も見えず〜♪ って目を閉じちゃったら何も見えないんだけど(笑)」

●あははは〜(笑)

「目をしっかり見開いて見ると、清少納言の枕草子にも書いてあるんですが、全天でいちばん綺麗な星の集まりだよっていう。そのすばるがあるから、そこに双眼鏡を向けるとキラキラってね、星が見えます」

●星座の早見表とかも活用したほうがいいですか? 

「そうですね。本屋さんに星座早見表というのがあります。それから天文書の間に星座早見盤がはめ込んであったりしますが、もうひとつはスマホ(のアプリ)で無料で星座を探し出そうというものがあるんですね。フリーでダウンロードできます。望遠鏡メーカーさんも一生懸命そういうようなものを出していますので、それを活用するんですよ。

 それで夜空のあの星なんだろうっていう方向にそのスマホを向けてあげますと、木星ですよとか、オリオン座ですよとか、それこそ山羊座も分かりやすいです。そういうものを入手することですね。スマホとかそういうものを十分活用するような方法をとっていただきたいと思います」

『星座の見つけかた』

今年、注目の天体ショー

※今年注目すべき天体ショーがあれば、いくつかご紹介いただけますか。

「たくさんあるんですよ。やはりなんてったって、金星とか、火星とか、木星とか、土星、そういうのが夜明けの空に(集合して)見える時があります。ひと昔前に惑星直列なんて言って、世界中が大騒ぎになったこともあるんですが、そういうものがあります。それから流れ星ですね。流れ星は見たことあるでしょ?」

●そんなに綺麗にちゃんと見たことはないです。

「そうですか。去年12月の双子座流星群も、うちの天文台で夜間公開やっているので、たくさん集まっていただいて。周りにもたくさんいるんですよ、駐車場のところにも。そうすると明るい星が流れる度に、“おお〜っ!”って地鳴のようになってね。大したことない流れ星だと、“おっ”っていうくらいで、それで明るさの度合いが分かるくらい(笑)。

写真協力:大野裕明

 流れ星は通常でも、私が一晩観測している時は3個か4個なんですが、1時間あたり10個とか20個とか流れる場合があるんですね。流星群と言われる時期があるんですが、夏休みの8月13〜14日がペルセウス座流星群っていうのがあります。これは毎年同じように1時間あたり50〜80個くらい出ます。

 それともうひとつおすすめなのは、12月になるんですが、先ほど言った双子座流星群。12月の13日、14日、15日あたり、クリスマスの前の週ぐらいですね。1時間あたり50個ぐらい出るかな。でも流星群の場合、(流れ星の数を)ものすごく多く言いますよね。50個とか100個とかって、騙されてはいけないです。 

 全天で100個だとしても、自分の見ている方向は3分の1ぐらいなんですね。100個と言われた時は、まあいいところで20個か30個かな。ところがご家族で、僕はこっち、君はこっちっていって全天をカバーすれば100個、そういう風になります」

●おお〜、いいですね。

「おすすめは8月のペルセウス座流星群と12月の双子座流星群なんですが、それと今年は11月の8日に皆既月食があるんです。昨年の暮れに皆既月食らしいものがありましたよね。今年の11月8日は皆既月食ということで、全部隠されます。

 夕方、東の方向から満月が出てきて、それで欠けるということで、全国で見ることができますので、日本全国の方々も東のほうをこの日は見ていただきたいと思います。あとは様々、小さいのも、天文関係者も大喜びなのがたくさんあるんですが、皆さんにはやはり春先に惑星が明け方に集合するよということと、流星群、それと皆既月食ということですね。今年もたくさん天文現象があります」

(編集部注:大野さんは1986年に地球に接近し、当時、国内外で大変話題になった「ハレー彗星」を見る日本航空主催のオーストラリア・ツアーに、白河天体観測所のメンバーとともに講師として参加。1ヶ月ほど滞在し、大きな望遠鏡を使ってテレビ番組で生中継も行なったそうです。また、日本全国を車で回るツアーも行ない、世界でいちばん望遠鏡を通してハレー彗星を見たのはきっと私でしょうとおっしゃっていましたよ)

見えたら長生き、カノープス

※大野さんがいちばん好きな星は何か教えてください。

「ここ福島県は、ある星が北限になっているんですよ。何かと言うと、りゅうこつ座のカノープス」

写真協力:大野裕明

●カノープス?

「カノープス、一等星なんです。ところが、南に低いばっかりに、福島では白河市あたりが北限なんですよ。もちろんオーストラリアとかに行くと、頭のてっぺんに見えるんですが、福島市だと一等星がうんと暗くて南に低くて見えます。
 白河でも4等星か5等星くらい、肉眼で見えるか見えないか。双眼鏡じゃないと見えないというくらいなんですが、それが昔からこだわっているんですよ、私は。つまり見えないものを見たいというのは誰しもある感情でしょ?」

●はい、そうですね。

「ですから、北限記録を白河の人が持っていたんですよ。見えたよということで、写真撮影して。そしたらそれを少しでも北上させようということで、安達太良(あだたら)という山、あの智恵子抄(ちえこしょう)で有名な安達太良なんですが、そこの山のてっぺんに行きまして、それで観察したことあるんです。
 それも夏は見えないんですよ。冬じゃないと見えないんです。で、11月くらいに仲間と登りまして、南のほうになんとか見えました。そして、降りてきた翌日は雪が積もっていたという・・・」

●お〜〜! 

「もう死ぬ思いでした。それで、みんなに綺麗に見えたよ、見えたよ!って言ったばっかりに、今度は仙台の人が蔵王であっさりと見ちゃって。そしたら、あまりにも彼たちが喜んでいたので、山形のかたが月山(がっさん)に行ってなんとか見ちゃったんですね。

 小躍りしすぎたなっていう感じがするのですが、月山以上はもう絶対見えないので、もうやめましょうと言うことで終息宣言を出しました。それは今、私のいるこの星の村天文台でもなんとか見えるんです。

 つまり北限の白河よりは北のほうなんですが、山の高さがあります。標高がある分見渡せるんですね。ですから、11月から今の1月2月くらいまでかな。なんとか南のほうに、ひょっこりと見えるという、そういうことでカノープス。
 カノープスは中国の伝説で、滅多に見ることが出来ないものだから、見えたら長生きできるよ!という長寿星なんですよ」

●おお〜!

「結構、日本中の人たちは、南東北から西日本の人たちは、割とたやすく見える位置にありますので、そういう人たちも見えたよ!って言って、大変喜ぶお星様です。ぜひ見ていただきたいと思います」

丸い地球を見てみたい!

※一般のかたが宇宙に行ける時代になってきましたよね。大野さんは、行けるとしたら、どの星に行ってみたいですか?

「お月様には行きたいですね! なぜかと言うと、(宇宙ステーションのように)地球の表面上だけ周っていると地球がまん丸く見えないんですって。私の知り合いの宇宙飛行士もそういう風に言っているんです。ただ、知り合いの宇宙飛行士は船外活動で外に出ましたから、くるりと見まわして丸く見えたというんです」

写真協力:大野裕明

●へぇ〜〜! 

「船内にいると、一部分しか、丸く見えないんですって! だから(地球を)まん丸く見るためには、地球を離れることですから、お月様に行きたいというのは、振り返ってみて、地球がまん丸いのを見てみたいです。

 私たちが望遠鏡で木星を見るとまん丸く見えるでしょ。土星を見ると丸く見えて輪っかが見えるでしょ。お月様も丸く見えるでしょ。望遠鏡を使わなくても月は丸く見えるでしょ。月に向かう途中でも(地球は)丸く見えるという、アームストロング船長とか、お月様に行った人たちはそういう風に言っているので、そういうシーンを見てみたいなって感じがしますね」

●では最後に、大野さんにとって、星や宇宙の魅力って何でしょう?

「そうですね。やっぱり何でも忘れさせてくれますよね。皆さん人生で色んなことが起きるでしょ。どんな時でもお空を見ると、気がスッキリするよということでありますよね。いつでも星は同じところに輝いているし・・・。

 それからたまに、先日もレナード彗星っていう箒星が接近して帰っていくという、そういうものを見たりすると、やはり心が安まりますよね。心を癒してくれる。喜びも悲しみも人生で色々あるのを少し冷静にしてくれる。そういう部分があるんじゃないかと思います。だから、星の光には、何か我々の心を洗い清めてくれるものがあるんじゃないでしょうかね」


INFORMATION

「星を楽しむシリーズ」

 大野さんは誠文堂新光社から「星を楽しむシリーズ」という本を出していらっしゃいます。このシリーズは『星座の見つけかた』や『双眼鏡で星空観察』など全5タイトル。初心者に向けて、星の見方や星座の探し方など、楽しくわかりやすく解説しています。ぜひ参考になさってください。詳しくは出版社のサイトを見てくださいね。

◎誠文堂新光社 HP:https://www.seibundo-shinkosha.net/series/enjoy_the_stars/

写真協力:大野裕明

 「星の村天文台」は田村市の観光名所「あぶくま洞」という鍾乳洞のすぐ近くにあります。標高は650メートル、空気が澄んでいて、街の明かりもないため、天体観測にとても向いている場所にあります。

写真協力:大野裕明

 福島県で最大級の、口径65センチの反射式天体望遠鏡が設置されていて、天文ファンだけでなく、子供たちにも人気のスポットです。星空の観望会などを定期的に実施しています。詳しくはオフィシャルサイトをご覧ください。

◎星の村天文台 HP:https://www.city.tamura.lg.jp/soshiki/20/

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