毎回スペシャルなゲストをお迎えし、自然にまつわるトークや音楽をお送りする1時間。
生き物の不思議から、地球規模の環境問題まで幅広く取り上げご紹介しています。

Every Sun. 20:00~20:54

2022年2月のゲスト一覧

2022/2/27 UP!

◎杏橋幹彦(写真家)
「波の裏側」を撮る〜海伏「杏橋幹彦」』(2022.02.27)

◎吉田友和(旅行作家)
「ご近所半日旅」のすすめ! 〜こんなときだからこそ、安近短!』(2022.02.20)

◎赤井エリ(ゼロウェイスト・セレクトショップ「ミニマルリビングトーキョー」)
「SDGs〜私たちの未来」エコな暮らしを楽しくお洒落に〜ゼロウェイスト「ミニマルリビングトーキョー」』(2022.02.13)

◎田口房国(森林レンタルサービス「forenta(フォレンタ)」)
山村の活性化にもつながる森林レンタルサービス「フォレンタ」』(2022.02.06)

「波の裏側」を撮る〜海伏「杏橋幹彦」

2022/2/27 UP!

 今週のベイエフエム / ザ・フリントストーンのゲストは、波の裏側を撮るワン・アンド・オンリーな写真家「杏橋幹彦(きょうばし・みきひこ)」さんです。

 杏橋さんは1969年、神奈川県茅ヶ崎市生まれ。東オーストラリアでライフセービングのブロンズメダルを取得後、いろいろなレスキュー法を学びます。そして、人は海にシンプルに向かうべきだと感じ、酸素ボンベを付けずに海に潜り、波の裏側をファインダーをのぞかずに直感だけで撮っています。神秘的な写真は海外でも高く評価され、集大成的な作品『BLUE FOREST』は2016年に伊勢神宮に奉納されています。

 きょうはノーファインダーで撮る奇跡のような作品のことや、海に対する深い思いなどうかがいます。

☆写真:杏橋幹彦

写真:杏橋幹彦

命を賭けて

※それではお話をうかがっていきましょう。オフィシャルサイトで作品を拝見して、その神秘さに驚きました。サイトに掲載されている写真は全部、波の裏側をとらえた写真なんですよね?

「はい、酸素ボンベを使わずに泳いで波の中に行きます。片手にカメラを持って、使うのは水中眼鏡とフィンとカメラだけと、至ってシンプルな3つの道具だけで撮っています」

●そもそもどうして波の裏側を撮ってみようと思われたのですか?

「私の師匠はモデルとか車を撮っている人で、まあ大胆な人でね〜、”お前、写真なんか見ないで人の魂をつかめば”みたいな人でね。師匠のまた師匠が、ユージン・スミスで戦場カメラマンだったんですね。
そんな彼らの写真をずっと見ていて、若い時に俺の写真には奥のものがないな、薄っぺらだな、なんて思った時に、これは、ユージンたちのように命を賭けて何かをやらないと写らないんじゃないかと思ったんですね。

 自分にとって命の駆け引きができる場所、そして人は絡めずに僕個人、杏橋幹彦として純粋に対峙できる場所はどこだろうと、ふと思った時に、きっと海だと。思い切って全てを捨てて、命を賭してやった時に、何か写るんじゃないかと思ったんです。そんな動機から、思ったらすぐ実行でひたすら・・・約20年前かな。海に踏み込んだんです」

杏橋幹彦さん

●海に対する恐怖はなかったですか?

「いや〜今もありますしね、これは消えないです。怖い思いって不思議なもので、未だにどこかに蓄積されちゃって抜けきらないです。経験が邪魔をする時もあるし・・・。
 面白いものである時、禅の本に”全てを捨てろ”って書いてあったので、その時持っていたクラシックカーも全部泣く泣く売って、何かこの世にもう未練がないようにと・・・。海に頭を下げて、本当に低いところからお願いしますということで、何が撮れるか分かりませんから。

 今でこそ、こんな偉そうに喋っていますけれど、あの(波の裏側の)写真を見たこともないし、撮った人もいなかったので、撮れて日本に戻って現像して、あれが写って光った時に、現像所が大騒ぎしたんですよ、何を撮ったんだと。実は泳いで波を撮ってみたんだと・・・。
 人間の目って実は補正してしまって、本当の色ではないんですね。皮肉なことに人間が作ったカメラが、実は俺たちが見えていないものを写し出すんだってことも知りましてね。まあ海から色々教わっているわけです」

●酸素ボンベを付けずに、海に出るんですよね?

「付けたこともあるんですけど、付けると何分後に帰らなきゃいけないとか、誰かと行ってくださいとか、人間界のルールと制約と都合、そういったものを海に押し付けたりすることになるし、海にとって魚に対して、ストロボを当てて、すごくすごく失礼なことをしたと、僕は思って懺悔したんですよね、ごめんなさいと。

 俺はひとりで海に裸で行きますので、どうか海の神様か何か分からないですけど、守ってくださいと、ただ生き死には頼みませんと。ここから先はもう無情の世界なので、行くだけ頑張って行きますけど、何か写ればありがたいですと。そういうスタンスで、未だに海で色んなことをして撮っています」

写真:杏橋幹彦

真実を写す

※波の裏側をファインダーを覗かずに撮るんですよね?

「うん、覗かない。余談だけど、僕は色々写真を撮ったんだけど、写真家じゃないなと思ったりもして・・・あとで言うんだけど、”海伏”って名前を付けたりとか。

 撮っているものは今は波と人。波と人は波動で実は同じなんですね。来る前を予測して、位置が大事なんです。波の中もそうですけど、そんなに早く魚のように動けないじゃないですか。ですから予測して予測して、ちょっと前にそこに入り込んだ瞬間に(シャッターを)押してないと、見てからじゃ遅いんですよ。見てからではもう行ってしまうので、来る前に押す、ないものを押す、ないものをつかむ。

 例えば、皆さんが手でコップをつかむのを、僕は手を出すと手の中に入っているというか、変な言いかたですが、時間の使いかたがちょっと違うのかな・・・。これはちょっと変な話だけど、そういった意味で先に押していないと、(波は)早すぎるので見ても撮れないと思います」

●へぇ〜〜! 

「で、写真に入り込んでくる。結局写しているけれども、僕の感覚だと、あ、写っちゃったって感じなんですよ。両目で見て何かを感じて押しているのは、今でも忘れないし、必ず、はっ! って思わない時は押してないです。ファインダーを見ないので、超感覚的なこと。
 人間は五感ではなくて十感、二十感、五十感、百感って僕はあると思うんですね。それが、地球や宇宙の声を聞けないような、水槽みたいな暮らしをしていると、弱っちゃうんですよね。

 そういったことも研ぎ澄まして、自己満足もあるんだけども、気づかせてもらうことの大事さも泳ぐ度に教わります。
 ですから(ファインダーを)見ない。見ないし、人間の恣意、思惑、よく撮ってやろうとか波をこうしてフレームに入れてやろうって思うと、きな臭い写真になっちゃうんですよね。上手すぎる写真っていうんですか。

 だから写真ってすごいもので、”真実を写す”ってよく作ったなって思うんですけど、自分も気づかないような本物、魂、やっぱり本物しか写らないですよ。嘘をつくのは人間で、写真は一切嘘をつけませんから、そこに賭けているんですよね。だから俺、動画とかやりませんよ」

●一期一会というか、同じ写真は二度とないっていう感じですね。

「波も同じものはないし、撮れたら撮れた、撮れなきゃ撮れないで、そもそも撮れるような状況じゃないんです。片手で泳いで撮っています。水中で回転して撮るんで、(撮れたら)奇跡ですよね」

写真:杏橋幹彦

編集部注:杏橋さんの写真をオフィシャルサイトでぜひ見てください。波が崩れて泡立っているところを、裏側から撮っている写真が多くあります。言いかたを変えると、波がどこで崩れるか、それを直前に感じないと撮れない写真ばかりなんです。研ぎ澄まされた感覚がある杏橋さんだからこそ撮れる写真だと言えます。

☆杏橋幹彦オフィシャルサイト:http://www.mikihiko.com/

https://www.umi-bushi.com/

山伏ではなく、海伏

※先ほど、ご自分のことを山で修行する山伏(やまぶし)ならぬ、「海伏(うみぶし)」だと表現されていましたが、この海伏と名乗るようになったいきさつを教えてください。

「撮る時に、本当にお辞儀して祝詞を読んで小さな貝を吹いたり・・・それは最初からやっていたわけじゃないんですけど、色んな人に教わって、海に戻るおまじないのような・・・それこそ、いまだに忍者の呪文も唱えています。

 目に見えない力を借りないと、人間の力も心の許容も超えた場所に行くので、それには古来の人々が何か祈っていたことを取り入れさせていただいたらいいんじゃないかなっていうことで・・・僕は感じて、忍者の呪文とか、色んなことを、怪しいんだけど、取り入れてやっています。

 その中で、ある山伏に山に行ったり色んなところで会うようになった時に、自分たちと実は同じことをやっているなっていう老齢な山伏のおじいさんがいたり、僕に山伏の仲間にならないかって誘ってくださったかたも実際いらっしゃいました。

 その時にふと思ったのが、僕は海に対してまだ勉強中だし、色んなことを祈り続けるので、払い清めるというか、役目があると思うんです。私は皆さんと一緒に今できるレベルでもないんですと。

 そうではなくて、”海伏”って今思ったんですけど、海伏と言ってよろしいでしょうかと。海伏として海で、この宇宙を祈っていきたいと思うんですが、どうでしょう? って言ったら、面白いから、お前それはやりなさいと、そう言われました。

 僕が作った言葉なんですけど、山に伏せる、海に伏せる、彼らは山を宇宙と見て、命、水、その全ては山から生まれ、山に返る・・・おそらく古来には世界的に見ても海を祈っていたかたはいると思うんです。日本人もそうですけど、何か海に対して、義理を通して、胸を借り、思いを伝え、海と対話して、感謝を捧げる、じゃないけど、そういったイメージで、僕は自分を写真家ではなくて、海伏と呼ぶようになったんですね」

写真:杏橋幹彦

海は何かを返してくれる

※杏橋さんは、やはり子供の頃から海に親しんでいたんですか?

「茅ヶ崎で生まれ育ったんだけども、親父たちが山口県のほうで、おじいさんも山登りだったり、スキーだったりとか、僕の周りに大自然で遊ぶことを本当に心から楽しむことを知っていた大人たちがいたんですよ。
 子供ってやっぱり、入り口がないと行かれないじゃないですか。そういう大人たちが限られた休みの間に、どこのいちばんいい海に行ってやろうかなって考えたら、そりゃいい海に連れて行ってくれるわけですよね。

 面白いもので、魚が好きだったから、砂場に興味なかったので、海の家を使ったことはなかったですよ。岩場でずっと網を持って魚を捕まえて、一日中、海で遊んでいたっていう少年時代です。網がやがて釣竿になって、水槽で魚を飼ってみたり、色んなことしたけれども、飼われているのは俺で、あの魚は飼っていないんだとか、色んなこと思うわけですよ。

 例えば皆さんの家の、いいとか悪いとかではなくて、イカした植木鉢を置くじゃないですか。あれはやっぱり自然が恋しいから置くんだよね。いいことだと思う。いいことだと思うけど、フィジーの人は置いてないから、家の中に。なぜなら家の周りは木です。当たり前の話だよね。目の前に海があるハワイの人は、水槽で魚は飼わないですから」

●なるほど〜! 

「都会人には、やっぱりそういった宇宙観とか、自然観が必要なんですよ、結局は」

●自然を求めているんですね。

「うん、自然を求めるっていうのも、そうだけども、則して生きるしかないし、お互いが必要なんだと思う。ただ、お互いのバランスが崩れて、人間側だけのように見えちゃっているし、そういう暮らしになっているんですよ」

●ず〜っと海にいらして、どんなことを海から感じていますか?

「う〜ん、まだまだ・・・例えば1年後2年後にお話したら、色んなことを言えるかもしれないけど、今の僕として(言えるのは)海は生きている、間違えなくこっちを見ていて、礼を尽くすことを知っている、こちらから本当に海に対して気持ちを伝えれば、海はきっと何かの形で返してくれるでしょうね。

 おそらく海のエネルギーは、人間の体内の成分と同じっていうように、浄化力と言っては変だけれども、身も心もクリーンにする何かがあるんだとは思います。それは永久に生涯、分からなくていいことで・・・分からなくていいんですよ。今、人間は何でも知ろう、分かろう、手に入れようとするけど、そういうもんじゃないから。

 刻々と変わる海や風のように、そこにまず行くこと。行った者にしか分からない感覚。そしてある日、海のこととか、色んなこと、大事だなとか、綺麗だなとか、怖いなと・・・。
 そう思った時に、目の前に落っこちていた缶カラでもいいから、ポケットに一個入れて、その程度でいいことなんだよね。ビーチクリーンがどうではなくて、まず自分の心で本当に思った、心理の言葉っていうか、自分で本当に思った純粋な気持ちを海に伝えておけば、海はきっと人それぞれの形に何か返してくれるものではないかなと思ってます」

青い波の襖絵に心震える

※現在、京都の禅寺「西陣 興聖寺(にしじん・こうしょうじ)」の本堂で、杏橋さんが2002年にフィジーの離島で撮った、青く美しい波の裏側の写真が、全長14mの襖(ふすま)となって特別公開されています。

写真:杏橋幹彦

 このお寺で杏橋さんの作品が襖絵となって公開されるまでには、京都の知人と、お寺の住職、そして特別な技を持つ職人さんとの出会いがなければ実現しませんでした。不思議なご縁が導いた奇跡かも知れません。

 杏橋さんが、襖絵の並べ方に関して、こんなお話をしてくださいました。

「いちばん左と右は、実は同じコマで、僕は最初連続した3枚で時間軸を表そうって言ったんですよ。波は、皆さんが思うのは、ものという波。波というものは最初からなくて、うまく言えるかどうか分からないけど、水素がくっついては離れてを繰り返すドミノ倒しのような動きで、波動とエネルギーなんですね。

 よく見ていると、沖の波は一滴も岸には来ていないです。極端なことを言うと。お風呂で洗面器があって手で波を作ったら、波は来るけど、洗面器は動きませんから。来ているのは波動なんですね。

 フィリピンで発生した風は台風になるけど、日本にはフィリピンの風は一滴も入っちゃいないし、うまく言えないけど、あるものはある、ないものがない、そんな禅問答みたいな姿が実は波のありようです。

 ですから、僕は時間軸を表そうと思ったんだけど、住職が真ん中はこの写真にしたいって選んだのが今の写真で、実はそれは写真集の表紙に使って、伊勢神宮にちょっと前にご奉納させていただいた写真でもあるんです。あえて斬新な、左右は同じ時間に撮った1秒後だけど、真ん中だけは同じ場所だけど、日にちの違う波をそこにやって、何故か妙な一体感が生まれました」

●襖になった写真を見て、いかがでしたか?

「やっぱり、まずはこういう場をいただけたのがすごかったなと。皆で心震えましたよね。自分たちが感動して心震えないと、人には伝えられないっていうのが根本じゃないですか。皆さんも同じようなお仕事されているので、そこがまず本当に嬉しかったし、すごいな〜って。自分たちで自画自賛じゃないけど、心震えてびっくりしていましたね。

 あとひとつ感じたのは、所詮俺の命は、なんとか海から戻ってきても60年から80年です。
 そのお寺は”古田織部(ふるた・おりべ)”さんという茶人と、”曾我蕭白(そが・しょうはく)”という江戸時代の画家の菩提寺でもあるんです。人々の評価や色んなものを気にせず、利休のわびさびの中から、人をもてなすという茶道、器に花鳥画を描いたり、様々なことをして楽しんでもらおうと、自分の中の美意識を貫いた人たちの菩提寺。

 そこに数百年後、斬新な青い海が現れたっていうのも、彼らが何か後ろで背中を押してくれたのかもしれないし、彼らに対しても、供養っていったらおこがましいけど、現代でも皆さんの意思を引き継いで、鼻垂らして頑張っている者がいるんです。本当にありがとうございますと、そんな風に思いましたよ」

☆この他の杏橋幹彦さんのトークもご覧下さい


INFORMATION

写真:杏橋幹彦

 ぜひ杏橋さんの作品をオフィシャルサイトでご覧ください。水と光と影が織りなす不思議で神秘的な写真に圧倒されます。見ていると空にも宇宙の銀河にも見えてきます。見えかたが違うのは、その時の自分の心象風景なのかもしれません。

◎杏橋幹彦オフィシャルサイト:http://www.mikihiko.com

https://www.umi-bushi.com/

 現在、京都の禅寺「西陣 興聖寺」の本堂でフィジーの離島で撮った、青く美しい波の裏側の写真が、全長14mの襖となって特別公開されています。この襖絵は普段は非公開です。会期は3月18日まで。詳しくは京都市観光協会のサイトをご覧ください。

◎京都市観光協会 :
https://ja.kyoto.travel/event/single.php?event_id=5636

オンエア・ソング 2月27日(日)

2022/2/27 UP!

オープニング・テーマ曲「KEEPERS OF THE FLAME / CRAIG CHAQUICO」

M1. PICTURES OF YOU / THE CURE
M2. YOUNG HEARTS RUN FREE / CANDI STATON
M3. WAVE / DAWN THOMSON
M4. THE PRAYER / CELINE DION
M5. 海 / サザンオールスターズ
M6. EVERY WORD WAS A PIECE OF MY HEART / JON BON JOVI
M7. PICTURE OF MY LIFE / JAMIROQUAI

エンディング・テーマ曲「THE WHALE / ELECTRIC LIGHT ORCHESTRA」

「ご近所半日旅」のすすめ! 〜こんなときだからこそ、安近短! 

2022/2/20 UP!

 今週のベイエフエム / ザ・フリントストーンのゲストは、旅行作家の「吉田友和(よしだ・ともかず)」さんです。

 吉田さんは1976年、千葉県生まれ。デビュー作は、旅行記サイトを本にした『世界一周デート』。その後、会社員生活の中で海外旅行の体験を綴った本が話題になり、旅行作家としての活動を本格化。これまでに訪れた国はおよそ90か国だそうです。現在はライターのほか、編集者として旅行ガイドを手がけるなど、旅のスペシャリストとして幅広い活動をされています。

 きょうは、こんなときだからこそ、安くて近くて、短い旅のすすめ! 吉田さんに、ご近所を「旅感覚」で楽しむコツや、大人も楽しめる自然豊かな公園めぐりのお話などうかがいます。

☆写真協力:吉田友和

吉田友和さん

身近な場所でワクワクドキドキ!

※それでは早速、吉田さんにお話をうかがいましょう。

●現在、海外どころか国内の旅もままならない状況が続いていますけれども、そんな中、吉田さんが去年出されました「半日旅」のシリーズが注目されています。

 そのシリーズのいちばん新しい本が、去年出された『ご近所半日旅』ということで、私も読ませていただきました。他人が見たら、ただの散歩に見えるかもしれないけれど、自分の中で旅であるならばそれでいい! ということで、いつもの道でもプチ冒険気分を味わえるな〜という風に感じたんですけれども、この「ご近所」というのがポイントなんですよね?

吉田さんの著書を手に

「そうですね。単純にちょっと遠出がしにくいという状況なので、家の近くで楽しめないかっていうところが出発点なんですけど、自分の場合はもともと、旅行先でどんな行動していたかなっていうと、知らない街とかをぶらぶら歩いて、ちょっとした探検気分を味わうような、そういうことは、通常の近所じゃない旅行でもしていたんですよね。

 それって、ご近所でも同じことがやろうと思えばできちゃうわけで、見方を変えるとご近所の散策なんですけど、それがちょっと旅目線で見るっていうところが面白いかなと思っています」

●散歩ではなく、あくまでも旅なんですよね?

「そうですね。旅行で知らない街へ行った時のような気持ちで向き合うというか、そういう感じですね」

●本の中で例えば、こんな「ご近所半日旅」はどうですか? っていう提案がありました。その中でレインボーブリッジを歩いて渡るというような項目があって、私も早速やってみました!

「あ、本当ですか(笑)」

●何度も、ゆりかもめでレインボーブリッジを渡ったことはあったんですけど、歩いて渡るのが初めてだったので、とっても楽しかったです。

「そうですよね。すごく身近な存在なのに体験自体は新鮮ですよね」

●ですね〜。30分ほど歩いて渡るという感じでしたけれども、マスクを着けながらですし、ソーシャルディスタンスも保たれていますし、しかも眺めも最高で、スリリングでもあって、まさにワクワクドキドキ冒険気分というか・・・。

「自分的にはドキドキのほうが大きかったですけど(笑)。ちょっと恐いじゃないですか、結構高いので・・・」

●高さもありますからね。いや〜こういうことか〜という風に思いました! ご近所半日旅、いいですね、楽しいですね!

写真協力:吉田友和

近所ほど知らないことが多い!?

※吉田さんはご近所を旅されていて、どんな発見がありましたか?

「そうですね。近所って意外と、普段は素通りしてしまうというか、そんなに熱心に見ていなかったんですけど、改めてご近所半日旅をしてみると、結構見どころがあるんですよね。

 全国区で有名な観光スポットではないんですけど、地元で知る人ぞ知るようなスポット、例えばお城があったりとか、古墳があったりとか、だいぶ前からあったんでしょうけれども、全然今まで自分が意識していなかったんで、気がついていなかったっていう、そういうのを発見して、ちょっと得したような気持ちになれるというところが、ご近所半日旅の魅力かなと思います」

●半日旅を楽しむコツがあれば是非教えてください。

「短時間でもできるので、思い立った時にすぐ行けるっていうところがコツというかメリットというか、魅力でもありますね。
 普通、旅行って、前もって計画を立てて、どこに泊まって、どういう移動手段かって考えるんですけど、ご近所半日旅だと思い立ってすぐ行けるので、特に身構えずに、行きたいな〜って思った時に行くのがコツじゃないなかなと思います」

●気の向くままに、ですね。

「気の向くままに、実際出発してからも別に予定通りじゃなくてもいいと思うんですよね。ちょっとここの路地を曲がってみたいなって思ったら曲がってみたりとか、気になるお店を見つけたら入ってみるとか、思いつくままに行動するというのがいいですね」

●自分が住んでいる街を知ることにも繋がりますよね?

「はい、そうですね」

●歴史を含めてやはり知らないことって多いですよね。

「特に自分の住んでいる街のほうが知らなかったりするんですよね。知らない遠くの街とかに行った時って、色々調べたりするじゃないですか。意外と自分の住んでいる近所のほうが知らなかったりするので」

●そうですね〜。普段、通勤や通学でいつも乗っている電車の沿線に行ってみるっていうのも楽しそうですね。

「そうなんです。普段から毎日乗っているような電車で、途中下車したりとか、あるいは、いつもと逆方向に乗ってみたりとか・・・その電車の終点の駅名とかって特に長い路線であればあるほど、結構、長時間乗らないと終点まで行けないんですよね。
 ”なんとか行き”とかって見慣れているんだけど、実際行ったことがなくて、どんなところなんだろうなって、ずっと思っていたところにあえてちょっと行ってみたりとか、些細な行動ですけど、そういうのも面白いですね」

東京都の公園数は全国一!?

※吉田さんは去年、『大人の東京自然探検』という本も出されています。この本では東京都内にあるお勧めの公園が紹介されているんですが、東京にはたくさん公園があるんですね?

「そうなんです。実は都内が日本の全都道府県の中でいちばん公園の数が多いみたいなんですよね」

●それ、知らなかったです! 

「結構意外なんですけどね」

●特に私が気になったのが、洋も和も一度に楽しみたい欲張りな人に、っていうことで「旧古河庭園」っていう所がありました。

「あ〜、はいはい」

●ここに行ってみたいな〜と思いました。すごいですね。薔薇もあって、洋館があって、ちゃんと和もあるんですね

写真協力:吉田友和

「そうなんです。高台に洋館が建っていて薔薇が咲いているんですけど、そこからちょっと階段を降りて、なんか下界に降りるみたいな感じで降りていくと、そこは全部、日本庭園になっていて、和の世界なんですよ。高低差があるところが面白くって、上のフロアと下のフロアで違うみたいな・・・」

●へぇ〜、斜面を下っていくと今度は和の世界が広がっているんですね。

「そうなんですよね〜。不思議なところですよね」

●吉田さんが特におすすめしたい公園ってありますか?

「僕、結構人が少ないところが好きなんですよね。空いている公園というか。逆に混んでいるところが好きではなくて、分かりやすい言葉でいうと穴場みたいなところだと思うんです。そういう意味でいうと”小山田緑地”っていうところがあるんですけど、ここが特におすすめですね。

 町田市なんです。ここって谷底で、そこに緑地が広がっていて・・・ここもさっきの旧古河庭園と一緒で、エリアが高低差によって別れているんですよ。
 最初に(緑地に)着くと谷底から始まるんですけど、そこから段々上に、谷の上のほうに上がっていく感じになっています。いちばん上は展望台で、本当に富士山が見えるような、見晴らしがいいようなところまであるんです。

 そこは何段階かエリアに別れていて、いちばん下が本当にうっそうとした谷底の、自然の野生的な雰囲気なんですけど、少しずつ開けていくみたいなところで、途中、野球場がある階層があったりとか、サッカー場があったりとかもするんです。結構敷地も広くて、人口密度も薄いというか、人も少ないので、開放的ですね」

写真協力:吉田友和

(編集部注:東京都にある都市公園の数は、東京都の2020年のデータによると、8,287箇所! ちなみにその内訳は国営公園が2箇所、都立公園が82箇所、残りが区や市町村の公園。

 お話に出てきた北区にある「旧古河庭園」は都立公園。現在は、新型コロナの影響で臨時休園となっています。町田市にある「小山田緑地」も同じく都立公園で、こちらは通常通り、ご利用できます。詳しくはそれぞれの公園のホームページをご覧ください)

初の海外が世界一周の新婚旅行

※吉田さんが旅行作家になったのは、もともと旅好きだったからなんですか?

「それが違うんですよね、よく聞かれるんですけど。もともと全然、旅行はしていなくて、新婚旅行で世界一周したんですよ。それが初めての海外旅行でして・・・」

写真協力:吉田友和>

●え〜〜〜っ! 

「それ以来、旅行の本を書いたりとかってことをやるようになったんですよね。なので、きっかけがその新婚旅行なんですけど、それより前は全然旅行はしたことなかったです」

●作家としてのデビュー作が『世界一周デート』なんですよね?

「そうなんですよ」

●初めての海外で、いきなり世界一周っていうのは、すごく色んな衝撃があったんじゃないですか?

「逆に初めてなので色々全部、偏見がなく、フラットな目線で色んなものを楽しめるっていうのはありましたね」

●何日かけて、何ヵ国行ったんですか?

「その時は607日で、45ヵ国です」

●え〜〜! いいですね〜。どこ行くのかは奥様と一緒に決めたんですか?

「そうですね。まずタイのバンコクに行きまして、そこまで行けばなんとかなるからという感じで、その後は完全にノープランだったんですよね」

●ええ〜!? 

「何も決めていなくって、とりあえず、タイのバンコクへ行ってから、行き先をその都度考えていったみたいな感じですね」

●タイのバンコクで、その後の予定をどうやって決めていったんですか?

「当時はまだ、それほどネットとか普及していなかったんで、航空券とかも旅行会社で買ったりしていたんです。現地のオフィスに行って・・・。
 タイのバンコクに行くと、安くて色んな航空券が買えるよっていうのがあったんですよね。なので、最初にまずそこに行ったんですけど、行ったらそこで仲良くなった人がカンボジアにこれから行くっていうので、じゃあ一緒について行こうみたいな感じで・・・タイの次は、2ヵ国目でカンボジアに行ったんですよね」

●おお〜! 

「だからもう、本当に成り行きで、そういう流れに乗って、どんどん色んな国を旅したっていう感じですよね」

●いいですね。ノープランの旅!

「その頃からあんまり考えていなかったんですね。旅行するのに計画を立てないっていうか」

●でも、いいですね。本当に半日旅のご近所旅と繋がりますよね。ワクワクさっていうのは・・・。

「世界一周と半日旅じゃ、全然スケール感が違いますけど、やっていることはあんまり変わっていないと思います」

●そんなに長く一緒にいて、夫婦喧嘩とかなかったんですか?

「もう、しょっちゅうです(苦笑)」

●そうなんですね(笑)。新婚旅行なのに・・・。

「お互い、家じゃないんで、ホテルの一緒の部屋にいなくちゃいけないじゃないですか、喧嘩しても。だからある日突然、ウチの奥さん宿出をしたりとか(笑)」

●あははは(笑)そんなことがあったんですね!

「連絡も取れなくなって、メールとか送っても返事来ないみたいな・・・。2〜3日したら近くの他のホテルに泊まっているところ見つけて・・・それがオチなんですけど(笑)」

●そうだったんですね! しっかりと仲直りは出来たんですね?

「一応そうですね、その時は」

●で、また別の国に行ったんですね。

「はい」

自分の中の地図が広がる

※海外でも国内でも、旅の醍醐味というか、面白さって、どんなところにあると思いますか?

「やっぱり色んな自分の知らないものを見たりとか、食べものだったら食べたりとか・・・体験するって自分は言っているんですけど、ちょっとだけかもしれないけど、自分の中で世界が広がるみたいなところがありますね。
 単純に旅行が楽しいから行ってるっていうのはあるんですけど、結果的に自分の中で視野が広がったりとか、知識が増えたりっていうのがあるので、そこはひとつ醍醐味ではあると思います」

●確かに世界が広がるっていうのはありますね、心も豊かになりますよね。

「はい。例えば、海外の何かニュースをやっていたりした時に、自分が行ったことのある場所だとピンとくるんですよね。見ていても、あそこだ! っていうのが・・・。行ったことのない場所より、やっぱり親近感が湧くというのがあるので、自分の中の地図がどんどん広がっていく感じというか、それが旅を繰り返していると積み重なっていくのかなと思います」

●今後、海外に気兼ねすることなく旅に行けるようになったとしても、半日旅っていうのは続けますか?

「そうですね。半日旅って今回始めてみて、非常にいいなって思ったので、半日旅は半日旅で、ちょっと海外旅行とは別の楽しみがあるので、継続したいですね!」

●そうですね〜。吉田さん、ご出身は千葉県だそうですね?

「はい。千葉県船橋市です」

●お〜〜、是非、千葉の半日旅の本を出してください! 

「はい。是非やりたい! っていうのをずっと言っているので、いずれ千葉県限定でやりたいですね」

●是非お願いします〜! 

「結構面白いところたくさんあるので、はい!」

●房総半島は水に囲まれた島ですから面白いですよね! 

「そうですね、はい。房総大好きなので」

●いいですよね。その本を楽しみにしています。最後に吉田さんにとって、旅とは何でしょうか?

「ひとことで言うと、エンターテイメントかなと思っています! 楽しむもの」

●その心は? 

「結果的に、先ほど言ったように、自分の世界が広がるっていうのはあるんですけど、世の中に数ある趣味のひとつというか、楽しいことだと思うんですね。辛いことじゃないし、修行とかでもないですし、実際に結果的に旅をして成長したりってこともありますけど、基本的には色んなところへ行って、美味しいもの食べて、綺麗な景色を見て帰ってくるっていうだけで、すごく楽しめるエンターテイメントなのかなと、そういう考えかたですね」


INFORMATION

『ご近所半日旅』

 こんなときだからこそ、吉田さんの本をぜひ参考にされて、ご近所、そして公園に出かけて、リフレッシュしませんか。ご自宅の近所を旅するときのヒントが満載の『ご近所半日旅』はワニブックスPLUS新書シリーズの一冊として発売中です。

『大人の東京自然探検』

 また、都内のお勧めの公園をタイプ別で紹介している『大人の東京自然探検』は、エムディエヌ コーポレーションから出ています。

 そしてもう1冊、海外気分を味わいたいかたには、産業編集センターから出版した『いちばん探しの世界旅』という本がおすすめです。読むだけで世界の国めぐりが楽しめるエッセイとなっています。

『いちばん探しの世界旅』

 いずれも詳しくは吉田さんのオフィシャルサイトをご覧ください。

◎吉田友和さんHP:http://tomotrip.net

オンエア・ソング 2月20日(日)

2022/2/20 UP!

オープニング・テーマ曲「KEEPERS OF THE FLAME / CRAIG CHAQUICO」

M1. DAY TRIPPER / THE BEATLES

M2. WATER UNDER THE BRIDGE / ADELE

M3. LOVE TRAIN / THE O’JAYS

M4. Walking In The Park / Chocolat & Akito

M5. JOY TRIP / BENNIE K

M6. AROUND THE WORLD / CAMERA SOUL

M7. ENJOY YOURSELF / THE JACKSONS

エンディング・テーマ曲「THE WHALE / ELECTRIC LIGHT ORCHESTRA」

「SDGs〜私たちの未来」エコな暮らしを楽しくお洒落に〜ゼロウェイスト「ミニマルリビングトーキョー」

2022/2/13 UP!

 今週はシリーズ「SDGs〜私たちの未来」の第6弾! ゲストは、ゼロウェイスト・セレクトショップ「ミニマルリビングトーキョー」の赤井エリさんです。

 オンラインショップの「ミニマルリビングトーキョー」では、環境や健康に徹底的にこだわった商品を販売、特に子育て世代のママや、エコ意識の高い女性に大好評なんです。

 そんなショップの共同代表、赤井さんにお話をうかがいながら、エコな暮らしを、お洒落に楽しく続けていくにはどんなことが大事なのか、一緒に考えていきたいと思います。また、おすすめのエコな生活用品やコスメなど、耳寄りな情報もお届けします。

☆写真協力:ミニマルリビングトーキョー

キャプ:共同代表の赤井エリさん(右)と同じく千葉エリナさん
キャプ:共同代表の赤井エリさん(右)と同じく千葉エリナさん

「つくる責任 つかう責任」

 赤井さんにお話をうかがう前に、少しだけ「SDGs」のおさらいです。SDGsは「SUSTAINABLE DEVELOPMENT GOALS(サステナブル・デベロップメント・ゴールズ)」の頭文字を並べたもので、日本語に訳すと「持続可能な開発目標」。

 2015年の国連サミットで採択され、2030年までに達成しようという目標=ゴールが全部で17設定されています。その範囲は飢餓や貧困、環境問題、経済成長、そしてジェンダーに関することまで、いろいろな課題が入っています。
きょうは17設定されているゴールの中から「つくる責任 つかう責任」について考えていきましょう。

 きょうのゲスト、赤井さんは、2019年6月に共同代表の千葉サイナさんとふたりで、ゼロウェイストにこだわったショップ「ミニマルリビングトーキョー」を立ち上げ、子育てをしながら、日々奮闘されています。販売している商品は、キッチンやバスルーム用品から、エコバッグやコスメなど、およそ70種類。どれもお洒落で素敵なんです。

写真協力:ミニマルリビングトーキョー

お店、やっちゃおう!

※それでは赤井さんにお話をうかがっていきましょう。まずはショップのコンセプト「ゼロウェイスト」について。改めて、どんな意味があるのか、教えてください。

「ゼロウェイストの本当の意味というのが、まずゼロは数字のゼロ、何もない状態を表していて、ウェイストは英語でゴミのことを表しています。ゼロウェイストって造語なんですけど、ゴミがない状態を表しているんですね。

 私たちが普段生活している中でゴミってどうしても出てしまって、それはしょうがないことなんですけど、ゼロウェイストのコンセプトを基にしていると、そもそも最終的にゴミになってしまうようなものを、自分の手に持たないっていうことなんですね。

 だから例えば、何かものをひとつ買う時に、これって最終的にどういったものになるんだろうって考えて、ずっと使えるのかな、それともいずれゴミになってしまうのかなって考える。で、ゴミにならないようなものを使う、もしくは生産する。生産者側にも言えることなんですけど、それを全部まとめてゼロウェイストっていう言葉の意味になっています」

●ゼロウェイストをコンセプトにしたセレクトショップを始めようと思ったきっかけは何だったんですか? 

「いろんな人に聞かれて、必ず私もパートナーのサイナも、”ノリだったんだよ”って話をよくするんですけど、そもそも私たちは学生時代に留学先のカナダで知り合っているんですね。
 その時に普通に友達として仲良くしていて、お互いにもともと、例えばサイナは大学でアグリカルチャーやオーガニック農法を専攻していたので、そういうことにすごく詳しかったのと、私も環境問題にちょっと関わるような授業を受けていたり、卒業後もそういう仕事に少し就いたりしていたので、もともと興味があったんですね。

 私たちが住んでいたバンクーバーは、2010年に(冬季)オリンピックを開催した都市で、世界で最もグリーンな都市って言われているんですよね。
当たり前のようにダウンタウンのビルの上がルーフガーデンになっていたり、当たり前のように野菜が、オーガニックのものや裸売りのものが買えたり、あとは量り売りも当たり前にあったりっていう中で暮らしていたので、ふたりとも日本に帰国したあとに、すごく逆カルチャーショックみたいなのを受けてしまって・・・。

 今まで当たり前に買えていたものが何も買えないよねってなって。かつお互いにひとり目の子供が生まれ、子育てをする中でも、やっぱり何か良いものって手に入れづらいね。その良いものっていうのは、高くて良いものではなくて、本当に体に良いものとか、環境に良いものは手に入りづらいよね。

 でもきっと、こういう思いしている人って、私たちだけじゃないよねっていう話をしていて、“じゃあ、お店やっちゃう!?”みたいな感じで(笑)。だってお店があったら困ることなく必要なものが全部そこで買えるし、自分たちの問題も解決するよねみたいな感じで、“やっちゃおう!”って言って、1週間後に会社を立ち上げていました」

(編集部注:ショップをノリで始めたとおっしゃっていましたが、勢いと熱意を維持しながらも、ビジネスとして継続させるために、販売する商品のリサーチやセレクトには、ものすごく時間をかけたそうです。ショップのサイトを見ると、そのこだわりが伝わってきますよ)

写真協力:ミニマルリビングトーキョー

環境アクションのきっかけに

※ショップの名前「ミニマルリビングトーキョー」には、どんな思いが込められているんですか?

「これも結構悩んだんですよ。 すごく名前がシンプルで悩む余地もないんじゃないかって感じなんですけど・・・それこそシンプルリビングがいいかな〜、オーガニックリビングがいいかな〜、それともゼロウェイストがいいかなとか、すごく色々考えて、日本人でも分かる英語、かつ覚えやすい名前にしようと。

 実は”トーキョー”を付けたことにすごく意味があって、私たちの事務所が今、東京ベースなんですけど、東京ってすごく都会っていうイメージがあって、みんなが忙しなく働いていて、環境に対する意識とか、何かを頑張ろうっていうのもすごく大変な感じがするんですよ。

 都会に住んでいるとゴミが出ちゃうとか、何かそういったイメージを覆して、東京という世界屈指の大都市に住んでいるからこそ出来るサステナブルなアクションがあるよっていうことを発信したかったので、トーキョーって名前を最後に付けて、ミニマルリビングトーキョーにしました」

●へ〜〜、そういった思いが込められているんですね! 販売しているエコな商品に赤井さんと千葉さんのメッセージも込められているんですよね? 

「そうですね。もちろん会社のミッションとしてもあるんですけど、私たちのいちばんの目的は、私たちが取り扱っているものを通して、ひとりひとりの人が、環境アクションってこんなに簡単なんだとか、めちゃくちゃ楽しんで出来るんだ、みたいなきっかけや気付きを持ってほしいっていうところがいちばんなんです。

 そこからそれぞれの人が考える力が出てきて、色んなことへのマインドがちょっと環境に優しいものだったりにシフトしていく、そういうことが出来るようになるんですよね。

 何かひとつでも環境に配慮したものを自分の生活の中に取り入れることで、そういった考えに変わっていく人がどんどん増えていくことで、日本が変わっていくとか、世界が変わっていくとか、本当にそういうことに繋がるから、そんなマインドシフトのきっかけになりたくて、こういうショップを運営したいねっていうことにもなりました」

(編集部注:「ミニマルリビングトーキョー」では、国産も販売していますが、主なものはアメリカ、カナダ、ニュージーランド、オーストラリア、そして台湾などから輸入した商品だそうです)

商品選びの妥協のないこだわり

※販売する商品を選ぶときのポイントというか、こだわっているのはどんなところですか?

「ここはすごくこだわっているので、かなり基準が高いんです。まず、もちろんプラスチックフリー。使い捨てプラスチックや石油ベースの原料を使っていないものを中心に取り扱っているんですね。

 だから例えば、中身の原材料がすごく良いものでも、結局使い捨てのプラボトルに入っていて、そのプラスチックの原料がバージンプラスチック、リサイクルされているものでもなくて、本当に石油から作られた新しい製品だったりしたら、もうそこでブッブーってなっちゃうんです。

 あとは例えば、製品を使い終わったあとに土に返せるかどうかもすごくポイントが高くて、コンポストできるかどうかってことですよね。容器とか製品自体を土に埋めた時に最終的に堆肥にできるかも高いポイント。もちろん小物雑貨が多いので、耐久性と実用性は必須で、これエコな商品だから、使いづらいけど、しょうがないよねっていうのはないようにしているんですね。

 だから初めて使った人が、それがエコな製品かどうかを分からないぐらい、従来のものと変わらない、もしくはそれ以上の実用性と耐久性があるものを探していて、この辺がやっぱり製品の特徴なんですね。

 あとは日本に既にあるかどうか、珍しいもの、話題性があるものかどうか。結局、最終的に使っていて気分が上がるかどうかなので、見た目が可愛いとか、かっこいい、お洒落とかもすごく大事です。やっぱりそれって続けられるポイントにもなるし、色んな人の目に留まることにもなるっていうポイントもあるので、それもすごく大事ですね」

●ご自身で使われて、試してみてっていうこともあるんですか? 

「そうですね。大体サンプルを取り寄せて、ものによってですけど、コスメだとやっぱりお肌とかにつけるものなので、数ヶ月間試してみて、かつ自分たちだけじゃなくて違った肌質の人とか、違った生活態度をしている人とか、色んな人に試してもらってどうかなっていうのがありますね。
 それで結局やっぱり駄目だったねっていうものももちろんあるし、これならいけるねっていうものが、今オンラインのストアに並んでいるものですね」

ベストセラーは固形の食器用洗剤

写真協力:ミニマルリビングトーキョー

※特にどんな商品が売れていますか? その特徴も含めて教えてください。

「今いちばん人気は固形の食器用洗剤なんですけど、こちらはリピーター率がとても高いっていう意味で、すごく人気の高い商品です。
 やっぱり液体から固形にスイッチするって結構チャレンジングなことなんですよね。いきなり固形!? みたいな・・・でもみんなちょっと試してみて、そうしたら、すごくびっくりした! っていう感想をよく聞いていて、みんなすごく使いやすいと言って使ってくれているのが食器用の固形洗剤です。毎日使うものだし、本当に使えるものじゃないと意味がないので・・・あと最近だと、若い女性の層でも環境に対する意識がすごく高まっているのもあって、メイク用品がすごく人気ですね」

●固形の洗剤ですけど、手を洗う時の固形の石鹸ではなくて、食器用の洗剤が固形ってことですよね? 

「そうなんです。普通にボトルの洗剤をスポンジに付けていたように、固形の洗剤にスポンジを擦り当てるだけで泡立って、そのままお皿が洗えるっていう使いかたですね」

●やっぱり容器も今まではゴミになってしまいましたよね。

「プラボトルがやっぱりネックで、多くのものが実は再利用されていない、リサイクルされていないっていう現状ももちろんありますね。日本はすごくプラスチックのリサイクル率も低いので、根本からそういうところも変えていくのにすごくいいアクションかなと思います」

●コスメ用品でいうと、特に売れている商品はありますか?

写真協力:ミニマルリビングトーキョー

「今人気が急上昇しているのが、今年に入ってから入荷した新製品なんですけど、アイシャドーパレット。3色のパレットになっていて、それが3種類あるんです。容器がワインのコルクをリサイクルして、それをアップサイクルして、その容器にアイシャドーを入れていて、箱も再生紙で出来ているんですね。そのコスメが、要はチークとかシャドーとか全体的に使えるもので、かつ動物性の原料を一切使ってないヴィーガンのメイク用品なんですね。

 もちろん製造過程で動物実験をしていない。環境を汚染するような原料、例えばパームオイルとかそういったものを使っていない。人工的な着色料や香料も一切入っていないものなので、すごくクリーンなメイク用品っていう感じで、発色がすごく綺麗なんですよ! ぜひサイトで見てもらいたいんですけど、メイクにこだわるかたでも気に入ってもらえて、今それが人気急上昇中ですね」

※ほかに今、特におすすめの商品はありますか?

写真協力:ミニマルリビングトーキョー

「例えばスキンケアにすごく興味があるかたとか、化粧水、乳液だなんだって色々使っていて、もう大変みたいな感じの人におすすめなのが固形のセラムバーです。セラムって美容液なんですね。

 もともと高級美容液として知られているもので、皮膚を活性化させて、お肌を蘇らせる機能があるんですけど、結構な確率ですごく立派な瓶に入っていたりとか、キャップもすごく重めのプラスチックで、中身はちょっとだけ。それでも、ものすごく高いのが割とセラムなんです。うちのオンラインストアでもそのセラムは扱っていて、ただこれは固形なんですよね。

 水分を省いて凝縮した固形のバーで、それを直接肌に当てて塗っていくんですね。先ほど言ったように、例えばヴィーガンであったりとか、動物実験を一切していない、オーガニック成分を使っている、天然オイルがベースだったりするなど、色々こだわりの過程を経て出来上がったセラムバーで、これを使っていると化粧水とか乳液とか全部いらないんですよね。

 だから自分の普段の生活がこの3センチ×3センチぐらいの小さい缶に収まるぐらいのスキンケアで済むっていう、すごくミニマリストであり、シンプルであり、でもお肌の状態をよく保ってくれます。

 私たち結構これを気に入っていて、私も割とアウトドア派でキャンプに行ったりとかするので、そういう時にさっと持っていけてっていうのもすごく便利で、詰め替えとかもあるので、ゴミが増えない、容器をずっと繰り返し使えるっていうところもすごくいいポイントですね」

(編集部注:当番組のパーソナリティ小尾さんがショップのサイトを見て、特に気になったというのが「キューボトル」と「バンブーシリコンの綿棒」。

写真協力:ミニマルリビングトーキョー

「キューボトル」はプラスチックフリーの水筒で、飲み終わったら、半分の大きさに縮めることができるんです。「バンブーシリコンの綿棒」は、使い終わったら、洗って何度も使えます。ぜひチェックしてください)

やろうよ、みんな一緒に!

※今やエコバッグやマイボトルは当たり前になってきたと思いますが、エコなことや、ゼロウェイストな活動は、ちょっと面倒だったりすることもあるかな〜と思います。長続きさせるコツがあれば、教えてください。

「本当に色んなことが凄くシンプルなので、そんなに難しく捉えないでほしいんですよね。私がこれをやらなきゃ地球が壊れる!とか、そうやって思っている人はもちろん全然いいんですけど、そういうプレッシャーを感じるよりかは、まず楽しむことがいちばんだと思うんです。自分が気に入ったやりかたとか、これだったら無理せず出来るなっていうものを取り入れるのが、本当にいちばん大事なことだと思うんですよね。

 やっぱりエコなアクションとか、ゼロウェイストって考えると、ちょっと引き気味になってしまったりとか、ちょっと面倒くさいかな〜って思ったりすると思うんですね。

 面倒くさいって思うか、それを便利と思うか、今私たちの心理自体に問いかける必要があって、当たり前に毎日消費しているものとか、自分のとっている行動、そのひとつひとつが環境や自分の子供たちの未来に、どういう風に影響するかなって真剣に考えた時に、同じ選択って多分出来ないと思うんですよね。

 だから自分の当たり前を何かひとつでも覆すことで、新しい扉も開くし、新しい自分にも出会えるし、きっとそういうことで生活が多分変わっていくと思うんですよね。

 ゲーム感覚でいいんですよ、ひとつひとつ・・・”きょうマイボトル、クリア!”とか、”今週ビニール袋を1枚ももらわなかった、クリア!”とか。特に小さい子供がいるご家庭だったら、そういう感じで子供とも楽しめるし、自分にとってもいいリマインドにもなるし、とにかくなんでもいいからやってください! っていうのはいつも言ってますね。

 やるかやらないかって、誰でもやれるっていう選択肢があるから、やらないっていう理由はないんですよね。だからなんでもいいからやろうよ! みんな一緒に! っていう感じで出来たらいいですよね」

 今回はSDGsのゴールの中から「つくる責任 つかう責任」について考えてきましたが、プラスチック・フリーな生活は「海の豊かさを守ろう」にもつながりますし、パームオイルを使ってない商品を選ぶことは「陸の豊かさも守ろう」にもつながると思います。私たち消費者の日々の選択と本物を見極める目が大事だなと改めて思いました。あなたはどう思いますか。


INFORMATION

 「ミニマルリビングトーキョー」では環境や健康に徹底的にこだわって選んだ商品が販売されています。ぜひオフィシャルサイトをご覧ください。

 「ミニマルリビングトーキョー」はオンラインでの販売がメインですが、ユーザーさんと直接やりとりができるイベントなどに、月一回程度で出店しています。今月2月は16日から22日まで、新宿伊勢丹本館1階で開催される「マザーチャレンジ」に出店。3月は横浜・日出町で開催されるマルシェにも出店する予定となっています。
 なお、新型コロナウィルス感染拡大に伴い、延期または中止になることもありますので、お出かけ前にチェックしてくださいね。

◎「ミニマルリビングトーキョー」HP:https://minimal-living-tokyo.com

オンエア・ソング 2月13日(日)

2022/2/13 UP!

オープニング・テーマ曲「KEEPERS OF THE FLAME / CRAIG CHAQUICO」

M1. TODAY / ZERO7

M2. BEAUTIFUL / CARLY RAE JEPSEN FEAT. JUSTIN BIEBER

M3. CHANGE IN MIND, CHANGE OF HEART / CAROL KING

M4. BEAUTIFUL DAYS / FANTASTIC PLASTIC MACHINE

M5. FRAGMENTS / JACK JOHNSON

M6. SKIN / SADE

M7. GENIUS NEXT DOOR / REGINA SPEKTOR

エンディング・テーマ曲「THE WHALE / ELECTRIC LIGHT ORCHESTRA」

山村の活性化にもつながる森林レンタルサービス「フォレンタ」

2022/2/6 UP!

 今週のベイエフエム / ザ・フリントストーンのゲストは、岐阜県東白川村(ひがししらかわむら)で林業と製材業を営む「田口房国(たぐち・ふさくに)」さんです。

 田口さんは1977年、岐阜県東白川村生まれ。学習院大学を卒業後、家業の林業・製材会社に就職。2007年に三代目社長となり、会社名を「山共(やまきょう)」に変更。理念は、会社名そのもので「山と共に、あしたをつくる」としています。

 そして、仲間とともにおよそ400ヘクタール、東京ドーム100個分の、会社の山林を管理。木を植え、育て、伐採し、板や柱などを作る仕事を日々進めていらっしゃいます。ちなみに田口さんのキャッチフレーズは「カントリージェントルマン」なんですよ。

 田口さんは、キャンプ好きに向けた森林レンタルサービス「forenta(フォレンタ)」を2年前に始め、アウトドア派だけでなく、全国の林業関係者からも注目を集めています。

 きょうはそんな田口さんに「フォレンタ」のシステムや特徴、そして林業や山村への思いについてお話しいただきます。

☆写真協力:田口房国

田口房国さん

東濃ヒノキの産地

※森林レンタルサービス「フォレンタ」のお話の前に、田口さんが生まれ育った、岐阜県東白川村はどんなところなのか、お話しいただきました。

「岐阜県には村がふたつしかなくて、ひとつはこの東白川村、もうひとつは合掌造りで有名な白川村があります。名前は東が付くか付かないかの差なんですけれども、場所は全然違っていて、東白川村には合掌造りの家はありません。
 昔はよく間違えて、こっちに来られるかたがいらっしゃったので、申し訳ないという気持ちがありましたね。周りは自然に囲まれていて、下呂温泉なんかも近くて、人口が2000人くらいの本当にほのぼのとしたいいところだと思っています」

写真協力:田口房国

●木曽地方の木材の産地なんですよね? 

「そうですね。木曽というのは厳密には長野県のほうを言います。ただその長野県と隣接しているような場所ですので、こっちのほうを裏木曽って言うんですけども、木曽の裏側というような感じですね。そのような場所です」

●主な木はなんですか? 

「やっぱり有名なのはヒノキですね。木曽ヒノキが元々有名ですけれども、このあたりは岐阜県美濃地方の東のほうなので、東濃という地域で呼ばれます。ここのヒノキを東濃ヒノキと言い、これもひとつの銘柄材として有名です。このヒノキとかスギのような針葉樹ですね。建築用材に使われる材料、この辺が有名かなと思います」

●ずっと昔から森作りの技術や文化が、受け継がれてきているような場所なんですか? 

「そうですね。うちの近くには神宮備林という伊勢神宮を建てるための専用の山、これ国有林ですけれども、そういうものもあったりして、江戸時代、もしくはそれ以前、昔からの木材の産地ということになっています」

●現在の林業が置かれている状況は、どうなんでしょうか? 

「日本全国、同じようなものかもしれませんけれども、木というのは育てるのにやっぱり50年とか100年とか、そういう時間が必要なんですね。それを維持しながら、その時その時でそこに携わる人たちがちゃんと稼ぎながら、人を入れながら、新陳代謝を図りながらやっていくという意味では、短期的にも長期的にも見ていかなければいけない仕事ですので、そういったところは非常に難しいかなと・・・。

 木材の単価そのものが昔に比べると、かなり下がっているというところもありますし、肉体労働でもあるし、天気に左右される仕事でもあります。そういったところからなかなか、なり手が不足していたりとか、色々な問題があるかなと思います」

写真協力:田口房国

山林購入はハードルが高い。ならばレンタル!

※会社の事業として2020年に森林レンタルサービス「フォレンタ」をスタートされました。このアイデアを思いついたのは田口さんですよね。何かきっかけがあったんですか?

「自粛期間がありましたよね。感染拡大が始まって最初の年の4月から6月あたりですかね。僕自身もあまり外に出ることなく、家でYouTubeを見たりとかしていました。その時にキャンプが最近流行っていると・・・ソロキャンプだとか色んな形で流行っているよっていうのを見ました。

 キャンプをしたいがために、山林を購入されるかたも増えているというのを見た時に、山林の購入はやっぱりハードルが高いというか、購入したあと、その山林に対して、単に自分の持ち物というだけではなくて、社会的な役割も山林というのは持っています。そういったところの責任の問題であるとか、もちろん登記とか税金の問題とか、諸々のことを考えていくと、山林を購入するというのはハードルが高いんだろうなということを思いました。

 でも一方で、一般のかたが森林に足を踏み入れてくれることは、僕としてはとても歓迎すべきことであると思っているので、それならレンタルという形をとれば、山側の人もそれを利用したい側の人も、両方にとっていいんじゃないかなとひらめいたというか、思いつきましたね」

写真協力:田口房国

●森林のレンタルサービスって本当に面白いなって感じたんですけれども、実際スタートするまではなかなか大変だったんじゃないですか? 

「そうですね。実際に森林をレンタルするというサービスは、それまで日本ではなかったと思います。僕もそういう事例がないか(ネットで)調べたんですけれども、やっぱりヒットしませんでした。
 そんな中、その仕組みをどう作るかがいちばん悩んだところというか・・・実際に借りてくれる人もいるかどうか分からないので、とりあえず自社林で試しにやってみて、その反応を見ようかなと。そんな感じで、とにかくやってみようと思ってやりましたね」

●募集をスタートしたのはいつ頃だったんですか? 

「2020年の11月に募集を始めましたね」

●反響はいかがでした? 

「先ほども言いましたように、まったく今までにないサービスですし、もちろん知名度もゼロからのスタートでしたので、本当にどれだけ人が来てくれるのかなというのが不安でした。

 とりあえず自分の山を17区画に区切って、17人の物好きさんがいてくれればいいかなと思って募集を始めました。募集期間は1か月半くらいとっていたんですよ。そうしたら最初の1週間で、エントリーが100組を超えて、なんかものすごく来た! と、逆にちょっと焦って、1か月半もやったら大変なことになるなと思って、1か月に短縮しまして、11月いっぱいまで。1か月募集して、最終的には444組のエントリーがありましたね」

(編集部注:ここで「フォレンタ」のシステムや使用料について説明しておきましょう。岐阜県東白川村の田口さんの山林の場合は、ひと区画300坪、年間の使用料は66,000円、月割りにすると5,500円。借りるほうからすると、これは安いですよね。田口さんいわく、山林の所有者にとっては、こんなにもらっていいの、という金額だそうです。この料金設定は両者にとっていい価格帯ではないかともおっしゃっていました。

 使用する際のルールについては、借りた区画内の細い木は伐ってもよく、キノコや山菜なども採っていいそうです。焚き火もOKですが、直火は禁止。焚き火台などを使い、延焼を防ぐ手立てはしっかりしてくださいとのこと。スギやヒノキを植えた大事な山林をお借りするわけですから、火の取り扱いに十分に注意するのは当たり前ですよね。「フォレンタ」のシステムやルールなど、詳しくはオフィシャルサイトhttps://www.forenta.net/ をご覧ください。

フォレンタが集落に!?

写真協力:田口房国

※「フォレンタ」ならではの特徴というと、どんなことがありますか?

「やっぱり年間契約というのがいちばん大きな特徴かなと思っています。年間契約ですので、チェックイン、チェックアウトだとか、予約というものが利用者様にとっては必要がないんですね。
 例えば急にきょうキャンプしたいな〜って思い立っても来ていただけますし、もちろんいつ帰っていただいても構いません。まず、そういう気軽さというのがあるかなと思います。

 あと、これ僕自身も想定していなかったことなんですけども、最初は山を借りたかたがテントを持ってきて、泊まって帰っていく、普通のキャンプをされていくんだろうなって思っていたら、そこに皆さん、いわゆるブッシュクラフトというか、物を作り始めたんですね。

 落ちている木を拾ってきて、柵を作ったりとかデッキを作ったりとか、もしくは小屋のようなものを作ったりとかして、だんだんひとつの集落が出来上がってきているような、なんかそんな感じなんです。
 1泊2日で帰るようなところだったら絶対無理ですけれども、1年間借りていられる、1年後に更新すればもっと借りられますけれども、そういう長期スパンで同じところを借りていられるっていうところから、皆さん色々なものを作り始めていると、自分だけの秘密基地のようなものを作り始めている、これがフォレンタとほかのキャンプ場の大きな違いじゃないかなと思いますね」

写真協力:田口房国

●実際、利用されているかたの反応はどんな感じですか?

「そうですね・・・このフォレンタの場所は、本当に電気も水道もない、全然設備が整っていないところなんですね。仮設トイレをいくつか置いているというくらいの設備しかなくて、本当に、ここに何で皆さん来てくれるのかなっていうのが僕自身も不思議だったんですね。
 僕自身も度々(様子を)見に行きまして、ご利用者さんとお話ししていく中で、皆さん、ここのどこがいいんですか? って聞くと、いちばん最初に出てくるのは、静かなところっていうふうに言っていただけるんですね。

 ご利用されているかたは、このあたりで言うと名古屋とか、もしくは東京や神奈川からもいらっしゃっているかたもいるんですね。やっぱり日常、どうしても喧騒というか、なんらか音が溢れているところで生活をされていて、週末くらいは静かなところで、自分だけの時間を過ごしたいというようなところが、いちばんニーズとしてあったのかなと。
 僕らにとってみれば、静かすぎてごめんなさいという感じですけど、そういうところがよかったのかなと思いましたね」

(編集部注:実は田口さん、キャンプの経験がほとんどなかったので、だれかにキャンプの大事なポイントを教えてもらいたいと、YouTubeで調べていたら、以前この番組にも出てくださった、岐阜県出身のさばいどる「かほなん」さんを見つけ、アドバイスをお願いしたそうです。かほなんさんは快く引き受けてくださり、現地にも来て、いろいろアドバイスをしてくださったそうですよ)

ドイツでは、森林はみんなのもの!?

※田口さんは以前、ドイツの山岳地帯シュヴァルツヴァルト、これはドイツ語で「黒い森」という意味があるんですが、そんな針葉樹の森が広がる場所に視察と研修のために行き、いろいろ見て回ったそうです。滞在中に、なにか発見というか、参考になることはありましたか?

「いちばん驚いたのは、ドイツの人って休みの日になると、みんな森林に遊びに行くんですね」

●へぇ〜! 

「もちろん、みんながみんなじゃないでしょうけれども、多くの一般市民のかたが森林に自由に入っていって、そこでハイキングを楽しんだりバーベキューをしたり自転車に乗ったりだとか、そういうことをされているんですね。そこにいちばん驚きましたね。日本もすごく森林は多いんですけれども、日本でそういう光景って見たことないなと。

 僕も田舎に住んでいますけれども、そういう光景は全然見なくて、一般の人が森林に気楽に入れるのが、僕らの木材産業にとってみても、そういう文化があるのがとても心強いことですし、森林が一般の人に必要とされているんだなっていう、それがすごく伝わってきたんですね。

 もちろんそこに仕組みだとか法律だとか、そういったものが整備されている背景もあるんでしょうけれども、そういうのが日本でも実現できるといいなと思ったのも、このフォレンタを始めたひとつのきっかけですね」

●森林が日常の一部になっているんですね。

「そうですね。日常の一部ですし、みんなのものであるという意識が高いんですね。ドイツも森林は個人が所有しているものでもあるんですけれども、同時にみんなのもの、公共のものということで、自由に森に入ってもいい権利というのがちゃんとあるらしいんですね。それって素敵だなって思いましたね。

 どうしても日本だと、個人所有の森林には勝手に入っちゃダメ! って、個人のかたが、どこか強くなっちゃう部分があったりするんですね。歴史的なバックグラウンドもあるんでしょうけれども、ヨーロッパのかたがたのそういう感覚って素敵だなって思いましたね」

山村に自信と誇りを

※「フォレンタ」のサイトで知ったんですが、静岡にも「フォレンタ」があるんですね?

「はい、そうです。この仕組みをフランチャイズにしようと思いまして、その第1号として、静岡の伊東市で”フォレンタ静岡”として、去年の暮れにオープンしましたね」

●今後は色んな場所で展開していくという感じなんでしょうか? 

「はい、もうすでに日本全国から、うちの山でも出来ないかな? というようなお問い合わせを毎日のようにいただいています。こういう風に山を活用したいという山主さん側のニーズというか希望もありますし、山を利用したいという利用者様側のニーズもありますので、それにお答えするような形で、どんどん広げていければ嬉しいなと思っています」

写真協力:田口房国

●山村地区が抱えている問題の解決にもつながりそうですよね。

「そうですね。このフォレンタという事業が、単に今キャンプブームだから、それに乗っかってというだけではなくて、僕自身の思いですけれども、森林が今まではそこに生えている木材の価値でしか、はかられてこなかったんですね。

 僕も木材を取り扱う仕事をしていますけれども、木材の価値が下がったことによって、森林の価値が下がってしまう・・・この東白川村は90%が森林ですけれども、森林の価値が下がるということは、この山村の価値そのものが下がってしまうというふうに思ってしまうんですね。

 山村の価値が下がるということは、そこに住んでいらっしゃるかたがたが、みんな自信だとか誇りだとかを失って、例えば子供に、もうこんなところに住まないほうがいいぞと。大人になったら名古屋へ行け、東京へ行けとか言って、どんどん(子供を)送り出して、過疎化が進んでいってしまう・・・そういう悪循環になってしまうと思っているんですね。

 でも、一方で森林の価値は木材だけじゃなくって、こういうキャンプ利用もそうですし、そこにまだまだたくさんの魅力があって、恵みがあって、そういったところを再認識出来れば、自ずと森林の価値の高まりにつながっていきますし、それが地元に住んでいる人たちの自信とか誇りにもつながっていくと思うんです。

 だからやっぱり、この森林というものに、新しい価値を見出すことで、この山村地域そのものが自信や誇りを取り戻して、また盛り上がっていってくれればいいなというのが僕の思いですね」


INFORMATION

写真協力:田口房国

 田口さんはいわく、山村には、森が醸し出す空気、水、そして雰囲気がある。「フォレンタ」を通じて、都会のかたが山村にもっと来ていただけるような、そんな仕組みづくりをしていきたいともおっしゃっていました。

 「フォレンタ」について詳しくは、オフィシャルサイトをご覧ください。

◎「フォレンタ」HP:https://www.forenta.net/

 田口さんは林業や製材業の仕事のほかに、ふるさと東白川村の文化や暮らしを広く発信する活動もされています。ぜひ田口さん個人のサイトも見てくださいね。

◎田口房国さんHP:https://www.fusakuni.com/

オンエア・ソング 2月6日(日)

2022/2/6 UP!

オープニング・テーマ曲「KEEPERS OF THE FLAME / CRAIG CHAQUICO」

M1. LOVE LAND / THE LOST GENERATION

M2. 炎 / LiSA

M3. MY BLUE RIDGE MOUNTAIN BOY / DOLLY PARTON

M4. 炎と森のカーニバル / SEKAI NO OWARI

M5. なんでもないや / RADWIMPS

M6. WIND OF CHANGE / SCORPIONS

M7. PRIDE (IN THE NAME OF LOVE) / U2

エンディング・テーマ曲「THE WHALE / ELECTRIC LIGHT ORCHESTRA」

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