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ベイエリア夏の恒例イベントが3年ぶりの復活!
ベイエリア夏の恒例イベントが3年ぶりの復活!
地球の中には何があるのか〜中心まで6400キロ、地球深部の謎に迫る!

2022/5/8 UP!

 今週のベイエフエム / ザ・フリントストーンのゲストは、東京大学大学院の教授「廣瀬 敬(ひろせ・けい)」さんです。

 廣瀬さんは、地球の中がどうなっているのか、地球はどのように生まれ、進化してきたのかを調べている世界的な研究者でいらっしゃいます。

 1968年、福島県生まれ。東京大学・理学部から大学院に進み、理学博士に。その後、東京工業大学、アメリカ・カーネギー地球物理学研究所などを経て、2017年から現職。専門は高圧地球科学、地球内部物質学。
 そして先頃『地球の中身〜何があるのか、何が起きているのか』という本を出されました。この本は地球の内部を徹底的に解剖した、読み応えのある一冊です。

 きょうはそんな廣瀬さんに、地球内部の構造や、中心部にあるコアの重要性、そして実験の成果についてうかがいます。

提供:廣瀬 敬
提供:廣瀬 敬

地球の中はドロドロ!?

※私たちの足もとにある地面の下がどうなっているのか、考えたことはありますか。土と岩石!? ドロドロの溶岩!?・・・果たしてどうなんでしょうね。
 地球の内部はどうなっているのか教えてください。

「地球は、その中心まで地表から6400キロの深さがあります。それだけ掘っていかないと、地球の真ん中にはたどり着かないっていうことですね」

●その6400キロが、いろんな層に分かれているんですよね?

「そうですね。基本的には、まず我々の足もとは地表から2900キロまでが、石の塊でできています。そこを”地核”と言ったり”マントル”と言ったりするんですね。その下に金属の塊があって、その金属の塊は、実は大部分が溶けているんですね。だからそこはドロドロの金属なんです。

 ところが、我々は金属のことをマグマとは言わないんです。マグマっていうのは、あくまで冷え固まると溶岩っていう石になるもの、それをマグマと言っているんです。金属がドロドロに溶けているものは、マグマとは言わないですね」

『地球の中身〜何があるのか、何が起きているのか』廣瀬 敬

●本に”コア”っていうのも載っていましたけれども、このコアっていうのは何でしょう?

「コアが今言っているドロドロの金属です」

●では、地核があって、マントルがあって、そしてコアがあるということですか?

「その通りです!」

『地球の中身』(講談社ブルーバックス)より転載
『地球の中身』(講談社ブルーバックス)より転載

●どうして、それぞれ形状が違うんですか?

「まず、石はなかなか溶けないですね。なので個体というか、溶けていないということです。一方で鉄の塊の金属は、難しい話をすると、いろんな不純物が入っているんですね。鉄はなかなか溶けないんですけれども、不純物を入れると簡単に溶けるようになるんです。それでコアと呼ばれる鉄の塊は液体だということです」

●えっ! 液体!?

「ドロドロって言っているのは、液体だっていうことですよね。マグマも、イメージできないかもしれないけど、液体ですよね」

●金属っていうのがちょっとピンとこなかったです。

「我々の足もとには、深さ2900キロメートルまでは、石が続いていて、その下、地球の真ん中、6400キロの深さまでは、今度はドロドロに溶けた金属の塊があるっていうことですね。ただし、地球の真ん中のまでいくと、その金属も固体になるんです。それは溶けていない、固まっている、我々が知っている金属です。硬い鉄のことです」

(編集部注:地球はおよそ46億年前に誕生したとされていて、その時の地球はドロドロのマグマの状態で、その後、徐々に冷えて固まり、大気と海、マントル、そしてコアと、現在の姿に近づいていったそうです)

地球の深部は高圧高温

※地球の内部を調べるためには、素人考えでは、深い穴を掘って研究するのかなと思ったりするんですが・・・どんな方法で調べているんですか?

「地球の中の深いところの研究はいくつか手法があるんですけれども、私たちがやっているのは高圧実験といって、実験室で地球の深い部分を再現して、例えば石がどういう状態になっているかを調べています」

●実験室で地球の深いところがわかるんですね?

「そうですね。地球の深いところは、上からぎゅーって押されているので、高い圧力と、高い温度の環境なんですね。高圧高温の環境ってことです。そういう環境を実験室の中で作ってあげる。そうすると、例えば地表にある石が、全然違った石に変わるんです」

●どうなっちゃんですか?

「例えば、鉱物の色がどんどん変わっていったりとか、あまり電気を流さない鉱物が、すごく電気を流すようになるとか・・・非常によく知られた例だと、地球の深いところでできるダイヤモンドを地球の浅いところに持ってくると、本来はグラファイトといって鉛筆の芯になってしまうんです」

●え〜〜〜っ、ダイヤモンドが!?

「そうですね。逆にいうと鉛筆の芯を深さ150キロよりもっと深いところに持っていくと、ダイヤモンドに変わってくれます」

●え〜〜っ、全然違ったふたつに見えますけど・・・深さによって変わるんですね!

「そうです。もとの材料は同じなんだけれども、深いところに持っていくと全然違う物質に変わります。だから地球の深いところは、今我々が目にしている岩石とは全く違う岩石からできているんです」

(編集部注:廣瀬さんの研究室ではダイヤモンドを使った特殊な実験装置で地球内部の環境を作り出しているそうです)

ダイヤモンド・アンビル・セル装置(提供:廣瀬 敬)
ダイヤモンド・アンビル・セル装置(提供:廣瀬 敬)

大発見! ペラペラ剥がれる岩石!?

※廣瀬さんの研究室で以前、大発見があったそうですね。どんな発見をされたんですか?

「地球はまず表層に地核があって、その下にマントルという部分があると、先ほど申し上げましたね。両方とも岩石でできています。そのマントルの部分も、実はよく見るといくつかに分かれているんです。何が違うかっていうと、いちばんたくさん入っている鉱物の種類がどんどん変わっていく、そういうことになっているんですね。

 私どもの研究室で発見したのは、そのマントルのいちばんたくさん入っている鉱物が、何回か姿を変えていくんですけれども、その最終形です。マントルのいちばん深いところで、どういう姿形になっているかを、その研究で明らかにしたっていうことですね。
 論文が出たのが2004年のことなので、今からもう18年も前ですね。昔の話ですけど、当時はマントルの新しい部分、”マントル最下部層”っていうのが発見されたということで、かなり興奮したものですね」

●どうしてわかったんですか?

「実験室で高圧高温を作っていって、ある深さ、もしくはある圧力を超えたところで、急にその鉱物の姿形がガラッと変わったということですね。それがちょうどマントルの底の付近に対応していたということです」

●大興奮だったんじゃないですか? 廣瀬さん自身も!

「それは、もちろんそうですね。マントルのいちばん深いところ、たかだか深さ数百キロくらいの領域なんですけれども、そこの部分は、それまで知られていなかった岩石からなるってことが分かりましたから。またその岩石、もしくは鉱物の性質が、その上のほうにあるマントルとは全然違うものだったので、非常に面白かったですね」

●どう違うんですか? 

「みなさん”雲母(うんも)”って、分かりますか? ペラペラ剥がれていくような鉱物があるんですね。雲母がなぜペラペラ剥がれるかっていうと、結晶が層状になっているんです。原子が層状に積み重なっているんですね。なので、層と層の間がペラって剥がれるんです。そういう層状の鉱物なんですね、”雲母”っていうのは。

 実はグラファイトも層状の鉱物で、だから鉛筆の芯として書けるんですね。簡単に剥がれてくれるので、鉛筆の芯になってくれるっていうことですね。マントルの底も、実はそういう層状の鉱物からなっていることが、その時初めて分かったっていうことですね」

地球は磁場に守られている

※2003年に『ザ・コア』というアメリカ映画が公開され、話題になりました。この映画は地球のコアの回転が止まり、地球の磁場が不安定になって地上が大混乱になるというSFパニック映画なんですが・・・コアは回転しているんですか?

「コアは地球の真ん中にあって、そんなの我々に関係ないじゃないかって、普通は思うんですけれど、全くそうではなくて、地球全体が磁石なんですね。
 最近は使わないけれども、コンパスの針は北を向きますよね。それは地球が磁石であることの証拠なんです。それで今、(針は)北を向くんですけれども、実は少なくとも77万年よりももっと前、かなり前の時代はコンパスの針は逆を向いていたはずなんですね」

●えーっ!? どうしてなんですか?

「それは、地球は磁石なんですけれども、電磁石と言って電気が流れている磁石なんですね。電気の向きを、プラスとマイナスを替えると、磁石のN極とS極が入れ替わる、そういうことが起きるんですね。地球はそういうことを何万年、何十万年かに1回繰り返しやっているんです。

 そのN極とS極が入れ替わる時に数千年ぐらい、結構長い間、地球の磁石が弱くなってしまう。そうなると地球は宇宙とか太陽から来る有害な光、放射線というかなり有害なものがあるんですけれども、それを地球はまともに浴びてしまうんですね」

『地球の中身』(講談社ブルーバックス)より転載
『地球の中身』(講談社ブルーバックス)より転載

●え〜〜〜大変じゃないですか!

「そうですね。それで人類が絶滅するとか、そういうことは多分ないんです。どうしてかっていうと、人類が生まれてから数百万年経っていて、その間、N極とS極の入れ替わりは、数万年から数十万年に1回・・・要するに人類が誕生してから10回以上は経験しているので、人類が滅びちゃうとか、そういうことはないんだけれども、おそらく現代文明には非常に大きな影響があるだろうと考えられています」

●具体的にどんな影響が出てきてしまうんですか?

「よく言われているのは電子回路ですね。電気を使ういろんな装置がありますよね。例えばパソコンとかもそうなんですけれども、そういった電子回路が宇宙線の影響を受けて、駄目になっちゃうってことがよく指摘されています」

●磁場ってすごく影響しているんですね、私たちの生活に。

「そうです。もし空気がなくなったら、みんな死んじゃうんだけど、空気があって当たり前だと思っているから、そんなにありがたがらないのと同じで、磁場があるのが当たり前なんで、みんな、ありがたくもなんとも思ってないんですけれども、実はなくなるととっても困ります」

●守ってもらっているんですね。

「そうですね。例えば、火星の研究は、最近すごく進んできているんですけれども、実は火星は約40億年前に磁石ではなくなった、そうしたらその2億年後くらいに今度は海が蒸発しちゃったんですね。だから地球も、もし磁石じゃなくなると数億年後くらいに、海がなくなっちゃうかもしれないんです。

 だから本当に地球が磁石であること、別の言葉でいうと地球に磁場があることは、我々の生活もしくは環境にとって、ものすごく大事なことなんですけども、普段はもちろんそんなことは意識していないですね」

(編集部注:廣瀬さんから、約77万年前に地球のN極とS極が入れ替わったというお話がありましたが、その痕跡が確認できる場所が千葉県市原市の養老川沿いで見つかった世界的にも重要な地層。2年前に「チバニアン」として正式に地質年代の名前として採用されたことは記憶に新しいですね)

コアは不純物がたっぷり

※今後の研究でどんなことを解き明かしたいと思っていますか?

「まだまだ地球の中ってわからないことがいっぱいあって、不思議だって言われていることがたくさんあるんですね。中でも先ほどからたくさん話に出ているコア、金属の塊なんですけども、たくさんの不純物が入っていると言われています。

 ところがどういう不純物なのか、例えば、水素だったり酸素だったり炭素だったり、どういう元素がどのぐらい不純物として入っているかは、実はよくわかっていないんですね。

 地球のコアは地球全体の重さ、質量の三分の一を占めているので、その三分の一のところに不純物がたっぷり入っているんだけど、その不純物が分からないので、地球全体の化学組成は、実はまだわかっていないんですね。

 逆に言うと、それさえわかれば、地球を作った物質は一体何だったのか、地球はどうやってできたのか、そういう地球の起源、誕生の謎を飛躍的に解明できると思っています。今コアの化学組成、不純物の正体を明らかにしようと頑張っているところです」


INFORMATION

『地球の中身〜何があるのか、何が起きているのか』廣瀬 敬

『地球の中身〜何があるのか、何が起きているのか』廣瀬 敬

 地球内部のことをもっと知りたいというかた、ぜひこの本を読んでください。私たちが暮らす地球がどんな星なのか、興味深い話が満載です。地球科学の入門書的な一冊、おすすめです。講談社のブルーバックス・シリーズの一冊として絶賛発売中。詳しくは出版社のサイトをご覧ください。

◎講談社HP:https://gendai.ismedia.jp/list/books/bluebacks/9784065266601

 廣瀬さんの研究室のサイトもぜひ見てください。

◎研究室HP:http://www-solid.eps.s.u-tokyo.ac.jp/~hirose/

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