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47都道府県、里山・里海に魅せられて〜人の温もりを感じる風景写真

2024/1/14 UP!

 今週のベイエフエム / ザ・フリントストーンのゲストは、風景写真家の「佐藤 尚(たかし)」さんです。

 佐藤さんは1963年、福井県生まれ。1984年、東京写真専門学校を卒業後、山岳写真家・風見武秀(かざみ・たけひで)さんに師事。1990年からフリーランスとして活動。日本全国を車で旅しながら、農村や自然などを撮影し、作品を写真集などで発表する傍ら、地元埼玉県の見沼(みぬま)たんぼで写真ワークショップ「里ほっと」を主宰するなどの活動もされています。

 きょうはそんな佐藤さんに、日本全国の里山・里海の魅力や、房総半島のお気に入りスポット、そして人と自然が織りなす風景についてお話をうかがいます。

☆写真:佐藤 尚

春の小湊鉄道
春の小湊鉄道

自分らしさが出る里の風景写真

※風景写真を撮るために、現在も日本全国、津々浦々を巡っているんですか?

「はい、47都道府県を巡るのを自分のライフスタイルにしているので、一箇所ばっかりに行くというんではなくて、旅をしたら、なるべく多くの都道府県を周れるようにしています。昨年に行ったところは今年は行かないとか、来年は今年行ってないところに行こうとか、そういうふうにリストアップをして47都道府県を周れるようにしています」

●佐藤さんの主な被写体は里山なんですよね。佐藤さんのお写真って、本当に見ていてホッとする感じがするんですけれども、風景写真として里山を撮るようになったのはどうしてなんですか?

「風景写真って、一般的に広い自然風景などを捉えるかたがいたり、観光地に行って目の前にある景色を捉えるかたが多いかと思うんですけれど、私自身はいつの日からか、そっちのほうよりも里のほうに(目が)いくようになりましたね。

 その理由というのはふたつあるかと思うんです。ひとつが深い森だったり、険しい山だったり、神秘的な海だったり、そういう大自然よりも・・・なんか大自然って見本みたいなのがあって、そこに行ってそれを撮るみたいになってしまって、やっぱりパターンが似てきちゃうと思うんですよね。
 それが里の風景だと(世の中に)出ている写真が少ないというのかな、自分の感覚で探せるっていうのかな、そこが好きで里のほうに行っているのがありますね。

 で、もうひとつが、里のほうに行くと人の気配ってあるじゃないですか。人が暮らしていたり、人が漁をしていたり、人が農作業をしていたり、そのかたたちの近くに行って会話ができるのが好きだな〜。

佐藤 尚さん

 会話は実は得意じゃないんですけれど、田舎の人ってすごく優しくって、会話は難しくないよって教えてくれて、挨拶すると向こうから、おまえさん、どっから来たんだって言われて、埼玉県からだって言うと、自分の息子が娘が甥っ子がとか、昔自分が埼玉で出稼ぎしていたとか、いろんな話が出てくるんですよね。土地の人の話をするのはすごく好きで、それで里のほうに行っているっていうのがありますね」

●やっぱり人の営みを感じられるような風景がいい、ということですよね。

「はい、要するに大自然はどなたでも、もしかして撮れるかもしれない。撮るのは大変だと思うんですけれど、でもそんな中で自分の個性、自分らしさが出るのが里の風景かなと思って里山、里海に向かうようになっています」

●だから佐藤さんの撮る写真には暖かさがあるんですね。

「嬉しいじゃないですか(笑)。ありがとうございます」

(編集部注:佐藤さんは47都道府県を、改良したワンボックスカーに寝泊りしながら巡っていて、一回の撮影旅は長くて1ヶ月くらい、短くても2週間ほどと、時間をかけて、じっくり、ゆっくり移動しながら撮影を続けています)

旅の最初に魚沼、旅から帰る時に魚沼

春、魚沼の桜
春、魚沼の桜

※これまでの撮影で、特に印象に残っている場所はありますか?

「新潟県の魚沼、魚沼コシヒカリの産地、日本有数の雪国、その魚沼が好きで長く行っているんですね。魚沼になんでそんなに行くかと言ったら、魚沼って風景もいいんですけど、人が暖かいんですよね。それで魚沼に通っているうちにいっぱい友達もできたし、だから魚沼に何かと寄る、旅の最初に魚沼、旅から帰る時には魚沼、寄ってから家に帰ってくるみたいな、そんな雰囲気で終わるのが大好きです」

●どんな出会いがあったんですか?

「やっぱりいろんな人に出会えるっていうのが、魚沼っていいなって思うんですよね。それは出会いだけではなくて、(宿で)お風呂に入っていてもその中で会話を聞くのもなんか楽しいし・・・。
 そうそうあとやっぱり魚沼って、どういうところって教えてくれるんですよね。魚沼は雪深いところとか、山菜がおいしいところとか、そういうのをちょっと家に寄ってけって言われてご馳走になって体験したり・・・。または畑で採れたものをくれたりとかって、そういう本当のコミュニケーションをとれるのが、私にとってもすごく財産になっているなって思います」

春、魚沼の棚田
春、魚沼の棚田

房総半島のおすすめスポット

※千葉県・房総半島で、よく撮影されているエリアはありますか?

「房総半島、好きですよ! 暮れに千葉県に行きましたよ! どこに行ったかというと九十九里海岸と南房総、結構千葉県って大きいですね、縦長ですよね。あの距離、すごく移動は大変だった感じはしたんですけど・・・」

●千葉県も車中泊で行ったんですね?

「もちろんそうです。九十九里に行ったのは夕陽を撮るためでした。いちばん日が短い年末は、太陽がいちばん南に寄っていくので、太平洋に面している九十九里でも夕陽が撮れるんですね。普通太平洋に面していると、日の出だけと思われがちですが、夕陽も撮れるんですよ。

 あと南房総に行くと、夕陽と絡めて富士山が撮れるというイメージを持っているので、房総半島の先端から富士山を、大波が来ているところをいつか撮ってみたいと思っているんだけど、なかなかうまくいきませんが、年末になると九十九里から房総半島を巡る旅を毎年のようにやっていますね」

南房総の夕景と波
南房総の夕景と波

●季節的には冬がいいですか?

「冬の千葉県の海、最高です!」

●そうなんですね。地形的に高い山がなくて、低い山を歩く低山ハイキングも盛んだったりしますけれども、そういった風景も撮ったりはされますか?

「山歩きはそれほどしないですけれど、内陸のほうに行くと千葉県って田んぼとかもあるし、里の風景がいっぱいあるなっては思っていますね。だから千葉県は海・山・里、本当にすべてが揃っているところだなって感じているので、なにかと来ます。冬の話を先ほどさせていただきましたが、5月の九十九里が超おすすめです!」

●どんなところがおすすめですか?

「ご存知かどうかわかりませんが、砂浜に植物がいっぱい育っているところがあって、その植物でコウボウムギというのがあります。麦みたいな形のちっちゃい植物なんですけど、そのコウボウムギが砂浜いっぱいに群生しているところが5月に見られるんですが、それがまた可愛いんだ! ぜひ見ていただきたい!」

初夏の九十九里「コウボウムギ」
初夏の九十九里「コウボウムギ」

●5月ですね。

「5月です。5月から6月、7月、いつまで咲いているかわかりませんが、私が見たのは4月末だったんで・・・すごくいい景色です! 可愛いですよ」

●5月頃にそこに行けば、いい景色が見られるということですね。

「そうですね。房総半島、九十九里、本当に海岸線の多様な風景があるので、ぜひぜひ地元のかた、いや遠くからでも、みなさん、行っていただけたらなってすごく思っています」

南房総の夕陽(右下に写っている人物は佐藤さん本人)
南房総の夕陽(右下に写っている人物は佐藤さん本人)

写真を楽しみましょう!

※佐藤さんは、一般のかたに風景写真の撮り方を教える撮影会やオンラインでの教室をやっていらっしゃいます。どんなことにポイントをおいて教えているんですか?

「写真を楽しみましょう! まずそれですね。もちろんみなさん、写真が上手になりたいとかコンテストでトップになりたいとか、また向上意欲があるかたもたくさんいるんですが、その前にカメラを持って散歩して、友達と和気あいあい、会話するのが楽しいぜ! っていうのを伝えたいと思っています」

●撮り方のコツっていうよりは、周りの人たちと喋りましょう、お話ししましょうみたいな感じですか?

「まさにその通り。やっぱり写真は撮って楽しい、プリントして楽しい、発表して楽しい、そして形にして楽しいとかっていろんな楽しみ方があると思うんですね。
 最近、エンターテイメントとして人と通じ合えるところもすごく感じるので、そのようなことをやりながら、人たちの集まりを作っていけたら、写真に対しての恩返しではないんですけれども、そんなことをやっていきたいと思っています 」

●ビギナーのかたに最初に教えることは、どんなことになるんですか?

「写真を楽しみましょうとは言っても、何を撮っていいかわからないかたって結構いると思うんですよね。ですので、まず1枚撮ろう、そういうアドバイスだけ送っていますね。
 だから何を撮ろうとかってわからなくても、まずカメラを出して撮るという行為をすることから、1枚目が始まるっていうふうに伝えているんですが、そうすると意外に1枚目って、シャッターを切れたりするんですよ。何を撮ろうって気張っちゃうから多分ダメで、まず1枚を撮っちゃえみたいな感じ、それで1枚を撮っていただく。

 そしてそのあとは、歩く・動く・観察する! 体を動かすってこと、よく見るってこと。そして被写体の探し方としては色・形・線、これを気にしながら風景などを見ていると意外に、あそこに赤色があって、あそこに線があって、あそこに丸い形があったとか、なんか見えてきたりするので、そういうふうにして楽しく撮ってもらえるようにお話をしていますね」

●いい1枚を撮るには色・形・線が、どういう組み合わせだったらいいんですか?

「なるほど、じゃあお伝えしましょう! 色という部分で言いますと、例えば遠くのほうに赤い花があったとします。その赤い花の隣に赤いトラクターがあったとします。そうしたら、ふたつの赤と赤でまとめるだけで、写真にストーリーというか、赤色がふたつあるなっていうのが、撮った本人もわかっているけれど、それが人に伝わるようになっていくんですよ。

 線で見ていった時に、縦の線ばっかりで整えていくと構図がすごく整ったりしますよね。それがごちゃごちゃしていると構図が甘くなるんですが、線ばっかりで整えると面白いし、またそこにイレギュラーな1本だけ違う線が入った時に、協調性っていうのかな、気持ちがそこに入っていくので、線、形もそうです。同じようにそれを色・形・線を混ぜ合わせていって、構図を作っていくと意外とできていきます。

 でもこれは量が必要なんですよ。やっぱり数を撮ることが、いちばん成長するために必要なので量が必要だということ、それを伝えていますね。いっぱい撮りましょう、楽しく撮りましょうっていうふうに」

(編集部注:いまはスマートフォンで写真を撮るかたが多いと思いますが、佐藤さんは、できれば、レンズ交換ができるカメラを使うと、表現が変わっていくので、そんなカメラで写真の新しい世界に入ってきてくれたら、嬉しいとおっしゃっていましたよ)

春の大多喜「レンゲ畑」
春の大多喜「レンゲ畑」

写真展『僕の散歩みち』『nukumori』

※近々写真展を開催されるそうですね。どんな写真展なのか、教えてください。

「はい、東京とさいたま市の2カ所でやります。東京でやるのは青山にあります『ナインギャラリー』というところで、1月16日から21日にかけてやるんですけど、もうすぐです! ぜひみなさまに足を運んでいただけたら、とっても嬉しいです。

 この写真展の内容はと言いますと、コロナ禍で私自身が苦しんで、もがいていた、その思いというものを脱ぎ捨てるような感じで発表させていただきたい。
 やっぱり私は人が好き、風景が好き、暖かいものを感じ取って、その写真をみなさんにお届けするのがどうやら好きなので、このコロナ禍でやってきたことをしっかりとまとめあげて発表しようと思った写真展になっています。自然風景ばっかり、30点ほど展示します」

●すでに開催中の写真展もあるんですよね?

「そうですね。新年からやっている『僕の散歩みち』というのをカメラ屋さんでやっているんですけど、カメラの光盛堂Ⅱさんなんですが、コロナ禍でやっぱり苦労をしていて、その時に集客というか、店の整理をして人たちが集まれる場所として、ギャラリーを新しく作ったんですね。
 そのギャラリーで私がコロナ禍で苦しんで撮っていた、散歩の中で撮っていた写真を今回、青山のナインギャラリーでの『nukumori』写真展に合わせて、同時開催をするっていうリバイバル展示になりますかね。

 これは本当に気軽に撮ろう、まず1枚。歩く・動く・観察する、色・形・線の写真を10枚ほど並べております。同時に『里ほっと』の活動も展開しているので、それを楽しんでいただけるんじゃないかなというふうに思います」


INFORMATION

 佐藤さんは、地元埼玉県の南部にある緑地「見沼たんぼ」で「里ほっと」という写真ワークショップを定期的に開催されています。ワークショップを始めた理由は、地元に飲み友達が欲しいということで、おしゃべりしている時間が多いとのことですが、みんなで写真を撮り、見沼たんぼにこだわった写真展をそれも、さいたま市で、これまでに3回開催されたそうです。「里ほっと」の活動について詳しくは、佐藤さんのオフィシャルサイトをご覧ください。

 佐藤さんの写真展情報です。

写真展「ぼくの散歩みち」

 現在、写真展「ぼくの散歩みち」がJR南浦和駅から徒歩4分の「カメラの高盛堂II(コウセイドウ・ツー)」の「つながるギャラリー」で開催中です。会期は今月27日まで。

◎写真展「ぼくの散歩みち」:http://www.satophoto.net/2023/12/12/

写真展「nukumori」

 写真展「nukumori」があさって16日から21日まで、地下鉄・外苑前駅から徒歩3分の「ナインギャラリー」で開催されます。初日の16日には佐藤さんによるギャラリートークが予定されていますよ。

◎写真展「nukumori」:http://www.satophoto.net/nukumori/

 ぜひお出かけください。

 ほかにも佐藤さんは撮影会やオンラインサロンなども開催されています。いずれも詳しくはオフィシャルサイトをご覧ください。

◎佐藤 尚オフィシャルサイト:http://www.satophoto.net

地球沸騰!? 2024年の夏も暑いのか!?〜地球規模の大気の循環を紐解く

2024/1/7 UP!

 今週のベイエフエム / ザ・フリントストーンのゲストは、サイエンスライターで気象予報士、そして、東京大学大学院の特任教授でもいらっしゃる「保坂直紀(ほさか・なおき)」さんです。

 保坂さんは、東京大学大学院で海洋物理学を専攻。その後、読売新聞社に入社し、長年、科学報道に携わります。そして1994年、気象予報士の第1回目の試験に合格。これまでに海洋や大気、地球温暖化などに関する本を数多く出版、そして先頃『地球規模の気象学〜大気の大循環から理解する新しい気象学』という本を出されています。

 きょうは、そんな保坂さんに、去年と今年の気候についてうかがうほか、地球規模の大気の循環や、偏西風についてもお話しいただきます。

保坂直紀さん

春と秋がなくなる!?

※保坂さんは先頃『地球規模の気象学〜大気の大循環から理解する新しい気象学』という本を出されています。そのお話をうかがう前に2024年最初の放送ということで、やはり気になっているのが地球温暖化の影響とされる異常気象が、今年も多く発生するのかどうかなんですけれども、まずは去年の状況を振り返っておきたいと思います。

「去年はとにかく暑い夏でしたよね」

●でしたよね〜。

「いつまでも、いつまでも暑くて、ちょっと昔は、夜の気温が25度以下に下がらない熱帯夜が何日続いたなんていうのが、10年ぐらい前でしょうか、ニュースになったけど、今は当たり前になっちゃっているので、もうニュースにすらならなかったですよね。暑い夏でした」

●本当に暑かったです。2022年11月から2023年10月までの12カ月が観測史上最も暑かったという分析結果を、アメリカの研究機関が発表したんですよね?

「そうですね。アメリカの研究機関もそうですし、あと世界気象機関というところなども、使っている元データが違うので、数字は少し違うんですけれども、いずれも一昨年から去年にかけて、その辺りは過去最高の気温だったということですね。日本の気温も去年の夏の気温、6、7、8月の気温は非常に高かったっていうのを気象庁が発表していますよね」

●夏も暑かったですけれど、先月12月も20度前後まで気温が上がったりっていう日もありましたよね。それはやっぱり地球温暖化の影響なんですか?

「ありましたよね〜。我々、地球温暖化の影響でしょうか? って聞きたくなりますよね。ですがこの問いに科学者が答えられるようになったのは、比較的最近のことで、ここ10年ぐらいのことなんですよね。 それまではそうかもしれないし、そうでもないかもしれませんって曖昧な答えしかできなかったんです。
 この本には書いたんですけれども、『イベント・アトリビューション』という新しい手法を使って、きちんと研究されているのは、例えば日本だと2018年の夏も暑かったんですよ。

 その2018年の夏は、もしも地球温暖化がなければ、あんなに暑い夏はまず来なかった、確率ゼロだったはずである。でも地球温暖化していると、あのくらいの夏は発生確率が20%・・・20%っていうのは5分の1ぐらいの確率で、ああいう夏が来ることもあるんですね。
 去年の暑い夏についてはまだはっきりしませんけれども、そもそもが5回に1回くらいは、5年おきというわけではないですけれども、5回に1回ぐらいの確率で、あのぐらい暑い夏が来る可能性があるということがわかってきています」

●もうそういう現状になっているっていうことなんですね。

「そうですね」

●気象予報士として、保坂さんが2023年の気象を振り返って、最も気になることってどんなことですか?

「やっぱり今お話しましたけれども、暑かった夏ですよね。 昔は暑い夏もあれば、冷夏もあるというふうに、たまたまなのかなと思ったけれども、今お話ししたように2018年の夏は暑かったですし、また去年もものすごく暑かったですよね。
 こういうふうに立て続けに来ると、やっぱり地球の気候のシステムが変わってきているんじゃないか・・・昔は地球温暖化っていうと、みなさん気温が高いことだけを考えていたかもしれないけれども、最近日本でも豪雨による災害は、毎年のように日本のどこかで起きていて、やっぱりこれは変だぞ! っていうことを、だんだん強く印象づけられてきたような、去年はそういう1年だったなって思います」

●そうですよね。日本は春夏秋冬、四季があって季節の移ろいを感じていましたけど、去年は秋がなかった感じがします。

「そうですね。一瞬で通り過ぎましたよね。去年の夏はしばらく9月になっても、私たちの住んでいる関東の辺りは暑くて、暑い暑いと思ったら、本当に1週間くらいの間にストンと気温が下がったような印象がありますよね。 地球温暖化が進むと夏の気温も上がるし、それから冬の気温も少し上がっていくだろうと、平均的にはそういうふうに言われています」

●今後益々、春と秋が短くなっていくこともあり得ますか?

「そうですね。去年の夏みたいに暑い夏があって、冬は少し暖かくなるんだけど、これは平均の話で、冬の寒さは上空を流れているジェット気流だとか、その流れ方にもよるので、それによっては相変わらず、ものすごく寒くて大雪が降る冬もあるわけですよね。そういうところで、今度は一気に気温の高い夏にいくと、春は一瞬のうちに過ぎて、夏がやってきて、秋も一瞬のうちに過ぎて、冬になるということは、大いに可能性としてはあるんじゃないかと思います」

保坂直紀さん

豪雨も増える可能性!?

※2024年の予測について、わかる範囲で構わないのですが、今年前半はどうなんでしょう?

「これは本当に気象って難しいんですよね。この先を予測するっていうのがね・・・。ちょっとした条件の変化が、その後に影響してくるという難しさがあるので、これはわからないんですけれども・・・。地球温暖化が進んできているということは確かなので、そうすると豪雨だとか、それから極端な暑さ、季節外れの暑さみたいなのが増えてくるっていう予測はあるんですね。やっぱりその方向で、今年の春あるいは夏がやってくるんじゃないかなと思いますけど・・・」

●今年の夏も異常に暑かったりっていう可能性はありますか?

「可能性はあります。今の地球温暖化の状況だと5分の1の確率で、ああいう夏がやってくるかもしれないですけど、あれほど暑いのはちょっとしんどいので、残り5分の4のほうをお願いしたいという感じはしますよね」

●『線状降水帯』という気象用語をよく聞くようになりましたけれども、今年2024年は発生する確率っていうのも増えそうですか?

「線状降水帯が(一般的に)使われるようになったのは、ごく最近の話で、実はまだ線状降水帯とは何かっていう定義もきちんと決まっていないんですよね。非常に激しい雨が降る地域が帯のように細長く、雨がしばらくの間降り続くものを線状降水帯って言うんですね。
 ですから、今一生懸命、気象庁なんかでも、どういう時に線状降水帯が発生するのかを研究していますが、まだはっきりしてないんですね。

 ただ注意しなきゃいけないのは、そもそも水蒸気の量が増えているので、ああいう豪雨は基本的に起きやすい状況にあるということ。それからもうひとつ注意しなきゃいけないのは、大雨が降って災害がもたらされるのは、線状降水帯だけではないということですね。

 今申し上げたように、帯のように細長い地域に雨が降り続くのを線状降水帯というので、例えば丸っぽい形のスポット上に豪雨が降り続くものは、線状降水帯とは言わないんですが、これも大きな災害を、土砂災害なんかを引き起こすので、そういうところにも注意しなきゃいけないということですね。そもそも大雨が降りやすい状況になっているということです」

(編集部注:保坂さんによると、気温が1度上がると、大気中の水蒸気の量が7%増える。つまり、大気中に雨のもとになる水蒸気がたくさん含まれるので、それがなにかのきっかけで雨になると、これまで以上に大量の雨が降ることになるそうです)

地球は「風の惑星」

※ここからは、保坂さんが先頃出された本『地球規模の気象学〜大気の大循環から理解する新しい気象学』からお話をうかがっていきたいと思います。この本は、副題にもあるように「大気の大循環」という視点で気象を解説されています。この「大気の大循環」に目をつけたのは、どうしてなんですか?

「大循環っていうのは、地球を取り巻いている空気、大気は風として、規模の小さいものもあれば、大きいのもある、とにかく動いているわけです。その中で、例えば地球は、赤道の近くは暑くて、南極・北極は寒いですよね。なぜなんだろうと考えた時に、大規模な風の流れによって、そういうような地球上の気候が生まれてくるんですよ。

 ですから、私たちに馴染みのある熱帯とか温帯とか、こういうような地球上の気候がどうして生まれてくるんだろうって考えた時に、地球を取り巻いて流れるような大規模な風、それをここでは大循環と言いますけれども、その大循環について説明してみようかなと思って書いたのがこの本です」

●前書きに地球は『風の惑星』であると書かれていました。風が吹くのは、やっぱりこの大気の大循環に関係しているんですよね?

「そうですね。いろいろな理由があって風っていうのは・・・私たち普通、風っていう時には身近な、規模の小さいものを指すことが多いですよね。大循環のようなものも大気の流れですから、風と言えば風なんですけれども、その風とイメージを区別するつもりで大循環っていう言い方をしているんですね。

 それにしても地球の上に空気がある限り、小さな規模のものも大きな規模のものも流れる、そういう風が我々の生活に深く関係しているという意味でも、よく地球って『水の惑星』って言われますけれども、もうひとつ『風の惑星』でもあるんだよっていう気が私はします」

保坂直紀さん

偏西風は、大気の循環そのもの

※初歩的な質問なんですが、なぜ大気は流れるのでしょうか?

「これはですね・・・もうひとつ地球上には流れるものがあって、海も『海流』は流れますよね。大気と海の共通点は流れる物体、空気が流れる、水が流れる・・・で、どんなものでもそうですけれども、何かが動く時は何かの力が加わっているんですよね。力が加わって、その大気なり、水の場合は流れて、いろんなところで形を、姿を変えながら流れていくというものですよね。だから何らかの力が加わっているから、大気も流れるわけです」

●何らかの力っていうのは・・・?

「これはざっくり言うと、太陽から来る熱なんですよね。いちばん最初の地球の大気を動かす、おおもとになるものは太陽からの熱です。 例えば、やかんの中に水を入れて、そのままほっとくと水は動かないんですけれども、キャンプに行って焚火を炊いて、上にやかんを乗せるとその中の水が動くんですよね。
 下から熱せられて軽くなった水が上に行って、上の水が下のほうに回ってきて・・・こういう熱の伝わり方を対流って言いますけれども、これが現実に、地球でも熱帯のような熱いところでは、これと同じことが起きています」

●天気予報でもよく耳にする『偏西風』がありますけれども、これも大気の循環によるものですよね?

「よるものというか、その大気の循環そのものですよね。今申し上げたように熱帯の辺りでは、そのやかんの中でお湯が沸くような対流が、そういう熱の動き方をするんですけれども、私たちが住んでいる中緯度では、今度は地球の周りをぐるりと、例えば北緯40度なら北緯40度のところを、地球を一周するように西から東に向けて風が吹いていて、これを私たちは普通、偏西風と言うんですね。

 ですから、熱帯の辺りではそういう対流のような動き方をして、それで中緯度では偏西風のような帯状に地球を一周するような流れになる、そういう特徴があって、それぞれのところで大気の動きって・・・なんて言うんでしょうね・・・別々のパーツでできているみたいな印象でしょうかね」

●ジェット気流も偏西風ですか?

「そうです。この偏西風は西から東に吹く風という意味ですけれども、その中で特に流れの強い部分をジェット気流と言いますね」

※天気予報でも「偏西風が蛇行したことが原因で〜」という解説を聞くことがあります。どうして蛇行するのでしょうか? 

「それは本格的に説明するとなると結構難しくなります。ただ偏西風は、なぜああいうふうに地球をぐるりと一周して吹くかっていうと、詳しく細かい話はしませんけれども、ちょうど赤道側は暖かい空気、私たちが暮らす北半球で言えば、北極のほうは冷たい空気、その境目を流れているから西から東に一周するような流れになるんです。

 で、その時に蛇行するわけなんですけれども、蛇行するのは結論から言うと、地球は自転していて、それから球ですよね、球状ですよね。この両方の条件が重なると蛇行が生まれることはわかっているわけで、それがどうしてですかっていうのはちょっと難しいと思います」

●蛇行すると、どうなるんですか?

「偏西風は、南側の暖かい空気と、北側の冷たい空気との境目を流れているので、例えば日本の辺りで、冬に南のほうに蛇行したとしますよね。そうすると北側が日本に近づいてくるわけです、冷たい空気が・・・。
 そういう状態がそのまますぐに移動してくれればいいんだけれども、南への蛇行が日本の辺りで居座ったりすると、北側の冷たい空気が日本に近づいてきたのと同じことになるので、非常に冷たい寒い冬が続いたりすることになるわけです。
 だから気温に対しては、どこでどのくらい蛇行するのかが非常に大きな影響を与えるわけです」

式よりも言葉で伝える

※保坂さんの新しい本から、大気の循環と偏西風に絞ってお話をうかがいましたが、最後にこの本で伝えたいことをお聞かせください。

「この本はとても気象が好きなかたで、どうしても理屈を知りたいというかたに向けて書いた本なんですよね。だから、このレベルの本だと式を使って説明するのが普通なんですけれども、これは式は使わずに、全部言葉で説明してあるんですよね。
 日本の教育を考えると、私の周りの大人でも物理は大っ嫌い! いつも点が悪くて! っていう人がいるんだけれども、そういう人たちに話を聞くと結構物理的なものの考え方が得意な人っていっぱいいるんですよね。

 ですから、ちょっと計算間違いしたから、×(ばつ)になってひどい点を取っちゃったみたいな、そういうのは日本特有で、アメリカやヨーロッパの物理の教科書は、言葉でなぜそうなのかっていうのを説明してあるものが多いんです。

 ですから、私もそれに倣って、科学は細かいことは専門家に任せておけばいいので、我々としては要するにどういうことなのかを知れば、結構物理は面白いなって再認識してほしいなという思いも、この本の中には込めています」


INFORMATION

『地球規模の気象学〜大気の大循環から理解する新しい気象学』

『地球規模の気象学〜大気の大循環から理解する新しい気象学』

 この本では「大気の大循環」を構成する偏西風、貿易風、ブロッキング高気圧ほか、大循環に大きな影響を与えている、地球の自転によって起こる力などを解説。気象学の基礎を学べます。特に気象に興味のあるかたにおすすめです。
 講談社のブルーバックス・シリーズの一冊として絶賛発売中。詳しくは出版社のサイトをご覧ください。

◎講談社 :https://bookclub.kodansha.co.jp/product?item=0000371643

◎東京大学大学院 保坂直紀:
https://www.u-tokyo.ac.jp/focus/ja/people/k0001_02740.html

世界自然遺産が日本で初めて登録されてから30年!〜「世界の宝」現状と課題

2023/12/31 UP!

 今週のベイエフエム / ザ・フリントストーンのゲストは、日本自然保護協会NACS-Jの「道家哲平(どうけ・てっぺい)」さんです。

 実は今月12月で、日本で初めて世界遺産が登録されてから30年という節目を迎えました。1993年12月11日に「屋久島」と「白神山地」が世界自然遺産に、「法隆寺地域の仏教建造物」と「姫路城」が世界文化遺産に、それぞれ登録され、日本初の世界遺産が誕生しました。

 それまでは、地元の自然や文化財だったものが「世界の宝」となり、一気に知名度が高まりましたが、世界遺産については意外に知らないことも多く、また30年経って、新たな課題も生まれてきているようです。そこで、番組的に今年を締めくくる意味でも世界遺産、とりわけ、世界自然遺産を深掘りしていきます。

 世界遺産条約の生みの親でもあり、諮問機関である国際自然保護連合IUCN日本委員会・事務局長の道家さんに、改めて世界自然遺産の成り立ちやその意義、そして未来に残すための課題についてお話しいただきます。

☆写真協力:(公財)日本自然保護協会

道家哲平さん

「価値」と「完全性」

※世界自然遺産のお話をうかがう前に、世界遺産の成り立ちを振り返っておきましょう。1960年代にエジプトのナイル川流域のダム建設計画が持ち上がり、完成すると「アブ・シンベル神殿」が水没するという問題が起こりました。

 そこで立ち上がったのがユネスコで、この歴史的に貴重な遺跡を、人類の遺産として残していこうと、世界各国に協力を呼びかけ、これがきっかけとなり、1972年に世界遺産条約が採択されました。その条約作りで、ユネスコとともに重要な役割を果たしたのが国際自然保護連合IUCNでした。

 日本は1992年に世界遺産条約を批准、現在は195カ国が加盟、そのうち168カ国に世界遺産があるとのことです。ちなみに世界遺産には、自然遺産、文化遺産、そして複合遺産の3つのタイプがあります。番組的には世界自然遺産を深掘りしていきます。

●現在、世界では何カ所、自然遺産に登録されていますか?

「世界自然遺産は現在227地域というか、227件、世界各地から登録されています」

●第1号はどこだったんですか?

「第1号は1978年に、どれをひとつとは言えないんですけれども、エクアドルのガラパゴス諸島、アメリカのイエローストーン国立公園をはじめ4つが、第1号という形で登録されました」

●日本は何カ所、登録されていますか?

「現在、世界自然遺産は5カ所になります。順番でいうと『白神山地』と『屋久島』が登録され、その後、北海道の『知床半島』、その次に『小笠原諸島』が登録されました。
 そして最新のものとして『奄美大島・徳之島・沖縄東北部および西表島』、ちょっと長いんですけど、これは全部ひとつのパッケージというか、ひとつの形で登録されました」

写真協力:(公財)日本自然保護協会

●世界自然遺産に認定するのは、どの機関なんですか?

「世界遺産条約に定められた『世界遺産委員会』という会合が、毎年開かれています。で、その世界遺産委員会で各国から提案されてきた候補リストを、遺産として相応しい、あるいは相応しくないとか、もう少し課題があるとか、そういったことを協議する形になっています」

●その委員会がその後も(世界自然遺産を)管轄していくっていうことですか?

「そうですね。地域地域を守っていくのは、当然それぞれの国になるんですけれども、ちゃんと守られているかどうかとか、国際社会が何か手助けをしなければいけないんじゃないか、そういった監視というかチェック、それについてはこの世界遺産委員会が会議の中で行なっていくということになっています」

※世界自然遺産の認定には、どんな条件が必要なんでしょうか?

「とてもシンプルに説明すると、大きくは遺産としての価値、それには10個の基準があります。文化遺産は6、自然遺産は4。まず価値があるかどうかというのがひとつの条件になります。

 自然遺産でいうと、例えば絶滅危惧種が多いような地域で、ここを守ることで世界の多様性を守れるみたいな、生物多様性の基準であるとか、地球の自然の歴史、例えば古代の恐竜の化石が見つかるとか、地球の歴史が分かる地質地形学的に大事な場所など、自然に関しては4つの基準があります。そういった自然遺産としての価値があるかどうかがひとつ目の基準。

 ふたつ目の基準はちょっと難しい言葉ですが、完全性って言うんですけれども、その素晴らしい自然だったり、あるいは文化的な建造物であったり、そういったものを国としてしっかり守っていく体制ができているかどうかですね。

 例えば小笠原とか、当初は外来生物という自然保護上の問題があったりするんですけども、そういう課題にしっかり対処できるような組織とか、専門家委員会がありますかとか、守れる体制があるかどうか・・・。
 価値と、ちゃんと守れるかどうかの視点、このふたつを大きな基準として認定をするということになっています」

写真協力:(公財)日本自然保護協会

「オンリーワン」かつ「ナンバーワン」

※先ほど、日本で現在、世界自然遺産に登録されているのは屋久島、白神山地、知床、小笠原諸島、奄美大島や沖縄島北部などの島を含め、全部で5カ所あるというお話がありましたが、島が多く登録されていますよね。これは何か理由があるんでしょうか?

「それを言ったら、日本は島だといういうことで・・・(笑)」

●あ~そうか・・・、そうですね。

「とはいえ、やっぱり島々は開発の手も、いわゆる本土と比べると経済発展のための様々な開発というのは少なかったということもあって、自然が豊かに残されてきました。
 その自然をうまく使っている人の文化が、暮らしもあったというところで、豊かな生態系が残されてきた、価値もありながら、守る体制も比較的作りやすいという部分がひとつポイントじゃないかなというふうには思います」

●日本には、こういう場所がありますよ! っていうような候補は、誰が出しているんですか?

「候補は国の中で、環境省とそれから文部科学省ですね。その両者から自然遺産に関しては、どんな地域を推薦することができるだろうか、そんな検討会が確か2003年に行なわれて、そしてその時の委員会で、その時は知床はまだだったんですが、知床と小笠原そして奄美・沖縄の4カ所、これは候補になるんじゃないかという形であがり、それが順次、やっと登録が終わったという状態です」

●毎年候補を出すとかではないってことですか?

「そうですね。世界遺産としての価値を丁寧に説明する、それから守っていける体制があることを丁寧に説明する、いろんな準備を考えると毎年毎年、推薦をするということではありません。世界遺産は比喩で言えば、オンリーワンかつナンバーワンって言うんでしょうか。最も素晴らしく世界にここにしかなく、そして世界基準というか世界標準・最高水準で守られている場所、この両者が必要ということで、候補としては絞られていく形になります」

写真協力:(公財)日本自然保護協会

富士山は世界文化遺産!?

※確か以前、富士山も世界自然遺産の候補にあがったと思いますが、登録されなかったんですよね。自然遺産に登録されなかったのは、なぜなんでしょう?

「2003年の世界遺産候補地検討会議でもあがりましたが、やはりかなり(標高の)高いところまで開発というか道路とか、観光用のいろんなインフラができてしまったっていうこともあり、自然遺産として提案するのにはちょっと厳しいのではないかということでした。
 一方で、富士山をも含めた文化的な人々の営みということで、文化遺産としては登録を目指すことになったという形ですね」

●なるほど、自然遺産ではなく文化遺産ということだったんですね。世界自然遺産に登録されるっていうことは、そのエリアの自然を保護していく義務が生じてくるわけですよね?

「そうですね。世界遺産に登録する際には、例えばこの場所は国立公園ですよとか、そういうのはちゃんと国として法律上の網掛けって言うんですか、守る体制を敷かないと登録は目指せませんので、守ることが先で、守った先に登録があるっていうのが正しい順番なんですね。
 国としてそのエリアの自然を、日本の宝じゃなくて『世界の宝』として守っていくっていう義務が生じることにはなります」

●登録された後にちゃんと自然が保護されているかどうか、定期的な調査が入ったりするんですか?

「はい、数年に一度評価というのを行なうことがあります。自然遺産に関しては登録の審査書を検討する段階から、国際自然保護連合 IUCNの専門家のチームが、それぞれの生態系ごとに専門家を集めます。そして登録に際して、あるいは登録された後に、守られているかどうかの評価をして、世界遺産委員会に今こんな状態ですよというのをご報告する、そういう仕事を自然遺産に関してIUCNが、文化遺産に関しては、ICOMOS(イコモス)という別の組織が行なっています」

●これまでに世界自然遺産の登録が取り消されたケースはあったんですか?

「残念ながら存在します」

●それは、どんな理由で取り消されてしまったんですか?

「世界遺産の登録が取り消された事例としては、今まで3件あります。ふたつは文化遺産になるんですけれども『ドレスデン・エルベ渓谷』というドイツにある渓谷、それからイギリスにある海商都市『リヴァプール』、自然遺産に関しては、アラビアオリックスという野生動物絶滅危惧種の、その保護区が取り消されることになりました。

 アラビアオリックスの保護区は油田開発の事業で、油田のパイプラインを通さなきゃいけないということで、何回かの警告というか、このままでは世界遺産から外さなきゃいけなくなりますよと、いろいろ対話はしたんですけれども、開発事業のほうが優先されて、結果取り消されるということが起こりました」

IUCNの「世界遺産戦略」

※1951年に発足したNACS-Jは、日本の自然保護に関して、非常に重要な役割を果たしてきたNGOで、70年を超える活動の中で、世界遺産条約の批准を後押しするなど、NACS-Jなくして、日本に世界自然遺産は生まれなかったといっても過言ではありません。

 道家さんはNACS-Jの活動のほかに、「国際自然保護連合IUCN日本委員会」の事務局長としても活躍されています。具体的には、どんなことをされているんですか?

「私自身は世界遺産条約ではなくて、生物多様性条約という別の国際条約の専門家として15年、国際会議に出続けたりとか・・・。またIUCNは、世界遺産に限らず絶滅の恐れのあるリスト、レッドリストを編纂して自然の危機的な状況をお伝えしたりしています。

 で、私はIUCN日本委員会の事務局長として、世界の動きを日本に伝えていく、場合によっては日本の動きを世界に伝えていく、そういう翻訳者みたいな仕事をしています」

●IUCNが2023年9月に『世界遺産戦略』という文書を発表されたということですけれども、この発表した経緯とその内容を分かりやすく説明していただけますか?

「IUCNは世界遺産条約の設立50周年、今年は日本が自然遺産に登録されて30周年なんですけれども、条約そのものとしては昨年50周年を迎えました。IUCNはその50年、半世紀経って、この自然遺産を改めて見直した時に次の50年、自然遺産をどういうふうに私たち人類は守り、つなげていくべきか、そういったことを考えてこの『世界遺産戦略』というものを作りました。

 その内容のポイントとしては、今までの世界遺産は比較的国が守る。線を引いて、そこは開発禁止ですよとか、場合によっては立ち入ってはいけませんよとか、そういうことをやってきたわけですけれども、これからの世界遺産はもっともっと共同で守っていく必要がある。
 研究者とか地域の自治体の人とか、その地域の周辺で暮らしているかたがたとか、観光に関わる協会のかた、自然保護だけじゃなく、多くの人で共同で守っていく。そのためには何が必要か、どこに力を入れていくべきか、そういったことをひとつ戦略として打ち出しています。

 また国際協力もとても大事な方向として打ち出しました。先ほど条約加盟国が195カ国あると・・・ただ世界遺産登録がされているのは168カ国と、ギャップがあるというお話をしました。途上国の中には、やはり専門家がいらっしゃらないとか、国際条約のプロセスに慣れていないとか、大事な自然を持っているにもかかわらず、守る術、守る能力、技術資金がないというところがあります。

 世界の力を使って協力、力を合わせて、国を越えた協力・共同、そういったものを進めていくことも 次の50年の柱として大事じゃないか、そういったことを打ち出しました」

写真協力:(公財)日本自然保護協会

「地球の教科書作り」

※1993年に日本で初めて、世界自然遺産が登録されてから30年が経ちました。今後の課題として、どんなことがあげられますか?

「IUCNのかたといろいろと相談をしたことがあります。日本の世界自然遺産の管理の状況ですね。もちろん課題は外来種問題だとかオーヴァーツーリズム、たくさん観光客が来すぎてしまうというのをどううまく管理するかとか、課題はあるものの、比較的管理する体制はできていますねという評価にはなっています。

 ただ大きい方向性として気候変動という影響ですね。日本の自然も少しずつ影響を受け始めているので、気候変動がもたらすような自然の危機、その対策がひとつと・・・・。
 そして日本は高齢化社会でもありますので、自然を守る人々が今までは比較的ボランティアのかたの活躍によって守られたところもあるんですけれども、ある意味プロフェッショナルとして、高齢化という大変な状況ではありますけれども、自然を守る人材をどう育てていくか、あるいは守っている人に職業として、プロフェッショナルとして、どう守っていくか・・・。

 この人の問題と気候変動という大きなふたつの課題は、日本としても常に長い目で見て、対処・対策していかなきゃいけないと思います」

●世界自然遺産は観光資源という側面もあると思うんですけど、私たち自身が観光で世界自然遺産のエリアに行く時に、どんなことを大事にしたらよろしいですか?

「世界遺産条約はある意味、人類や地球の教科書作りをしている条約と言えます。どんな歴史の中で、今のような自然が生まれたか、どんな人の歴史の中で素晴らしいものが生まれたか、ここにしかないもの、そういったものを学ぶということがあります。

 ですので、ぜひ観光とか、そういう時であれば、ほかの地域がそうとは言わないんですけど、じっくり観光していただくと学びとか、質の良い観光で・・・その質の良さはもちろんガイドさんの質の良さというのもあるかも知れません。

 また自分たちがその地域の中で落としたお金、それが自然保護にそのまま回っていくような、いわゆるエコツーリズムって言ったりしますけど、学びもしつつ、そこの地域でお土産を買うとか、ガイドさんにお金を払うとか、そういった形の経済が自然を守るほうにつながる、そういう良い質の観光を、特に世界自然遺産では体験していただきたいと思います。

 1日だけの弾丸ツアーとかそういうことではなくて、ぜひぜひじっくり、宿泊をしたり、美味しいものを食べたり、いろいろしながら(旅や観光を)するという贅沢を、世界一の贅沢をじっくり味わうという思いで、観光していくのが大事なんじゃないかなと思います」

(編集部注:道家さんに今後、日本で自然遺産も含めて、世界遺産の候補になるようなエリアはあるのか、お聞きしたら、個人的には例えば、棚田のような人と自然のかかわりの中で生まれた場所など、もっともっとあるのではないかとおっしゃっていました)


INFORMATION

会報誌「自然保護」

 NACS-Jが世界自然遺産に果たしてきた役割など含め、日本の自然や生物を守るために、どんな活動をしているのか、ぜひオフィシャルサイトをご覧ください。

 日本自然保護協会NACS-Jでは支援してくださる会員を随時募集しています。年会費は5,000円、会員になると年6回、会報誌「自然保護」が届くなどの特典もありますよ。詳しくはオフィシャルサイトを見てください。

◎日本自然保護協会NACS-J :https://www.nacsj.or.jp

 国際自然保護連合IUCN日本委員会のサイトもぜひチェックしてくださいね。

◎国際自然保護連合IUCN :https://www.iucn.jp

育てて楽しい、見て楽しい、おうちのベランダで「鉢植え」の木を育ててみよう

2023/12/24 UP!

 今週のベイエフエム / ザ・フリントストーンのゲストは、お花屋さん、そして漫画家としても活躍されている「花福こざる」さんです。

 花福さんはご主人とふたりで、東京都太田区でお花屋さん「花福」を営みながら、漫画家としても活躍されています。

 もともと会社員だった花福さんは、ご本人いわく、近所にお花屋さんができて、そこに通っているうちに結婚することに・・・。そして、なんとなく漫画家にもなったということですが・・・「花福日記」というブログを拝見すると、花や昆虫、鳥の話もよく出てくるので、もともと植物や生き物がお好きだったんだと思います。

 また、お花のことも好きで調べていくうちに、お花屋さんとしての知識も身につけたそうです。そして先頃、新しい本『木を育ててみたいのですが。〜鉢植えで気軽にはじめられます』を出されました。

 きょうはそんな花福さんに、クリスマスツリーの手入れ方法や、鉢植えで育てるおすすめの木のお話などうかがいます。

☆写真素材:PIXTA

イラストレーション:花福

「コニファー」は根気?

※きょうはクリスマス・イヴということで、お部屋にクリスマス・ツリーとして「*コニファー」と呼ばれる、小さめの常緑針葉樹を飾っているかたもいらっしゃると思います。この先もクリスマス・ツリーとして活用するために、お手入れとか、どうすればいいでしょうか。
(*コニファーとは、常緑針葉樹の総称)

「コニファーは、外に出しましょうっていうのが、いちばん大事ですね。寒いところの木なんで、外が好きなんですよ。で、蒸れやすいので、風通しのいいところになるべく置きましょう。あとは夏が苦手なんで、なるべく夏は涼しいところでって感じですかね。コニファーはちょっと難しいところもあるので頑張りましょう(笑)」

●じゃあ根気が必要ですね?

「まめに見てあげるって感じです」

●水やりとか、どんな世話をしたらよろしいですか?

「水やりは基本的に乾いたら、あげるって感じです。夏パリパリになりやすいんで、35度以上とかの時は朝と夕方にちょっと見て、2回(水を)あげたほうがいいかもしれないです。猛暑の時がいちばん枯れやすいですね」

写真素材:PIXTA

●なるほど。ところで、生花を長持ちさせるコツがあったら、ぜひ教えていただきたいんですけど・・・。

「やっぱり水を毎日変えましょうっていうのと、あと花瓶を洗うのと、茎のヌルヌルしているところ、そこを洗ってほしいです」

●ヌルヌルを取る?

「ヌルヌルを取って、ちょっと切り戻す」

●斜めに切るんでしたよね?

「そうですね。よく水切りしましょうって、ものの本に書いてあるんですけど・・・」

●真似しながらやっています。

「割と空切りでも大丈夫(笑)。やる気があったら水切りがいいと思うんですけど、めんどくさかったら、そのまま切ってすぐ戻しとけば大丈夫ですね」

●そうなんですね! なるほど〜。

「それよりは、ちゃんと水を変えるっていうのが大事ですね」

●で、変えるだけじゃなくて、ちゃんと花瓶も・・・。

「花瓶も洗いましょう」

ベランダで「サクラ」!?

※木を育てると聞くと、どんどん大きくなってしまうんじゃないかと思ったんですが、そんなことはないですか?

「結構小っちゃい木もいっぱいあるので、探すと割と小型の、20センチ、30センチくらいのやつってあるので、いろいろ選べると思います」

●そうなんですね。初心者の私でもベランダで育てられる、できればそんなに手をかけなくても育つ木がいいんですけど、おすすめの木はありますか? 広いお庭とかじゃなくて、マンションのベランダでできるような、おすすめの木があれば、教えていただきたいんですけど・・・。

「逆にどれがいいな〜とかっていうのはありますか?」

●私は花福さんの本を読んでいて、ミモザとかサクラとかブルーベリーがいいな〜って、育ててみたいな〜って思ったんですけど・・・。

「ミモザは結構大きく、しかもかなり短期間に巨木になるので・・・」

●うちのベランダではちょっと無理かな〜(笑)。

「鉢植えでも大丈夫なんですけど、結構大きくなりますっていうのが・・・」

写真素材:PIXTA

●パーっと黄色いお花が素敵なんですけどね〜。

「そうなんですよ。でもサクラのほうが鉢植えだったら育てやすいと思います」

●お花屋さんでもよく売っていますけど、実際におうちでも鉢植えで育てられるんですね。

「うちも(サクラを)育てていますけど、夏にちょっと弱いので、暑すぎる時は日陰に避難みたいな感じのほうがいいです」

●お世話はどんなふうにしたらいいですか?

「やっぱり基本的に乾いたら水をやるっていうのと、普段は日当たりのいいところで育てると花付きがいいんですけど、とにかく夏の西日は避けましょう。夏は東側とか午後から日陰に置いてあげたりとかして、なんとか涼しく過ごしてもらってって感じですね」

●場所を移動させながらっていうことですね。ブルーベリーはどうですか?

「ブルーベリーは2本ないと受粉しない、異品種の受粉なので、2本ないとダメだで場所を結構取るので・・・」

●1本だけだと実がならないってことですか?

「ならないんですよね。最近なるのもあるんですけど、やっぱり2種類あったほうが(実の)なりがいいので、そうするとやっぱり置く場所が2本分いりますね。あと結構広がる樹形なので、スペースを取りますけど、大丈夫ですか、みたいな・・・」

●じゃあ却下です〜。もうちょっと広いおうちに引っ越してから(笑)。

「サクラは盆栽とかもあるので、いいかもしれないですね」

●なるほど〜。

おすすめは「オタフクナンテン」

※ほかにおすすめの木はありますか?

「私的には『オタフクナンテン』とか、すごくおすすめなんですけど・・・」

●オタフクナンテン・・・?

「えっと、ナンテンの・・・ナンテンはわかります?」

●ナンテンって・・・?

「お正月とかに赤い実がなっているやつなんですけど、あれの仲間で、実はならなくて、ちっちゃいやつがあるんですよ、オタフクナンテンって」

写真素材:PIXTA

●今(本に載っている)写真を見せていただいたんですけど、真っ赤に紅葉していて葉っぱが綺麗ですね〜。

「あまり巨大化しなくて、そんなに剪定しなくていいので、育てるのはすっごく楽なんですけど、花は小っちゃい地味なのしか咲かないんで、そこがつまんないかもしれないんですね。でも(育てる)楽さを取るなら、オタフクナンテンっていう感じですかね」

●しかもこんなに真っ赤に綺麗に色づくんですね! 冬場に!?

「なります! なります! 冬場に赤くなりますね」

●夏場とか、冬以外は緑なんですか?

「緑です! 年間を通して葉色の変化があるので、それを見て楽しむっていう感じです」

写真素材:PIXTA

●色がどんどん変わるんですね。面白いですね〜。

「変わりますね〜。結構ビルの植栽とかに地味に植わっているんですよ」

●そうですか〜。

「見ているとあります」

●意外と近くにいるかもしれないですね。

「いるかもしれないです」

●育てやすいということですか?

「育てやすいです。あと花を見たい場合は『アザレア』とか・・・」

●アザレア!? 「アザレア、ツツジの園芸種なんですけど、花がすごく派手でふりふりしていてかわいいんですよ」

写真素材:PIXTA

●本当ですね。華やかですね〜、ひらひら〜っとしていて華やか〜。

「あまり大きくないので育てやすいですね」

●これ、いいですね〜、とっても華やかですね。

「寒さにやや弱いんですけど、関東の東京とか千葉だったら全然問題ないので、まあ、冬は軒下に入れるぐらい・・・あとは普通に日当たりのいいところに置いとくと、よく咲きます。3月から5月くらいに咲きます」

●白、ピンク、赤といろんな色があるんですね?

「花色とか形もいろいろあるので、選ぶのが楽しいです」

●いいですね〜。

「コンシンネ」がピンチ!?

●私、家で「コンシンネ」って、ツンツンした葉っぱの、あの木を育てているんですけど、もう枯れていく一方なんです。どうしたらいいんでしょう?

「コンシンネは、葉がすっごく落ちやすいので・・・」

●落ちます・・・。

「落ちますよね〜」

●どんどん葉が落ちて、なんか薄くなってきて、どうしたらいいんでしょう?

「暗いと特に落ちやすいんで、まず明るいところに移動してほしいですね。どうですか?」

●日当たりが、いちばんいいところには置いていないです。

「日当たりのいいほうに寄せてあげるといいかもしれないです」

●水もすごくこまめにあげているんですけど・・・。

「水は室内のやつって、そんなにあげなくても大丈夫なんです」

●あっ!(水を)あげ過ぎているんですかね?

「多分週一ぐらいで大丈夫だと思うんです。真夏は3日に一回とかかな・・・これからの季節は週一回ぐらいでいいので、そんなにジャブジャブあげなくて大丈夫です」

●溢れるぐらいには、いつもあげるようにはしているんですけど・・・。

「溢れたら水は捨ててくださいね!」

●そうですね、そうですね。じゃあ場所か・・・。

「場所ですね」

●でも葉っぱは落ちるものなんですね、コンシンネは・・・。

「多分、小尾さんの家の環境に慣れようと、今頑張っていると思うんですね。だいたい3年くらいかかるので、場所に慣れるのに・・・」

●そうですか〜。まだちょうど1年くらいなので・・・。

「最初は 生産者のいいところにいるじゃないですか。日当たりが適度であったかくて、そこからお客さんの家に行くと環境がガラッと変わるんで、結構葉とか落ちやすいんですよね。だからちょっと様子を見てあげよう! みたいな・・・」

●これでおしまいじゃなくて、ここからまた生えてくるものですか?

「生えると思いますよ。ドラセナ系って全部(葉が)落ちても、春に芽が出てきたりするので、幹がしおしおになって、しわが寄ってなければ大丈夫です」

●わかりました! ちょっとチェックしてみます。

「ちゃんと固い幹だったら大丈夫です」

●やわらかい幹だったらどうしたらいいんですか? そこから固くなることはありますか?

「いやないです。なっちゃうとダメなんで、ちょっと触ってみて、しっかりしているかどうか見てみてください」

●わかりました。やわらかいかもな〜どうだろう・・・きょうすぐ確認します。

「でも切り戻すと下から出てきたりするんで、そんなに諦めなくても大丈夫です!」

●うちに来てほしい! 花福さん! やってもらいたい〜(笑)。

「コンシンネ、結構ね〜葉っぱは、落ちるって言われますよ」

『木を育ててみたいのですが。〜鉢植えで気軽にはじめられます』

毎日、何回も見てあげよう

※鉢植えの木と、上手に長く付き合うには、やはりどれだけ手をかけてあげられるかだと思うんですけど、最低限これだけやっておけばいい、ということはありますか?

「そもそもめんどくさいもんだっていうのは前提で、毎日、何回も見てあげるのがいちばん大事かな、そんな感じですね」

●植え替えとかは?

「植え替えはやっぱり時期があるので、基本的にこれから伸びるぞ〜っていう時期のほうがいいので、そういう時にやってほしいですね、って言いつつ・・・私は仕事柄1年中植え替えとかしていて、割と平気だったりするんですけど、オフィシャルでは春にしましょうみたいに言っています(笑)。意外と平気ですよ」

●水やりは大事だって聞きますけど、冬はそんなにやらなくも大丈夫ですか?

「ものにもよるんですけど、観葉植物はそんなにジャブジャブやんなくて大丈夫です。 ただ外出しのやつは乾燥するんで、その辺は塩梅を見てみたいな感じで・・・」

●なるほど〜。寒さ対策のコツとかってありますか?

「やっぱり家の中に入れて、家の中の、風通しが悪いと”ハダニ”とか、べたべたしたりとか、虫が付きやすいんで、風通しと、なるべく明るいところですね」

●日当たりのいい窓辺とか・・・?

「窓辺もよし悪しで、観葉(植物)だと、強い光が好きじゃないのもいるので、窓からちょっと離した明るいところみたいな・・・結構邪魔なんですけどね(笑)悩ましい問題なんです。場所はおうちのいろいろなところに置いてみて、調子が良さそうなところを探っていくっていうか、見つけていくといいと思います」

●部屋の中でいろんな場所に置いてみて、様子を見るということですね。

「うちも窓Aと窓Bがあって、Bに置くと絶対にダメっていうところがあるんですよ。置く場所がなくて、仕方なく置いていたりするんですけど、時々入れ替えたりとかしていて・・・」

●この放送を聴いて、鉢植えで木を育ててみたいって思ったリスナーさんにアドバイスがあれば、ぜひお願いします。

「ぜひチャレンジしてみてください。長い目で見てほしいです。3年ぐらいやってみると、だんだん付き合い方がわかってくるんで、最初の1〜2年は多分あんまりお互いによくわかんないと思うんで、長い意味で育ててほしいです」

イラストレーション:花福

INFORMATION

『木を育ててみたいのですが。〜鉢植えで気軽にはじめられます』

『木を育ててみたいのですが。〜鉢植えで気軽にはじめられます』

 葉っぱを楽しむ木、お花を楽しむ木、そして実を楽しむ木と、3つのカテゴリーにわけて、漫画と写真で楽しく解説。お花屋さんが教えてくれるコツや技をぜひ参考になさって、鉢植えの木を育ててみませんか。家の光協会から絶賛発売中です。詳しくは出版社のサイトをご覧ください。

◎家の光協会 :https://www.ienohikari.net/book/9784259567712

 4コマ漫画も楽しめるブログ「花福日記」

◎花福日記 :https://ameblo.jp/hanafukukozaru/

日曜朝の番組「サンデー・ステッパー」との特別コラボ企画! 「お手軽! 日帰り! アーバンキャンプ&焚き火料理体験!」

2023/12/17 UP!

 今週の「ザ・フリントストーン」はスペシャル・ヴァージョン! 日曜朝の番組「サンデー・ステッパー」との特別コラボ企画をお届けします。

 テーマは、キャンプ・ビギナーのための「お手軽! 日帰り! アーバンキャンプ&焚き火料理体験!」ということで、先日「サンデー・ステッパー」のパーソナリティ「菖蒲理乃(しょうぶ・あやの)」さんと一緒に取材に行ってきました。

 私たちがロケ先に選んだのは、ベイエフエムのスタジオがある海浜幕張のすぐお隣り、イオンモール幕張新都心の目の前、豊砂公園内にある「BBQ&CAMP THE B’NC(ザ・バンク)」。その名の通り、バーベキューとキャンプ体験がお手軽にできる、まさに今回のテーマにぴったりの施設なんです。

 そんな「BBQ&CAMP THE B’NC」で、アウトドアが大好きな菖蒲さんのアドバイスもいただきながら、楽しく美味しく、デイキャンプと焚き火料理を体験してきました。きょうは、その模様をたっぷりお届けします。

お手軽! 日帰り! アーバンキャンプ&焚き火料理体験!

初心者でも簡単設営! ワンポール・テント

●きょうは「サンデー・ステッパー」との特別コラボ企画ということで、アクティヴなアウトドア・ガール、菖蒲理乃さんとお送りしていきます。菖蒲さん、よろしくお願いいたします!

菖蒲「はい、よろしくお願いいたします」

●ビギナーの私にいろいろ教えてください。

菖蒲「キャンプ・デビューということで、その魅力を味わっていただけたらなと思います」

●お願いします!私たちは今イオンモール幕張新都心「BBQ&CAMP THE B’NC」に来ています。幕張豊砂駅から徒歩5分、すぐそばには海浜幕張のビル群が見えるんですけれども、ここはすごく開放的な芝生の広場ですね。子供たちもすごく楽しそうに走り回っています。

 そしてきょう、いろいろとご指導いただくかたをご紹介したいと思います。「BBQ&CAMP THE B’NC」を運営されています「SEASIDE CREATIONS」の「三浦菜々歌(みうら・ななか)」さんです。三浦さん、よろしくお願いいたします〜!

三浦「よろしくお願いいたします」

●きょうはこちらで、デイキャンプと焚き火ラウンジを体験させていただけるということなんですが、まずは何から始めましょうか?

三浦「そうですね。そうしたらキャンプということで、いちばん最初にテントを建てていきます。きょう使うテントは、今トレンドの『ワンポール・テント』になるんですけれども、ポイントとしては建てやすいところです。ひとりでも建てられますし、初心者のかたでも簡単に建てられるテントになっています」

●へ〜〜! 菖蒲さんは、ワンポール・テントを建てたことはありますか?

菖蒲「ワンポール・テントは一度使ったことがあるかな〜。でも自分が持っているテントは違うタイプなので、私も教わりながらになるかもしれない・・・(苦笑)。でも建った時の見た目が結構可愛いですよね」

三浦「そうですね。可愛いです」

●どうやって建てたらいいんでしょう?

三浦「私は、たまにサポートにも入らせていただくんですけれども、小尾さんと菖蒲さんメインでぜひ建てていただきたいと思います」

●あっ、マニュアルがあるんですね!

菖蒲「わかりやすい!」

三浦「はい、マニュアルをご用意しているので、建てている時にわからないことがあれば、QRコードから建てている動画を見たりもできます」

●へ〜〜すごい!このマニュアルにもちゃんと写真付きでわかりやすく載っていますけど、動画でも見られるっていうのはいいですね。では早速、建ててみましょうか。お願いします〜!

お手軽! 日帰り! アーバンキャンプ&焚き火料理体験!

*「BBQ&CAMP THE B’NC」の三浦さんにアドバイスをいただきながら、菖蒲さんと一緒に建てることになった「ワンポール・テント」は六角形のテントで、大小2本のポールとロープ、そしてペグだけで建てられる優れもの。

 テント本体を地面に広げ、対角線上にペグを打ち、固定したら、テント内に2メートルくらいの長さの、太めのポールを持ち込んで天井のトップに差し込むような感じで立てたら、ほぼ出来上がりだったんです。そして、仕上がり具合を三浦さんにチェックしていただきました。

大きいテントが簡単に、快適に

三浦「最後にこの入口から中を覗いてみて、ポールが斜めになっていないかも確認して・・・大丈夫そうなので、これで完成になります」

●おお〜っ! あっという間に完成です。

菖蒲「あっという間でしたね!」

●ワンポール・テント、建ちました! すごい〜!

菖蒲「どうでした? 思ったより・・・?」

●はい、こんなに簡単に、こんなに大きなテントが建っちゃうんですね。

菖蒲「本当に、あっという間でしたね」

●そうですね。15分くらいかな・・・あっという間に建ちました〜。

菖蒲「慣れたら、ひとりでも建てることはできますか?」

三浦「はい、ひとりでも十分、余裕で建てられると思います」

お手軽! 日帰り! アーバンキャンプ&焚き火料理体験!

●かなり天井も高いですし、なんか秘密基地ができた感じがしてワクワクします! わーい、完成です!

三浦「中に入ってみますか?」

●入りましょうか。(中に入り)わ〜〜広いですね!

菖蒲「本当に広い! やっぱりロープをピーンと張ったから、快適ですよ」

●私、身長158センチですけど、ジャンプしても全然届かないくらい天井が高いです。すごい!

菖蒲「本当にさっきまで、何もなかった広場にぽつんとテントが建つだけで、全然快適さが違いますよね。風も凌げるし、暖かいですよね」

●はい〜! うわー楽しいです!

火花を散らして、火起こし体験!

●テントに続いて、焚き火ラウンジ体験ということですけれども、三浦さん、まず何から始めたらいいですか?

三浦「はい、最初に火起こしからやっていきます」

●火起こしってどうやってやるんですか?

「火起こしの方法はいろいろあるんですけれども、当店の焚き火ラウンジでは着火剤やチャッカマンを使わずに火起こしを行ないます」

菖蒲「え〜っ! 私はいつも使っちゃっていたので、なしでどうやってやるんでしょう?」

三浦「麻紐(あさひも)とかファイヤースターターっていうのを使って、火花を散らして火起こしをします」

●それって初心者でもできるんですか?

三浦「はい、お客様も初心者のかたがすごく多いので、簡単ではないんですけれども(苦笑)、初心者のかたでも挑戦していただいています」

菖蒲「小尾さん、火起こしも初めて?」

●初めてです!

菖蒲「焚き火も?」

●焚き火自体はあるんですけど・・・でも嬉しいです。こんな火起こしできる体験なんて、なかなかできないですよね。

三浦「(当店では)いろいろな体験があるんですけれども、焚き火ラウンジの中では、いちばん火起こしがお客様の満足度も高かったりとか、楽しんでいただけているコンテンツのひとつですね」

菖蒲「寒くなってきたこの季節、より焚き火ってありがたみが大きいですから、頑張って火起こししますか」

●しましょう! では三浦さん、まず何から始めたらいいでしょう?

三浦「はい、薪の種類がふたつありまして、この細いほうが針葉樹の薪になります。下にあるのが広葉樹の薪で、このラミネートに書いてある通りなんです」

お手軽! 日帰り! アーバンキャンプ&焚き火料理体験!

●あっ、マニュアルが焚き火ラウンジにもあるんですね。

三浦「はい、この針葉樹のほうは中がスカスカで、持ってみるとわかるんですけれども、結構軽い薪になっています」

●本当ですね。すごく軽いです。

菖蒲「針葉樹ってスギとか?」

三浦「そうですね。スギとかヒノキとか、そういった木になります。で、反対に広葉樹のほうは木目が針葉樹に比べて詰まっています」

菖蒲「確かに、全然違いますね」

三浦「その分、持ってすごく重みのある薪ですね」

●本当だ。ずっしりしますね。

三浦「広葉樹のほうは火がつきにくく、その分、長い時間ゆっくり燃焼していくんですね。火がつきにくい特徴があるので、最初に火がつきやすい針葉樹に火をつけて、それを徐々に広葉樹に移していくっていう流れになります」

菖蒲「小さい火を段々と大きくしていくっていうようなイメージですよね」

三浦「そうです。この針葉樹でも、ご用意しているくらいのこの太さだと、なかなか火をつけにくいので、針葉樹をもっと細くして、フェザースティックっていうものを作ります」

●フェザースティックって何ですか?

三浦「ナイフを使って、薪を鳥の羽のように削っていく感じですね」

お手軽! 日帰り! アーバンキャンプ&焚き火料理体験!

●細くしていくってことですね。ひらひらひら〜みたいな感じで・・・。

三浦「それで、そのまわりに解いた麻紐を巻き付けて、そこにファイヤースターターで火花を散らして着火します」

菖蒲「確かによく燃えそうですね」

三浦「よく燃えます」

菖蒲「やってみますか!」

*ナイフを使ってフェザースティックと、焚きつけように、割り箸ほどの細い薪を用意したあと、火口(ほくち)にするために,麻紐をほどいて毛玉を作り、フェザースティックに巻きつけました。そして、いよいよ着火の作業です。

やっと火がついたと思ったら・・・(汗)

三浦「このファイヤースターターは火花を散らすものなんですね。マグネシウムの塊が先に付いているので、これを削って・・・」

お手軽! 日帰り! アーバンキャンプ&焚き火料理体験!

●なんか(見た目が)鍵みたいな感じですけど・・・。

菖蒲「あっ、カチッてなった!」

三浦「そうです。こうやると火花が散ります」

●擦るだけでこんなになるんですね。すごい!

菖蒲「ライターとかマッチとかで簡単に(火が)つくところを、あえてファイヤースターターで、っていうのが、より喜びも大きいですよね」

●そうですね〜。チャッカマンで簡単に、っていうんじゃなくてね。いいですね〜、こうやって一生懸命やるのは気持ちいいです。

菖蒲「キャンプってそういうところですよね。家だとガスコンロのボタンを押せば(火が)つくけど、手間をかけるからこそ、喜びがひとしお」

三浦「よいしょ・・・」
(*交代しながらファイアースターターで火花を散らす作業を続ける)

●火花は出るのに(火がつかないのは)何でだ〜?

菖蒲「ね〜、もどかしいですね。ついたら絶対、絶やしたくないですね」

お手軽! 日帰り! アーバンキャンプ&焚き火料理体験!

●あ〜〜きた、きたー! ついたー!

菖蒲「きたー! すごーい!」

三浦「細い薪を(炎の)中心にお願いします! できるだけ動かさないように、どれかに燃え移るのを待ちます」

菖蒲「どうだ〜!? 繋がるか!?」

●この微かな火をどんどんつなげていくわけですね。頑張れ〜。

三浦「大きくなってきましたね」

菖蒲「なってきました! えーっ、すごい!」

●ついた!? どんどん広がっていきますよ! みんなで火起こしをするって、すごく絆が深まりそうですね。なんか一体感が出ますね。

菖蒲さ「そうですね(笑)」

●おお〜、どんどんいろんな針葉樹に火が移ってきました!

三浦「真ん中の火を絶やさないように!」

●真ん中が消えちゃったら、おしまいですよね。

三浦「そうですね。あっ、あれっ・・・!?」

●あれっ? 消えた!? なんで・・・? 消えちゃった〜!

菖蒲「こういうこともあるんですね(苦笑)」

三浦「そうなんです。こういうこともあるんです」

*やっと火がついたと思ったら、こんなことになって、がっかりしましたが、気を取り直し、ファイアースターターを使って、何度も何度も火花を飛ばし、火起こしに再チャレンジしました。

●あっ、火がだんだん大きくなってきましたよ!

菖蒲「なんか焚き火の匂いもしてきましたね」

●ね〜! 暖かくなってきました! あっ、火がだんだんいろんな針葉樹に広がってきました。

菖蒲「おお〜〜今回は、いけそう!」

●今回は、いけたんじゃないですか〜?

菖蒲「どうですか。三浦さん、まだ油断なりませんか?」

三浦「そうですね。さっき消えちゃったので、ちょっと心配ですね」

●これは次、どうしたらいいですか?

三浦「もう少ししっかり(火が)大きくなったら、広葉樹を少しずつ足していきます。この針葉樹はすぐ燃えてなくなってしまうので、広葉樹に火が移ってからが成功になります。(広葉樹を)一本入れていきましょう」

●今、針葉樹から広葉樹に火が移りました! おお〜っ、どんどん火が大きくなります!

菖蒲「感無量ですね」

●いや〜、本当に!

菖蒲「あれだけ苦労したからこその! あ〜〜すごく煙が・・・どんどん立ってきた〜」

●いや〜なんか感動しますね。うわ〜火だ〜! 嬉しい〜(笑)

三浦「一気に暖かいですね」

菖蒲「心も体も温まりますね。(火を)見ているだけで安心するわ」

●もうこれは完全に成功ですよね・・・。ここまで火が広がっていればね。

三浦「はい、大成功です!」

焚き火

●うわ〜〜〜嬉しいやったー!

菖蒲「しっかり広葉樹にも(火が)移って、うわ〜綺麗ですね」

●みんなで頑張って起こした火ですよね、嬉しい〜!

三浦「あとはもう火が途絶えないように薪を足していくっていうところです。このあとは実際に今起こした焚き火を使ってフリータイム、炎を見て癒されながら、キャンプ飯にも挑戦していただきます」

菖蒲「おお〜っ!」

●やった〜!

三浦「きょうご用意しているメニューは、チーズタッカルビ、サーロインステーキ、焼き野菜、コムタンスープ、白ごはん、最後にマシュマロを焼いていただきます」

●豪華!(笑)

菖蒲「盛りだくさん!」

三浦「今回のテーマが韓国風キャンプ飯になっているので、ちょっと韓国料理をイメージしたキャンプ飯をご用意しています」

●楽しみ〜!

菖蒲「楽しみです!」

焚き火でチーズタッカルビ!

※菖蒲さんと一生懸命、火を起こしたあとは、お待ちかねの焚き火料理キャンプ飯! キャンプのお楽しみを知り尽くしたメニューになっています。

 お肉やお野菜などの食材は全部、クーラーボックスに入っていて、調理用の道具も、お皿やお箸なども全部セット! あとはお客さんが自分たちで思い思いに調理をして食べるだけ。まさに手ぶらで楽しめる、至れり尽くせりのサービスになっているんです。

 今回は特別に「BBQ&CAMP THE B’NC」の三浦奈々歌さんにも手伝っていただき、まずは、いまキャンプで大人気の鉄板「マルチグリドルパン」でサーロインステーキを焼きました。ジュージューと焼き上がっていくうちに、食欲をそそるお肉の匂いが〜〜〜、さっそく実食〜!

お手軽! 日帰り! アーバンキャンプ&焚き火料理体験!

●さあ、サーロインステーキが焼きあがりました~。

菖蒲「めちゃくちゃいい匂いしますね! ソースかけちゃいます?」

●かけましょう、かけましょう!

菖蒲「うわ〜美味しそう!」

●自分たちで火を起こして、その火で焼いたお肉です! 嬉しい! 早速いただきましょう!

菖蒲「召し上がってください!」

●う~ん! 美味しい〜〜!

菖蒲「(笑)達成感もあって・・・私もいただきます!」

●はぁ~幸せです! 美味しい、肉々しくて! もうー最高ですね~。

菖蒲「美味しい~。やっぱり焚き火で焼くと香ばしさというか、より肉の旨みがダイレクトにきますよね!

●そうですね! 香りも普段よりいい気がします。

菖蒲「だって見渡してくださいよ! この屋外で!」

●気持ちいいですね!

三浦「もうチーズタッカルビにいっちゃって大丈夫ですか?」

菖蒲「はい!」

●はい!

菖蒲「お〜〜美味しそう!」

●さあ、チーズタッカルビができあがりました!

菖蒲「見た目も華やかですね!」

●ね~。これ、いいですね~!

菖蒲「真ん中にチーズがあって、フォンデュして食べるような感じですか?」

●そうですね。まわりにお肉と野菜があります。

菖蒲「チーズタッカルビ自体、私は初めて食べます」

お手軽! 日帰り! アーバンキャンプ&焚き火料理体験!

●そうなんですね。じゃあぜひぜひ!

菖蒲「キャンプでこんなに手軽に作れるんだ〜」

●私もお店でしか食べたことないですけど・・・。

菖蒲「いいですか? いただきます!」

●もうしっかりと、あらかじめ味付けがされているので!

菖蒲「うわっ! こんなにチーズが伸びる! すごーい! これ楽しい!」

●トロトロですね~! いただきます~。

菖蒲「いただきます!」

●う〜ん、美味しい~(拍手)もう拍手が出ちゃった! 美味しい!

菖蒲「美味しい! めちゃくちゃ美味しい! このチーズがすごくクリーミー、めっちゃ美味しいですね!」

●トロトロですね~。いや〜美味しい!

菖蒲「キャベツも玉ねぎも、すごく濃厚な味付けがよくからまって、うわ~最高です!」

●やっぱり屋外で食べると、さらにおいしく感じますよね!

菖蒲「本当に!」

●さあ、どんどん食べましょう!

菖蒲「うん!」

デザートは焼きマシュマロ

菖蒲「今回は盛だくさんですね!」

●はい! サーロインステーキもチーズタッカルビも美味しかったですね~。

菖蒲「そして締めはマシュマロ! 焼いて食べましょうよ!」

●キャンプ飯と言えば、マシュマロを食べるイメージありますよね~。

菖蒲「なんかね~焚き火を眺めながらじっくり遠火で焼いて、こんがりふわふわのマシュマロは絶品ですから! 私も必ずキャンプではやります」

●そうなんですね。

菖蒲「今回この大きいマシュマロを用意してくださってね! 小っちゃいのが定番でよく売っているけど、この大きいのがやっぱりキャンプに合うんですよね。外側だけカリカリにして・・・」

お手軽! 日帰り! アーバンキャンプ&焚き火料理体験!

●あ~いいですね~。

菖蒲「(マシュマロの)中はもうトロトロで、結構近づけると、ばーって一気に焦げちゃうから・・・」

●遠くがいいんですね?

菖蒲「ゆっくりぐるぐる回しながら、この待つ時間もやっぱりいいですよね」

●確かに。火を眺めていると、すごくリラックスできますよね~。

菖蒲「そう、なんでしょうね・・・人間の本能なのかな? 小尾さんは、お酒はビールのイメージありますけど」

●はい、ビール大好きです。

菖蒲「ほかも飲みます?」

●飲みますね~。ワインもハイボールも。

菖蒲「キャンプでこんなの飲んでみたいな、とかありますか?」

●外だと、ホットワインとか・・・。

菖蒲「わかる~! 私いつも赤ワインとマシュマロっていうのがもう締め!」

●素敵~いいですね~!

菖蒲「夜長、過ごすのにはばっちりで、今はワインなんか合いますよね、絶対ね!」

●あっ! こんがり焼けてきました。

菖蒲「めっちゃいい感じ! それ、もういいかもしれないですね」

●美味しそう!

菖蒲「食べてみます?(小尾さんは)初焼きマシュマロ?」

●本当にそうかもしれないです!

菖蒲「お~〜!」

●わ〜〜、いいただきます! う~ん! 本当だ! 外はカリッとしていて、中はじゅわっと!

菖蒲「このジャンボ・マシュマロがいいんですよね~」

●いい感じじゃないですか? 菖蒲さんのも・・・。

菖蒲「いい感じですね! あ〜美しい、このきつね色! いただきます!」

●召し上がってください!

菖蒲「カリ、ふわ~、美味しい!」

●本当に美味しい!

菖蒲「甘さが優しい・・・」

●ほっこりしますね~。

菖蒲「う~ん、本当!」

●いや~楽しかった~。ごちそうさまでした!

菖蒲「ごちそうさまでした!」

お気に入りは、湖畔のキャンプ場

※お腹がいっぱいになったところで、日頃から山登りにキャンプ、そして釣りにと、アウトドアを楽しんでいらっしゃる菖蒲理乃さんにお気に入りのキャンプ場を教えていただきました。

菖蒲「私、そうですね・・・いろいろ行きますけど、やっぱり好きなのは湖畔です」

●湖畔!

菖蒲「湖! そう、水の近くってなんか癒されて・・・。小尾さんは海が好きですよね?」

●はい、海は大好きです。

菖蒲「ですよね。なんかぼーっと眺めているだけでも一日中過ごせるので、湖畔のキャンプ場は好きですね。
 身近に行けるところで言うと、神奈川の「みの石滝キャンプ場」っていう、相模湖のほうにあるんですね。電車でもアクセスできるんですけど、(キャンプ場へは)ボートに乗ってでしか行けないんですよ。対岸にあるから、ボートに荷物をまとめて向こう岸のキャンプ場に行くっていうので、陸続きじゃなくて水を渡っていくっていうのが、特別感があって「みの石滝キャンプ場」は本当にお気に入りです」

●そうなんですね。ウィンターキャンプの経験っていうのはありますか?

菖蒲「冬はやっぱり虫がいなかったり・・・、小尾さんもね?」

●はい、虫は苦手です(苦笑)

菖蒲「(虫)いやですよね。この時期は(虫がいないので)いいかなと思います。寒いので防寒対策は必須ですけどね」

●菖蒲さんなりの防寒対策ってありますか?

菖蒲「よく言われるのが3つの首っていうのがあって、まず首と、手首と足首。ここ暖めているだけで全然違うんですよね。プラスアルファ、やっぱり外で底冷えするので、私がいちばん力を入れているのは足。靴はスノーブーツだったりとかで、完全防備で行きます」

●なるほど~。私のようなキャンプ・ビギナーには、今回のような手軽でアーバンなデイキャンプから始めるってすごくいいかなって思ったんですけど、いかがですか?

菖蒲「本当、こうやって気軽にアクセスもできて、今回なんか手ぶらですからね!」

●本当にそうですよね~。

菖蒲「ここでテントだったりとか、いろんなアウトドアの用品や道具と触れ合って、ちょっとずつ買い足して行ったりだとか、ステップアップにはすごくいいなと思います」

●改めて菖蒲さんから見て、キャンプの魅力ってどんなところだと思いますか?

菖蒲「なんか本当に“衣・食・住”じゃないですか、やっていることって」

●確かに・・・。

菖蒲「日常で普通にやっていることを、自然に囲まれたりだとか違った場所で楽しめる。そうすることによって、いつも飲んでいるコーヒー1杯とっても、外で飲むと全然おいしさが違う。なんかそういうところで改めて、また日常に戻った時に、ありがたさがより感じられるみたいなところがいいのかなって、魅力かなって思います」

BBQ&CAMP THE B’NC(ザ・バンク)

*続いて「BBQ&CAMP THE B’NC」を運営されているSEASIDE CREATIONSの「三浦奈々歌」さんに、施設の特徴やコンセプトについてうかがいました。

三浦「いろんなバーベキュー場やデイキャンプ場があると思うんですけど、当店は一度は行ってみたいお洒落なバーベキュー場ではなくて、何回でも来たくなるようなバーベキュー場、みんなが使える普通の用具や物を用意して、いつでも来たくなるようなバーベキュー場にしています」

●手ぶらで来られるっていうのも、いいですよね~。

三浦「そうですね。イオンモールさんが目の前にあるので、食材は買ってきて、あまり重たい荷物を運ぶ必要もないですし、休日のランチとかに手軽に来ていただいているお客様も多いです。あとは、家族だったり大切な人と、いいコミュニケーションを取れる場であってほしいと思っているので、そういった時に使っていただければいいかなと思っています」

●確かに室内で、いつものお店で食べるっていうのとまた違った空間で、いろんなお話ができそうですよね。

三浦「そうですね」

●この時期のおすすめって何かありますか?

三浦「これからの時期はやっぱりいちばん焚き火がおすすめで、キャンプ本番の季節だと思うんですね。空気の澄んだ今の時期だからこそ楽しめる特別な時間というか、特別な空間が味わえるかなと思っています」

気軽にふらっと、充実の一日

●三浦さん、きょうはテントも建てて、火起こしもして、美味しいキャンプ飯を食べて、最高の一日でした!

三浦「ありがとうございました」

菖蒲「ありがとうございました」

●楽しかったです!

菖蒲「こんなに気軽にふらっときて、これだけ充実した一日が過ごせるんですね~」

●本当に気持ちよかったです。自然に囲まれてリフレッシュできました~。この焚き火の後始末とか片付けってどうしたらいいんですか?

三浦「焚き火台はこのままで大丈夫なので、ゴミだけゴミ箱に捨てていただいて、あとはこのままお帰りいただけます」

●そうなんだ~、すごい! 何かルールとかってありますか?

三浦「特になくて、分別をしていただくっていうところだけですね」

●え~っ、なんか至れり尽くせりですね!

菖蒲「本当ですね! でも全部やってもらうんじゃなく、テントを自分たちで建てたりとか、火起こしだったりとか、自分たちでやった感!っていうのも、ちゃんと味わえましたね」

●ね~、家族みんなで楽しめますね!

菖蒲「本当に!」

●三浦さん、本当にきょうはありがとうございました!

菖蒲「ありがとうございました!」

三浦「ぜひまたいらしてください!」

●はい、楽しかったです!

三浦「ありがとうございます」


INFORMATION

 今回お世話になった「BBQ&CAMP THE B’NC」は京葉線の幕張豊砂駅から徒歩5分。駅近に加え、手ぶらでお手軽にデイキャンプや焚き火料理が楽しめる施設です。道具や食材は全部完備。その一方、テントの設営や火起こしなどは、お客さんがマニュアルを見ながら、自ら動いて体験します。私たちは火起こしに一度失敗してしまったんですが、だからこそ、火がついて、焚き火が安定した時の喜びは、ひとしおでしたよ。

 この時期のおすすめは私たちが体験した、来年2月までの週末限定「焚き火ラウンジ」! サーロインステーキやチーズタッカルビ、焼き野菜、コムタンスープに白ごはん、そしてマシュマロがついて、料金は大人おひとり5,000円。デイキャンプ体験ができる「プレミアム・キャンプ区画」の使用料は大人おひとり2,700円。もちろんバーベキューもおすすめです。

 詳しくは「BBQ&CAMP THE B’NC」イオンモール幕張新都心のオフィシャルサイトをご覧ください。

◎BBQ&CAMP THE B’NC :https://seaside-creations.co.jp/shop-list/makuhari/

シリーズ「SDGs〜私たちの未来」第17弾!〜食品廃棄物から作る新素材の可能性〜

2023/12/10 UP!

 今週のベイエフエム / ザ・フリントストーンは、シリーズ「SDGs〜私たちの未来」の第17弾!今回は「SDGs=持続可能な開発目標」の中から、おもに「つくる責任 つかう責任」そして「産業と技術革新の基盤をつくろう」について考える事案をご紹介します。

 お話をうかがうのは、100%食品廃棄物から作る新素材を開発し、注目を集めているベンチャー企業「fabula(ファーブラ)」株式会社の代表取締役CEO「町田紘太(まちだ・こうた)」さんです。

 町田さんは、お父さんの仕事の関係で小学生の3年間をオランダで過ごし、学校の授業で地球温暖化を研究・発表することがあって、それがきっかけで、環境問題に興味を持つようになったそうです。趣味は海外旅行で、これまでに60カ国以上を訪れているほどの旅好き。

 そして東京大学に進学し、卒業研究で食品廃棄物から新素材を作る技術を開発。2021年に幼馴染みの3人で「あらゆるゴミの価値化」を目指し、「fabula」株式会社を設立されています。

 町田さんが開発した技術を使えば、捨てられてしまう食材がお皿などの小物から建築用の資材などに生まれ変わるんです。今回は、東京大学生産技術研究所・駒場リサーチキャンパスに町田さんを訪ね、お話をうかがってきました。今回は、食品廃棄物を原料に作る新素材の可能性に迫ります。

☆写真協力:fabula Inc.

写真協力:fabula Inc.

fabulaはラテン語で「物語」

※「fabula」のオフィシャルサイトのトップに「ゴミから感動をつくる」というフレーズが載っています。改めて「fabula」ではどんな事業を行なっているのか、ご説明いただきました。

「ひとことでいうと、食品廃棄物から新しい素材だったり、製品を作っているような会社です。もともとは東大の研究室から生まれたというか、私が研究室にいた時に開発したその素材を、実装化するために作った会社で、技術のおおもとは大学で作られています」

●創業は2021年ということですけれども、社名になっている「fabula」には、どんな思いが込められているんですか?

「この言葉自体はラテン語なんですけど、日本語に訳すと、物語とかそんな感じの意味があります。食品廃棄物から、ゴミから、新しい製品とかプロダクトに変えるにあたって、普通の産業で行なわれているようなストーリー性があったりとか、背景に思いのある物作りをしたいなと思って、こういう社名にしています」

●改めて、この会社を起業されたのは、どうしてなんですか?

「シンプルにいうと、面白そうだったからというのがありますけど(笑)」

●面白そうだという理由で起業するって、すごいことですね。

「そうですね。普通にやってみようと思ったのと、ある意味、失敗してもいいんじゃないかなっていうような、わりかし楽観的な気持ちもあった気がしますね」

●そもそもすごくさかのぼって、この分野を研究しようと思ったきっかけは、何だったんですか?

「もともと(私が)いた研究室自体がコンクリートに関する研究室で、コンクリートってものすごく環境負荷が高い素材なんですけど、環境負荷の高いコンクリートをリサイクルしたりとか、コンクリートに代わる素材を作る、そういう研究室にいたんです。

 で、そこに入った時に私の指導教官の酒井先生が、それにまつわる研究をずっとやっていて、その中で先生としては、食べられるコンクリートがあったら面白いんじゃないかって、ちょっとファンシーな思いがあったりとか・・・。
 僕自身もともと環境問題を含め、社会課題に対してすぐ取り組める研究があったほうがいいなって思っていたのもあって、その辺が合わさって、食品から何か作ろうかなみたいな話になっています」

写真協力:fabula Inc.

●この「fabula」は幼馴染みの3人で作られた会社ということですけれども、ほかのメンバーおふたりも同じ思いでいらっしゃるということですよね。

「だと信じていますけど(笑)」

●お誘いしたのは、やはり町田さんですか?

「そうですね、2年くらい前に・・・」

●おふたりも、やろうやろうっていう感じでしたか?

「そうですね。やっぱり素材自体に魅力を感じてくれて、ふたりが働いていたバックグラウンドだったりとか、興味があることとか、そういう中でもともと持っていた思いとかも合わさって、今一緒にやっているようなところです」

●町田さんが声をかけて、おふたりの思いはどんな感じだったんですか?

「松田と大石というふたりなんですけど、松田はもともとコーヒーを輸入する商社に勤めていたんですね。そういう中で、コーヒーってまさしく抽出かすだったりとか、いろんな廃棄物が出て、それは消費する日本でもそうですし、生産するブラジルとか中南米とか、そういうところでも実際にいろんな廃棄物が出ています。

 そういうものに対しての課題感をずっと持っていて、そういう課題の解決にもつながるし、この素材の特徴も見て、これは何でもできるって、彼は言っていて、そこがたぶん思いとしてあったのかなと思うのと・・・。

 大石はもともと感性工学と言って、音とか光とか、感性的な情報が人の行動にどういう影響を与えるかっていうような研究をしていました。そういう中でこういうちょっと香りがする素材で、人々の行動がどう変わるのかなとか、お皿に見えるけど、香りがしたりとかすることで違う影響とか、カレーの匂いを嗅いだらカレーを食べちゃう、みたいなことに近いかもしれないですけど、そういうようなことを素材を通じてやりたいというふうに言っています」

町田紘太さん

技術はシンプル、「たこ煎餅」と同じ!?

※ここからは「fabula」が作っている新素材について、具体的にお話をうかがっていきます。まずは、食品廃棄物を新素材にする技術について、なんですが、明かせる範囲内で構わないので、どんな技術なのか教えてください。

「技術自体はとってもシンプルです。例えば、白菜とか野菜のクズみたいなやつを乾燥させて粉末にして、それを熱圧縮成型というような方法で素材化します。乾燥と粉砕までは本当に野菜の粉を作るみたいな感覚に近いので、そこから熱圧縮成型っていう・・・漢字5文字が並ぶと怖いですけど(笑)、簡単にいうと熱と圧力でギュッと潰しているような技術ですね。江ノ島のたこ煎餅とか、ああいうものを工業的にやっているような感覚です」

●その技術ってどうやって開発されたんですか?

「熱圧縮成型っていう技術自体は、かなりトラディショナルなというか古典的な技術です。プラスチックでもずっと使われてきていたりとか、身近なものだとベニヤ板みたいな、ああいう木材の合板でも使われてきた技術で、それを食品のくずというか、こういうものに転用してみたっていうところが新しいポイントなのかなと思います」

●開発までの道のりって、どんな感じだったんですか? 

「基本的には一個一個条件を潰していくというか、温度とか時間とか圧力とか、粉の状態とか、綺麗に作るための条件なんですけど、それをいろいろ、何度だったらいいかなとか、これぐらい圧力をかけたらいいかなっていうのを、トライ&エラーで繰り返していった感じです」

●新素材になるまで、どれぐらいの日数がかかるんですか?

「基本的にプレスをする時間は、数分とかそのレベルです。あとは乾燥で結構時間がかかるものなので、 1日かかるのか、機械によっても違いますけど、本当に早ければ、すぐできるくらいです」

脱脂粉乳!? コーヒーかす!?

※開発した技術で作った新素材をもとに、これまでにどんな製品を作ったんですか?

「当初はコースターとか、ちょっとした小物入れとか、雑貨類を作っていたりとか・・・。最近だとお香立てとかも、アーティストさんとコラボして作ったりとかしているんですけど、もともとコンクリートから出発しているのもあって、建材もちょこちょこやっています。

 例えば、建築の展示会用に茶室を作る機会があったんですけど、その設計会社さんに、茶室なので、お茶でできた建材みたいなものを少し提供したりとか、今度の(大阪)万博でも使用していただく予定があったりとか、そういうような感じですね」

茶室
茶室

●今回、コースターと小皿、あと小物入れ、深いお皿も用意していただきました。これが本当に食品廃棄物だったんですね。

「そうですね、もともとは」

●ちょっと触ってみてもいいですか。ツルツルで、見た目もおしゃれですし、これが廃棄物だったとは全く思えないんですけど、え〜〜すごいですね! これはもともとなんだったんですか?

「このちょっと深いお皿は、脱脂粉乳ですね」

●それがこんな立派な小物入れ、深いお皿になるんですね。この緑色のようなカーキのようなコースターは?

「緑茶です」

●緑茶なんですね! 香りとかはしないですよね?

「そうですね。コーティングがしてあるので、たぶん香りが抑えられていると思います」

●なるほど、なるほど・・・。

「もう一個のほうは、香りで判断できる気がしますけど・・・」

●これは、茶色の・・・なんでしょう?

「それはコーヒーですね」

●あっ、コーヒー、確かに! コーヒーがこの平皿になるんですね〜、コーヒーのかすで・・・。

「コーヒーの抽出かすですね」

●確かに濃い茶色と黒色でシックなお皿になっていますけれども、コーヒーのかすからできているんですね〜。この新素材を作るにあたって、いちばん苦心されたのってどんなことですか?

「本当にいろんな条件をいじっていくっていう、数打っていくっていうところですかね、やっぱり」

写真協力:fabula Inc.

コンクリートより優れた強度

※「fabula」で開発した新素材の主な特徴を改めてご説明いただけますか。

「今まさしく嗅いでいただいたように香りがあったりとか、色味とかもともとの原料のイメージが残っていたりとか・・・。いわゆる廃棄物から作ったっていうと、イメージだとちょっとグレーで茶色くてとか、もしかしたらそういう感覚で、ちょっと臭い匂いがするかもしれないとか、そういうイメージとは結構逆側の、原料の特徴を活かしながら物作りをしているのがひとつと・・・。

 あとは強度がそこそこあるよっていうのがあります。コンクリートと比べても強いものだと4倍ぐらいの、“曲げ強度”って言って曲げる力に対する強度があったりします」

●かなり強いですね!

「そうですね。プラスチックほどではないですけど、まあまあ強いかもしれないです」

●一度作った新素材をまた作り直すっていうこともできるんですか?

「はい、それは可能です。こういうお皿とかを回収して、もう一回、粉々にして作り直すことはできます 」

●先ほどご紹介いただいたコースターやお皿は、原材料が緑茶とかコーヒーとかですけれども、食品廃棄物がなんでも原材料になるわけではないですよね?

「基本的になんでも使えます」

●なんでも大丈夫なんですか?

「例えば、コンビニの廃棄物、いわゆる生ゴミみたいな、ああいうものでも大丈夫です」

● これまでどんなものを原材料にされてきたんですか?

「だいたい80種類か90種類ぐらいやってきていて、食品なので無限にありますけど、カニの殻とかそういうのもやったりとか・・・。脱脂粉乳みたいなちょっと動物性のものとかもやっていますし、なんかいろいろ(使っています)」

●いくつか組み合わせても大丈夫なんですか?

「合わせても大丈夫です。バジルとトマトとパスタを混ぜて、ジェノベーゼとか言ってふざけて作っていたりしました(笑)」

●すごいですね~。そういった食品廃棄物はどこから手に入れているんですか?

「食品加工の工場だったりとか、あとは飲食店、例えばコーヒーチェーンみたいなそういうところだったりとかから買い取っていますね」

写真協力:fabula Inc.

価値あるものへ変えていく文化

※「fabula」で開発した新素材は、将来的には食べることも考えているそうですね。どういうことなのか、教えてください。

「食べられなくはないよっていうのが、僕らの伝えていることというか・・・。思い返すと食品だけで、もともとは食べられるものだけで作っているので、食べてもいいかもしれないっていうところはあるんです。
 例えば、規格外野菜みたいな、形が悪いだけで美味しいですよっていう、そういうものから作ると、本当に食品から作っていることに近いので、食べたりもできるだろうし・・・。

 もっとリアルなところで言うと、本当に最悪の場合、交通が分断して物が届かなくなったりとか、もしくは離島とか砂漠の真ん中なのか宇宙空間なのか、なかなか物流が難しいようなところとかで、最後に生きるために食べても悪くはないかなっていうところですね」

●今後、建築用の資材を作る予定はあるんですか?

「そうですね。基本的に将来的には建材を目指しているので、万博での使用だったり、そういうのを通じて、性能とか強度もそうですし、実際に使っていく事例を増やしていくのが今後かなと思います」

●町田さんが開発した技術を、今後世界でどんどん展開していく予定もあるんですか?

「海外に出ていくってことも考えてはいますね」

●具体的にどこにとか、技術の公開も考えていらっしゃいますか?

「そうですね。まだまだ海外での事例自体はないんですけど、問い合わせベースだと、非常に多いのはヨーロッパからの問い合わせと、また東南アジアからも結構問い合わせが来るので、きっとここら辺の感度が高いだろうというところに対して、アプローチしていこうかなと思います。

 例えばですけど、特許の出願をしているので、特許出願をすると必然的に(技術は)公開されるものになるんですね。そういうものはもちろんありますし、技術自体を自分だけのものにするっていうよりは文化として、食品に限らずゴミって呼ばれているものを、新しい価値あるものに変えていく文化を作っていくことが、とても大事かなとは思っています。そういう意味ではいろんな人と協業していくことはとっても大事かなと思います」


INFORMATION

写真協力:fabula Inc.

 「fabula」で制作している小皿やコースター、タイルなどの商品は、受注生産になりますが、ECサイトから購入できます。100%天然素材なので、風合いが微妙に違う、どれも一点ものです。どんな商品なのか、価格はいくらなのか、ぜひ「fabula」のECサイトをチェックしてください。

◎「fabula」ECサイト:https://store.fabulajp.shop

◎「fabula」:https://fabulajp.com

 ちなみに、現在、国立科学博物館で開催されている特別展「和食〜日本の自然、人々の知恵」のショップでも販売しているそうです。

シリーズ「SDGs〜私たちの未来」第16弾!〜ケニアのために、ビーチサンダルをアップサイクル 〜

2023/12/3 UP!

 今週のベイエフエム / ザ・フリントストーンは、シリーズ「SDGs〜私たちの未来」の第16弾! 今回は「SDGs=持続可能な開発目標」の中から「貧困をなくそう」「質の高い教育をみんなに」「働きがいも経済成長も」、そして「つくる責任 つかう責任」に関係する事案をご紹介します。

 お話をうかがうのは、慶應大学 環境情報学部の3年生で、合同会社「Uzuri(ウズリ)」を立ち上げた「山岸 成(やまぎし・なる)さんです。

 山岸さんはお父さんの仕事の関係で、小学生の3年間をケニアの首都ナイロビで過ごしています。実はこの経験が山岸さんのその後を大きく左右するんです。

 ナイロビは、山岸さんいわく、ビルが立ち並ぶ都会ではあるものの、一歩踏み出すと、すぐ隣りに国立公園やサバンナが広がっていて、先日訪れた時も改めて、とてもいい国だと感じたそうです。

 そして現在は大学でビジネスに関することを学びながら、会社経営にチャレンジ、さらに陸上競技の選手としても活躍されています。

 きょうは、子供の頃に暮らしていたケニアのために、アフリカの海岸や路上に捨てられたビーチサンダルを、スマートフォンケースにアップサイクルするプロジェクトを進めている山岸さんに、起業した思いや、「Uzuri」という会社で進めている事業についてお話をうかがいます。

☆写真協力:Uzuri

写真協力:Uzuri

スワヒリ語で「Uzuri」とは・・・

※まずは、山岸さんが立ち上げた「Uzuri」という会社では、どんな事業を行なっているのか、教えてください。

「私たちは、途上国のブランドや企業さん、その中でも特に社会貢献性の強い事業を行なっているところと、パートナーシップを締結させていただいて、そのパートナーと共同で日本市場に適用した商品を開発して、それを日本で売ります。

 その時にそのブランドとか企業の既存の商品も一緒に販売して、我々が作ったコラボ商品を主軸にしながら、いろんな商品を販売し、彼らが掲げているミッションであったりとか、ブランドストーリーを一緒に広げていくような形の事業です。彼らの雇用状況の改善だったりとか、雇用機会の拡大にもつなげていけたらなという事業内容になっております」

山岸 成さん

●「Uzuri」を立ち上げたのは、いつ頃なんですか?

「立ち上げたのは本当に最近ですね、8月末とかに・・・」

●今年の、ですか?

「今年の8月です」

●そうなんですね~。おひとりで立ち上げたんですか?

「大学の友人と一緒に立ち上げました」

●じゃあ、今おふたりで「Uzuri」をやっていらっしゃるんですね?

「そうです」

●「Uzuri」という社名ですけど、独特の響きがありますよね? これはどんな意味があるんです?

「これはスワヒリ語です。ケニアの公用語は英語なんですけれど、スワヒリ語も広く使われていて、 “ビューティー”っていう意味です。日本語訳すると“美しい”であったりとか、“華やか”とか“いいこと“みたいな意味合いを持つんです。

 先ほど説明した事業内容のところで、パートナーの掲げている“いいこと”、もちろん美しい商品もそうですし、彼らの行なっている活動も美しい、そんなものを広げる会社でありたいなっていうところで、この『Uzuri』っていう名前にしました」

●素敵な名前ですね! 起業されようと思ったのは、何かきっかけがあったんですか?

「きっかけは、大学で経営とかビジネスに関することをたくさん学んでいく中で、なんか自分ができること、ビジネスの視点で何かできることがあるんじゃないかなって思った時に、やっぱりアフリカで、僕が何かする形で、彼らに貢献できるのであればいいなという思いから始まりました。

 あと最近の社会貢献性みたいなことの強まりで・・・でも、ただいいことだけしていてもいけないよなっていうところで、社会貢献性と利益の追求の両立みたいなことにチャレンジしてみたいなっていう思いが、大学で学んでいく中で出てきて、やってみよう!と思って立ち上げました」

スマホケースにアップサイクル!

※山岸さんが、現在タッグを組んでいるのは、ケニアで海岸をきれいにする活動を行なっているNPO「Ocean Sole(オーシャン・ソール)」。廃棄されたビーチサンダルをアップサイクルして、ゾウやシマウマなどの動物のオブジェを作っている団体です。

 山岸さんはこの団体を、ナイロビで暮らしていた頃から知っていたので、最初に手掛ける事業は「Ocean Sole」と一緒にやっていきたいという強い思いがあったそうです。そして、パートナーシップを結んで開発したのがスマートフォンのケースです。

山岸 成さん

●きょうはそのサンプルをスタジオにお持ちいただきました! とってもカラフルですね~。

「そうなんですよ(笑)。これ、染色とかも一切していなくて、サンダルそのものの色でできています」

●なんかケニアっぽいって言ったら、あれですけど、ほんとにカラフルで・・・蛍光ピンクとかオレンジとかイエローグリーンも・・・様々な色が溢れていて、いいですね~!

「今ケニアっぽいっておっしゃったかと思うんですけど、アフリカっぽさもありつつ・・・ただなんだろう・・・手に取りづらさみたいなのは、ないデザインかなと思っていて・・・」

●ないです! 可愛い~、老若男女みんなが持てるような感覚ですよね!

「現地のアーティストが全部デザインして制作しているので、そこでもきちんと雇用機会になっています」

●なるほど! これ、しかも裏はコルクになっているんですね!

「はい、裏はコルクで、Ocean Soleのミッション自体が海洋汚染の解決を掲げていますので、プラスチックを使わずに制作したいなという思いで、100%リサイクルのコルクを使用して作っております」

●へえ~、このスマホケースはオリジナル商品っていうことですよね?

「オリジナル商品というよりかは、UzuriとOcean Soleのコラボ商品で、これからはいろんなところとコラボする形でやっていけたらなと思って、その1個目の商品がこのスマホケースになります」

写真協力:Uzuri

●ボーダーだったり、ドットだったり、四角だったりって、いろんな柄がありますけど、これって唯一無二っていうことなんですか?

「はい! そうなんです。その時にあったサンダルの形とか、削れ具合とかを考慮して、最適なデザインを現地のデザイナーさんがチョイスして制作しているので、同じものは一生作れない、あなただけの1点ものってことになります」

●すごい! そうなんですね~、世界でひとつだけの!

「そう、そうなんです」

●お洒落です! そもそもなぜスマホケースにしようと思われたんですか?

「それがですね・・・いろいろ僕も考えた結果、このスマホケースになっていまして、普段(Ocean Soleは)動物のオブジェを作っているところなんですけど・・・」

●動物のオブジェも持ってきていただきました。可愛いですね! こちらもカラフルです!

「可愛い動物たちなんですけど、これを日本に広めようと思った時に、なかなか難しいハードルもあるんじゃないかなと思っています。まずは、輸送でかさばってしまうものなんですね。
 今回は手のひらぐらいのサイズのオブジェをお持ちしたんですけど、ほかにも(人の)身長ぐらいのサイズのもあったりとかします。そういった商品は持ってくるとやっぱり大変ですし、環境負荷もかかってしまうっていうところで、もっとコンパクトで、みんなに使ってもらえるようなものがないかなってすごく考えていました。

写真協力:Uzuri

 その時に思いついたのがiPhone用ケースです。日本はiPhoneのシェア率がめちゃめちゃ高いっていうのもあって、iPhoneなら、いろんな人が手に取ってくれて、いろんな人が手に取ってくれれば、日常生活でいろんな人がこのカラフルなのを見て、“それ、綺麗だね”とか言ってくれるんじゃないかなと思って・・・そんな形で広がってくれればいいなという思いを込めてiPhoneケースにしました」

●これは絶対、友達が使っていたら「何それ、可愛い!」って言うと思いますよ!

「僕も今サンプルを使っているんですけど、本当に知らない人から、“そのスマホケース、可愛いね”ってカフェで言われたりとかもあって、そんな形で広がってくれたら嬉しいなって思っています」

山岸 成さん

(編集部注:iPhone用のケース、カラフルでとっても可愛いんです。裏の素材はコルクなので軽いし、衝撃吸収性に優れているのも特徴です。また、職人さんがひとつひとつ手作りしているので同じものがほかにない、つまり一点ものなのも魅力ですね。
 販売に関しては、年内から始まる予定。またイベントなどでの販売も検討しているそうです。販売価格も含め、詳しくは以下のサイトを見てください)

◎Uzuri 公式オンラインショップ: https://uzuri-japan.square.site

子供たちを学校に行かせたい

※今年、ケニアに行ってきたそうですね。どんなことをされてきたんですか?

「9月に行ったのはOcean Soleと、これからどういう形で進めていくかっていうのを詳細に話すのと、今回お持ちしたサンプルを作成するために行ってきました。

 工場とオフィスのあとは、サンダルの回収現場にも行って参加してきて、働く人々とコミュニケーションをしっかりとるところまでやってきました」

写真協力:Uzuri

●具体的にどんな話し合いが行なわれたんですか?

「オフィスのほうでは“こんなデザインがいいよ!”とか、“もうちょっとこうしたほうがいいんじゃない!?“みたいなディスカッションをさせていただきましたね。

 工場ではどんな感じで作っているのかを、細かくヒアリングさせていただいたんです。いちばん印象的だったのが・・・(サンダルの)回収現場にも行って、ちょっと都心部から離れて、海岸沿いに行ってきたんです。

 いわゆるサプライチェーンの上流、いちばん上で働く人たちともコミュニケーションをとりたいっていう思いと、その現状も見たいっていう思いもあって、行ってきたんですけど、 そこでの出来事がすごく僕の中で印象的でしたね。

 働く人たちがすごく幸せそうに働くんですよ。ゴミを拾う作業なんですけど、すごく幸せそうに、みんな楽しそうに拾うんです。

写真協力:Uzuri

 その人たちが最後に僕たちにメッセージをくれて、『私たちの子供は学校に行けていない。だから私たちのこの活動を、君たちが日本にぜひ広げてください。そして私たちの現状を一緒に伝えてほしい。それが世界に広がって、私たちの子供たちが学校に行けるようになる。子供たちには未来があるから、私たちは(子供たちを)学校に行かせてあげたいから、ぜひ伝えてほしい』というメッセージをいただいたんです。

 それが僕の中ですごく印象的でした。それこそUzuriが大切にしている、パートナーのミッションとか背景をきちんと、多くの人に伝えることが必要なんだなっていうのをすごく実感した場面でした。

 最初(作業現場に)行った時は幸せそうに、すごく楽しそうにやっていたんで、意外と経済的なところもあまり彼らの中では、ネックになってないのかなとも一瞬思っちゃったんですけど、やっぱりそんなことはないんだなということで、我々のできることをやっていきたいなって強く思いました」

●「Ocean Sole」は現地生産ということで、雇用にもつながっていますよね?

「はい、ケニアは雇用機会が少ないのが結構深刻な問題になっていて、職業訓練校もいろんなNPOや NGOがやっているんですけど、そこを卒業しても雇用機会がなくて、職に就けない現状があるので、雇用機会を作るのは非常に重要なことなのかなと思っています」

(編集部注:ケニアで、捨てられたビーチサンダルが目立つは、まだまだ経済的には豊かではないので、価格的に安いサンダルの需要が高く、また壊れやすいこともあるそうです。山岸さんが今年9月に「Ocean Sole」の活動を視察したときも、回収したサンダルが山積みになっていて、その量に驚いたそうですよ)

写真協力:Uzuri

次の一手! 新しいパートナー!?

※会社として「Uzuri」が大切にしていることはなんですか?

「まずは、社会貢献性っていうバックグラウンドに頼りすぎないっていうのを大切にしたいなと思っています。もちろん近年、社会貢献性が顧客にも浸透してきているのは感じてはいるんですけど、社会貢献性のデメリットとして価格が高くなってしまったりとか、あとは品質の部分がちょっと劣ってしまうみたいなことがあると思うんです。
 そこを克服することが大事だなと思っていて、きちんと機能性であったりとか、このスマホケースに関してはデザイン性に注力していて、バックグラウンドを知らずとも手に取ってもらえるみたいなところは、大事にしていきたいなって思っています。

 あともうふたつあるんですけど・・・ひとつが、しっかりパートナーのヒアリング・・・パートナーシップを結んだ企業とかブランドの現状とか、掲げているミッションや思いはきっちりヒアリングして、可能であれば現地に足を運んで、直接コミュニケーションをとったりとか、実際に現状を自分の目で見る、それを僕たちが伝えるっていうことは大切にしていきたいなと思っています。

 最後は、公正公平な取引、いわゆるフェアトレードなんですけど、きちんとした価格で取引をして、現地にもきちんとお金を落として、働く人たちが満足できる、生活水準を上げていけるような形になればいいなと思っています」

●素晴らしいですね~。今後「Ocean sole」以外に提携していきたい団体はありますか?

「はい、今ちょうどふたつ目の企業さんとお話させていただいていて、まだ具体的なことは言えないんですけど・・・。
 9月に(ナイロビに)行ってきた時に、たまたま街中を歩いていて、いいな! って思って、その店員さんに“これはどんな商品なの?”っていろいろ聞いて・・・今回詳しくはご説明できないんですけど、似た感じのアップサイクルの素材で素敵な商品を作っていたので、すぐ“社長の電話番号を教えて”って聞いて、次の日に工場まで行ってきました。
 話を聞いて感銘を受けて、日本に帰ってきた時にあっちのかたも“これからコラボしていこう!”って毎日のように連絡くれて、もう嬉しい限りですね。ぜひ一緒にやりたいなと!」

写真協力:Uzuri

「Uzuri」の未来予想図

●では最後に、未来予想図として、現在、山岸さんは21歳でいらっしゃいますから、29年後、たとえば山岸さんが50歳になった時に「Uzuri」はどんな会社になっていますか?

「そうですね・・・それこそ発展途上国のいろんなブランド、本当にたくさんのブランドとコラボレーションをして、我々とのコラボ商品をたくさん作って、Uzuriとコラボしているから、Uzuriとのコラボ商品がきっかけで、そのブランドを知って好きになりましたとか、Uzuriとコラボしているから、このブランドは信頼できるブランドだ!みたいになっていれば、嬉しいなと思っています。

 やっぱり今どうしてもアフリカの商品って、若干の手を出しづらさみたいなところはあると思うんですけど、僕たちが今、最初に目指しているのは、手に取った商品が実はあとから知ったらアフリカ産だった!みたいなのができれば、嬉しいなと思っているんです。
 本当に先の未来には、アフリカ産だから買いました!みたいな、日本製だから信頼ができて買いました!みたいなのと同じ感覚で、アフリカ産だから買いました! みたいな形ができれば、すごく嬉しいなと思っています」


INFORMATION

写真協力:Uzuri

 気になるiPhone用のケース、カラフルで本当に素敵です。職人さんがひとつひとつ手作りしたものなので一点ものです。販売に関しては、年内からオンラインサイトで始まる予定。またイベントなどでの販売も検討しているそうです。販売価格を含め、詳しくは以下のサイトをご覧ください。

◎Uzuri 公式オンラインショップ: https://uzuri-japan.square.site

 「Ocean Sole」が制作している動物のオブジェはすでに販売されています。ゾウやキリン、シマウマ、ペンギンなどなど、カラフルでほんと可愛いんです。ぜひチェックしてください。

◎インスタグラム @uzuri_japan
https://instagram.com/uzuri_japan?igshid=NGVhN2U2NjQ0Yg%3D%3D&utm_source=qr

子供と一緒にアウトドア料理にチャレンジ!〜焚き火料理は冒険だ〜

2023/11/26 UP!

 今週のベイエフエム / ザ・フリントストーンのゲストは、秩父在住の写真家「阪口克(さかぐち・かつみ)」さんです。

 阪口さんは1972年、奈良県生まれ。写真スタジオ勤務を経て、オーストラリアに渡り、自転車による 大陸一周1万2千キロの旅を達成。これまでに訪れた国は40カ国以上。現在はフリーカメラマンとして、旅やアウトドア雑誌の撮影を担当。ほかにも海外の辺境に暮らす人々の一般家庭に居候する取材も続行中。また、暮らしの中の焚き火を数多く経験し、それをもとに焚き火の本も出されています。

 阪口さんの活動テーマは「旅と自然の中の暮らし」ということで、現在は埼玉県秩父の山里に、ご自分で建てた家に、ご家族と一緒に暮らしていらっしゃいます。

 セルフ・ビルドした家の顛末も、実は本になっています。奥さまを説得し、貯金をはたいて、秩父に280坪ほどの土地を購入。経験ゼロなのに国産材による伝統工法にこだわり、悪戦苦闘しながら、木造の平家をなんと6年かけて建築。総工費はおよそ560万円だったそうです。

 きょうはそんな阪口さんに、ご自分で建てたマイホームのことや、世界辺境の旅、そして先頃出された、子供向けアウトドア料理レシピ集『冒険食堂』から、おすすめ焚き火料理のお話などうかがいます。

☆写真:阪口 克

『冒険食堂〜子どもの好奇心を刺激するアウトドア料理レシピ』

6年間の家づくり

※そもそも、なんですが、なぜ自分で家を建てようと思ったんですか?

「雑誌の取材を僕は多数やっていまして、田舎へ移住されたかたへの取材を一時期よくしていたんですね。自分で古民家を改造したり、あるいは自分で一から家を建てたりする人に取材する機会が非常に多かったんですよ。それで自分でもそういうことをやってみたいなというのが、始まりですね」

●家は自分で建てられるんですね!

「家は(自分で)建てられますね(笑)」

●ひとりで建てたわけじゃないですよね?

「そうですね。加工とかはひとりでもできるんですけども、大きな構造材を組み立てるとなると人手が必要なんで、もちろん家族であるとか友人にその時は助っ人を頼んで(家を)作っていきました」

●家作りのアドバイザーのようなかたはいらっしゃったんですか?

「いや、それはいなかったです。本で調べたりインターネットで調べたりしながら、やっていました」

写真:阪口 克

●その6年間という年数ですけど、具体的にどういう流れで6年間になったわけですか?

「まずは、土地を探して購入して、次に近所の材木屋さんに行きまして、正直に自分で家を建てるんだ!って言って、構造材に使う材料を売ってもらうっていう感じですね。
 並行して、建築確認申請っていうのはどうしても必要なので、その確認申請は建築士さんの資格を持っていないとできないんですよね。なので、自分で書いた設計図を建築士さんにお願いして清書してもらって、法律上問題ない手続きをしてもらって建築をスタートしたという形ですね」

●どんなことがいちばん大変でした?

「そうですね・・・いちばん体力的に大変なのは、大きな材木を持ち上げるとか屋根の上で炎天下、延々屋根の板を張るとかが大変だったんですけども、どちらかというと最初の2年ぐらいは、始めてみたけど、本当に(家が)できるんだろうかという心配ですよね。メンタルのほうがだんだん、こんなこと始めちゃって大丈夫かなってなってきましたね。家族も巻き込んでいますし、そこはやっぱりちょっと辛かったですね。で、2年過ぎてある程度、形になってきてからは気分が楽になって楽しくなってきたっていう感じでしょうかね」

●6年経って、実際できあがった家をご覧になっていかがでしたか?

「まあ、ずーっと毎日6年間見ているんで(笑)、意外と感動とかもないですよね。住み始めた日はもちろんあるんですけども、ずっとそこにいましたからね。家族で引っ越して、最初の晩御飯を食べたとか最初にお風呂に入ったっていうのは、もちろん嬉しかったですけども、まあやっと終わったかっていう感じですかね」

写真:阪口 克

辺境の一般家庭に居候!?

※阪口さんは、これまでに世界40か国以上を旅されているそうですが、どちらかというと「辺境好き」・・・なんですよね?

「そうですね、わりかし・・・。いわゆる辺境というか、そういうところへ行くのは好きですね」

●どんな旅のスタイルなんですか?

「もちろんカメラマンですので、お客様の雑誌から依頼を受けて、取材に行くっていうのがメインなんですけども、そういう時はたいてい大きなホテルだったり、観光地だったりの取材になるんですね。
 それとは別に、相棒の旅行作家がいるんですけども、彼とふたりでいろんな国に行って、1週間一般家庭に居候をするっていうのをやっています。それがたまるとと週刊誌でその国の暮らしを紹介するというような形でずっとやっていました」

●印象に残っている旅先ってどこかありますか?

「もちろんどこも思い出深いんですけども、カメラマンとしてやっぱり視覚的な刺激が強かったのは、サハラ砂漠の遊牧民のお宅に居候した時はすごかったですよね」

●どうすごかったんですか?

「あたり一面、絵に描いたような砂漠ですよね。寝る時もずっと砂まみれですし、カメラのダイヤルもジャリジャリになるしね(笑)。すごいところに暮らしていらっしゃるなっていうのは正直なところでしたね」

●見たことのない景色に出会えるのも旅の醍醐味だと思うんですけど、人との出会も魅力がありますよね?

「もちろんそうですね。まあ居候なんで、それもお金持ちの邸宅じゃなくて一般家庭にお願いしているので、毎度そこのお父さん、お母さん、子供たち、おじいちゃん、おばあちゃんとも一週間寝食を共にする形になるので、なかなか深い付き合いができますね」

写真:阪口 克

●すぐにパッと思い出される人たちっていますか?

「もちろんそれは顔もすぐ浮かびますね。例えば、いちばん最初にこの居候の企画をやった時に、モンゴルで泊めてもらったベギさん一家はやっぱり思い出深いですね」

●どんなご一家だったんですか?

「それ以上にまず僕たちは、そういう居候取材まだ手探り状態だったんで、どうしていいかわかんなくて、思っていた以上に、まず英語が通じないっていうのがカルチャーショックでしたね。僕もそれほど英語が得意ではないんですけども、ワン、ツー、スリー、イエス、ノーも通じないんですよね。

 そうすると身振り手振りと、簡単なモンゴル語の単語帳みたいなのを手がかりに会話をするしかなくて、お願いしたドライバーさんはもう帰っちゃって大草原の中で逃げ場もないわけですよ。そこで一週間後発つまで、誰も迎えに来てくれないという状況だったんです。
 最初は僕も戸惑いましたけど、受け入れた先のベギさんも当然動揺していたようで、ここまでモンゴル語ができないやつが来たのか! っていう感じで、“こんにちは”の言い方すら簡単にしか知らなかったですからね」

●そんな中で共に生活をするっていうのはすごい経験ですよね?

「いや〜面白かったですね。今思い返せば面白かったですね(笑)」

写真:阪口 克

自分でやってみる「冒険食堂」

※阪口さんの新しい本が、子供向けアウトドア料理のレシピ集『冒険食堂』。この本は、毎日小学生新聞に連載した記事をまとめたものです。
 本には、阪口さんのお嬢さん「春音(はるね)」さんがモデルとして登場しているだけでなく、大人の味付けになりがちだったレシピを、春音さんの意見を取り入れ、より子供向けにするなど、参考にしながら作ったそうですよ。

写真:阪口 克

 『冒険食堂』の基本として「焚き火・炭火料理を楽しむための4つの約束」が書かれています。この4つの約束をご紹介いただけますか。

「焚き火料理を楽しんでもらうためには、まずいちばんに、どんなことも自分の力で挑戦しよう、としました。2番目が安全のための決まりを守る。3番目においしい料理はしっかりした準備で決まる。あと4番目は楽しんだあとは、来た時よりも美しく片付ける。この4つになります」

●やっぱり失敗してもいいから、自分でやることが大事なんですね?

「そうですね。この企画が始まった時にいちばんに浮かんだのは、この『冒険食堂』っていうタイトルだったんですね。単にアウトドア料理だと、美味しい料理っていうだけになると思うんですけども、そこに冒険っていうか、今まで自分がやったことがないもの、ちょっと怖いなと感じるものに対して、チャレンジするというのをテーマに掲げているので、ちょっと心配だから、お父さんやお母さんに頼んでみようとかなるところを、自分でやってほしいっていうのがやっぱりいちばんですね」

●まさに冒険ですね!

「そうですね」

●料理をするための熱源として、焚火と炭火を勧めてらっしゃいます。そこには子供たちに自分で火を起こせるようになってほしいっていう、そういう思いがあるからなんですか?

「そうですね。やっぱりキャンプと言えば、いちばんの楽しみで浮かぶのは、焚き火なんじゃないかと思うんですよ。さっきも言ったように冒険のひとつのきっかけとして、焚き火をいちばんに持ってきているんですよね。
 焚き火じゃなくて、例えば、魚を釣ったら自分でさばくとか、お肉をナイフで切ってみるとか、そういうことでも、もちろんいいんですけども、まずはキャンプ場に着いたら、自分の力で一回火をつけてみようっていうのは、僕は提案したいですね」

●阪口さんは焚火の本も出されていますけれども、やっぱり焚き火の技術とか作法を身につけるっていうのは、現代でも大事なことなんでしょうか?

「そうですね。焚き火の本を作った時に調べてみたら、人類と焚き火の付き合いってのは、何十万年にも及ぶんですよね。日本でも数万年前の焚き火の跡が残っていたりするので、そういう長い付き合いの中で、ほんのここ50年ぐらいで自分の周りから“直の火”っていうのが、ちょっと見えなくなっていると思うんですよ。

 我々は今、電気を使っていますけども、この電気も例えば、火力発電だったり原子力発電の火で発電されているわけじゃないですか。なので、火っていうのは人間の今の文化とか暮らしの、いちばんベースになっているエネルギーのひとつだと思うんで、それを一度自分の手元に戻してみるってのは、いいことなんじゃないかなと僕は思っているんですよね」

写真:阪口 克

(編集部注:『冒険食堂』には焚き火のベテラン、阪口さんが考案した「焚き火で守る9か条」も掲載されています。風の強い日には絶対にやらないなど、基本的なことはもちろんなんですが、もし、ウエアに火が燃え移るようなことがあったら行なう緊急時の対策法「ストップ!」「ドロップ!」「ロール!」がイラストとともに解説されています。
 これはアメリカの消防士さんが考えた対策法だそうで、「ストップ」止まって、「ドロップ」倒れて、「ロール」転がって、火を消す方法なんです。ぜひ阪口さんの本で、ご確認ください)

おすすめ焚き火料理!

※本に掲載されているアウトドア料理のレシピから、誰でも簡単に作れるおすすめ料理をご紹介いただけますか。

写真:阪口 克

「まず僕が基本にあげたのは、『野菜ごろごろポトフ』という1番目に出てくるメニューなんですけれども、特にこれからの季節、あったかいスープは非常に美味しいと思うので、ぜひ作ってほしいですね。今の時期ですと冬のキャベツが美味しいですから、キャベツをいっぱい入れて、ソーセージとかニンジンとか入れて、あったかいスープにすると、寒いキャンプ場で美味しいと思います」

●いいですね〜。この本を拝見していて思ったんですけど、ダッチオーブンがひとつあると、ぐぐっと焚き火料理の幅が広がるな~っていうふうに感じました。ダッチオーブン料理でおすすめってありますか?

「ダッチオーブンはいろんな料理を作れるんですけども、やっぱりダッチオーブンとキャンプ好きな人が聞いて、いちばんに思い浮かべるのは『チキンの丸焼き』だと思うんですよね。これはぜひ作ってほしいですね! すごく美味しいですから」

●具体的にどんなふうに作るんですか? 初心者でも作れますか?

「はい、比較的簡単だと思いますよ。スパイスと塩を揉み込んだ丸鶏を、ダッチオーブンに突っ込んで炭火にかけるだけなんです。コツとしては、ダッチオーブンの底に玉ねぎとかセロリなどの香味野菜を敷くのと、あとは、鉄の鍋のダッチオーブンは、上に炭火を乗せられる構造になっているんですね。なので、下の火は弱めにして蓋の上の火を強くすると、焦げないでジューシーな丸鶏が作れますね」

●すごいですね。見た目も豪華でいいですよね!

「これは間違いないですよ! 蓋を開けた時にみんなだいたい、わ~って言いますよね」

写真:阪口 克

●本を拝見して驚いたのが、牛乳パックでホットドッグを焼くというレシピもありました。どんなレシピなのか教えていただけますか?

「『カートンドッグ』って言いまして、アメリカでは比較的よくバーベキューで作っているみたいなんです。ホットドッグのパンにソーセージ、あるいは好きな具材、僕だとポテトサラダなんかを挟んで、それをアルミホイルで巻くんですね。

 で、牛乳パックに突っ込む、その牛乳パックに火をつけると、牛乳パックが燃えていく過程で、ホットドッグが過熱されるという形ですね。これは子供でも失敗せずに上手に焼けるので、ぜひチャレンジしてほしいですね」

写真:阪口 克

●ダンボール箱でオーブンを作って、お料理を作るというアイデアにもびっくりしたんですが、ローストビーフとか作れちゃうんですね?

「作れますね! ピザも焼けますし、ケーキを焼いたこともありますね。ダンボールオープンで・・・」

●なんかすぐに燃えちゃいそうだなと思ったんですけど・・・。

「いや、意外と紙って燃えないんですよ。紙の種類にもよるんですけども、だいたい紙の発火温度っていうのが250度から450度ぐらいなんですね。逆に言うと200度を超えなければ、紙は燃えないんで、ダンボールオーブン、もちろん直火にかけたら燃えちゃうんですけども、まずはダンボールの中に全面アルミホイルを貼ります。

 その中に熱した炭を入れたお皿を入れて、加熱するんですけども、この時に段ボールの中が大体180度ぐらいの、電気オーブンぐらいの温度になるんで、そこで調理する分には何の心配もないですね」

●へ~〜、じゃあ簡単にできちゃうんですね!

「そうですね。比較的簡単にできますね」

冬こそ、焚き火のキャンプ

※焚き火は、お料理を作ったり、暖を取ったりと、キャンプには欠かせないものだと思うんですけど、焚き火を楽しんだあとの、後始末が大事ですよね。どんなことに注意すればいいですか?

「まずは絶対、消火ですね。必ずつけた火は自分で消すってことですよね。よくある間違いが(地面に)埋めちゃえばいいっていう人がいるんですね。もちろん埋めることで酸素が遮断されて消えるっていうか火勢は弱まるんですけども、そんなに簡単には消えないんですね。
 もしなんかの拍子に次に来た人が掘り出したりとか動物が掘ったりしたら、そこで酸素が供給されて、ほんの少しでも火が残っていたら、そこからまたわっと火が燃え広がることがあるんですよ。

 なので、埋めて消火とかはなし! ましてや、地面の上で燃えているまま、帰ってしまうってのは絶対あり得ないことですから、必ず火消壺であるとかバケツの水に燃えてる火を沈めて、酸素を断って消すっていうのを習慣づけてほしいですね」

●改めて阪口さんは、焚き火にどんな思いがありますか?

「僕も昔、都市部に住んでいて、キャンプばっかり行っていた頃は、焚き火が大好きで、ずっと焚き火をしていたんですけど、今秩父の山里に暮らしていますと、日常で焚き火がいっぱい出てくるんですよ。なので、最近はちょっと暮らしの一部分になっているって感じでしょうかね」

●キャンプはオールシーズン楽しめるアクティビティだと思いますけれども、ウィンターシーズンの注意点ですとか、こんな楽しみ方があるよなど、何かアドバイスがあればぜひ教えてください。

「どっちかというと、焚火とかバーベキューは、秋冬のほうが向いているんですよ。夏は暑いじゃないですか、焚き火・・・そうすると冬場のほうが焚き火はより楽しめますよね。焚き火の火がつくまでは寒いんですけども、冬のキャンプはぜひ楽しんでほしいなと思います。虫も少ないですし、雪景色の山が遠くに見えたりして、すごく気分がいいと思うんで、みんなで焚火を囲みながら焚火料理を楽しんでもらえたら、すごくいいんじゃないかなと思うんですね」

●ぜひこの『冒険食堂』のレシピを見ながら・・・

「ぜひ楽しんでほしいですね!」

写真:阪口 克

INFORMATION

『冒険食堂~子どもの好奇心を刺激するアウトドア料理レシピ』

『冒険食堂〜子どもの好奇心を刺激するアウトドア料理レシピ』

 阪口さんがお嬢さんの春音さんの意見も取り入れながら作った本、お勧めです。子ども向けではありますが、大人でもとても役立ちますよ。火の起こし方から食材や調味料、作り方まで、写真をもとに解説してあるので、その手順に従ってやれば、初心者でも美味しくできると思います。どこにでも持ち歩ける便利なハンドブック・タイプ。ヤマケイ新書シリーズの一冊として絶賛発売中です。

◎山と渓谷社 :https://www.yamakei.co.jp/products/2823510830.html

『家をセルフでビルドしたい』

『家をセルフでビルドしたい』

 家をご自分で建てた顛末も本になっていますよ。先月、草思社から文庫で発売されました。

◎草思社 :https://www.soshisha.com/book_search/detail/1_2686.html

 阪口さんのオフィシャルサイトもぜひ見てください。

https://sakaguti.org

シリーズ「SDGs〜私たちの未来」特別編!〜高校生のアイデアコンテスト「SDGs QUEST みらい甲子園」

2023/11/19 UP!

 今週のベイエフエム / ザ・フリントストーンのゲストは、「SDGs QUEST みらい甲子園」の総合プロデューサー「水野雅弘(みずの・まさひろ)」さんです。
です。

 水野さんは、持続可能な環境社会を実現するための事業などを行なう株式会社TREEの代表取締役、そしてSDGs.TVのプロデューサーでもいらっしゃいます。

 SDGsはご存知の通り「SUSTAINABLE DEVELOPMENT GOALS」の頭文字を並べたもので、日本語にすると「持続可能な開発目標」。

 これからも地球で暮らしていくために、世界共通の目標を作って資源を大切にしながら経済活動をしていく、そのための約束がSDGs。2015年の国連サミットで採択され、全部で17の目標=ゴールが設定されています。

 当番組では17のゴールの中から、おもに自然や環境に関連するゴールを掲げ、定期的にシリーズ企画「SDGs〜私たちの未来」をお送りしていますが、今回は特別編! 高校生が考える社会課題解決のためのSDGsアクション・アイデアコンテスト
「SDGs QUESTみらい甲子園」をクローズアップします。

☆写真協力:みらい甲子園事務局

「SDGs QUESTみらい甲子園」

今回から千葉県大会を開催!

※まずは「SDGs QUESTみらい甲子園」の開催趣旨について教えていただけますか。

「本当に今、時代が大変革の時を迎えています。未来が予測困難な時代なんですけれども、そうした中においても、高校生が自ら未来をちゃんと考え向き合って、特に社会課題をどう解決していくかを起点にしながら探究し、そして、できれば主体的に行動力を高めるような、そんな機会を作ろうと思って始めたのが『SDGs QUESTみらい甲子園』です」

●今年で5回目の開催ということですけれども、開催エリアが年々増えているんですよね?

「そうですね。初年度は北海道と関西から始めまして、今年は19エリア32の都道府県で開催します」

●これまでどれぐらいの高校生たちが参加しているんですか?

「延べでいくと1万人を超えています。年々増えてきまして、昨年は5000人以上、チームでいうと1228チームがエントリーしてくれました」

写真協力:みらい甲子園事務局

●今年からは千葉県大会もあるんですよね。

「そうですね。去年までは首都圏大会という形で、千葉県も対象にしていたんですけれども、やはり千葉もたくさんの学校がありますので、千葉県大会をbayfmさんと一緒にやらせていただきます」

●千葉エリアならではのアイデアがどんどん出てくるといいですよね。

「そうですね。千葉は都会でありながらも、房総半島を考えますと本当に多様な社会課題に向き合っていますから、SDGsを起点にした素晴らしいアイデアを期待しています」

●この「SDGs QUESTみらい甲子園」の参加条件を教えてください。

「参加条件は、まずはチーム制です。高校1〜2年生を中心に、今年からリーダーでなければ、3年生も参加可能です。中高一貫校であれば、チームの中に中学生が入っても大丈夫です。2名〜6名で、部活で参加する場合は最大10名までは可能としています」

(編集部注:このコンテストは、競い合うというよりも、ほかの高校の生徒たちと交流してもらうことも目的としていて、応募する生徒たちも、それを楽しみにしているそうですよ。
 今回は、各エリアから選ばれた最優秀賞の19チームが全国交流会に進み、最終的にグランプリチームが選ばれることになっています。グランプリチームは、北海道美幌町にある「ユース未来の森」に招待されるそうです)

写真協力:みらい甲子園事務局<

高校生の柔軟な発想を期待!

※過去の応募作から、特に印象に残っているアイデアを教えてください。

「この番組に若干合わせて、環境的な視点から申し上げると、例えば静岡は卓球、静岡だけでピンポン玉を年間2.5トン廃棄するそうなんですね。それをリサイクルしてスマホケースを作るアイデアを考案した高校生がいたりとか・・・。

 あとは滋賀県から琵琶湖、やっぱり琵琶湖を綺麗な淡水にしていきたいっていうことがあって、自分たちで天ぷら油を集めて、粉せっけんにして、そこに”草津あおばな”という地元で採れる植物を入れて液体化すると、すごく綺麗な色になるんですね。それを彼らは“琵琶湖ブルー”と言っています。天然の液体洗剤を通して琵琶湖を守っていく、普及啓発にしていく、そんなチームもありました。

 あともうひとつお伝えすると、たぶん千葉でもたくさんの放置林があるんですね。竹です。日本は里山が竹によって、荒廃していく世界が多いんですけれど、その竹を使ったバイオ竹炭であるとか・・・竹問題っていうのは九州のほうが多かったです」

●大人では発想できない、高校生ならではの柔軟な発想だなという感じがありますよね。

「そうですね。高校生はある意味、グローバル意識はすごく高いんですけれども、社会課題となると、行動範囲が数十キロ圏内なので、地域に対する思いがありますね。地域の課題を環境だけではなくて、差別や相対的貧困やジェンダーの問題、様々なところから高校生らしい発想とアイデアが生まれてきています」

水野雅弘さん

※「SDGs QUESTみらい甲子園」の発案は水野さんなんですよね?

「そうですね。ネーミングも含めて考えました」

●どうして始めようと思われたんですか? その辺りの思いをぜひ聞かせてください。

「僕は2007年から『GREEN TV』というイギリス・メディアの日本代表になって、環境に関わる様々な発信をしてきたんですね。2015年にSDGsが国連で採択された時に、これは共通言語になっていくし、それを起点に普及させることで、無関心のかたたちと語り合える、もう行動しなくちゃいけないなと思い立ち、翌年の2016年に『SDGs.TV』という映像メディアを立ち上げたんですね。その映像メディアを視聴しているのが学校の先生が多かったんです。

 その学校の先生から、高校生たちが行動できるような発表の場をぜひ作ってくれないかっていう話をいただいて、大会というか野球の・・・全国それぞれの地域の課題や、世界の課題に向き合っていこうと思って組み立てたのが『SDGs QUESTみらい甲子園』です」

●中学生でもなく大学生でもなく、高校生を対象にしたのはどうしてなんですか?

「高校生になりますと、自分の進路をとても真剣に考え始めます。そういった意味では、キャリアとは言いませんけれども、進学や就職ということを考えた時に、社会課題に向き合っていく、いわゆる最初の芽が出る・・・。

 小学生中学生ですと知識的なものが多いですね。高校生になると、もうひとつは経済的な視点も入ってくる。だから大人と子供のちょうど中間になった時に、自分の進路がまだ不透明な大学生も多いんですけれど、やはり高校生の時になるべく早く自分のヒントというか、自分のやりたいことのためには、やっぱり未来を見つめることが比較的重要だと思いまして、高校生に絞りました」

(編集部注:「SDGs QUESTみらい甲子園」は、コンテストではあるんですが、実は、応募してくれた高校生には、大学入試などのポートフォリオとして活用できる参加証明書を発行。また、先生にとっては、学習プログラムとして活用できる、そんな側面もあるんです)

写真協力:みらい甲子園事務局

自分の心と大地にタネを植える

※「SDGs QUESTみらい甲子園」のオフィシャルサイトに、グランプリチームが北海道の「ユース未来の森」で木を植えている動画がありました。この「ユース未来の森」について教えていただけますか。

「これは実は今、気候危機と呼ばれている中で、気候変動に対して高校生たちが、何か未来に向けて、活動のひとつとして、森を作っていこうっていうことを昨年度から始めました。全国の高校生がなかなか全員は来られないので、地元の高校生たちと一緒に木を植えていくという形で、気候変動行動のひとつとして、みんなで森作りを始めた次第です」

●水野さんも行かれたことはありますか?

「この10月に僕も参加しまして、汗だくになって植えてきました」

●あの動画を見ていて、生徒さんたちもそうなんですけど、参加されている先生たちが、すごく生き生きとされているなっていう印象があったんですけど・・・。

「そうですよね。道内だけではなくて、今回グランプリをとった鹿児島の種子島から来た先生も、本当に汗をいっぱいかいて、楽しそうに活動していましたね。あの映像も僕が植樹しながらiPhoneで撮影した映像です」

●そうだったんですね~。みなさん、本当に楽しそうなのが印象的でした! やはり植樹体験で気づくこともいろいろあるんでしょうね

「そうですね。彼らにインタビューをすると、やっぱり木を植えることは当然初めてなんですね。林業のかたたちがこうして木を育てていく・・・植えることも大変だし、1年2年ではなくて、20年50年100年と、すごく大変な仕事なんだってことがよくわかったと、生徒たちのコメントからは聞けました」

●やっぱり人ごとではなく、自分ごとになることが大事になってきますよね。

「そうですね。植林が大切とか、間伐が大切とか、いろいろ頭で学んでも、やっぱり自ら大地に立って苗を植えるっていうのは、すごく貴重な体験ではないかなと思います。 ほとんどの生徒が、自分が大人になったら20年後30年後には、ぜひ自分が植えた木を見に行きたい!と・・・ある意味、ちょっと大袈裟かもしれないんですけど、環境を含めた地球への何か・・・自分の心と大地にタネを植えるって感じなんでしょうね」

写真協力:みらい甲子園事務局

SDGs.TVの多様なコンテンツ

※水野さんの会社TREEのオフィシャルサイトを拝見すると、当初はマーケティングの事業を展開され、現在は持続可能な環境社会を実現するための事業を柱に据えて活動されています。事業内容を変革する、なにかきっかけがあったのでしょうか?

「大企業のマーケティング・アドバイザーのような形で、いろんなマーケティングに関わってきたんですけれど、今から20年ほど前に、やはり株主中心で、ある意味、行き過ぎた利益追求ということが多くなったことによって、ヒューマンエラーだとか、いろんな法的な事件、事故につながることが多かったんですね。

 そうした点において、ガバナンスをしっかりするためには、やはり自分自身ももう少し環境や社会、いわゆる企業活動が与えていることを、しっかりとその企業にも提供すべきでしょうし、社会もそれに向かわなくちゃいけない、そういうことが舵を切ったきっかけですかね。

 もうひとつきっかけとして、ちょっと長くなってしまうんですけど、2010年に『生物多様性条約会議COP10』っていうのが名古屋でありまして、それの開会式のプロデュースをしたんです。 その時に全世界で生物多様性の危機的な状況がありました。
 これは生物多様性の危機的状況は気候変動もあるんですけど、私たちの消費生活、生産と消費にものすごく影響をもたらしているので、ここはやっぱり企業活動自身を、地球や社会のサステナブルのためにも取り組むべきだと考えました」

●今の主な事業としては「SDGsQUESTみらい甲子園」の学習プログラムにもなっているSDGs.TVというメディアになるんでしょうか?

「そうですね。メディア事業というよりも、これはひとつのプラットホームとしての教育ですね。これは小中高だけではなくて、企業の人材育成研修にも軸足を置いて、多くのかたたちがサステナブルな意識啓発になるようにと、研修事業を中心にしています」

●コンテンツはどんなものがあるんですか?

「SDGs.TVは本当に多様ですね。NGOのアクションから各国の政府の活動ですとか、もちろん国連や気象協会、様々な気候から生物多様性からLGBTQ、フェアトレードから途上国の話もあれば、日本国内のローカルな取り組みのものもあれば、課題から取り組みまで、様々なコンテンツを発信しています。

 テキストで学ぶよりは、やっぱりエモーショナルですし、映像にはストーリーがありますよね。そういった意味では全く無関心だった子供たちを見ていると、先生から一方的に教えられるものだと下向いているんですけど、映像を見て心が動いて、これは大人もそうです。映像を見た時にやっぱり腹落ちするというか腑に落ちるというか・・・ですから、映像の力は人々の行動を促すには、とても大切かなと思います」

(編集部注:ちなみにSDGs.TVには500タイトル以上の映像があるそうです。どんな作品があるのか、ぜひオフィシャルサイトをご覧ください)

「気候行動探究ブック」を無料配布!

気候ブック

※学校の授業で地球温暖化や環境問題を学んでいる10代のみなさんは、私たち大人以上に危機意識を持っているように思います。その辺りは、いかがですか?

「この5〜6年、中学生高校生と出会っていると驚くのは、やっぱりエシカル意識がすごく高いです。 少し感度の高い子供たちはフェアトレードとかにも関心がありますね。
 最近は本当に美容院を選ぶにしても、物を買うにしても、店を選ぶ中において・・・究極は就職、大学生も就職をしていく中において、SDGsにちゃんと取り組んでいるかとか、そういうことに目線がいく若い10代は、私たちの時代とは違って多いなと思います。
 ただ気候変動で考えると、欧米と比べると日本人の10代は、まだそれだけの危機意識はちょっと弱いかなとは思います」

●「気候行動探究ブック」というものを全国の高校生に無料で配られたんですよね?

「そうですね。みらい甲子園はSDGsで申し上げると1番〜17番、それは社会課題は多様なもので構わないんですけど、やはり世界の気候変動教育ってすごく重要なんですね。イタリアやイギリスではもう国をあげて行なっているんですが、日本はまだまだ気候変動教育は進んでいませんので、行動を促すような教材を作りまして、全国およそ4300校に進呈しました」

●これはどんなブックになっているんですか?

「世界中の同じ世代の高校生たちの気候行動の情報ですとか、温暖化が与える影響、そして私たちがどういうことに取り組むべきかということをわかりやすく解説しています。
 国立環境研究所のかたや国連のかた、スウェーデン・ストックホルムのレジリエンス・センターのかた、そんな専門家からの映像メッセージも入れて、多様な行動をみんなで考えるような探究ブックにしています」

●「SDGs QUESTみらい甲子園」 に応募してくる高校生たちには、どんなことを期待していらっしゃいますか?

「アンケートをとったんですけれど、みらい甲子園に参加してSDGsの意識が高まったっていうかたは大半ですし、行動意識が変わったっていう結果が最も多いんですね。 ですから、エントリーした高校生には未来を切り開く力、そして自分たちが変えるんだと主体的な考え方、そんなことを持っている、ひとりでも多くの次世代が育っていくことを期待しています」

●一方で番組を聴いてくださっている大人のみなさんに、何か伝えたいことがありましたら、ぜひお願いいたします。

「これは高校生から聞いたことなんですけど、自分たちのアイデアを自治体に持っていったら、”こんなこと、できないよ”とか、結構否定されることが多かったらしいんです。 そうではなくて、やっぱり常識が通用しない未来を考えますと、これだけ生成AIも出てきて、本当に新しい社会が今始まろうとしている。そんな時には大人も、高校生や中学生から学ぶことがたくさんありますし、一緒に共創していく思い、それを持って応援していただきたいなと思います」


INFORMATION

「SDGs QUESTみらい甲子園」

 現在「SDGs QUESTみらい甲子園」千葉県大会では、高校生のみなさんのアイデアを募集しています。持続可能な社会を実現するために解決したい、あるいは、変えたいと考える「探究テーマ(課題)」をひとつ選び、その解決策となる具体的な「SDGsアクション」のアイデアをお送りください。

 参加条件は、千葉県の高校に通う1年生・2年生、ふたりから6人で構成するチーム。高校3年生だけのエントリーはできませんが、チームに入ることはできます。

 千葉県大会の応募の締め切りは、12月20日(水)午後1時。エントリー方法など、詳しくは「SDGs QUESTみらい甲子園」のオフィシャルサイトをご覧ください。

◎SDGs QUESTみらい甲子園 :https://sdgs.ac

 水野さんが代表を務める株式会社TREEのサイトもぜひ見てください。

◎株式会社TREE :https://tree.vc

平日はサラリーマン、週末は縄文人!?〜ゼロから文明を築く

2023/11/12 UP!

 今週のベイエフエム / ザ・フリントストーンのゲストは、YouTubeの動画配信で話題! 週末縄文人の「縄(じょう)」さんと、「文(もん)」さんです。

 「縄」さんは1991年、秋田生まれ。大学時代はワンダーフォーゲル部で活動、多くの時間を山で過ごし、趣味は釣りと料理。

 「文」さんは1992年、東京生まれ。幼少期は、アメリカのニュージャージー州やアラスカ州で暮らしていたそうです。

 そんなおふたりは3年ほど前から、平日はサラリーマンとしてお仕事をされ、週末だけに縄文活動を開始。自然の中にあるものだけ、つまり現代の道具を一切使わずに縄文生活にチャレンジされています。

 当初は山梨県の森で始めたそうですが、現在は長野県の敷地面積およそ2000坪、標高1000メートルにある山あいの森を借りて、活動されています。サラリーマンですから、活動着はワイシャツとスーツなんですよ。

 ちなみに、週末縄文活動のことは、会社や仕事関係には基本内緒。YouTubeの動画にも顔出しはしていないんです。

 そんなおふたりが出された本が『週末の縄文人』、これも話題になっています。

 きょうは週末縄文人のおふたりに、本気で取り組んでいる活動の中から試行錯誤の末、気力体力を振り絞り、ついにやり遂げた火起こしと、竪穴住居づくり、そして縄文活動から見えてきた先人たちの知恵や暮らしに思いを馳せます。

☆写真提供:横井明彦、協力:(株)産業編集センター 出版部

写真提供:横井明彦、協力:(株)産業編集センター 出版部

週末は縄文人!

●まずは、そもそもどうして週末に縄文人としての活動を始めたのか、それをお聞きしたいんですけれども、縄さん、教えていただけますか?

縄さん「もともとは僕が、文明が崩壊したあとに生活に必要なものを、自分たちで自然から生み出すことができるのか、みたいなことをやりたくて・・・変な話なんですけど、鉄を自分たちで作るとか、石鹸を作るとか、生活に必要なものを自然から作りたいっていう、活動と動画を撮りたいなと思っていたんですね。

 でも、それをやる場所がなくて、相方に相談したところ、相方のお父様の土地が山にあるって言ってくれて、それで相方から一緒にやろうと言ってくれました。

 僕は現代にも通じているテクノロジー、鉄とか薬とか石鹸とか、そういう今のインフラというか生活を支えるテクノロジーに興味があったんですけど、相方はどっちかっていうと、もっとプリミティヴなというか、原始人とか縄文人とかのテクノロジーに興味があって、どうせやるんだったら原始時代から始めたいって言っていたんですね。

 それでゼロから文明を始めて、ステップアップしていく活動にしようっていうので、自然にあるものだけを使って、ゼロから文明を築くっていう取り組みで、今は技術的には縄文時代にいる、そんな活動をやっています」

●なるほど〜。文さんは縄さんから、こういうことやってみたいんだって言われた時は、どんなふうに思われました?

文さん「また何か面白いことを言ってるな〜と(笑)、もともと仲のいい会社の同期だったので・・・。僕はそういうことは全然思いつかなかったんですね。

 でも、今ちょっと縄が話してくれたみたいに、僕はもともと、もっとプリミティヴな、プリミティヴだけじゃないんですけど、自分と全然違う暮らしをしている文明の人とか文化の人にすごく関心があったんですね。

 彼らがどういうふうに世界を見ているかとか、そういうことに関心があったので、やるんだったら自分のルーツでもあるし、全然自分とは違う世界をきっと見ていたであろう、縄文とか石器時代の人から始める、かつ道具そのものを使わずに進めたいっていうのは、僕はすごく思っていたことだったんですね。

 ナイフとかそういう道具を使うというのは、たぶん縄のほうの最初のプランにはあったと思うんですけど、そこは道具はなしでやりたいなっていうのは、僕のどっちかというと強い思いでした。そこから見えてくるものがあるんじゃないかなっていう感じですかね」

(編集部注:おふたりは縄文時代にだけ、こだわっているのではなく、ゼロから文明を築き、ゆくゆくは江戸時代、できれば、現代にまで文明を進めたいという夢を持っていらっしゃいます)

写真提供:横井明彦、協力:(株)産業編集センター 出版部

火起こし~神々しい美しさ

●週末縄文人がまず取り組んだのが、「火起こし」ということですけれども、現代の道具を使わずに火起こしするのは、縄さん、大変だったんじゃないですか?

縄さん「そうですね。本当に一回の週末で、3日間ぐらいで火をつけられるだろうとか思っていたんですけど、最初は煙すら出なくて、めちゃくちゃ大変でした。

 手をこすり合わせる『キリモミ式』っていう火起こしがいちばんオーソドックスだったので、それをやってみたんですけど、(棒が)まっすぐじゃなくて、どんどん回していると、穴から飛んでいくんですよね。まずはまっすぐな棒がないみたいなところからわからなくて、毎週毎週通って一個ずつできないことを潰していって、全然できないまま続いて、3ヶ月後ぐらいにようやく(火が)ついたっていう・・・」

●それはキリモミ式で、最終的に火がついたんですね。

縄さん「そうですね、つけられましたね。でも最初はふたりがかりですね。今はひとりでもできるようになりましたけど、ふたりで疲れたら交代して、みたいなやり方で、できるようになりましたね」

●おふたりでの共同作業ということで、YouTubeの動画でも「いける、いける〜!」って励ましあっていましたよね。

縄さん「あれ、マジで大事なんですよね。たまに人前でやるとすごく笑われるんですけど、本当に違うよね! あれ、やるとやらないでは・・・」

文さん「全然違う、全然違う」

縄さん「マジで最後のひと踏ん張りで、本当に(火が)つくかつかないか決まるので、もうこれで決めるぞ! もうないぞ! いけー!みたいにいうと、本当につくんですよ」

文さん「筋トレのたぶん、限界までいった時に、もうひと踏ん張り、最後いけー! みたいな感じだと思う・・・限界を超えるのには必要なんですよね」

●やっぱりひとりじゃなくて、ふたりでやるっていうのに意味があるんですね。

文さん「そう思います。意味があるし、ひとりだと文明は作っていけないと思います」

写真提供:横井明彦、協力:(株)産業編集センター 出版部

※手にマメをつくり、痛い思いをしながらも、ついに火が起きたときはどんなお気持ちでしたか? 文さん、いかがですか?

文さん「最初にたぶん動画でもそういうふうに言っているんですけど、『美しい』という、それがまず来ました。今まで当然、火というものは見たことはあったんですけど、今まで見てきた火とは全然違って、本当に・・・何だろう・・・マッチとかライターとかそういうのがあれば、火がつくって当たり前にわかると思うんですけど・・・。

 でも、自然の中で火の気が何もない森の中で、何もないところから、ブワッてあの明るくて熱いエネルギーの塊みたいなのが生まれた時はもうびっくりして、神々しいと言いますか、そういうものも、はらんだ美しさみたいなものを感じました」

●それこそ途中でマッチを使っちゃえとか、ライターを使っちゃえとかは思わなかったですか?

文さん「それをやっちゃうと、僕たちのやりたかったことには近づけないというか、ただ火起こし風動画を作るだけだったら、別にズルしてマッチでやっちゃってとかってできると思うんですけど、僕らの目的はそこにあるんじゃなくて、本当にそれができるようになるとか、本当に自然のものだけで、何かをやるプロセスで見えることとか、感じることを体験したいっていうことにあるので、それは全然一度も考えてないです」

笹地獄!? 竪穴住居づくり

※おふたりは火起こしのほかにも、石斧づくりや、紐(ひも)をよったり、土器を作ったりと、これも試行錯誤しながら挑戦。そして、ついに取り組んだのが「竪穴住居」づくり。

 どんな竪穴住居を作ったのかというと・・・穴の直径がおよそ2メートル、深さが40〜50センチ、床面積は、3〜4人がぎりぎり寝られるテントほどの広さ。本物に比べると小ぶりな作りになっているそうです。構造は、石斧で切った木の枝を、柱や梁などにして、およそ30本の木を組み、その上に屋根材として大量のクマザサをふいた住居なんです。

写真提供:横井明彦、協力:(株)産業編集センター 出版部

 竪穴住居づくりで、いちばん大変だった作業はなんでしょうか? 文さん、お願いします。

文さん「これはたぶんふたりとも同じなんですけど、笹で屋根をふく作業です」

●どう大変だったんですか?

文さん「まずその全工程にかかったのが30日、そのうちの半分がこの屋根作りだったんですよ。骨格作りは本当に2週間くらいでできちゃって、骨格ができるともうなんかできた気持ちになるので・・・」

縄さん「できた気持ちで半分打ち上げしていましたね。もう終わりだみたいな、あと4日で終わりだとか言って・・・」

文さん「骨組みの前でふたりで肩を組んで写真を撮って、終わった感が出ていたよね(笑)。なんだけど、地獄はそこからだったみたいな・・・。

 結局そこから、笹の束を15本から20本ぐらいをひとつにまとめて、屋根に下から順番に結びつけていって、それでどんどん上に向かって屋根をふいていくんですけど、その作業がさらに今までかかってきた作業と同じぐらいかかりましたね。本当は3〜4日とかで、もしかしたら終わるかなとか、僕はうっすら思っていたんですけど、全然進まないんですよ」

写真提供:横井明彦、協力:(株)産業編集センター 出版部

縄さん「だいたい1日のスケジュールを言うと、朝7時ぐらいから昼過ぎまで5時間から6時間ひたすら中腰でクマザサ、クマザサは背が低いんで、ひたすら中腰で笹を折り続けるっていう作業、それをご飯を食ってから日が暮れるまで。

 それを結ぶツルも、地味にそのツルもあるんですけど、笹を結ぶツルを集める作業もそのあとに数時間やって、日が暮れるまでひたすら結ぶ作業。結ぶのもすぐできるかと思いきや、その束を1回束ねて結んで、3本に1本ぐらい(切れて)。

 とにかくめっちゃ丈夫な屋根を作るってなったんで、めちゃくちゃ締めていたんですけど、ツルって意外に切れるんですよ。プツって切れて、ああ!ってなって、また別のツルを探してみたいな、そういうのをうだうだやっているっていうのが朝から晩まで、それが15日間っていう感じですね」

文さん「笹を折る作業、笹を収穫する時に手でパキパキ折っていくんですけど、笹って節みたいなのがあるから、そこをパキって折るとまあ簡単に取れるんですよ。でも簡単に取れるとはいえ、それを2万本分やっていると、手がどんどんひび割れて、血が出てきてマメになってカチカチになって・・・。

 本当に最後、指先とかもありえないぐらい硬くなって、スマホに反応しなくなったんですよ。スマホをタップしてもカンカンカンってなって、現代生活にだいぶ支障も出ていました」

竪穴住居に、神々しい一筋の光

※苦労の末についに完成した竪穴住居を見て、どんな思いがこみ上げてきましたか。縄さん、どうですか?

縄さん「僕はあんなに綺麗なものを自分の人生で作ったことがなかったんで、子供の頃、図工は3とかだったし、あんなに手間をかけて、あんなに美しいものを自分たちだけで、しかも道具を使わないで自然のものだけで作った、みたいな達成感があって、すごく嬉しかったですね。あとやっぱり昔の人もこんな家を建てていたんだみたいな・・・。

写真提供:横井明彦、協力:(株)産業編集センター 出版部

 僕は縦穴住居の中から見える外の景色がすごく好きなんですね。笹をふいた四角い入り口から外の原っぱが見えるんですけど、ちょっと角度を変えると僕らが普段焚き火をしている焚き火台が見えて・・・ここから(見える)景色って全部100%自然にあるものだけで作っていて、縦穴住居で、あ〜これ!って、縄文時代の人も見ていた景色だな、これっ! 誰がなんと言おうと、そうだ! みたいな・・・なんかそういう気分になれたんですよね。

 また、竪穴住居の中ってめっちゃ暗くて、そこにマジで一筋の光みたいな感じで、入り口から光が差してくるんですよ。それもちょっと言葉にしづらいんですけど、めちゃめちゃ神々しくて、ずっと見続けていて・・・本当にあんなに豊かな感動は人生で今まで味わったことないなっていう経験でしたね」

写真提供:横井明彦、協力:(株)産業編集センター 出版部

●文さんはいかがですか?

文さん「僕も衣食住の『住』を自分で作れたっていうのは、すごくありえないこと。普段暮らしていて、衣と食はなんとか作れたとしても、家を自分たちだけで建てたっていうことの感動と、やっぱり僕もその中の雰囲気、半地下にあってすごく暗くて、入り口の部分からわずかな光が入ってきて、最初(中に)入ると真っ暗で何も見えないんですけど、徐々に徐々に目が慣れて中が見えてきて、目の前に座っている相方の顔がぼんやりと見えてくるんですよ。

 なんだろう・・・中に入ると、遊びに来た人みんなが言うんですけど、なんか話しちゃうねみたいな、初めて会った人とかでも、なんか深い話ができちゃうねとか、安心感があるよね、みたいなこと言うんですよ。

 それってあの家の持つ、ほの明るい暗さとか、みんなで結局、円になって真ん中にある火を見ながら語るあの感じとか、あの家の機能、人を近づけるあの家の機能っていうのも、今の家にはない凄さだなっていうふうに、作って住んでみて初めて思いました」

自然の見方、文明のありがたみ

※週末縄文人の活動を始めてから、それぞれにどんな変化がありましたか? 縄さん、お願いします。

縄さん「僕はもともと自然がすごく好きで、大学時代も山登りや渓流釣りが好きだったんですね。でも僕は町育ちだったので、自然って休みにレジャーで行くもので、レジャーで行く自然ってちょっと物寂しい気もしていて、自然を味わい尽くしてない気がしていたんです。そうすると、田舎で森に住んでいる人とかそういう人にすごく憧れがあって、それで自然のこういう取り組みをしたいなっていうのがあったんですね。

 この活動をしていると、昔は自然の、ただの雑木林みたいに思っていたものが全部宝物に見えると言いますか、石ひとつとってみても、これは『打製石斧(だせいせきふ)』に使えるとか、『磨性石斧(ませいせきふ)』に使えるとか、鋭いから火起こしの穴あけに使えるとか・・・。

 粘土を見ても、あっ!これは土器に使えるなとか、木を見ているとこれは樹皮が編み物に使えるかもとか、この植物は繊維になるから紐になるかもとか、なんか自然の見方が本当に豊かになったっていう・・・自分の変化がすごく憧れていた自然の見方に近づいている気がして、本当にこういう人間になりたかったなっていうものになれている気がして、すごくこの活動をやっていて良かったなと思っていますね」

●文さんはこの週末縄文人の活動から、平日現代人の生活ってどう見えていますか?

文さん「今まで僕はどっちかというと、文明に対して批判的というか、社会人になるまでスマホも持っていなかったりとか、文明に対して反発していたんですよ。環境にも悪いしみたいな、そんなの使っていたら人間の能力が落ちるとか、そういう感じがあったんですけど、この活動を始めて文明ってすごいな!って、本当に逆に思うようになりました。

 文明ってたぶん人がよりよく安心して安全に、より便利に楽しく幸せに暮らせるようにもともとあるものなんですよね。
 それは僕らが実際、石斧を使って、それまで石を手に持ってガンガン切んなきゃいけなかったのが、それだと肘とか手がものすごく痛くなるし、あの太い木は切れないし、そこで石斧っていうものが発明されて、自分たちの体も痛めつけることなく、太い木もより早く切れるようになって、そこでもっとがっちりした広い家に住めるようになるとか・・・。

 そういう文明がひとつひとつ進んでいくことで、自分たちの暮らしがよくなっていって、そこには少しでも自分たちの暮らしをよくしたいっていう思いがあるからこそ、文明は進んできたんですよね。

 今は自分たちはその延長線にいるわけで、ここまで文明が進んできたってことは、それだけそこに、よりよく生きたいっていう人の思いがあったんだなっていうことに気づけたというか・・・。
 目の前にあるマグカップひとつとっても、水がこれだけ溜められるってすごいなとか、当たり前すぎて気づけない部分にちょっと気づけるようになったっていうのはあります」

写真提供:横井明彦、協力:(株)産業編集センター 出版部

縄文人に聞きたい!?

※最後に、突拍子もない質問なんですけど・・・もし、縄文時代の人たちに会えるとしたら、どんなことを聞いてみたいですか?

縄さん「今は、縄文時代レベルの土器を作ろうとしているので、粘土をどこで寝かしていましたかとか、あとはあの『火焔型土器(かえんがたどき)』っていうめちゃくちゃ意匠を凝らした、うにゃうにゃしている土器があるんですけど、まずあれをどうやって作っているんですか? あれ、上が重すぎて、作っているうちに潰れてきちゃうんです。普通に僕らがやっているやり方でやると・・・。これ、どうやって乾かしてんだろうなっていうのが、近々の悩みでまず聞きたい。そうですね・・・土器を作っているところを見たいっすね」

●文さん、いかがでしょう?

文さん「ちょうど今やっているのが粘土なんで、さっき縄が言っていた、そもそも粘土をどう寝かせていたかっていう・・・今の人はビニールにくるんで寝かせられるんですけど、昔の人はそんなものはないので、どういうふうに寝かせていたのかは、めちゃくちゃ知りたいのと、あと最近挑戦しているけど、失敗続きなのが釣りなんですよ。

 縄文時代に鹿角の針って実際使っていて、それが出土していて博物館に行くと見られるんですけど、いわゆるJの形をした針だったり、両端が尖ったまっすぐの棒の形をした釣り針だったり、いろんな釣り針の種類があるんですね。僕らもいろんな種類を作って、実際試しているんですけど、まったく! 釣れなくて、縄文人の釣りに同行したいです。どうやって、あれで釣っているの!? めちゃくちゃ見たい」

縄さん「確かに釣り、見てみたいな〜、めちゃくちゃ見たいわ〜。化け物みたいにデカくて、アホみたいに簡単に釣れるんじゃないかっていう・・・言い訳みたいな話はするんですけど、魚が違うんじゃないかと・・・」

文さん「そもそも魚が違ったんだろう、みたいな負け惜しみはあるんだけどね(笑)」

縄さん「いっつも負け惜しみ、かれこれ4か月釣れないから・・・」

文さん「それ、めちゃくちゃ気になってます!」

縄さん「気になるな〜」

写真提供:横井明彦、協力:(株)産業編集センター 出版部

INFORMATION

『週末の縄文人』

『週末の縄文人』

 縄文活動をまとめた本をぜひ読んでください。おふたりの本気度がよくわかります。火起こしに始まり、石斧、紐、土器、そして竪穴住居づくりまで、試行錯誤の末に成し遂げたサバイバル・エッセイ! 面白いです。火の起こし方や石斧の作り方なども掲載。スーツ姿で活動する様子もカラー写真とともに紹介されています。縄文人の活動をやってみたいかたは、相談にのってくれるそうです。連絡先は本に掲載されていますよ。
 産業編集センターから絶賛発売中です。詳しくは出版社のサイトをご覧ください。

◎産業編集センター:https://www.shc.co.jp/book/19045

 週末縄文人のオフィシャルサイトでは動画も見ることができます。

◎週末縄文人:https://wkend-jomonjin.com

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