毎回スペシャルなゲストをお迎えし、自然にまつわるトークや音楽をお送りする1時間。
生き物の不思議から、地球規模の環境問題まで幅広く取り上げご紹介しています。

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心が優しくなれる、ほどけるような気持ちになれる〜年間180日潜る水中写真家「鍵井靖章」の写真展〜

2021/7/4 UP!

 今週のベイエフエム / ザ・フリントストーンのゲストは、水中写真家の「鍵井靖章(かぎい・やすあき)」さんです。

 鍵井さんは1971年、兵庫県生まれ。大学在学中の20歳のときに、ある写真家の水中写真展を見て感動し、写真家になることを決意。その後、伊豆やモルディブでダイビング・ガイドとして経験を積みながら、水中撮影のスキルを磨いて、28歳のときに独立。そしておよそ20数年にわたってフリーランスの写真家として第一線で活躍されています。現在は鎌倉に拠点を置き、葉山や岩手など国内の海はもちろん、コロナ禍の前は月2〜3回は海外の海に出かけていたそうです。

 きょうはそんな鍵井さんに、世界の海に潜って感じた日本の海の素晴らしさや、写真展のお話などうかがいます。

☆写真協力:鍵井靖章

写真協力:鍵井靖章

やっぱり感じる海の変化

※それでは鍵井さんにお話をうかがいましょう。国内外のいろいろな海に潜って写真を撮っていらっしゃいますが、特に印象の残っている海はどこですか?

「モルディブ好きですね。行ったことあります?」 

●ないんです〜。行ってみたいです! 

「インド洋に浮かぶ島々なんですよね。僕、25歳〜27歳まで住んでいたこともあるので、ちょっと故郷的な海でもあるんですけれど、やっぱりモルディブの魚影の濃さとか素晴らしい海なので大好きです」

●ほかの海とモルディブの海っていうのは具体的にどう違うんですか? 

「やっぱり魚影の濃さですよね。色んなお魚がいて、あとジンベイザメとかマンタとか、ダイビングをする僕らにとっては、憧れの生き物との出会いを可能にしてくれる海なんですよ」

●長年、海に潜ってらっしゃいますけれども、いちばん感じる海の変化ってありますか? 

「そういう質問されたらやっぱり、最近はよく海洋プラスチックや温暖化現象って言われるじゃないですか。でもそれは本当に感じますよ。多分前回、葉山の佐藤輝さんとの話でもあったかもしれないけど、海藻がなくなったりだとか、環境の変化はやっぱり感じますよね」

●やっぱり長年見てこられて、悪くなっているなという印象ですか? 

「悪くなっているなっていうか、例えば、海外のリゾート地とかもっと昔はゴミが多かったって言うんですよね。でも観光地化されることによって、目に見えるゴミは減るわけじゃないですか、観光地として成立するから。

 でもよく言われているように、実は目に見えないマイクロプラスチックとか、そういう問題があるわけじゃないですか。プラスチックの歴史が始まって、僕たちはそれの問題と向き合っていかなくちゃいけないっていうところに来ていると思うので、目に見えて綺麗になった場所っていうのももちろんあると思うんだけれど、実は目に見えていない部分で何かしら違う問題が進行していったりしているのではないかなっていう懸念はあります」

初の流氷ダイビング!

※コロナの影響でなかなか海外へは行けなくなりましたが、ここ1〜2年はやはり国内の海で撮影していることが多いのでしょうか?

「そうですね。正直言って海外に行きたい気持ちは全くなくて、今は国内の海を十二分に楽しむと言いますか、記録をしていて。
 実は僕、ダイビングを始めて30年くらい経つんですけれど、北海道の流氷ダイビングとかしたことなかったんですよ、外国ばっかり行っていたから。で、今年初めてその流氷ダイビングをやったりして、やっとちゃんと日本人のダイバーっぽく活動しています(笑)」

●流氷ダイビング、いかがでした? 

「実はすごく怖かったんですよ。水温がめっちゃ冷たいんじゃないの、とか思っていて、すごく怖かったんですが、意外と装備をしっかりすると全然ストレスなく、氷の下の世界を楽しむことができました」

●流氷ダイビングは初めてということですけれども、どんなものを撮影されたんですか? 

「いちばんの目標は流氷の下から見上げるっていうことだったので、流氷が持っている造形とか、ちょっと流氷が薄いところから溢れてくる光だとか、まぁ氷の造形ですよね、それを楽しんだかな」

写真協力:鍵井靖章

●どうなっているんですか? 流氷の下って。

「なんとなく想像がつく世界ですよ。氷の下でさ、あれ知ってますよね? 流氷の天使と言われる生き物な〜に?」

●流氷の天使? 

「クリオネ」

●ああ! クリオネ! 

「そうそう、クリオネとかハダカカメガイかな、貝の仲間なんですけれど。もうね、なんか両手じゃないんだけれど、一生懸命泳いでいるの、小っちゃくてすごく可愛かった。やっぱりテレビの映像とかで見るのとは全然違いますよね。寒さ忘れましたから」

●へぇ〜! 

「流氷ダイビングで僕、今回すごくいいなと思ったのが、例えば寒くなったら寒いって一緒に潜っている人に言ったらすぐに上がってくれるんですよ。だから何となくイメージだったら、すごく寒いのを我慢していっぱい潜んなきゃいけないのかなと思ったんだけれど、ちょっともう寒いし、もういいかなと思ったら20分くらいで上がるって言ったら、すぐに上がってもらえるんで、無理なく潜れて、ストレスなく今回、氷の下を楽しむことができたので、それはすごくよかったですね。

 で、結果僕は夢中になって50分くらい潜っていたんですけれどね。僕にとってはやっぱり思っていた以上に寒くなくて、思っていた以上に快適に氷の下の世界を楽しめたので、また来年の2月には行きたいなと思っています」

●初めてご覧になった氷の下の世界はいかがでした?

「もう一回撮りたいな〜! まだちゃんといいの撮れていないんで、もう一回撮りたい。でも素晴らしかったですよ。だからまた行きたいっていう気持ちにさせる・・・もちろん沖縄とか、ああいう海とは全く違う世界が広がっていたので、素晴らしい体験でしたね」

手付かずの海!?

※つい最近も国内の海で撮影されていたと聞いたんですけど、どこの海でどんな生き物を撮ってたんですか?

「つい先日までは愛媛県の愛南町って言って、まだダイビング・ポイントとして2年しか経っていない新しいエリアがあるんですけれど、そこで手付かずの海に潜ってみたり・・・手付かずってやっぱりいいですね。残念ながらたくさんダイバーが入ったりすると、そこはちょっとポイントとしては荒れちゃうと言いますか、生き物が少なくなったりもするんだけれど、その愛南町っていう町の海はほとんど誰も入ったことがない海だったので、日本の海って本来の姿はこうなんだ! って思える海がそこに残っていたので大変よかったですね。素晴らしかった」

●具体的に手付かずの海、そういった海っていうのはどんな状況になっているんですか? 

「サンゴとか、ソフトコーラルと言われる海底に付着している生き物、ああいうのがすごくモサモサっと生えていて、すごく色彩も豊かで、魚たちもダイバーを見たことがない魚たちがほとんどなので、割と慌てて逃げ出すというか、それが逆に可愛かったですね(笑)」

●人に慣れていない!?(笑)

「そう、人に慣れていないからその反応がすごく可愛くて、慌てて逃げ出したりして、逃げられるのは嫌なんですけれど、でもそれはそれで可愛かった」

●日本の海の良さって改めて鍵井さんから見てどんなところにありますか? 

「これ、どのカメラマンに聞いても同じだと思うんですけれど、黒潮とか親潮とか色んな海流が混ざり合っている場所なので、色んな海流の影響で生息している生き物も違うし、ほかの国では感じられないぐらいのバリエーションは日本の海にはありますよね。だって考えてもみてください。僕、今年3月に北海道の流氷ダイビングに行ったって言ったじゃないですか。その翌日には僕、沖縄に飛んでザトウクジラと一緒に泳いでいましたから、やばくないですか!?」

●ええ!? すごいですね!(笑)

「だから、日本すごいなと思って」

●また海の状況も全く違いますよね?

「ね! でも氷の下であれ、クジラであれ、計り知れない感動を与えていただけるので、ありがたいですね、ありがたい仕事!(笑)」

●鍵井さんにとって天職ですね!

「どうでしょう・・・まぁきっと適職ですね」

海は平等!

写真協力:鍵井靖章

※海の中で撮影していて、いちばん嬉しい瞬間はどんな時ですか?

「嬉しい瞬間は・・・ちょっとカメラマンっぽいこと言っていいですか?」

●はい! 

「僕、別に自分のために写真は撮っていないので、誰かに見ていただけるっていうことを前提に撮っているっていうか、このシーンを撮影したらどんな人に届くかなって思いながら撮影しているのですよ。だからやっぱりみんなの気持ちに届いてくれそうなシーンに出会ったり、そういうのが撮れたりした時はやっぱり嬉しいかな」

●ただ自然が相手ですから、相手は生き物ですし、なかなか思い通りにいかないことも多いんじゃないですか? 

「そうですね。でも長年やっているから割と折り合いというか、会えなかったとしても、今僕は会えるタイミングじゃなかったんだ、まだその役割じゃなかったんだと思う時もあるし、かと思えば、とてもたくさん貴重な生き物に出会える時もあるし、色々、海は平等平等(笑)」

●ベスト・ショットを収める極意っていうのは? 

「あんまり無理しないことじゃないですか。僕お魚が逃げてもあんまり追っかけないし、あんまりお魚にストレスを与える撮影はしたくないし。あとやっぱりちゃんと自分の命を守りながら撮影したらいいんじゃないかな、海から帰ってくることが大前提でね」

●生き物の生態とかもちゃんと勉強していないと、いい写真は撮れないのかなとも思うんですけれど・・・。

「僕あんまり詳しくないんですよ、生き物の生態」

●あれ? そうなんですか? 

「もちろん一般の方よりは知っているけれど、僕どちらかというと海の中で、色とかデザインとか、そっち系で見ちゃっている人間なので・・・そうなんですよ、ちょっと厄介なんですよ(笑)」

●だから鍵井さんの写真はパーッと明るい色鮮やかな感じで、気持ちがいいんですね! 

「なんかやっぱり僕の写真を知ってくれている人は、鍵井さんはそんなに生態に興味がないからこの写真が撮れるんですよ、っていう言い方をする人もいるし・・・“あ、はい”って思いながら聞いているんですけれどね(笑)」

●鍵井さんならではの、こだわりはどんなところなんですか?

「コロナになってみんな疲れているし、僕も疲れているし、それは気が付いていないような傷が付いているような・・・何かのタイミングで自分ってやっぱり疲れているんだなって思う時もあるし、今は何か日々のSNSの発信もそうかもしれないし・・・今度の写真展もそうかもしれないけれど、今日本に生きていて疲れを感じている人に自然の持っている癒しとか、写真という芸術、エンターテイメント、分からないけれど、そういうものが持っている力で皆さんに何か違う、もう少し優しい感情を持ってもらえればいいかなとか思ったりするかな」

心が優しくなれる写真展

※現在、外苑前の「Nine Gallery」で写真展を開催しているそうですが、どんな写真展ですか?

「ここの写真展のお話をいただいた時に、やりたいなって思ったのが疲れている人が逃げ込める都会のオアシスみたいな場所を作ってみたいと思って。自分の作品がすごいでしょ! 自然がすごいでしょ! っていうような写真展ではなくて、そこに来てくれた人がほんのひと時でも、別に全ての写真の前じゃなくて、ただ1枚の写真の前でもいいから、その前に来た瞬間にふと心が優しくなれるというか、ほどけるような気持ちになれる展示会を作りたいなと思ってやっているのが今のそれです」

●都会ど真ん中ですよね、外苑前は。そこにいながら自然を体感できるっていうのは素晴らしい機会だなと思うんですけれども、別の写真展ももうすぐ開催されるんですよね?

「そうなんですよ。銀座でもうひとつ『Blue+(ブルー・プラス)』っていう写真展をやるんですよ。写真を撮るダイバーさんってすごい多いんですよ。で、僕が先頭に立って、写真を撮るダイバーさんを100何名集めて、みんなで写真展しようって音頭を取ってやっている写真展を富士フォトギャラリー銀座で開催します」

●具体的にどんな写真になるんですか? 

「今回で6回目か7回目なんですけれど、今回は趣向を変えて、1枚の写真を上下左右反転させて、ちょっと万華鏡のような世界を作って、100何点を会場にわーっと並べて、ちょっとおかしな写真展です」

●へぇ〜! 素敵ですね! 万華鏡、ちょっと想像つかない世界なので興味深いです! 改めて鍵井さんの海への想いを聞かせていただけますか? 

「海への想いですか!?」

●ちょっと壮大になっちゃいますけど(笑)

「海、いいね! ダイビングって割と敷居が高いじゃないですか、ライセンスを取ったりしなくちゃいけないし・・・もちろんダイビングをされるのはいいと思うけれど、シュノーケリングとかあるじゃないですか、されますか?」

●はい! シュノーケリングはよくします! 

「シュノーケリングも海の魅力を感じることが十二分にできるので、まぁ海水浴は海水浴でいいけれど、ちょっとマスクとフィンを付けて、お魚の姿を探してみたりするのはいいんじゃないかなと思います」

●潜りながら水中カメラとかで写真を撮っている方も多いと思うんですけれども、私たちが水中カメラで撮影する時のコツとかがあれば、是非教えてください。

「わーっと(海に)入っていっても魚は逃げていくから、ちょっと待っていたら、次は魚のほうから寄ってきてくれるので、自分の思いだけで写真は撮れないですよね、自然の中では。だから海の中に入っていって写真を撮ろうと思う前に、ちょっとだけそこに馴染んでいたら、次は魚のほうから挨拶してきてくれるので、そういうのがいいタイミングじゃないかなと思います」

●では最後に鍵井さんにとって海とは?

「仕事場かな(笑)・・・まだ分からない、あまりにも身近すぎて。僕がもう引退間近になったら何か違う感情になるかもしれないけれど、今は海にどっぷり浸かっているし、あるのが当然だし、まだ分からない。もちろん大切なものには変わりはないし、愛おしいものでもあるし、はい」

☆この他の鍵井靖章さんのトークもご覧下さい


INFORMATION

青い庭

 現在、鍵井さんの写真展が外苑前の「Nine Gallery」で開催されています。
「青い庭」と題されたこの写真展は、都会の中の癒しの空間をイメージし、
およそ25点の新作が展示されているそうですよ。開催は7月11日まで。
期間中は、毎日夜7時から鍵井さんのギャラリートークが予定されています。
 詳しくは「Nine Gallery」のオフィシャルサイトをご覧ください。

◎「Nine Gallery」のオフィシャルサイト:https://ninegallery.com/exhibition/1089

Blue+(ブルー・プラス)

 そして7月9日からは写真展「Blue+(ブルー・プラス)」が銀座の富士フォトギャラリーで開催される予定です。ダイバー100数名のかたが撮った、万華鏡のような作品が展示されるそうです。開催は7月15日まで。
 詳しくは富士フォトギャラリーのサイトを見てください。

◎富士フォトギャラリーHP:http://www.prolab-create.jp/gallery/ginza/

新シリーズ「SDGs〜私たちの未来」第3弾! 草ストローに注目!〜ひとりひとりがちょこっとできるエコな選択〜

2021/6/27 UP!

 今週のベイエフエム / ザ・フリントストーンのゲストは、東京農業大学の学生で、ベトナムから草ストローを輸入し、販売する会社を起こした「大久保夏斗(おおくぼ・なつと)」さんです。

 「SDGs」は、「SUSTAINABLE DEVELOPMENT GOALS(サステナブル・デベロップメント・ゴールズ)」の頭文字を並べたもので、日本語に訳すと「持続可能な開発目標」。地球の資源を大切にしながら経済活動をしていくための約束で2030年までに達成しようという世界共通の目標=ゴールが全部で17設定されています。

 今週は17あるゴールの中から、主にゴール12の「つくる責任 つかう責任」、そしてゴール1の「貧困をなくそう」について。

 去年「HAYAMI」という会社を起こした大久保さんに、草ストローの普及活動を行なう思いなどうかがいます。

☆写真協力:大久保夏斗、HAYAMI

写真協力:大久保夏斗、HAYAMI
大久保夏斗さん

運命のいたずら!? 草ストローとの出会い

 大久保さんが草ストローを販売するようになったいきさつが、ミラクルなんです。

 高校生の頃にSNSで、ウミガメの鼻にストローが刺さった映像を見た大久保さんは、ショックを受け、環境のために何か自分にできることはないか、探していたそうです。そんな中、世界をバックパッキングで旅をしていたお兄さん、迅太(はやた)さんが、たまたま飛行機の隣の席だったベトナムの方から、ベトナムには草で作ったストローがあると教えてもらい、そのことを、帰国した際に、弟の夏斗さんに伝えます。

 東京農業大学の国際農業開発学科で学んでいる夏斗さんは、海洋プラスチックゴミの削減だけでなく、発展途上国の農業支援にもつながると考え、ベトナムの草ストローを日本に広めることを決意、会社を起業します。

 メンバーは大久保迅太さん、夏斗さん兄弟と、草ストローの存在を教えてくれたベトナム人のミンさんの3人。実はミンさんは2年間、日本に留学していたんです。そして去年の5月に、合同会社「HAYAMI」を創業し、草ストローの普及に邁進しています。

 “飛行機の座席がたまたま隣りだった”ことが、ミラクルを生んだ、まさに運命の出会いだったんですね。もしかしたら、神様が環境問題に関心の高い若者を引き合わせた、と言っていいかもしれませんね。

左から大久保迅太さん、ミンさん
左から大久保迅太さん、ミンさん

草ストローの3つの特徴

※それでは大久保夏斗さんにお話をうかがっていきましょう。プラスチック・ストローの代替品になる草ストロー、その特徴を教えてください。

「特徴としては3つあるんです。1つ目は環境保護。脱プラスチックの観点からもプラスチック・ストローではない草ストローを使うことで、環境保護に繋がっているだけでなく、完全生分解性、無農薬、無添加っていう特徴もあるので、使用後にゴミ削減のために、資源として活用するっていう特徴もあるかなと思っています。

 で、2つ目にベトナムの農村、ホーチミンという都市から離れた農村で栽培されているので、ベトナムの農村地帯の雇用も創出していて、発展途上国支援にも繋がっているかなという風に思っております。

 3つ目には、やはり紙ストローより耐久性に優れていて、紙ストローは長時間使用できなかったり、口に張り付いてしまうっていう感触があると思うんですけど、そういったことはなく、長時間使用していただけるところが草ストローの大きな特徴かなと思います」

写真協力:大久保夏斗、HAYAMI

●見た目はどんな感じなんですか? 

「見た目は、本当に草の茎そのものです。何か草と聞くと葉っぱを丸めているイメージを持つ方が多いんですけど、草の茎をそのまま使っています。緑色で、自然のものなので多少、色や大きさにばらつきがあるんですけど、本当に自然本来の、草の茎そのままを使った製品になっています」

●じゃあ草ストローの素材は、茎を持つ植物っていうことなんですか? 

「そうですね。植物名でいうと、カヤツリグサ科のレピロニアという植物なんですけど、イネ科に近い植物ですね」

●そのレピロニアっていうのは、ベトナムで栽培されている植物なんですね? 

「そうですね」

●じゃあ珍しい植物ではないっていう感じですね。

「主に東南アジアの熱帯地域で栽培されていますね」

写真協力:大久保夏斗、HAYAMI

●それが草ストローになるまでにはどんな工程があるんですか? 

「本当に草の茎をそのまま利用しているので、工程としてはシンプルです。洗浄して、あとはカットして殺菌してみたいな、本当にシンプルな過程で作ることができるので、そこで大型の機械を利用してCO2排出みたいなこともない製品です」

●製品化するまでに何か大変だったこととかありますか?

「やはりベトナムと日本の衛生基準っていうのはどうしても異なるものがあったので、現地に向けてゼロから衛生マニュアルを作成してお送りしたり、あとは日本での残留農薬検査だったり、衛生基準の食品分析センターというところで衛生の検査を行ないました」

草ストローを資源にする!?

※草ストローは実際、どれくらいの耐久性がありますか?

「基本的には紙ストローよりは耐久性があります。草の茎を乾燥させているので、初めは潰すとパリッと割れてしまうこともあるんですけど、植物の茎なので(飲み物を)飲んでいるうちに茎が水分を含んで柔らかくなって、潰しても割れにくくなる、耐久性が増すといったような特徴があるんですね。本当にふやけたりすることはないので、長時間使用していただくことは可能です」

●洗えば何回でも使えるってことですか? 

「無添加なので基本的に使い捨てを推奨しています。防腐剤などは添加していないので、植物の劣化だったり衛生面の観点から使い捨てを推奨して販売しています」

●なるほど〜。廃棄処分する時は元々は植物ですから土に返したりとかするんですか? 

「現在、導入店舗から具体的な回収方法っていうのはまだ構築できていないんですけど、今後はその使用後のストローを資源として活用するために、家畜の飼料であるとか、農家の堆肥として活用できないかっていうことは現在検討しています」

●確かに草ストローを砕いていくと家畜のエサになったりもしそうですよね。

「そうですね 。やはり一度、人間の口に付けたものなので、それを動物に与えても大丈夫かっていうところだったり、あとはストローでコーラを飲んだものと、コーヒーを飲んだものを一緒にして、餌にしちゃっても動物に影響がないかっていうところは、ちゃんと考えないといけないなと思っています」

●確かに環境にもいいですけど、ベトナムで栽培したものを適正な価格で輸入したら、栽培農家さんの支援にもなりますね。実際ベトナムの皆さんからの反響とかはありますか?

「やはりコロナ禍で雇用だったり、経済が停滞している中で始めた事業だったので、日本で草ストローを売ることができて、助けられているっていう風には言ってもらえて、すごく嬉しいなと思います」

写真協力:大久保夏斗、HAYAMI

草ストロー、評判は上々!

※大久保さんは草ストローを広めるために、学業の合間をぬって、主にメールや電話で営業活動を行なっているそうですが、いま全国で何店舗くらいのお店が草ストローを使っていますか?

「全国で現在、約160店舗で使っていただいております」

●あ、そうなんですね! 千葉でも使っているところはありますか? 

「千葉も何店舗かありまして、木更津にある”KURKKUFIELDS(クルックフィールズ)”さんだったり、佐倉市にある”笑みごはん”さんだったり、4店舗〜5店舗ほど、ホームページにも導入店舗リストっていう風にして記載させていただいてるんですけど、導入していただいております」

●じわじわと広がっている状況なんですね! お客さんの評判を聞かれることはありますか? 

「飲食店の方から言っていただける言葉でいうと、環境問題にお客さんが興味を持ってくれて、これ何のストロー? っていう質問をしてくれたっていう声だったり、珍しい見た目のストローでコミュニケーションのツールに繋がったであったりとか。あとは見た目もすごく自然で、紙ストローよりも長時間使えるっていうことで、環境に優しいっていうことがダイレクトに伝わって、いい商品だなという風に言っていただきました」

●小さなお子さんはお家でもストローを使う機会は多いですよね。

「そうですね。高齢者の方だったり小さなお子さんは、やっぱりストローを使う機会がどうしてもあると思うので、ストローを使わないっていう選択肢ももちろんありだと思うんですけど、それでも使っていただく必要があるお客様には、ぜひ草ストローを利用して欲しいなと思います」

写真協力:大久保夏斗、HAYAMI

<草ストローを使ってみた>

 実際に草ストローを使った、この番組のスタッフの感想としては、第一印象は見た目も手触りも素朴な感じで、これはいいな! と思ったそうです。植物の、空洞になった茎なので、色味も太さも微妙に異なりますが、ストローとしての機能は申し分ないとのこと。水分を含むと柔らかくなり、耐久性が増すことも確認。

 ただし、乾燥した状態のまま、指ではさんで押すと、パキッと割れてしまうので要注意! 特に幼児はストローを噛んでしまうので、事前に必ず水分を含ませ、柔らかくした草ストローを使うようにしたほうがいいと言ってました。草ストローの箱に使用上の注意が書いてありますので、事前に確認してから使ってくださいね。

サボテンの皮でサイフ!?

※草ストローのほかに何か新商品はありますか?

「今年の3月からサボテンの皮で作ったヴィーガンレザーのサイフの販売を開始しました」

●サボテンの皮からサイフができるんですか? ちょっと想像がつかないんですけれども、どういう風にどうなったらサイフになるんですか? 

「メキシコで有機栽培されているサボテンを使って、そのサボテンを皮にする技術を持ったメーカーがメキシコにあって、それを日本に輸入して、その皮から日本の長年続いている皮職人さんの手でサイフにしていただくっていったような工程で販売しています」

●サボテンで皮を作る技術やメーカーは、どういうところから情報を得るんですか? 

「インターネットなどで、サボテンから皮を作っているっていうのは、以前から知っていたんですけれども、日本にはなかなか普及していないっていうのもあって、ぜひサステナブルな生活の中の選択肢のひとつとして、日本に普及させたいなっていう風に思って販売を開始しました」

●サボテンの皮を使うことで、どうやってサステナブルになっていくわけですか? 

「まず、サボテンであれば水の量も少ないですし、そこまで豊かな土地でなくても育つっていうところがあるんですね。そこから本来、動物の皮で作られているものを植物性のもので作ることで、動物愛護だったり。
 あとは動物性の皮を作る時に、家畜もメタンガスを出していたり、その動物たちの飼料を育てる時に農業を大規模に行なわないといけないので、そういった観点から、サボテンから作ったレザーのサイフを長く使っていただくことで、環境にもいい影響があるのかなという風に思います」

●見た目はどんなおサイフなんですか?

「本当に皮は動物性の皮と同じような手触りで、耐久性もそこまで差異はないです。無駄のないシンプルなデザインで、今現在は黒の一色のみで男女両方に利用していただけるような形になっています」

ミッションは、エコな選択を提供すること

※それでは最後に大久保さんにうかがいます。去年、先行して始めた草ストローの輸入販売、今後はどのような展開を考えていますか?

「そうですね。今いちばん目指しているのは、やはり循環システムの構築ですね。草ストローを使ったあとに、ただゴミにするのではなく、それを資源として活用してゴミを出さないシステムを構築したいなと思っています。ただそこには、どうやってお店から草ストローを回収するのかっていう課題はまだまだあるので、そこもしっかり考えて、導入店舗を増やしつつやっていけたらなと思っています」

●大久保さんが思い描く理想の未来っていうのはどんな未来ですか?

「我々の活動ではひとつミッションのようなものを掲げています。それは”ひとりひとりがちょこっとできるエコな選択を提供し続けること”で、誰かひとりが100環境に優しいことをするんではなくて、ひとりひとりが少しずつ環境に優しいエコな選択をすることで、大きな環境問題を解決できるような未来になったらいいなと思っています」 


INFORMATION

写真協力:大久保夏斗、HAYAMI

 「HAYAMI」で輸入販売している草ストローは、完全生分解性・無農薬・無添加なので環境だけでなく人間にも優しく、日本の衛生検査も通過しています。

 販売価格は、20センチ20本入りで一箱400円、13センチ20本入りで一箱280円。「HAYAMI」のサイトから購入できます。ご家庭はもちろん、飲食店などを営まれているかた、プラスチックゴミを減らすために、ぜひ一度、草ストローを試してください。

 詳しくは「HAYAMI」のオフィシャルサイトをご覧ください。草ストローを導入している店舗のリストも載っていますよ。

◎「HAYAMI」オフィシャルサイト:https://www.hayamigrassstraw.com/

写真協力:大久保夏斗、HAYAMI

 大久保さんが草ストローとは別にこの3月から販売を開始した、サボテンの皮を使ったおサイフは「Re:nne(リンネ)」というブランドの新商品です。名前の由来は「輪廻転生(りんねてんしょう)」の「輪廻」で、「生まれ変わり続ける」がコンセプトになっています。

 動物の皮を使わずに作った製品で特に植物系の素材で作った「ヴィーガンレザー」は、サステナブルで動物愛護にもつながるエコ素材として、いまとても注目されています。原料は、木の皮のほか、キノコやパイナップルの葉っぱ、りんごの皮などでサボテンの皮を使っているのはとても珍しいそうです。

 「Re:nne」ではデザイン性、機能性、そしてサステナビリティを重視して、おサイフを開発。メキシコで製造されたサボテンレザーを輸入し、日本の熟練した皮職人さんがひとつひとつ丁寧に仕上げ、現在は黒の長ザイフと、ふたつ折りサイフの2種類を販売しています。

 詳しくは「Re:nne」のオフィシャルサイトをご覧ください。

◎「Re:nne」のオフィシャルサイト:https://rennetokyo.thebase.in

新シリーズ「SDGs〜私たちの未来」第2弾!〜SDGsをお笑いにのせて、わかりやすく〜

2021/6/20 UP!

 今週のベイエフエム / ザ・フリントストーンのゲストは、吉本興業所属の芸人さん「黒ラブ教授」です。

 「SDGs」とは、「SUSTAINABLE DEVELOPMENT GOALS(サステナブル・デベロップメント・ゴールズ)」の頭文字を並べたもので、日本語に訳すと「持続可能な開発目標」。地球の資源を大切にしながら経済活動をしていくための約束で2015年の国連サミットで採択され、2030年までに達成しようという世界共通の目標=ゴールが全部で17設定されています。その範囲は飢餓や貧困、環境問題、経済成長、そしてジェンダーに関することまで、いろいろな課題が入っています。

 きょうお話をうかがう黒ラブ教授は、東京大学大学院の研究員のほか、理系の大学講師、そして国立科学博物館認定のサイエンス・コミュニケーターとしても活躍していて、理系や科学系、そしてSDGsをネタにしたライヴで大人気の芸人さんなんです。いったいどんな活動をされているのでしょうか。後ほど、吉本興業のSDGsへの取り組みも含め、お話いただきます。

☆写真協力:黒ラブ教授

写真協力:黒ラブ教授

「世界をどんどんグッドにしたい!」

※それでは黒ラブ教授にお話をうかがっていきましょう。吉本興業のSDGsサイトのトップに、教授の講演会情報が載っていました。まずは、吉本興業がSDGsに取り組むようになったのはなにかきっかけがあったのでしょうか。

「もともと吉本興業って、“住みます芸人”とか、地域活性で都道府県に一芸人を置いて、色々と地域を盛り上げるみたいなことをやっていたんですよね。SDGsは基本的に地域活性の意味もあるので、当初からSDGsに関わってきていましたね。関わってきたというか、やっていたら(あとから)SDGsがきたみたいな感じですかね。

  それで『ジャパンSDGsアワード』っていう国の賞ですか、あれで特別賞をいただいたりとか、そうやって吉本興業はSDGsに関わってきているんですけど、黒ラブ教授自体はまた全然違うところからSDGsに関わってきていて」

●どういうことですか? 

「M1グランプリってあるじゃないですか、あれってお笑いで優勝するやつですよね。で、『サイエンスアゴラ』っていうイベントがあって、これは科学を分かりやすく伝える大会なんですね。そこで優勝させてもらったんです。

 僕がやっていることが、すごく難しい大学の科学を分かりやすく一般の人たちに伝えるみたいな芸風なので、それで優勝したので、国の組織から、SDGsって結構難しい内容なので、SDGsを伝えるのをやってくれないかって言われて、それならやりますって言って、それで僕の方は始まったんですよね、全然違うところから。
 で、たまたま吉本興業に所属しているので、“やろうよ! やろうよ!”ってなって、今に至るという、すごくわけの分からないストーリーでございました(笑)」

●普及活動っていうと黒ラブ教授は講演活動を主にされているっていうことですか? 

「そうですね。SDGsを笑って学べるようなイベントを今作っているんですけど、もともと科学のお笑いライブをやっていたんです。それよりも今SDGsの方が多く呼ばれるようになっているかもしれないですね。そのぐらいSDGsがメインになってきてはいますね」

●SDGsとお笑いってなかなか交わることのない2つの要素だと思うんですけれども、どうやって組み合わせているんですか? 

「SDGsって何の略か知ってる? って言った時に、結構多くの人が間違えていたので、間違えた例を紹介しますとか言いながら、例えば“スマブラ、ドラクエ、ガンダム、すげー、いや違うその略じゃないよ! SDGsってそういう略じゃないよ!”とか、

 “SDGsって何の略? そろそろお昼、どうする、ガストか、サイゼリア”とか、“いやいや女子高生の皆さんですか? 違う違う、世界の話だからね!”とか言って(笑)、

 そういう色んなところから、“サンマ、ダイコン、50%オフなら、即買い!”とか“よく言われるよね〜! 奥さんに言われたんだろうね〜”みたいな(笑)、“違うんだって! SDGsっていうのは〜”みたいな感じで、ボケとお笑いを混ぜながらしていて。

 その中でいいのを発見したんですよ、これは笑いではないですけどね。“SDGsって何の略? 世界をどんどんグッドにしたい!”、世界のS、どんどんのD、グッドがGで、したいがSなのでSDGs。“世界をどんどんグッドにしたい!”ってすごくいい、本物より分かりやすくないですか?」 

●分かりやすいです! 

「これはね、あ! と思っちゃいました(笑)」

写真協力:黒ラブ教授

誰でもできるSDGs。

※黒ラブ教授はSDGsをネタに講演会も数多く行なっていらっしゃいますが、なにか気をつけているってことありますか?

「誰でもSDGsって聞いちゃうとわけ分からなくなっちゃうので、これ誰でもできることだよ。例えば環境に気を使っているメーカーのお菓子を買うとか、そういう小っちゃなところから実はできるんだよとか。そこが実は相当な攻撃能力じゃないですけど、地球を動かすパワーになっていると思ってます。

 消費者が今SDGsに関していちばんパワーを持つ時代になってきていると思うので、そこら辺をお伝えすることと、あといかに、僕が環境系のことを喋っていると、なんか意識高い系の方なんだなぁみたいな、全然私と違うんだわと思われがちなので・・・僕がSDGsの講演とか逆に見ると、講演している方をそういう風に思えてしまうので、そうじゃないよみたいなことを伝えるのがメインかもしれませんね。自分が意識高いとかそういうような人間じゃないよ的な感じでやっていますね」

●みんなに関わってくることですよね。

「そうですね。みんなに関わってきて、みんながやらないと実は意味がないので。これまでの環境系の教育というか、運動ってどうしても意識高い系が出ちゃいますよね(笑)。なんかちょっと関係ないかなとか、そうやって随分、多分1987年ぐらいからサステイナブルっていう言葉は、持続可能なっていう言葉は作られているのにも関わらず、どんどん地球がやばいことになってきて、異常気象を起こしたり、結構やばいことになっているじゃないですか。でも環境活動は結構やっていたはずなんですよね、皆さん。やっている方はですけどね。

 それだとやっぱり進まないので、いかに全然普通というか、僕とかもそんな意識は高くないので、そういう人が実はやれるんだよとか。そういうところを目指したいので、わざと講演中、これよくないんですけど、ペットボトルを持っていきます、マイボトルじゃなくて(笑)。こいつ全然できてないじゃん! こいつ大丈夫か? って思わせるような、俺がやったほうがいいんじゃないか? というような感じに思わせたほうが多分やれると思う、印象深くなりますしね。

 SDGs講演っていうと真面目な話を今から聞かされるんだろうなって、思ってないかもしれないですけど、ちょっとあると思うんですよね。前ふりでインパクトや面白さも与えながら、こいつ全然ダメだな、みたいな(笑)結構意図的にやっていて。そんな人でも少しこういうこともできるんだ、みたいな。SDGsを全部守れって言ったらできなくなっちゃいますので、一部でもいいから、まずはそういうようなところを伝えられればいいなって思っていますね」

写真協力:黒ラブ教授

<「SDGs」の前身「MDGs」とは>

 さて、今回、黒ラブ教授から教えてもらったことがあります。それは「MDGs」。この「MDGs」は「MILLENNIUM DEVELOPMENT GORLS(ミレニアム・デベロップメント・ゴールズ)」の略で「ミレニアム開発目標」と呼ばれています。「SDGs」の前に定められた目標で、2000年に国連で採択され、2015年までに8つの目標を達成しようというものでした。

 その目標のなかで、貧困の撲滅や初等教育の普及などには大きな成果があったとされていますが、解決できなかった課題や、新たな環境問題などに対応するため、「SDGs」が誕生し、17の目標が設定されたということなんです。

 「MDGs」と「SDGs」の違いは、目標の数だけではありません。前身の「MDGs」は国連や国の政府が取り組みの主体だったのに対し、「SDGs」は国や自治体に加え、民間企業や一般の人々も取り組むことになっています。また、目的は「MDGs」が発展途上国の課題を解決することでしたが、「SDGs」は先進国の課題を解決することも含まれています。

 「SDGs」の17の目標=ゴールは2030年までに達成することになっています。私たちひとりひとりに、何ができるのか、「黒ラブ教授」もおっしゃっていましたが、お菓子を買うにしても環境のことを考えて作っているメーカーのお菓子を選ぶなど、消費者に出来ることってたくさんあるのではないでしょうか。

いかに続けるのかが、いちばん大事

※黒ラブ教授はSDGsの講演会で、こんなことを感じているそうです。

「講演をやりながらお客様からも学べるので。よく肥料を土に返すみたいな、生ゴミを肥料に返してみたいなのあるじゃないですか。そういうキットを売っていたりする地域があるんですけど、意識高い系の人ですら続かないんですって、大変で。それだとやっぱり一過性のものになって、SDGsムーブメント! みたいになるんだなっていうのを勉強して、やっぱりいかに続けるのかっていうのがいちばん。

 意識が高い人でもそういう行動が続かない人もいるんだから、そこをどうにか変えたいなと思ったりして、色々そういうことも言ったりしながら。結構裏のところをみんな言わないですよね、やっぱり恥ずかしいっていうか。 そういうありのままの声を聞けるのもやっぱり芸人の特質だろうなと、そういうところがありますね」

●17の目標の中で黒ラブ教授がいちばん気になっている目標っていうのはありますか? 

「これはですね〜何にしようかな(笑)。まぁ自分も貧困ちゃ貧困なので〜と思ったんですけど(笑)、いちばん大事なのは13番の気候だと思うんですよね。気候がダメになったら家も壊れたりとか、森も壊れたりとか、結構すごい力なので、そしたら貧困にもなりますし、台風とか異常気象とかで教育もできなくなる場合もありますし、なのでやっぱり13番、芸人としてはちょっとつまんない答えですね〜(笑)。

 なので! 気候をなおすには、多分住み続けられる街づくりをっていう11番があるんですけど。もともと僕たちは住み続けられちゃっているんですけど、そういう意味じゃないですけどね。すごく長い目で見た住み続けられる街づくりをなんですけど、それをしっかりできると多分気候もよくなると思うので、この住み続けられる街づくり、例えば小さな環境で世の中を回すというか地産地消というか、そういうようなところができると多分環境も汚さなくなると思うので、11番にします!」

写真協力:黒ラブ教授

難しい内容を分かりやすく

※教授は東京大学大学院の研究員、理系の大学講師、そして国立科学博物館認定のサイエンス・コミュニケーターの顔もありますが、なぜ芸人さんになろうと思ったんですか?

「昔から笑わせていた天才的な少年だったんですよ、まさかこんなに全然売れないとは思いませんでしたけど(笑)。じゃなくて、本当に昔から笑わせていたのは事実で、それでM1グランプリに行ったんですよね。その時まだ素人だったんですけど、たまたま新聞に載ったりして、やっぱりお笑いってすごいなって思ってやっていたんです。そのあと大学に行った時に、大学の授業すごくつまんなかったんですよ。大学の授業を見たら、すごくつまんなくさせる技術がてんこ盛りだったんですよね(笑)。

 ある意味すごく才能的な授業で、どんなに興味を持っていても眠くなるっていう魔法の性質があるんですよ、みんながみんなじゃないですけどね。で、お笑いもやっていたんで、いかに引きつけるか、笑わせるか、楽しくさせるかっていう技術も片一方で学んでいたので、もしかして難しい内容でも、こっちの面白い技術を入れればできるんじゃないかっていうのが、今の黒ラブ教授なんですよね。だからSDGsも実は難しい内容を話してるんですけど、おもしろおかしく簡単に見させるというか」

●東京大学の大学院では研究もされているっていうことですけど、それはどんな? 

「黒ラブ教授の活動が難しいものをどう分かりやすく伝えるかっていうことなんですけど、これって科学コミュニケーションっていう学問なんですね。研究は、黒ラブ教授自身をというか(笑)、それを論文にするというか、いかにみんなに伝えるか、他の方にもそのノウハウを伝えて、難しい内容でもいかに伝えるかとか。

 結構、科学コミュニケーターっていっぱいいるんですけど、多くが難しいものをわかりやすく伝えるには難しいものを省いちゃって、中身のない、へ〜だから何? っていうような説明になっちゃっていて、魅力がなくなっちゃうんですよね。その難しさに魅力があったりするところもあって、そこを加えながら、僕の場合、難しいことをうまく入れながらも分かりやすくするように努力するんですけど」

●そのバランスってちょっと難しそうですね? 

「もう本当それもさじ加減で、よく失敗もしますね。失敗するんかい!(笑)そんな感じですけど」

●サイエンスコミュニケーターっていう肩書きもありまして、すごいですよね。これも認定されるものですよね。

「そうなんですよ。これ国立科学博物館で、超勉強するんですよ(笑)。すごく時間がかかるんですよ。ずっと試験ばっかりあって、結構な難易度で、選りすぐりの人たちが集まってくるので」

●黒ラブ教授がこのサイエンスコミュニケーターってことは、すごいことなんですね。

「ちょっと自慢しておきました、ありがとうございます! 売れない芸人だからとりあえずそういうこと言っとかないと(笑)」

写真協力:黒ラブ教授

理系が地球を助ける!?

※最後に世界はまだまだコロナ禍のなかにいますが、2030年までにSDGsの17の目標を達成するためには、どんなことが大切だと思いますか。

「そうですね。職とかも失っている方が多くなってきちゃっていると思うので、まずはウイルスを抑えて、社会の混乱を減らすというか、完全にどうなるか分からないですけど、それがないと、余裕がないままだと人間ってやっぱり環境のことなんて気にしてられないですよね、正直言って。もう自分の環境が悪くなってきちゃっているので、まずはウイルスを抑える。まずそこが始まんないと多分SDGsが、今回コロナ禍になってプラスチックのゴミがすごく増えちゃったんですよね、ギュイーンって上がったんですよ」

●コロナ禍でどうしてプラスチックが? 

「梱包材が増えたじゃないですか、それですごいらしいんですよ、今、ゴミの業界に聞いたら。まずはそこら辺をもとに、巻き戻っているところが多いので。意外にロックダウンしても気候が少し直っただけで、やっぱり悪かったんですよね。
 少しだけしか直っていないというのは、ロックダウンしても駄目ってことは、じゃあどうするんだって話ですけど。相当社会の仕組みを変えなきゃいけないなっていうようなレベルになっているんですけど、ちょっとそう思いましたね」

●黒ラブ教授さんが思い描く未来像があれば是非教えてください。

「やばい、今のところ芸人なのに真面目なことしか喋ってない! やばいこれはやばいですよ!(笑)思い描く未来ですよね。やっぱり科学コミュニケーターで科学をやっている人間なので、科学っていい面もあるけども、やっぱり環境を壊した張本人のひとつでもあるんですよね、技術っていうのは。
 なのでやっぱり理系をもっと増やして、いい意味の理系の技術が少しでも上がって、今度は地球を助ける技術の発展を促したいので、そういう理系が増えればいいかなっていう、そういう未来を描いている真面目な黒ラブ教授でございます」


INFORMATION

 「黒ラブ教授」の活動についてはオフィシャルブログやTwitterをぜひご覧ください。
吉本興業が行なっているSDGsの活動にもご注目を!

◎「黒ラブ教授」オフィシャルブログHP:https://kurolovekyouzyu.web.fc2.com

◎吉本興業が行なっているSDGsの活動のHP:https://www.yoshimoto.co.jp/sdgs/

新シリーズ「SDGs〜私たちの未来」の第1弾!〜ビニール傘をアップサイクル「プラスティシティ」〜

2021/6/13 UP!

 今週から番組放送30年特別企画として新シリーズがスタートします。シリーズ名は「SDGs〜私たちの未来」。この番組ではおもに「環境」や「自然」に関する項目にしぼって、SDGsについて、みなさんと一緒に考えていきたいと思います。そして今月6月は「環境月間」ということで、3週にわたって新シリーズをお届けします。

 第1弾の今週は「SDGs」をひもときつつ、雨のシーズンということで、廃棄されるビニール傘を、トートバッグなどの製品にアップサイクルして販売するブランド「プラスティシティ」にフォーカス! ファウンダーでデザイナーの「齊藤明希(さいとう・あき)」さんにお話をうかがいます。

☆写真協力:齊藤明希(プラスティシティ)

齊藤明希さん

<SDGsとは?>

 きょうのゲスト、齊藤さんはバッグの専門学校在学中に「プラスティシティ」を設立、現在はトートバッグをメインにブランド展開、おもに自社のオンラインストアで販売しています。齊藤さんにお話をうかがう前に「SDGs」とはなにか、おさらいしておきましょう。

 SDGsは「SUSTAINABLE DEVELOPMENT GOALS(サステナブル・デベロップメント・ゴールズ)」の頭文字を並べたもので、日本語に訳すと「持続可能な開発目標」。

 私たちがこれからもこの星「地球」で暮らしていくために、世界共通の目標を作って、地球の資源を大切にしながら経済活動をしていこう、そのための約束がSDGsなんですね。

 2015年の国連サミットで採択され、2030年までに達成しようという目標=ゴールが全部で17設定されています。その範囲は飢餓や貧困、環境問題、経済成長、そしてジェンダーに関することまで、いろいろな課題が入っています。

 きょうはSDGsの、17設定されているゴールの中から「つくる責任 つかう責任」について考えていきましょう。

年間8000万本!?

●それでは齊藤さんにお話をうかがっていきましょう。ビニール傘のビニール部分をアップサイクルの素材に選んだのは、どうしてなんですか?

「もともとバッグの専門学校に入りたいって思ったのも、なるべく環境に優しい素材を使ってバッグを作ってみたいと思って専門学校に入ったんですね。だから何か素材をと思って、日頃から何が使えるかっていうのは探していて。東京の学校だったんですけど、通学している時にもよく雨の日には捨てられた傘を見ることも多かったですね。

 最初は例えばコルクとかも環境にいい素材だし、使えるかなって思ってちょっと試してみたり、ヴィーガン素材っていうのも市場に出始めてはいたので気になってはいたんですけど、そういうものを取り寄せて試すのがちょっとハードルが高く感じたっていうのもあったり、見たことある製品だったり、何かもうちょっと新しいものを探したいなとは思っていて。

 環境にいい素材って見る観点によってすごく意見が分かれるというか、難しいものだと思うので、どのみちゴミにされるものを再利用できるのが、いちばんのエコな素材なんじゃないかなっていう風に考え始めて、それから普段の生活で身近なところで何かないかなって探し始めました」

●国内で1年間に廃棄されるビニール傘がおよそ8000万本ということですけれども、それは齊藤さんはどのようにお考えですか?

「なんか想像つかない数だなって。私は最初こういう問題をテレビのニュースで知ったんですけど、でも8000万本って集まっているのを見たこともないし。ただブランドを始めて実際に回収した傘、3000枚のビニールが山積みにされているところを見た時に、私より背が高いくらい山積みにされていたんですけど、これでも3000枚なんだっていう、すごくそれは衝撃的ですよね」

写真協力:齊藤明希(プラスティシティ)

試行錯誤を経て開発した「グラス・レイン」

●ビニール傘のビニール部分はどうやって集めているんですか?

「ビニールの部分は、専門学校の時は本当にゴミを回収している方に直接“譲っていただいてもいいですか?”って聞きに行ったり、確実にゴミにされているっていうのが分かる傘を1本1本回収してましたね。

 道ばたで見つける傘や置いてある傘は、明らかにゴミに見えても、一応。所有権が分からないものなので勝手に取ってはいけないらしくて、なのでもう本当にゴミとして回収されたものだけを集めていたんですけど、ブランドになってからは、商業施設や鉄道会社さんのほうで回収された傘を大量に買い取っています」

●大体、ひと月でどれぐらい集まるものなんですか? 

「毎月集めているっていうわけではなくて、まとめて最初3000本分を一気に買い取って。だから定期的に回収するっていう感じですね」

●一般の方々からもビニール傘を集めているんですよね? 

「はい。数ヶ月前に始めた企画なんですけど、直接メッセージでお客様から、家にある傘を回収していただくことは可能ですか? っていう連絡がいくつかあったり、そういったこともあったので始めたプロジェクトです。1枚ビニール部分をある程度洗浄していただいて、ポストで投函していただいて、1枚につきオンラインストアで使える100ポイントと交換するっていうようなシステムになっています」

●どのくらい集まっていますか? 

「まだ100枚はいってないかなって感じなんですけど、でも徐々に集まってきて、今はトートバッグ1つ分ぐらいは集まっています」

●ビニール傘は、家にあるっていう方きっと多いと思います。

「気づいたら溜まっているっていう方がすごく多いので、どんどん送っていただきたいです!」

●廃棄されるビニール傘のビニールの部分を、独自の技術を使って新たな素材に生まれ変わらせて、「グラス・レイン」という風に名付けられましたけれども、そこに辿り着くまでも色々な試行錯誤があったんじゃないですか? 

「そうですね。最初は1枚のビニールで縫製をしてみたり、異素材と縫い合わせたり、色々試したんですけど、何をしてもやっぱりビニール傘のチープさから抜け出せなくて。

 いい素材と組み合わせてバッグを作っても、他の素材に頼っていたら、もはやビニール傘を使う意味がなくなってしまうって思って、そのビニール部分だけで、単体でもっと価値をあげないといけないなっていう風に考え始めて、そこからこのビニールだけで何ができるかっていうのを色々と実験し始めました。

 色々と塗ってみたりとか、のりを塗って何枚か重ねたりとか、どうやったらもうちょっと強度を上げて、見た目もよくするかっていうので、色々試行錯誤はしました」

*補足:齊藤さんは素材になるビニールの強度をあげるために、何枚か重ねていろいろ試したそうです。そして熱すれば硬くなる性質に気づき、アイロンで圧着すれば、接着剤を使わなくてもくっつくことを発見。そして独自の技術を施して、新たな素材「グラス・レイン」を開発されました。

写真協力:齊藤明希(プラスティシティ)

<傘をゴミにしないために>

 今週は新シリーズ「SDGs〜私たちの未来」の第1弾! SDGsの17ある目標から「つくる責任 つかう責任」について。ということで、廃棄されるビニール傘をアップサイクルしているブランド「プラスティシティ」の取り組みをご紹介しています。

 さて、雨の季節、急に降られて、仕方なくビニール傘を買って家に帰ったことってありますよね。どのご家庭でも2〜3本をあるであろうビニール傘を一般家庭で廃棄する時は、多くの自治体では不燃ゴミとして回収しているようですが、持ち手の部分のプラスチック、金属の骨、そしてビニール部分があるので、とてもリサイクルしにくい、やっかいなゴミになってしまいます。

 では、傘をゴミにしないコツはないのでしょうか。

 まず、番組としてご提案したいのが、国産の良質な傘を購入して大事に使う。

 日本の、傘を作る技術は優れていますが、海外で生産された安い傘におされて国内のシェアは激減しているそうです。国産の傘を購入することで、傘を作っている会社や職人さんを守ることにもつながりますよね。

 そして、大事な傘がもし壊れたら、ホームセンターやショッピングモールにある修理屋さんで直してもらいましょう。愛着のある傘は修理して長く使いたいですよね。

 続いて、徐々に広がり始めている、傘のシェリングサービスを利用する。

 駅前、商業施設、コンビニなどにある傘スポットからレンタルし、使わなくなった傘は返却するシステムで、1日70円で借りられるとのこと。

 詳しくは「アイカサ」のサイトをチェック! https://www.i-kasa.com/

 そしてご家庭にある、いまは使わなくなった傘は捨てずにリユースしてもらう。

 地域によっては傘の貸し出しサービスを行なっているところもありますし、発展途上国の支援物資として受け入れている団体もありますので、そこに寄付するのはいかがでしょうか。

 そして、これは傘本体ではないんですが、雨の日に、百貨店やショッピングセンターなどの入り口に設置してある、濡れた傘を入れるビニール袋、これもゴミになっちゃいますよね。

 そこで提案したいのが、自分だけの傘カバー。

 くるくる丸めてコンパクトになるので持ち運びが苦にならないし、傘を収納して肩にかけたりできる、機能的な傘カバーが市販されています。一度チェックしてみてくださいね。

 傘をゴミにしない究極のコツは、やはり私たちの意識を変えること、ではないでしょうか。

 仕方なく買ってしまったビニール傘を処分するときには、齊藤さんのお話にもあった「プラスティシティ」の一般家庭向けリサイクル・プログラムをぜひご利用ください。ビニール部分1枚で100円分のポイントがつきます。ビニール傘からビニール部分を取り外す方法や、送り方などは「プラスティシティ」のオフィシャルサイトをご覧ください。

◎プラスティシティ:https://plasticity.co.jp/

写真協力:齊藤明希(プラスティシティ)

便利さが無駄を生む!?

●実は齊藤さんは3年間、イギリスの大学に留学されていたそうですよ。イギリスでの生活が今の活動に何か影響を与えたことってあるのでしょうか?

「大学にいた頃は何も考えていなかったというか(笑)、今関心あるものを当時は感心が特になかったりしたんですけど、後々、変わったかなって思うのは、東京からイギリスのロンドンではなくてちょっと田舎の方に行ったんですけど、すごく色んなことが不便に感じてましたね。

 日本ってその便利さが、例えば何かが不便だったなって思ったら、それに対してのソリューションが製品っていう形であることが多いと思うんですけど、イギリスはそうではなくて、何か不便だなって感じたことは自分なりに受け入れないといけなくて。

 その時はめんどくさいなとか、何でもうちょっと東京みたいに進んでないだろうって思っちゃったりとかしたんですけど、でも逆に(日本に)帰ってきて、こんなに便利じゃなくてもいいんじゃないかなって。その便利さが結局色々な無駄を出している要因でもあるので、帰ってきてからやっと気付かされたことだと今は思います」

●具体的にイギリスで不便だったことって、どんなことなんですか? 

「それこそビニール傘はそんなに売っていないし、雨が降ったら、イギリスはよく雨が降るし、1日でもすごく変化が多いので、別に雨に打たれてもいいし(笑)、何かそういったことがあったり。

 あと傘とかは関係なく、例えば自動販売機があまりなかった町で、お店がすごく早く閉まってしまう、そういうのに不便さを感じたんですけど、お店が開いてる時に行けばいいし、自分がその環境に合わせて行動すればいいだけであって、何もかも今欲しいからっていう風に考えなくてもいいのかなって思いました。 お店が閉まっている分、そこで働いている人たちは早く家に帰って家族と過ごせているんだなとか、そういったことを考え始めました」

なくなるのが目標のブランド!?

●今週は新シリーズ「SDGs〜私たちの未来」の第1弾! SDGsの17ある目標のなかから「つくる責任 つかう責任」。

「プラスティシティ」のスローガンに「10年後はなくなるべきブランド」とありますが、これにはどんな思いがありますか?

「それは色々な思いがあるんですけど、私たちがこんなに簡単にビニールの素材が手に入ってしまうっていうのは、きっといいことじゃないし、10年後にはこんなに簡単に手に入らない素材であってほしい、それがブランドとしての目標かなって思います」

●このブランドを初めて何か意識の変化みたいなものってありました? 

「購入してくださった方のコメントとかを読んでいて、意識の変化っていうか分からないんですけど、気付かされたことは、こんなにも共感してくれている人が多いんだっていうこと。自分が関心があったり、気になっていたことが、こうやってブランドっていう形でローンチした時に、みんなも同じことを感じているんだっていう風に思ったことですね。

 あとはお客様の中で、SNSで投稿してくださった方で、私たちの製品ってもともと廃棄されている傘なので、どうしても取れない汚れだったりもあるんですけど、私はむしろそのサビの汚れがかっこよくデザインになるなって思って、それも取り入れたいと思っていて。

 それはすごくお客様によって反応が色々で、好む方もいれば、もうちょっと白いものがほしいっていう方もいらっしゃるんですけど、買ってくださった方の中で、透明なものを想像していて、届いた製品を見たら、サビが付いていてショックを受けたって言っていたんですね。

 でもそのショックを受けた、何でも新品で何でも新しいものを期待してしまっている自分の考え方を、意識することができたっていう風にコメントしてくださって、私も想像していなかった反応だったので嬉しいなと思って」

●最後に、この番組のリスナーに伝えたいことをお話いただきました。

「私は個人的に物を買うときは、購入することは一種の投票と同じようなもので、貢献したい会社だったり、こういうプロダクトが増えてほしいなっていうものに対して、なるべくお金を使うようにはしています」

●その製品を購入するだけじゃなくて、その背景も知ってもらいたいっていうことですか? 

「そうですね。ちょっと意識するだけでなくせる無駄だったり、ゴミになるものをちょっとでも減らせるのかなって。だからきょうあすからでも始められることって、きっと気にしていないとできないけど、ちょっとでも意識するとすぐに変えられることとか、行動に移せることってあるのかなっていう風に思います」

写真協力:齊藤明希(プラスティシティ)

INFORMATION

 齊藤さんは、廃棄されるビニール傘をアップサイクルするブランド「プラスティシティ」を立ち上げました。これは「つくる責任」の一翼を担っていると思います。「10年後にはなくなるべきブランド」という思いにも共感しました。みなさんは、どう感じたでしょうか。

 「プラスティシティ」で販売しているトートバッグなどの製品情報や、一般家庭向けのビニール傘のリサイクル・プログラムについて、詳しくは「プラスティシティ」のオフィシャルサイトをご覧ください。

◎ 「プラスティシティ」HP:https://plasticity.co.jp

生き物の営みを通して、人間のあり方を問う〜TV自然番組名物プロデューサーの視点〜

2021/6/6 UP!

 今週のベイエフエム / ザ・フリントストーンのゲストは、テレビの人気自然番組「生きもの地球紀行」や「ホットスポット 最後の楽園」、そして「ダーウィンが来た!」などを手がける名物プロデューサー「岡部 聡(おかべ・さとし)」さんです。

 岡部さんは1965年、大阪府生まれ。子供の頃からテレビの自然番組が大好きで、将来は海洋生物学者になりたいという夢を持つ少年だったそうです。そして進学した琉球大学ではサンゴ礁生物学を専攻、主に魚の分類に関する研究をされていたそうです。

 そして自然番組の制作を希望し、NHKに入局。その後、手がけた番組が海外の映像関係の賞を受賞するなど、その手腕は高く評価されています。現在はNHKエンタープライズ・エグゼクティヴ・プロデューサーとして活躍。また、先頃出版した本『誰かに話したくなる 摩訶不思議な生きものたち』でも注目されています。

 きょうはそんな岡部さんに、生き物の、不思議で奇妙な驚くべき生態、そして「ホットスポット 最後の楽園」のプレゼンターをおよそ10年務めた、福山雅治さんとの取材エピソードなどうかがいます。

☆写真協力:岡部 聡

岡部聡さん

イルカが漁を手伝ってくれる!?

※新刊『誰かに話したくなる 摩訶不思議な生きものたち』には、岡部さんが世界の取材先で目撃した、生きものたちの、不思議で奇妙な生態が、体験談とともに全部で14編掲載されています。まずはその中から、私が特に気になったお話をうかがっていきましょう。

●まず、人間の漁を手伝うイルカがいるということで、岸にいる人間には魚の群れがいつ、自分たちの前に来るのか分からない、どのタイミングで網を投げるのか、それを教えてくれるのがイルカ、ということですけれども、イルカが合図してくれるっていうのはどういうことなんでしょうか? 

「そんなことがあるのかとやっぱり思いますよね。ブラジルのラグーナっていうところの話なんですけれども、非常に特殊な地形をしているんですね。人間が立てるぐらいの砂浜があって、そこからちょっと行くと、もう20メートルくらいまで落ち込んでいるような地形になっているんです。

 そこに夏になるとボラが回遊してくるんですけれども、水が結構濁っているので人間からはどこにボラの群れがいるかは、同じ水面に立っている限りは分からないんですね。で、人間が(ボラを)獲る方法は投網ですから、自分の目の前、5〜6メートルぐらいまでしか投網って届かないので、何も見ずに投げると何も獲れないと。

 イルカはイルカで闇雲に追いかけてもやっぱり、獲れるでしょうけど、体力を使いますよね。で、人間が立てるくらいの浅瀬があるので、(ボラを)追いかけてもそこにザーッと逃げ込まれちゃうとイルカも獲れないと。それをどうやって解消しているかって言うと、イルカが(ボラを)人間の方に追い込んで、人間が網を投げるとそれでびっくりして、イルカの方に戻ってくるんですよね。それをイルカが獲っているっていう漁の方法で、両方にメリットがあると。

 だから人間からするとイルカが追い込んでくれる。イルカからすると人間が沖の方にボラを追い出してくれるっていうような関係があって、確かにボラの群れを追いかけている時のイルカの動きっていうのは、普通の動きとはちょっと違うんですよね」

●どんな動きになるんですか?

「背中を高く上げるような動きになるんですけれども、普通の呼吸とはちょっと違うような動きをするんですね。素人が見ていても言われないと分からないんですけれども、よくよく見ていると、背びれだけが上がるのか、背中全体が上がるのかっていうところで、確かにその1回だけは、全然それまで泳いでいる呼吸のための泳ぎとは違うような動きをするので、ベテランはすぐに、今イルカがこっちに魚を追い込んだっていうのが分かるそうです」

『誰かに話したくなる 摩訶不思議な生きものたち』

空中の葉っぱに産卵する魚!?

※岡部さんが先頃出された本『誰かに話したくなる 摩訶不思議な生きものたち』には、こんなお話も載っています。

●熱帯魚のコペラ・アーノルディという魚。魚という生き物の常識を超えた、世界で唯一のとびっきり変わった方法で産卵するという風に書かれていますけれども、これは一体どんな方法で産卵するんですか? 

「魚って基本的には卵に殻がないので、水中で卵を産むっていうことが前提になっているんですね。それは両生類までは卵に殻がないので、どうしても産卵は水中でやらないといけないと。
 爬虫類とか鳥類になってくると殻があるので、陸上に進出できるっていうのが普通の考え方なんですけれども、コペラ・アーノルディっていうのは水面の上にある葉っぱに産卵するんですよね。それは本当にオスとメスが上手く同調して、一緒に飛び上がって、ペタッと葉っぱに引っ付くんですね、2秒とか3秒ぐらい。

 その間にパパッと1回あたり多分10個ぐらいの卵を産むんです。その卵もメスが産卵する時にジェル状のものに包まれて乾きにくくはなっているんですね。ただ、そのまま置いておくと乾いてしまうので、オスが下にずっといて1分に1回ぐらいですかね、尾っぽで水を弾いてその葉っぱに、水面の上10センチぐらいの葉っぱに、狙いすましたように水をかけて、卵が乾かないようにします。大体2日くらい孵化するまでかかるんですけれど、ずーっとオスが水をかけ続けるという非常に変わった生態を持っている魚ですね」

●魚なのに水から飛び出して卵を産むってことですね。しかもちょっと上がったところじゃなくて、10センチってかなりピョーンって飛ばないといけないですよね。

「そうですね。体長4〜5センチぐらいの大きくない魚なので、自分の身体の2倍ぐらいの距離を飛んで、しかもピタッとくっ付きますからね。あれはやっぱり初めて見た時はびっくりしましたね。こんなこと本当にするんだと思って(笑)」

●面白いですね〜! なんで水中じゃなくて空中の葉っぱに産卵するんですか? 

「コペラ・アーノルディはコペラっていう種類の魚なんですけれども、コペラは他にも何種類かいて、他のやつは水中の葉っぱに産卵するんですよね。水中の葉っぱに産卵してオスが守るっていう生態を持っているんですけれども、アーノルディだけが水面の葉っぱに産卵するっていう方法をとっているんです。

 それはもちろん水中にあると当然外敵に食べられる危険が高くなりますから、水面より上に卵を産むことは合理的ではありますよね、外敵のことを考えれば。そんなところまで行って卵を食べようとする奴はいませんから、合理的ではあるけれども、じゃあどうやって乾燥っていうものを解決するのかっていうことが、普通の魚には、こういう言い方するとあれですけれど、思い付かないと思うんですよね。  

 彼らは、思っているわけじゃないですけれども、普通そんなことはやっぱり考えないですよね。魚って別に水面より上に卵を産むことを前提としてないですから、そんなこと考える必要もないわけですよね。それをどうやって、卵が上にあったら乾くから水をかけないといけないなっていう風なことを、思うことはないんですけど、なんでそういう生態が身に着いたのか、生まれたのかっていうのは本当に不思議で、いくら考えても分からないですね」

岡部聡さん

福山雅治さんとの撮影秘話!

※岡部さんが手がけた「NHKスペシャル ホットスポット 最後の楽園」では福山雅治さんがプレゼンターをおよそ10年担当されました。長いお付き合いになったんですね?

「そうですね。お互いこんなに長く続くとは思ってなかったんじゃないですかね(笑)」

●福山さんとの撮影で思い出に残っていることなどありますか? 

「大スターですから色々思い出はありますけれど、やっぱり第1シリーズで初めて行ったマダガスカルでの腸炎事件ですかね。お腹を壊して福山さんが寝込んでしまったという(苦笑)、ちょっとあれは本当に焦りましたね」

●どうしてお腹が痛くなっちゃったんですか? 何かに当たったとかですか? 

「原因はよく分からないんですけどね。インドリっていうサルを見に行ったんですけれども、明日から見に行くぞーって言って、泊まったロッジで朝起きて来なかったと。それでどうしたんですか? って聞いたら、どうもマラリアになったんじゃないかと思うくらい高熱が出ているっていう風に言われて、それはそれは焦りましたね。

 結局2本撮りだったんですね。ブラジルの真ん中の草原セラドっていうところに行ったのと、そこから南アフリカ経由でマダガスカルに行くっていう非常にハードスケジュールなロケで、疲れも溜まっていたんでしょうね。

 ブラジルを経験していたからちょっと安心っていうか、割と大丈夫かなっていうことがあって。レストランで出た飲み物に入っていた、氷に当たったんじゃないかなと思うんですけどね。結局あの時は福山さんチームとこちらのチーム合わせて7人ぐらいで行っていたんですけれども、その内の5人がもう大変なことになって(苦笑)」

●ええっ!? 

「僕とヘアメイクさんだけが何ともないっていうような感じで。あの時は、ああもうないなと、今後はないなと思いましたけど(笑)、結局(福山さんは)回復されてインドリにも無事にご対面いただいて、その後もバオバブを見に行ったり、ロケはほぼほぼ予定通り。
 2日くらい寝込んでいらっしゃったんですけれども、予定通りロケは終わって帰ってきたら、『笑っていいとも!』でネタにして笑っていました、本人も(笑)」

●福山さんって、画面からはすごく楽しんでいるように見えるんですけれども、やはり福山さんご自身も生き物や自然がすごくお好きなのかな? って印象があったんですが。

「どうでしょうね。僕もそうですけど、多分福山さんは、取り立てて生き物や自然が大好きっていうわけではないと思うんですよね。僕も30年も(自然番組の制作を)やっていたら生き物が好きなんですよね? って言われますけど、いや別に生き物ってそんなに大して好きとかっていうような対象ではないなと思っていて・・・。
 その代わり福山さんがよく言われるのは、生き物に対してはやっぱり畏敬の念とか、畏怖の念があるっていう風によくおっしゃっているんですよね。

 自然が好きって、多分このラジオのリスナーさんとかはそうだと思うんですけれど、自然が好きっていうのはちょっと語弊があって、それはものすごくよく知っている場所だったり、管理された自然は好きなんでしょうけれども、例えばアマゾンのジャングルの中に裸で放り出されて、でも俺は自然が好き! って言える人っていないと思うんですよね。

 自然っていうのは、本来はものすごく恐ろしい場所で、現代人が何の道具も持たずに行って、そこで生きていけるような場所では当然ないわけで、その中で生き物って何の道具も持たずに身体ひとつで生きていますよね。だからそういうところでやっぱり、人間はどうやっても敵わないなっていう思いが、福山さんは、畏怖とか畏敬の念っていう言葉になってくると思うんですよね。

 福山さんは非常に言葉を大切にされる方なので、気軽にそんな軽々しく、生き物や自然が好きです! みたいなことは言わないですね。言ってくれって言っても言わないです、全然。それを踏まえた上で、やっぱり原生の自然の中で生き物が生きていること、あるべきものがあるべき場所にあるっていうことの居心地の良さっていうのがある。それを人間が壊していってるんだっていう問題意識は共有できているという風に思っています」

岡部聡さん

野生のトラに襲われた!?

※新刊『誰かに話したくなる 摩訶不思議な生きものたち』に掲載されている中から、もうひとつ、とんでもない体験談をうかがいましょう。

●地球上で最も怖い生き物ということで、岡部さんがインドのトラをこの本で挙げていらっしゃいますけれども、野生のトラと対峙したことが3回もあるんですよね。しかもその内の1回はトラとの距離が1メートルもなかったと本に書かれていましたけれど、どういう状況だったんですか? 

「あれはいつだったかな・・・1993年だったと思うんですけれど、インドの真ん中にバンダウガルっていう国立公園があって、そこにメスのトラを撮りに行ったんですね。動物写真家の飯島(正広)さんがその7年前に撮影に行ってました。

 シータっていう名前が付いたメスのトラがいて、その時、やはりトラって、今でもそうですけれど、絶滅の危機にあって・・・国立公園の中にいるんですけれど、人間がどうしてもそこに入っていて、人間との衝突が起こっているっていうことがよく言われていたので、飯島さんが7年前にあったシータが、どういう運命を辿っているのだろうかっていうのを見に行くドキュメンタリーの『生きもの地球紀行』だったんですけれども。

 そのシータを見に行くと当然周りにはオスのトラもいるわけですよね。その中でチャージングタイガーって言われている、その時にいちばん若くて大きなトラがいて、それがシータの縄張りと重なっている場所にいたんですね。
 シータを追いかけていると当然そのチャージングタイガーとも出くわすわけですよね。メスのトラは割と大人しくて、もちろん怖いんですけど、テレビ的に見るとガオーってこないんですよね、優しいから。

 オスのトラはやっぱり獰猛ですから、なんかするとこっちに向かって威嚇してくるので、そういうシーンも必要でしょうと。それだけではないんですけれども、たまたまそのチャージングタイガーがいるっていうことを聞いて、草むらの中にいたんですね。非常に高い2メートルぐらいある草むらの中にいて、この辺にいるって言われたんですけど、どこにいるか分からなかったんです。

 でも行かないと向こうから出てくるわけがないので、こっちからゾウの背中に乗って近づいていったんですね。基本的にはトラはゾウには襲いかからないと言われていたので、それを信じて安心して行ってたら、草むらの中から突然、トラが飛びかかってきたというようなことですね(笑)」

●でも、実際襲いかかってきて、岡部さんはどうされたんですか? 

「いやもうね、多分人生で初めて気を失っていましたね、記憶がないんです。いわゆるホワイトアウトしていましたね。目の前で、1メートルのところにトラの大きな顔があって、そこで僕の記憶はもうなくなっている。多分10秒ぐらい気を失っていたんじゃないですかね、あまりの恐怖に」

●ええっ〜!? でも本には、二度と会いたくないと思う一方で、どうしようもなくもう一度、野生のトラを見てみたいと思わせる魔力があるという風に書かれていましたけれども、その魔力っていうのは何なんですか? 

「僕の中ではトラってやっぱり地上でいちばん怖い生き物、いちばん強い生き物っていうイメージが今でもありますね。だってオスのトラって頭から尻尾の先まで入れると2メートル50センチぐらいあるんですよね。体重も200キロぐらいあって、その巨体で3メートルぐらい平気で飛ぶんですよね。ゾウの上を飛び越えていくって言いますから、本気出せばね。

 そんな身体能力、大型力士が3メートル飛ぶんですよ。そんな生き物、ほかにいないですよね。多分体重200キロですから、あの時僕はゾウに乗っていて、足は下に降ろしていましたから、足にかぶって噛み付かれて引きずり下ろされたら絶対敵わないですよね、もう絶対耐えられないと思います。

 それだけすごい生き物が、この地球に一緒に同時代に生きているっていうのはやっぱりすごいことだなと。多分ジュラシックパークじゃないですけど、ティラノサウルスがいたらやっぱり見てみたいと思うじゃないですか。現代で言ったらトラってそれに近いものがあるし、やっぱり簡単に見られないですからね、野生のトラは。あれだけ勇猛果敢な生き物っていうのは、ほかにはちょっと思い浮かばないですね。そういう生き物は、また会いたくないと思う反面、また見てみたいという気持ちは何処かにはあります」

生き物の魅力を伝える

※岡部さんは30年以上、自然番組の制作に携わっていらっしゃいます。海外の辺境や秘境と言われる場所に行って撮影するのは、大変な労力を必要とすると思いますが、その原動力は何ですか?

「やっぱり楽しいっていうのはありますよね。生き物の姿を間近で見るっていうのは楽しいっていうのもありますけれど、原動力っていうとやっぱり、子供の頃からずっと違和感を感じていたのは、この地球上にある土地って誰かのものっていう風に決まっていますよね、大体、国があるところって。地球上で誰のものでもない土地って、南極大陸ぐらいしかなくて。所有者がいますよね、国でも何でも。

 土地が所有されているからには、その所有者がどうするか次第で開発されたりしてしまいますよね。でもそこには元々生き物が棲んでいたわけで、じゃあその生き物ってどうすればいいの? っていう風なことを、子供の頃からずっと思っていたんですね。
 やっぱり生き物は環境の中で必死になって生きていて、役割があるわけですね。人間だけです、地球上で何の役割も持っていない生き物っていうのは。

 環境に対して何の貢献もしていないし、やっぱり自分は人間は生きていたいから生きているだけで、それで環境破壊しているっていうのは、ちょっとおかしなことだなってずっと思っていて・・・生き物の魅力を伝えることで、もうちょっと考えた方がいいなと僕は個人的には思っているので、そういうことをちゃんと伝えたいなということですかね」

●改めて岡部さんが制作する自然番組で、いちばん伝えたいことってどんなことですか?

「伝えたいことは、やっぱり生き物っていうのは長い時間をかけて進化してきたというか、それがどういう風に生きているか。その生き様っていうのは、環境の中で必死になって生きるために、人間が思い付かないような進化を遂げているので、その面白さを伝えたいっていうことですね。そこから後のことはもう見ている人が考えることであって、いちばんやりたいのは、生き物の魅力をどうやったら伝えられるのかっていうことを考えますね 」


INFORMATION

誰かに話したくなる 摩訶不思議な生きものたち


『誰かに話したくなる 摩訶不思議な生きものたち』

 岡部さんが世界の取材先で目撃した、生きものたちの、不思議な生態が体験談をまじえて14編掲載されています。改めて生物や自然の奥深さを思い知らされました。ぜひ読んでください。文藝春秋から絶賛発売中です。

◎「文藝春秋」HP:https://books.bunshun.jp/ud/book/num/9784163913155

農家さんの思いとともに〜茨城県那珂市「地域おこし協力隊員」の活躍〜

2021/5/30 UP!

 今週のベイエフエム / ザ・フリントストーンのゲストは、茨城県那珂市(なかし)地域おこし協力隊の「入江紫織(いりえ・しおり)」さんです。

 入江さんは地元の農家さんや飲食店、農業関係者のみなさんと一緒に、コロナ禍で販路を失った農産物を、マルシェを開催して販売するなど、農業の活性化に力を入れていらっしゃいます。

 きょうはそんな入江さんに地元の農家さんの支援活動や、農業への想いなどうかがいます。

☆写真協力:入江紫織

入江紫織さん

自然に溶け込んで農業がある那珂市

※それではさっそくお話をうかがっていきましょう。

●入江さんは茨城県那珂市の、地域おこし協力隊のメンバーとしてご活躍されていますけれども、まず、この地域おこし協力隊とはどういったものなんでしょうか? 

「地域おこし協力隊は総務省が主体となって実施している事業です。全国47都道府県に地域を盛り上げるっていうことをしたい方が、たくさん隊員として派遣されているんですけれども、皆さんそれぞれ、自分たちの得意分野を活かしながら、町おこしの活動を3年間限定でするっていう事業ですね」

●何人ぐらいメンバーっていらっしゃるんですか? 

「メンバーは、今は全国で5500人ぐらいが活躍されていますね」

●そうなんですね。全国色々な地域おこし協力隊があって、入江さんは那珂市の地域おこし協力隊ということなんですね。茨城県の那珂市のご出身でいらっしゃるんですか? 

「あ、全然出身じゃないですね」

●あれ? じゃあどうして那珂市の地域おこし協力隊に応募されたんですか? 

「私の前職が日本農業新聞という新聞社に勤めておりまして、その時は農家さんに農業の最新情報を発信する立場だったんですけれども、それとはまた別に、一般の消費者の方に農業の魅力をお伝えすることにすごく興味を持ち始めて、それをちょうど募集されていたのが那珂市だったので、エントリーして、ご縁をいただいて採用いただきました」

●今は那珂市に移住されているということですか? 

「そうですね」

●那珂市ってどんなところですか? 行ったことないんですけれども。

「那珂市はすごく景色が豊かで、例えば白鳥が冬になったらシベリアから飛来してきて、色んな湖に白鳥がいたりとかして、あとは、干し芋の大産地なので、季節になると色んな所で農家さんが干し芋を干している風景が見られたりですとか。お蕎麦も花がすごく真っ白で綺麗なので、そういう景色が見られたりですとか、すごく自然に溶け込んで農業があるっていう地域ですね」

●たくさんの農産物が作られている場所なんですね。入江さんのご実家も農家さんでいらっしゃるんですか? 

「そうですね。農業関係者で実家が京都市なんですけれども、九条ネギの卸売の仕事を実家がしておりまして」

●じゃあもう昔から農業に対する思いというのは強かったわけなんですね。

「そうですね。生まれた頃からそんな感じですね」

ドライブスルー形式でセット販売!?

※具体的にどんな活動をされているのか、教えてください。

「地元にフェルミエ那珂というチームがあるんです。だいたい40人ぐらいがいらっしゃるんですけれども、地元の農家さんですとか、あと飲食店ですとか、JAさんが集まって農業を盛り上げようというので色んな活動しています。私はその団体のPRですとか、マルシェのお手伝いですとか、それを通した農産物の販売促進等をさせていただいています」

写真協力:入江紫織

●具体的にどんなことをされているんですか? 

「具体的には月に1回マルシェを開催したりですとか、あとは法人化をしたので、これから色々積極的にPRしていきたいっていう方のブランディングをお手伝いさせてもらったりしています」

●マルシェってどういう形で開催されているんですか? 

「1箱のダンボールに野菜を10品目程度入れて、2000円で販売させてもらっております」

●どれぐらい用意されているんですか? 

「だいたいいつも50箱用意させてもらっています」

●次のマルシェの開催は、どのように皆さん把握されるんですか? 

「公式のインスタグラムを作っておりまして、そこで最新情報を更新しております」

●なるほど!

「マルシェは地元の農産物直売所の、ふれあいファーム芳野っていうところがあるんですけれども、そこの駐車場をお借りして開催しています」

写真協力:入江紫織
写真協力:入江紫織

●先ほどの、PRっていうのは農家さんのPRっていうことなんですか? 

「そうですね! 主にインスタグラムを通して情報を発信させてもらっていますね」

●今はインスタグラムを使って色々PRされているわけですね〜。例えばどんな風にPRされるんですか? 

「例えば今月入るお野菜の、このトマトを作っている農家さんはこういう方ですよとか、こういうところにこだわりを持って普段栽培されていますっていうのを、野菜と農家さんの顔写真とセットで紹介したりですとか、そういう取り組みをさせてもらっています」

●ドライブスルー形式で農作物の販売も以前されていたんですよね? 

「そうですね。私が着任したのが去年の4月1日だったので、ちょうどコロナってなんだろうみたいな、みんなが分からない時期だったんですね。農家さんたちもマルシェを中止されていたので、何かいい方法ないかなと思って、ドライブスルー形式でダンボールに野菜を詰め合わせて、セット販売するっていう方法を提案して、それが少しずつ形を変えて、今ではテイクアウト形式(マルシェ)で野菜を販売するっていうのをさせてもらっています」

●珍しいですよね! ドライブスルーで販売っていうのは。お客さんたちの反応はいかがですか? 

「やっぱり当時はなかなかイベントもないし、ずっと家にいがちで、スーパーにもやっぱり買い物に行くの怖いわっていう方が多かったと思うんですけれども、こうやってちょっと外に出て行くきっかけが出来てよかったですとか、那珂市ってこんなに新鮮な野菜をたくさん作っている農家さんがいるんだねとか、色々お声がけをいただいて、農家さんのことを紹介できていたのかなっていう風にその話を聞いて嬉しかったですね」

写真協力:入江紫織
写真協力:入江紫織

フードロスと、脱プラへの取り組み

※入江さんは活動の一環としてフードロスを減らす取り組みもされていますよね?

「そうですね。これは茨城県のイチゴ農家さんで梅原農園さんっていらっしゃるんですけれども、その農家さんの捨ててしまっていたイチゴを、地元の生パスタ専門店で生パスタに加工してもらって販売したいっていうのを、地元の水戸農業高校の生徒さんが企画されていたんですね。ただ販売先がないっていう相談を受けて、それだったら是非マルシェで販売してくださいってお話をして、先月初めて販売させてもらいました」

●高校生たちとコラボっていうのもいいですね! 地域全体で盛り上がっていく感じがしますよね。あと「粉活プロジェクト」というのもちょっと気になったんですけれども、これは何でしょう? 

「これもやっぱり廃棄される野菜ですとか、質はいいけれど、まだ食べられるのに捨ててしまわないといけないっていう野菜が結構日本にはたくさんあると思うんですけれども、そういう野菜を買い取って粉末化します。粉末化するとやっぱり栄養分がすごく高まったりとかするので、それを日々、スープに入れたり、お味噌汁に入れたりして、手軽に栄養補給しましょうっていうプロジェクトを始めました」

●新しい発想ですね! パウダー状にするっていうのは。そういうことをしながらフードロスを減らしていこうという取り組みなんですね。地元の農家さんたちと脱プラスチックの取り組みも始められたということですけれども。

「本当につい最近始めて、まだ色々打ち合わせ中なんですけれども、農業の現状っていうのが、例えばトマトを作る時に、大きなハウスを建てるのにたくさんのプラスチックを使わなきゃいけなくて、ビニールハウスなのでそれを止めることって、やっぱりどうしてもできないんですね。

 ほかで何かプラスチックを捨てずに取り組むことができないかなっていうので、皆さんも多分スーパーとかで袋に入った野菜を見たことあると思うんですけれども、あの袋を少し再利用したものにできないかなとか。あとはあれを半分だけでも紙にできないかなとか、少しずつなんですけれども、打ち合わせを進めているところです」

●農家さんご自身も皆さん変わろうという努力をされているわけなんですね!

「そうですね!」

高齢化で毎年、栽培面積が増える!?

※入江さんは、以前、日本農業新聞の記者として、全国の農家さんを取材されていたということですが、現在、多くの農家さんが抱えている問題はなんでしょうか。

「やっぱりいちばん大きいのは、もう皆さん多分もうご存知かと思うんですけれども、高齢化がどんどん進んできていて、これから農業を始めようとか、まだ農業できるっていう農家さんに、耕してほしいっていう農地がどんどん集まってきているのが結構問題で、やっぱり毎年毎年、栽培面積を増やさなきゃいけないっていう農家さんが出てきていますね」

●どうして栽培面積って増えていっちゃうんですか? 

「毎年高齢化してきて、今年からもう畑を耕すのをやめるっていう農家さんがいるので、そういう方の農地を引き受ける農家さんや、これから営農するっていう農家さんの使命みたいな形になっていますね」

●そのまま放置するっていうのは出来ないっていうことですか? 

「放置すると隣の畑に影響を及ぼして、草がぼうぼうだと隣の畑も同じような影響を受けたりするので、耕し続けないといけないっていうのがありますね」

●新しい農業の形っていうのは生まれてきているものなんでしょうか? 

「少しずつ農業もデジタル化ですとか、農業DXと言って、どんどん国も推進している事業があるんです。例えば栽培管理を、昔ながらの天候を見て、野菜の葉っぱの様子を見て、勘で分かるっていう風な栽培は結構もう難しくなってきています。
 それをデータ化して見える化するとか、あとは最近ドローンを使って農業を始めたいっていう農家さんも増えてきていて、ドローンが実際に動いてるところを見ましょうかってことで、ドローン飛ばしてくれるメーカーさんに見学会を開いていただいたりしました。これから那珂市の農業もどんどんDX化していくのかなっていう風に思っています」

●入江さんご自身も農園を借りて野菜を育てていらっしゃるとうかがったんですけれども、どんなものを育てているんですか? 

「去年はサツマイモを植えて、地元の子供たちの収穫体験として使わせてもらったり、あとはトマトとかナスとかオクラを栽培したりしましたね」

●実際育ててみていかがですか? 畑にいる時ってどんなことを感じますか?

「やっぱり安定して野菜をいつも収穫して出荷している農家さんってすごいなって思いますね。大雨が降ったあとに天候がよくなると、すごく草がぼうぼうになったりするんですけれども、毎日栽培管理を丁寧にしているから、私たちって食べ物を安定して食べられるんだなって。栽培して失敗することすごく多いので、それを体験しているからこそ余計に食べ物を大切にしなきゃいけないなと思う気持ちが強くなっていきましたね」

写真協力:入江紫織
写真協力:入江紫織

農家さんの思いも一緒に

※最後に、入江さんが「地域おこし協力隊」の活動で、特に心がけていることを教えていただけますか。

「特に心掛けているのは、農家さんの思いと共に農産物を届けたいなっていつも思っているので、農業を始めたきっかけや、どういうところにこだわって日々農作業をしているのかを、きちんと情報として自分も入れておくことと、最近どういうこと困っていますかとか、そういうことはいつも頭の中に入れて活動していますね」

●じゃあ結構頻繁にコミュニケーションを取られているんですね。

「そうですね」

●これまでの活動でいちばん喜びを感じた時ってどんな時ですか? 

「初めてドライブスルー・マルシェって開いた時に、消費者のお客様から、”那珂市に新しい風を吹かせてくれてありがとう”って言っていただいたのがすごく嬉しくって。やっぱり県民性なのか市民性なのか分からないんですけれども、どうしてもPR下手だったりとか、すごく魅力があるのにそれを露出するのが苦手な方がすごく多くて、それをうまく出せた瞬間なのかなと思って、それがすごく嬉しかったですね」

●日本全国の方に那珂市の魅力をもっともっと知ってもらいたいですよね! 

「そうですね!」

●改めて、この番組を聴いてくださっているリスナーさんに伝えたいことがあれば、是非お願いします! 

「多分この番組を聴いている方も、地域おこし協力隊と付き合う機会っていうのも多分あると思うんです。皆さん色々思いを持って、首都圏からはるばるその地域に根付こうと思って活動している方なので、是非優しく接していただきたいと思います。
 あとは日本の農業って結構マイナスに言われることもすごく多いんですけれども、個々の農家さんはすごく努力して日々農産物を作っていらっしゃるので、是非スーパーとか直売所に行かれた時には、なかなか難しいかもしれないけど、その思いと共に一緒に購入して、家で料理していただきたいなって思います!」


INFORMATION

 入江さんの活動については那珂市「地域おこし協力隊」のサイトをご覧ください。

◎那珂市「地域おこし協力隊」HP:https://www.city.naka.lg.jp/iinakakurashi/page/dir000068.html

 個人的な活動として入江さんは、仲間と一緒に一般社団法人「ベジタブル漢方協会」を設立。不足している栄養素を野菜などの粉末で、毎日の食事に効果的に取り入れましょうということで、「ベジタブル漢方アドバイザー」を養成する講座を立ち上げました。

 詳しくは「ベジタブル漢方協会」のオフィシャルサイトを見てください。

◎「ベジタブル漢方協会」HP:https://vegekanpo.com/

 「粉活プロジェクト」については以下のサイトをご覧ください。

◎「粉活プロジェクト推進委員会」HP:https://kona-project.jp/

ツキノワグマの知られざる生態〜クマはタネの運び屋!?〜

2021/5/23 UP!

 今週のベイエフエム / ザ・フリントストーンのゲストは、東京農工大学大学院・教授「小池伸介(こいけ・しんすけ)」さんです。

 小池さんは1979年、名古屋市生まれ。東京農工大学卒業後、日本生態系協会などを経て、現職の東京農工大学大学院・教授に。専門は生態学など。現在は東京の奥多摩、栃木、群馬などの山林で、ツキノワグマの生態や、森との関係などを調査・研究されています。

 きょうはそんな小池さんにツキノワグマの知られざる生態や、クマの視点で見る日本の森のお話などうかがいます。

☆写真協力:小池伸介、横田 博

小池伸介さん

ツキノワグマ=アジアクロクマ

※それではさっそく小池さんにお話をうかがっていきましょう。

●そもそも小池さんは、ツキノワグマの研究者と言ってよろしいんでしょうか? 

「そうですね。実はツキノワグマだけじゃなくて、私は森林の研究をしているので、森林に生活している色んな生き物を対象にはしているんですけれども、ツキノワグマに関してはもう20年以上研究対象としていますね」

●去年『ツキノワグマのすべて〜森と生きる。』という本を出されましたけれども、この本はこれまでの研究の集大成といってもいい本ですよね。

「そうですね。22年ぐらいツキノワグマと関わっていて、その間、学んだこととか、現場で撮った写真を、写真家の方の写真と併せて掲載したものになりますね」

●第4章に、ツキノワグマがわかるQ&Aというのがあって、ツキノワグマ初心者の私でもすごく楽しく読めました。まず「ツキノワグマは世界のどこにいるの?」という問いがあったんですけれども。

「日本だとツキノワグマっていう名前なんですけれども、世界的に見るとアジアクロクマっていう名前なんですね。その名前の通りアジアに広く分布していて、西はイランあたりで、東南アジア、東の端が日本っていうように、アジアの広い地域の森林に生息するクマの種類になります」

●日本の固有種ではないっていうことなんですよね?

「固有種ではないですけれども、ただやっぱり大陸にいるツキノワグマに比べると、日本のツキノワグマはちょっと体が小さいって特徴はあったりします」

『ツキノワグマのすべて〜森と生きる。』

●続いて「ツキノワグマに天敵はいるの?」という問いもありました。

「今、日本ではツキノワグマを襲って食べたりするような野生動物はいないですね。ところが、海の向こうのロシアなんかですと、ちょうど沿海州と言って、北海道の対岸あたりを我々も調査しているんですけれども、そこだとツキノワグマの天敵は実はトラだったりするんですね。ツキノワグマはやっぱり冬眠しますので、そうするとその冬眠中のツキノワグマがトラに襲われたりするっていうのが結構知られています」

●この問いにも書いてありましたけど、「冬眠中に筋力は落ちないの?」というのがありまして、確かに人間は動かないと筋力って落ちちゃうイメージありますよね。

「そうですね。よく宇宙に行った宇宙飛行士が帰ってくると、筋力が弱くなっていたりとか、骨が弱くなっていたりとかしますね。
 冬眠は3ヶ月から長いと半年ぐらいにわたって穴の中でじっとしているんですけれども、その間に骨も弱くならないですし、筋力も大きく落ちることはないんですね。

 まだ分かっていないところは非常に多いんです。例えば筋力に関しては、冬眠中のエネルギーっていうのが秋の間に溜めた脂肪なんです。それをうまく使っているわけですね。それで命を維持しているんですけれども、その過程で出てくるタンパク質を上手く筋肉の方に回しているんじゃないかってことが知られています」

●へ〜! じゃあ冬眠を終えた後も、何事もなかったかのように動き回る生活が始まるっていうことですか? 

「そうですね。春になったら動きますし、実は冬眠中でもずっと寝ているわけではなくて、うとうとしているんですね。我々が朝、布団から出たくても出られないようなあんな感じで、うとうとしていて。
 近くを人が通るとか、何か人が作業をしたりすると、パッと起きて、穴から(匂いを)嗅いだりするんですね。いきなり走って逃げていったりとか、そんなこともできたりするので、やっぱり何かあった時のために、行動できる筋力を失わないんじゃないかって言われたりしています」

撮影:横田 博
撮影:横田 博

ツキノワグマの生態

※改めてツキノワグマの特徴といえば、なんでしょうか?

「色々あるんですけれども、やっぱりひとつは名前の由来になっている月の輪というところです。本にも色々写真がありますけれども、首もとにある三日月のような白い模様がツキノワグマの特徴のひとつですね。
 ただ、ほかのクマでも、例えば東南アジアにいるマレーグマとか、あとヒグマの中でもそういう模様を持つ個体はいるんですね。その中でもツキノワグマは白が非常に美しい三日月のような模様があるというのはひとつ特徴になりますね」

●その月の模様っていうのは個体によって、大きさとか形も異なってくるんですか? 

「そうなんですよ。我々の指紋と同じように個体によって模様が違うんですね。非常に綺麗な三日月のような模様のクマの写真がよく見られるんですけれども、中には真っ黒のもいたりとか、あとはエプロンのようにすごく大きい白い模様があったりとか、右半分しかない、左半分しかないとかっていうように、個体によって違うので、その模様の違いを使って個体を識別して、山の中に何頭いるかを数える取り組みも行なわれたりしています」

●なるほど〜。日本にだいたい今、ツキノワグマって何頭ほどいるんですか? 

「実はそれは誰にも分からないんですよ。日本のツキノワグマで分かっているのは、どこにいるかっていう生息範囲って言いますけれども、範囲、場所と、あとは人為的に獲った数ですね。狩猟だったりとか、有害駆除なんかで、人間が捕獲した数は分かるんですけれども、実は山の中に何頭いるかは全く分かってないんですね。

 北海道にはヒグマと言われる別の種類のクマがいて、ツキノワグマはいないんですね。ツキノワグマがいるのは本州と四国です。九州は以前は生息していたんですけれども絶滅してしまいましたね。四国も実はもう残り数十頭で、すぐ絶滅してもおかしくないような状況になっているんですね」

(注釈:九州ではツキノワグマは絶滅、四国では絶滅の危機にあるというお話がありましたが、その原因は、九州では戦後まもなく絶滅してしまい、記録がほとんどなく、わからないとのこと。また、四国はスギやヒノキの皮をはいでしまうので、林業の害獣としてたくさん駆除されてしまい、そのため、減ったままで数がもどらず、絶滅するのではないかと危惧されているそうです。
 小池さんいわく「先進国で大きな動物が絶滅するのは、恥ずかしいことだ」とおっしゃっていました)

●ツキノワグマって1年をどう過ごしているんですか?

写真協力:小池伸介

「ツキノワグマは、場所によって多少違うんですけれども、3月か4月ぐらいに冬眠が終わって出てきます。冬眠する場所は木の大きな穴だったりとか、地面の窪みだったりとか、そういった隠れられるようなところで冬眠をするんですね。
 3月、4月ぐらいに冬眠を終えて出てきたクマは、最初やっぱりそんなに活発じゃないんですね。寝たり起きたりを繰り返しながら徐々に活発になっていって、5月ぐらいになると繁殖期になります。

 5月、6月、7月ぐらいが繁殖期で、この時期はもうオスはひたすらメスを探す生活で、食べるよりもメスを探すっていうような生活をしています。メスの方は実は冬眠中に子供を産むんです。冬眠中に子供を産んで、子供を連れて出てきている母親は、この間は育児をしているんですね。メスの場合は育児をしているか、子供がいない場合はオスと繁殖行動したりするわけですけれども、それが7月まで続いて、8月ぐらいになると一旦ちょっとクマの活動も落ち着きます。

 暑いっていうのもあるんですけれども、山の食べ物も少ないので、それほど活発じゃない時期が8月ぐらいにあって、9月ぐらいになるとまた活動がさらに活発になるんです。それはなぜかというと、秋の9月、10月っていうのは、そのあとに控えている冬眠に向けて食い溜めをするんですね。

 冬眠中っていうのは飲まず食わずなんですね。飲まず食わずで過ごすために、そこで必要なエネルギーを秋の2ヶ月か3ヶ月の間に全部食べ蓄えるんですね。それを脂肪という形にして、食べ蓄えて、だいたいこの秋の間に体重を30%とか、場合によっては50%くらい増やして、それで冬眠に入る。なので結構1年間忙しい生活を彼らはしていますね」

成功体験が行動を変える!?

※小池さんは、どんな方法でツキノワグマの調査を行なっているんですか?

「色々クマを調査する方法があるんですけれども、私たちのグループがずっと行なっているのは生体捕獲と言って、野生のクマを山で捕獲をして麻酔で眠らせている間に、GPS受信機というクマの行動を追跡する装置を装着して、クマがどうやってどこでどう行動してるか、というような行動調査を行なうのがまずひとつです。

写真協力:小池伸介

 あとはやはり彼らの食生活に迫ったりするためには、山に行って彼らの糞を拾ったりとか、食べた痕跡を探して何を食べているのか、そういった調査をするのがクマの調査の基本ですかね。

 シカとかサルとかと違って、クマって観察が非常に難しいんですね。シカやサルだと、テレビ番組にもあるように直接観察して、何をしているとか何を食べているっていうことを記録できるんですけれども、クマは群れは作らず、単独で行動していますし、森の中でひっそりと暮らしているので、なかなかクマに近づくのは難しいんですね。ですので、色んな道具とか方法を使って、クマに近づいてみるということを行なっていますね」

●調査や研究を積み重ねていく中で、どんなことが分かってきましたか? 

「色々分かってきていることはあるんですけれども、やっぱりここ20年ぐらいで色んな調査技術が発達してきたんですね。例えば、ここ何年かもそうですけれど、秋にクマが出没しましたってニュースがあると思うんですけれども、実は昔から秋に出没するっていう現象はあったんですね。

 ところが、何で秋にクマがよく出没するのかっていうのは、はっきりしたことはよく分からなかったんですね。おそらくドングリが不作だからなんじゃないかっていうことを言われていたんですけれども、はっきりとした関係は分かんなかったんですね。

 ところがここ20年ぐらいで、先ほど言ったGPSを使ってクマの行動を追跡する装置が飛躍的に技術が向上して、クマの追跡がかなり、楽ではないんですけれども、はっきり分かるようになってきたんですね。

 そういった調査をしていくと、やはりドングリがない時にクマは行動のパターンを変えて、普段生活しているところから遠くまで遠征して、ドングリを探したりとか代わりの食べ物を探すということは分かってきて、ドングリがないことがクマの行動を変える、それが出没に関係しているんじゃないかってことが、分かってきたことのひとつですね」

●じゃあドングリさえ手に入れば、人里には降りて来ないっていうことなんですか? 

「基本的にはそうなんですけれども、実はドングリがないからといって、簡単にクマは人里に出るわけじゃないんですね。先ほど言ったようにドングリがないときは、普段行かないところまでドングリとか、ほかの食べ物を探しに行くんですけれども、そこに行った時に何もなければ、また次のところに彼らは行くんですね。

 ところが普段行かない人里近くまで行った時に、ちょっと人里を見た時に例えば、収穫していない柿があるとか生ゴミがあるとか。彼らにとってはやっぱり人里に出るっていうのはすごいプレッシャーだし、リスクがあるわけですよね。でもそのプレッシャーとかリスクを上回る魅力的な誘引物があると、それに引き寄せられるように人里に出てしまう。

 なので、いつもドングリがないから出没しますって言われてしまうんですけれど、実はその間にもうワンクッションあって、さらに人里に誘引するようなものがあると出てしまうということなんですよね。簡単に手に入るような食べ物があると、やっぱりそれに恐る恐るチャレンジして、簡単に食べられたっていう成功体験が彼らの行動を変えていくんですよ」

クマはタネの運び屋さん!?

※今までツキノワグマの視点で森を見ることって、あまりなかったのでしょうか。

「やっぱり先ほど言ったように、クマに迫る方法っていうのはなかなかなくて、先輩方が色んな調査をしたりして、やっとクマの姿っていうのが分かってきたっていうのがちょっと前までだと思うんですね。

 で、色んな技術が発達して、クマの調査が色々出来るようになってきたっていうのと、たまたま私はどっちかというと、森林にかなり興味があって、どうしても最初は森に色んな生き物が棲んでいますので、その棲んでいる生き物のひとつとしてクマを見ようっていう感じで見ていたんですね。

 実は私、昔は、今もそうなんですけれども、クマと植物、森林との関係をずっと研究してきていて、クマは実はベジタリアンなんですね。ほぼ9割ぐらいが植物を食べていて、特に果実が大好きなんですね。

 ドングリを始め、森にある色んな果実が非常に大好きで食べているんですね。その中でも例えば、野生のさくらんぼとか、野生のぶどうとか、ちょっとタネの周りにジューシーな果肉が付いている果実って山にもあるんですけれども、ああいった果実を食べた時にクマってほぼ丸呑みなんですね。丸呑みした果実を糞として出すとどうなるかっていうと、実はタネがそのまま出てくるんです。

    つまりクマは森にある色んな果実を食べながら、山の色んなところを動くことで、その木の実のタネを山中にばらまいている、種子を散布しているってことを私は研究していたんですね。

 そんなところからも、やっぱりクマと森の関係というのは非常に大事で、もちろんクマは森を住処として暮らしているんだけれども、森の植物がクマをタネの運び屋として使っている、そういう言い方はよくないんですけれども、お互いにウィンウィンの関係にあるんじゃないかっていうことが、ひとつの分かってきたことになりますね」

●ちゃんとツキノワグマは森に貢献しているっていうことなんですね! 

「そうですね。クマだけじゃないんですけれども、色んな動物が植物のタネを運んでいるんです。中でもクマはほかの動物が運べないような遠くまで、ものすごく行動力があるので、すごく遠くまで、何十キロも遠くまでタネを運ぶことができる役割を果たしているっていうのが分かってきましたね」

●今、ツキノワグマが置かれている状況はどうなんでしょうか? 

「世間一般ですとやっぱりここ数年、特に秋になると(人里に)出没しましたとか、人間が怪我しましたとか、そういったニュースが非常に目立ってですね、世間一般のクマに対する印象とかイメージはあんまりよくないのかなと私は思っています。

 一方で、本当に山の中に棲んでいるクマをちゃんと見たことがある人ってほとんどいないんですよね。ほとんどの人が人間に囲まれて街中走っているクマか、柿の木に登っているクマか、檻に入っているクマか、動物園のクマで、でもそれはクマの極々一面で、ほとんど山にいる多くのクマは一生に1回も人間に会わずに森の中でひっそり暮らしているんですよね。

 そういう本当のクマの姿が知られていない中で、悪い印象ばかりが増えちゃったなっていうのが、最近の私のクマに対する、世間一般に対するイメージかなと思っています」

撮影:横田 博
撮影:横田 博

クマの個性はどう決まる!?

※小池さんは今後もツキノワグマの研究を続けられると思うんですが、今いちばん関心のあることって、なんですか?

「私は20年近くクマの調査をしてきて、先ほど言ったように捕獲をして、捕獲した時に血液を取ったりとかするんですね。そうするとその遺伝情報から例えば、人間の家系図みたいな、このクマとこのクマの子供があのクマで、このクマとこのクマの子供がまたこのクマで、っていうような家系図が出来てくるんですね。

 クマって非常に個性の強い動物で、例えばクマと言っても非常にアクティブなクマもいるし、非常にオドオドしているクマもいたりとか、実はひとつの山の中でもクマの一頭一頭が食べ物って実は違うんですね。

 我々人間を考えれば当たり前なんですけれども、やっぱりこれが好きなクマもいるし、あれが好きなクマもいるっていう感じで個性が非常にあるんですね。そういった個性が、どうやって決まっていくのかなっていうところに興味があって、ひとつはやっぱり親子関係というのも関係しているのかなと思っています。

 子供は生まれてから母親と1年半ずっと一緒にいるんですね。その間に子供は母グマから、これは食べられるよ、これは食べられないよとかですね、ここに行けば食べ物があるよとか、ないよとか、色んな生きていく上で大事なことを教わって、1年半経つと子供と母親が別れるんですね。

 そのあとはもうクマは単独なので、ほかのクマと接することが基本的になくて、例えば、あそこに行けば美味しいものがあったよとか、そういうやりとりは基本的にはないと考えられているんですね。

 ですので、やっぱり最初の1年半の母親との行動が、おそらくそのクマの一生の行動とか個性を決めるんじゃないかなっていう気がしていて、そのあたりが生物学的には興味があるし、今各地で起きている人間との間の不幸な事故がいっぱいあるんですけれども、そういったクマが何で生まれてしまうのか、何でそういう状況になったのか、その個性が何で決まるかというところが分かれば、人間とクマとの間の不幸な事故を減らす、ひとつのきっかけになるんじゃないかなっていう気はしています」

●では最後に、小池さんの本『ツキノワグマのすべて〜森と生きる。』を手にする読者の皆さんにどんなことを読み取って欲しいですか? 

「先ほどQ&Aのクマはこんな生き物だっていうところもあったんですけれども、やはりこの本のいちばんは、前半部分の写真家の澤井さんの素敵な写真がいちばんだと思うんですね。

 先ほど言ったように皆さんが知っているクマっていうのは、ちょっと変わったというか、街に出てしまったクマとか、動物園のクマなんですけれども、でも実はこの狭い日本にこんな大きなクマが森の中にいるんだっていうあたりを、澤井さんの写真から感じ取っていただけるだけでも私は嬉しいなと思います」

●すごく大型のクマであっても、山を背景にするとこんなに小っちゃいんだっていう感じで、すごく雄大な壮大な写真ですよね!

「しかもやっぱりクマがいる風景っていうのが結構落ち着くんですよね。何か普通に自然な感じがするんですよね。でもそれが日本の自然だっていうところを知っていただけるといいなと思います」 


INFORMATION

ツキノワグマのすべて〜森と生きる。


『ツキノワグマのすべて〜森と生きる。』

 ツキノワグマの基礎知識から知られざる生態まで、わかりやすくて面白く、写真家「澤井俊彦(さわい・としひこ)」さんの写真も見どころいっぱいです。この本でツキノワグマのイメージが変わると思います。小池さんの20年以上の研究成果がまとめられた本、ぜひ読んでください。文一総合出版から発売中です。

 詳しくは出版社のサイトをご覧ください。

◎文一総合出版HP:https://www.bun-ichi.co.jp/tabid/57/pdid/978-4-8299-7232-8/Default.aspx

◎小池伸介さんの研究室HP:http://web.tuat.ac.jp/~for-bio/top-2jp.html

ギターを背負って山小屋コンサート〜山と歌がつないでくれた縁〜

2021/5/16 UP!

 今週のベイエフエム / ザ・フリントストーンのゲストは、シンガー・ソングライター「リピート山中」さんです。

 山中さんは1960年、神戸市生まれ。12歳から弾き語りを始め、1996年にグループでデビュー。その後ソロ活動も行ない、2000年に「ヨーデル食べ放題」が大ヒット! そして、子供の頃から地元・六甲山に親しんでいたこともあり、山小屋や山頂などでライヴ活動。ほかにも地球や心の環境、家族をテーマにした楽曲作りなど“出かけて 出会って 感じて歌う”体験派シンガー・ソングライターとして活躍中です。

 きょうは、そんな山中さんに山小屋コンサートのことや、山に魅せられた登山家への想いなどうかがいます。

☆写真協力:リピート山中

リピート山中さん

僕が山の歌を作る!?

●今週のゲストはシンガーソングライターのリピート山中さんです! よろしくお願い致します〜! 

「はい! よろしくお願い致します! 」

●山中さん、今手に持っていらっしゃる楽器はウクレレですか? 

「これね、ギターなんですけど、優れものでね。ギタレレっていう、某会社の割と低価格で買えるウクレレ・サイズのギターなんです。これ、山に行く時は必ずザックに縛り付けて、どこでも歌えるようにしているんですよ」

●へぇ〜! せっかくなので、ぜひ1曲何か弾いてください! 

「じゃあ、ちょっと名刺代わりにね、唯一僕が作った歌でちょっとヒットした歌があるんで。こんな歌です」

(ここでギタレレの弾き語りで「ヨーデル食べ放題」の一節を歌っていただきました)

●うわ〜! ありがとうございます! 

「この歌、今から20年以上前にちょっと東京方面でヒットしたんですけど、”ヨーデル食べ放題”」

●いやもう誰もが知っている曲ですよね〜!

「そうですか! 聴いたことありますか!? ありがとうございます」

写真協力:リピート山中

●テンション上がります!(笑)。きょうは色んなお話をうかがいたいと思うんですけれども、リピート山中さんのオフィシャルサイトを見てみたら、山小屋でコンサートを行なっている記事がすごくたくさん載っていたんです。これはいつ頃、どんなきっかけで始まったんですか? 

「最初は2004年のゴールデンウィークに、北アルプスのわさび平という小屋がありましてね、そこから始まったんですけれども、きっかけというのはね、私、中学生くらいからずっとギターを持って歌っては何かしていたんですよね。

 その頃から山の歌も好きでね。昔ダークダックスさんとかが山の歌のLPレコードを出したりとかしてね。それこそ“雪山讃歌”とか色々有名な歌があるんです。ところがよく考えてみると、最近山の歌を作ったり歌ったりしている人がいないなと思いまして、若者たちはみんな海辺の歌が好きで。だから山の歌を作る人がいなければ、僕がやるしかないな、なんて思ってね。

 で、歌から山につながるんですけど、じゃあ山に登って山小屋でコンサートをやろうと思い始めたのが大体2003年ぐらいなんです」

●ギターを背負って登るわけですよね? 

「そうですね。まぁこれ(ギタレレ)は小っちゃいんで、ずっとザックの横に縛り付けているんですけど、いわゆる通常の大きなサイズの、ドレットノートサイズのギターも背負って登ったりもします」

●登山に必要なウェアや道具とかも持っていくんですよね? 

「そうですね。最小限にして、それは小さなザックで前に赤ちゃんを抱っこするみたいな感じで。だから後ろにギターで、前に小さなザック、そういう感じで登って、最高の高さは富士山の剣ヶ峰までは行きました。で、ちょっと歌ったりとかして」

写真協力:リピート山中

●ええ!? 何時間もかけて歩いてやっと山小屋に到着して、そこから歌うってなると、かなり体力的にも厳しいんじゃないですか? 

「これはね、体力もさることながら、気力が・・・。通常、山に登られる方っていうのはやっぱり山小屋に着いたらほっとして、ここで一応ね、きょうのスケジュール終わりと。あとはもうビールを飲んだり、くつろいだ時間を楽しまれるわけですが、私はそこからが仕事なんで(笑)。

 とにかくまだ、はめは外せないという、私がはめを外せるのは、皆さんの食事が終わったあとに1時間ほどコンサートして、そのあとですから、本当に消灯までのわずかな時間なんです。でもね、やっぱりそのために登っていますから、全然苦に思ったことはないです」

加藤文太郎に惹かれて

※山小屋コンサートで披露する定番曲にはどんな曲があるんですか?

「先ほど、ご挨拶で歌いました”ヨーデル食べ放題”、これ必ず歌うんですけど、やっぱり山の歌を作ろうと思って、私が作詞作曲して第1弾で作ったのは、実在した登山家”加藤文太郎”という、小尾さんお聞きになったことあります?」

●お名前だけは・・・。

「明治生まれの方で、兵庫県の浜坂っていう日本海側に生まれて、14歳から私の住んでいる兵庫県の神戸で、造船所で図面を引きながらね、山を覚えていくんですけど、当時画期的な、たった一人で真冬の北アルプスを縦走して歩くという、とんでもない登山をやった人で、今の社会人登山の先駆者なんですよね」

●どうしてまた加藤さんの歌を作ろうと思ったんですか? 

「山に登るに際して、色んな山に行っている先輩に話を聞いたんです。何か注意しないといけないことないですか? とか、何か知っておいた方がいいことないですか? とか言うと、この本を読んどけって言われてね。それが新田次郎という小説家の『孤高の人』っていう小説だったんです。それの主人公が加藤文太郎という実名、小説はフィクションなんですけど、その人の魅力に惹かれて、故郷の浜坂を訪ねたり色々しながら歌を作ったんです」

(ここでオンエアでは「加藤文太郎の歌」を聴いていただきました)

写真協力:リピート山中

嘘のない山の歌

※山での体験は、シンガー・ソングライターとしては、曲作りにつながっていますよね?

「そうなんですよ。山に登って山の歌を作って山の歌を歌うというのを出発点にしているんですけど、やっぱり行った者でないと分からないものがあるんですよ。だから街中で山を想像して作るのと、実際に登ってその苦しさとか、爽やかさとかを体感して作るのではやっぱり違うんですね」

●そうですよね〜。

「だから嘘のない山の歌を作れているなと」

●山関係の方とも色々つながりとかはありそうですけれども、いかがですか? 

「やっぱり加藤文太郎っていう人がすごく山の世界ではまだ有名人で、昭和11年に亡くなっているんだけども、いまだに人気があるんですよ。で、この文太郎さんの歌を私が歌っているということで、色んな人が私に話しかけてくださったりとか、文太郎さんのご縁で、例えば(登山家の)田部井淳子さんであるとかね、モンベルの辰野会長であるとか、この前(この番組に)ゲストで来られたシェルパ斉藤さんもそうですね」

写真協力:リピート山中

●歌がつないでくれたご縁ですね。田部井淳子さんは2016年10月にお亡くなりになっていますけれども、田部井さんに作詞をお願いして出来上がった曲もあるんですよね? 

「そうなんですよ。出会ったのは某公共放送のラジオの公開収録だったんですけど、そこでご一緒しまして、私の色々な歌を聴いてくださって、やっぱり“加藤文太郎、私も好きなのよ”ってね。
 で、私の持っているこのギタレレ、これを“私も弾きたい”って言ってね。当時70歳だったんですけど、田部井さんがこのギターを売ってくれと言って、だから私、別あつらえで購入して田部井さんにお送りしまして。
 そのあと色々交流があって。で、山の日というのが制定されるというので、その時に山の日の歌を私、作ろうと思ったんです。

 でも、リピート山中ごときが山の日の歌を作りましたって言っても、誰も相手にしてくれないだろうと思って、誰かに詞を書いてもらおうと思った時に、この人しかいないと思ったのが田部井淳子さん。
 田部井さんに山の日をイメージして歌を作ってもらったら、僕が曲付けてこれを皆さんに知ってもらいたいなと思ってお願いしたら、お亡くなりになる直前にメールで詞が届いたんですよ。だから出来上がりを田部井さんに聴いていただくことはできなかったんですけど、身内の方とか、そのお友達の方にはお披露目もして、今一応CDも作ってはあるんですけどもね」

●天国で聴いてくださっていると思います。

「この詞がね、田部井さんの遺言みたいな詞なんです。というのは、女性で世界で初めてエベレストの頂上に立った人なんですけど、そういう命がけの厳しい登山もする一方で、とにかく男の世界だった山の世界に、女の人どうぞ! 行きましょう! 楽しいよ! って言ってね。
 低い山でいいんで一緒に行って、ピクニックがてらお弁当を食べてって、ものすごくたくさんの人を山に誘ったんですよ。そんな気持ちをずっと持っておられて、山って楽しいよっていうことを、どうぞ山の楽しみを知っているあなたが伝えてあげて、みんな山に連れてあげてよっていう思いを書いてくださったんです」

(番組ではここで「山ってやっぱりたのしいよ」をオンエアしました)

「行きあたりばっ旅」 はサプライズ曲!

先月この番組にご出演いただいたバックパッカー「シェルパ斉藤」さんから、リピート山中さんが、自分の誕生日に歌を作ってプレゼントしてくださったと連絡があったんですが・・・タイトルが「行きあたりばっ旅」?

「シェルパ斉藤さんの人生観そのものやね、”行きあたりばっ旅”っていうのはね。とにかく行ってみるというね。そのシェルパさんの言葉をいただいてタイトルにしたんですけども、元々はこれ、ご本人には内緒の話だったんです、サプライズで誕生日プレゼントをしたいと。

 息子さんの一歩くんがちょっと知り合いなんで相談に来られましてね。もちろん奥様もなんですけど、家族のみんなで、お父さんのシェルパ斉藤さんに誕生日サプライズプレゼントしたいと、だから歌を作ってほしいと言われて。で、何度も一歩くんと打ち合わせして、当日まで気付かれないように、家族の人も大変だったみたいなんですけど、出来上がりました」

●そうだったんですね! 作詞は奥様や一歩くんのアドバイスがあったってことですか? 

「そうです。やっぱり一人の人物のことを歌にするとなると、知ってないと出来ませんから。一歩くんや奥様から色々資料を、新聞の記事とか本とか、そういうのをいただいて、とにかく本人が聴いて、“おい、それは嘘だぞ”って言われたらおしまいなので、とにかく本人のチェックがないままに発表するわけだから、よく練り合わせて作りました」

●斉藤さんには生演奏で披露されたということですけれども。

「そうです、そうです。生で聴いていただいて、その横で奥さんと、ご近所歌劇団がいらっしゃってね。ご近所の仲良しのお姉さん方が振り付けして踊ってくださって、それをシェルパ斉藤さんはもう照れながらというか何ていうか、面白かったですわ(笑)」

●シェルパ斉藤さんは何かお言葉はおっしゃっていました? 

「嬉しいという気持ちは持っている、ただどう表現していいか分からないと。とにかく照れ臭いし、いちばんいいのは泣いたらいいだろうけど、泣くわけにもいかんなと(笑)。この気持ちはわかるんです。仮に私が斉藤さんの立場であっても恥ずかしいですよ! 家族の者が私に何か歌を作ってプレゼントされて、いきなりそれ聴かされたら、まぁ正直戸惑いますね。ただね、こうやって小尾さんのこの番組“ザ・フリントストーン”に斉藤さんの方から情報がいったということは、気に入ってくれている証拠ですよ、これは!」

●本当そうですよ! すごく喜んでいると思います〜。すごく嬉しいと思います。

「聴かせたくなかったら内緒にしているはずですから、だから斉藤さんも、これは例えば仮にオンエアしてもいいよというぐらいのね、気持ちになってくださっているってことやから、よかったんじゃないですか(笑)」

●サプライズ大成功ですね!

(ここで「行きあたりばっ旅」をオンエア!)

「見えてるラジオ」生配信中!

※いまは新型コロナの影響で、なかなかライヴができない状況にありますが、そんな中「見えてるラジオ」という生配信ライヴをやっているそうですね。これはどんな配信ライヴなんですか?

「これFacebookで基本的に毎週やっていまして、今50回目まで終わったんですけど、週末の夜の10時からね、私とFacebookで繋がっている人はみんな無料で見られるんですよ。そのあとYouTubeにも“リピート山中チャンネル”っていうのがありますので、検索していただいたら、そこにも全部アップしています。
 ギター1本で、自分の家の汚い部屋で何の飾りもなく、ただただ歌って喋ってという歌語りのラジオ。一応映像は見えていますけど、ラジオ好きなんで」

●山小屋コンサートはいずれ復活させる予定はあるんですか? 

「これはもう小屋の状況次第ですね。一応今年も槍ヶ岳山荘とか、南岳小屋、槍沢ロッヂ、このグループがやろうという方向では話を進めてくださっているんです。ただこれは本当に状況判断しないと、今決められないので、一応やる方向だけど、今後の状況次第。もしやるとしたら7月の後半になると思いますけどね。まだこれは未定の話ですけど」

●今後も山を歌う活動は続けられるということですよね。

「そうですね。毎年7件から8件、レギュラーで小屋に行っていますから、そこに本当に安全にみなさんが集って、僕も歌を歌って、みんなと一緒に歌える日が1日も早く来ることを本当に心から願っております」

写真協力:リピート山中

INFORMATION

 山中さんが毎週土曜日の夜10時からFacebookで生配信している「見えてるラジオ」、ぜひ見てくださいね。歌ってトークをして歌って、という感じで、ほんとにラジオのような親しみやすさがあります。YouTubeの「リピート山中チャンネル」でもご覧いただけますよ。

 今後の山小屋コンサートを含めたライヴ情報などは、ぜひリピート山中さんのオフィシャルサイトを見てください。また、山中さんのCDや音源はオンライショップで購入できます。

◎リピート山中さんオフィシャルサイト:http://repe.jp/

カラフルな湘南の海〜光と影のメッセージ

2021/5/9 UP!

 今週のベイエフエム / ザ・フリントストーンのゲストは、葉山のダイビングショップNANAの代表で、ダイビングガイドの「佐藤 輝(さとう・てる)」さんです。

 1976年、葉山に生まれた佐藤さんは、学生時代はヨット部に所属し、毎日のように葉山の海で練習。卒業後は有名ホテルの営業マンとして働いていたそうですが、体験ダイビングでその魅力に取りつかれ、ダイビングガイドの道へ。そしてサイパンなどで修行したのち、15年ほど前にダイビングショップNANAをオープン、湘南の海を知り尽くしたガイドとして活躍されています。

 そんな佐藤さんが先頃、写真集『湘南 波の下水族館』を出されました。この写真集は鎌倉在住の水中写真家「鍵井靖章(かぎい・やすあき)」さんとの共著という形で出版されています。

 きょうは子供の頃から葉山の海に親しんできた佐藤さんに湘南の海の特徴や、気になる海の変化などうかがいます。

☆写真協力:佐藤 輝

写真協力:佐藤 輝

魚と同じ目線に感動!?

※それでは佐藤さんにお話をうかがいましょう。初めて地元の、葉山の海に潜ったときは、どうでしたか?

「それは今でも鮮明に覚えているんですね。ヨットで海の上にはもう毎日のように行ったし、小さい時から磯場とかでもいっぱい生き物を見たりもしたんですけど、初めて葉山の海に潜った時は何かもうびっくりするぐらい感動しました。水中で苦しくなくて、普通に呼吸が出来て、魚と同じ目線にいる自分に感動っていう感じでした」

●ダイビングガイドになろうと思ったのは何故なんですか? 

「それは、ライセンスは社会人1年目で取ったものの、本当に軽い趣味だったんですね。年に2回ぐらい海外に行ったら潜ってみたりとか、そんな程度だったんですけども、だんだん社会人の時の趣味が、どんどんのめり込んでいくというか、土日にどこに潜りに行こうかなっていうのを考えるのが、いちばんの楽しみぐらいダイビングが好きになっていて、ある日とっても浅はかなんですけど、これを仕事にしたら毎日潜れるのになぁ〜みたいな気持ちになってきて、もうその気持ちが抑えられなくてサラリーマンを辞めました」

●そうだったんですね! 今はお客さんの案内を含めて年間どれぐらい海に潜っているんですか? 

「その年によってちょっと違うんですけど、だいたい数えたら250日でした」

●ええ!? すごい! 転職してよかったですね! 

「そうですね。本当に好きなことを仕事にしているっていうことに、とっても毎日のように感謝はしています」

●毎回、未だに感動しますか? 

「これはとっても正直に言うなら、さすがに毎日のように潜っているんで、毎回、感動の頂点みたいなのを迎えているわけではなくて(笑)、とっても今は基本的には日常というか、普通の方が会社に行ってくるねっていう感覚で潜っているんですね。

 ただサラリーマンの時と大きく違うのは、毎日じゃないですけど、見たことないウミウシっていう生き物が出てきたりですとか、あとは普段いっぱいいるお魚が、生態行動って言うんですけど、産卵してみたりとか、そういうことがちょいちょい起きるんで、そういうのを見た時はやっぱり、どの仕事も感動って毎日やっていてもあると思うんですけど、僕たちはそういうところにすごく感動を覚えますね」

佐藤 輝さん

穏やかな海

※改めて、葉山を含めた湘南の海の特徴を教えてください。

「相模湾っていう湾にある海なんですけども、相模湾の中では結構奥まったほうにあって、水深とかも深くなくて、イメージ的にはお気軽にダイビングできるというか、来るのも近いし、ボートに乗っている時間も短いし、潮の流れが強いとかもなくて、とっても穏やかな海にちょっと気軽に潜りに行けるっていう感じが特徴の海ですね」

●年間を通してどれくらいのお魚を見ることができるんですか? 

「ちょっと考えてみたんですけど、何種類って分からないなと思いまして、例えばきょうの朝も潜ってきたんですけど、バッと見渡しただけでも何十種類っていう風に、一箇所見てもブワッといるんで、今度機会があったら数えてみたいと思います(笑)」

●そんなに葉山の海にたくさんの生き物がいるっていうのは、やはりそれを支える豊かな生態系があるからっていうことですか?

「それは本当そう思います。やっぱり岩場があって、砂地があって、色んな環境があって、そういうことがたくさんの魚たちがいる環境を作ってくれているんだと思います」

『湘南 波の下水族館』

海中の春夏秋冬

※陸上は初夏を迎えつつありますが、海の中も春・夏・秋・冬と季節の変化はありますか?

「とってもありまして、陸よりも海の方が春夏秋冬を少しだけ先取るんですよ。ざっくり言うと、春は気温が冬から春になって、だんだん上がってきて、魚が増えてくる季節みたいな感じで、プランクトンが増えて、海の透明度が落ちて、海が汚くなるんですね。でもそれはとっても海にとっては栄養が豊富で大事なことで、生まれてきた小さなお魚たちはそのプランクトンを食べて大きくなっていきます。

 夏になると水温がどんどん上がってくるんで、いちばん魚が多い季節みたいな、海の中に群れがいっぱいいます、みたいなのが夏です。夏の終わり頃になると今度は、季節来遊魚って言うんですけど、黒潮っていう南からこっちのエリアの方に流れている潮に乗っかって、熱帯魚たちが流れてくるんですね。夏秋は群れとその季節来遊魚っていう熱帯魚、普段は見られない子たちを楽しむ季節ですね。

 秋が終わってだんだん水温が下がってくると、さっきとは逆でプランクトンがどんどん減ってくるんで、透明度がドンドン上がってくるんですね。綺麗な海になってきて、その代わり群れは減って、水温が落ちた冬は、冷たい水温でしか生きられないお魚たちを観察できるようになるサイクルでまわっています。本当に春夏秋冬で全然違うものになるっていう感じがあります」

●葉山の海でそれぞれの季節を代表する生き物は、例えばどんな種がいるんですか?

写真協力:佐藤 輝

「いちばん人気みたいな感じで言うと、春はダンゴウオです。ダンゴウオは大きさ1センチもないようなお魚なんですけど、お団子みたいな、これがもうとにかくダントツ人気で、この子は3月ぐらいから5月しか見られないんですよ。水温が上がってくるといなくなっちゃうんですね。

 夏になると、夏秋はやっぱり季節来遊魚が人気なので、ミナミハコフグの赤ちゃんとか分かりますかね? さかなクンが被っている帽子の」

●あ〜! はいはい!

「あれも1センチとかそれぐらいの大きさなんですけど、あんなお魚たちが人気の魚です。夏秋はそういうのが人気で、冬になると葉山の場合は、ウミウシって分かりますか? ナメクジみたいな、本当は貝の仲間なんですけど、そのウミウシが冬になると一気に増えるんですね。1日30種類とか40種類とか見られるんですけど、冬はそのウミウシが人気ですね。人によって好きなものが違うんで何とも言えないんですけど、僕のお勧めはそんな感じです」

写真協力:佐藤 輝
写真協力:佐藤 輝

海藻が激減している!?

※葉山の海に潜り始めた頃と比べて、何か変化を感じることはありますか?

「これは多分どこの海も、この辺でいうと伊豆や千葉がダイビングポイントとしては、割と多くの方が潜っている場所なんですけど。どこもだと思うんですけど、やっぱり海藻が激減しているエリアが多いですね。
 昔はアカモクっていう海藻に引っかかっちゃって、浅いところは冬になると前に進めないぐらい海藻が生えていたんですけど、それが全く何もなくなっちゃっているところもいっぱいあって、10年前と比べたら全然違う景色です」

●そうなんですか。地球温暖化の影響っていうのも感じることは多いですか? 

「僕はその専門家ではないので、ダイビングガイドの僕が地球温暖化ですって言い切るのはちょっとよくないのかもしれないんですけど、確実に冬の水温が昔に比べると1度か2度は高いんですね。昔は12度から13度までいちばん冬の冷たい時に落ちたのが、今は14度ぐらいにまでしか落ちていなくて、陸上に比べると水中の2度っていうのは、陸上の何倍も大きい差があって。

 やっぱりよくよく考えてみると、昔当たり前のようにいた魚がすごく減っていたりとか、いなくなっちゃっていたりとか、そういうのはやっぱりすごく大きく言ったら、地球温暖化は絶対関係しているんだろうなとは思います」

写真協力:佐藤 輝

●佐藤さんがいちばん危惧していることって何ですか? 

「それは写真集にもそういうページを作らせていただいたんですけど、色んな魚が減ったりとか、色んなことが起きているんですね。もととなっているいちばん悪いことは、さっきも言ったんですけど、海藻が減っちゃっていることだと思います。海藻が減って小さいお魚たちが隠れる場所がなくなるから大きいお魚に食べられちゃうとか、だから何とかその海藻を取り戻すことが出来れば、もとにもう一回戻るチャンスはあるんじゃないかなっていう気がします」

●どうやったら戻るんでしょうか? 

「例えば僕たちがいつもやっているのは、海藻が減ったことによって”磯焼け”って言うんですけど、ウニとかが食べるものがなくなっちゃうんですね。海藻を食べていたのに海藻がなくなっちゃうんで。
 今までは岩の下とかに隠れていて、夜ちょっと出てきて、いっぱいある海藻を少し食べていたウニが、食べるものがなくなっちゃうんで、どんどん表に出てきて、もう何でもかんでも食べだしちゃうんですね。そうすると岩肌が全部見えてきちゃうような状況に今はなっていて。それもまた賛否両論あると思うんですけど、その海藻を食べてしまうウニを漁師さんと一緒にみんなで駆除したりするんですね。

 でも僕がいつも思っているのは、そのウニを僕らレベルが10人20人で潰したところで、海藻が全部のエリアに戻ってくるとはもちろん思っていないんですけれども、何かそういう地道な活動をして、今そういう大変なことが海に起きているんだよっていうことを、少しでも多くの方に知っていただくことが大事なのかなと思います」

気をよくしてくれる場所!?

※最後に「佐藤」さんが感じる海の魅力って、どんなところですか?

「やっぱり何かちょっと神がかっているかもしれないんですけど、気がよくなる感じがすごく僕はしていて。やっぱり嫌なこととかあっても、毎日海に潜っているといつもフラットな気持ちでいられますし、あとはたまに潜りに来てくれたお客さんが、潜るとなんとなく自然な感じで、“海はいいなぁ〜”みたいなことを本当に自然に言っているのを見たりしていると、やっぱり人間をリフレッシュさせて気をよくしてくれる場所なんだなっていうのが魅力なんじゃないかなと思います」

●私はシュノーケリングしかしたことなくて、ダイビングはしたことないんですけれども、やはり深いところから見るとまた全然違いますか?

「シュノーケリングとはやっぱり違いますね。最初に言った、魚と同じ目線にいるっていうのがやっぱり僕の中では大きく違いますね」

写真協力:佐藤 輝

●気持ちよさそうですね! 一緒に泳げるわけですよね。

「そうですね。本当に一緒に泳いでいる感じですよ」

●今後も佐藤さんは、葉山の海の写真っていうのは撮り続けるわけですよね? 

「もう僕は、写真集を出させていただくのは今回が人生で最後だとは思っているんです。でもやっぱり10年前の写真と今の写真は、要は今は10年前の写真を本当に撮れなくて、海藻もなければ絶滅した魚もいれば。
 なので10年前の写真を撮っておいてよかったなと思うこととかいっぱいあるので、これからも写真を撮って、楽しみつつ、ちゃんと葉山の自分のホームとしてる海の記録を残すという意味でも撮っていこうと思っています」

写真協力:佐藤 輝

●改めて今回の写真集『湘南 波の下水族館』でいちばん伝えたいことは何でしょうか? 

「湘南に住んでいる子供にもとっても伝えたいんですけれども、都心から近い湘南って何かすごくお洒落な海だけど、潜るっていうイメージがまだ多分ないと思うんですね。でも東京から近い海にはたくさんの生き物が暮らしていて、とってもカラフルな海が広がっていて。
 でも今その海には温暖化を含め色んな危機が迫っていて、このままだったらそのカラフルな海は失われちゃうんじゃないかなっていう危機感も感じています。素晴らしい海だっていうことと、今その海に危機が来ているんだよっていう両方を見ていただけたら嬉しいなと思います」


INFORMATION

湘南 波の下水族館』


『湘南 波の下水族館』

 佐藤さんが水中写真家の鍵井靖章(かぎい・やすあき)さんと共に出版した写真集です。東京から近い海にこんなにもカラフルな生き物がたくさんいることに驚きます。数メートル潜っただけで別世界が広がっていることが分かり、可愛らしくてユーモラスな生き物たちに癒されますよ。青菁社(せいせいしゃ)から絶賛発売中です。

 詳しくはダイビングショップNANAのオフィシャルサイトをご覧ください。

◎ダイビングショップNANA HP:https://nana-dive.net/

◎青菁社 HP:https://www.seiseisha.net

園庭のテーマは「自然と冒険」〜子供たちに豊かな感性を〜

2021/5/2 UP!

 今週のベイエフエム / ザ・フリントストーンのゲストは、「こどもみらい」の代表「廣瀬泰士(ひろせ・たいじ)」さんです

 廣瀬さんは1973年、高知県生まれ。学生時代に建築を学び、都市計画のコンサルタント会社から造園会社に転職、園庭造りに携わり、2011年に独立し、「こどもみらい」を設立。園庭造りのかたわら、講演活動も行なっていらっしゃいます。

 園庭というと、滑り台やアスレチック用の遊具があるイメージだと思いますが、廣瀬さんが手がける園庭は、草木や生きものたちと触れ合えるような造りになっています。そして先頃、『園庭づくりのヒントがいっぱい〜こどもがあそべる木と草花』という本を出版されました。

☆写真協力:株式会社 こどもみらい

写真協力:株式会社 こどもみらい

先生たちと一緒に造るオリジナル園庭

※それでは廣瀬さんにお話をうかがいましょう。廣瀬さんが手がける園庭にはどんな特徴があるんでしょうか。

「基本的に園庭っていうのは遊具先行型っていうのが主流です。ですが僕たちは、当然遊具もお客さんのご要望があればご提案させていただきますが、決して遊具ありきの園庭造りではないというところです」

●具体的にはどんな庭を作ってらっしゃるんですか?

「基本的なテーマと言いますか、自然と冒険というテーマで取り組んでいます。その中で園庭造りにおいては、弊社の者が保育園に対して一方的にご提案するわけではなくて、先生方と一緒に話をしながら積み重ねていって、その都度、ご提案をして修正をしてというような組み立てと言いますか、積み重ねで園庭造りをしています。結果的に園オリジナルの園庭が出来上がるというところです」

写真協力:株式会社 こどもみらい

※廣瀬さんの園庭造り、その工程を少し説明しておきましょうね。

 保育園や幼稚園からの問い合わせを受けて、現地におもむき、丁寧にヒアリングを行ないます。そこには今ある園庭を良くしたいという園長さんや先生たちの思いがあるのでそれをしっかり汲み取りつつ、今まで廣瀬さんが手掛けた事例を説明。そして本格的な図面を作る前に、改造する園庭のイメージを絵で表現し、共有します。

 その後、着工しても一度には工事を終わらせないそうです。そこそこの面積がある園庭の場合、先に取り掛かるエリアを決めて、第1期の工事を行ないます。そして、そのエリアで四季を通して、園児たちと遊んでもらい、第2期の工事に入る前に、着工前に決めた計画で進めていいのか先生たちに問いかけるそうです。

 そうすると先生たちから意見や要望が出てきて、それを受けてマイナーチェンジを行ない、その後、夢の園庭が完成するということです。

写真協力:株式会社 こどもみらい

 廣瀬さんいわく、短期間で完成させるのではなく、工事をする期間を1期から3期くらいまで分け、中長期で取り組むのがポイントだそうです。また、植物を植えたりする作業を、先生や園児たちと一緒に行なったり、工事をしている様子を園児たちに見てもらったりするそうですよ。これ、いいアイデアですよね。園児たちに愛着がわきますよね。

 廣瀬さんの会社「こどもみらい」では完成後も定期的に樹木の剪定や木の遊具のメンテナンスも行なっているとのことです。

もともと自然が好きだった!

※廣瀬さんは自然豊かな四国の高知で育っていらっしゃいます。そのことも今の仕事のバックグラウンドになっているようですよ。

「地域独特の特徴のある自然ってあると思うんですけど、僕の祖父母だとか、あと友達とかと遊んだその豊かな自然っていうのが、僕の今の人間性をすごく形成したと思えるんです。自然と本当に共に生活したという、まぁ市内なんでね、そんな山の中っていうわけではないんですけども、お爺ちゃんお婆ちゃんから生活の中でいろいろ教わった、季節が巡るその自然と共に生活したっていう、それが僕の中で染み付いているもんですから、そういったことですかね」

●冒険とか自然体験ができる園庭を造ると言っても、色んな知識がないとだめですよね? 土木的な知識から、植物だったり生き物だったり、幅広く知っていないといけないと思うんですけれども、廣瀬さんはどちらで勉強されたんですか? 

「もともとは自然が好きだったものですから、虫とかそういうことにはすごく興味、関心はありました。当然学問として勉強しているわけじゃないんですけども、すごく興味があったので、本だとかはすごく常々読んでいたりもしていました。

 で、造園の技術っていうのは当然(造園会社に)入社した時から社内の人間、先輩とか、職人さんとか、いろいろ教わっていました。ただ園庭造りに関してはそれだけではなかなか出来なくて、そこで僕も前職の頃から、やはりこれは保育に関する専門的な知識は必要だなと思って、通信で保育士の資格を取ったっていうのがありますね」

●やはり保育士さんの視点っていうのも大事な要素ですね。

「そうですね。僕は必要かなと思っています。社内のスタッフにも頑張ってねとは言っていますが、なかなか両立が難しいところがあって、やっぱり子供の成長とか発達っていうのは僕たち設計する上ですごく基本になるところなんです。だから今の園庭をいろいろ考えていく中での基礎になっていると思います」

写真協力:株式会社 こどもみらい

豊かな人生を味わうきっかけに

※廣瀬さん、自分が手掛けた園庭で、園児たちにどんなことを感じとって欲しいですか?

「自然の大切さと言いますかね、触れ合うことでの喜びとか感動を味わってほしいんですね。当然、人間って誰しもが生き物が大好きとか、土に触るのも全然問題ないよってなかなかそうはならないですね。苦手な人もいます。

 それは決して良い悪いじゃなくて、やっぱり人として成長していく中で、何か出来事があって、それに対する反応で、苦手だなとか見るのも嫌いってなると思うんですけれども、それはもう止められないし、決して悪いわけでもないんです。

 おぎゃあと産まれた子供が生き物を見て、例えば蝶の幼虫を見て、これ気持ち悪いとはならないんですよね。そもそも生き物とは認識しないんです。ムニュムニュ動くもんだと思って、やっぱり子供っていうのはいろんなものに興味を持ちます。でもそれがいつぞや成長していく過程で先ほど言ったように苦手になるんですね。

 その中で特に好きっていう人たちが、例えば昆虫博士になったり生物学者になったり科学者になったりすると思うんですね。ですので、弊社が関わらさせていただいた、先生たちと共に作った自然豊かな園庭で子供たちに、せめて乳幼児期、0〜5歳までのこの間、思う存分自然と触れ合ってほしい、そこでいろんな体験をしてほしい、いろんな感動を味わってほしいですね。

 でも、その中でも苦手な子は早々に出てくるし、もっと興味のあるサッカーとかで遊びたいってそういう子たちも興味はそっちに行きます。でもそれはそれでいいです。いいですというか、僕はそんな良い悪いを判断するわけじゃないですけど、それはそれで尊重していいと思うんですね。

写真協力:株式会社 こどもみらい

 ましてや一緒に造った自然豊かな園庭で、ここで育った子供たち全員、生物学者になってほしいなんてこともないわけです。ただそういった環境を整えることで、経験する機会が要するに増えるわけなので、少しでも(自然や生き物に)興味を持って、その子の豊かな人生を味わうひとつのきっかけと言いますかね。園庭でやれることなんて本当に人生の中では一瞬なんですが、その一瞬だけでも思う存分、安全と言われる園庭の中で、先生たちと一緒にその感動を味わってほしいなと。

 どういう結果に繋がってほしいとかそういうことはないです。単純にその瞬間を思い切って、“センス・オブ・ワンダー”って言うんですけどね、自然の不思議さとかそういったことに目を見開いて、感動とか感性を思いっきり育める環境を、先生と共に育みたいと思っています」

名前はあえて教えない!?

※廣瀬さんは先頃『園庭づくりのヒントがいっぱい〜こどもがあそべる木と草花』という本を出されています。この本は保育園や幼稚園の先生向けに書いた本なんですか?

『園庭づくりのヒントがいっぱい〜こどもがあそべる木と草花』

「そうですね、僕たちが日頃やっぱり接していますのは先生方とのお話、対応っていうのが多いですから、やっぱり先生たちに対するメッセージがありますが、本として世に出ていますから、当然お母さんに限らず、お父さんも含めて、子供と関わる方々は読んでくださいとは言いませんが(苦笑)、ご参考に何かしていただければいいかなという風に思っています」

●公園に咲いている花について、ちょっとうんちくが言えたりとかできますね! この本を参考にすると。

「よく園庭で木を植えたりして、先生方が名前を知りたがるんです。この木は何? って、それは子供たちに伝えたいから、それは分かります。でも、何かね、名前を書いて覚えてくださいって言って覚えたら、先生の中で完結しそうで。

 この名前を知った、でも実はその後のストーリーが大事で、子供たちとどう遊ぶか、共有するか、その本にもあるようにどのように遊べるか、食べられるか、どんな味がするかっていうのはその先にあるもの。だから僕、名前を聞かれてもあんまりパッと答えずに考えてみてくださいって言います。

 植物って昔の人は生活と馴染んで名前をつけたものが多いじゃないですか。だからそれの名前をすぐ言わずに、“先生これ何に似ていると思う?”というところから始まって順番に考えて、“そうそう、それ!”とかね。そういうのを先生にぜひ子供たちと一緒にって。名前はあんまり僕はあえて言わないようにしています」

●ストーリーごとお伝えするっていうことなんですね。

「そうそう、そこが実は楽しいところなんですよ」

●この本はお庭がある一軒家に住んでいる方にも参考になりそうですよね!

「そうですね。ぜひ子供たちと一緒に(植物を)植えてほしいですし、季節を感じてほしいですね」

子供たちの豊かな感性のために

写真協力:株式会社 こどもみらい

※では最後に、廣瀬さんが園庭造りを通して伝えたいことを教えてください。

「僕たちは園さんからご要望あったことを誠実に応えている、スタッフとみんなで頭を悩ませて頑張っているだけなんですけども、おそらくひと昔前は、僕たちのようなこの仕事の取り組みってビジネスにならなかったと思います。っていうのは身近な自然っていうのはそこら中にありましたから。

 そこに対するアプローチとか、まさにその本に書いてあるようなことっていうのは、僕が友達や爺ちゃん婆ちゃんとかと一緒に生活する中で、実は身につけたものなんです。だからこの時代だからこそ、こういったことを伝えないと、子供たちの豊かな感性とかそういうことは育まれないんじゃないかなと一方で危惧をしながらも、僕たちは仕事に一生懸命向き合うだけなんですけども、そういったことを先生たちと一緒に子供たちに伝えられたらなというだけです 」


INFORMATION

園庭づくりのヒントがいっぱい〜こどもがあそべる木と草花』


『園庭づくりのヒントがいっぱい〜こどもがあそべる木と草花』

 この本には園庭造りのヒントが第5章にまとめられていますが、第1章の「春」編から第4章の「冬」編まで樹木や草花を紹介。植物の特徴はもちろんなんですが、その植物にどんな昆虫が寄って来るのか、葉っぱでどんな遊びができるのか、熟した実を食べたり、ジャムを作ったり、植物を通して、どんな遊びができるのか、それをイラストや写真でわかりやすく解説。これは小さなお子さんを持つパパやママ、孫がいるおじいちゃんやおばちゃんにも読んで欲しい一冊です。小学館スクウェアから絶賛発売中! 詳しくは出版社のサイトをご覧ください。

◎小学館スクウェアHP:https://shogakukan-square.jp/publish/books_new/747/

 廣瀬さんが代表を務める「こどもみらい」のオフィシャルサイトは以下。

◎「こどもみらい」HP:https://www.codomomirai.com/

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