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台風の制御に挑む!〜災害をゼロに、そして台風発電

2022/3/27 UP!

 今週のベイエフエム / ザ・フリントストーンのゲストは、台風研究の第一人者、横浜国立大学の教授で、気象学者の「筆保弘徳(ふでやす・ひろのり)」さんです。

 筆保さんは1975年、岩手県生まれ、岡山県育ち。現在は横浜国立大学・教育学部・教授。専門は気象学。そして、気象予報士でもいらっしゃいます。

 筆保さんがセンター長を務める「台風科学技術研究センター」は台風を専門に研究する機関で、海外ではアメリカや中国、フィリピンなどにはあるそうなんですが、実は日本では初めてなんです。このセンターには、台風観測、台風発電開発、地域防災など、全部で6つの研究ラボがあり、大変注目されています。

 きょうは、台風を制御するという夢のような計画に挑む筆保さんに台風研究への思いや、台風のパワーを発電に利用しようという、壮大なお話などうかがいます。

☆写真協力:筆保弘徳、台風科学技術研究センター

筆保弘徳さん

台風研究、半世紀前の試み

※台風の研究をされているということですが、人間が台風をコントロールするなんて可能なんですか?

「コントロールというと、ちょっと語弊があるんですが、台風の勢力を少しでも弱めたいっていう目的のもとで、そういう研究を始めています。実際に我々が台風を制御したい、台風の制御をやると言ったのは、最初だったわけではなくて、筆保が突拍子もないことを言っているなっていうことではなくて、実は1960年頃に、アメリカがもうすでにやっています。

 半世紀前に、アメリカなのでハリケーンになるんですけど、ハリケーンの制御を試みています。実際にプロジェクトも立ち上がって、約20年くらい続いて、ハリケーンをどうやったら制御ができるか、実際に記録上では4つのハリケーンに航空機で接近して、制御できるかという介入を少しやっています」

●具体的にどんな方法で台風を制御するんですか?

「どうやったら制御が出来るかっていうのは、考えなければいけないところなんですが、アメリカが半世紀前にやっていたのは、ドライアイスとかヨウ化銀っていう物質を航空機で近づいて撒く。で、撒いた後、台風の構造が少し変わることで、勢力が少し弱まるっていうやりかたです。ただ、その時の制御のやりかたもあまりよくなかったのか、いろいろ大きな壁があって、制御研究自体は中断しています」

●ではまだ叶ってはいないという段階なんですね。

「そうですね。半世紀前は。そして、その時できなかった理由がふたつあって、ひとつは半世紀前なので、台風の制御というよりも、台風がどういうメカニズムを持っているか、そもそもの現象として、台風をよく理解できていなかったっていうのが壁でした。

 もうひとつは相手が台風という自然なので、例えば、台風になにか人為的な介入をして、台風の構造が変わったり、勢力が弱まったり、進路方向が変わったりしたとしても、それが人間が介入をしたせいなのか、何もしなくても変化したのか、分からないっていう大きな問題があります。
 効果判定というんですけども、その効果判定とか、制御方法とか、そういうのが半世紀前にはしっかり分かっていなかったのが中断した原因です」

●それから半世紀たった今、さらにいろいろ進化していますよね?

「昔できなかったことが、いろいろできるようになりましたし、我々も台風がどういった現象なのか、発生や発達のメカニズムがよくわかるようになってきました。そして、その昔できなかったこととして、どうやったら制御できるかも大事なんですけども、効果判定が、まずできるようになったと。

 スーパーコンピューターなどの新しい計算機技術が本当に発展したおかげで、台風を、より現実的にリアリスティックにシミュレートできるようになりました。で、シミュレーションコンピューターの中で作った台風に、人為的に介入した場合と、しなかった場合を比較することで、台風の効果判定がしっかりわかるようになったというわけです」

(編集部注:ここで台風発生の仕組みを、ごく簡単に説明しておきましょう。太陽の熱で温められた海水が水蒸気となり、渦を巻きながら上昇し、上昇気流が発生。そして上空に行った水蒸気は雲となり、その雲はやがて積乱雲となって、さらに発達し、台風になるとされています)

台風からエネルギーを奪う!?

写真協力:筆保弘徳、台風科学技術研究センター

※筆保さんがセンター長を務める「台風科学技術研究センター」の研究ラボの中に、「台風発電開発」というラボがありますが、これは台風で発電するっていうことですか?

「はい。実はそこは台風の制御研究と繋がるんです。まず台風はエネルギーの塊って言われているんですけども、大体どれくらいのエネルギーを持っているか分かりますか?」

●いやぁ〜ちょっと想像つかないですけど・・・。

「例えると、世界中で作るエネルギー、具体的にいうと何日分の電気をひとつの台風は作りだしていると思いますか?」

●何日分ですか〜、2日とか3日とか?

「お、いいですね。答えは、約30日分です」

●30日分!! え〜そんなにパワフルなんですね!

「すごくパワフルです。もし台風ひとつのエネルギーをまるまる使えたら、世界中の1ヶ月分のエネルギーになるというのを試算しました」

●すごいですね! 実際に台風の膨大なエネルギーを利用しよういうわけですか?

「利用したいと思ってはいます。制御をするってことは、その膨大なエネルギーを少しでも奪うっていうことで、奪うんであれば、ぜひ我々の、人類の活動に使いたいなっていう目的になります」

●どうやってそんなことができるんですか?

「これもまだ今、考えているところなんですけども、我々のチームのひとりが10年前くらいから提案していたものは、船を使って発電をすることです。
 今よく話題になっているのは風力発電で、しかも洋上風力発電。海岸沿いの風が強いところの陸地に建てている風力発電用のプロペラを、海の上に建てればいいっていう話で発展しているんです。(船を使った発電は)それに近いんですが、風力を使うって言いながら、ちょっと違います。

 台風が来た時に風力発電は、ものすごく風を受けるので、くるくるくるって回っているプロペラは実は止めたり畳んだりしています。風を強く受けすぎて回転が速くなればなるほど、遠心力などでプロペラが壊れてしまうので、実は台風が来ている時は風力発電をしないのが普通です。

 我々の考えているのは、台風に船で近づいて、その船はヨットみたいな形で台風の風を受けて進む、推進力として進んで行くと。そして水中にあるスクリュー、プロペラを使って発電するっていうものになります。

 強い風を受けてそれで発電するわけじゃなくて、船を動かすだけ、推進力を使うだけなので、船は動くと。動くことで前から来る海の流れを使って発電をすれば、常時、発電できるんじゃないか、というのを提案しているのが、うちのチームにはいます」

●へぇ〜〜! 

「先ほど言った洋上風力発電に近いんですけれども、洋上風力発電は難しいところがいくつかあります。それは、作った電気を日本に持ってくるというか、送らなければいけないんですね。そうなると、海のほうからケーブルを引っ張って、電気を送るしかないんですが、すごくコストがかかるんですよ。

 台風発電は、船で発電しながら船の中に電気を溜める。もうひとつ大変な送電も船でやることで、船がその電気を運ぶ。本当に必要な所に電気を運んで行けるのが、船を使う大きなプラスになるところです」

運命の台風、プレッシャーディップ!?

※筆保さんは、高校生の頃から気象や風に興味を持ち、岡山大学に進学後も気象研究室で活動していたそうです。そして大学4年生のときに恩師から、調査・研究のために一緒にチベット高原に行かないかと誘われ、すでに就職先が決まっていたそうですが、その場で「行きます!」と即断。
 その後、大学院に進学するわけですけど、筆保さんの気象学人生はこのとき、決まったんですね。ちなみにチベットに行ったのは何年だったんですか?

「1998年なんですけど、『セヴン・イヤーズ・イン・チベット』っていう映画を小尾さんは知っていますか?」

●いや〜知りません・・・。

「ブラッド・ピットが主演の映画で、チベット高原で暮らすみたいな話なんですけれども、それをチベットの観測に行く前に僕は観ていて、もう気分はブラッド・ピット!」

●あははは(笑)

「で、チベットに行ったら、そこには本当に青い空があって、広大な自然があったんです。そして、大きな自然をなんとかつかまえてやろうという気象学者の先生方がいて、それを見て憧れて、僕は気象学者になりたいと思ったのが、大学院1年生でした」

写真協力:筆保弘徳、台風科学技術研究センター

●チベットでは具体的にどんな研究されたんですか? 

「チベットでは、僕の師匠は空と地面の間がどうなっているかを研究する研究者でした。なので、僕もそれを手伝っていました」

●台風の制御をしようという発想はどこから・・・?

「台風の研究者になろうというのは、僕も周りも全然思っていなかったんです。チベット高原に降りて、観測したデータを解析しながら、自然の中で観測をしている、気象学者の中でも観測屋ってその頃、言われていたんですけれども、観測屋になりたいなって思って、気象測器を恩師から借りて、色んなところに持って行っては観測をしていたんです。

 岡山県と鳥取県の間に、那岐山(なぎさん)という山があって、そこから南側の岡山方面に吹くおろし風『広戸風(ひろとかぜ)』という風があるんですけれども、その広戸風を観測したいと思っていました。
 高校の時、気象に興味があるって言ったのは、その広戸風を偶然、たまたま父親の車に乗っていた時に出会い、気象が楽しくなったので、これは観測したいなって思って、恩師から気象測器を借りて観測をしていました。それが98年で、何回やっても上手くいかなかったんですね。広戸風は滅多に吹かなくて、台風が和歌山県を通る、決まったルートの時にしか広戸風は吹かないんですよ。

 台風が日本に接近する度に、測器を持って山頂に上がっては、台風が全然思った方向に近づいてこなくて、観測失敗ばかりをしていたんですが、僕にとっては運命の台風、98年の台風10号が10月16日から17日にやって来たんですよ。

 その台風で広戸風が吹くかもしれないと思って、測器を設置していたら、和歌山のほうに行かずに、逆に我々が観測していた那岐山のほうにやって来たんですね。和歌山に直撃して大きな被害が出たんですけども、測器は無事でした。

 気象測器の観測データを見ると、台風の内部の珍しい現象を観測していて、これは面白いと思って、台風の研究を始めました。だから本当に偶然というか、たまたまというか、それが台風の研究の始まりです」

●それで今に至るわけなんですね。

「そうですね。あの時は台風の制御をしたいとか、そういうんじゃなくて、単純にたまたま、出会い頭だけれども、台風がやってきて観測した”プレッシャーディップ”っていう現象、それが何なのかを調べたいっていう、その知的好奇心だけでやっていました」

(編集部注:「広戸風」は那岐山の南側にある狭い範囲に吹く局地的な強風のことで、風速50メートルを超えることもあるそうです。筆保さんが1998年に観測に成功した現象「プレッシャーディップ」は台風に伴って発生する、気圧が突然、急降下する珍しい現象だそうです)

筆保弘徳さん

台風は生き続けられる!?

※温暖化によって、年々、台風が大きくなっているように感じているかたも多いかもしれませんが、巨大化しているか、どうかは、まだ研究中だそうです。ただ、本来なら、台風は北上して日本に近づいてくると、日本近海の海面の水温が低いことなどから、勢力は弱まるそうなんですが、最近は弱まらずに北上してくる傾向にあるとのことです。ちなみに台風の平均寿命はどれくらいなんでしょうか?

「それもすごくいい質問で、気象庁が発表している平均は5日間なんですが、台風の寿命には実は定義があります。熱帯で発生する低気圧の渦があって、それが弱かったらまだ台風ではなく、最大風速17メートル超えた瞬間に台風ですよと定義をしています。
 その逆で今度は台風の渦が弱まっていったら、台風ではなくなりましたよっていうこの期間を台風の寿命としています。でも、現象としては実は風速17メートルなる前から渦はあるんです」

●なるほど。

「だから、実は台風の寿命は5日間の平均よりももっと長いです。10日以上あると思います」

●そうだったんですね。

「はい。なので実は僕は、台風がほかの自然現象に比べて、非常にサイズにしては長寿な渦巻きだと思っています。で、小尾さんが今すごくいい質問をしたと思っていたのは、先ほど台風のエネルギーは無茶苦茶あるって言ったじゃないですか。

 人間が作り出す世界中のエネルギーの約1ヶ月分って言ったのは、そこの長寿がカギで、ほかの自然現象のエネルギーも見積もったんですけども、まあせいぜい1日いくかいかないかくらいなんですよね。だから台風は30倍もあって、すごいエネルギーを生み出す、空飛ぶ発電所みたいなものなんですね。

 彼が、台風を彼っていうのも変ですが、彼がそんなにエネルギーを作り出せるのは長寿だからです。台風はエネルギーを自分でどんどん作り出して、10日くらい寿命があって、なんでそんな寿命を持っているかっていうと、自分でエネルギーを作り出せるからなんですね。

 エネルギーを作っては放出をしているんだけれども、そのうちの一部は自分が次の瞬間にもう一回生きられるように自分にエネルギーを使っているんです。だから、台風はエネルギーをたくさん生み出しながら、外に放出しながら、持続的にエネルギーを自分に返しているので、もしもマイナスの影響、つまり上陸したとか風に流されたっていうことがなければ、台風は生き続けられます」

●すごいですね! 台風の威力って。

「威力もありますし、そのメカニズムですよね。そういうのを自己発達型っていうんです。台風は自分で自分を育てられるっていう・・・なので、先ほど言ったようにエネルギーは1ヶ月分だっていうことになります」

どこでも台風、だから防災

※今後の台風研究は将来、私たちの生活にどんなことをもたらしますか?

「直接的な影響や間接的な影響あると思うんですけど、本当に最近の台風を見ていると今まで来なかったようなところも台風が来るようになったなと。僕は岡山出身ではあるんですけども、岩手県生まれなんですよね。
 東北地方の特に岩手県は、台風なんて全然来ないところで、台風よりも津波の方が心配だった地域なんですよね。それが台風10号がやって来て、岩手県に上陸したんですよ。

 本当に過去半世紀、僕の教え子が100年前まで調べているんですけども、100年間通しても台風が岩手県に上陸したことはなかったんですよね。それが上陸してしまって・・・勢力はさすがにもう弱かったにも関わらず、岩手県では大きな被害が出てしまったんですよね。

 岩手県の人たちもびっくりしたと思うんですよ。台風がうちに来るなんて・・・そういうところに台風が来ると、勢力が強い台風が来て、台風に対して強い防災意識があるところよりも、弱い台風がまったく台風に関心がないところに来るほうが、大きな被害が出るんだなっていうのを実感しました。

 日本に住んでいる以上、台風はどこにでもやって来ると思ったほうがいいと思います。台風の勢力に関わらず、台風による研究、台風の防災に対しての新しい技術開発っていうのは、これからどんどん求められると思います」

(編集部注:台風10号が岩手県大船渡市に上陸したのは、2016年8月のことで、太平洋側から直接、東北地方に上陸、気象庁が統計を取り始めて、初めてのケースだったようです)


INFORMATION

「台風科学技術研究センター」

 台風を制御する研究は始まったばかりですが、筆保さんは少しでも台風の勢力を弱められれば、被害が減る、そして将来的には被害をゼロにする、そんな思いで取り組んでいらっしゃると思います。筆保さんがセンター長を務める日本初の台風専門の研究機関「台風科学技術研究センター」にぜひご注目ください!

◎台風科学技術研究センター HP:https://trc.ynu.ac.jp

横浜国立大学「そらの研究室」

写真協力:筆保弘徳、台風科学技術研究センター

 筆保さんの「そらの研究室」では、学生さんたちと毎日夕方4時に屋上で空や雲を観察、その日の「空当番」が明日の天気を予測し、その予測が当たったのか、外れたのかを半年記録するそうです。筆保さんいわく、天気図だけでなく、毎日、目の前の現象を見ることが大事だとおっしゃっていました。

 そして、教え子には「気象予報士」の資格を取ることを勧めているそうです。その理由として、例えば、初対面の人とお話するとき、「きょうはお天気いいですね〜」と天気の話になることが多い、そして、特に就職の面接時、履歴書の資格欄に「気象予報士」と書いてあるだけで、話が盛り上がる。つまり「人生に役立つよ」ということでした。

◎「そらの研究室」:http://www.fudeyasu.ynu.ac.jp/

シリーズ「SDGs〜私たちの未来」の第7弾!〜畑の上で太陽光発電「ソーラーシェアリング」

2022/3/20 UP!

 今週のベイエフエム / ザ・フリントストーンは、シリーズ「SDGs〜私たちの未来」の第7弾! ゲストは「市民エネルギーちば」の代表「東 光弘(ひがし・みつひろ)」さんです。

 「SDGs=持続可能な開発目標」は、2015年の国連サミットで採択され、2030年までに達成しようという目標=ゴールが全部で17設定。きょうはその中から、ゴール7の「エネルギーをみんなに そしてクリーンに」、そして、ゴール13の「気候変動に 具体的な対策を」について。

 東さんは1965年、東京生まれの千葉育ち。20年ほど、有機農産物などの流通を通して、環境問題に取り組み、2014年に「市民エネルギーちば株式会社」を設立、現在は代表取締役として活躍中。千葉県匝瑳市(そうさし)で行なっている事業「ソーラーシェアリング」は、令和3年度に環境省「気候変動アクション 環境大臣表彰」で大賞を受賞、いま大変注目されています。

 実は「東」さんは「アースデイ千葉」実行委員会の発起人で、2005年にこの番組に出ていただいていたんです

 きょうはそんな「東」さんに、ソーラーシェアリングとはいったいどんな事業なのか、そしてその事業を進めることで、どんな効果があるのか、いろいろお話をうかがっていきます。

☆写真協力:市民エネルギーちば株式会社

写真協力:市民エネルギーちば株式会社

発電すればいい、ってことじゃない

●それでは、そんな東さんが千葉県匝瑳市で行なっている、耕されなくなった畑「耕作放棄地(こうさくほうきち)」を活用したソーラーシェアリングや「市民エネルギーちば」について、お話をうかがっていきましょう。まずは、初歩的な質問になりますが、このソーラーシェアリングとは、どんな事業なのか、教えてください。

 「ソーラーシェアリングはざっくり言うと、畑の上で太陽光発電をやりますよっていう事業で、山を壊しちゃったりとか、そういうことはしません。
 (太陽光パネルの)高さがだいたい3メートルぐらいなんですけど、その下ではトラクターも通りますし、コンバインも通って、普通に農業やれる、そういうような仕組みなんです。

 特徴的なのは、たたみ一畳ぐらいの大きな太陽光パネルは使わないで、幅が35センチ、長さが2メートルの細長い太陽光パネルが、空間が2あったら太陽光パネルが1、2対1で隙間だらけの、そういう太陽光発電のことをソーラーシェアリングって言います」

写真協力:市民エネルギーちば株式会社

●ソーラーパネルの下が畑なんですね。会社名に”市民”と付いているのは何か意味があるんですか? 

「2011年に東日本大震災があって、原子力発電所の事故がありました。僕はその前まで20年ぐらい、有機農産物の流通をやっていたんですが、これからは食べ物だけじゃなくて、エネルギーのことを市民も考えていかなきゃいけないなって考えました。

 そこで千葉県内の9つの環境団体の理事とか代表クラスが集まって、ひとり10万円ずつ出し合って、本当に小さな90万円の合同会社を作ったのがスタートです。市民っていう名前は、市民のエネルギーなんだよ、しかも千葉から始めるんだよってことで、市民エネルギーちばっていう名前にしました」

●会社を起こすきっかけは、東日本大震災が大きかったんですね。

「いちばん大きかったですね」

●匝瑳市で行なっているソーラーシェアリングは、どんなことを大事に進めている事業なんですか? 

「ただ発電すればいいよってことではなくて、だいたい4つのことを大事にしています。ひとつは自然環境を大事にしようねっていうことです。
 いくら再生可能エネルギーでエネルギーを再生したとしても、山を壊しちゃったりとか生態系を壊しちゃったりしたら、元の木阿弥というか、本末転倒なんで、エネルギーのことだけじゃなくて、その他の環境問題のことも大事にしようね、これがひとつですね。

 それと(太陽光パネルの)下で農業やらせていただいてるんですけれども、やっぱり農業と太陽光発電だったらどっちが大事なの? って言った時には、迷わず農業のほうが大事なんだよっていう、これをすごく大事にしています。

 あとは地域コミュニティ、これもすごく大事にしています。自然エネルギーって広い土地や空が必要なので、その地域の恩恵を都会の、電気をたくさん使うところに分けていただくってお仕事だと思っているので、地域コミュニティが大事、そういうことを考えています。

 もうひとつは、社会的に僕たちは、普段”シンク・グローバリー、 アクト・ローカリー”ということで、地元で小さく活動しているんですけども、その思いが世界中に繋がっていくような社会性、そこにも寄与していきたいなってことで、この4つのテーマを大事に活動しています」

東 光弘さん

ソーラーシェアリングの師匠

※ソーラーシェアリングは、太陽の光を「発電」と「農業」でシェアするという取り組みですが、このシステムを開発したのは東さんなんですか?

「いえいえ、僕ではなくて、 僕の師匠に当たります、長島彬(ながしま・あきら)先生っていうかたがいらっしゃいます。長島先生は2010年にこのソーラーシェアリングという技術を特許申請しまして、特許を取れたんですね。でも自分がそれを独り占めすることはなくて、誰でも使っていいよってことで公開しています。

 全国で3000件以上のソーラーシェアリングがあるんですけれども、もしも長島さんがひとつあたり5万円とかお金を取っていたら、何億円も儲かっちゃっていたんですね。長島さんは全ては世界中の子供たちのためにっていうコンセプトを持っているので、自分が儲けるよりも、みんなが真似してくれて、どんどん広まってほしいっていう、そういう人徳者のかたなんですね」

●長島さんとの出会いは? 

「最初にお伝えした、自分もこれから自然エネルギーを広めたいなと思った時に、山を壊すような太陽光発電はやりたくなかったので、ちょっと悶々としているところに、畑の上の太陽光発電っていうのがあるよって知り合いから教えてもらいました。

 最初は自分もずっと有機農業の流通の仕事をしていたので、畑の上で太陽光発電をやるのは、けしからんなって感じで、ちょっと文句でも言いに行こうかなと思って(長島さんのところへ)行ったんです。行ってみたら、僕も全国の色んな畑を周るお仕事だったので、そこの野菜たちがすごくたおやかというか、僕たちは幸せだよみたいな、すごくふわふわっとした、いい雰囲気の中で作物が育っていたんですね。

 この技術は研究してみる価値があるなっていうことで、長島先生に色んなことを教えてもらいながら、実際に自分でそこで堆肥も作って、色んなお野菜を育ててみたんですね。どれもすごく元気に育つものですから、これはもう自分の仕事として全国に広めていきたいな、そう思ったのがきっかけです」

写真協力:市民エネルギーちば株式会社

パネルの下でもすくすく育つ

※先ほど、細長いソーラーパネルを使っているというお話でしたが、東さん、細長いパネルを使うメリットってなんでしょうか?

「できるだけ、自然の木漏れ日に近いような状態にしたいなと思っています。自然の中では、野菜たちって背が低いので、果樹も背が低くて、ちょっと大きい木が側にあると、その枝の隙間から来る、そこはかとない木漏れ日で、みんな元気に育っています。それに近い状態を作ってあげたいなっていうことです。

 大きいパネルを使っちゃうと、雨だれという雨の雫がすごくたくさん下に落っこっちゃって、その下の野菜の育ちが悪くなっちゃうんですね。(パネルが)細いと雨だれの量が大したことないので、作物にとってとても優しいっていうことですね」

●だから、ソーラーパネルの下の畑でもすくすくと育っていくわけですね。ちなみにどんな作物を育てているんですか? 

「現在は大豆と麦を育てています。今まで50種類以上の野菜を育ててみて、どれも元気に育つんですけども、私たちのところは土地がとても痩せているので、まず大豆を育てて空気中の窒素を固定化する。

 そして麦を育てると、麦はすごく根っこが深く延びるので土の中に空気が入っていく。空気が入っていくと微生物もよく育つ。麦と大豆を輪作していくと土がだんだんよくなるので、有機農業ではよくやる手法なんですね」

●耕作放棄地は農家さんから借りているんですか? 

「そうですね。借りる場合が多くて、あとは買っちゃったりもして、そこを有機JASということで、全部オーガニックにしてやっています。僕たちは太陽光パネルでCO2が出るのを減らしたいってことと、その下で植物が育つので、光合成によっても空気中の炭素を固定化していこうというのがひとつあります。

 有機栽培をやると土の中の炭素がどんどん増えていくし、化学肥料とか農薬はすごく化石燃料を使って作るものなので、それを使わないと、よりエコだっていうことで、トラクターもBDFっていうバイオディーゼルの燃料を使っていたりします」

●農家さんたちの反応はいかがでした? 

「わりと僕たちの農業をやってくれている仲間たちは若くて、もともと有機栽培をやっている人たちなんですね。そういう農家さんは知的好奇心が高いので、やっぱり気持ちよく、農業をただお仕事でやるんじゃなくて、それが自分たちの仕事だとプライドが持てて、社会に自分たちの農業が貢献しているんだっていう意識があると思います。

 だからその上で自然エネルギーを生み出すってことは、すごくポジティブに捉えてくれているし、今パタゴニアさんとかと協力してやっている不耕起栽培の実験にも、すごく積極的に自分ごととして参加してくれているんですよね」

●そのパタゴニアさんとのコラボってどんなものなんですか? 

「色々やっているんですけど、そのうちの大きいプロジェクトが、耕さないで農業をやってみること。今アメリカとかヨーロッパでどんどん盛んになってきているんですね。

 さっき言った有機栽培に加えて耕さないと、土の中の”団粒構造”っていう、微生物たちがネバネバした液体みたいなのを出して、土がポップコーンみたいに粒々コロコロになっていくんですね。そうすると他の微生物がもっと育つようになってきて、どんどん微生物の死骸が溜まったりして、土の中の炭素量が増えていくんです。

 僕たちの活動はその太陽光パネルでCO2が出る量を減らしていて、その下で作物を育てて光合成によって炭素を固定しているんですけれども、耕さない農業をやると土の中にさらに炭素が入っていくので、そういったことをパタゴニアさんと協力して、今実行しているところなんですね」

(編集部注:東さんによれば、千葉県匝瑳市では農地の4分の1ほどが耕作放棄地になっているそうです。そこを再生させる意味でもソーラーシェアリングに可能性を感じます)

東 光弘さん

都市部でもソーラーシェアリング

※ソーラーシェアリングの課題はありますか?

「今、うちのエリアではすごく成功しているんですけれども、まだ社会的に、例えば農家さんの高齢化が進んでいたりとか(農業)従事者人数が減っていたりとか、耕作放棄地が増えているっていうことがあります。
 農業の面からもソーラーシェアリングは期待されているし、世界的にはRE100(*)だったりとかで、自然エネルギーをもっと増やしてほしいっていうニーズがあるんですね。ニーズがあるにもかかわらず、爆発的に広まっていません。

 これはひとつは、20年間は最低やらなければいけないので、20年農業をやってくれる農家さんを探すのが大変だったりとか、先ほど最初にお伝えした通り、(太陽光パネルが)高いところにあったり、細長いちょっと特殊なパネルを使うので、コストがまだ高い。このふたつを解決していくのが今いちばん大きな課題になっています」

●ソーラーパネルのメンテナンスは結構大変なものなんですか?

「意外と簡単です。汚れにしても、だいたい30度くらいの角度がついているので、例えば、鳥の糞とかカラスの糞がついちゃっても、ちょっとしっかりした雨が降れば、すぐ綺麗に落ちたりとか・・・。

 あとは、仕組みとしては意外とシンプルなので、メンテナンスは意外と簡単です。特に僕たちの場合はその下で農業をやっているので、定期的に人が入ります。山奥のメガソーラーと違って、週に1回ぐらいは誰かがちょっと見たりとかしているので、ケーブルがたれちゃっているねって言えば、ささっと直せますね」

●そうなんですね〜。じゃあ扱いやすいですね。

「そうですね。自然エネルギーの中では、素人でもメンテナンスしやすい技術だと思います」

●ソーラーシェアリングを都市部でも展開しようとされていますけれども、都会となると、使う土地って畑ではないですよね?

「色々考えられるんですけど、いちばん簡単なのは公園かなって思ってますね。ちょっとパーゴラみたい、藤棚みたいな感じで、木陰代わりにソーラーシェアリングになっていて、そこから例えば、外灯とか色々電気をとっておいて、災害時にはみんながそこでスマートフォンを充電出来るような空間にしたりとか。それとあと大きなビルの屋上もすごく狙っています」

●いいですね!

「ふたつのことを考えていて、屋上緑化されているビルについては、そのまま畑と同じようなソーラーシェアリングをやって、あとはビルの上ってGoogleアースとかで見ていただけるとよく分かるんですけれども、結構クーラーの室外機とかでデコボコなっているんですね。

 ソーラーシェアリングの場合だと逆に脚があるので、室外機とかをオーバーハング、上に跨いでいくような形で設置ができますね。TOKYO OASISってうブランドで、そういうことも考えています。

 クーラーの室外機って本体が35度以上になると、すごく消費電力が上がっちゃうんですけど、ソーラーシェアリングで日陰にするとすごく消費電力も下がるので、二重にお得かな! そんなことも考えています」

(*編集部注:東さんのお話にあった「RE(アールイー) 100」とは、「RENEWABLE ENERGY(リニューアブル・エナジー) 100%」の略で、事業活動で消費するエネルギーを100%再生可能エネルギーで調達することを目標とする国際的な取り組みのこと。国内外の超有名企業が数多く参加しています)

災害時に電気を供給

※2019年に千葉県でも大きな台風被害があって、停電が長引いたことがありました。その時に「市民エネルギーちば」では充電のためのステーションを開設したそうですね。どんな試みだったんですか?

「私たちのエリアでもやっぱり2週間くらい停電がずっと続いて、僕自身も初めて被災者っていう立場になって、メンタル的にすごく削られていくっていうのがよく分かったんですね。

 自分たちに出来ることはないかなっていうことで、とりあえずメンバーが各自、自分たちの発電所に行ってパワーコンディショナーっていう機械を開けて、そこから100ボルトの電気がそれなりに取れたので、それを地元のかたたちに10日間くらい解放しました。

 そこに炊飯器を持って来れば、そこでお米も炊けるし、EVカー持って来れば、充電もできるってことを数設備分やったんです。それですごく地元のかたの信頼が上がったっていうか、電気はただエネルギーってことじゃなくて、人と人が繋がる、コミュニケーションになるんだなっていうのが分かりました。

 そのあと、匝瑳市と連携して、今度は全部の設備から電気が取れるように協定を結んだところなんですね」

●それはどういった協定なんですか?

「僕ら(のメンバー)は数人しかいないので、設備が20個あっても全部使えないから、匝瑳市の地元のかたに講習会を開いて、カギを預けておいて、もし停電になったら、みんな自分の係の発電所を開けて電気を取り出せますよ。匝瑳市の人だったら誰でも電気をタダで貰えますよっていう協定書を、覚書を作ったんですね。

 現在はそれがさらに発展して、ENEOSさんと共同申請をして”マイクログリッド”という仕組みの調査を昨年実施したところです」

●「地域マイクログリット構築プラン作成事業」!

「そう、難しい言葉! おっしゃる通りです。経産省が主導で、全国でそれに挑戦してみるところありませんか? っていうことで、私たちの地域で応募して採択されて、今調査が終わったところです」

●改めて、このマイクログリッドっていうのは、なんですか?

「普段のこの辺ですと、東京電力さんが大きなグリッド、送電網っていうものを管理していただいているわけですけれども、災害があった時には停電が起きちゃうよと。そういう時に千葉県ですと、睦沢町(むつざわまち)というところで、すでにマイクログリッドが実証されているんですね。そのエリア、決して広くはないんですけども、前々回の台風15号の時も19号の時にも、そこの町だけは停電が起きなかったんですよ。

 すごく素敵で、僕らもそれをぜひやってみよう! ってことで、近くの”ふれあいパーク”っていう道の駅のようなところがあるんですが、そこに大きな蓄電池を入れて、普段は溜めておいて、もし停電になったら、ソーラーシェアリングの電気をそこに繋いで、数百件のお宅と、あとは学校とか、そこのエリアだけは停電しないようにってそういう実証実験をやっているところで、今年からいよいよ建設が予定されているところです」

写真協力:市民エネルギーちば株式会社

※東さん、最後に「市民エネルギーちば」の代表として、ソーラーシェアリングも含め、伝えたいことがあれば、お願いします。

「本当に大事な時期に生きているなと、お互い思っていて、僕は56歳なんですけど、最近若い人もたちもどんどん訪ねて来てくれています。
 自分が普段、環境活動をやっている上で気をつけていることが3つあって、ひとつはさっき言ったような、Googleアースから見た視点、距離的に高いところから見て俯瞰してものを見る。

 それと環境問題って自分が今いいことだなって思っていても、人間が考えることなので、間違えちゃうことも多いから、時間軸を何十年とか何百年とか、時間も俯瞰して見るっていうこと。

 ソーラーシェアリングは、空中では太陽光発電をやって地面では農業をやろうってことで、階層、レイヤーを俯瞰して見る。色んな組み合わせ、車はもともと人が移動したりとか、物を運ぶための道具なんですけど、それを今度はエネルギーを運ぶっていう異なるレイヤーのことを、再度ハイブリッドに組み合わせてみると、色んな可能性がある。だから距離的な俯瞰、時間的な俯瞰、レイヤーの俯瞰をしていくと。

 これから大変な時代だって、ついみんな思いがちで、僕もそういう時あるんですけど、無限に解決していく可能性があると思っています。それはエコロジーに従事していくと、すごく自分の世界観を広げながらやっていけることだと思うので、そういうことを来ていただいた若い人には、今お伝えするようにしています」


INFORMATION

 太陽の光を「発電」と「農業」でシェアするソーラーシェアリングは、クリーンなエネルギーを得られること、作物の収穫、そして耕作放棄地の再生、さらにエネルギーの自給自足は災害時の備えにもなる素晴らしい事業です。ぜひ「市民エネルギーちば」の活動にご注目ください。

 「市民エネルギーちば」について、詳しくはオフィシャルサイトをご覧ください。

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「SDGs〜私たちの未来」エコな暮らしを楽しくお洒落に〜ゼロウェイスト「ミニマルリビングトーキョー」

2022/2/13 UP!

 今週はシリーズ「SDGs〜私たちの未来」の第6弾! ゲストは、ゼロウェイスト・セレクトショップ「ミニマルリビングトーキョー」の赤井エリさんです。

 オンラインショップの「ミニマルリビングトーキョー」では、環境や健康に徹底的にこだわった商品を販売、特に子育て世代のママや、エコ意識の高い女性に大好評なんです。

 そんなショップの共同代表、赤井さんにお話をうかがいながら、エコな暮らしを、お洒落に楽しく続けていくにはどんなことが大事なのか、一緒に考えていきたいと思います。また、おすすめのエコな生活用品やコスメなど、耳寄りな情報もお届けします。

☆写真協力:ミニマルリビングトーキョー

キャプ:共同代表の赤井エリさん(右)と同じく千葉エリナさん
キャプ:共同代表の赤井エリさん(右)と同じく千葉エリナさん

「つくる責任 つかう責任」

 赤井さんにお話をうかがう前に、少しだけ「SDGs」のおさらいです。SDGsは「SUSTAINABLE DEVELOPMENT GOALS(サステナブル・デベロップメント・ゴールズ)」の頭文字を並べたもので、日本語に訳すと「持続可能な開発目標」。

 2015年の国連サミットで採択され、2030年までに達成しようという目標=ゴールが全部で17設定されています。その範囲は飢餓や貧困、環境問題、経済成長、そしてジェンダーに関することまで、いろいろな課題が入っています。
きょうは17設定されているゴールの中から「つくる責任 つかう責任」について考えていきましょう。

 きょうのゲスト、赤井さんは、2019年6月に共同代表の千葉サイナさんとふたりで、ゼロウェイストにこだわったショップ「ミニマルリビングトーキョー」を立ち上げ、子育てをしながら、日々奮闘されています。販売している商品は、キッチンやバスルーム用品から、エコバッグやコスメなど、およそ70種類。どれもお洒落で素敵なんです。

写真協力:ミニマルリビングトーキョー

お店、やっちゃおう!

※それでは赤井さんにお話をうかがっていきましょう。まずはショップのコンセプト「ゼロウェイスト」について。改めて、どんな意味があるのか、教えてください。

「ゼロウェイストの本当の意味というのが、まずゼロは数字のゼロ、何もない状態を表していて、ウェイストは英語でゴミのことを表しています。ゼロウェイストって造語なんですけど、ゴミがない状態を表しているんですね。

 私たちが普段生活している中でゴミってどうしても出てしまって、それはしょうがないことなんですけど、ゼロウェイストのコンセプトを基にしていると、そもそも最終的にゴミになってしまうようなものを、自分の手に持たないっていうことなんですね。

 だから例えば、何かものをひとつ買う時に、これって最終的にどういったものになるんだろうって考えて、ずっと使えるのかな、それともいずれゴミになってしまうのかなって考える。で、ゴミにならないようなものを使う、もしくは生産する。生産者側にも言えることなんですけど、それを全部まとめてゼロウェイストっていう言葉の意味になっています」

●ゼロウェイストをコンセプトにしたセレクトショップを始めようと思ったきっかけは何だったんですか? 

「いろんな人に聞かれて、必ず私もパートナーのサイナも、”ノリだったんだよ”って話をよくするんですけど、そもそも私たちは学生時代に留学先のカナダで知り合っているんですね。
 その時に普通に友達として仲良くしていて、お互いにもともと、例えばサイナは大学でアグリカルチャーやオーガニック農法を専攻していたので、そういうことにすごく詳しかったのと、私も環境問題にちょっと関わるような授業を受けていたり、卒業後もそういう仕事に少し就いたりしていたので、もともと興味があったんですね。

 私たちが住んでいたバンクーバーは、2010年に(冬季)オリンピックを開催した都市で、世界で最もグリーンな都市って言われているんですよね。
当たり前のようにダウンタウンのビルの上がルーフガーデンになっていたり、当たり前のように野菜が、オーガニックのものや裸売りのものが買えたり、あとは量り売りも当たり前にあったりっていう中で暮らしていたので、ふたりとも日本に帰国したあとに、すごく逆カルチャーショックみたいなのを受けてしまって・・・。

 今まで当たり前に買えていたものが何も買えないよねってなって。かつお互いにひとり目の子供が生まれ、子育てをする中でも、やっぱり何か良いものって手に入れづらいね。その良いものっていうのは、高くて良いものではなくて、本当に体に良いものとか、環境に良いものは手に入りづらいよね。

 でもきっと、こういう思いしている人って、私たちだけじゃないよねっていう話をしていて、“じゃあ、お店やっちゃう!?”みたいな感じで(笑)。だってお店があったら困ることなく必要なものが全部そこで買えるし、自分たちの問題も解決するよねみたいな感じで、“やっちゃおう!”って言って、1週間後に会社を立ち上げていました」

(編集部注:ショップをノリで始めたとおっしゃっていましたが、勢いと熱意を維持しながらも、ビジネスとして継続させるために、販売する商品のリサーチやセレクトには、ものすごく時間をかけたそうです。ショップのサイトを見ると、そのこだわりが伝わってきますよ)

写真協力:ミニマルリビングトーキョー

環境アクションのきっかけに

※ショップの名前「ミニマルリビングトーキョー」には、どんな思いが込められているんですか?

「これも結構悩んだんですよ。 すごく名前がシンプルで悩む余地もないんじゃないかって感じなんですけど・・・それこそシンプルリビングがいいかな〜、オーガニックリビングがいいかな〜、それともゼロウェイストがいいかなとか、すごく色々考えて、日本人でも分かる英語、かつ覚えやすい名前にしようと。

 実は”トーキョー”を付けたことにすごく意味があって、私たちの事務所が今、東京ベースなんですけど、東京ってすごく都会っていうイメージがあって、みんなが忙しなく働いていて、環境に対する意識とか、何かを頑張ろうっていうのもすごく大変な感じがするんですよ。

 都会に住んでいるとゴミが出ちゃうとか、何かそういったイメージを覆して、東京という世界屈指の大都市に住んでいるからこそ出来るサステナブルなアクションがあるよっていうことを発信したかったので、トーキョーって名前を最後に付けて、ミニマルリビングトーキョーにしました」

●へ〜〜、そういった思いが込められているんですね! 販売しているエコな商品に赤井さんと千葉さんのメッセージも込められているんですよね? 

「そうですね。もちろん会社のミッションとしてもあるんですけど、私たちのいちばんの目的は、私たちが取り扱っているものを通して、ひとりひとりの人が、環境アクションってこんなに簡単なんだとか、めちゃくちゃ楽しんで出来るんだ、みたいなきっかけや気付きを持ってほしいっていうところがいちばんなんです。

 そこからそれぞれの人が考える力が出てきて、色んなことへのマインドがちょっと環境に優しいものだったりにシフトしていく、そういうことが出来るようになるんですよね。

 何かひとつでも環境に配慮したものを自分の生活の中に取り入れることで、そういった考えに変わっていく人がどんどん増えていくことで、日本が変わっていくとか、世界が変わっていくとか、本当にそういうことに繋がるから、そんなマインドシフトのきっかけになりたくて、こういうショップを運営したいねっていうことにもなりました」

(編集部注:「ミニマルリビングトーキョー」では、国産も販売していますが、主なものはアメリカ、カナダ、ニュージーランド、オーストラリア、そして台湾などから輸入した商品だそうです)

商品選びの妥協のないこだわり

※販売する商品を選ぶときのポイントというか、こだわっているのはどんなところですか?

「ここはすごくこだわっているので、かなり基準が高いんです。まず、もちろんプラスチックフリー。使い捨てプラスチックや石油ベースの原料を使っていないものを中心に取り扱っているんですね。

 だから例えば、中身の原材料がすごく良いものでも、結局使い捨てのプラボトルに入っていて、そのプラスチックの原料がバージンプラスチック、リサイクルされているものでもなくて、本当に石油から作られた新しい製品だったりしたら、もうそこでブッブーってなっちゃうんです。

 あとは例えば、製品を使い終わったあとに土に返せるかどうかもすごくポイントが高くて、コンポストできるかどうかってことですよね。容器とか製品自体を土に埋めた時に最終的に堆肥にできるかも高いポイント。もちろん小物雑貨が多いので、耐久性と実用性は必須で、これエコな商品だから、使いづらいけど、しょうがないよねっていうのはないようにしているんですね。

 だから初めて使った人が、それがエコな製品かどうかを分からないぐらい、従来のものと変わらない、もしくはそれ以上の実用性と耐久性があるものを探していて、この辺がやっぱり製品の特徴なんですね。

 あとは日本に既にあるかどうか、珍しいもの、話題性があるものかどうか。結局、最終的に使っていて気分が上がるかどうかなので、見た目が可愛いとか、かっこいい、お洒落とかもすごく大事です。やっぱりそれって続けられるポイントにもなるし、色んな人の目に留まることにもなるっていうポイントもあるので、それもすごく大事ですね」

●ご自身で使われて、試してみてっていうこともあるんですか? 

「そうですね。大体サンプルを取り寄せて、ものによってですけど、コスメだとやっぱりお肌とかにつけるものなので、数ヶ月間試してみて、かつ自分たちだけじゃなくて違った肌質の人とか、違った生活態度をしている人とか、色んな人に試してもらってどうかなっていうのがありますね。
 それで結局やっぱり駄目だったねっていうものももちろんあるし、これならいけるねっていうものが、今オンラインのストアに並んでいるものですね」

ベストセラーは固形の食器用洗剤

写真協力:ミニマルリビングトーキョー

※特にどんな商品が売れていますか? その特徴も含めて教えてください。

「今いちばん人気は固形の食器用洗剤なんですけど、こちらはリピーター率がとても高いっていう意味で、すごく人気の高い商品です。
 やっぱり液体から固形にスイッチするって結構チャレンジングなことなんですよね。いきなり固形!? みたいな・・・でもみんなちょっと試してみて、そうしたら、すごくびっくりした! っていう感想をよく聞いていて、みんなすごく使いやすいと言って使ってくれているのが食器用の固形洗剤です。毎日使うものだし、本当に使えるものじゃないと意味がないので・・・あと最近だと、若い女性の層でも環境に対する意識がすごく高まっているのもあって、メイク用品がすごく人気ですね」

●固形の洗剤ですけど、手を洗う時の固形の石鹸ではなくて、食器用の洗剤が固形ってことですよね? 

「そうなんです。普通にボトルの洗剤をスポンジに付けていたように、固形の洗剤にスポンジを擦り当てるだけで泡立って、そのままお皿が洗えるっていう使いかたですね」

●やっぱり容器も今まではゴミになってしまいましたよね。

「プラボトルがやっぱりネックで、多くのものが実は再利用されていない、リサイクルされていないっていう現状ももちろんありますね。日本はすごくプラスチックのリサイクル率も低いので、根本からそういうところも変えていくのにすごくいいアクションかなと思います」

●コスメ用品でいうと、特に売れている商品はありますか?

写真協力:ミニマルリビングトーキョー

「今人気が急上昇しているのが、今年に入ってから入荷した新製品なんですけど、アイシャドーパレット。3色のパレットになっていて、それが3種類あるんです。容器がワインのコルクをリサイクルして、それをアップサイクルして、その容器にアイシャドーを入れていて、箱も再生紙で出来ているんですね。そのコスメが、要はチークとかシャドーとか全体的に使えるもので、かつ動物性の原料を一切使ってないヴィーガンのメイク用品なんですね。

 もちろん製造過程で動物実験をしていない。環境を汚染するような原料、例えばパームオイルとかそういったものを使っていない。人工的な着色料や香料も一切入っていないものなので、すごくクリーンなメイク用品っていう感じで、発色がすごく綺麗なんですよ! ぜひサイトで見てもらいたいんですけど、メイクにこだわるかたでも気に入ってもらえて、今それが人気急上昇中ですね」

※ほかに今、特におすすめの商品はありますか?

写真協力:ミニマルリビングトーキョー

「例えばスキンケアにすごく興味があるかたとか、化粧水、乳液だなんだって色々使っていて、もう大変みたいな感じの人におすすめなのが固形のセラムバーです。セラムって美容液なんですね。

 もともと高級美容液として知られているもので、皮膚を活性化させて、お肌を蘇らせる機能があるんですけど、結構な確率ですごく立派な瓶に入っていたりとか、キャップもすごく重めのプラスチックで、中身はちょっとだけ。それでも、ものすごく高いのが割とセラムなんです。うちのオンラインストアでもそのセラムは扱っていて、ただこれは固形なんですよね。

 水分を省いて凝縮した固形のバーで、それを直接肌に当てて塗っていくんですね。先ほど言ったように、例えばヴィーガンであったりとか、動物実験を一切していない、オーガニック成分を使っている、天然オイルがベースだったりするなど、色々こだわりの過程を経て出来上がったセラムバーで、これを使っていると化粧水とか乳液とか全部いらないんですよね。

 だから自分の普段の生活がこの3センチ×3センチぐらいの小さい缶に収まるぐらいのスキンケアで済むっていう、すごくミニマリストであり、シンプルであり、でもお肌の状態をよく保ってくれます。

 私たち結構これを気に入っていて、私も割とアウトドア派でキャンプに行ったりとかするので、そういう時にさっと持っていけてっていうのもすごく便利で、詰め替えとかもあるので、ゴミが増えない、容器をずっと繰り返し使えるっていうところもすごくいいポイントですね」

(編集部注:当番組のパーソナリティ小尾さんがショップのサイトを見て、特に気になったというのが「キューボトル」と「バンブーシリコンの綿棒」。

写真協力:ミニマルリビングトーキョー

「キューボトル」はプラスチックフリーの水筒で、飲み終わったら、半分の大きさに縮めることができるんです。「バンブーシリコンの綿棒」は、使い終わったら、洗って何度も使えます。ぜひチェックしてください)

やろうよ、みんな一緒に!

※今やエコバッグやマイボトルは当たり前になってきたと思いますが、エコなことや、ゼロウェイストな活動は、ちょっと面倒だったりすることもあるかな〜と思います。長続きさせるコツがあれば、教えてください。

「本当に色んなことが凄くシンプルなので、そんなに難しく捉えないでほしいんですよね。私がこれをやらなきゃ地球が壊れる!とか、そうやって思っている人はもちろん全然いいんですけど、そういうプレッシャーを感じるよりかは、まず楽しむことがいちばんだと思うんです。自分が気に入ったやりかたとか、これだったら無理せず出来るなっていうものを取り入れるのが、本当にいちばん大事なことだと思うんですよね。

 やっぱりエコなアクションとか、ゼロウェイストって考えると、ちょっと引き気味になってしまったりとか、ちょっと面倒くさいかな〜って思ったりすると思うんですね。

 面倒くさいって思うか、それを便利と思うか、今私たちの心理自体に問いかける必要があって、当たり前に毎日消費しているものとか、自分のとっている行動、そのひとつひとつが環境や自分の子供たちの未来に、どういう風に影響するかなって真剣に考えた時に、同じ選択って多分出来ないと思うんですよね。

 だから自分の当たり前を何かひとつでも覆すことで、新しい扉も開くし、新しい自分にも出会えるし、きっとそういうことで生活が多分変わっていくと思うんですよね。

 ゲーム感覚でいいんですよ、ひとつひとつ・・・”きょうマイボトル、クリア!”とか、”今週ビニール袋を1枚ももらわなかった、クリア!”とか。特に小さい子供がいるご家庭だったら、そういう感じで子供とも楽しめるし、自分にとってもいいリマインドにもなるし、とにかくなんでもいいからやってください! っていうのはいつも言ってますね。

 やるかやらないかって、誰でもやれるっていう選択肢があるから、やらないっていう理由はないんですよね。だからなんでもいいからやろうよ! みんな一緒に! っていう感じで出来たらいいですよね」

 今回はSDGsのゴールの中から「つくる責任 つかう責任」について考えてきましたが、プラスチック・フリーな生活は「海の豊かさを守ろう」にもつながりますし、パームオイルを使ってない商品を選ぶことは「陸の豊かさも守ろう」にもつながると思います。私たち消費者の日々の選択と本物を見極める目が大事だなと改めて思いました。あなたはどう思いますか。


INFORMATION

 「ミニマルリビングトーキョー」では環境や健康に徹底的にこだわって選んだ商品が販売されています。ぜひオフィシャルサイトをご覧ください。

 「ミニマルリビングトーキョー」はオンラインでの販売がメインですが、ユーザーさんと直接やりとりができるイベントなどに、月一回程度で出店しています。今月2月は16日から22日まで、新宿伊勢丹本館1階で開催される「マザーチャレンジ」に出店。3月は横浜・日出町で開催されるマルシェにも出店する予定となっています。
 なお、新型コロナウィルス感染拡大に伴い、延期または中止になることもありますので、お出かけ前にチェックしてくださいね。

◎「ミニマルリビングトーキョー」HP:https://minimal-living-tokyo.com

シリーズ「SDGs〜私たちの未来」第5弾! 生物多様性を守ろう!〜アプリ「バイオーム」の可能性!

2021/10/3 UP!

 今週のベイエフエム / ザ・フリントストーンは、シリーズ「SDGs〜私たちの未来」の第5弾! 今回は「サステナブル ・ディベロップメント・ゴールズ」=「持続可能な開発目標」の17のゴール中から、ゴール15の「陸の豊かさも守ろう」ということで「生物多様性」について考えていきたいと思います。

 ゲストは、いま大人気のいきものコレクションアプリ「バイオーム」の開発責任者「藤木庄五郎(ふじき・しょうごろう)」さんです。

 藤木さんは1988年生まれ、大阪府出身。京都大学大学院を経て、2017年5月に大学院の仲間と株式会社バイオームを創業し、CEOに就任されています。在学中にボルネオ島で長期にわたり、キャンプ生活をしながら、熱帯雨林の、特に樹木を調べ、その調査結果をもとに、人工衛星の画像解析などをもちい、多様性を可視化する技術を開発されています。

 人工知能AIが生き物の名前を判定してくれる「バイオーム」は、生き物好きなユーザーだけでなく、企業や自治体も注目しています。

 きょうは藤木さんに「バイオーム」が持つ機能と、その可能性、そして制作の原点となったボルネオ島での体験についてうかがいます。

☆写真協力:株式会社バイオーム

写真協力:株式会社バイオーム

ワクワクを伝えたい!

※それではまず、藤木さんに「バイオーム」の基礎知識として、どんなアプリなのか、お話しいただきました。

「生き物の名前を判定できるっていうのは、面白い機能かなと思うんですけど、生き物の写真を撮って、それをAIが判定してくれて、どんな生き物なのか名前が分かる機能があるんです。それだけじゃなくって、見つけて写真を撮った生き物をどんどん図鑑に登録していく、コレクションしていくことができるっていうような、そういうアプリになっています。

 その際にどんどん投稿してもらうと、レベルが上がったりとか、ポイントが貰えてバッチが貰えるとか、ゲーム感覚で生き物を楽しみながら見つける、そういう体験を生み出したいっていう思いで作っています」

●確かに、私も使わせていただいたんですけれども、次のレベルまで何ポイントとか出ると、どんどん投稿したくなるような・・・ワクワクしますね! 

「そうですね。そのワクワクを伝えたいなと。生き物好きな人って、こういうアプリがなくてもワクワクしながら、生き物を探して見つけることをやっているんですけど、それをみんなにも伝えていきたいなっていうことを考えています」

●ほかの人が投稿した写真も見ることができますよね。

「そうですね。みんなで共有していって、生物多様性、生き物の豊かさの情報をみんなで集めていこうっていうのが裏コンセプトになっています。そういう形でみんなの情報が、地図上や図鑑で見られたり、色んな形で見られるように工夫しています」

●綺麗なお花とか綺麗な蝶々とか、この生き物はこういう名前なんだ!とか、ほかの人の投稿を見て学ぶこともできるっていうのは面白いなと感じました。

「僕も(バイオームを)使っていると、何だこれ!? みたいなものが、いっぱい投稿されていてめちゃくちゃ面白いですね(笑)」

藤木庄五郎さん

●ユーザーのかたがたが投稿した写真などのデータが、将来的には膨大な生物のデータベースになっていくっていうことなんですか? 

「はい、おっしゃる通りです。このアプリでは写真を登録する時に位置情報を使ってまして、どこにどんな生き物がいるのかっていう基礎的な生物の情報を、どんどんみんなで集めていくっていうところで、そういうデータベースを作るのがひとつの目的になっています」

●いまユーザー数ってどのくらいいらっしゃるんですか?

「 ユーザー数でいうと、いま32万人ぐらいのかたが使ってくださっています」

●ということは、どんどんデータベースも増えていきますよね。

「そうですね。人数がとにかくいっぱいいるので、もう既に(バイオームを)リリースしてから2年ちょっとくらいですけど、200万個体ぐらいの登録はされている状況です」

●本当にゲーム的要素もたくさんあって、すごく楽しみながらできるなって感じるんですけれども、やはりゲーム的要素を取り入れようというのは心掛けているところなんですか? 

「生物多様性のデータベースを作るぞって言って、それに賛同してくれてやってくれるかたって、もちろんいっぱいいると思うんですけど、そうじゃなくって、別にそこは興味ないけど楽しいからやるんだって言ってくれるような、そういう参加の仕方っていうのもあるんじゃないかなと思っています。楽しいからやってくれるようなアプリを目指すためにも、ゲーム要素、ゲーミフィケーションみたいなものが必要なんじゃないかっていうことは考えて作りました」

※バイオームの制作にあたっては、当初は創業メンバーだけで生物の情報を独学で打ち込んでいたそうですが、自分たちだけでは限界があると思い、大学の先生や研究機関に協力してもらい、作っていったそうです。

写真協力:株式会社バイオーム

原点はボルネオ島!?

※藤木さんは京都大学在学中に、およそ2年半にわたって東南アジアのボルネオ島で植物の調査を行ない、それが「バイオーム」の開発につながったということなんですが、いったいなぜ、ボルネオ島だったのでしょうか。

「僕自身、元々そういう生態系とか生物多様性を保全していくことにめちゃくちゃ興味がありました。というか“やらなきゃヤバイな”っていう思いがありましたので、そういうことができる研究室で、そういう研究をしたいなっていう思いで大学に入ったんです。

 その中で色々調べていくと、生物多様性がまだ残っていて、それがすごく急速に失われている場所が、ボルネオ島がトップ級に、世界でも有数の環境破壊の最前線みたいな場所だということを聞いて、是非とも行ってみたいということで、志願して行かせてもらった経緯があります」

写真協力:株式会社バイオーム

●具体的に現地ではどんな研究調査をされていたんですか? 

「すごく過酷な調査ではあったんですけど、リュックを背負ってキャンプをしながら毎日歩き続けて、熱帯雨林のジャングルの中の特に樹木ですね。木を1本1本調べて、どんな木が生えているのかを調査して、転々と色んな場所に移動することをずっと繰り返していました」

●過酷ですね! 

「そうですね(笑)。すごく大変でしたね」

●アウトドアスキルも問われそうな感じですね。でも1本1本、樹木を調べるのはすごく時間もかかるようなことなんじゃないですか? 地道かつ過酷というイメージですけれども。

「はい、おっしゃる通りだと思います(笑)。ものすごく時間もかかりますし、なので2年半、向こうにいたんですね。本当に過酷で大変なので、現地のかたを雇って手伝ってもらってやっていたんです。最初は10人ぐらい雇って行くんですけど、過酷過ぎてみんな途中で逃げ出しちゃって、最後は半分以下になって、4人くらいで作業をやったりして大変でした(笑)」

●そんな過酷な日々の中で何が楽しみでした? 

「どうですかね・・・あんまり楽しめていなかったんですけど、現地のかたの入れてくれるコーヒーがめちゃくちゃ楽しみでしたね。毎朝入れてくれるんですけど、あれだけが楽しみで(笑)」

写真協力:株式会社バイオーム

●そんな過酷な中、大変な思いをしながら取った調査データは、どんな研究成果に結びつくんですか?

「僕の場合は樹木を通して、その森林の生物多様性を数字で評価することをテーマで研究しておりました。現地で集めた現場データみたいなものと、衛星から撮影された広い面積の森林画像データを組み合わせて、点で集めたデータをすごく広いエリアに面的に評価し直すことで、例えば、東京都1個分ぐらいの非常に広いエリアの森林の状態を、一斉に一気に調査というか観測する技術を開発して、生物多様性の状況をかなり広いエリアで知ることができるようになったっていうような、そういう成果を出すことができました」

スマホを生物の観測拠点に

※ボルネオ島での調査で生物多様性について、一定の成果を出すことができた藤木さんなんですが、そのまま研究者の道に進まず、アプリを作る会社を起業したのは、どうしてなんでしょうか。

「色んな理由があるんですけど、ひとつは生物多様性を守るっていうことをやろうと思った時に、どうやったら守れるのかなって、すごくずっと考えていたんですけど、やっぱり突き詰めていくと結局、経済の問題、お金の問題がやっぱり原因っていうかドライバーになっているんじゃないかなっていうことを感じるようになって、生物を守るっていうことは経済と切り離せないなっていう、そういう感触を強く持ちました。

 こういう研究活動ももちろん大事なんですけど、そうじゃなくって、ちゃんと会社として経済の中で生物多様性を保全するっていう活動をしないと、この問題って解決に向かっていかないんじゃないかっていうことを考えるようになったんです。なので、研究をやめて、会社としてこの活動を継続していこうと決めたという経緯があります」

●確かに昔からエコロジーとエコノミーはどちらかを優先すれば、どちらかがダメになるって言われてきましたよね。でも藤木さんがやろうとしている生物多様性の保全と経済活動の両立っていうのは上手くいくものなんですか? 

「上手くいかないと、どうにもならないのが環境問題だと思うので、なんとか達成したいなって思ってずっとやっています。最近は社会の流れもだいぶよくなってきたなっていうのを感じていまして、企業さんは環境保全に力を入れることが、最近は普通になってきたので、だいぶ状況はよくなってきたなという風には感じています」

●藤木さんが起業するにあたって、どうしてアプリだったんですか? 

「僕自身ボルネオ島で、ずっと現場で自分の足を使って調査していたんですけど、自分だけで集められる現地のデータって本当に限りがあって、限界があるなっていうのを2年半続けて分かったっていうのがあります。なので、上手く現地のデータを収集していく、観測していく仕組みを作らないといけないなっていうことを考えるようになったんです。

 その時に世界各地にちゃんと散らばっていて、使える電子媒体が絶対いるなっていうことを考えるようになったんですけど、それを考えている時に、ボルネオ島のジャングルの奥地の、現地住民のかたがたって、みんなスマホは持っているんですよね。

 テレビもないし冷蔵庫もないし、電化製品とかほとんどないんですけど、スマホだけは持っていて、それをみんな楽しみながらSNSとかやって使っているんです。それを見て、スマホがさっき言っていた世界中に散らばっている電子媒体として、めちゃくちゃ有用なんじゃないかなっていうことを考えるようになりました。

 このスマホを通して生物を観察する、スマホを生物の観測拠点にすることができるんじゃないかなっていうことを現地で考えるようになりまして、スマホを使うことで、アプリを作って、そこからデータを登録してもらえるような仕組みを作れば、世界中の生物のデータを集められるんじゃないかなと考えるようになったっていうのが、元々のきっかけになります」

アプリというよりプラットフォーム

※実はアプリ「バイオーム」は無料で利用できるんです。ではいったい、株式会社バイオームとして、会社を維持するためにどうやって収益をあげているんでしょうか。

「うちのアプリはおっしゃる通り完全に無料で、課金もなくて広告もつかないというなんか不思議なアプリなんです。アプリの中で色んなイベントを開催したりとかしていて、うちのアプリでは“クエスト”と呼んだりしているんですけど、ユーザーさんにミッションを出します。例えば、外来生物の”ヌートリア”っていうねずみの仲間がいるんですけど、ヌートリアを探してみよう、みたいなミッションを出して、ユーザーさんがそれに参加して、ヌートリアのデータが集まるみたいな仕組みを作っています。

写真協力:株式会社バイオーム

 その仕組みを色んな企業さんとか省庁さんとか、自治体さんみたいな行政さんに、実際に使っていただき、そこで費用をいただくっていう構図を作っています。なので、企業とか行政というところから費用をいただいて、運営できているのがこのアプリの特徴になりますね」

●どういった企業に、そういうデータを使ってもらうというか、必要になっていくのですか? 

「本当に色々ありますね。例えば教育のことをされているような企業さんは、教育のためのイベントをしたいので、アプリを使いたいという話があったりしました。
 ちょっと変わったところでいうと、鉄道会社さんが自分たちの管理している鉄道の沿線の、駅周辺の生物の状態を知って、この駅は生き物が豊かですごくいい場所だ、みたいなことをちゃんと知っておきたいという話があって、鉄道会社さんからご依頼を受けて、生物の観測イベントをやったりっていうような、色んなパターンがありますね」

●膨大なデータベースってそういうところにも役に立つんですね。

「そうですね。企業さんが何らかの保全の取り組みをしていくにあたって、使っていただけるようにっていうのはかなり意識していますね」

●本当に、アプリというよりプラットフォームという感じですよね。

「おっしゃる通り、そこを目指しています。市民のかたも使えるし、企業のかたも参加できて、行政のかたも入れる、そういうプラットフォームになって、“産・官・学・民”みんなで連携して、生物のデータを集めて保全していこうっていうのが目標になっています」

写真協力:株式会社バイオーム

●先日まで行なわれていた環境省とのコラボ「気候変動いきもの大調査」、これもすごく反響があったんじゃないですか?

「そうですね。ものすごく反響がございまして、参加者も1万人以上、既に参加してもらっていますし、データもすごくいっぱい集まっています。先月まで”夏編”というのをやっていたんですけど、その前の年には”冬編”を実はやっていたんです。

 そこで集まったデータは既に解析も済んでいて、温暖化の影響を受けて、色んな生物が北に移動しているっていうことが、その結果からだいぶ分かってきました。かなり意義のあるデータが集まって、いい結果が出ているというのが、いいというのは微妙かもしれないですけど、温暖化の影響が生物に表れているという結果が、明確に出てきているという状況になっています」

海外版バイオーム

※生物の多様性を守るためには、地球規模での展開が必要だと思うんですけど、「バイオーム」の海外版は考えていないんですか?

「海外に関しては、もうアプリを作り始めた時から、海外に行くぞー! ということで考えています。なので、開発を少しずつですけど進めているという状況で、近いうちに”バイオーム世界編”みたいな形で、世界で使えるようなアプリにしていきたいなと思っています」

●それこそ、世界中のデータが集まったらすごいことになりますね!

「そうですね。特にやっぱり僕が行っていたボルネオ島みたいな、そういう環境破壊の最前線みたいな場所で、ちゃんとデータを集める仕組みを作らないといけないと思うので、熱帯とか、そういうところを中心にデータを集められると、ものすごく役に立つデータになるだろうなと思っています」

写真協力:株式会社バイオーム

●具体的に、世界のデータをこういう風に使いたいっていうのはあるんですか?

「そうですね。さっき出たような熱帯林の破壊の現状みたいなことですね。そこが実際どれくらい生物がいなくなっているのか、研究者の間でもよくわかっていない状況なので、そこをまずははっきりデータとして出していけるというような状態を作りたいなと思っています。

 あとは結局、熱帯林とか自然環境を破壊しているのが、その国の現地の人じゃなくて、先進国の大企業だったりすることって多いと思うので、そういう企業さんに、ちゃんとそういうデータを開示するように、(こちら側から)データを出していくみたいなことをして、ちゃんと産業の中で、そういうデータが活用されるような仕組みに繋げていきたいなと思っています」

●今後100年で地球に生息する生物の半分が絶滅するとも言われていますけれども、改めてバイオームというアプリで、どんなことを伝えていきたいですか?

「伝えたいというか、狙い自体は大きくふたつあると思っています。ひとつは、ユーザーのかた、使っていただいているかたに、生き物が豊かだっていうことはとっても楽しくて、自分の人生を豊かにしてくれるようなものだっていうことを肌で感じてほしいなと。そのためにアプリを使って、自分の周りにどんな生き物がいて、その生き物たちがどんなに面白いのかっていうことを、アプリを通して知ってほしいっていうのがひとつになります。

 もうひとつは、このアプリを通してユーザーさんが登録してくれた生物のデータを使って、すごく大量のビッグデータになると思うんですけど、そのデータを企業さん行政さん、あるいは市民団体さんとか大学さんみたいなところに、ちゃんと保全活動に使っていただけるように、データをどんどん提供していくことに繋げていくという、そのふたつを達成していきたいなと思っています」


INFORMATION

写真協力:株式会社バイオーム

 藤木さんたちが開発した「バイオーム」は生き物の写真を撮って投稿するだけ。
でもすぐになんという生き物か答えを教えるのではなく、ユーザーに考えさせるのがいいですね。そして投稿した生き物が珍しいとポイントが多くもらえるため、ゲーム感覚でどんどん投稿したくなりますよ。

 また、生き物に関するコラムもよく考えられています。
このコラムは「まねて学ぶ」をコンセプトに作られ、生き物に興味をもってもらい、保全につながるアクションにつなげるのが狙いだそうです。
 随所に工夫がちりばめられた優れたアプリ「バイオーム」をぜひ試してみてください。

 詳しくはオフィシャルサイトをご覧ください。

◎株式会社バイオーム :https://biome.co.jp/

◎いきものコレクションアプリ「バイオーム」:https://biome.co.jp/app-biome/

シリーズ「SDGs〜私たちの未来」第4弾!〜徳島県「上勝町ゼロ・ウェイストセンターWHY」の挑戦〜

2021/9/26 UP!

 今週のベイエフエム / ザ・フリントストーンは、シリーズ「SDGs〜私たちの未来」の第4弾! 四国の小さな町が行なっている、ごみを大幅に減らす野心的な取り組みをご紹介します。

 今回の舞台は、徳島県の山間(やまあい)にある上勝町(かみかつちょう)。全国に先駆け、2003年に町から出るごみをゼロにする「ゼロ・ウェイスト宣言」を発表。現在はなんと、ごみと資源の分別は45品目! リサイクル率はおよそ80%を達成していて、国内外から注目されています。

 お話をうかがうのは、去年5月に上勝町にオープンした複合型公共施設「ゼロ・ウェイストセンターWHY」を運営する会社の責任者「大塚桃奈(ももな)」さん。去年大学を卒業したばかりの期待のホープなんです。「大塚」さんの肩書はCEO、でも「最高経営責任者」ではなく、CEOの「E」は環境的という意味の「エンヴァイロメンタル」で「最高環境責任者」なんです。

 さて、SDGsとは「サステナブル ・ディベロップメント・ゴールズ」の略。「持続可能な開発目標」ということで、17のゴールが設定されています。今回はゴール11の「住み続けられる まちづくりを」、そしてゴール12の「つくる責任 つかう責任」について考えていきたいと思います。

 徳島県上勝町のごみをゼロにする野心的な取り組みをご紹介する前に、今回お話をうかがう「大塚桃奈」さんのプロフィールに触れておきましょう。

 「大塚」さんは1997年生まれ、湘南育ち。子供の頃からファッション・デザイナーに憧れ、高校生の時にファッションの勉強のためにロンドンに留学。自分が学んだことをどうやって社会に活かすかを考えている時に、ある映画を見て、愕然とします。

 その映画とはファスト・ファッションの裏側を捉えたドキュメンタリー『ザ・トゥルー・コスト』。劣悪な環境で働かぜるえない発展途上国の人々、環境汚染、そして大量に廃棄されるウエアの現状を知って、社会や環境に目を向けるようになったそうです。

 そんな大塚さんが働く「上勝町ゼロ・ウェイストセンターWHY」はいったいどんな施設なんでしょうか。このあと、じっくりお話をうかがいます。

☆写真協力:大塚桃奈、上勝町ゼロ・ウェイストセンターWHY

大塚桃奈さん

ごみを見つめ直す

※まずは大塚さんに、上勝町の出会いについてお話しいただきました。

「大学生の時になるんですけれども、映画(『ザ・トゥルー・コスト』)を観て、服を取り巻くそういった社会問題に、どうやって自分なりに向き合っていこうか考えている中で、安い服が日本に入ってくることによって、日本の繊維産業が衰退していることが分かってきました。

 繊維工場は地方に多くて、少子高齢化と結びついているということも、ひとつの要因としてある中で、ローカルの中でのものづくりとか、そこから派生して服だけではなくて、暮らしであったり、それを取り巻くコミュニティっていうところに興味を持ち始めたんです。

 その時にたまたまこの上勝町に『RISE & WIN』というブルワリーが大学生の時にオープンしたんですけど、その建築に携わっている中村拓志さんがたまたま知り合いだったことをきっかけに、上勝町という町が徳島県にある、そして日本で初めて”ゼロ・ウェイスト”を宣言した町だということを知って、これは自分の目で見てみたいなということで、大学2年生の冬休みに初めて訪れたことがいちばん最初のきっかけでした」

●実際に大学生の時に上勝町に見学に行かれて、どんなことを感じましたか? 

「いちばん最初に感じたのは、すごく緑で山の中にある町。私は徳島市内にある空港からバスを3つ乗り継いで上勝町までひとりで行ったんですけれども、半日かかってようやく上勝町に着いたという感じでした。山の中の道をくねくね辿っていって、やっと着いた町っていうのが最初の印象だったんです。

 小さな町の中で、町のかたが共に支え合って暮らしているっていうことも感じましたね。農家民宿にその時は泊まって、色々町の中を案内してくださって、畑であったり町に住む人であったり、山犬嶽(やまいぬだけ)という苔がすごく綺麗な山があるんですけれども、そこに連れて行ってくださったりとか、すごく温かいおもてなしをしてくださったのを今でも覚えています。

写真協力:大塚桃奈、上勝町ゼロ・ウェイストセンターWHY

 上勝の町内に唯一あるごみステーションを見学させていただいて、すごくきっちりとごみを資源ごとに分けていることを目の当たりにした時に、自分が何気なくポイポイと捨てていたごみが、実は見えない部分に隠されているというか、見えなくても暮らしていたんだっていうことを改めて知ることになって、ごみを見つめ直すことが自分の生活を見つめ直すことにも繋がってくるんだっていうことを実感した経験でした」

※大塚さんは国際基督教大学・在学中に交換留学でスウェーデンの大学へ。滞在した「ベクショー」という町はヨーロッパいち環境に配慮したクリーンな町だそうで、たくさんのインスピレーションをもらったそうです。

 実は大塚さん、スウェーデンに行く前に上勝町でインターンとして活動、また、スウェーデン留学中に、上勝町のスタッフに頼まれ、サーキュラー・エコノミーに取り組んでいるアムステルダム、ベルリン、ブリュッセルなどの視察をコーディネイト、一緒に見てまわり、とても貴重な経験になったそうですよ。

「?」の形の複合施設

※上勝町のスタッフに誘われて、大学卒業後、すぐにセンターで働くようになった大塚さんは、いまはもちろん上勝町で暮らしていらっしゃいます。山間(やまあい)の町、上勝町は人口が1500人ほどで、65歳以上のかたが半数を超えているそうですが、最近は20代のかたや海外からの移住者が徐々にふえているそうですよ。 

写真協力:大塚桃奈、上勝町ゼロ・ウェイストセンターWHY

 それでは「上勝町ゼロ・ウェイストセンターWHY」とは、どんな施設なのか、うかがっていきましょう。

●大塚さんが責任者を務める「上勝町ゼロ・ウェイストセンターWHY」。オフィシャルサイトを見させていただいたんですけど、施設を上から撮っている写真が載っていました。上空から見ると「?」の形になっているんですね? すごい! 

「はい、そうなんです(笑)。何故ごみを捨てるのか、という根本に迫るような問いを通じて、みんなと、何気なく捨てているごみから社会をよくするヒントを探っていきたいというような思いが込められています」

写真協力:大塚桃奈、上勝町ゼロ・ウェイストセンターWHY

●具体的にどんな施設なのか教えていただけますか? 

「上勝町ゼロ・ウェイストセンターは複合型の公共施設になっておりまして、?の上の丸い部分が上勝町の住民が利用する、町唯一のごみステーションになっています。そこから続けて、くるくるショップという町の中古品が集まってくるリユースショップと交流ホール。ここはイベントが開催できたりとか、キッチンも付いていて、レンタル貸しも行なっているスペースで、セミナーとかワークショップが行なわれる場所。常時は解放していて誰でも自由に憩うことができます。

 で、コインランドリーと、あとラボラトリーというスペースはレンタルオフィスになっておりまして、上勝町をひとつの拠点として一緒にゼロ・ウェイストを考えてくださる企業様であったり、研究機関とか、リモートワークの場所として、ホテルと一緒にご利用いただけるようになっています。?の最後、丸い部分が体験宿泊施設ということで、HOTEL WHYという小さな宿になっています」

●この建物自体も廃材で作られているんですよね? 

「そうなんですよ。例えばですね、この建物全体に色んな建具が使われていて、大小形も異なる建具は町の人から集めた540枚もの建具になんです。ごみって不要なものと思われがちですけれども、廃材とか地域の中で使われなくなった材料をまた建物に、デザインという命を吹き込んで使用しています。

 ほかにもこの建物、木造建築なんですが、上勝町は元々林業で栄えていた町なので、地産地消ということもあって、上勝の杉の木材を活用しています。それもゼロ・ウェイストの考えに寄り添うような形で、建築家のチーム、NAP建築設計事務所がここも携わっているんですけれども、なるべく地域のものに価値をつけていこうということで活用されています。
 なんと今年の春には日本建築学会賞を受賞しておりまして、この取り組みが少しずつ周りの方にも伝わっているんだなっていうのを実感しています」

写真協力:大塚桃奈、上勝町ゼロ・ウェイストセンターWHY

ごみの行く末を日常から意識

※現在、上勝町では45分別をして、ごみゼロに取り組んでいますが、そこに至った背景として、大塚さんの説明によると、まず、ごみを「再生できるか、できないか」の視点で分けたそうです。

 上勝町は小さな町なので、ごみ処理にコストをかけられない。一度、焼却炉を導入したそうですが、ダイオキシンに関する法律が施行され、たった2年で使えなくなったといいます。そこでごみを資源として分けて、生まれ変わらせるために、1997年に9つの分別からスタート、その後、徐々に増えて、現在の45分別になったそうですよ。 リユースにも積極的に取り組み、センター内ある「くるくるショップ」では住民のかたが持ち寄った衣類や食器類などを、自由に持ち帰ってもらったり。また、生ゴミは各家庭にコンポストを設置して、おうちで循環させています。

写真協力:大塚桃奈、上勝町ゼロ・ウェイストセンターWHY

 さて、気になる45分別、どれだけ細かいのか、大塚さんに説明していただきました。

「例えばですね、紙って燃えるごみとして回収されていると思うんですけれども、古紙とかは別にして、お菓子のパッケージとかトイレットペーパーの芯とか、燃えるごみとして回収されてしまいがちですが、それを上勝では9種類に分けています。この理由としては、紙ってきちんと分けたら再生紙になったりダンボールになったり、資源としてとっても価値があるものなので、それをお金をかけて焼却して消してしまうんではなくて、また分けて資源にしようと。

 分けるとどんなメリットがあるかというと、資源になるだけではなくて、価値があるので、リサイクル業者さんがお金を払ってくれるんですね。1キロ数円でそれぞれ買い取ってくれるっていうこともあって、金銭的なメリットと環境的なメリットがあるということから9種類に分別しています。
 例えば、紙パックが内側が白のものと銀のもので分かれていたりとか、あとは雑誌、雑紙、新聞、チラシ、ダンボール、シュレッダー屑、硬い紙芯、紙カップというように細かく分かれています」

●実際に大塚さんは上勝町に移住されて、45分別やるようになって、体験してみていかがでした? 

「最初は戸惑うことも多くあったんですけれども、ゲーム感覚みたいな・・・このごみステーションの特徴として、それぞれがどこに行って何に生まれ変わるのか、そして1キロ当たりいくらの処理コストがかかっているのかということが記載されているので、捨てるのではなくて資源としてどこに行くのかっていうことを、日常の中から意識できるようなデザインがあるんだなという実感があります。

 一方では、コツコツと分別することも大事ですけれども、やはり日々自分が使っているものをどう長く使えるようにするかとか、自分が作る側にどう携わって一緒に変えていけるのかを改めてじっくり考える機会をいただいているなと思っています」

●町全体でやるっていうことに意味がありますよね。

「そうですね。上勝町唯一のごみステーションなので、町の中にはごみ収集所もなければ、ごみ収集車も走っていないんですね。なので、町の人がみんなここに集まってくるっていうのは、コミュニティのホットスポットにもなっているなと思います」

ごみの分別を体験するホテル

※「上勝町ゼロ・ウェイストセンターWHY」にはホテルもあるということでしたが、どんなホテルなんですか?

写真協力:大塚桃奈、上勝町ゼロ・ウェイストセンターWHY

「このホテルは”ゼロ・ウェイストアクション”をコンセプトにしたホテルになっていて、いわゆる一般的なホテルとはちょっとイメージが変わってきます。そもそもごみ集積所、ごみステーションと併設しているっていうところからユニークではあるんですけれども、チェックインの際には、例えば施設の中をご案内してスタディーツアーという形で、上勝のゼロ・ウェイストの歴史であったり取り組みを、ひとりひとりのご宿泊のお客様にご案内をさせていただいていたりします。

 使い捨てアメニティをお部屋には一切置いていないので、よくある歯ブラシとかカミソリとかそういったものは置かずに、ご自身が普段使っているものを持ってきてもらうっていうところからスタートしています。ただ手を洗う石鹸と、あとお部屋でお飲みいただけるコーヒーやお茶はチェックインの時に量り分けでお渡しするっていうような、ちょっとずつコミュニケーションをとりながら考えるヒントをちりばめています。

 そのスタディーツアー終わったあとに、チェックアウトまでに必要な分をコーヒー1杯からお豆を挽いて瓶に入れてお渡しします。お部屋には湯沸かし器とコーヒードリッパー、ステンレスフィルターのものを置いてあるので、ご自身で入れてお飲みいただくっていうスローな時間と、あと上勝は水源地でもあるので、この施設全体は山水が流れているんですね。なので、タップウォーターもそのまま美味しくお飲みいただけるので、そういったところも感じていただきながら、そのようなスタイルでやっています」

●宿泊することで色んな気付きがありそうですね。

「さらには、チェックアウトの時にごみの分別体験っていうのも行なっています。客室にごみバスケットが2つ設置されているんですけれども、そこで滞在中に出たレシートとか、色んなごみをまずは6分別に分けていただいて、翌日には町のかたも利用している中で一緒にごみステーションに行って、45個にまた分けるというような、ちょっと変わったホテルです(笑)」

写真協力:大塚桃奈、上勝町ゼロ・ウェイストセンターWHY

ポジティヴな感情をみんなで!

※「上勝町ゼロ・ウェイストセンターWHY」がオープンして、1年半が過ぎました。いまはどんなことを感じていますか?

「そうですね、。少しずつこのゼロ・ウェイストセンターWHYを通じて仲間が増えてきていますし、これからどんどん増やしていきたいなとも思っています。例えばホテルはどなたでもご利用いただけるんですけれども、この施設の中にあるラボラトリーではレンタルオフィスとして今、年間契約という形で企業のかたがたにご利用いただけるようなプランを用意しております。

 上勝町は2003年に日本で初めてゼロ・ウェイストを宣言して、2020年までにこの町から出る焼却埋め立てごみをゼロにしようという目標がある中で、住民のかたがコツコツと分別に取り組んできたりとか、量り売りを地域の商店が取り入れたりしてきたんですけれども、やはり日々使っているプロダクトが複合素材から出来ていて、分別が難しくて再生ができないようなデザインになってしまっているんですね。

 どんどん過疎が進んでいる中では、この小さな町だけではもうゼロ・ウェイストの取り組み、そもそも暮らしの持続性が問われている中で、上勝町と関わりながら一緒にこの町のありかたをサステナブルにしていかなければならないっていうフェーズに入ってきています。  そんな中、例えばゴム製品である靴が焼却になっているっていう課題がある中で、靴のメーカーさんと一緒にディスカッションを重ねるようになったりとか、少しずつではあるんですけれども、仲間を増やしていきたいなと思っていて、可能性を感じています」

写真協力:大塚桃奈、上勝町ゼロ・ウェイストセンターWHY

●改めて「上勝町ゼロ・ウェイストセンターWHY」の責任者として、どんなことを大塚さんは発信していきたいですか? 

「ごみって聞いた時に、多分多くのかたは臭いとか汚いとかで、すごく見えないところに追いやってしまいがちだなと思っています。でもこのゼロ・ウェイストセンターはまずそもそも臭いがしないんですね。生ごみを集めていないということと、汚れているものを洗って乾かしてから町のかたが持ってきていて、すごく清潔になっています。

 そういった中から、このセンターはごみと言われているものを角度を変えて、所々で活用しているんですけれども、この上勝町からすごくワクワクとするようなポジティヴな感情を一緒に作ることによって、みんなが見えていなかったごみに一緒に向き合いながら楽しく解決していけるようなカルチャーであったり、プラットフォームを作っていきたいなと思っています」


INFORMATION

 上勝町はごみにしない! 資源にするということで45分別! リサイクル率はおよそ80%を達成。全国平均で20%ほどと言われているので驚異的な数字です。人口が1500人ほどの小さな町だからできることかもしれませんが、やればできるんですね。人の気持ち次第だと思いますね。また、ファッションの勉強もされていた「大塚」さんは、できる範囲内で衣服の「心のあるものづくり」にも携わっていきたいとおっしゃっていました

 ぜひ「上勝町ゼロ・ウェイストセンターWHY」、そして大塚さんの活動にご注目ください。詳しくはオフィシャルサイトをご覧ください。

◎上勝町ゼロ・ウェイストセンターWHY:https://why-kamikatsu.jp/

新シリーズ「SDGs〜私たちの未来」第3弾! 草ストローに注目!〜ひとりひとりがちょこっとできるエコな選択〜

2021/6/27 UP!

 今週のベイエフエム / ザ・フリントストーンのゲストは、東京農業大学の学生で、ベトナムから草ストローを輸入し、販売する会社を起こした「大久保夏斗(おおくぼ・なつと)」さんです。

 「SDGs」は、「SUSTAINABLE DEVELOPMENT GOALS(サステナブル・デベロップメント・ゴールズ)」の頭文字を並べたもので、日本語に訳すと「持続可能な開発目標」。地球の資源を大切にしながら経済活動をしていくための約束で2030年までに達成しようという世界共通の目標=ゴールが全部で17設定されています。

 今週は17あるゴールの中から、主にゴール12の「つくる責任 つかう責任」、そしてゴール1の「貧困をなくそう」について。

 去年「HAYAMI」という会社を起こした大久保さんに、草ストローの普及活動を行なう思いなどうかがいます。

☆写真協力:大久保夏斗、HAYAMI

写真協力:大久保夏斗、HAYAMI
大久保夏斗さん

運命のいたずら!? 草ストローとの出会い

 大久保さんが草ストローを販売するようになったいきさつが、ミラクルなんです。

 高校生の頃にSNSで、ウミガメの鼻にストローが刺さった映像を見た大久保さんは、ショックを受け、環境のために何か自分にできることはないか、探していたそうです。そんな中、世界をバックパッキングで旅をしていたお兄さん、迅太(はやた)さんが、たまたま飛行機の隣の席だったベトナムの方から、ベトナムには草で作ったストローがあると教えてもらい、そのことを、帰国した際に、弟の夏斗さんに伝えます。

 東京農業大学の国際農業開発学科で学んでいる夏斗さんは、海洋プラスチックゴミの削減だけでなく、発展途上国の農業支援にもつながると考え、ベトナムの草ストローを日本に広めることを決意、会社を起業します。

 メンバーは大久保迅太さん、夏斗さん兄弟と、草ストローの存在を教えてくれたベトナム人のミンさんの3人。実はミンさんは2年間、日本に留学していたんです。そして去年の5月に、合同会社「HAYAMI」を創業し、草ストローの普及に邁進しています。

 “飛行機の座席がたまたま隣りだった”ことが、ミラクルを生んだ、まさに運命の出会いだったんですね。もしかしたら、神様が環境問題に関心の高い若者を引き合わせた、と言っていいかもしれませんね。

左から大久保迅太さん、ミンさん
左から大久保迅太さん、ミンさん

草ストローの3つの特徴

※それでは大久保夏斗さんにお話をうかがっていきましょう。プラスチック・ストローの代替品になる草ストロー、その特徴を教えてください。

「特徴としては3つあるんです。1つ目は環境保護。脱プラスチックの観点からもプラスチック・ストローではない草ストローを使うことで、環境保護に繋がっているだけでなく、完全生分解性、無農薬、無添加っていう特徴もあるので、使用後にゴミ削減のために、資源として活用するっていう特徴もあるかなと思っています。

 で、2つ目にベトナムの農村、ホーチミンという都市から離れた農村で栽培されているので、ベトナムの農村地帯の雇用も創出していて、発展途上国支援にも繋がっているかなという風に思っております。

 3つ目には、やはり紙ストローより耐久性に優れていて、紙ストローは長時間使用できなかったり、口に張り付いてしまうっていう感触があると思うんですけど、そういったことはなく、長時間使用していただけるところが草ストローの大きな特徴かなと思います」

写真協力:大久保夏斗、HAYAMI

●見た目はどんな感じなんですか? 

「見た目は、本当に草の茎そのものです。何か草と聞くと葉っぱを丸めているイメージを持つ方が多いんですけど、草の茎をそのまま使っています。緑色で、自然のものなので多少、色や大きさにばらつきがあるんですけど、本当に自然本来の、草の茎そのままを使った製品になっています」

●じゃあ草ストローの素材は、茎を持つ植物っていうことなんですか? 

「そうですね。植物名でいうと、カヤツリグサ科のレピロニアという植物なんですけど、イネ科に近い植物ですね」

●そのレピロニアっていうのは、ベトナムで栽培されている植物なんですね? 

「そうですね」

●じゃあ珍しい植物ではないっていう感じですね。

「主に東南アジアの熱帯地域で栽培されていますね」

写真協力:大久保夏斗、HAYAMI

●それが草ストローになるまでにはどんな工程があるんですか? 

「本当に草の茎をそのまま利用しているので、工程としてはシンプルです。洗浄して、あとはカットして殺菌してみたいな、本当にシンプルな過程で作ることができるので、そこで大型の機械を利用してCO2排出みたいなこともない製品です」

●製品化するまでに何か大変だったこととかありますか?

「やはりベトナムと日本の衛生基準っていうのはどうしても異なるものがあったので、現地に向けてゼロから衛生マニュアルを作成してお送りしたり、あとは日本での残留農薬検査だったり、衛生基準の食品分析センターというところで衛生の検査を行ないました」

草ストローを資源にする!?

※草ストローは実際、どれくらいの耐久性がありますか?

「基本的には紙ストローよりは耐久性があります。草の茎を乾燥させているので、初めは潰すとパリッと割れてしまうこともあるんですけど、植物の茎なので(飲み物を)飲んでいるうちに茎が水分を含んで柔らかくなって、潰しても割れにくくなる、耐久性が増すといったような特徴があるんですね。本当にふやけたりすることはないので、長時間使用していただくことは可能です」

●洗えば何回でも使えるってことですか? 

「無添加なので基本的に使い捨てを推奨しています。防腐剤などは添加していないので、植物の劣化だったり衛生面の観点から使い捨てを推奨して販売しています」

●なるほど〜。廃棄処分する時は元々は植物ですから土に返したりとかするんですか? 

「現在、導入店舗から具体的な回収方法っていうのはまだ構築できていないんですけど、今後はその使用後のストローを資源として活用するために、家畜の飼料であるとか、農家の堆肥として活用できないかっていうことは現在検討しています」

●確かに草ストローを砕いていくと家畜のエサになったりもしそうですよね。

「そうですね 。やはり一度、人間の口に付けたものなので、それを動物に与えても大丈夫かっていうところだったり、あとはストローでコーラを飲んだものと、コーヒーを飲んだものを一緒にして、餌にしちゃっても動物に影響がないかっていうところは、ちゃんと考えないといけないなと思っています」

●確かに環境にもいいですけど、ベトナムで栽培したものを適正な価格で輸入したら、栽培農家さんの支援にもなりますね。実際ベトナムの皆さんからの反響とかはありますか?

「やはりコロナ禍で雇用だったり、経済が停滞している中で始めた事業だったので、日本で草ストローを売ることができて、助けられているっていう風には言ってもらえて、すごく嬉しいなと思います」

写真協力:大久保夏斗、HAYAMI

草ストロー、評判は上々!

※大久保さんは草ストローを広めるために、学業の合間をぬって、主にメールや電話で営業活動を行なっているそうですが、いま全国で何店舗くらいのお店が草ストローを使っていますか?

「全国で現在、約160店舗で使っていただいております」

●あ、そうなんですね! 千葉でも使っているところはありますか? 

「千葉も何店舗かありまして、木更津にある”KURKKUFIELDS(クルックフィールズ)”さんだったり、佐倉市にある”笑みごはん”さんだったり、4店舗〜5店舗ほど、ホームページにも導入店舗リストっていう風にして記載させていただいてるんですけど、導入していただいております」

●じわじわと広がっている状況なんですね! お客さんの評判を聞かれることはありますか? 

「飲食店の方から言っていただける言葉でいうと、環境問題にお客さんが興味を持ってくれて、これ何のストロー? っていう質問をしてくれたっていう声だったり、珍しい見た目のストローでコミュニケーションのツールに繋がったであったりとか。あとは見た目もすごく自然で、紙ストローよりも長時間使えるっていうことで、環境に優しいっていうことがダイレクトに伝わって、いい商品だなという風に言っていただきました」

●小さなお子さんはお家でもストローを使う機会は多いですよね。

「そうですね。高齢者の方だったり小さなお子さんは、やっぱりストローを使う機会がどうしてもあると思うので、ストローを使わないっていう選択肢ももちろんありだと思うんですけど、それでも使っていただく必要があるお客様には、ぜひ草ストローを利用して欲しいなと思います」

写真協力:大久保夏斗、HAYAMI

<草ストローを使ってみた>

 実際に草ストローを使った、この番組のスタッフの感想としては、第一印象は見た目も手触りも素朴な感じで、これはいいな! と思ったそうです。植物の、空洞になった茎なので、色味も太さも微妙に異なりますが、ストローとしての機能は申し分ないとのこと。水分を含むと柔らかくなり、耐久性が増すことも確認。

 ただし、乾燥した状態のまま、指ではさんで押すと、パキッと割れてしまうので要注意! 特に幼児はストローを噛んでしまうので、事前に必ず水分を含ませ、柔らかくした草ストローを使うようにしたほうがいいと言ってました。草ストローの箱に使用上の注意が書いてありますので、事前に確認してから使ってくださいね。

サボテンの皮でサイフ!?

※草ストローのほかに何か新商品はありますか?

「今年の3月からサボテンの皮で作ったヴィーガンレザーのサイフの販売を開始しました」

●サボテンの皮からサイフができるんですか? ちょっと想像がつかないんですけれども、どういう風にどうなったらサイフになるんですか? 

「メキシコで有機栽培されているサボテンを使って、そのサボテンを皮にする技術を持ったメーカーがメキシコにあって、それを日本に輸入して、その皮から日本の長年続いている皮職人さんの手でサイフにしていただくっていったような工程で販売しています」

●サボテンで皮を作る技術やメーカーは、どういうところから情報を得るんですか? 

「インターネットなどで、サボテンから皮を作っているっていうのは、以前から知っていたんですけれども、日本にはなかなか普及していないっていうのもあって、ぜひサステナブルな生活の中の選択肢のひとつとして、日本に普及させたいなっていう風に思って販売を開始しました」

●サボテンの皮を使うことで、どうやってサステナブルになっていくわけですか? 

「まず、サボテンであれば水の量も少ないですし、そこまで豊かな土地でなくても育つっていうところがあるんですね。そこから本来、動物の皮で作られているものを植物性のもので作ることで、動物愛護だったり。
 あとは動物性の皮を作る時に、家畜もメタンガスを出していたり、その動物たちの飼料を育てる時に農業を大規模に行なわないといけないので、そういった観点から、サボテンから作ったレザーのサイフを長く使っていただくことで、環境にもいい影響があるのかなという風に思います」

●見た目はどんなおサイフなんですか?

「本当に皮は動物性の皮と同じような手触りで、耐久性もそこまで差異はないです。無駄のないシンプルなデザインで、今現在は黒の一色のみで男女両方に利用していただけるような形になっています」

ミッションは、エコな選択を提供すること

※それでは最後に大久保さんにうかがいます。去年、先行して始めた草ストローの輸入販売、今後はどのような展開を考えていますか?

「そうですね。今いちばん目指しているのは、やはり循環システムの構築ですね。草ストローを使ったあとに、ただゴミにするのではなく、それを資源として活用してゴミを出さないシステムを構築したいなと思っています。ただそこには、どうやってお店から草ストローを回収するのかっていう課題はまだまだあるので、そこもしっかり考えて、導入店舗を増やしつつやっていけたらなと思っています」

●大久保さんが思い描く理想の未来っていうのはどんな未来ですか?

「我々の活動ではひとつミッションのようなものを掲げています。それは”ひとりひとりがちょこっとできるエコな選択を提供し続けること”で、誰かひとりが100環境に優しいことをするんではなくて、ひとりひとりが少しずつ環境に優しいエコな選択をすることで、大きな環境問題を解決できるような未来になったらいいなと思っています」 


INFORMATION

写真協力:大久保夏斗、HAYAMI

 「HAYAMI」で輸入販売している草ストローは、完全生分解性・無農薬・無添加なので環境だけでなく人間にも優しく、日本の衛生検査も通過しています。

 販売価格は、20センチ20本入りで一箱400円、13センチ20本入りで一箱280円。「HAYAMI」のサイトから購入できます。ご家庭はもちろん、飲食店などを営まれているかた、プラスチックゴミを減らすために、ぜひ一度、草ストローを試してください。

 詳しくは「HAYAMI」のオフィシャルサイトをご覧ください。草ストローを導入している店舗のリストも載っていますよ。

◎「HAYAMI」オフィシャルサイト:https://www.hayamigrassstraw.com/

写真協力:大久保夏斗、HAYAMI

 大久保さんが草ストローとは別にこの3月から販売を開始した、サボテンの皮を使ったおサイフは「Re:nne(リンネ)」というブランドの新商品です。名前の由来は「輪廻転生(りんねてんしょう)」の「輪廻」で、「生まれ変わり続ける」がコンセプトになっています。

 動物の皮を使わずに作った製品で特に植物系の素材で作った「ヴィーガンレザー」は、サステナブルで動物愛護にもつながるエコ素材として、いまとても注目されています。原料は、木の皮のほか、キノコやパイナップルの葉っぱ、りんごの皮などでサボテンの皮を使っているのはとても珍しいそうです。

 「Re:nne」ではデザイン性、機能性、そしてサステナビリティを重視して、おサイフを開発。メキシコで製造されたサボテンレザーを輸入し、日本の熟練した皮職人さんがひとつひとつ丁寧に仕上げ、現在は黒の長ザイフと、ふたつ折りサイフの2種類を販売しています。

 詳しくは「Re:nne」のオフィシャルサイトをご覧ください。

◎「Re:nne」のオフィシャルサイト:https://rennetokyo.thebase.in

新シリーズ「SDGs〜私たちの未来」第2弾!〜SDGsをお笑いにのせて、わかりやすく〜

2021/6/20 UP!

 今週のベイエフエム / ザ・フリントストーンのゲストは、吉本興業所属の芸人さん「黒ラブ教授」です。

 「SDGs」とは、「SUSTAINABLE DEVELOPMENT GOALS(サステナブル・デベロップメント・ゴールズ)」の頭文字を並べたもので、日本語に訳すと「持続可能な開発目標」。地球の資源を大切にしながら経済活動をしていくための約束で2015年の国連サミットで採択され、2030年までに達成しようという世界共通の目標=ゴールが全部で17設定されています。その範囲は飢餓や貧困、環境問題、経済成長、そしてジェンダーに関することまで、いろいろな課題が入っています。

 きょうお話をうかがう黒ラブ教授は、東京大学大学院の研究員のほか、理系の大学講師、そして国立科学博物館認定のサイエンス・コミュニケーターとしても活躍していて、理系や科学系、そしてSDGsをネタにしたライヴで大人気の芸人さんなんです。いったいどんな活動をされているのでしょうか。後ほど、吉本興業のSDGsへの取り組みも含め、お話いただきます。

☆写真協力:黒ラブ教授

写真協力:黒ラブ教授

「世界をどんどんグッドにしたい!」

※それでは黒ラブ教授にお話をうかがっていきましょう。吉本興業のSDGsサイトのトップに、教授の講演会情報が載っていました。まずは、吉本興業がSDGsに取り組むようになったのはなにかきっかけがあったのでしょうか。

「もともと吉本興業って、“住みます芸人”とか、地域活性で都道府県に一芸人を置いて、色々と地域を盛り上げるみたいなことをやっていたんですよね。SDGsは基本的に地域活性の意味もあるので、当初からSDGsに関わってきていましたね。関わってきたというか、やっていたら(あとから)SDGsがきたみたいな感じですかね。

  それで『ジャパンSDGsアワード』っていう国の賞ですか、あれで特別賞をいただいたりとか、そうやって吉本興業はSDGsに関わってきているんですけど、黒ラブ教授自体はまた全然違うところからSDGsに関わってきていて」

●どういうことですか? 

「M1グランプリってあるじゃないですか、あれってお笑いで優勝するやつですよね。で、『サイエンスアゴラ』っていうイベントがあって、これは科学を分かりやすく伝える大会なんですね。そこで優勝させてもらったんです。

 僕がやっていることが、すごく難しい大学の科学を分かりやすく一般の人たちに伝えるみたいな芸風なので、それで優勝したので、国の組織から、SDGsって結構難しい内容なので、SDGsを伝えるのをやってくれないかって言われて、それならやりますって言って、それで僕の方は始まったんですよね、全然違うところから。
 で、たまたま吉本興業に所属しているので、“やろうよ! やろうよ!”ってなって、今に至るという、すごくわけの分からないストーリーでございました(笑)」

●普及活動っていうと黒ラブ教授は講演活動を主にされているっていうことですか? 

「そうですね。SDGsを笑って学べるようなイベントを今作っているんですけど、もともと科学のお笑いライブをやっていたんです。それよりも今SDGsの方が多く呼ばれるようになっているかもしれないですね。そのぐらいSDGsがメインになってきてはいますね」

●SDGsとお笑いってなかなか交わることのない2つの要素だと思うんですけれども、どうやって組み合わせているんですか? 

「SDGsって何の略か知ってる? って言った時に、結構多くの人が間違えていたので、間違えた例を紹介しますとか言いながら、例えば“スマブラ、ドラクエ、ガンダム、すげー、いや違うその略じゃないよ! SDGsってそういう略じゃないよ!”とか、

 “SDGsって何の略? そろそろお昼、どうする、ガストか、サイゼリア”とか、“いやいや女子高生の皆さんですか? 違う違う、世界の話だからね!”とか言って(笑)、

 そういう色んなところから、“サンマ、ダイコン、50%オフなら、即買い!”とか“よく言われるよね〜! 奥さんに言われたんだろうね〜”みたいな(笑)、“違うんだって! SDGsっていうのは〜”みたいな感じで、ボケとお笑いを混ぜながらしていて。

 その中でいいのを発見したんですよ、これは笑いではないですけどね。“SDGsって何の略? 世界をどんどんグッドにしたい!”、世界のS、どんどんのD、グッドがGで、したいがSなのでSDGs。“世界をどんどんグッドにしたい!”ってすごくいい、本物より分かりやすくないですか?」 

●分かりやすいです! 

「これはね、あ! と思っちゃいました(笑)」

写真協力:黒ラブ教授

誰でもできるSDGs。

※黒ラブ教授はSDGsをネタに講演会も数多く行なっていらっしゃいますが、なにか気をつけているってことありますか?

「誰でもSDGsって聞いちゃうとわけ分からなくなっちゃうので、これ誰でもできることだよ。例えば環境に気を使っているメーカーのお菓子を買うとか、そういう小っちゃなところから実はできるんだよとか。そこが実は相当な攻撃能力じゃないですけど、地球を動かすパワーになっていると思ってます。

 消費者が今SDGsに関していちばんパワーを持つ時代になってきていると思うので、そこら辺をお伝えすることと、あといかに、僕が環境系のことを喋っていると、なんか意識高い系の方なんだなぁみたいな、全然私と違うんだわと思われがちなので・・・僕がSDGsの講演とか逆に見ると、講演している方をそういう風に思えてしまうので、そうじゃないよみたいなことを伝えるのがメインかもしれませんね。自分が意識高いとかそういうような人間じゃないよ的な感じでやっていますね」

●みんなに関わってくることですよね。

「そうですね。みんなに関わってきて、みんながやらないと実は意味がないので。これまでの環境系の教育というか、運動ってどうしても意識高い系が出ちゃいますよね(笑)。なんかちょっと関係ないかなとか、そうやって随分、多分1987年ぐらいからサステイナブルっていう言葉は、持続可能なっていう言葉は作られているのにも関わらず、どんどん地球がやばいことになってきて、異常気象を起こしたり、結構やばいことになっているじゃないですか。でも環境活動は結構やっていたはずなんですよね、皆さん。やっている方はですけどね。

 それだとやっぱり進まないので、いかに全然普通というか、僕とかもそんな意識は高くないので、そういう人が実はやれるんだよとか。そういうところを目指したいので、わざと講演中、これよくないんですけど、ペットボトルを持っていきます、マイボトルじゃなくて(笑)。こいつ全然できてないじゃん! こいつ大丈夫か? って思わせるような、俺がやったほうがいいんじゃないか? というような感じに思わせたほうが多分やれると思う、印象深くなりますしね。

 SDGs講演っていうと真面目な話を今から聞かされるんだろうなって、思ってないかもしれないですけど、ちょっとあると思うんですよね。前ふりでインパクトや面白さも与えながら、こいつ全然ダメだな、みたいな(笑)結構意図的にやっていて。そんな人でも少しこういうこともできるんだ、みたいな。SDGsを全部守れって言ったらできなくなっちゃいますので、一部でもいいから、まずはそういうようなところを伝えられればいいなって思っていますね」

写真協力:黒ラブ教授

<「SDGs」の前身「MDGs」とは>

 さて、今回、黒ラブ教授から教えてもらったことがあります。それは「MDGs」。この「MDGs」は「MILLENNIUM DEVELOPMENT GORLS(ミレニアム・デベロップメント・ゴールズ)」の略で「ミレニアム開発目標」と呼ばれています。「SDGs」の前に定められた目標で、2000年に国連で採択され、2015年までに8つの目標を達成しようというものでした。

 その目標のなかで、貧困の撲滅や初等教育の普及などには大きな成果があったとされていますが、解決できなかった課題や、新たな環境問題などに対応するため、「SDGs」が誕生し、17の目標が設定されたということなんです。

 「MDGs」と「SDGs」の違いは、目標の数だけではありません。前身の「MDGs」は国連や国の政府が取り組みの主体だったのに対し、「SDGs」は国や自治体に加え、民間企業や一般の人々も取り組むことになっています。また、目的は「MDGs」が発展途上国の課題を解決することでしたが、「SDGs」は先進国の課題を解決することも含まれています。

 「SDGs」の17の目標=ゴールは2030年までに達成することになっています。私たちひとりひとりに、何ができるのか、「黒ラブ教授」もおっしゃっていましたが、お菓子を買うにしても環境のことを考えて作っているメーカーのお菓子を選ぶなど、消費者に出来ることってたくさんあるのではないでしょうか。

いかに続けるのかが、いちばん大事

※黒ラブ教授はSDGsの講演会で、こんなことを感じているそうです。

「講演をやりながらお客様からも学べるので。よく肥料を土に返すみたいな、生ゴミを肥料に返してみたいなのあるじゃないですか。そういうキットを売っていたりする地域があるんですけど、意識高い系の人ですら続かないんですって、大変で。それだとやっぱり一過性のものになって、SDGsムーブメント! みたいになるんだなっていうのを勉強して、やっぱりいかに続けるのかっていうのがいちばん。

 意識が高い人でもそういう行動が続かない人もいるんだから、そこをどうにか変えたいなと思ったりして、色々そういうことも言ったりしながら。結構裏のところをみんな言わないですよね、やっぱり恥ずかしいっていうか。 そういうありのままの声を聞けるのもやっぱり芸人の特質だろうなと、そういうところがありますね」

●17の目標の中で黒ラブ教授がいちばん気になっている目標っていうのはありますか? 

「これはですね〜何にしようかな(笑)。まぁ自分も貧困ちゃ貧困なので〜と思ったんですけど(笑)、いちばん大事なのは13番の気候だと思うんですよね。気候がダメになったら家も壊れたりとか、森も壊れたりとか、結構すごい力なので、そしたら貧困にもなりますし、台風とか異常気象とかで教育もできなくなる場合もありますし、なのでやっぱり13番、芸人としてはちょっとつまんない答えですね〜(笑)。

 なので! 気候をなおすには、多分住み続けられる街づくりをっていう11番があるんですけど。もともと僕たちは住み続けられちゃっているんですけど、そういう意味じゃないですけどね。すごく長い目で見た住み続けられる街づくりをなんですけど、それをしっかりできると多分気候もよくなると思うので、この住み続けられる街づくり、例えば小さな環境で世の中を回すというか地産地消というか、そういうようなところができると多分環境も汚さなくなると思うので、11番にします!」

写真協力:黒ラブ教授

難しい内容を分かりやすく

※教授は東京大学大学院の研究員、理系の大学講師、そして国立科学博物館認定のサイエンス・コミュニケーターの顔もありますが、なぜ芸人さんになろうと思ったんですか?

「昔から笑わせていた天才的な少年だったんですよ、まさかこんなに全然売れないとは思いませんでしたけど(笑)。じゃなくて、本当に昔から笑わせていたのは事実で、それでM1グランプリに行ったんですよね。その時まだ素人だったんですけど、たまたま新聞に載ったりして、やっぱりお笑いってすごいなって思ってやっていたんです。そのあと大学に行った時に、大学の授業すごくつまんなかったんですよ。大学の授業を見たら、すごくつまんなくさせる技術がてんこ盛りだったんですよね(笑)。

 ある意味すごく才能的な授業で、どんなに興味を持っていても眠くなるっていう魔法の性質があるんですよ、みんながみんなじゃないですけどね。で、お笑いもやっていたんで、いかに引きつけるか、笑わせるか、楽しくさせるかっていう技術も片一方で学んでいたので、もしかして難しい内容でも、こっちの面白い技術を入れればできるんじゃないかっていうのが、今の黒ラブ教授なんですよね。だからSDGsも実は難しい内容を話してるんですけど、おもしろおかしく簡単に見させるというか」

●東京大学の大学院では研究もされているっていうことですけど、それはどんな? 

「黒ラブ教授の活動が難しいものをどう分かりやすく伝えるかっていうことなんですけど、これって科学コミュニケーションっていう学問なんですね。研究は、黒ラブ教授自身をというか(笑)、それを論文にするというか、いかにみんなに伝えるか、他の方にもそのノウハウを伝えて、難しい内容でもいかに伝えるかとか。

 結構、科学コミュニケーターっていっぱいいるんですけど、多くが難しいものをわかりやすく伝えるには難しいものを省いちゃって、中身のない、へ〜だから何? っていうような説明になっちゃっていて、魅力がなくなっちゃうんですよね。その難しさに魅力があったりするところもあって、そこを加えながら、僕の場合、難しいことをうまく入れながらも分かりやすくするように努力するんですけど」

●そのバランスってちょっと難しそうですね? 

「もう本当それもさじ加減で、よく失敗もしますね。失敗するんかい!(笑)そんな感じですけど」

●サイエンスコミュニケーターっていう肩書きもありまして、すごいですよね。これも認定されるものですよね。

「そうなんですよ。これ国立科学博物館で、超勉強するんですよ(笑)。すごく時間がかかるんですよ。ずっと試験ばっかりあって、結構な難易度で、選りすぐりの人たちが集まってくるので」

●黒ラブ教授がこのサイエンスコミュニケーターってことは、すごいことなんですね。

「ちょっと自慢しておきました、ありがとうございます! 売れない芸人だからとりあえずそういうこと言っとかないと(笑)」

写真協力:黒ラブ教授

理系が地球を助ける!?

※最後に世界はまだまだコロナ禍のなかにいますが、2030年までにSDGsの17の目標を達成するためには、どんなことが大切だと思いますか。

「そうですね。職とかも失っている方が多くなってきちゃっていると思うので、まずはウイルスを抑えて、社会の混乱を減らすというか、完全にどうなるか分からないですけど、それがないと、余裕がないままだと人間ってやっぱり環境のことなんて気にしてられないですよね、正直言って。もう自分の環境が悪くなってきちゃっているので、まずはウイルスを抑える。まずそこが始まんないと多分SDGsが、今回コロナ禍になってプラスチックのゴミがすごく増えちゃったんですよね、ギュイーンって上がったんですよ」

●コロナ禍でどうしてプラスチックが? 

「梱包材が増えたじゃないですか、それですごいらしいんですよ、今、ゴミの業界に聞いたら。まずはそこら辺をもとに、巻き戻っているところが多いので。意外にロックダウンしても気候が少し直っただけで、やっぱり悪かったんですよね。
 少しだけしか直っていないというのは、ロックダウンしても駄目ってことは、じゃあどうするんだって話ですけど。相当社会の仕組みを変えなきゃいけないなっていうようなレベルになっているんですけど、ちょっとそう思いましたね」

●黒ラブ教授さんが思い描く未来像があれば是非教えてください。

「やばい、今のところ芸人なのに真面目なことしか喋ってない! やばいこれはやばいですよ!(笑)思い描く未来ですよね。やっぱり科学コミュニケーターで科学をやっている人間なので、科学っていい面もあるけども、やっぱり環境を壊した張本人のひとつでもあるんですよね、技術っていうのは。
 なのでやっぱり理系をもっと増やして、いい意味の理系の技術が少しでも上がって、今度は地球を助ける技術の発展を促したいので、そういう理系が増えればいいかなっていう、そういう未来を描いている真面目な黒ラブ教授でございます」


INFORMATION

 「黒ラブ教授」の活動についてはオフィシャルブログやTwitterをぜひご覧ください。
吉本興業が行なっているSDGsの活動にもご注目を!

◎「黒ラブ教授」オフィシャルブログHP:https://kurolovekyouzyu.web.fc2.com

◎吉本興業が行なっているSDGsの活動のHP:https://www.yoshimoto.co.jp/sdgs/

新シリーズ「SDGs〜私たちの未来」の第1弾!〜ビニール傘をアップサイクル「プラスティシティ」〜

2021/6/13 UP!

 今週から番組放送30年特別企画として新シリーズがスタートします。シリーズ名は「SDGs〜私たちの未来」。この番組ではおもに「環境」や「自然」に関する項目にしぼって、SDGsについて、みなさんと一緒に考えていきたいと思います。そして今月6月は「環境月間」ということで、3週にわたって新シリーズをお届けします。

 第1弾の今週は「SDGs」をひもときつつ、雨のシーズンということで、廃棄されるビニール傘を、トートバッグなどの製品にアップサイクルして販売するブランド「プラスティシティ」にフォーカス! ファウンダーでデザイナーの「齊藤明希(さいとう・あき)」さんにお話をうかがいます。

☆写真協力:齊藤明希(プラスティシティ)

齊藤明希さん

<SDGsとは?>

 きょうのゲスト、齊藤さんはバッグの専門学校在学中に「プラスティシティ」を設立、現在はトートバッグをメインにブランド展開、おもに自社のオンラインストアで販売しています。齊藤さんにお話をうかがう前に「SDGs」とはなにか、おさらいしておきましょう。

 SDGsは「SUSTAINABLE DEVELOPMENT GOALS(サステナブル・デベロップメント・ゴールズ)」の頭文字を並べたもので、日本語に訳すと「持続可能な開発目標」。

 私たちがこれからもこの星「地球」で暮らしていくために、世界共通の目標を作って、地球の資源を大切にしながら経済活動をしていこう、そのための約束がSDGsなんですね。

 2015年の国連サミットで採択され、2030年までに達成しようという目標=ゴールが全部で17設定されています。その範囲は飢餓や貧困、環境問題、経済成長、そしてジェンダーに関することまで、いろいろな課題が入っています。

 きょうはSDGsの、17設定されているゴールの中から「つくる責任 つかう責任」について考えていきましょう。

年間8000万本!?

●それでは齊藤さんにお話をうかがっていきましょう。ビニール傘のビニール部分をアップサイクルの素材に選んだのは、どうしてなんですか?

「もともとバッグの専門学校に入りたいって思ったのも、なるべく環境に優しい素材を使ってバッグを作ってみたいと思って専門学校に入ったんですね。だから何か素材をと思って、日頃から何が使えるかっていうのは探していて。東京の学校だったんですけど、通学している時にもよく雨の日には捨てられた傘を見ることも多かったですね。

 最初は例えばコルクとかも環境にいい素材だし、使えるかなって思ってちょっと試してみたり、ヴィーガン素材っていうのも市場に出始めてはいたので気になってはいたんですけど、そういうものを取り寄せて試すのがちょっとハードルが高く感じたっていうのもあったり、見たことある製品だったり、何かもうちょっと新しいものを探したいなとは思っていて。

 環境にいい素材って見る観点によってすごく意見が分かれるというか、難しいものだと思うので、どのみちゴミにされるものを再利用できるのが、いちばんのエコな素材なんじゃないかなっていう風に考え始めて、それから普段の生活で身近なところで何かないかなって探し始めました」

●国内で1年間に廃棄されるビニール傘がおよそ8000万本ということですけれども、それは齊藤さんはどのようにお考えですか?

「なんか想像つかない数だなって。私は最初こういう問題をテレビのニュースで知ったんですけど、でも8000万本って集まっているのを見たこともないし。ただブランドを始めて実際に回収した傘、3000枚のビニールが山積みにされているところを見た時に、私より背が高いくらい山積みにされていたんですけど、これでも3000枚なんだっていう、すごくそれは衝撃的ですよね」

写真協力:齊藤明希(プラスティシティ)

試行錯誤を経て開発した「グラス・レイン」

●ビニール傘のビニール部分はどうやって集めているんですか?

「ビニールの部分は、専門学校の時は本当にゴミを回収している方に直接“譲っていただいてもいいですか?”って聞きに行ったり、確実にゴミにされているっていうのが分かる傘を1本1本回収してましたね。

 道ばたで見つける傘や置いてある傘は、明らかにゴミに見えても、一応。所有権が分からないものなので勝手に取ってはいけないらしくて、なのでもう本当にゴミとして回収されたものだけを集めていたんですけど、ブランドになってからは、商業施設や鉄道会社さんのほうで回収された傘を大量に買い取っています」

●大体、ひと月でどれぐらい集まるものなんですか? 

「毎月集めているっていうわけではなくて、まとめて最初3000本分を一気に買い取って。だから定期的に回収するっていう感じですね」

●一般の方々からもビニール傘を集めているんですよね? 

「はい。数ヶ月前に始めた企画なんですけど、直接メッセージでお客様から、家にある傘を回収していただくことは可能ですか? っていう連絡がいくつかあったり、そういったこともあったので始めたプロジェクトです。1枚ビニール部分をある程度洗浄していただいて、ポストで投函していただいて、1枚につきオンラインストアで使える100ポイントと交換するっていうようなシステムになっています」

●どのくらい集まっていますか? 

「まだ100枚はいってないかなって感じなんですけど、でも徐々に集まってきて、今はトートバッグ1つ分ぐらいは集まっています」

●ビニール傘は、家にあるっていう方きっと多いと思います。

「気づいたら溜まっているっていう方がすごく多いので、どんどん送っていただきたいです!」

●廃棄されるビニール傘のビニールの部分を、独自の技術を使って新たな素材に生まれ変わらせて、「グラス・レイン」という風に名付けられましたけれども、そこに辿り着くまでも色々な試行錯誤があったんじゃないですか? 

「そうですね。最初は1枚のビニールで縫製をしてみたり、異素材と縫い合わせたり、色々試したんですけど、何をしてもやっぱりビニール傘のチープさから抜け出せなくて。

 いい素材と組み合わせてバッグを作っても、他の素材に頼っていたら、もはやビニール傘を使う意味がなくなってしまうって思って、そのビニール部分だけで、単体でもっと価値をあげないといけないなっていう風に考え始めて、そこからこのビニールだけで何ができるかっていうのを色々と実験し始めました。

 色々と塗ってみたりとか、のりを塗って何枚か重ねたりとか、どうやったらもうちょっと強度を上げて、見た目もよくするかっていうので、色々試行錯誤はしました」

*補足:齊藤さんは素材になるビニールの強度をあげるために、何枚か重ねていろいろ試したそうです。そして熱すれば硬くなる性質に気づき、アイロンで圧着すれば、接着剤を使わなくてもくっつくことを発見。そして独自の技術を施して、新たな素材「グラス・レイン」を開発されました。

写真協力:齊藤明希(プラスティシティ)

<傘をゴミにしないために>

 今週は新シリーズ「SDGs〜私たちの未来」の第1弾! SDGsの17ある目標から「つくる責任 つかう責任」について。ということで、廃棄されるビニール傘をアップサイクルしているブランド「プラスティシティ」の取り組みをご紹介しています。

 さて、雨の季節、急に降られて、仕方なくビニール傘を買って家に帰ったことってありますよね。どのご家庭でも2〜3本をあるであろうビニール傘を一般家庭で廃棄する時は、多くの自治体では不燃ゴミとして回収しているようですが、持ち手の部分のプラスチック、金属の骨、そしてビニール部分があるので、とてもリサイクルしにくい、やっかいなゴミになってしまいます。

 では、傘をゴミにしないコツはないのでしょうか。

 まず、番組としてご提案したいのが、国産の良質な傘を購入して大事に使う。

 日本の、傘を作る技術は優れていますが、海外で生産された安い傘におされて国内のシェアは激減しているそうです。国産の傘を購入することで、傘を作っている会社や職人さんを守ることにもつながりますよね。

 そして、大事な傘がもし壊れたら、ホームセンターやショッピングモールにある修理屋さんで直してもらいましょう。愛着のある傘は修理して長く使いたいですよね。

 続いて、徐々に広がり始めている、傘のシェリングサービスを利用する。

 駅前、商業施設、コンビニなどにある傘スポットからレンタルし、使わなくなった傘は返却するシステムで、1日70円で借りられるとのこと。

 詳しくは「アイカサ」のサイトをチェック! https://www.i-kasa.com/

 そしてご家庭にある、いまは使わなくなった傘は捨てずにリユースしてもらう。

 地域によっては傘の貸し出しサービスを行なっているところもありますし、発展途上国の支援物資として受け入れている団体もありますので、そこに寄付するのはいかがでしょうか。

 そして、これは傘本体ではないんですが、雨の日に、百貨店やショッピングセンターなどの入り口に設置してある、濡れた傘を入れるビニール袋、これもゴミになっちゃいますよね。

 そこで提案したいのが、自分だけの傘カバー。

 くるくる丸めてコンパクトになるので持ち運びが苦にならないし、傘を収納して肩にかけたりできる、機能的な傘カバーが市販されています。一度チェックしてみてくださいね。

 傘をゴミにしない究極のコツは、やはり私たちの意識を変えること、ではないでしょうか。

 仕方なく買ってしまったビニール傘を処分するときには、齊藤さんのお話にもあった「プラスティシティ」の一般家庭向けリサイクル・プログラムをぜひご利用ください。ビニール部分1枚で100円分のポイントがつきます。ビニール傘からビニール部分を取り外す方法や、送り方などは「プラスティシティ」のオフィシャルサイトをご覧ください。

◎プラスティシティ:https://plasticity.co.jp/

写真協力:齊藤明希(プラスティシティ)

便利さが無駄を生む!?

●実は齊藤さんは3年間、イギリスの大学に留学されていたそうですよ。イギリスでの生活が今の活動に何か影響を与えたことってあるのでしょうか?

「大学にいた頃は何も考えていなかったというか(笑)、今関心あるものを当時は感心が特になかったりしたんですけど、後々、変わったかなって思うのは、東京からイギリスのロンドンではなくてちょっと田舎の方に行ったんですけど、すごく色んなことが不便に感じてましたね。

 日本ってその便利さが、例えば何かが不便だったなって思ったら、それに対してのソリューションが製品っていう形であることが多いと思うんですけど、イギリスはそうではなくて、何か不便だなって感じたことは自分なりに受け入れないといけなくて。

 その時はめんどくさいなとか、何でもうちょっと東京みたいに進んでないだろうって思っちゃったりとかしたんですけど、でも逆に(日本に)帰ってきて、こんなに便利じゃなくてもいいんじゃないかなって。その便利さが結局色々な無駄を出している要因でもあるので、帰ってきてからやっと気付かされたことだと今は思います」

●具体的にイギリスで不便だったことって、どんなことなんですか? 

「それこそビニール傘はそんなに売っていないし、雨が降ったら、イギリスはよく雨が降るし、1日でもすごく変化が多いので、別に雨に打たれてもいいし(笑)、何かそういったことがあったり。

 あと傘とかは関係なく、例えば自動販売機があまりなかった町で、お店がすごく早く閉まってしまう、そういうのに不便さを感じたんですけど、お店が開いてる時に行けばいいし、自分がその環境に合わせて行動すればいいだけであって、何もかも今欲しいからっていう風に考えなくてもいいのかなって思いました。 お店が閉まっている分、そこで働いている人たちは早く家に帰って家族と過ごせているんだなとか、そういったことを考え始めました」

なくなるのが目標のブランド!?

●今週は新シリーズ「SDGs〜私たちの未来」の第1弾! SDGsの17ある目標のなかから「つくる責任 つかう責任」。

「プラスティシティ」のスローガンに「10年後はなくなるべきブランド」とありますが、これにはどんな思いがありますか?

「それは色々な思いがあるんですけど、私たちがこんなに簡単にビニールの素材が手に入ってしまうっていうのは、きっといいことじゃないし、10年後にはこんなに簡単に手に入らない素材であってほしい、それがブランドとしての目標かなって思います」

●このブランドを初めて何か意識の変化みたいなものってありました? 

「購入してくださった方のコメントとかを読んでいて、意識の変化っていうか分からないんですけど、気付かされたことは、こんなにも共感してくれている人が多いんだっていうこと。自分が関心があったり、気になっていたことが、こうやってブランドっていう形でローンチした時に、みんなも同じことを感じているんだっていう風に思ったことですね。

 あとはお客様の中で、SNSで投稿してくださった方で、私たちの製品ってもともと廃棄されている傘なので、どうしても取れない汚れだったりもあるんですけど、私はむしろそのサビの汚れがかっこよくデザインになるなって思って、それも取り入れたいと思っていて。

 それはすごくお客様によって反応が色々で、好む方もいれば、もうちょっと白いものがほしいっていう方もいらっしゃるんですけど、買ってくださった方の中で、透明なものを想像していて、届いた製品を見たら、サビが付いていてショックを受けたって言っていたんですね。

 でもそのショックを受けた、何でも新品で何でも新しいものを期待してしまっている自分の考え方を、意識することができたっていう風にコメントしてくださって、私も想像していなかった反応だったので嬉しいなと思って」

●最後に、この番組のリスナーに伝えたいことをお話いただきました。

「私は個人的に物を買うときは、購入することは一種の投票と同じようなもので、貢献したい会社だったり、こういうプロダクトが増えてほしいなっていうものに対して、なるべくお金を使うようにはしています」

●その製品を購入するだけじゃなくて、その背景も知ってもらいたいっていうことですか? 

「そうですね。ちょっと意識するだけでなくせる無駄だったり、ゴミになるものをちょっとでも減らせるのかなって。だからきょうあすからでも始められることって、きっと気にしていないとできないけど、ちょっとでも意識するとすぐに変えられることとか、行動に移せることってあるのかなっていう風に思います」

写真協力:齊藤明希(プラスティシティ)

INFORMATION

 齊藤さんは、廃棄されるビニール傘をアップサイクルするブランド「プラスティシティ」を立ち上げました。これは「つくる責任」の一翼を担っていると思います。「10年後にはなくなるべきブランド」という思いにも共感しました。みなさんは、どう感じたでしょうか。

 「プラスティシティ」で販売しているトートバッグなどの製品情報や、一般家庭向けのビニール傘のリサイクル・プログラムについて、詳しくは「プラスティシティ」のオフィシャルサイトをご覧ください。

◎ 「プラスティシティ」HP:https://plasticity.co.jp

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