2004.08.08放送

山のふるさと村・インタープリター石井恵子さんと
ジュニア・レンジャー・プログラム
=“なんですか”高橋の夏休み・山編=



今週のベイエフエム/ザ・フリントストーンのゲストは石井恵子さんです。

 東京都の西、奥多摩湖畔にある自然公園施設「山のふるさと村」で行なっている小学生向けの自然体験プログラムを、アシスタント・ディレクター“なんですか”高橋(リョウタ)が体験、その模様をレポートします。先生はインタープリターの「石井恵子」さんです。小学生向けとはいえ、意外な発見、初めて知る事実もあり、バツグンの面白さです。当日はあいにくの雨模様でしたが、山のふるさと村(通称:山ふる)にはたくさんのお客さんがいらっしゃいました。まずは、山ふるのビジター・センターの前でこんな話から始まりました。

◎セミの抜け殻についている白い糸はなーんだ!?
●今日は山のふるさと村で行なっている自然体験プログラムにチャレンジ、“なんですか”高橋の夏休み・山編ということで、色々と頑張っていただきたいと思います。では、先生を御紹介したいと思います。インタープリターの石井恵子さんです。今日はよろしくお願いします。
石井さん「よろしくおねがいします」

●今日やっていただくプログラムというのは、ジュニア・レンジャー・プログラムで小学生向けということなんですが、自然の知識に関しては小学生レベルということで(笑)、ウチの大きいリョウタに教えていただきたいと思います。今日はジュニア・レンジャー・プログラムのどういう活動をするんですか?
石井さん「今日は、ジュニア・レンジャー・プログラムのステップ3の中にあるガイド・ウォークと、ちびっこ・あーとをやりたいと思います」

●ちびっこ・あーと、できるかなー?(笑)
リョウタ「頑張ります!」
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 さぁ、いよいよ「石井」さんによる「山のふるさと村・ジュニア・レンジャー・プログラム」の「ガイド・ウォーク」が始まったわけですが、まずは、雨の中、林の中に分け入り、足下に落ちているクルミの殻に注目。
クルミの殻。左がアカネズミ、真ん中と右がリスの食べあと。
実はこれ、「リス」が中身を食べたあとのものだったんですが、「山のふるさと村」にはもう1種類、クルミを食べる動物がいるんです。それは「アカネズミ」なんですね。ただ「リス」がクルミを半分に割って食べるのに対し、「ネズミ」は、両側からかじって食べていくというように、その食べ方が違うので、殻を見ただけで、「リス」が食べたのか「アカネズミ」が食べたのかがわかるんだそうです。

 このように「ガイド・ウォーク」ではインタープリターの方々が、自然の中隠されたサインを気づかせてくれるので、森を歩く楽しみがどんどん増していくんです。さて、続いて私たちは「ガイド・ウォーク」の「第2ポイント」にやって来ました。

石井さん「ここは湖畔広場というところなんですが、ここでは探し物をしてもらいたいと思います。探してもらうものは、みなさんにもお馴染みの、今ちょうど夏の風物詩ですね、夏にいっぱい鳴いているセミの抜け殻を、ここの広場で探してもらいたいと思います」

●はい、リョウタ、スタート! 
(しゃがみ込んで探す高橋リョウタ)

●おい、君! 地面から探すか!(笑)
リョウタ「雨の日なので、地面に落ちているかなと思いました」

●そうか?(笑)
リョウタ「木の幹についているんですか?」

●そうですね。でも、あまり木の脇にいないですね。
リョウタ「あっ、葉っぱについているのを見つけました!」
石井さん「そこに、2つついていますね。もうちょっと高めを見てみると、実がなるように、たくさん羽化したあとの抜け殻がついていますね」

●本当ですね。クリスマス・ツリーのデコレーションのごとく、ぶら下がっていますね(笑)。
石井さん「そうなんです(笑)。ちょうど今の時期はセミの羽化が多い時期で、こうやってセミの抜け殻がたくさん取れる時期なんです。では、今セミの抜け殻を取ってもらったんですけど、そのセミの抜け殻をこの虫眼鏡でよく見て下さい。特に背中の割れている部分をよく見てみて下さい。よく見てみると背中からニョロッて何か出ていませんか?」
リョウタ「白い糸みたいなものが出ています」
セミの抜け殻。背中のあたりに白い糸が見えるかな。

石井さん「そうなんです。では、ここでセミ・クイズです。背中から出ている白いヒモはなーんだ?」
リョウタ「白いヒモですか・・・」
石井さん「このクイズは4択になっています。まず1つ目、血を運ぶ血管。2つ目、栄養を運ぶ腸。3つ目、へその緒。4つ目、空気を運ぶ気管」


●さぁ、1、2、3、4どれだ!
リョウタ「最初はへその緒かと思ったんですけど、親子ではないのでへその緒で繋がっていることはないかなと思ったんですよ。でも・・・」

●前説長いなぁ(笑)。
リョウタ「(笑)。でも、先入観で血は赤いのかなと思ったので、白い糸にはならないなと思いました。残りは、腸か気管しかないので、気管はなくなってしまったら生活できないかなと思ったので、4番の腸だと思いました!」

●腸がなくても生活できるのか?(笑)
リョウタ「生活できなそうですけど(笑)、一番影響が少ないかなと思って腸かと思いました」
(笑いが止まらない石井さんとエイミー)

●先生、こういう小学生いますよね(笑)。
石井さん「でも、すごく理論付けて考えてくれました(笑)。では、正解を発表します。正解は死んでしまいそうって言ってくれたんですが、実は4番の空気を運ぶ気管なんです。そのセミの抜け殻を縦に割ったものがあります。割ってみると中に白いヒモがたくさんあるんですね。この白いヒモはどこから続いているかというと、セミの抜け殻を裏返してみると、お腹に穴が空いているのが分かりますか?」

●ちょうど中心のところですね?
石井さん「そうですね。ここのお腹の穴から内側に白いヒモが続いているんですね。幼虫の時はこの白いヒモの中の気管で、土の中の空気を吸っています。でも、成虫になるときに、この白いヒモを引きちぎって出てくるんです。もし、セミの成虫になる瞬間を見る機会があったら、白いヒモがどこに繋がっているのかというのを、見てみるとより分かります」

●セミ側のどこについているのかをですね。これは羽化するまでの気管なんですね。初めて知ったね?
リョウタ「初めて知りました。勉強になりました」
★    ★    ★

●続いてはどんなことをやるんですか?
石井さん「次はちびっこあーとなんですけど、今日はぬり絵をしていきたいと思います。今日、塗ってもらう絵はヤマセミです。私、ぬり絵と言いましたが、今日はクレヨンも色鉛筆も何も持ってきていません。何で塗るかと言いますと、周りにたくさん生えているものです」

●今日は雨が降ったということもあり、いい香りもしています。
リョウタ「草やお花ですか?」
石井さん「その通りです。早速、塗っていきたいと思うんですが、例えば私達の足元に生えているような小さな草でもいいんです。これを必要な分だけ取って、ヤマセミの絵が書いてある紙の上でコシコシとこすります」

●今日はいい塩梅(あんばい)に雨が降って湿っていますので、色も出やすいですね。
石井さん「イイ感じに色が出ました。今、緑の葉っぱを使いましたが、同じ緑の葉っぱでも種類によって緑の色が違ったりします。あとは、青い花とか黄色い花とかを使うと、色々な色が出てキレイになります。これから、みなさんにお皿をお配りしますので、このお皿の中にこの色で塗りたいっていう葉っぱなどを入れていって下さい。最後にあずま屋でぬり絵を完成させたいと思います」

●お花などは摘んでしまってもいいんですか?
石井さん「はい。ただ、たくさん取るのではなくて必要な分だけ取って下さい」

●じゃあ、リョウタこのヤマセミに合う色を見つけてくるように。
リョウタ「はい、探してきます」
塗り絵の色の材料を探す高橋。

★    ★    ★
◎雨の日も外に出よう!
●というわけで今リョウタは色を探して、あちこちまわっているわけなんですが、まず、山のふるさと村のことについておうかがいします。ここは東京都の公園で、セミやネズミやリスがいた痕跡なども見つけたんですが、ここにはどういう生きものがいるんですか?
石井さん「生き物は豊富です。林が人工林で針葉樹と広葉樹の2種類がありまして、植物も豊富にあるので、昆虫類もたくさんいます。野生動物は、園内にムササビが棲んでいるんです。あとは、湖に水を飲みに来る野生動物がたくさんいます」

●ムササビというと夜じゃないですか。だから、ナイト・プログラムとかもやっていらっしゃるんですよね?
石井さん「はい。ここの園内にお泊りの方向けに、夜の自然を紹介するナイト・プログラムというのと、朝の自然を御紹介するおはようハイクというものもあります。で、その中で野生動物を見るプログラムがあったり、夜の森を純粋に体験していただくものとか、色々な内容のものを提供しています」

●そもそも、石井さんがインタープリターになろうと思ったキッカケはなんだったんですか?
石井さん「成り行きって言ってしまえばそうなんですけど(笑)、もともと小さい頃から生き物が好きで、昆虫や小動物を飼育していたんですね。大学では生物学を専攻していまして、そのあとに高尾山でやっている自然観察会のお手伝いを、ボランティアでやっていたんです。で、そこで人間関係が色々出来てきて、そこから自然教育研究センターでやっている、インタープリターのトレーニング・セミナーのことを教えてもらって、それを受けてみようかなと思って受講したのがキッカケだったんです。で、受けたそのあとに、ここの山のふるさと村で実際に来訪者の対応をしながら、研修を続けていくっていう制度がありまして、そこでずっとやっていているうちに、ここで働くようになったということです」

●実際にインタープリターになって、奥多摩の自然を紹介してみてどうですか?
石井さん「毎日同じ場所で仕事をしているんですけど、自然というのは四季折々、毎回違っていて、毎回新しい発見をさせてもらうことが出来るんですね。あとは、来訪者の方も様々な方がいらっしゃって、色々な方とお話をしているうちに、『私の知らなかったことを、この人は知っているんだ』とか、毎日が新しい発見の連続で、本当に楽しい仕事です」

●ジュニア・レンジャー・プログラムのガイドをする時は、まずみんなに音を聞いてもらうところからスタートするっていうお話を、先程歩きながらうかがったんですが、雨でも自然はいつもとは違った表情を見せてくれますよね?
石井さん「そうですね。雨の日が好きじゃないっていう方が結構多いんですけど、やはり雨の日には雨の日ならではの自然があって、その自然が発するメッセージ、『こういうこともあるんですよ』というのを伝えるのが、私達の仕事だと思っているんです。なので、雨の日っていうのを嫌わずに、雨の日の音があったり、雨の日ならではの滴を集めてみたりとか、あとは雨が好きな動物達、例えばカエルとかが出てきたりとか、雨の日には違うものが見れるということで、『雨の日もちょっと外に出てみようよ』という働き掛けをしています」

◎ヤマセミの色ってどんな色!?
  さて、森の素材で「ぬり絵」を行なうという「ちびっこ・あーと」に挑戦中のリョウタ。そろそろ色々なものを持って帰ってきたようです。

●リョウタの手には「バーベキューで取りすぎちゃいました!」っていうくらい、色々なものがたくさん入っています(笑)。
石井さん「カラフルなものがたくさん入っていますね。『何でしょうこれ!?』っていうのも入っていますね(笑)」

●こんなに大きな葉っぱをそのまま持ってきてどうするんだっていう・・・(笑)。
リョウタ「(笑)。茶色が使いたかったんですよ」

●なるほど、たくさん使いたいわけね。
石井さん「色が出るでしょうか。早速これで塗ってみましょう。絵の方は御用意していますので、好きなように塗ってみて下さい」
リョウタ「枯れ葉は色が出にくいんですかね?」
石井さん「どうでしょう。やってみて下さい」

 こうして、リョウタの「ぬり絵」が始まったわけですが、彼が選んだのは、胴体は主に枯れ葉などを使って茶色、くちばしは「タンポポ」の黄色、羽は「オオバコの葉っぱ」でグリーンに。中でも掘り出し物だったのが、「クルミの実」の腐りかけたもの。黒っぽい濃い色がでて、“なんですかマン”も満足げでした。ただ石井さん曰く、「クルミの実」は、人によってはかぶれるということですから、気をつけましょうね。
 この他にも時期によって危険な植物もあるので、拾ったり、触ったりする前にインタープリターの方の説明を良く聞いておくことが肝心です。

 さて、そうこうするうちに「ぬり絵」の方も完成に近づいてきました。
石井さん「そろそろ全体が塗れましたね」
リョウタ「はい」
石井さん「今日塗ってもらったのはヤマセミという鳥なんですけど、実際にここの山のふるさと村でも、このヤマセミを見られることがあります。実際はどういう色をしているか知っていますか?」
リョウタ「分かりません」

●まず、その前にこの高橋リョウタ作のヤマセミを、本人の口から説明してみて下さい。
リョウタ「はい。棒に留まっているようにヤマセミが描いてあるのですが、その棒は木だと思って枯れ葉で茶色に塗りました。体はもう少し青や赤も使いたかったんですけど、見つけることが出来なかったので(笑)、葉っぱの緑やお花の紫で代用しました。くちばしはクルミの葉っぱやタンポポの花などを用いたんですけど、なかなか色が付かなくて苦労しました」

●尻尾の先とくちばしの下部分が、クルミの実でこげ茶色になっていますね。頭のてっぺんが紫色で(笑)、あとは全体的にグリーンというのが、高橋リョウタが考えるヤマセミです(笑)。では石井先生、実物は?
石井さん「実物はこれになります。(と、野鳥図鑑を見せる石井さん)この白と黒を基調とした、頭がボサボサになっているこの鳥です。今、言ってくれたように木に留まっているんです。どこの木に留まるのかというと、湖にせり出している枝に留まって、湖の中の魚を狙うんです。なので、水辺に棲んでいる鳥なんですね」
図鑑に載っているヤマセミを見て、意外な質問をする高橋。
リョウタ「なるほど。写真でも魚をくわえていますね」
石井さん「そうですね」
リョウタ「頭がボサボサというのはなぜなんですか?」
石井さん「なんでなんでしょうねぇ(笑)。こういう鳥なんですよね。何とも言えないですけど・・・(笑)」
リョウタ「黒と白のまだら模様なんですね」
石井さん「そうなんです。色的には地味なんですけど、こっち(高橋のぬり絵)はとてもカラフルなものが出来上がりましたね(笑)。これも見られるので、もしよかったら見てみて下さい。では、今日のちびっこ・あーとはこの派手なヤマセミで完成です」
リョウタ「ありがとうございました」
石井さん「この使い終わった葉っぱや花は、また自然の中に戻してあげて下さいね」
リョウタ「分かりました」
完成した塗り絵。どう?

◎身近な植物も見てみよう
●ジュニア・レンジャー・プログラムのステップ3をやっているわけなんですが、実は高橋、事前に宿題をもらってきていたので、その部分をお願いします。
石井さん「はい。これはジュニア・レンジャーのステップ3の特別活動という部分なんですけど、今日は山のふるさと村の自然を御紹介しました。で、山のふるさと村の自然だけではなくて、自分の身近な環境も見てもらおうということで、今日は事前に宿題をやってきてもらいました。
 では、中の方を見ていきたいと思います。中には『僕が、私が、ガイドします』ということで、高橋さんがいつも生活している身の回りの地図と、植物の名前が書いてありますけど、これ作るときかなり大変だったんじゃないですか?」
リョウタ「そうですね。中野区の哲学堂公園というところに行ったんですけど、とりあえず全体を一周しまして、そのあと植物の名前が書いてある札をメモしてまわりまして、全体図と植物のあった場所を思い出しながら書いていきました」
石井さん「はい、ご苦労様でした!」

●この辺は大人のプライドといいますか・・・(笑)。
石井さん「すごく細かく描いてありますね。で、ちゃんと植物地図みたいに『ここにはハナミズキがある』とか、『サルスベリ(花が咲いていた)』とか、ちゃんと状態も書いてありますね。脇のところにも植物の名前がたくさん書いてあって、これも・・・」(と、哲学堂の植物一覧表を手に取る石井さん)
リョウタ「ええ、管理事務所に行って問い合わせをしたところ、親切に教えて下さったんです」

●「哲学堂の花」と書いてある紙には、植物の名前がびっしりと記してあります。84種類?
リョウタ「85種類くらいありますね」
石井さん「これ、かなり時間がかかったと思います」
リョウタ「はい(笑)」

宿題をほめられる高橋。
●素直に「はい」ときました(笑)。
リョウタ「でも、楽しみながらできたのでよかったです」
石井さん「今回はいつ、これを見に行かれました?」
リョウタ「7月の上旬です」
石井さん「そしたら、夏のちょっと前くらいなんですけど、また季節を変えて行ってみると、違う花が咲いていたりとか、今度は虫なんかも見てみるといいかもしれないですね」
リョウタ「はい、分かりました」
石井さん「『この辺に○○の巣があった』とか書いてもいいかもしれませんね。あとは、場所を変えてみたりとか、これだけでは勿体ないので、さらにこれを広げてもらいたいなと思います」

●山のふるさと村ではジュニア・レンジャー・プログラムのほかにも、色々なプログラムがあるので、是非こちらに来て石井さんを始め、インタープリターの方々に案内して教えていただきながら、奥多摩の自然を満喫していただきたいなと思います。今日はどうもありがとうございました。
リョウタ「ありがとうございました」
石井さん「ありがとうございました。ご苦労様でした」

■ I N F O R M A T I O N ■
■東京都立奥多摩湖畔公園「山のふるさと村」情報
 「山のふるさと村」は、ビジターセンターほか、レストラン、キャンプ場、ログキャビン・サイト、バーベキュー・サイト、及び、木工、陶芸、自然食などの教室を行なっている「クラフトセンター」など、訪れた人々が自然公園への理解を深め、自然の中で快適に過ごし、自然とのつきあい方を楽しく学ぶことを目的にした東京都の自然公園施設。
 ビジターセンターにはインタープリターが常駐し、自然のことなら何でも質問できるほか、宿泊者向けのナイト・プログラムやおはようハイクを始め、ザ・フリントストーンも体験した子供向けのジュニア・レンジャー・プログラムなど、様々な自然体験プログラムが用意されている。
問い合わせ:山のふるさと村ビジターセンター
問い合わせ:TEL:0428-86-2551
ウェブサイト:http://www.yamafuru.com/index.html


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