2016年11月26日

千葉県・いすみ取材第1弾
〜循環型生活・ブラウンズフィールド〜

 今週のベイエフエム/NEC presents ザ・フリントストーンのゲストは、中島デコさんです。

 今回は千葉県いすみ取材の第1弾! 日本の伝統的な食をベースに、自然と調和し、健康的な暮らしを営む食療法マクロビオティック。その料理家・中島デコさんは、改築した古民家に住み、自分たちが食べるお米や野菜を無農薬で育て、自然の恵みに感謝しながら、家族や仲間と素敵な暮らしを営んでらっしゃいます。
 そんな中島デコさんを、いすみ市の“ブラウンズフィールド”に訪ね、大地に根ざした自然暮らしについて色々お話をうかがってきました。

種を撒く生活

●今回のゲストは、マクロビオティック料理家の中島デコさんです。よろしくお願いします。

「よろしくお願いします」

●私たちは今回、デコさんの家でもある、いすみ市の“ブラウンズフィールド”に来ています。まずは、ここがどんなところなのか教えてください。

「17年ぐらい前に東京から家族と一緒に引っ越してきたのが始まりで、そこからカフェをやったり、宿泊施設をやったり、田畑をやったりと、循環型の生活を目指してやってきました」

●最初からそういったコンセプトでやろうと思って移住したんですか?

「そういうわけではなかったんですが、その前からマクロビオティック的な食べ方をしていたので、“もっと自然の中で過ごしたい”、“種を撒く生活をしたい”、“採ったものをすぐ調理して食べたい”と思うようになったんですね。ある時、田舎に住んでいる友達の家に遊びに行ったんですが、お味噌汁を作るときに庭から採れたてのものを入れてくれたんですね。それがすごく美味しくて、“やっぱり、そういう生活がしたい!”と思って、東京から引っ越してきたのが始まりです」

●なぜ千葉だったんですか?

「たまたまです。この古民家がたまたま空いていて、紹介されて来てみたら、里山がキレイで海は近い、のどかで人が温かかったので、ここにしました。来てよかったです。気の合う仲間がどんどんと増えていきましたし、行こうと思えば都内にも1時間ちょっとで行けるので、なんの不自由がない上に生活費も安いんですよね。ありがたいことばっかりです」

●そんなブラウンズフィールドを見せていただけますか?

「はい、ご案内します」

ブラウンズフィールドを探索!

●外に出てきましたが、風が気持ちいいですね。

「そうですね。今いたところがカフェで、右の建物が母屋、正面に見えるのが宿泊施設のコテージになります。そこにみんなで建てたお手洗いがありますし、右奥にツリーハウスがあります。左側に今、小田掛けしていますが、その向こうに田んぼがあります。この隣に古民家があって、少し離れたところに宿泊施設があります」

●今見つけたんですが、あそこにピザ釜がありますね!

「そうなんです。ここでたまにピザやパンを焼いたりしています。その奥で毎日ご飯を炊いています」

●雰囲気がすごく合いますね!

「薪を使うことで、すごくエネルギーもありますし、家にある薪を使うので、光熱費が安く済みます。あと、うちには天然ガスがわいているんです。天然ガスをストーブに使っていたり、料理に使ったりしています。この辺はガスがわく地域なので、使わせてもらっています」

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※田んぼに移動してきました。

●デコさん、この田んぼもブラウンズフィールドの田んぼですか?

「そうです。ここに二枚と行元寺(ぎょうがんじ)というお寺のところの谷津田に四枚ほどありまして、そこで(お米が)合計2トンぐらい採れています。それを全部食べています(笑)」

●(笑)。出荷しているのではなく、自分たちで食べる分を作っているんですね。

「自分たちだけじゃなく、カフェや宿泊されるお客さんに出していますし、麹や味噌を作りますし、藁も利用します」

●全部使うんですね。

「余すことなく使いたいですよね。もし余ったら土に還します。循環が大事ですよね」

●この作業が大変そうですね。

「なので、うちではワークショップにしています。皆さんお子様連れで楽しみながら田植えを経験して、稲刈りのときにも来てくださいます。特に子供の経験になればいいなと思ってやっています。どうやってお米ができるのか、お米は最初どんな形なのか、秋に来たらどうなっているのかを見るいい機会にもなりますし、泥に裸足で入ってもらいたいんですよね。大人もそうですが、今そういうことってなかなかないんじゃないですか。みんな靴を履いてアスファルトの上を歩いているから、泥に裸足で入るタイミングがないんじゃないですか」

●確かに、大地を踏みしめる経験って、都会で生活しているとなかなかないかもしれないですね。

「だから、そういうことをすると“アースできる”と思うんですね。皆さん携帯を使っていると思いますが、携帯を使っていると自分の中に電磁波を帯電していたりするので、土いじりをすることで悪いものを取り除いてくれるので、すごく気持ちがいいんですよね」

●私は土の中に入ったとき“足の指を感じました”ね。土が指と指の間に入ってくるのを感じて、感覚が研ぎ澄まされましたね。デコさんの農法のこだわりってありますか?

「何も入れずに取り出しもしないので、言わば“ほったらかし農法”ですね。できたらできただけいただくといった感じです。でも、それを続けていくうちに意外とできるんですよね。それに、最初のころより草が生えづらくなって、苦労しなくなってきていますね」

●段々と土がよくなっているんですね。

「いい循環になってきているのかもしれないですね」

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※別のところに移動しました。

●あ、ヤギがいますね!

「草刈り機の代わりです(笑)。草をよく食べてくれるんです。夏場はいいんですが、冬場はお腹を空かせちゃうんですよね。代わりに果物の皮をあげたりしています」

●この子はオスですか?

「こっちがオスのポールで、向こうがメスのユキちゃんです」

●ユキちゃんはハイジに出てきそうなヤギですね!(笑)

※さらに別のところに移動しました。

「そういえば、皆さんは小豆がなっているのを見たことがないんじゃないですか?」

●見たことないかもしれないです。

「こんな感じです。このサヤの中に入っています」

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●え!? こんな唐辛子みたいな感じなんですか!? サヤの中に入っている小豆はスーパーで見たことがあります。1房にかなりの数が入っているんですね!

「これがまた美味しいんですよね」

●これを煮るんですか?

「それ以外にも、私はあんこにするのが好きなんです」

家が土に還る!?

※またカフェに戻って、デコさんに住む家への思いをうかがいました。

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「食べるものだけじゃなく、住むところも自然の素材を使って、ダメになったら土に還るものを使いたいというのがコンセプトなので、壁にはそういったものを使っています。壁だけじゃなく、着るものもなるべく土に還るものや自然のものを使う方が体にも心にも優しいと思うので、そういったものを使っています」

●“家が土に還る”という感覚がなかったです。

「今、藁を使った藁葺き屋根の建物を建てているんですが、あれは釘を一本も使っていないので、全部土に還るんです」

●考えてみれば、昔の家は全部そうでしたよね。今、私たちがいるこのカフェも土壁ですよね。

「昔からの土壁に漆喰(しっくい)を塗っているんですが、中は竹小舞(たけこまい)の上に藁と土と砂を混ぜたものを塗ってあります。私たちは呼吸しますが、彼らも呼吸しているんですよ。なので、こうすることで一心同体になったようで気持ちいいんですよね。ここに来た人もみんな気持ちいいみたいで、“ここに来ると深呼吸ができる”とか“安心できる”と言ってくださるので、そういった場所を提供できているのは嬉しいですね」


現在、建設中の藁葺き屋根の家。

家族の中心は台所!

※デコさんは家の中でも、特に台所にこんな想いがあるそうです。

「どの家でもそうだと思いますが、台所は家族の中心であるべきだと思いますし、台所で作ったものを食べることで体を作っていきますし、健康や精神を作っていくと思うんですよね。あと、少し病気になっても、台所にあるもので治せたりするので、うちでは子供が病気になっても慌ててお医者さんのところに行くことなく、台所にあるもので熱を下げたり湿布をしたりして対応してきました」

●どんなもので対応したんですか?

「風邪のひき始めには“梅しょう番茶”を作って体を暖めたり、お腹をこわしたら葛湯(くずゆ)を作ったり、子供の熱を下げるときはリンゴを入れた葛湯を作ったり、キャベツを頭に貼ったり、体のどこかを痛めたときは里芋を湿布にしたりと色々な手当ての方法があるので、簡単なものであれば身近なもので治したらいいなと思います」

●そういう知識はどこから得ているんですか?

「基本的にはマクロビオティックの知識です。昔からある日本の伝統的な知識ですが、地方にも色々とあると思ので、今のうちにおじいちゃんやおばあちゃんたちから聞いて受け継いで、次に繋げていきたいと思いますね」

●他にもマクロビオティックで役立つ知識ってありますか?

「マクロビオティックは“一物全体(いちぶつぜんたい)”という原則があって、例えば大根だと皮をむいてしまいがちですが、その皮もいただきます。皮を食べると皮膚が丈夫になるんですよ。今、里芋も作っているんですが、里芋も皮までいただきます。私も“里芋の皮は食べられないでしょ!”って思っていたんですが、新しい里芋はたわしで洗って、その皮を素揚げして塩ふって食べると、里芋チップスとなって、すごく美味しいんですよね。そういう風に自分で作っていると全部食べたくなりますよね。しかも無農薬で作っているので、余すことなく使いたいですよね。
 あと、マクロビオティックには“身土不二(しんどふじ)”という“季節のものをいただく”という原則があって、季節のものは大概安いので、リーズナブルに生活ができるんですよね。遠くから運ばれてきたものをわざわざ買う必要はなく、今身近にできているものをいただくということなんですが、そこが抜けてしまうと、遠くから運ばれてきたものがありがたくなって“スーパーフード”って言ってしまいがちですが、その前に傍に生えているヨモギやドクダミの方がより体にいいですよね。そうやって、自分が住んでいるところの物のほうが体に合うんですよね。その辺りを守っていただければ、難しく考えりせずに自由に食べていただければと思います。よく“お肉って食べちゃいけないの?”って聞かれるんですが、二大原則を守りながらちゃんとしたものを食べていただければ、病院にも行かずに過ごすことができます」

●デコさん、もうすぐ本が出るんですよね?

「はい。『ブラウンズフィールドの丸いテーブル』という本を出すことになりました」

●すごく可愛らしいタイトルですが、このタイトルに込められた想いは?

「うちに丸いテーブルがあるんです。そこでみんながご飯を食べたり、話し合ったり、くつろいだり、作業をしたりしていて、そこに循環するイメージを盛り込んで、そのタイトルにしました。この本を作るまでにも、色々な人がここを訪れて、手伝ってくれましたし、ここを巣立った子たちが色々なことを始めて活躍しているので、そこに訪ねてインタビューしてまとめたりしています。また、みんなのレシピを載せたり、ブラウンズフィールドの循環型生活の話も載せています」

●やっぱり、四角いテーブルより丸いテーブルの方がいいですか?

「重箱の隅を突きあうより、角がないほうが、循環がイメージできていいですよね。
 この本を作るときも、やっぱりお金がなかったんですよ。なので、みんなのお世話になろうと思って、この本を作ると決めてから、先行予約をお願いして、予約してくれたお金で印刷しようと決めました。予約開始してから1部売れ、5部売れ、10部売れて、100部まで売れたんですが、1,000部まで遠いと思いました。でも、先日ついに1,000部を超えたので、入稿することができました! お支払い済みの方、必ずお届けすることができますので、安心していてください! そういうみんなの気持ちも集まっているので、私たちだけで作った本ではありません。ぜひ、皆さんに読んでいただきたいです」


(この他の中島デコさんのトークもご覧下さい)

YUKI'S MONOLOGUE 〜ゆきちゃんのひと言〜

 実は、デコさんに生ごみを分解する“コンポスト”はどうしているのかうかがったのですが、「素材を余すことなく使うので、生ごみはほとんど出ない」そうです。つまり、ブラウンズフィールドでは、人間が生活することによって自然の恵みを上手に循環させているんですね。“自然と末永く仲良く生きるヒント”がそこにはある気がしました。

INFORMATION

新刊『ブラウンズフィールドの丸いテーブル』

 中島さんの新刊となるこの本は、ご主人のエバレット・ブラウンさんと一緒に作り上げてきた“ブラウンズフィールド”という暮らし方、そして生き方について書かかれているほか、中島さんのところで共に学び・働いた卒業生たちへのインタビューも掲載されています。
 お買い求めは、ブラウンズフィールドのオフィシャルサイトから。

ブラウンズフィールド情報〜ハワイ島プログラム

 “中島デコさんと過ごすハワイ島ジャングル暮らし”というプログラムが企画されていて、現在参加者を募集中です。日程は来年1月10日から6泊8日。ハワイ島の奥地にあるパーマカルチャー・ファームに滞在することになっていて、ディープなハワイを堪能できそうです。
 そして、ブラウンズフィールドでは、ゲストハウスに泊まることもできます。また、金・土・日と祝祭日には“カフェ ライステラス”も営業。オーガニックなお料理も楽しめます。

 いずれも詳しくは、ブラウンズフィールドのオフィシャルサイトをご覧ください。

今週のオンエア・ソング

オープニング・テーマ曲
「GRACIAS / LARRY CARLTON」

M1. MATERIAL GIRL / MADONNA

M2. WALKING ON AIR / STEPHEN BISHOP

M3. SWEET SEASONS / CAROLE KING

M4. THERE MUST BE AN ANGEL / EURYTHMICS

M5. OUR HOUSE / CROSBY STILLS NASH & YOUNG

M6. (THEY LONG TO BE) CLOSE TO YOU / CARPENTERS

エンディング・テーマ曲
「THE WHALE / ELECTRIC LIGHT ORCHESTRA」